カメラで取得した実空間の映像に種々の情報を表示するAR技術では、情報は、情報バルーン、アイコン等のグラフィックスオブジェクトとして実空間の映像に重畳表示される。かかる場合において、表示する情報の量が多くなると表示画面は非常に煩雑となる。また、グラフィックスオブジェクトが重なり合うように表示されると、情報の視認、及びグラフィックオブジェクトの選択操作が困難となる。このような問題は、小型の表示装置が搭載されている携帯電話やPDA等のモバイル端末において特に顕著である。さらに、タッチパネルが採用されたモバイル端末では、画面上に密集されたグラフィックスオブジェクトのうちの一つを操作することは極めて困難である。
さらに、このAR技術をゴルフコースのナビゲーションに応用した場合では、グリーンの情報やバンカー等のハザード情報が重なって表示されると、グリーンやバンカーの位置の正確な方向や距離を視認することが非常に困難となる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、AR技術において、実空間の映像に重畳表示する情報の量が多い場合であっても、画面の煩雑化を抑制することが可能なオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト表示装置は、撮影手段により取得された実空間の映像にオブジェクトを重畳表示するオブジェクト表示装置であって、オブジェクト表示装置の現在位置を取得する位置情報取得手段と、オブジェクトに関する情報であって、当該オブジェクトの実空間における基準位置に関する情報であるオブジェクト基準位置情報を含むオブジェクト情報を記憶しているオブジェクト情報記憶手段と、オブジェクト表示装置の現在位置と実空間における特定目標物の位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する水平面2次元座標系設定手段と、水平面2次元座標系設定手段により設定された水平面2次元座標系にオブジェクト情報記憶手段に記憶されているオブジェクト情報のオブジェクト基準位置情報をプロットするオブジェクト基準位置配置手段と、水平面2次元座標系に前記オブジェクト基準位置情報がプロットされたオブジェクトを投影するための投影面を設定し、投影面上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する投影面2次元座標系設定手段と、投影面2次元座標系設定手段により設定された投影面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に投影面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである投影面小エリアに分割する投影面2次元座標系分割手段と、オブジェクト基準位置配置手段により水平面2次元座標系にプロットされたオブジェクト基準位置情報を、水平面2次元座標系における当該オブジェクト基準位置情報の配置位置に対応する投影面小エリアに配置することにより当該オブジェクトの表示位置を決定するオブジェクト表示位置決定手段と、オブジェクト表示位置決定手段によりオブジェクトが配置された投影面小エリアに関する情報に基づき、オブジェクトの表示画面における表示位置の制御を実施する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明のオブジェクト表示方法は、撮影手段により取得された実空間の映像にオブジェクトを重畳表示するオブジェクト表示装置にオブジェクトの重畳表示を実現させるためのオブジェクト表示方法であって、オブジェクト表示装置の現在位置を取得する位置情報取得ステップと、位置情報取得ステップにおいて取得された現在位置と実空間における特定目標物の位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する水平面2次元座標系設定ステップと、オブジェクトに関する情報であって、当該オブジェクトの実空間における基準位置に関する情報であるオブジェクト基準位置情報を含むオブジェクト情報を記憶しているオブジェクト情報記憶手段からオブジェクト情報を取得し、水平面2次元座標系設定ステップにより設定された水平面2次元座標系にオブジェクト情報のオブジェクト基準位置情報をプロットするオブジェクト基準位置配置ステップと、水平面2次元座標系にオブジェクト基準位置情報がプロットされたオブジェクトを投影するための投影面を設定し、投影面上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する投影面2次元座標系設定ステップと、投影面2次元座標系設定ステップにより設定された投影面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に投影面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである投影面小エリアに分割する投影面2次元座標系分割ステップと、オブジェクト基準位置配置ステップにおいて水平面2次元座標系にプロットされたオブジェクト基準位置情報を、水平面2次元座標系における当該オブジェクト基準位置情報の配置位置に対応する投影面小エリアに配置することにより当該オブジェクトの表示位置を決定するオブジェクト表示位置決定ステップと、オブジェクト表示位置決定ステップにおいてオブジェクトが配置された投影面小エリアに関する情報に基づき、オブジェクトの表示画面における表示位置の制御を実施する表示制御ステップとを有することを特徴とする。
本発明のオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法によれば、オブジェクトの基準位置情報がオブジェクト情報に基づき水平面2次元座標系に配置・プロットされ、更に水平面2次元座標系におけるオブジェクト基準位置情報の配置位置に基づき対応する投影面小エリアにオブジェクトが配置される。そして、オブジェクトが配置された投影面小エリアに基づき、オブジェクトの表示位置が決定される。これにより、水平面におけるオブジェクトの基準位置が表示画面におけるオブジェクトの表示位置に反映されることとなるので、実空間の映像に重畳表示する情報の量が多い場合であっても、オブジェクトが整然と表示され、画面の煩雑化を抑制することが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、オブジェクト基準位置情報が配置された投影面小エリアがオブジェクトの表示を禁止する領域である表示禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクトを表示禁止領域に該当しない投影面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、他のオブジェクトが配置された投影面小エリアを表示禁止領域に設定することにより、オブジェクト同士が重なって表示されることが回避される。従って、実空間の映像に重畳表示させるオブジェクトの量が多い場合であっても、画面の煩雑化が抑制される。
また、本発明のオブジェクト表示装置は、撮影手段の撮影方向を取得する方位取得手段を更に備え、投影面2次元座標系設定手段は、方位取得手段により取得された撮影方向に直交する面、又は撮影方向の水平方向成分に直交する面を投影面として設定し、投影面上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定することを特徴とする。これにより、オブジェクトの表示の制御に好適な投影面2次元座標系が設定される。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、投影面2次元座標系設定手段は、オブジェクト表示装置の現在位置における所定の高さの位置を始点として撮影手段の撮影方向の水平方向成分に沿って引かれた直線と、投影面との交点を原点として、投影面2次元座標系における座標軸を設定することを特徴とする。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、投影面2次元座標系設定手段は、オブジェクト表示装置の現在位置における所定の高さの位置を視点とした場合に投影面において特定目標物が透視投影される位置を原点として、投影面2次元座標系における座標軸を設定することを特徴とする。
これらの構成によれば、例えば、投影面2次元座標系において表示禁止領域をどのように設定するかといった表示制御における目的に応じて、投影面2次元座標系における座標軸の設定をすることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、オブジェクト表示装置の現在位置における所定の高さの位置を視点として、オブジェクト基準位置配置手段により水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置情報が投影面上において透視投影される位置に対応する投影面小エリアに当該オブジェクトを配置することを特徴とする。
この構成によれば、オブジェクトは、撮影手段により取得された実空間の映像における実際の所在位置が属する投影面小エリアに配置されることとなる。これにより、実空間における位置と密接に関連付けられた、オブジェクトの表示による情報の提供が可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、オブジェクトが配置された投影面小エリアを表示禁止領域に設定することを特徴とする。
この構成によれば、オブジェクト同士が重畳表示されることが回避される。従って、実空間の映像に重畳表示させるオブジェクトの量が多い場合であっても、画面の煩雑化が抑制され、オブジェクトの視認性が向上される。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することを特徴とする。
この構成によれば、投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸近傍にオブジェクトが配置されないので、重畳される実空間の映像における垂直方向の座標軸近傍に相当する領域の視認性が向上する。例えば、実空間における特定の目標物の位置に垂直方向の座標軸が重なるように投影面2次元座標系を設定することにより、当該特定の目標物、及び表示画面上において特定目標物の上方及び下方に位置する領域をオブジェクトに遮られることなく表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することを特徴とする。
この構成によれば、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸近傍にオブジェクトが配置されないので、重畳される実空間の映像における水平方向の座標軸近傍に相当する領域の視認性が向上する。例えば、実空間における特定の目標物の位置に水平方向の座標軸が重なるように投影面2次元座標系を設定することにより、当該特定の目標物、及び表示画面上において特定目標物と同程度の高さに位置する領域をオブジェクトに遮られることなく表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、投影面において透視投影された特定目標物の位置から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することを特徴とする。
この構成によれば、投影面及び投影面2次元座標系における特定目標物の位置近傍にオブジェクトが配置されないので、重畳される実空間の映像における特定目標物近傍に相当する領域の視認性が向上する。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、オブジェクト表示装置の表示画面において特定のグラフィックオブジェクトを表示するための領域に対応する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することを特徴とする。
この構成によれば、表示画面において特定のグラフィックオブジェクトを表示するための領域に相当する投影面小エリアにオブジェクトが配置されないので、特定のグラフィックオブジェクトをオブジェクトに遮られることなく表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、当該オブジェクトが配置された投影面小エリアが表示禁止領域に該当する場合には、隣接する投影面小エリアに当該オブジェクトを再配置することを特徴とする。
この構成によれば、表示禁止領域に該当する投影面小エリアにオブジェクトが配置された場合に、当該投影面小エリアに隣接する投影面小エリアに当該オブジェクトが再配置されるので、当該オブジェクトの所在位置近傍の領域に当該オブジェクトを表示できる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、当該オブジェクトが配置された投影面小エリアが表示禁止領域に該当する場合には、投影面2次元座標系における当該投影面小エリアの垂直方向の座標値の絶対値を所定値だけ増加または減少させた座標値により示される投影面小エリアに当該オブジェクトを再配置することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、表示禁止領域に該当する一の投影面小エリアに複数のオブジェクトが配置された場合に、それらの複数のオブジェクトは、垂直方向に順次並べられて再配置されることとなる。従って、同じ場所に対応付けられた互いに関連する複数のオブジェクトを、表示画面において関連付けを強調させながら表示させることが可能となる。なお、座標値の増加または減少のための所定値は、例えば1とすることができる。また、その所定値は、1以外の値であってもよい。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、当該オブジェクトが配置された投影面小エリアが表示禁止領域に該当する場合には、投影面2次元座標系における当該投影面小エリアの水平方向の座標値の絶対値を所定値だけ増加または減少させた座標値により示される投影面小エリアに当該オブジェクトを再配置することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、表示禁止領域に該当する一の投影面小エリアに複数のオブジェクトが配置された場合に、それらの複数のオブジェクトは、水平方向に順次並べられて再配置されることとなる。従って、同じ場所に対応付けられた互いに関連する複数のオブジェクトを、表示画面において関連付けを強調させながら表示させることが可能となる。なお、座標値の増加または減少のための所定値は、例えば1とすることができる。また、その所定値は、1以外の値であってもよい。また、上記構成の組み合わせによれば、表示禁止領域に配置されたオブジェクトを、投影面2次元座標系における垂直方向の座標値の絶対値を所定値だけ増加又は減少させると共に、水平方向の座標値の絶対値を所定値だけ増加又は減少させた座標値により示される投影面小エリアに当該オブジェクトを再配置することも可能である。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、一の投影面小エリアに複数のオブジェクトが配置された場合に、予め設定されたオブジェクトの優先度に基づき、複数のオブジェクトのうちの一のオブジェクトを一の投影面小エリアに配置すると共に、他のオブジェクトを一の投影面小エリアに隣接する投影面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、一の投影面小エリアに複数のオブジェクトが配置された場合に、優先度がより高いオブジェクトが当該一の投影面小エリアに配置される。これにより、当該一の投影面小エリアを表示禁止領域として設定することが可能となるので、他のオブジェクトを一の投影面小エリア以外の投影面小エリアであって、一の投影面小エリアに隣接する投影面小エリアに再配置することが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、予め設定された投影面2次元座標系を分割するための投影面分割ルールに基づき、投影面2次元座標系を複数の投影面小エリアを含む投影面中エリアに分割し、各投影面中エリアに含まれる複数の投影面小エリアに所定の配置順位を設定し、予め設定された優先度がより高いオブジェクトが、配置順位がより高い投影面小エリアに配置されるように、投影面中エリア内に配置されたオブジェクトを再配置することを特徴とする。
この構成において、高い優先度が設定されたオブジェクトは、より重要な情報を示すものであり、高い配置順位が設定された投影面小エリアは、表示画面においてより視認容易な領域に相当するものである。従って、この構成によれば、重要な情報を示すオブジェクトを、表示画面においてより視認容易な位置に表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、実空間における一の対象物に関する複数のオブジェクトであって、一の対象物におけるオブジェクト表示装置の視点位置が存在する側の一端部に関する情報を示すオブジェクト、及び一の対象物における当該一端部と反対側の他端部に関する情報を示すオブジェクトの表示位置を決定する場合に、一端部に関する情報を示すオブジェクト及び他端部に関する情報を示すオブジェクトをそれぞれ、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸の下方及び上方の象限に位置する投影面小エリアに配置することを特徴とする。
この構成によれば、所定の対象物の一端部及び他端部に関する情報を示す2つのオブジェクトを、互いの関連性及び一の対象物における位置関係をユーザに認識させながら表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、水平面2次元座標系設定手段により設定された水平面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に、水平面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである水平面小エリアに分割する水平面2次元座標系分割手段を更に備え、オブジェクト基準位置配置手段は、オブジェクト情報記憶手段に記憶されているオブジェクト情報に基づき、オブジェクト基準位置情報を、当該オブジェクト基準位置情報に示される基準位置に対応する水平面小エリアにプロットし、オブジェクト表示位置決定手段は、予め設定された水平面小エリアと投影面小エリアとの対応付けに基づき、オブジェクト基準位置配置手段により水平面小エリアにプロットされたオブジェクト基準位置情報を、当該水平面小エリアに対応付けられた投影面小エリアに配置することを特徴とすることを特徴とする。
この構成によれば、オブジェクトは、オブジェクト情報に基づき、オブジェクト基準位置情報が水平面2次元座標系における水平面小エリアに配置され、更に水平面小エリアに対応する投影面小エリアに配置される。そして、オブジェクト基準位置情報が配置された投影面小エリアに基づき、オブジェクトの表示位置が決定される。これにより、オブジェクトは、水平面における位置関係が反映された投影面小エリアに表示されることとなる。従って、表示画面において、オブジェクトが対応付けられた位置の直感的な認識が容易となる。また、水平面における空間的な広がりが投影面及び表示画面に反映されるので、表示画面においてオブジェクトが密集されずに適度な広がりをもって配置される蓋然性が高い。従って、実空間の映像に重畳表示するオブジェクトの量が多い場合であっても、画面の煩雑化を抑制することが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、投影面2次元座標系における表示禁止領域に該当する投影面小エリアに対応付けられた水平面小エリアを、オブジェクトの配置を禁止する領域である配置禁止領域として設定し、オブジェクト基準位置情報が配置された水平面小エリアが配置禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクト基準位置情報を配置禁止領域に該当しない水平面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、オブジェクトが投影面2次元座標系における表示禁止領域に配置されることが防止される。従って、表示面においてオブジェクトを重畳表示させることが好ましくない領域にオブジェクトが表示されないので、表示画面の視認性が向上する。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、水平面2次元座標系における基準軸から予め設定された所定の距離以内に位置する水平面小エリアを配置禁止領域として設定し、オブジェクト基準位置情報が配置された水平面小エリアが配置禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクト基準位置情報を配置禁止領域に該当しない水平面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、水平面2次元座標系における基準軸と投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸とが一致するように水平面小エリアと投影面小エリアとが対応付けられている場合に、投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸近傍にオブジェクトが配置されないこととなる。従って、重畳される実空間の映像における垂直方向の座標軸近傍に相当する領域の視認性が向上する。例えば、実空間における特定の目標物の位置に垂直方向の座標軸が重なるように投影面2次元座標系を設定することにより、当該特定の目標物、及び表示画面上において特定目標物の上方及び下方に位置する領域をオブジェクトに遮られることなく表示させることが可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、一の水平面小エリアに複数のオブジェクト基準位置情報が配置される場合に、オブジェクトに予め設定された優先度に基づき、複数のオブジェクト基準位置情報のうちの一のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアに配置すると共に、他のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアに隣接する水平面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、一の水平面小エリアに複数のオブジェクト基準位置情報が配置された場合に、優先度がより高いオブジェクトのオブジェクト基準位置情報が当該一の水平面小エリアに配置されるので、オブジェクトの優先度に基づき、一の水平面小エリアごとに一のオブジェクト基準位置情報を配置させることが可能となる。かかるオブジェクト基準位置情報の配置に基づき、投影面2次元座標系におけるオブジェクトの表示位置が決定されるので、オブジェクト同士の重畳表示が防止され、表示面の視認性向上が実現される。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、一の水平面小エリアに複数のオブジェクト基準位置情報が配置される場合に、水平面2次元座標系におけるいずれかの次元軸からオブジェクト基準位置情報に示される位置までの距離に基づき、複数のオブジェクト基準位置情報のうちの一のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアに配置すると共に、他のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアに隣接する水平面小エリアに再配置することを特徴とする。
この構成によれば、一の水平面小エリアに複数のオブジェクト基準位置情報が配置された場合に、水平面2次元座標系における座標軸からの距離がより近いオブジェクト基準位置情報が当該一の水平面小エリアに配置されるので、座標軸からの距離に基づき、一の水平面小エリアごとに一のオブジェクト基準位置情報を配置させることが可能となる。かかるオブジェクト基準位置情報の配置に基づき、投影面2次元座標系におけるオブジェクトの表示位置が決定されるので、オブジェクト同士の重畳表示が防止され、表示面の視認性向上が実現される。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、オブジェクト表示装置の現在位置を通り、現在位置と実空間における特定目標物の位置とを結ぶ直線と直交する直線により水平面2次元座標系を分割して得られる各領域のうち、特定目標物が存在する領域に位置するオブジェクトを対象としてオブジェクトの基準位置の配置処理を実施することを特徴とする。
この構成によれば、表示対象とされる蓋然性が高いオブジェクトのみが処理対象とされ、それ以外のオブジェクトに関する配置処理が実施されないので、処理負担が軽減される。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、投影面2次元座標系設定手段は、オブジェクト表示装置の現在位置を中心として所定の半径を有すると共に、軸心方向を予め設定された所定方向に向けられた仮想的な円筒を設定し、設定された円筒の内側面上における2方向を座標軸とする投影面円柱座標系を、投影面2次元座標系として設定することを特徴とする。これにより、実空間におけるオブジェクト及び当該オブジェクトが対応付けられる対象物の位置関係がより好適に反映されたオブジェクトの表示表現可能となる。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、投影面円柱座標系において、特定目標物を中心とし、この中心位置を始点として一のオブジェクトの配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る投影面小エリアのうち、他のオブジェクトが配置されておらず、且つ当該一のオブジェクトが配置されていた投影面小エリアに最も近い投影面小エリアにオブジェクトを再配置することを特徴とする。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト基準位置配置手段は、水平面2次元座標系において、特定目標物を中心として、この中心位置を始点として一のオブジェクト基準位置の配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る水平面小エリアのうち、他のオブジェクト基準位置が配置されておらず、且つ当該一のオブジェクト基準位置が配置されていた水平面小エリアに最も近い水平面小エリアにオブジェクト基準位置を再配置することを特徴とする。
また、本発明のオブジェクト表示装置では、オブジェクト表示位置決定手段は、投影面2次元座標系において、特定目標物を中心とし、この中心位置を始点として一のオブジェクトの配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る投影面小エリアのうち、他のオブジェクトが配置されておらず、且つ当該一のオブジェクトが配置されていた投影面小エリアに最も近い投影面小エリアにオブジェクトを再配置することを特徴とする。
これらの構成によれば、表示画面において、オブジェクトが対応付けられる実空間における対象物と近い位置に当該オブジェクトが配置されるので、オブジェクトと対象物の関連性を示しながら自然かつ整然とした表現が可能となる。
AR技術において、実空間の映像に重畳表示する情報の量が多い場合であっても、画面の煩雑化を抑制することが可能となる。
本発明に係るオブジェクト表示装置及びオブジェクト表示方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るオブジェクト表示装置1の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態のオブジェクト表示装置1は、ユーザが実空間に向けたカメラ等の撮影装置で取得した映像に種々のオブジェクトを重畳表示することにより、ユーザに拡張現実感を与えるサービスを提供するものであって、例えば、携帯端末等の装置が例示される。なお、本実施形態では、オブジェクト表示装置1が、ゴルフコースにおいて、グリーンやハザード(池、バンカー等含む)に関する情報をオブジェクトとして、コースを撮影した映像に重畳表示するサービスを提供する装置である場合の例を説明するが、オブジェクト表示装置1は、ゴルフコースにおけるサービスを提供する装置に限定されるものではない。
図1に示すように、オブジェクト表示装置1は、機能的には、オブジェクト情報記憶部10(オブジェクト情報記憶手段)、位置情報取得部11(位置情報取得手段)、方位取得部12(方位取得手段)、撮影部13(撮影手段)、水平面2次元座標系設定部14(水平面2次元座標系設定手段)、オブジェクト基準位置配置部15(オブジェクト基準位置配置手段)、投影面2次元座標系設定部16(投影面2次元座標系設定手段)、投影面2次元座標系分割部17(投影面2次元座標系分割手段)、オブジェクト表示位置決定部18(オブジェクト表示位置決定手段)、表示制御部19(表示制御手段)及び表示部20を備える。
図2は、オブジェクト表示装置1のハードウエア構成図である。オブジェクト表示装置1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、データ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませて実行させることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図1を参照し、オブジェクト表示装置1の各機能部について詳細に説明する。
オブジェクト情報記憶部10は、オブジェクトに関する情報であって、当該オブジェクトの実空間における基準位置に関する情報であるオブジェクト基準位置情報を含むオブジェクト情報を記憶している部分である。図3は、オブジェクト情報記憶部10の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。図3に示すように、オブジェクト情報記憶部10は、オブジェクト情報を識別するコース情報IDごとに、ジャンル、位置情報(オブジェクト基準位置情報)、情報データをオブジェクト情報として記憶している。
ジャンルは、当該オブジェクト情報が対応付けられた対象物を示す属性情報である。また、ジャンルは、「バンカー」、「池」といった対象物について、それら対象物におけるオブジェクト表示装置1の視点位置が存在する側の一端部である「手前」、及び当該一端部と反対側である「奥」といった情報を含んでいてもよい。
位置情報は、当該オブジェクトが実空間において対応付けられた基準位置を示す情報であり、例えば緯度及び経度に関する情報を含む。また、情報データは、表示部20において実空間の映像に重畳して表示させるためのデータであり、例えば、テキストデータ、アイコン、写真等の所定画像データを含むことができる。本実施形態では、情報データは、ジャンルに示される対象までの距離を示す情報が記憶されている。
また、オブジェクト情報記憶部10は、水平面2次元座標系における配置位置、投影面2次元座標系における表示位置及び表示要否属性を記憶するためのフィールドを更に含んでいてもよい。
なお、本実施形態のオブジェクト情報は、オブジェクト情報記憶部10に予め記憶されているものとしているが、これには限られない。例えば、オブジェクト表示装置1と通信可能なサーバ(図示せず)においてオブジェクト情報が蓄積されており、当該サーバがオブジェクト表示装置1の位置情報に基づきオブジェクト表示装置1の周辺に配置されたオブジェクト情報を抽出し、抽出されたオブジェクト情報がサーバからオブジェクト表示装置1に送信されることとしてもよい。
位置情報取得部11は、オブジェクト表示装置1の現在位置を取得する部分である。位置情報取得部11は、例えば、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、それらの強度からオブジェクト表示装置1の現在位置に関する位置情報を取得するGPSモジュールである。また、オブジェクト表示装置1が移動体通信網による通信が移動端末である場合には、位置情報取得部11は、通信モジュール105を介して通信網と通信することによりオブジェクト表示装置1の近くに存在する衛星の情報をアシストデータとして取得し、位置測位を行うAGPS(Assisted Global Positioning System)方式に対応したモジュールであることができる。この場合には、位置情報をより高速かつ正確に取得することができる。ただし、位置情報取得部11は、GPSまたはAGPSを利用するものに限られるものではなく、GPSに依存することなく位置情報を取得する構成であってもよい。例えば、位置情報取得部11において、WiFiやBluetooth(登録商標)等の無線通信基地局を空間内に複数配設し、それらからの電波強度により端末位置情報を取得する方式を利用してもよいし、このような方式をGPSないしはAGPSに併用する方式を利用することも可能である。
方位取得部12は、撮影部13の撮影方向を取得する部分である。方位取得部12は、オブジェクト表示装置1が向いている方向の姿勢・角度を検出し、それに相当する信号を出力するモジュールにより構成することができる。方位取得部12を構成するためのモジュールとしては、複数の地磁気センサを組み合わせたものを採用することが可能であり、さらに地磁気センサに加えて複数の加速度センサを組み合わせたモーションセンサを採用してもよい。より詳しくは、方位取得部12を構成するためのモジュールとして、3軸方向の地磁気センサと3軸方向の加速度センサとを組み合わせた6軸センサ、3軸方向の地磁気センサと2軸方向の加速度センサとを組み合わせた5軸センサを採用することが可能であり、また、加速度センサの代わりにジャイロを採用することができる。かかるモーションセンサは、オブジェクト表示装置1の姿勢・角度に関する情報だけでなく、ユーザがオブジェクト表示装置1を動かしたり傾けたりした場合における動作の向きおよび速さを検出することができる。
撮影部13は、実空間の映像を取得する部分である。撮影部13は、所定の光学系及び受像素子を有し、デジタル画像を取得する機能を提供するモジュールにより構成できる。
水平面2次元座標系設定部14は、オブジェクト表示装置1の現在位置と実空間における特定目標物の位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置1の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する部分である。図4を参照して、水平面2次元座標系の設定処理を説明する。図4(a)は、ゴルフコースを模式的に表した図である。図4(a)には、オブジェクト表示装置1の現在位置CP及び特定目標物Tが示されている。本実施形態のゴルフコースの案内を実施するサービスでは、例えば、グリーンが特定目標物Tとして設定される。特定目標物に関する情報は、オブジェクト情報の1種としてオブジェクト情報記憶部10に記憶されており(図3におけるジャンル「グリーン」のオブジェクト情報を参照)、例えば、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクトのうち、任意のオブジェクトをユーザの選択により特定目標物Tとして設定することが可能である。水平面2次元座標系設定部14は、オブジェクト情報記憶部10から、特定目標物Tに関する情報を取得する。また、水平面2次元座標系設定部14は、例えば「真北」といった特定の方位を特定目標物Tに設定できる。
図4(b)は、図4(a)に示されるゴルフコースにおいて、水平面2次元座標系設定部14により設定される水平面2次元座標系の例を示す図である。図4(b)に示す例では、X軸及びY軸からなる直交座標系が水平面2次元座標系として設定されている。即ち、水平面2次元座標系設定部14は、現在位置CPと特定目標物Tを結ぶ水平方向の線を基準軸の1つであるY軸として設定し、Y軸に直交し現在位置CPを通る線をX軸として設定し、Y軸及びX軸からなる水平面2次元座標系を設定する。なお、本実施形態では、現在位置CPと特定目標物Tとを結ぶ水平方向に延びる直線をY軸の設定のために用いているが、ここで用いられる直線は水平方向のものには限られない。また、本実施形態では、水平面2次元座標系の例として直交座標系を例示しているが、これに限定されず、例えば2次元の極座標(円座標)系であってもよい。
オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクト情報のオブジェクト基準位置情報に基づき、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系にオブジェクトの基準位置情報をプロットする部分である。本実施形態では、オブジェクト基準位置配置部15は、緯度及び経度により表される位置情報(オブジェクト基準位置情報)に基づき、水平面2次元座標系にオブジェクト基準位置情報をプロット・配置する。図5(a)は、ゴルフコースにおけるオブジェクトの基準位置を模式的に表した図である。図5(b)は、水平面2次元座標系に配置されたオブジェクトを示す図である。図5(b)に示すように、バンカー手前、バンカー奥、池手前及び池奥(図3参照)といった属性に対応付けられたオブジェクトのオブジェクト基準位置情報O2〜O5は、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系にプロットされている。
投影面2次元座標系設定部16は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向に直行する面、又は撮影方向の水平方向成分に直交する面を投影面として設定し、投影面上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する部分である。図6は、投影面2次元座標系設定部16による投影面2次元座標系の設定処理を説明するための図である。図6に示すように、投影面2次元座標系設定部16は、現在位置CP上における所定高さ位置に設定された視点位置FPを基準位置として、矢印Rにより示される撮影部13の撮影方向または撮影方向の水平方向成分を設定し、その方向に直交する投影面PPを設定する。そして、投影面2次元座標系設定部16は、投影面PP上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する。なお、投影面2次元座標系設定部16は、例えば、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸をW軸、垂直方向の座標軸をZ軸として設定する。また、投影面PPは、水平面2次元座標系を含む面に直交する面に限定されない。
ここで、投影面2次元座標系設定部16は、図7(a)に示すように、オブジェクト表示装置1の現在位置における所定の高さの位置を始点として撮影部13の撮影方向または撮影方向の水平方向成分に沿って引かれた直線と、投影面PPとの交点を原点として、投影面2次元座標系における座標軸を設定することができる。即ち、オブジェクト表示装置1の現在位置における所定の高さの位置は、図6において視点位置FPにより表されるので、視点位置FPを始点として矢印Rの方向に沿って引かれた直線と投影面PPとの交点が原点に設定される。現在位置における所定の高さは、例えば、一般的なユーザの視点位置である150cm程度に設定されることが好適である。
また、投影面2次元座標系設定部16は、図7(b)に示すように、オブジェクト表示装置1の現在位置CPにおける所定の高さの位置を視点位置FPとした場合に投影面PPにおいて特定目標物Tが透視投影される位置を原点として、投影面2次元座標系における座標軸を設定することができる。
投影面2次元座標系分割部17は、投影面2次元座標系設定部16により設定された投影面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に投影面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである投影面小エリアに分割する部分である。具体的には、投影面2次元座標系分割部17は、図7(a)及び図7(b)に示すように、投影面2次元座標系における各象限を投影面小エリアVAに分割する。図7(a),(b)に示す例では、投影面2次元座標系における各象限は、正方形の投影面小エリアVAに分割されている。また、投影面小エリアVAは、W軸及びZ軸の座標値を有する。
オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクト基準位置配置部15により水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置情報を、水平面2次元座標系における当該オブジェクト基準位置情報の配置位置に対応する投影面小エリアVAに配置することにより当該オブジェクトの表示位置を決定する部分である。また、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトが配置された投影面小エリアVAがオブジェクトの表示を禁止する領域である表示禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクトを表示禁止領域に該当しない投影面小エリアVAに再配置する部分である。さらに、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトの表示を禁止する領域である表示禁止領域の設定も実施する。以下、図8〜17を参照して、オブジェクト表示位置決定部18による、オブジェクトの投影面小エリアVAに対する配置処理、再配置処理、禁止領域の設定処理の例を説明する。
図8(a)は、投影面2次元座標系に設定された表示禁止領域の例を示す図である。即ち、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系(投影面PP)において透視投影された特定目標物Tの位置から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアVAを表示禁止領域に設定する。図8(a)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、特定目標物Tであるグリーンが投影された位置を含む投影面小エリアVA1を表示禁止領域に設定している。また、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクト表示装置1の表示画面において特定のグラフィックオブジェクトGを表示するための領域に対応する投影面小エリアVAを表示禁止領域に設定する。図8(a)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、ホール数を示すグラフィックオブジェクトG1及びゴルフコースの概略図を示すグラフィックオブジェクトG2を表示するための領域に対応する投影面小エリアVA2,VA3を表示禁止領域に設定している。
図8(b)は、投影面2次元座標系に配置されたオブジェクトの例を示す図である。即ち、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクト表示装置1の現在位置CPにおける所定の高さの位置を視点位置FPとして、オブジェクト基準位置配置部15により水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置情報が投影面PP上において透視投影される位置に対応する投影面小エリアVAに当該オブジェクトを配置する(図6参照)。図8(b)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO11,O12,O13を投影面小エリアVA4に配置し、オブジェクトO14を投影面小エリアVA5に配置し、オブジェクトO15を投影面小エリアVA5に配置している。なお、本実施形態では、オブジェクトは、バルーン型のグラフィックオブジェクトであり、バンカーや池といった対象物までの距離を示す情報データがバルーン内に表示される。この情報データは、オブジェクト情報記憶部10に記憶されている。
図9(a)は、投影面2次元座標系において設定された表示禁止領域の例を示す図である。投影面小エリアVA4,VA5,VA6は、表示画面においてオブジェクトが提供する情報の、実空間における対象物が表示される領域であるので、これらの領域にオブジェクトの重畳表示をすると、当該対象物が隠されることとなる。そこで、オブジェクト表示位置決定部18は、これらの投影面小エリアVA4,VA5,VA6を表示禁止領域として設定する。
図9(b)は、オブジェクトの再配置の例を示す図である。図9(a)において示したように、オブジェクトO11,O12,O13は、表示禁止領域に配置されているので、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO11,O12,O13を、隣接する投影面小エリアVAに再配置する。図9(b)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面小エリアVAの垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAにオブジェクトを再配置する。ここでは、オブジェクト表示装置1の現在位置に近いオブジェクトを優先して再配置を実施するといったルールが予め設定されているとすると、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO11を、投影面小エリアVA4の垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアである投影面小エリアVA11に再配置する。なお、本実施形態では、座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAにオブジェクトを再配置することとしているが、これに限られない。座標値の絶対値を減少させた座標値により示される投影面小エリアVAに再配置することとしてもよいし、座標値の絶対値における増加幅または減少幅は、1以外の値であってもよい。
次に、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO12を、垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAに再配置する。ただし、投影面小エリアVA11には、オブジェクトO12より優先されるオブジェクトO11が既に再配置されているので、オブジェクトO12は、投影面小エリアVA12に再配置される。更に、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO13を、垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAに再配置する。ただし、投影面小エリアVA11,VA12にはそれぞれ、オブジェクトO13より優先されるオブジェクトO11,O12が既に再配置されているので、オブジェクトO13は、投影面小エリアVA13に再配置される。同様に、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO14,O15をそれぞれ、投影面小エリアVA14,VA15に再配置する。
図10(a)は、投影面2次元座標系において設定された表示禁止領域の例を示す図である。図10(a)に示す例では、表示画面において特定目標物Tの視認性が低下することは好ましくないので、オブジェクト表示位置決定部18は、特定目標物が属する投影面小エリアVA1の垂直上方及び下方に位置する投影面小エリアVA7を表示禁止領域として設定する。
図10(b)は、オブジェクトの再配置の例を示す図である。図10(a)において示したように、オブジェクトO11,O12,O13は、表示禁止領域に配置されているので、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO11,O12,O13を、隣接する投影面小エリアに再配置する。オブジェクト表示装置1の現在位置に近いオブジェクトを優先して再配置を実施すること、及び投影面2次元座標系において、垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAへの移動・再配置を水平方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAへの移動・再配置より優先させるといったルールが予め設定されているとすると、図10(b)に示す例では、オブジェクトO11が配置された投影面小エリアの垂直方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVA1が表示禁止領域に設定されているので、オブジェクト表示位置決定部18は、例えば、水平方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVA21にオブジェクトO11を再配置する。同様に、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO12,O13をそれぞれ、投影面小エリアVA22,VA23に再配置する。また、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO11が配置された投影面小エリアの垂直方向に位置する全ての投影面小エリアが表示禁止領域に該当することを予め認識できる場合には、垂直方向の投影面小エリアへの再配置を試みることなく、直接に、水平方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVA21にオブジェクトO11を再配置することができる。
図11(a)は、表示禁止領域の設定の例を示す図である。オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することができる。図11(a)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系における垂直方向の座標軸であるZ軸から所定の距離以内の領域PAZに属する投影面小エリアVAを表示禁止領域に設定する。
図11(b)は、表示禁止領域の設定の例を示す図である。オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸から、予め設定された所定の距離以内に位置する投影面小エリアを表示禁止領域に設定することができる。図11(b)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸であるW軸から所定の距離以内の領域PAWに属する投影面小エリアVA及びZ軸から所定の距離以内の領域PAZに属する投影面小エリアVAを表示禁止領域に設定する。
図12は、オブジェクトの再配置の例を示す図である。オブジェクト表示位置決定部18は、一の投影面小エリアVAに複数のオブジェクトが配置された場合に、予め設定されたオブジェクトの優先度に基づき、複数のオブジェクトのうちの一のオブジェクトを一の投影面小エリアVAに配置すると共に、他のオブジェクトを一の投影面小エリアに隣接する投影面小エリアVAに再配置する。図12(a)に示す例では、一の投影面小エリアVAにオブジェクトOA,OBが配置されている。オブジェクトOAの優先度がオブジェクトOBの優先度より高い場合には、オブジェクト表示位置決定部18は、図12(b)に示すように、オブジェクトOAを投影面小エリアVAAに配置すると共に、オブジェクトOBを投影面小エリアVAAに隣接する投影面小エリアVABに再配置する。
図13は、オブジェクトの再配置における投影面小エリアVAの配置順位の例を示す図である。図9及び図10を参照して説明したように、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトが配置された投影面小エリアVAの垂直方向又は水平方向の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される投影面小エリアVAにオブジェクトを再配置するが、複数のオブジェクトの再配置を実施する場合には、図13に例示されるような予め設定された配置順位に従って、オブジェクトの再配置を実施することとしてもよい。
次に図14〜16を参照して、オブジェクトの再配置処理のその他の例を説明する。図14(a),(b)は、投影面2次元座標系において設定された表示禁止領域の例を示す図である。図14(a)に示す例では、オブジェクト表示位置決定部18は、特定目標物Tが属する投影面小エリアの上下垂直方向に位置する投影面小エリアVA8及び左右水平方向に位置する投影面小エリアVA9を表示禁止領域として設定する。このように表示禁止領域を設定することにより、表示画面における実空間の映像の視界を良好に保つことが可能となる。
更に、図14(b)に示すように、オブジェクトO11,O12,O13が投影面小エリアVA4に配置され、オブジェクトO14が投影面小エリアVA5に配置され、オブジェクトO15が投影面小エリアVA6に配置されているので、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面小エリアVA4,VA5,VA6を表示禁止領域として設定する。
図15は、オブジェクトの再配置のための単位領域である中エリアの設定を説明するための図である。また、図16は、設定された中エリアごとのオブジェクトの再配置を説明するための図である。図15(a)に示すような実空間の映像が取得された場合に、オブジェクト表示位置決定部18は、図15(b)に示すように、実空間の映像における所定点を通り垂直方向及び水平方向に引かれた直線により、対応する投影面2次元座標系を4つの中エリアMA1〜MA4に分割する。中エリアMAに分割するための所定点は、例えば、特定目標物Tであるグリーン位置に設定することとしてもよいし、特定目標物Tの位置と現在位置との中点等に設定することとしてもよい。
図16(a)に示すように、各中エリアMAは、複数の投影面小エリアVAを含む。そして、オブジェクト表示位置決定部18は、中エリアMAごとに、オブジェクトの配置順位を投影面小エリアVAに対して設定する。ここで設定される配置順位は、例えば、予め設定されているものであってもよいし、中エリアMAに分割するための所定点からの距離が近い投影面小エリアVAから順に順位を設定することとしてもよい。
続いて、オブジェクト表示位置決定部18は、図16(b)に示すように、オブジェクトO11,O12,O13及びオブジェクトO14,O15をそれぞれ中エリアMAごとの投影面小エリアVAに再配置する。例えば、オブジェクトO11,O12,O13に対して、オブジェクトO11,オブジェクトO12,オブジェクトO13の順により高い優先度が設定されている場合には、オブジェクト表示位置決定部18は、図16(a)に示される中エリアMA3における投影面小エリアの配置順位に従って、オブジェクトO11,O12,O13をそれぞれ、投影面小エリアVA33,VA32,VA31に再配置する。同様に、例えば、オブジェクトO14,O15に対して、オブジェクトO14,オブジェクトO15の順により高い優先度が設定されている場合には、オブジェクト表示位置決定部18は、図16(a)に示される中エリアMA4における投影面小エリアの配置順位に従って、オブジェクトO14,O15をそれぞれ、投影面小エリアVA35,VA34に再配置する。
図17は、オブジェクト表示位置決定部18により投影面2次元座標系において配置及び再配置されたオブジェクトの例を示す図である。また、図17には、表示制御部19により設定された表示範囲枠Fも示されている。表示制御部19は、オブジェクト表示位置決定部18によりオブジェクトが配置された投影面小エリアに関する情報に基づき、オブジェクトの表示画面における表示位置の制御を実施する部分である。具体的には、表示制御部19は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向に関する情報、撮影部13から取得されたズーム情報及び画角に基づき、投影面2次元座標系における表示範囲を算出し、表示範囲枠Fを設定する。
図17に示すように、オブジェクトO41,O42,O43,O44はそれぞれ、投影面小エリアVA41,VA42,VA43,VA44に配置されている。各オブジェクトは、バルーン型のグラフィックオブジェクトとして表わされており、バルーン部分には当該オブジェクトまでの距離を表す情報データ(図3参照)が表示されている。また、本実施形態では、バルーン型のオブジェクトの吹き出し元の部分は、当該オブジェクトの実空間における位置が、投影面2次元座標系が属する投影面PP(図6参照)に透視投影された際の投影位置に対応付けられている。オブジェクトO41,O42の吹き出し元の部分は共に、投影面小エリアVA45に属する位置に対応付けられている。また、オブジェクトO43,O44の吹き出し元の部分は共に、投影面小エリアVA46に属する位置に対応付けられている。
図18は、図17に例示されるようにオブジェクトが投影面2次元座標系に配置された場合における、表示部20における表示画面の例である。図18に示されるように、オブジェクトO41,O42はそれぞれ、池手前及び池奥に対応付けられながら表示されている。また、オブジェクトO43,O44はそれぞれ、バンカー手前及びバンカー奥に対応付けられながら表示されている。そして、各オブジェクトは、現在位置から見たグリーン方向の視界を遮らないように配置されている。
図19は、オブジェクト表示位置決定部18により投影面2次元座標系において配置及び再配置されたオブジェクトの他の例を示す図である。オブジェクト表示位置決定部18は、実空間における一の対象物に関する複数のオブジェクトであって、一の対象物におけるオブジェクト表示装置1の視点位置が存在する側の一端部に関する情報を示すオブジェクト、及び一の対象物における当該一端部と反対側の他端部に関する情報を示すオブジェクトの表示位置を決定する場合に、一端部に関する情報を示すオブジェクト及び他端部に関する情報を示すオブジェクトをそれぞれ、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸の下方及び上方の象限に位置する投影面小エリアVAに配置する。以下、具体的に説明する。
図19では、投影面2次元座標系における水平方向の座標軸であるW軸は、特定目標物Tを通るように設定されている。また、オブジェクトO51,O52はそれぞれ、池手前及び池奥を表すオブジェクトであり、オブジェクトO53,O54はそれぞれ、バンカー手前及びバンカー奥を表すオブジェクトである。即ち、オブジェクトO51は、実空間における対象物である池における、オブジェクト表示装置1の視点位置が存在する側の一端部に関する情報を示すオブジェクトであり、オブジェクトO52は、池における、池手前の反対側の他端部に関する情報を示すオブジェクトである。同様に、オブジェクトO53は、実空間における対象物であるバンカーにおける、オブジェクト表示装置1の視点位置が存在する側の一端部に関する情報を示すオブジェクトであり、オブジェクトO54は、バンカーにおける、バンカー手前の反対側の他端部に関する情報を示すオブジェクトである。
かかる場合には、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO51をW軸の下方の象限に属する投影面小エリアVA51に配置し、オブジェクトO52をW軸の上方の象限に属する投影面小エリアVA52に配置する。同様に、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトO53をW軸の下方の象限に属する投影面小エリアVA53に配置し、オブジェクトO54をW軸の上方の象限に属する投影面小エリアVA54に配置する。これにより、所定の対象物の一端部及び他端部に関する情報を示す2つのオブジェクトを、互いの関連性及びその対象物における位置関係をユーザに認識させながら表示させることが可能となる。なお、W軸を、特定目標物Tと現在位置CPとの中点等を通るように投影面2次元座標系を構成することとしてもよい。
表示部20は、表示制御部19に制御に基づき、撮影部13により取得された実空間の映像にオブジェクトを重畳表示する部分であり、例えばディスプレイといった装置により構成される。
続いて、図20を参照して、本実施形態のオブジェクト表示方法におけるオブジェクト表示装置1の動作について説明する。図20は、オブジェクト表示装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
まず、位置情報取得部11は、オブジェクト表示装置1の現在位置を取得する。また、方位取得部12は、撮影部13の撮影方向を取得する。さらに、撮影部13は、ズーム情報及び画角情報を取得する(S1、位置情報取得ステップ、方位情報取得ステップ)。次に、水平面2次元座標系設定部14は、オブジェクト表示装置1の現在位置と実空間における特定目標物Tの位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置1の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する(S2、水平面2次元座標系設定ステップ)。そして、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクト情報に基づき、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系にオブジェクト基準位置情報をプロット・配置する(S3、オブジェクト基準位置配置ステップ)。
続いて、投影面2次元座標系設定部16は、投影面PPを設定し、投影面PP上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する(S4、投影面2次元座標系設定ステップ)。次に、投影面2次元座標系分割部17は、投影面2次元座標系設定部16により設定された投影面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に投影面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである投影面小エリアVAに分割する(S5、投影面2次元座標系分割ステップ)。そして、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクト基準位置配置部15により水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置情報を、水平面2次元座標系における当該オブジェクト基準位置情報の配置位置に対応する投影面小エリアVAに配置する(S6、オブジェクト表示位置決定ステップ)。ここで、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトが配置された投影面小エリアVAの座標値をオブジェクト情報記憶部10の「表示位置」のフィールドに記憶させることとしてもよい。
さらに、オブジェクト表示位置決定部18は、ステップS6においてオブジェクトが配置された投影面小エリアVAがオブジェクトの表示を禁止する領域である表示禁止領域に該当する等所定の場合には、当該オブジェクトを表示禁止領域に該当しない投影面小エリアVAに再配置する(S7、オブジェクト表示位置決定ステップ)。ここで、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトが再配置された投影面小エリアVAの座標値をオブジェクト情報記憶部10の「表示位置」のフィールドに記憶させることとしてもよい。
次に、表示制御部19は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向に関する情報、撮影部13から取得されたズーム情報及び画角に基づき、投影面2次元座標系における表示範囲を算出し、表示範囲枠Fを設定する(S8、表示制御ステップ)。続いて、表示制御部19は、設定された表示範囲にオブジェクトが含まれるか否かを判定する(S9、表示制御ステップ)。ここで、表示制御部19は、一のオブジェクトが表示範囲に含まれる場合には、オブジェクト情報記憶部10における当該オブジェクトのレコードにおいて、「表示要否属性」のフィールドに「1」を設定する。また、表示制御部19は、一のオブジェクトが表示範囲に含まれない場合には、オブジェクト情報記憶部10における当該オブジェクトのレコードにおいて、「表示要否属性」のフィールドに「0」を設定する。
ステップS9において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定された場合には、表示制御部19は、表示範囲に含まれるオブジェクトを実空間の映像に重畳して、表示部20に表示させる(S10、表示制御ステップ)。一方、ステップS9において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定されなかった場合には、表示制御部19は、オブジェクトの表示を実施しない(S11、表示制御ステップ)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
以上説明した第1実施形態のオブジェクト表示装置1及びオブジェクト表示方法では、オブジェクト情報に基づきオブジェクトの基準位置情報が水平面2次元座標系に配置され、更に水平面2次元座標系における基準位置情報の配置位置に基づき対応する投影面小エリアにオブジェクトが配置される。そして、オブジェクトが配置された投影面小エリアに基づき、オブジェクトの表示位置が決定される。ここで、オブジェクトが配置された投影面小エリアが表示禁止領域である場合には、当該オブジェクトは表示禁止領域に該当しない投影面小エリアに再配置されるので、例えば、他のオブジェクトが配置された投影面小エリアを表示禁止領域に設定することにより、オブジェクト同士が重なって表示されることが回避される。従って、実空間の映像に重畳表示させるオブジェクトの量が多い場合であっても、画面の煩雑化が抑制される。また、オブジェクトは、撮影手段により取得された実空間の映像における実際の所在位置が属する投影面小エリアに配置されることとなる。これにより、実空間における位置と密接に関連付けられた、オブジェクトの表示による情報の提供が可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るオブジェクト表示装置1について説明する。図21は、第2実施形態に係るオブジェクト表示装置1の機能的構成を示すブロック図である。図21に示すように、第2実施形態におけるオブジェクト表示装置1は、水平面2次元座標系分割部21(水平面2次元座標系分割手段)を備える点において、第1実施形態のオブジェクト表示装置1と相違する。また、第2実施形態におけるオブジェクト基準位置配置部15、オブジェクト表示位置決定部18は、第1実施形態におけるそれらの機能部が有する機能と相違する機能を有する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
水平面2次元座標系分割部21は、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系における各象限を、所定の大きさを有すると共に、水平面2次元座標系における所定の座標値を有する小エリアである水平面小エリアHAに分割する部分である。図22、図23を参照して、水平面2次元座標系分割部21による水平面2次元座標系の分割処理を説明する。
図22(a)は、ゴルフコース及びゴルフコースにおけるオブジェクトの位置を模式的に表した図である。図22(b)は、水平面2次元座標系及び水平面2次元座標系を分割して生成された水平面小エリアHAを示す図である。また、図23(a)は、オブジェクト情報記憶部10の構成及び記憶されているデータの例を示す図であり、その内容は、図3において示したものと同様である。図22(a)に示されるオブジェクトのオブジェクト基準位置情報O2〜O5はそれぞれ、図23(a)におけるコース情報ID「ID2」〜「ID5」に相当する。
図22(b)に示すように、水平面2次元座標系分割部21は、図4(b)に示されるような水平面2次元座標系が設定された後に、水平面2次元座標系における各象限を水平面小エリアHAに分割する。図22(b)に示す例では、水平面面2次元座標系における各象限は、正方形の水平面小エリアHAに分割されている。また、水平面小エリアHAは、X軸及びY軸の座標値を有する。
オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクト情報に基づき、オブジェクト基準位置情報を当該オブジェクト基準位置情報に示される位置に対応する水平面小エリアHAに配置する。具体的には、オブジェクト基準位置配置部15は、図22(b)に示すように、オブジェクト基準位置情報O2〜O5をそれぞれ、オブジェクト情報記憶部10に記憶されている各オブジェクトの位置情報(図23(a)参照)に基づき、当該位置情報に示される位置が属する水平面小エリアHA2〜HA5に配置する。ここで、オブジェクト基準位置配置部15は、図23(b)に示されるように、オブジェクトが配置された水平面小エリアHAの座標値をオブジェクト情報記憶部10の「配置位置」のフィールドに記憶させることとしてもよい。
また、オブジェクト基準位置配置部15は、水平面2次元座標系において、配置禁止領域を設定することができる。図24(a)は、水平面2次元座標系において設定された配置禁止領域の例、及びオブジェクト基準位置情報の再配置の例を示す図である。オブジェクト基準位置配置部15は、図24(a)に示すように、例えば、水平面2次元座標系における基準軸の1つであるY軸から予め設定された所定の距離以内に位置する水平面小エリアHAYを配置禁止領域として設定することができる。また、オブジェクト基準位置配置部15は、X軸から予め設定された所定の距離以内に位置する水平面小エリアを配置禁止領域として設定してもよい。
また、オブジェクト基準位置配置部15は、投影面2次元座標系における表示禁止領域に該当する投影面小エリアに対応付けられた水平面小エリアを、配置禁止領域として設定することとしてもよい。水平面小エリアと投影面小エリアとの対応付けに関する情報は、後述するように、オブジェクト表示位置決定部18が予め有しているので、それを参照することができる。また、投影面2次元座標系における表示禁止領域の設定は、第1実施形態において説明したように、オブジェクト表示位置決定部18により実施される。
オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト基準位置情報が配置された水平面小エリアHAが配置禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクト基準位置情報を配置禁止領域に該当しない水平面小エリアHAに再配置する。具体的には、図24(a)に示すように、オブジェクト基準位置情報O2〜O5が配置禁止領域に該当する水平面小エリアHAYに配置されているので、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト基準位置情報O2〜O5をそれぞれ、水平面小エリアHA12,HA13,HA14,HA15に再配置する。
オブジェクト基準位置配置部15は、元の配置位置である水平面小エリアHAのX軸の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される水平面小エリアHAにオブジェクト基準位置情報を再配置させたり、元の配置位置である水平面小エリアHAのY軸の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される水平面小エリアHAにオブジェクト基準位置情報を再配置させたりすることができる。また、なお、本実施形態では、各座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される水平面小エリアHAにオブジェクトを再配置することとしているが、これに限られない。座標値の絶対値を減少させた座標値により示される水平面小エリアHAに再配置することとしてもよいし、座標値の絶対値における増加幅または減少幅は、1以外の値であってもよい。
また、オブジェクト基準位置配置部15は、一の水平面小エリアHAに複数のオブジェクト基準位置情報が配置される場合に、オブジェクトに予め設定された優先度に基づき、複数のオブジェクト基準位置情報のうちの一のオブジェクト基準位置情報を当該一の水平面小エリアHAに配置すると共に、一のオブジェクト基準位置情報以外の他のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアHAに隣接する水平面小エリアHAに再配置することができる。これにより、オブジェクトの優先度に基づき、一の水平面小エリアごとに一のオブジェクト基準位置情報を配置させることとなり、かかるオブジェクト基準位置情報の配置に基づき、投影面2次元座標系におけるオブジェクトの表示位置が決定されるので、オブジェクト同士の重畳表示が防止され、表示面の視認性の向上が可能となる。
さらに、オブジェクト基準位置配置部15は、一の水平面小エリアHAに複数のオブジェクト基準位置情報が配置される場合に、水平面2次元座標系におけるX軸またはY軸のいずれか次元軸からオブジェクト基準位置情報の位置までの距離に基づきオブジェクトの優先度を設定し、設定された優先度に基づき、複数のオブジェクト基準位置情報のうちの一のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアHAに配置すると共に、他のオブジェクト基準位置情報を一の水平面小エリアHAに隣接する他の水平面小エリアHAに再配置することができる。この場合においても、一の水平面小エリアごとに一のオブジェクト基準位置情報を配置させることとなり、かかるオブジェクト基準位置情報の配置に基づき、投影面2次元座標系におけるオブジェクトの表示位置が決定されるので、オブジェクト同士の重畳表示が防止され、表示面の視認性の向上が可能となる。
ここで、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト表示装置1の現在位置を通り、現在位置と実空間における特定目標物Tの位置とを結ぶ直線と直交する直線により水平面2次元座標系を分割して得られる各領域のうち、特定目標物が存在する領域に位置するオブジェクトのみを対象としてオブジェクトの基準位置の配置処理を実施することとしてもよい。この場合には、表示対象とされる蓋然性が高いオブジェクトのみが処理対象とされ、それ以外のオブジェクトに関する配置処理が実施されないので、処理負担の軽減が可能となる。
オブジェクト表示位置決定部18は、予め設定された水平面小エリアHAと投影面小エリアVAとの対応付けに基づき、オブジェクト基準位置配置部15により水平面小エリアHAに配置されたオブジェクト基準位置情報を、当該水平面小エリアに対応付けられた投影面小エリアVAに配置し、この配置に基づき当該オブジェクトの表示位置を決定する。図24(b)は、投影面2次元座標系における投影面小エリアに配置されたオブジェクトの例を示す図である。
オブジェクト表示位置決定部18は、水平面小エリアHAと投影面小エリアVAとの対応付けに関する情報を予め有している。例えば、本実施形態のように、水平面2次元座標系における座標値(X,Y)を、そのまま投影面2次元座標系における座標値(W,Z)に対応付けることができるが、このような対応付けに限定されない。図24(a),(b)に示すように、オブジェクト表示位置決定部18は、水平面小エリアHA12に配置されたオブジェクト基準位置情報O2を投影面小エリアVAH12に配置し、水平面小エリアHA13に配置されたオブジェクト基準位置情報O3を投影面小エリアVAH13に配置し、水平面小エリアHA14に配置されたオブジェクト基準位置情報O4を投影面小エリアVAH14に配置し、水平面小エリアHA15に配置されたオブジェクト基準位置情報O5を投影面小エリアVAH15に配置する。これらの配置処理により、オブジェクトOb2,Ob3,Ob4,Ob5の表示位置が決定される。
なお、図24(b)では、各オブジェクトOb2〜Ob5は、バルーン型のグラフィックオブジェクトとして表わされており、バルーン部分には当該オブジェクトまでの距離を表す情報データ(図23(a)参照)が表示されている。また、バルーン型のオブジェクトの吹き出し元の部分は、当該オブジェクトの実空間における位置が、投影面2次元座標系が属する投影面PP(図6参照)に透視投影された際の投影位置に対応付けられている。
図25は、配置禁止領域の設定、及びオブジェクトの再配置の他の例を示す図である。オブジェクト基準位置配置部15は、図25に示すように、例えば、Y軸から予め設定された所定の距離以内に位置する水平面小エリアHAYを配置禁止領域として設定すると共に、特定目標物Tが属する水平面小エリアHAの左右水平方向に位置する水平面小エリアHAXを配置禁止領域として設定することができる。
この場合には、オブジェクト基準位置情報O3を元の配置位置である水平面小エリアHAのX軸の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される水平面小エリアHAにオブジェクトに再配置させても、再配置先の水平面小エリアHAが配置禁止領域に属しているので、オブジェクト基準位置配置部15は、更に、水平面小エリアHAのY軸の座標値の絶対値を1増加させた座標値により示される水平面小エリアHAにオブジェクト基準位置情報O3を再配置する。即ち、オブジェクト基準位置情報O3は、水平面小エリアHA23に再配置される。
次に、図26を参照して、第2実施形態に係るオブジェクト表示装置1における処理内容を説明する。図26は、オブジェクト表示装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
まず、位置情報取得部11は、オブジェクト表示装置1の現在位置を取得する。また、方位取得部12は、撮影部13の撮影方向を取得する。さらに、撮影部13は、ズーム情報及び画角情報を取得する(S21)。次に、水平面2次元座標系設定部14は、オブジェクト表示装置1の現在位置と実空間における特定目標物Tの位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置1の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する(S22)。
続いて、水平面2次元座標系分割部21は、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系における各象限を、水平面小エリアHAに分割する(S23)。
続いて、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクト情報に基づき、オブジェクト基準位置情報を当該オブジェクト基準位置情報に示される位置が属する水平面小エリアHAに配置する(S24)。ここで、オブジェクト基準位置配置部15は、図23(b)に示すように、オブジェクト基準位置情報が配置された水平面小エリアHAの座標値をオブジェクト情報記憶部10の「配置位置」のフィールドに記憶させることとしてもよい。また、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト基準位置情報が配置された水平面小エリアHAが配置禁止領域に該当する場合には、当該オブジェクト基準位置情報を配置禁止領域に該当しない水平面小エリアHAに再配置する(S24)。
続いて、投影面2次元座標系設定部16は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向の水平方向成分に直交する面を投影面PPとして設定し、投影面PP上における水平方向及び垂直方向を座標軸とする投影面2次元座標系を設定する(S25)。次に、投影面2次元座標系分割部17は、投影面2次元座標系設定部16により設定された投影面2次元座標系における各象限を、投影面小エリアVAに分割する(S26)。そして、オブジェクト表示位置決定部18は、予め設定された水平面小エリアHAと投影面小エリアVAとの対応付けに基づき、オブジェクト基準位置配置部15により水平面小エリアHAに配置されたオブジェクト基準位置情報を、当該水平面小エリアに対応付けられた投影面小エリアVAに配置する(S27)。ここで、オブジェクト表示位置決定部18は、図23(c)に示すように、オブジェクト基準位置情報が配置された投影面小エリアVAの座標値をオブジェクト情報記憶部10の「表示位置」のフィールドに記憶させることとしてもよい。
次に、表示制御部19は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向に関する情報、撮影部13から取得されたズーム情報及び画角情報に基づき、投影面2次元座標系における表示範囲を算出し、表示範囲枠Fを設定する(S28)。続いて、表示制御部19は、設定された表示範囲にオブジェクトが含まれるか否かを判定する(S29)。ここで、表示制御部19は、図23(d)に示すように、一のオブジェクトが表示範囲に含まれる場合には、オブジェクト情報記憶部10における当該オブジェクトのレコードにおいて、「表示要否属性」のフィールドに「1」を設定する。また、表示制御部19は、一のオブジェクトが表示範囲に含まれない場合には、オブジェクト情報記憶部10における当該オブジェクトのレコードにおいて、「表示要否属性」のフィールドに「0」を設定する。
ステップS29において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定された場合には、表示制御部19は、表示範囲に含まれるオブジェクトを実空間の映像に重畳して、表示部20に表示させる(S30)。一方、ステップS29において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定されなかった場合には、表示制御部19は、オブジェクトの表示を実施しない(S31)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
以上説明した第2実施形態のオブジェクト表示装置1及びオブジェクト表示方法では、オブジェクトは、位置情報に基づき水平面2次元座標系における水平面小エリアに配置され、更に水平面小エリアに対応する投影面小エリアに配置される。そして、オブジェクトが配置された投影面小エリアに基づき、オブジェクトの表示位置が決定される。これにより、オブジェクトは、水平面における位置関係が反映された投影面小エリアに配置されることとなる。従って、表示画面において、オブジェクトが対応付けられた位置の直感的な認識が容易となる。また、水平面における空間的な広がりが投影面及び表示面に反映されるので、表示面においてオブジェクトが密集されずに適度な広がりをもって配置される蓋然性が高い。従って、実空間の映像に重畳表示するオブジェクトの量が多い場合であっても、画面の煩雑化を抑制することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るオブジェクト表示装置1について説明する。第3実施形態では、投影面2次元座標系設定部16による投影面2次元座標系の設定の方式、及びオブジェクト表示位置決定部18によるオブジェクトの表示位置の決定の方式が第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図27は、第3実施形態における投影面2次元座標系の設定処理を説明するための図である。投影面2次元座標系設定部16は、図27(a)に示すように、仮想グリッドVGを設定し、設定された仮想グリッドVG上に投影面円柱座標系を、本発明の投影面2次元座標系として設定する。即ち、仮想グリッドVGは、実空間上において、オブジェクト表示装置1の現在位置CPを中心として所定の半径を有する円筒の内側面上に仮想的に設けられる。この仮想的な円筒の軸心方向は、例えば、鉛直方向に沿うものとすることができるが、これに限定されず、設定により任意の方向とすることができる。そして、投影面2次元座標系設定部16は、仮想的な円筒の内側面上の2方向(例えば、水平方向及び垂直方向)を座標軸として投影面円柱座標系を設定する。また、仮想グリッドVGとY軸との交点は、仮想グリッドVGの中心として、特定目標物Tの投影点に重畳される。なお、本実施形態では、仮想グリッドVGとY軸との交点は、特定目標物Tの投影点に重畳されることとしたが、任意の方向及び位置を設定により重畳させることができる。
更に、図27(a),(b)に示すように、投影面2次元座標系分割部17は、仮想グリッドVG上に設定された投影面円柱座標系を、投影面小エリアに分割する。また、オブジェクト表示位置決定部18は、水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置が投影面円柱座標系において透視投影される位置に、オブジェクトOb11〜Ob16を配置する。さらに、表示制御部19は、撮影部13の撮影方向、ズーム情報及び画角情報に基づき表示範囲枠Fを設定し、設定された表示範囲枠Fに基づきオブジェクトの実空間映像に対する重畳表示を表示部20に実施させる。
次に、図28を参照して、投影面円柱座標系の設定からオブジェクトの重畳表示に至る処理内容を説明する。図28(a)は、仮想グリッドVG上に設定された投影面円柱座標系を展開した状態を示す図である。投影面円柱座標系における円柱座標は、X,Y,Z,r,θのパラメータで表現される。ここで、rは、仮想グリッドVGの設定時における円柱の半径である。また、θは、方位取得部により取得される撮影方向に関する情報に基づき設定される。オブジェクト表示装置1における処理過程では、オブジェクト表示装置1の現在位置CPの周囲360度にわたって設定された仮想グリッドVGはXZ平面として取り扱われる。なお、本実施形態では、このXZ平面は地面(水平面)に対して直交するものとして例示するが、これに限定されない。また、仮想グリッドVG及び投影面2次元座標系の設定に先立って設定された水平面2次元座標系は、本実施形態では、水平面に平行であるものとして示しているが、これに限定されない。
図28(a)に示すように、オブジェクト表示位置決定部18は、水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置が投影面円柱座標系において透視投影される位置に、オブジェクトOb11〜Ob16を配置する。なお、図27〜29では、投影面2次元座標系配置されたオブジェクトOb11〜Ob16を便宜的に黒丸で表すこととする。
図28(b)は、所定のルールに従って投影面円柱座標系において再配置されたオブジェクトを示す図である。即ち、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクトOb11〜Ob16を、所定のルールに従ってオブジェクトOb21〜Ob26に示されるように再配置する。なお、図28(b)〜(d)では、再配置されたオブジェクトOb21〜Ob26を、例えば、バルーン型のグラフィックオブジェクトとして表すこととする。
図28(c)は、表示範囲枠の設定の一例を示す図である。即ち、表示制御部19は、撮影部13の撮影方向、ズーム情報及び画角情報に基づき表示範囲枠F1を設定する。そして、表示部20は、設定された表示範囲枠F1に基づき、オブジェクトを実空間の映像に重畳して表示する。図28(c)に示す場合には、表示部20は、オブジェクトOb21〜Ob26を実空間の映像に重畳して表示する。
図28(d)は、表示範囲枠の設定の他の例を示す図である。即ち、表示制御部19は、撮影部13の撮影方向、ズーム情報及び画角情報に基づき表示範囲枠F2を設定する。そして、表示部20は、設定された表示範囲枠F2に基づき、オブジェクトを実空間の映像に重畳して表示する。図28(d)に示す場合には、表示部20は、オブジェクトOb21〜Ob23を実空間の映像に重畳して表示する。
図29は、投影面円柱座標系におけるオブジェクトの再配置を説明するための図である。図29(a)に示すように、まず、オブジェクトOb11〜Ob16は、水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置が投影面2次元座標系において透視投影される位置に配置される。そして、図29(b)に示すように、オブジェクトOb11〜Ob16はそれぞれ、所定のルールに従ってオブジェクトOb21〜Ob26に示されるように再配置される。即ち、オブジェクト表示位置決定部18は、特定目標物Tを中心として、各オブジェクトOb11〜Ob16の配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る投影面小エリアのうち、他のオブジェクトが配置されておらず、且つ当該オブジェクトの元の配置位置に最も近い投影面小エリアに各オブジェクトを再配置する。なお、本実施形態では、ゴルフコースにおけるグリーンを特定目標物Tに設定しているが、これには限定されない。例えば、任意の地点を特定目標物Tに設定することが可能である。また、オブジェクトの再配置は、予め設定されたオブジェクトの優先順位に従って実施される。図29は、オブジェクトOb11,O12,O13,O14,O15,O16の順により高い優先度が設定されている場合の例を示している。
所定の再配置ルールに従うと、オブジェクトOb14及びオブジェクトOb15が再配置される投影面小エリアが競合することとなるが、オブジェクトOb14には、オブジェクトOb15より高い優先度が設定されているので、オブジェクトOb14は、オブジェクトOb24に示されるように優先的に再配置され、オブジェクトOb15は、オブジェクトOb25に示されるように、オブジェクトOb24が再配置された投影面小エリアの上方に隣接する投影面小エリアに再配置される。オブジェクトの再配置位置が競合した場合において、更にオブジェクトの再配置を実施するためのルールには、第1実施形態において説明した種々のルールを採用することができる。
また、図29を参照して説明した投影面円柱座標系におけるオブジェクトの再配置ルールは、第2実施形態における、水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置の再配置に適用可能である。即ち、オブジェクト基準位置配置部15は、水平面2次元座標系において、特定目標物Tを中心として、オブジェクト基準位置の配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る水平面小エリアのうち、他のオブジェクト基準位置が配置されておらず、且つ当該オブジェクト基準位置の元の配置位置に最も近い水平面小エリアにオブジェクト基準位置を再配置することができる。
さらに、図29を参照して説明した投影面円柱座標系におけるオブジェクトの再配置ルールは、第1〜第2実施形態における、投影面2次元座標系に配置されたオブジェクトの再配置に適用可能である。即ち、オブジェクト表示位置決定部18は、投影面2次元座標系において、特定目標物Tを中心とし、この中心位置からオブジェクトの配置位置を通る直線を設定し、この直線が通る投影面小エリアのうち、他のオブジェクトが配置されておらず、且つ当該オブジェクトが配置されていた元の投影面小エリアに最も近い投影面小エリアにオブジェクトを再配置することができる。
続いて、図30を参照して、第3実施形態におけるオブジェクト表示装置1の動作について説明する。図30は、オブジェクト表示装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
まず、位置情報取得部11は、オブジェクト表示装置1の現在位置を取得する。また、方位取得部12は、撮影部13の撮影方向を取得する。さらに、撮影部13は、ズーム情報及び画角情報を取得する(S41)。次に、水平面2次元座標系設定部14は、オブジェクト表示装置1の現在位置と実空間における特定目標物Tの位置とを結ぶ直線を基準軸の一つとして含み、オブジェクト表示装置1の現在位置を原点とする水平面2次元座標系を設定する(S42)。そして、オブジェクト基準位置配置部15は、オブジェクト情報記憶部10に記憶されているオブジェクト情報に基づき、水平面2次元座標系設定部14により設定された水平面2次元座標系にオブジェクト基準位置情報をプロット・配置する(S43)。
続いて、投影面2次元座標系設定部16は、仮想グリッドVGを設定し、仮想グリッドVG上に投影面2次元座標系を設定する(S44)。次に、投影面2次元座標系分割部17は、投影面2次元座標系設定部16により設定された投影面2次元座標系における各象限を、投影面小エリアに分割する(S45)。そして、オブジェクト表示位置決定部18は、オブジェクト基準位置配置部15により水平面2次元座標系に配置されたオブジェクト基準位置情報を、水平面2次元座標系における当該オブジェクト基準位置情報の配置位置に対応する投影面小エリアに配置し、さらに、上述した第3実施形態における所定の再配置ルールに従って、オブジェクトを再配置する(S46)。
次に、表示制御部19は、方位取得部12により取得された撮影部13の撮影方向に関する情報、ズーム情報及び画角に関する情報に基づき、投影面2次元座標系における表示範囲を算出し、表示範囲枠Fを設定する(S47)。続いて、表示制御部19は、設定された表示範囲にオブジェクトが含まれるか否かを判定する(S48)。
ステップS48において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定された場合には、表示制御部19は、表示範囲に含まれるオブジェクトを実空間の映像に重畳して、表示部20に表示させる(S49)。一方、ステップS48において表示範囲にオブジェクトが含まれると判定されなかった場合には、表示制御部19は、オブジェクトの表示を実施しない(S50)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、本実施形態では各機能部10〜21はオブジェクト表示装置1に一体に構成されることとしているが、これらの各機能部10〜21が互いに通信可能な複数の装置に分散して構成されることとしてもよい。
また、本実施形態では、ゴルフコースにおける種々の情報をユーザに提供するための装置をオブジェクト表示装置1の一例として示しているが、これには限定されない。例えば、本発明のオブジェクト表示装置を、カーナビゲーション装置に適用することも可能である。