JP4921897B2 - 磁気センサー - Google Patents

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Description

本発明は高密度磁気記録における読み出し用磁気ヘッドなどに応用される磁気センサーに関する。
巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を利用したGMRヘッドの登場以来、磁気記録の記録密度は、年率100%で向上している。GMR素子は、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層のサンドイッチ構造の積層膜からなる。GMR素子は、一方の強磁性層に交換バイアスを及ぼして磁化を固定し、他方の強磁性層の磁化方向を外部磁界により変化させ、2つの強磁性層の磁化方向の相対角度の変化を抵抗値の変化として検出する、いわゆるスピンバルブ膜の磁気抵抗効果を利用した素子である。スピンバルブ膜の膜面に電流を流し、抵抗変化を検出するCIP−GMR素子と、スピンバルブ膜の膜面に垂直に電流を流し抵抗変化を検出するCPP−GMR素子が開発されている。その磁気抵抗比(MR比)はCIP−GMR素子、CPP−GMR素子とも数%程度であり、200Gbit/inch2程度の記録密度まで対応可能であろうと考えられている。
より高密度な磁気記録に対応するため、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を利用したTMR素子の開発が進められている。TMR素子は強磁性層/非磁性絶縁層/強磁性層の積層膜からなり、強磁性層間に電圧を印加しトンネル電流を流す。TMR素子は、トンネル電流の大きさが上下の強磁性層の磁化の向きによって変化することを利用し、磁化の相対的角度の変化をトンネル抵抗値の変化として検出する。TMR素子では、最大で50%程度のMR比が得られている。TMR素子は、GMR素子よりもMR比が大きいため、信号電圧も大きくなる。しかし、純粋な信号成分だけでなく、ショットノイズによる雑音成分も大きくなり、S/N比(信号対雑音比)がよくならないという問題を抱えている。ショットノイズは、電子がトンネル障壁を不規則に通過することによって発生する電流の揺らぎに起因しており、トンネル抵抗の平方根に比例して増大する。従ってショットノイズを抑え、必要な信号電圧を得るには、トンネル絶縁層を薄くし、トンネル抵抗を低抵抗化する必要がある。記録密度が高密度化するほど素子サイズは記録ビットと同程度のサイズに小さくする必要があるため、高密度になるほどトンネル絶縁層の接合抵抗を小さく、つまり絶縁層を薄くする必要がある。300Gbit/inch2の記録密度では1Ω・cm2以下の接合抵抗が必要とされ、Al−O(アルミニウム酸化膜)トンネル絶縁層の膜厚に換算して原子2層分の厚さのトンネル絶縁層を形成しなければならない。トンネル絶縁層を薄くするほど上下電極間の短絡が生じやすくMR比の低下を招くため、素子の作製は飛躍的に困難になっていく。以上の理由によってTMR素子を用いた場合の記録密度の限界は300Gbit/inch2程度であろうと見積もられている。
上に述べた素子はいずれも広い意味での磁気抵抗効果を利用しているが、これらの素子に共通した磁気的白色雑音(ホワイトノイズ)の問題が近年急浮上している(非特許文献1)。この雑音は上に述べたショットノイズなどの電気的ノイズとは異なり、微小磁化の熱ゆらぎに起因して生じるため素子の微細化に伴いより支配的となり、200〜300Gbpsi対応の素子では電気的雑音よりも顕著になると考えられている。磁気的白色雑音を回避し、磁気記録の記録密度をさらに高めるためには従来の素子とは異なった原理により動作する微小磁気センサーの開発が必要となっている。
Appl. Phys. Lett., Vol. 78, No. 10 (2001) pp. 1448-1450.
本発明の目的は、磁気的白色雑音を低減して高密度磁気記録を実現できる磁気センサーを提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気センサーは、磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化フリー層とを含む磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の磁化フリー層に磁気共鳴を誘起するマイクロ波発振素子と、前記磁気抵抗効果素子のマイクロ波出力を検波するダイオードとを具備することを特徴とする。
本発明によれば、磁気的白色雑音を低減して高密度磁気記録を実現できる磁気センサーを提供できる。
以下、本発明を実施形態について説明する。
最初に、図1、図2および図3を参照して、本発明の実施形態に係る磁気センサーの基本的な構成について説明する。
図1の磁気センサーは、マイクロ波発振素子としての高周波電流源1と、磁気抵抗効果素子20とを並列接続し、磁気抵抗効果素子20の出力端にマイクロ波検波器30を接続したものである。
図2の磁気センサーは、マイクロ波発振素子としての高周波電圧源2および抵抗3を含む直列回路と、磁気抵抗効果素子20とを並列接続し、磁気抵抗効果素子20の出力端にマイクロ波検波器30を接続したものである。
図3の磁気センサーは、マイクロ波発振素子としての高周波電圧源2および磁気抵抗効果素子20を含む直列回路と、抵抗3とを並列接続し、磁気抵抗効果素子20の出力端にマイクロ波検波器30を接続したものである。
いずれの磁気センサーでも、マイクロ波発振素子により磁気抵抗効果素子20の磁化フリー層に磁気共鳴を誘起し、外部磁場の印加による磁気共鳴の共鳴スペクトルの周波数変化または振幅変化に基づいて外部磁場を検出する。
本発明の実施形態に係る磁気センサーにおいて、磁場感知素子として磁気抵抗効果素子20は、磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化フリー層とを含む。磁気抵抗効果素子20は、非磁性中間層が非磁性金属層であるCPP−MR素子でもよいし、非磁性中間層が非磁性絶縁層であるTMR素子でもよい。
本発明の実施形態に係る磁気センサーにおいて、マイクロ波発振素子としては、半導体発振素子、磁気抵抗効果素子、磁性発振素子などが用いられる。マイクロ波発振素子として磁気抵抗効果素子を用いる場合、この磁気抵抗効果素子は発振しやすいように設計され、磁場感知素子としての磁気抵抗効果素子20は磁場を検知しやすいように設計される。磁性発振素子とは、スピントンスファートルクによって磁性体の磁化に歳差運動を誘起する素子である。
本発明の実施形態に係る磁気センサーにおいて、マイクロ波検波器30としては、ショットキーダイオードなどが用いられる。
図4に、マイクロ波発振素子として磁気抵抗効果素子を用いた、本発明の実施形態に係る磁気センサーの構成図を示す。図4の磁気センサーは、マイクロ波発振素子としての第1の磁気抵抗効果素子(CPP−MR素子)10およびキャパシタ4を含む直列回路と、磁場感知素子としての第2の磁気抵抗効果素子(CPP−MR素子)20とを並列接続し、第2のCPP−MR素子20の出力端にマイクロ波検波器30を接続したものである。マイクロ波発振素子としての第1のCPP−MR素子10は、磁化フリー層11、非磁性金属層12、磁化固定層13を積層した構造を有する。磁場感知素子としての第2のCPP−MR素子20は、磁化フリー層21、非磁性金属層22、磁化固定層23を積層した構造を有する。
以下、図4に示した磁気センサーの動作原理を説明する。第1のCPP−MR素子10に電流Iを流すと素子の両端にフリー層磁化の熱ゆらぎに起因する雑音電圧が発生する。その実効値Vmagは(1)式のように表すことができる。
Figure 0004921897
ここでRは素子抵抗、ΔR/Rは磁気抵抗効果比(MR比)であり、S<mt>はフリー層磁化の熱ゆらぎのパワースペクトルである。S<mt>はフリー層の帯磁率の虚部χ"を用いて(2)式のように表される。
Figure 0004921897
ただしkはボルツマン定数、Tは温度、fresは(3)式で示されるフリー層磁化の共鳴周波数、MsおよびVはフリー層の飽和磁化および体積である。
Figure 0004921897
(3)式のHは外部磁場、Hbはフリー層の異方性磁場HKやフリー層に印加された交換磁場HEなどを含めたバイアス磁場である。
図5(a)に、(1)式の雑音電圧の周波数スペクトルを模式的に示す。雑音スペクトルは共鳴周波数fresにおいてピークを呈し、ピークの幅Δfはギルバートの減衰係数αを用いてΔf=2αfresと表される。本発明の実施形態に係る磁気センサーを読み出し用磁気ヘッドとして用いる場合には、上記のスペクトル線幅が読み出し周波数(例えば300MHz)に比べて十分狭いことが好ましい。そのためには、フリー層磁化の減衰係数αが十分小さいことが好ましい。近年、磁性体へのスピン注入効果を利用することによりαを0.001〜0.0001程度に低減することが可能となっている。この効果を利用すると、f=5GHzの場合2αfres=0.01〜0.001GHzとなるので、スペクトル線幅を読み出し周波数の1/30〜1/300程度にすることが可能となる。すなわち、雑音電圧の振幅の時間変化である図5(b)に示すように、読み出し時間(〜3ns)の間、発振電圧の振幅変動を1/30以下に抑制することができる。
(2)式から明らかなように、磁化ゆらぎは飽和磁化Msに逆比例するので、大きな出力電圧(電力)を得るためにはMsの小さいフリー層を用いることが好ましい。Msを小さくするには、フリー層として積層フェリ磁性体を用いることが有効であり、交換磁場を印加した積層フェリ磁性体を用いることも有効である。
図6(a)に積層フェリ磁性体を示す。この積層フェリ磁性体は、第1の強磁性層51、非磁性金属層(たとえばRu)52、および第2の強磁性層53の積層体からなる。第1の強磁性層51と第2の強磁性層53とでは、磁化の大きさが異なる。この積層フェリ磁性体では、実効的なMsを通常の磁性体の1/100程度にまで低減させることができ、極めて大きな磁化の熱ゆらぎを生じさせることができる。
しかし、(3)式からわかるように、Msを低減すると共鳴周波数が低下する。共鳴周波数の低下を防ぐには、強い交換磁場HEを利用することが有効である。
図6(b)に交換磁場を印加した積層フェリ磁性体を示す。この積層フェリ磁性体は、図6(a)に示した積層フェリ磁性体の第1の強磁性層51に、非磁性金属層(たとえばRu)54を介して反強磁性層55を積層したものである。この積層フェリ磁性体では、反強磁性層55を設けたことにより強い交換磁場を容易に印加することができる。なお、第1の強磁性層51に、直接、反強磁性層55を積層してもよい。
膜厚t、飽和磁化Msのフリー層に印加される交換磁場HEは界面エネルギーΔEを用いて(4)式のように表される。
Figure 0004921897
ΔEは通常0.01erg/cm2以下であるが、Msが小さいため、数nmのフリー層に数百〜数千Oeの交換磁場を容易に印加することが可能である。交換磁場を利用すると、ハード層によるバイアス磁場を用いずに磁区制御や発振周波数の制御を行うことができる。
図4において、第1のCPP−MR素子(マイクロ波発振素子)10で発生したマイクロ波電力は、第2のCPP−MR素子(磁場感知素子)20に注入され、第2のCPP−MR素子20にマイクロ波電流が流れる。図7(a)に示すように、第2のCPP−MR素子20は、磁化フリー層21、非磁性金属層22、磁化固定層23を積層した構造を有する。したがって、磁化固定層23でスピン偏極されたマイクロ波電流が磁化フリー層21へ流れる。図7(a)では、磁化固定層23と磁化フリー層21の磁化は互いに直交するように配置されている。最近の研究によると、スピン偏極した高周波電流はフリー層磁化に実効高周波磁場として作用するので、フリー層磁化の共鳴周波数と実効高周波磁場の周波数がほぼ一致した場合にはフリー層磁化に磁気共鳴を励起し、フリー層磁化は歳差運動を起こす。
実効高周波磁場hの大きさは高周波電流密度iに比例し、フリー層の厚さtおよび飽和磁化Msに反比例する。Ms=1000G、t=1nmの場合、高周波電流密度iが106A/cm2で|h|は数十Oeである。より小さな電流密度iで大きな高周波磁場を発生させるためにはフリー層として積層フェリ磁性体を用い磁化Msを減少させることが有効である。
図7(b)に示すように、磁化フリー層21の両面にそれぞれ非磁性金属層22、24を介して磁化固定層23、25を積層すると、hが増大することも知られている。
図8の挿入図に示した磁化の歳差運動の角度(歳差角)が数十度に達する大振幅の磁気共鳴を生じさせるために必要な高周波磁場の大きさは数十Oeと見積もられる。したがって、上記フリー層を用いた場合、106A/cm2程度の高周波電流で大振幅の磁気共鳴を励起することができる。
図8に、周波数と歳差角との関係を示す。図8に示したように、磁化フリー層のバイアス磁場方向に印加される外部磁場が(+)または(−)に変化すると、磁化フリー層の共鳴周波数が変化する。また、発振周波数における歳差角も変化する。ここで、(+)と(−)とは、たとえば磁気記録媒体に記録されたアップスピンまたはダウンスピンに相当する。
本発明の実施形態に係る磁気センサーを磁気ヘッドとして用いる場合、歳差角が読み出し周波数(例えば300MHz)に追随して容易に変化することが好ましい。歳差角が追随できる周波数の上限は共鳴スペクトル幅程度なので、第2のCPP−MR素子20の磁化フリー層21には図8に示したように共鳴スペクトル幅の広い(約2GHz)磁性体を用いることが好ましい。
第2のCPP−MR素子20の両端に発生する高周波電圧の振幅は、歳差運動の角度(の余弦)とMR比の積に比例して変化する。したがって、図9(a)および(b)に示すように、高周波電圧(図9a図示)の振幅は、外部磁場(図9b図示)の変化に伴って、図示したように変化する。そして、第2のCPP−MR素子20から出力される高周波電圧を、ショットキーダイオードなどのマイクロ波検波器30で検波することにより、磁場変化ΔHを電圧変化ΔVとして取出すことができる。
第1のCPP−MR素子(マイクロ波発振素子)の発振周波数と、第2のCPP−MR素子(磁場感知素子)20の共鳴周波数を適切に制御すると、(+)または(−)の一方向の磁場極性に限られるものの、磁場感度を著しく高めることができる。図10に、外部磁場が(−)の場合に、歳差角が著しく高まる例を示す。図10とは逆に、外部磁場が(+)である場合に、歳差角が著しく高まるように制御することもできる。したがって、(+)極性および(−)極性をもつ1組のセンサーを組み合わせることにより、非常に感度の高い磁気ヘッドを構成することができる。
本発明の他の実施形態に係る磁気センサーにおいては、それぞれマイクロ波発振素子および磁場感知素子として機能する磁気抵抗効果素子として、CPP−MR素子の代わりにTMR素子を用いることもできる。図11(a)および(b)にTMR素子を示す。図11(a)のTMR素子は、磁化フリー層21、絶縁層26、磁化固定層23を積層した構造を有する。図11(b)のTMR素子は、図11(a)のTMR素子に磁化フリー層21に非磁性金属層24を介して磁化固定層25を積層した構造を有する。
また、出力電圧ΔV(または電力)を増大させるために、複数の素子を積層することも有効である。
本発明の他の実施形態に係る磁気センサーにおいては、磁場感知素子として機能する磁気抵抗効果素子に、図12(a)および(b)に示したように、磁化フリー層21の磁化と磁化固定層23(および25)の磁化とが互いに平行なCPP−MR素子(またはTMR素子)を用いてもよい。平行磁化の磁気センサーは、直交磁化の磁気センサーに比較して感度は劣るものの、図13(a)および(b)に示したように、外部磁場(図13b)の変化に対して、出力として一方の極性の高周波電圧波形が得られるため、マイクロ波検波器が不要になる。
本発明の実施形態に係る磁気センサーの最も大きな特徴は、磁場感知素子としての磁気抵抗効果素子のフリー層磁化の熱ゆらぎに伴う磁気的熱雑音が、通常のGMRセンサーに比較して小さいことである。以下、その理由を説明する。
磁化の熱ゆらぎは磁性体の格子振動に起因する熱振動磁場hTによって発生する。熱振動磁場hTの大きさは、磁性体の体積、飽和磁化の大きさ、観測する周波数帯域幅などに依存する。例えば、100nm×100nm×1nmの体積を持つFe、Coなどの代表的な磁性体では、1GHzの帯域幅で、熱振動磁場hTの大きさは1Oe程度である。この熱振動磁場と高周波帯磁率の積が磁化の熱ゆらぎを与える。
GMR素子を用いた通常の磁気センサーでは、フリー層磁化はほぼ熱平衡状態にあるため、熱振動磁場hTと熱平衡状態の高周波帯磁率χTの積が磁化の熱ゆらぎとなる。一方、本発明の実施形態に係る磁気センサーでは、上述したようにフリー層は数十Oeの大きな高周波磁場hの下で磁気共鳴状態にあり、フリー層磁化は熱平衡状態から大きくずれている。この非平衡状態に、小さな熱振動磁場hTが作用する。
図14に、高周波磁場hの振幅と、高周波磁場hにより誘起される磁化の横成分の割合(飽和磁化との比)との関係を示す。図14の縦軸は、歳差角の正弦に対応する。図14からわかるように、高周波帯磁率は一般に強い非線形性を示し、高周波磁場の増大に伴って減少する。図14において、大きな高周波磁場が印加された領域IIにおける微分帯磁率は、熱平衡状態の領域Iにおける帯磁率の1/10以下であり、熱振動磁場hTにより誘起される磁化の熱ゆらぎも1/10以下となる。すなわち、本発明の磁気センサーではフリー層磁化の熱ゆらぎに伴う磁気的熱雑音が通常のGMRセンサーに比較して大幅に低下する。
(1)マイクロ波発振素子としてのTMR素子(磁性発振素子)の作製
スパッタリングによる成膜と電子線リソグラフィーにより、図15(a)に示すTMR素子を作製した。このTMR素子は、サファイア基板101上に、100nmのCuからなる下部電極102、20nmのIrMnからなる反強磁性層103、3nmの積層フェリ磁性体(図15b)からなる磁化フリー層104、1nmのAlOxからなる誘電体層105、50nmのCoからなる磁化固定層106、20nmのIrMnからなる反強磁性層107、100nmのCuからなる上部電極108を積層した構造を有する。図15(b)に示すように、磁化フリー層104の積層フェリ磁性体は、Ru(0.3nm)111/Co(0.7nm)112/Ru(0.8nm)113/Co(1nm)114の積層体である。最下層のRu(0.3nm)111は、IrMnからなる反強磁性層103から磁化フリー層(積層フェリ磁性体)104に弱い交換相互作用を及ぼすために挿入している。磁性層の形成は約1000Oeの磁場印加の下で行い、磁化フリー層104の磁化と磁化固定層106の磁化が互いに直交するように一軸磁気異方性と交換バイアスが付与されている。接合面積は300×100nm2とした。素子抵抗は54Ωであった。
このTMR素子に10mAの直流電流を流した状態でスペクトルアナライザーを用いて雑音スペクトルの測定を行った。図16に、スペクトル線幅にほぼ等しい8MHzのバンド幅で観測した電圧スペクトルを示す。周波数4.7GHzに実効値65mVの鋭い電圧ピークが観測され、このTMR素子がマイクロ波発振素子として機能することが確認された。測定結果から、素子のMR比は約30%、磁化フリー層の減衰係数αは約0.001、バイアス磁場は約1500Oeであることが推定された。
(2)磁場感知素子としてのTMR素子の作製
実施例1と同様の方法で図17に示すTMR素子を作製した。このTMR素子は、サファイア基板201上に、100nmのCuからなる下部電極202、50nmのIrMnからなる反強磁性層203、50nmのFeCoからなる磁化固定層204、0.5nmのAlOxからなる誘電体層205、2nmのFeCoからなる磁化フリー層206、50nmのAuからなるキャップ層207、100nmのCuからなる上部電極208を積層した構造を有する。このTMR素子でも、磁化フリー層206と磁化固定層204の磁化容易軸は直交している。接合面積は100×50nm2とした。素子抵抗は45Ωであった。
磁化フリー層206の容易軸方向に外部磁場を印加した状態で、素子に1mAの電流を流し、磁気的熱雑音を測定することにより磁気共鳴の観測を行った。スペクトルアナライザーのバンド幅は実施例1と同様に8MHzとした。図18に周波数と雑音電圧との関係を示す。曲線(a)は無磁場状態、曲線(b)および(c)はそれぞれ+30Oe、−30Oeの外部磁場を印加した状態で測定したものである。外部磁場により共鳴スペクトルが大きく変化することがわかる。図中の縦線は(1)で作製したマイクロ波発振素子の発振周波数を示している。特に、この周波数において共鳴強度が外部磁場により大きく変化することがわかる。共鳴曲線から求めた素子のMR比は約30%、磁化フリー層の減衰係数αは約0.03、異方性磁場は約150Oeであることが推定された。
(3)信号磁場の測定
(1)で作製したマイクロ波発振素子としてのTMR素子、(2)で作製した磁場感知素子としてのTMR素子、およびマイクロ波検波器としてのショットキーダイオードを図4に示したように接続し、磁気センサーを構成した。なお、マイクロ波発振素子として用いたTMR素子は、外部磁場によって発振周波数が変化しないように、パーマロイ(登録商標)からなる磁気シールド内に収納した。出力電圧の増幅にはバンド幅1.5GHzの広帯域増幅器を用い、50MHz以下の周波数成分をフィルターでカットした。
この磁気センサーに、図19(a)に示した信号磁場を印加し信号電圧を測定した。図19(b)に信号電圧の測定結果を示す。この図の縦軸には信号電圧の(増幅器への)入力換算値を示している。30Oeの信号磁場に対して、約2.5mVの大きな信号電圧が観測される。また、増幅器雑音を除いた信号電圧のS/N比は約30(30dB)ときわめて大きいことが分かった。
以上説明したように、マイクロ波発振素子と、磁場感知素子としてのCPP−MRやTMRなどの磁気抵抗効果素子を組み合わせて、外部磁場による磁気抵抗効果素子の共鳴周波数の変化に基づいて高速応答が可能な高感度磁気センサーを形成することができる。本発明の実施形態に係る磁気センサーは、磁気的熱雑音が小さいため、高密度読み取り用磁気ヘッドなどへの応用が可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、マイクロ波発振素子として異なるタイプの磁性発振素子や、半導体発振素子を用いてもよい。また、磁場感知素子として用いられる磁気抵抗効果素子の磁化フリー層や磁化固定層に垂直磁化膜を用いてもよい。
本発明の実施形態に係る磁気センサーの基本的な構成図。 本発明の他の実施形態に係る磁気センサーの基本的な構成図。 本発明のさらに他の実施形態に係る磁気センサーの基本的な構成図。 マイクロ波発振素子として磁気抵抗効果素子を用いた、本発明の実施形態に係る磁気センサーの構成図。 雑音電圧の周波数スペクトル、および雑音電圧の振幅の時間変化を示す図。 積層フェリ磁性体の断面図。 磁場感知素子としてのCPP−MR素子の断面図。 周波数と歳差角との関係の一例を示す図。 高周波電圧の振幅と外部磁場との関係の一例を示す図。 周波数と歳差角との関係の他の例を示す図。 磁場感知素子としてのTMR素子の断面図。 磁場感知素子としての平行磁場のCPP−MR素子の断面図。 高周波電圧の振幅と外部磁場との関係の他の例を示す図。 高周波磁場hの振幅と、高周波磁場hにより誘起される磁化の横成分の割合(飽和磁化との比)との関係を示す図。 実施例におけるマイクロ波発振素子としてのTMR素子の断面図。 図15のTMR素子の電圧スペクトルを示す図。 実施例における磁場感知素子としてのTMR素子の断面図。 図17のTMR素子について周波数と雑音電圧との関係を示す図。 実施例の磁気センサーについて、信号磁場と信号電圧とを示す図。
符号の説明
1…高周波電流源、2…高周波電圧源、3…抵抗、4…キャパシタ、10…磁気抵抗効果素子(マイクロ波発振素子)、11…磁化フリー層、12…非磁性金属層、13…磁化固定層、20…磁気抵抗効果素子(磁場感知素子)、21…磁化フリー層、22…非磁性金属層、23…磁化固定層、24…非磁性金属層、25…磁化固定層、26…絶縁層、30…マイクロ波検波器、51…第1の強磁性層、52…非磁性金属層、53…第2の強磁性層、101…サファイア基板、102…下部電極、103…反強磁性層、104…磁化フリー層、105…誘電体層、106…磁化固定層、107…反強磁性層、108…上部電極、111…Ru、112…Co、113…Ru、114…Co、201…サファイア基板、202…下部電極、203…反強磁性層、204…磁化固定層、205…誘電体層、206…磁化フリー層、207…キャップ層、208…上部電極。

Claims (7)

  1. 磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化フリー層とを含む磁気抵抗効果素子と、
    前記磁気抵抗効果素子の磁化フリー層に磁気共鳴を誘起するマイクロ波発振素子と、
    前記磁気抵抗効果素子のマイクロ波出力を検波するダイオードと
    を具備することを特徴とする磁気センサー。
  2. 前記マイクロ波発振素子により前記磁気抵抗効果素子の磁化フリー層に磁気共鳴が誘起され、外部磁場の印加による前記磁気共鳴の共鳴スペクトルの周波数変化または振幅変化に基づいて外部磁場が検出されることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサー。
  3. 前記磁気抵抗効果素子の磁化フリー層に、直接または非磁性層を介して、反強磁性層が積層されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気センサー。
  4. 前記マイクロ波発振素子は、半導体発振素子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気センサー。
  5. 前記マイクロ波発振素子は、磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化フリー層とを含む磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気センサー。
  6. 前記マイクロ波発振素子としての磁気抵抗効果素子は、磁化フリー層および磁化固定層の少なくても一方が積層フェリ磁性体で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサー。
  7. 前記マイクロ波発振素子は、スピントンスファートルクによって磁性体の磁化に歳差運動を誘起する素子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気センサー。
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