JP4920377B2 - 燻煙剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、抗微生物、特に抗カビ用途に好適な燻煙剤組成物に関する。
近年、一般家庭では、住宅の気密性向上に伴い、細菌、カビ等の微生物が生活空間のあらゆる場所に繁殖しやすくなっている。微生物の繁殖は、美観を損ねるだけでなく、感染症リスクとなるなどの衛生上の大きな問題となる。
従来、微生物対策としては、清掃活動の一環として、次亜塩素酸ソーダやエタノール等の水溶液を主剤としたエアゾール剤やスプレー製剤を使用する薬剤噴霧処理が一般的に行われている。また、抗微生物剤の1つとして、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等のヨード含有化合物があり、上記薬剤噴霧処理等の様々な用途に用いられている(たとえば特許文献1〜7参照。)。
一方、屋内の有害生物駆除のために、有害生物駆除用薬剤と、ガス発生剤等の燻煙基剤とを含有する燻煙剤組成物を加熱して燻煙する燻煙処理が行われている(たとえば特許文献8〜9参照)。また、燻煙剤組成物を抗菌、抗カビの目的で使用することも提案されている(たとえば特許文献10〜12参照)。燻煙剤組成物を加熱する熱源としては、マッチ火炎や点火具を用いる方法、酸化カルシウムと水の反応熱を用いて燻蒸する方法等が用いられている。
特開2005−330259号公報 特表2004−524321号公報 特開2002−128608号公報 特表2003−500421号公報 特表2003−535047号公報 特公平6−17284号公報 特公平6−17285号公報 特許第3453292号明細書 特許第3054789号明細書 特開2005−89453号公報 国際公開第05/42117号パンフレット 特開2000−1409号公報
しかし、上記従来の方法では、充分な微生物防除効果は得られない。たとえば薬剤噴霧処理は、処理できる対象に制限があり、たとえば広い空間内全体や、奥深くまで手が届かない複雑な構造物の内部等の日常の清掃では処理困難な場所に効果的な処理を施すことは難しい。特に、空間に浮遊するカビ胞子は、カビ臭気の原因となるため、その防除が求められるが、薬剤噴霧処理で空間に浮遊するカビ胞子を抑制することは困難である。また、使用者が薬剤の飛沫を吸引するといった不具合が必然的に起こりうるため、安全の点からも充分な対策とはいえない。また、燻煙処理は、従来の燻煙剤組成物の抗微生物作用が低く、薬剤噴霧処理と同様、充分な微生物防除効果は得られず、たとえば空間に浮遊するカビ胞子の抑制は困難である。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、微生物防除効果に優れた燻煙剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、微生物防除の有効成分として特定の2種の化合物を併用し、かつそれらに特定の燻煙基剤を組み合わせることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートと、イソプロピルメチルフェノールと、アゾジカルボンアミドとを含有することを特徴とする燻煙剤組成物である。
本発明により、微生物防除効果に優れた燻煙剤組成物を提供できる。
<燻煙剤組成物>
本発明の燻煙剤組成物は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(以下、IPBCという。)と、イソプロピルメチルフェノール(以下、IPMPという。)と、アゾジカルボンアミド(以下、ADCAという。)とを含有する。
本発明の燻煙剤組成物中、IPBCとIPMPとの含有量の比(質量比)は、IPBC/IPMP=2/1〜1/1であることが好ましく、3/2〜1/1であることがより好ましい。上記範囲内であると、微生物防除効果が高く、たとえばIPBCおよびIPMPをそれぞれ単独で用いた場合にはほとんど防除効果が得られないクロカビ(Cladosporium属)に対しても優れた防除効果を発揮する。
本発明の燻煙剤組成物中、IPBCとIPMPとの合計量は、当該燻煙剤組成物の総質量の5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、7.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。該合計量が5質量%以上であると微生物防除効果、特に抗カビ効果が高く、当該燻煙剤組成物を用いて燻煙処理を行った後のカビ臭気を大幅に低減できる。20質量%以下であると、燻煙処理後の薬剤臭気を抑制できる。
本発明の燻煙剤組成物中、ADCAの含有量は、当該燻煙剤組成物の総質量の55質量%以上75質量%以下であることが好ましく、60質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。55質量%以上であると、有効成分(IPBCおよびIPMP)の煙化率が高く、充分な微生物防除効果が得られ、75質量%以下であると、安全性が高く、また燻煙による壁等への汚染性も低い。
ここで、「有効成分の煙化率」は、試料(燻煙剤組成物)中に含まれる有効成分のうち、所定の空間内において、燻煙開始から所定時間後までに揮散した有効成分の割合(%)であり、以下の手順で求められる。
試料を内容積6.38mの室内で5分間燻煙し、室内空気をファンにより撹拌した後、室内空気約20Lを、真空ポンプを用いて、クロマト用シリカゲルを充填したガラス管内に通過させて、有効成分をシリカゲルに吸着させる。次いで、吸着した有効成分をアセトンにより溶出、回収し、ガスクロマトグラフ法により定量して、捕集した室内空気中の有効成分量(A)を求める。一方、燻煙前の試料中の有効成分量(B)はガスクロマトグラフ法により求める。これらの値から、下記式(1)により煙化率を求める。
Figure 0004920377
本発明の燻煙剤組成物は、必要に応じて、IPBC、IPMPおよびADCA以外の成分を任意成分として含有してもよい。
本発明の燻煙剤組成物は、任意成分として、燃焼補助剤を含有することが好ましい。
燃焼補助剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、尿素等が挙げられる。
燻煙剤組成物中、燃焼補助剤の含有量は、燻煙剤組成物の総質量の0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
本発明の燻煙剤組成物は、ADCA以外の燻煙基剤を含有してもよい。
ADCA以外の燻煙基剤としては、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等のガス発生剤、ニトロセルロース、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、硝酸アンモニウム、塩素酸カリウム等の発熱剤が挙げられる。
また、本発明の燻煙剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、IPBCおよびIPMP以外の活性成分、たとえば抗菌剤、抗カビ剤、殺虫剤等を含有してもよい。
上記以外の任意成分としては、本発明の効果を妨害するものでなければ特に限定されず、たとえば、安定剤、結合剤、賦形剤、香料、色素等の添加剤が挙げられる。これらのうち、特に、安定剤、結合剤および賦形剤のいずれか1種または2種以上を含有することが好ましい。
安定化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油など)等が挙げられる。
結合剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
賦形剤としては、クレー(含水ケイ酸アルミニウム)、タルク、珪藻土、カオリン、ベントナイト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の燻煙剤組成物は、粉状、粒状、錠剤等の固形製剤として調製される。固形製剤は、目的とする剤形に応じて、一般的に用いられている製造方法を用いて調製することができる。たとえば粒状の製剤とする場合は、一般的な造粒物の製造方法、たとえば押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等により製造できる。
押出し造粒法による製造方法の具体例を挙げると、組成物各成分を、ニーダー等により混合し、適量の水を加えて練合し、得られた練合物を、一定面積の開孔を有するダイスを用い、前押し出しあるいは横押し出し造粒機を用い造粒する。該造粒物は、さらにカッター等を用いて一定の大きさに切断し乾燥してもよい。
本発明の燻煙剤組成物の使用方法は、一般的な燻煙剤の使用方法と同様であり、任意に金属製容器、セラミック製容器等の容器に収容して、直接的または間接的に加熱することによって燻煙できる。
本発明の燻煙剤組成物を加熱する方法の具体例としては、発熱体である酸化カルシウムにより蒸散する方法、点火具等を熱源として製剤の一部分を加熱することで薬剤の自己熱分解を利用した方法が挙げられる。本発明においては、どちらの方法も好ましく用いられる。
前記点火具としては、発熱剤として塩素酸カリウム、硝酸カリウム、鉛丹、酸化鉄、酸化銅等の酸化剤のいずれかと、還元剤として糖類、珪素、鉄、珪素鉄、アルミニウム等のいずれかを混合したものが挙げられる。この酸化剤と還元剤とを組み合わせた点火具は、燃焼による熱を利用するものである。また、前記酸化カルシウムは、水との反応熱を利用するものである。
本発明の燻煙剤組成物の使用量は、燻煙処理を行う空間の容積に応じて適宜設定すればよく、通常、1mあたり、0.2〜1.0gが好ましく、0.3〜0.8gがより好ましい。
燻煙処理時間(燻煙開始後、当該空間を密閉する時間)は、特に限定されず、1〜4時間が好ましく、2〜3時間がより好ましい。
本発明の燻煙剤組成物においては、IPBCおよびIPMPの相乗作用により、優れた抗微生物効果が発現する。また、ADCAは、これらの有効成分を、燻煙時、所定の空間内に効率よく揮散せしめることができるガス発生剤である。そして、これらの各成分の相乗効果により、生活空間内に、有効成分であるIPBCおよびIPMPが行き渡り、当該空間内に棲息するカビや細菌に対して優れた防除効果を発揮する。また、該有効成分は、空間内に浮遊するカビ胞子に対しても優れた抑制効果を発揮し、該カビ胞子によるカビ臭気を抑制できる。
本発明の燻煙剤組成物は、スプレー剤等を使用できない天井や、浴室、押入れ等、従来、日常の清掃では処理困難な場所や手の行き届かない場所での微生物防除に特に有用である。
次に、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例においては、特に断りのないかぎり、%は質量%を示す。
[実施例1〜13,比較例1〜4]
表1〜4に示す組成の燻煙剤組成物を製造した。これらの製造は、各成分を所定量計り取り、ニーダー(モリヤマ社製、S5−2G型)によって十分混合撹拌した後に水を加えて練合し、ダイス径2mmの造粒機(不二パウダル社製、EXK−1)を用いて造粒後、乾燥機(アルプ社製、RT−120HL)を用い、70℃で2時間乾燥させることにより行った。
得られた顆粒状の燻煙剤組成物を用いて以下の試験例1〜3を行った。その結果を表1〜4に併記する。
[試験例1:煙化率の測定と微生物効力評価]
有効成分(IPBCおよびIPMP)の煙化率は以下の手順で測定した。
燻煙剤組成物12.5gを、発熱剤として酸化カルシウムを使用した加熱用容器に収納し、6.38mの密閉室内で燻煙を開始した後、5分後に室内空気をファン(ORIX社製、MU1238A−11B)により1分間攪拌し、室内空気約20Lを、真空ポンプを用いて、クロマト用シリカゲルを充填したガラス管内を通過させ、有効成分をシリカゲルに吸着させた。
次いで、吸着した有効成分をアセトン100mLで溶出、回収し、得られた抽出溶液を200mL容量のナス型フラスコに採り、エヴァポレーター(ヤマト科学製 ロータリーエヴァポレーター RE−46)で完全に蒸散乾固させた。そこへ、内標準溶液として0.1質量%となるようにアセトンで調製したフタル酸ジ−n−ブチル溶液5mLを加え溶解し、試料溶液とした。
また、別途、検量線作成用にIPBC0.2g、IPMP0.1gそれぞれを精密に50mL容量メスフラスコに計り取り、アセトンを加えて50mLにメスアップした。その溶液2,4,6,8,10mLを新たな50mL容量メスフラスコに計り取り、1質量%となるようにアセトンで調製したフタル酸−n−ブチルの内標準溶液5mLを加えアセトンで50mLにメスアップし、検量線作成用の標準溶液とした。
これらの試料溶液、標準溶液2μLを用いて、下記の条件によるガスクロマトグラフ法により定量し、捕集した室内空気中の有効成分量(A)を求めた。
また、同様にして、燻煙前の燻煙剤組成物中の有効成分量(B)をガスクロマトグラフ法により求め、前記式(1)により煙化率(%)を求めた。
<ガスクロマトグラフ分析条件>
機器:SHIMADZU GC−14B、Chromatopac C−R6A
カラム:内径約1.2mm、長さ約20cmのガラス管の内面にガスクロマトグラフ用メチルシリコーンポリマーを厚さ0.5μmで被覆したもの(G−Column G−100、(財)化学物質評価研究機構)
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム温度:開始温度120℃(2min)、昇温速度10℃/min、最終温度200℃(5min)
インジェクター温度:230℃
ディテクター温度:230℃
キャリアーガス:N
:60kPa〜80kPa(保持時間においてIPBCが7分,IPMPが3.5分になるよう調整)
,Air:50kPa
次に、以下の手順で燻煙剤組成物の燻煙が、微生物に及ぼす影響(微生物効力)を評価した。
細菌用のトリプチックソイ寒天培地(商品名Difco、ベクトン・ティッキンソン社)を、水1Lに対して40gとなる割合で滅菌可能なガラス製容器に計り取り、また、真菌用のポテトデキストロース寒天培地(商品名Difco、ベクトン・ティッキンソン社)を、水1Lに対して39gとなる割合で滅菌可能なガラス製容器に計り取り、これらにそれぞれ水を加え、オートクレーブにより121℃、20分間の高圧蒸気滅菌(平山製作所製、HVA−85)を行った。滅菌終了後、寒天が溶解している間に、該培地溶液約20mLを、滅菌済みシャーレ(φ9cmプラスチック製)へ充填し、安全キャビネット(AirTech社バイオロジカルセーフティキャビネット、BHC−1306IIA/B3)内で3〜4時間殺菌灯点灯下で固化させた。そうして得られた平板培地を用い、細菌および酵母ではシャーレ一枚あたり30〜300cfu(コロニー数:colony forming unit)、カビではシャーレ一枚あたり10〜100cfuとなるように供試菌液濃度を調製し、各シャーレ上に0.5mL塗抹した。この菌を接種したシャーレ(以下、菌接種シャーレという。)を、容積0.5mのアクリル製チャンバー(65×65×120cm)の底面に配置した。
菌接種シャーレの蓋を開けた後に、上記で得た燻煙剤組成物0.5gを、発熱剤として酸化カルシウムを使用した50mL容量の加熱用金属製容器に収納し、加熱燻煙させ1時間密閉した。
処理終了後、各菌接種シャーレについて、細菌の場合は32℃、カビ、酵母の場合は25℃に設定したそれぞれの恒温槽(福島工業社製低温インキュベーター、FMU132I)にいれ、細菌の場合は3日間、カビ、酵母の場合は5日間培養し、培養後の菌数を測定した。
菌数は常用対数(log)に変換し、初発菌数(無処理)に比べて低下した数値をもって効力とした。すなわち、log(初発菌数)−log(培養後の菌数)の値(X)を求め、以下の判定基準で各微生物に対する効力を評価した。
(判定基準)
×:Xが1未満。
△:Xが1以上2未満。
○:Xが2以上3未満。
◎:Xが3以上。
表1〜4に示す結果から、IPBC、IPMPおよびADCAを含有する実施例1〜13の燻煙剤組成物は、顕著な微生物効力を示し、特にカビに対して顕著な効果を発現した。一方、IPBCと、殺菌剤として汎用されている塩化ベンザルコニウムとを併用した比較例4を含め、IPBCおよびIPMPいずれか一方を含まない比較例1〜4の燻煙剤組成物は、微生物効力が低く、ほとんど効果が認められなかった。
また、実施例2、10〜13および比較例1〜3の結果から、IPBCとIPMPは両者の合計量が5質量%以上、特に7.5質量%以上であると、高い抗微生物効果が発揮され、それぞれ単独ではあまり効果がないクロカビ(Cladosporium属)に対しても優れた抗カビ力が発揮されることがわかった。
また、実施例1〜4の結果から、ADCAの配合量が55質量%以上であると、高い抗微生物効果を呈することがわかった。特に、浴室等の生活空間に多く存在するクロカビ(Cladosporium属)に対しても顕著な効果を呈することから、家庭内に棲息するカビに対して優れた抗カビ力を有すると考えられる。また、この結果と煙化率の値とを考慮すると、ADCAの配合量とIPBCの煙化率との間に相関関係があり、上記抗微生物効果にIPBCの煙化率が影響していることが推察された。
また、実施例5〜9および比較例1〜3の結果から、IPBC/IPMPが2/1〜1/1の範囲内、特に3/2〜1/1の範囲内であると、優れた抗微生物効果が得られることを確認した。また、この結果と煙化率の値とを考慮すると、IPBCの煙化率が、IPMPとの配合比に影響されることが推察される。これは、IPMP量がIPBC量を上回ると、IPBCの熱分解に影響するためと推測される。すなわち、熱分解を受けやすいIPBC単独の例(比較例1、2、4)では、ガス発生剤であるADCA量に関わらず煙化率がほぼ一定となっており、このことから、IPBCが、酸化カルシウムによる加熱で分解し充分に煙化されないことが考えられる。これに対し、本発明においては、熱安定性に勝るIPMPが共存することで、熱に不安定なIPBCが効率良く煙化し、これによって、ADCA量に比例して煙化率が増加するであろうことが推察される。
[試験例2:空中浮遊カビ胞子数評価]
燻煙剤組成物の燻煙が、家庭の浴室およびリビングの空中浮遊カビ胞子数に及ぼす影響を検討した。
空気中に浮遊するカビ胞子数を正確に測定するため、細菌等の汚染を防ぐ目的から、試験例1と同様に作成した真菌用のポテトデキストロース寒天培地(商品名Difco、ベクトン・ティッキンソン社)に抗生物質(クロラムフェニコール、ナカライテスク社製)を100ppmとなるよう添加した培地溶液を調製し、オートクレーブにより121℃、20分間の高圧蒸気滅菌(平山製作所製、HVA−85)を行った。滅菌終了後、寒天が溶解している間に、該培地溶液約20mLを滅菌済みシャーレ(φ9cmプラスチック製)へ充填し、安全キャビネット(AirTech社バイオロジカルセーフティキャビネット、BHC−1306IIA/B3)内で3〜4時間殺菌灯点灯下で固化させた。
予め試験場所における平時の空中浮遊カビ胞子数を求めるため、前述の抗生物質添加平板培地を収納したエアーサンプラー(ミドリ安全社、BIOSAMP MBS−1000D)を、試験家庭の浴室およびリビングの中央部に設置し、1mの空気を吸引して前述の平板培地上に集め、25℃の恒温槽(福島工業社製低温インキュベーター、FMU132I)にて5日間培養し、カビ胞子数を求めた。
次に、それぞれの試験場所で、上記で得た燻煙剤組成物10gを用いて加熱燻煙後、3時間居住者の出入りが無く密閉した状態を維持した。
加熱容器としては、発熱剤として酸化カルシウムを使用した「水ではじめるバルサン12.5g」(ライオン社製)を用いた。
処理終了後、換気扇の無い浴室では換気扇を運転し、窓のある試験場所では換気のため窓を開けて60分間換気した後に、前述のエアーサンプラーを用い、同様の方法にて1mの空気を吸引して寒天培地上に集め、25℃の恒温槽にて5日間培養しカビ胞子数を求めた。
試験前のカビ胞子数を対照とし、試験後の菌数を対照の数値で除した割合(%)をもって効力とし、その値から、以下の判定基準で空中浮遊カビ胞子数に及ぼす影響を評価した。
(判定基準)
×:5%未満。
△:5%以上50%未満。
○:50%以上100%未満。
◎:100%(検出されず)。
表1〜4に示す結果から、試験例2においても、試験例1と同様のIPBC、IPMPおよびADCAの相乗効果が認められ、本発明の燻煙剤組成物により空間処理を行うことで、空中に浮遊するカビ胞子を低減できることがわかった。
[試験例3:カビ臭気評価]
燻煙剤組成物の燻煙が、家庭の押入れにおけるカビ臭気へ与える影響を評価した。
一般的な家庭の押入れである、長さ×奥行き×高さで約180cm×約90cm×約190cmの大きさのものを使用し、布団等の収納物を撤去後に、予め被験者による臭気確認を行った。その後、押入れの床面中央部で、上記で得た燻煙剤組成物2.5gを用いて加熱燻煙を行った後2時間密閉した。加熱用容器としては、発熱剤として酸化カルシウムを使用した「水ではじめるバルサン12.5g」(ライオン社製)を用いた。
処理終了後、扉を開けて3時間換気し、再び扉を閉め翌日まで静値した後にカビ臭気について、以下の手順で官能評価を行った。
官能評価では、試験前を対照とし、カビ臭気に対する消臭効果を以下の5段階の判定基準で評価した。
(判定基準)
5:カビ臭気が感じられず、カビ臭気に対する消臭効果が非常に高い。
4:ややカビ臭気が感じられる。
3:カビ臭気は感じられるが、対照と比べて明らかに低減している。
2:対照と比べてややカビ臭気が弱くなっている。
1:消臭効果は認められない(対照と変わらず)。
表1〜4に示す結果から、本発明の燻煙剤組成物の、カビ臭気に対する高い消臭効果が確認できた。特に、IPBCおよびIPMPの合計量が7.5質量%以上である実施例11〜13はカビ臭気に対する消臭効果が高かった。ただし、実施例13においては、カビ臭気に対する消臭効果は高かったものの、強い薬剤臭気が確認された。
Figure 0004920377
Figure 0004920377
Figure 0004920377
Figure 0004920377
[実施例14〜16]
実施例1〜13と同様の方法で、表5に示す組成(%)の燻煙剤組成物を製造した。
得られた燻煙剤組成物について、「バルサンSPジェット25g」(ライオン社製)に付属の点火具を熱源とした、製剤の一部分を加熱することによる薬剤の自己熱分解を利用した方法を燻煙手段に用いた以外は、上記試験例1〜3と同じ評価を行った。
その結果、実施例14〜16は、それぞれ、実施例3、11、9と同様の微生物効力、空中浮遊カビ胞子数低減効果、カビ臭気に対する消臭効果を得ることが出来ることを確認した。
Figure 0004920377

Claims (4)

  1. 3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートと、イソプロピルメチルフェノールと、アゾジカルボンアミドとを含有することを特徴とする燻煙剤組成物。
  2. 3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートとイソプロピルメチルフェノールとの含有量の比(質量比)が、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート/イソプロピルメチルフェノール=2/1〜1/1である請求項1に記載の燻煙剤組成物。
  3. 3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートとイソプロピルメチルフェノールとの合計量が、総質量の5質量%以上20質量%以下である請求項1または2に記載の燻煙剤組成物。
  4. アゾジカルボンアミドの含有量が、総質量の55質量%以上75質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の燻煙剤組成物。
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