図1および図2は、本発明の実施形態に係るICカード処理装置の概略構造を示す図である。図1はICカード処理装置の内部を示す側面図、図2はICカード処理装置の内部を示す平面図である。図1において、10はICカード処理装置であって、例えば自動現金取引処理装置のような上位装置30(図4に図示)に搭載されて接続されている。1はICカード処理装置10の本体、1aは本体1の内部空間(以下、本体内部という)である。1bは本体1から突出するように設けられた合成樹脂等の非磁性材料からなる挿入部、1cは挿入部1bに形成されたICカード2を挿入する挿入口、1dは挿入口1cから本体内部1aへと通じるICカード2の通路である。挿入部1bは、本発明における挿入部の一実施形態を構成し、挿入口1cは、本発明における挿入口の一実施形態を構成する。
3はリミットスイッチから構成されるカード幅検出センサであって、図2に示すように挿入口1c近傍の通路1dのL方向側の側面に設置されている。このカード幅検出センサ3は、挿入口1c近傍でカード幅W2(図3(a)に図示)と略同一の幅を有する物体の有無を検出する。例えば、ICカード2が挿入口1cから挿入されると、カード幅W2よりも若干広い幅W1の通路1dに沿ってF方向に入って行くICカード2がセンサ3のアクチュエータ3aに接触して、アクチュエータ3aがL方向側へ押されるので、センサ3は、略カード幅W2を有する物体を検出して、OFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11(図4に図示)に出力する。また、カード幅W2より小さな幅を有する物体が挿入口1cから挿入されると、その物体がアクチュエータ3aに接触することはないので、センサ3は、その物体を検出することなくOFF状態を維持して、OFF信号を制御部11に出力し続ける。カード幅検出センサ3は、本発明における幅検出手段の一実施形態を構成する。
4は周波数発振型の近接センサから構成されるIC接点検出センサであって、図1に示すように挿入口1c近傍の通路1dのU方向側の側面に設置されている。このIC接点検出センサ4は、合成樹脂等の非磁性体が直下まで接近したときは、発振周波数が変化しないが、鉄等の強磁性体が直下まで接近したときは、発振周波数が低くなり、銅や金やアルミニウム等の弱磁性体が直下まで接近したときは、発振周波数が高くなるという特性を有している。このような特性を活かして、IC接点検出センサ4は、挿入口1c近傍でICカード2の銅パターンや金メッキで構成されているIC接点2cの有無を検出する。例えば、ICカード2が挿入口1cから挿入されると、センサ4は、IC接点2cが直下まで接近したときに、発振周波数が高くなることによりIC接点2cを検出して、OFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。また、センサ4は、ICカード2のIC接点2c以外の合成樹脂部分が直下まで接近したときには、発振周波数が変化しないので、IC接点2cを検出することなくOFF状態を維持して、OFF信号を制御部11に出力し続ける。IC接点検出センサ4は、本発明におけるIC接点検出手段の一実施形態を構成する。
5は通路1dに設けられたシャッタであって、ソレノイド16(図4に図示)によって上下方向U、Dに開閉する。このシャッタ5は、挿入口1cから挿入されたICカード2の本体内部1aへの進入または本体内部1aから挿入口1cへの排出を規制する。図1では、シャッタ5が閉じた状態を実線で示し、シャッタ5が開いた状態を破線で示している。シャッタ5は、本発明における規制手段の一実施形態を構成する。6はモータ17(図4に図示)によって回転する上下1対のローラであって、モータ17が正転駆動すると、正回転してICカード2をF方向へ搬送し、モータ17が逆転駆動すると、逆回転してICカード2をB方向へ搬送する。7aは第1カード位置検出センサ、7bは第2カード位置検出センサであって、それぞれフォトマイクロセンサから構成されている。これら2つのセンサ7a、7bは、ICカード2が本体内部1aの所定の位置に搬送されたことを検出する。なお、センサ7a、7bはICカード2を検出していないときはOFF状態であって、OFF信号を制御部11に出力するが、ICカード2を検出するとON状態になって、ON信号を制御部11に出力する。8はIC接点ブロックであって、ソレノイド15によって上下方向U、Dに移動する。このIC接点ブロック8は、ICカード2がローラ6によって本体内部1aに搬送されて、図1に示すように所定の停止すると、ICカード2のICチップ2d(図3(c)に図示)に対して情報の読み取りまたは書き込みを行うために、破線で示す位置から実線で示す位置に移動して、ICカード2のIC接点2cに接触する。
図3は、ICカード2の概略構造を示す図である。図3(a)はICカード2の表面を示し、図3(b)はICカード2の裏面を示し、図3(c)はICカード2の断面を示している。図3(a)において、2aはICカード2の前端部(F方向側の端部)、2bはICカード2の後端部(B方向側の端部)、CLはICカード2の挿入方向F、Bに対して平行な中心線、CLaは挿入方向F、Bに対して垂直な中心線である。2cはICカード2のIC接点であって、中心線CLaから所定距離離れ、かつ中心線CLのL方向側に殆どの部分が位置するようにICカード2の表面の所定の位置に所定の大きさで設けられている。このIC接点2cは、銅パターンで構成されていて、銅パターンの上にニッケルメッキおよび金メッキが施されている。2eはIC接点の前端部、2fはIC接点の後端部である。図3(c)に示す2dはICカード2のICチップであって、IC接点2cの直下に位置するようにICカード2に埋め込まれている。このICチップ2dは、銅パターンまたはアルミパターン等を含んで構成されている。ICカード2のIC接点2cおよびICチップ2d以外の部分は、合成樹脂から構成されている。
図4は、上記ICカード処理装置10の電気的構成を示すブロック図である。図4において、11はICカード処理装置10の各部を制御する制御部であって、CPU、ROM、RAM、および後記の制御回路等から構成される。なお、ROMにはCPUの動作プログラム等が記憶されていて、RAMにはCPUが各部を制御する制御データが読み書き可能に記憶される。12はRAMや不揮発性メモリ等から構成される記憶部、13は時間を計測するタイマである。14は前述のIC接点ブロック8を介してICカード2のICチップ2dと通信を行うための通信回路からなるICカード用通信部である。制御部11は、この通信部14によってIC接点ブロック8からICカード2のIC接点2cに通電し、ICチップ2dに対して情報の読み取りまたは書き込みを行う。IC接点ブロック8とICカード用通信部14とは、本発明における読み書き手段の一実施形態を構成する。15はIC接点ブロック8を移動させるIC接点用ソレノイドである。制御部11は、ソレノイド15の駆動を制御するための制御回路を備えていて、その回路によってソレノイド15を駆動し、IC接点ブロック8をICカード2のIC接点2cに接触する位置(図1の実線位置)に移動させたり、IC接点2cから離れる位置(図1の破線位置)に移動させたりする。16は前述のシャッタ5を開閉させるシャッタ用ソレノイドである。制御部11は、ソレノイド16の駆動を制御するための制御回路を備えていて、その回路によってソレノイド16を駆動し、ICカード2の挿入口1cから本体内部1aへの進入を規制するためにシャッタ5を閉じたり(図1の実線状態)、そのICカード2の進入規制を解除するためにシャッタ5を開いたりする。このような制御部11は、本発明における解除手段の一実施形態を構成する。
17は前述のローラ6を回転させるモータである。制御部11は、モータ17の駆動を制御するための制御回路を備えていて、その回路によってモータ17を正転駆動または逆転駆動し、ローラ6を回転させてICカード2を本体内部1aの所定の位置に所定の速度で搬送する。3は前述のカード幅検出センサ、4は前述のIC接点検出センサ、7a、7bは前述のカード位置検出センサである。制御部11は、各センサ3、4、7a、7bからの出力信号を受信するための受信回路を備えていて、その回路によって各センサ3、4、7a、7bの検出状態を認識する。また、制御部11は、後述するようにIC接点検出センサ4の検出状態の時間的変化に基づいて挿入口1cにICカード2が挿入されたか否かを判定する。このような制御部11は、本発明における判定手段の一実施形態を構成する。18は上位装置30と相互に通信を行うための通信回路からなる上位装置用通信部である。制御部11は、この通信部18によってICカード2から読み取った情報を上位装置30に送信したり、ICカード2に書き込む情報を上位装置30から受信したりする。
図5は、上記ICカード処理装置10の基本的な動作手順を示すフローチャートである。また図6は、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)の詳細手順を示すフローチャートである。各処理は、制御部11(詳しくは、制御部11に備わるCPU)が実行する。以下、本発明の第1実施形態につき、図5〜図16を参照して説明する。
まず、制御部11は、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)を、図6のフローチャートに従って実行する。なお、本実施形態では、IC接点検出センサ4は、図7(a)に示すように、シャッタ5からIC接点検出センサ4のF方向側の端部4aまでの距離Y1が、ICカード2の前端部2aからIC接点2cの後端部2fまでの距離X1を越え(Y1>X1)、かつ、シャッタ5からIC接点検出センサ4のB方向側の端部4bまでの距離Y2が、IC接点2cの後端部2fからICカード2の後端部2bまでの距離X2未満となる(Y2<X2)F、B方向の位置に設けられている。また、IC接点検出センサ4は、ICカード2の中心線CLからIC接点検出センサ4のR方向側の端部4cまでの距離Y3が、中心線CLからIC接点2cのR方向側の端部2gまでの距離X3を越え、かつ中心線CLからIC接点2cのL方向側の端部2hまでの距離X4未満となる(X4>Y3>X3)L、R方向の位置に設けられている。
挿入口1cにICカード2がIC接点2cの表出している表面をIC接点ブロック8(図1)に対向可能な姿勢(表面を上方に向けた姿勢)で、IC接点2cまでの距離の近い前端部2aから挿入される場合は、図7(a)に示すようにICカード2の挿入前の時点T1では、IC接点検出センサ4は何も検出しておらず、図11に示すようにOFF状態(非検出状態)のままである。図7(a)の状態から、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図7(b)に示す時点T2の状態になると、IC接点検出センサ4が直下に位置するICカード2の中心線CLから最も距離の離れたIC接点2cの端部2hを検出して、図11に示すようにOFF状態からON状態(検出状態)に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がON状態になったので(図6のステップS21:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS22)。その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t1を経過すると(ステップS23:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS24)、IC接点検出センサ4がOFF状態になったか否かを確認する(ステップS25)。なお、所定時間t1は、利用者が所定の速度で挿入口1cからICカード2を挿入して、ICカード2の前端部2aがシャッタ5に突き当たるまでにかかる時間よりも短い時間に設定されている。時点T2から所定時間t1が経過した時点T3では、図7(c)に示すようにIC接点検出センサ4の直下をIC接点2cが既に通り過ぎている。このため、IC接点検出センサ4は、図11に示すように時点T3の直前でIC接点2cを検出しなくなってON状態からOFF状態に切り替わっていて、時点T3ではOFF信号を制御部11に出力している。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態になっているので(図6のステップS25:YES)、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断し(ステップS26)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。なお、ステップS26でICカード2が挿入されたと判断する以前に、前述のカード幅検出センサ3によりカード幅W2を有する物体が有ることを確認するようにしてもよい。
図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上述したようにICカード挿入判定処理でICカードが挿入されたと判断しているので(ステップS2:YES)、ステップS3へ移行し、ソレノイド16(図4)を駆動してシャッタ5を開く。これにより、ICカード2の本体内部1aの進入規制が解除されて、ICカード2が本体内部1aへ挿入されて行く。シャッタ5を開くと、制御部11は、モータ17(図4)を正転駆動してローラ6の正回転を開始し(ステップS4)、ローラ6によってICカード2をF方向へ搬送して本体内部1aへ取り込んで行く。そして、前述の第1カード位置検出センサ7a(図1)がICカード2の後端部2bを検出してON状態からOFF状態に切り替わると(ステップS5:YES)、制御部11は、モータ17の駆動を停止してローラ6の正回転を停止する(ステップS6)。このとき、ICカード2は、図1に示したようにIC接点2cにIC接点ブロック8が接触可能な位置に停止する。ローラ6の正回転を停止すると、制御部11は、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を閉じる(ステップS7)。
続いて、制御部11は、ソレノイド15(図4)を駆動してIC接点ブロック8を図1に実線で示した位置まで下降させ(ステップS8)、ICカード2のIC接点2cに接触させる。そして、IC接点ブロック8と前述の通信部14(図4)によってICカード2と通信を行い、ICチップ2dから情報を読み取ったり、ICチップ2dに情報を書き込んだりする(ステップS9)。なお、ICチップ2dから読み取った情報は、前述の通信部18によって上位装置30に送り、ICチップ2dに書き込む情報は、前もってまたは読み取った情報を送った後に通信部18によって上位装置30から受信する。ICチップ2dに対する情報の読み取りや書き込みを終えて、ICカード2との通信を完了すると、制御部11は、ソレノイド15を駆動して、IC接点ブロック8を図1に破線で示した位置まで上昇させて(ステップS10)、ICカード2のIC接点2cから離す。この後、制御部11は、ICカード2を挿入口1cに排出するために、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を開き(ステップS11)、モータ17を逆転駆動してローラ6の逆回転を開始し(ステップS12)、ローラ6によってICカード2をB方向へ搬送して行く。そして、前述の第2カード位置検出センサ7b(図1)がICカード2の前端部2aを検出してON状態からOFF状態に切り替わると(ステップS13:YES)、制御部11は、モータ17の駆動を停止してローラ6の逆回転を停止する(ステップS14)。このとき、ICカード2は、挿入口1cに排出されて、後端部2bが挿入口1cから突出した状態で停止する。また、前述のカード幅検出センサ3(図1)がICカード2を検出してON状態となる。この後、ICカード2が挿入口1cから抜き取られると、カード幅検出センサ3がOFF状態になるので、制御部11は、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を閉じ(ステップS15)、ICカード2に対する処理を終了する。
一方、挿入口1cにICカード2がIC接点2cの表出していない裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢(裏面を上方に向けた姿勢)で、前端部2aから挿入される場合は、図8(a)に示すようにICカード2の挿入前の時点T1では、上述した表面を上方に向けた場合と同様にIC接点検出センサ4は何も検出しておらず、図12に示すようにOFF状態のままである。ところが、図8(a)の状態から、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図8(b)に示す時点T2の状態になっても、IC接点検出センサ4の直下には中心線CLから最も距離の近いIC接点2cの端部2gが位置しない。このため、IC接点検出センサ4は、図8(c)に示すようにICカード2の前端部2aがシャッタ5に突き当たった状態になっても、IC接点2cの端部2gを検出することはなく、図12に示すようにOFF状態を維持する。
また、挿入口1cにICカード2が表面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で、IC接点2cまでの距離の遠い後端部2bから挿入される場合には、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図9に示すようにICカード2の後端部2bがシャッタ5に突き当たった状態になっても、IC接点検出センサ4はIC接点2cを検出することはなく、図13に示すようにOFF状態を維持する。さらに、挿入口1cにICカード2が裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で、後端部2bから挿入される場合には、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図10に示すようにICカード2の後端部2bがシャッタ5に突き当たった状態になっても、IC接点検出センサ4はIC接点2cを検出することはなく、図13に示すようにOFF状態を維持する。
一方、挿入口1cに異物として、ICカード2のIC接点2cを構成する金属(銅や金等)と同様に弱磁性体である金属、例えばアルミニウムから構成される板が挿入される場合は、図14(a)に示すようにアルミニウム板51の挿入前の時点T1では、IC接点検出センサ4は何も検出しておらず、図15に示すようにOFF状態のままである。なお、アルミニウム板51の外形は、ICカード2と略同一である。図14(a)の状態から、挿入口1cにアルミニウム板51がF方向に挿入されて行って、図14(b)に示す時点T2aの状態になると、IC接点検出センサ4が直下に位置するアルミニウム板51を検出して、図15に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。(なお、時点T2aは、時点T2よりも早い時点である。)これにより、制御部11はIC接点検出センサ4がON状態になったので(図6のステップS21:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS22)。その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t1を経過すると(ステップS23:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS24)、IC接点検出センサ4がOFF状態になったか否かを確認する(ステップS25)。時点T2aから所定時間t1が経過した時点T3aでも、図14(c)に示すようにアルミニウム板51はIC接点検出センサ4の直下に位置している。このため、IC接点検出センサ4はアルミニウム板51を検出したままで、図15に示すようにON状態を維持し、ON信号を制御部11に出力し続けている。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態になっていないので(図6のステップS25:NO)、挿入口1cに異物が挿入されたと判断し(ステップS27)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上記のようにICカード挿入判定処理でICカード2が挿入されたとは判断していないので(ステップS2:NO)、ステップS3〜ステップS15の各処理を実行することなく、即座に処理を終了する。
また、挿入口1cに異物として強磁性体である金属、例えば鉄から構成される板が挿入される場合、またはICカード2以外の非対応カードが挿入される場合は、図14(a)に示すように鉄板52または非対応カード53の挿入前の時点T1では、IC接点検出センサ4は何も検出しておらず、図16に示すようにOFF状態のままである。なお、鉄板52や非対応カード53の外形は、ICカード2と略同一である。また、非対応カード53は、大部分が合成樹脂等の非磁性体で構成されていて、IC接点2cを構成する銅や金等の金属を含んでいない。図14(a)の状態から、挿入口1cに鉄板52または非対応カード53がF方向に挿入されて行って、図14(b)に示す時点T2aの状態になると、IC接点検出センサ4の直下に鉄板52または非対応カード53のF方向側の端部が位置するが、IC接点検出センサ4は鉄板52または非対応カード53を検出することはなく、図16に示すようにOFF状態を維持して、OFF信号を制御部11に出力し続ける。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がON状態にならないので(図6のステップS21:NO)、ステップS22〜ステップS27の各処理を実行することはない。また、図5のステップS2〜ステップS15の各処理を実行することもない。
上述したように第1実施形態では、ICカード2が表面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で、前端部2aから挿入口1cに挿入された場合は、IC接点検出センサ4が時点T2のタイミングでICカード2のIC接点2cを検出してON状態になり、その後時点T3の直前のタイミングでIC接点2cを検出しなくなってOFF状態になるので、図6のフローチャートにより、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断することができる。この結果、図5のフローチャートにより、シャッタ5が開かれてICカードの進入規制が解除され、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理を行うことが可能となる。また、ICカード2が裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で、前端部2aから挿入口1cに挿入された場合には、IC接点検出センサ4がOFF状態のままで一向にON状態にならないので、図6のフローチャートにより、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断されることはない。この結果、シャッタ5が開かれてICカードの進入規制が解除されることはなく、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理が行われることもない。さらに、ICカード2が後端部2bから挿入口1cに挿入された場合には、IC接点検出センサ4がOFF状態のままで一向にON状態にならないので、図6のフローチャートにより、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断されることはない。この結果、シャッタ5が開かれてICカードの進入規制が解除されることはなく、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理が行われることもない。
また、挿入口1cにIC接点2cを構成する金属と同様に弱磁性体であるアルミニウム板51が挿入された場合には、IC接点検出センサ4が時点T2よりも早い時点T2aのタイミングでON状態になるが、時点T2から所定時間t1経過した時点T3aのタイミングでOFF状態にならないので、挿入口1cにICカード2ではなく異物が挿入されたと判断することができる。さらに、挿入口1cに強磁性体である鉄板52またはICカード2以外の非対応カード53が挿入された場合には、IC接点検出センサ4がOFF状態のままで一向にON状態にならないので、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断されることはない。従って、ICカード2が挿入されたと判断したときに、シャッタ5を開いてICカード2の進入規制を解除することで、ICカード2だけが本体内部1aに進入可能となるため、ICカード2が挿入口1cに挿入された場合にのみ、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理を行うことが可能となり、また、挿入口1cから本体内部1aへの異物の進入を防止することが可能となる。
図17および図18は、本発明の第2実施形態を示す図である。なお、図17および図18は、図1に示す挿入部1bをF方向に見た断面図を示している。従って、図17および図18では、紙面に対して垂直に向かう方向がICカード2の挿入方向Fである。また、図17および図18では、前述の図1〜図3と同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、IC接点検出センサ4は、図17に示すようにICカード2が表面をIC接点ブロック8(図1)に対向可能な姿勢(表面を上方向Uに向けた姿勢)で挿入口1cに挿入された場合に、当該IC接点検出センサ4からIC接点2cまでの最短距離H1が、IC接点2cの検出範囲内(H1≦H)であり、かつ、図18に示すようにICカード2が裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で挿入口1cに挿入された場合に、当該IC接点検出センサ4からIC接点2cまでの最短距離H2が、IC接点2cの検出範囲外(H2>H)であるU、D方向の位置に設けられている。なお、IC接点検出センサ4がIC接点2cを検出する検出範囲Hは、センサ4が弱磁性体を検出することができる弱磁性体の検出範囲と同一に設定してもよいし、弱磁性体の検出範囲内にある所定の領域に設定してもよい。具体的には、検出範囲Hを弱磁性体の検出範囲と同一に設定する場合は、センサ4に弱磁性体を接近させて行って、センサ4の発振周波数が通常時(何も接近していないとき)よりも高くなったときのセンサ4と弱磁性体との間隔を検出範囲Hとして設定すればよい。また、検出範囲Hを弱磁性体の検出範囲範囲内にある所定の領域に設定する場合は、通常時のセンサ4の発振周波数よりも高い下限のしきい値と上限のしきい値とを設け、センサ4に弱磁性体を接近させて行って、センサ4の発振周波数が下限のしきい値よりも高くなったときのセンサ4と弱磁性体との間隔から、センサ4の発振周波数が上限のしきい値よりも低くなったときのセンサ4と弱磁性体との間隔を減算した領域を検出範囲Hとして設定すればよい。上述したU、D方向の位置に加え、IC接点検出センサ4は、図7(a)に示したように、シャッタ5からIC接点検出センサ4のF方向側の端部4aまでの距離Y1が、ICカード2の前端部2aからIC接点2cの後端部2fまでの距離X1を上回る(Y1>X1)F、B方向の位置に設けられている。
挿入口1cにICカード2が表面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で挿入される場合は、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図17に示す時点T2の状態になると、IC接点検出センサ4が直下に位置するICカード2のIC接点2cを検出して、例えば図11に示したようにOFF状態からON状態に切り替わる。そして、時点T2から所定時間t1が経過した時点T3では、IC接点2cがIC接点検出センサ4の直下を通り過ぎているため、IC接点検出センサ4は、図11に示したように時点T3の直前でIC接点2cを検出しなくなってON状態からOFF状態に切り替わる。
一方、挿入口1cにICカード2が裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で挿入される場合には、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図18に示す時点T2の状態になっても、IC接点検出センサ4は直下に位置するICカード2のIC接点2cを検出することはなく、例えば図16に示したようにOFF状態のままである。この後、IC接点検出センサ4は、ICカード2の前端部2aがシャッタ5に突き当たった状態になっても、IC接点2cを検出することはなく、図16に示したようにOFF状態を維持し続ける。
上述したように第2実施形態では、ICカード2が表面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で挿入口1cに挿入された場合は、IC接点検出センサ4が時点T2のタイミングでICカード2のIC接点2cを検出してON状態になり、その後時点T3の直前のタイミングでIC接点2cを検出しなくなってOFF状態になるので、図6のフローチャートにより、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断することができる。この結果、図5のフローチャートにより、シャッタ5が開かれてICカードの進入規制が解除され、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理を行うことが可能となる。また、ICカード2が裏面をIC接点ブロック8に対向可能な姿勢で挿入口1cに挿入された場合には、IC接点検出センサ4がOFF状態のままで一向にON状態にならないので、図6のフローチャートにより、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断されることはない。この結果、シャッタ5が開かれてICカードの進入規制が解除されることはなく、IC接点ブロック8と通信部14によってICカード2に対する処理が行われることもない。
図19〜図24は、本発明の第3実施形態を示す図である。なお、図20および図21では、前述の図1〜図3と、同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)を、IC接点検出センサ4と前述のカード幅検出センサ3のそれぞれの検出状態の時間的変化に基づいてICカード2が挿入されたか否かを判断する図19のフローチャートに従って実行する。また、本実施形態では、図20(a)に示すように、IC接点検出センサ4のB方向側の端部4bとカード幅検出センサ3のアクチュエータ3aとを、ICカード2の挿入方向Fに対して垂直な直線Q上に並べることにより、IC接点検出センサ4とカード幅検出センサ3とを、ICカード2の挿入方向Fに間隔を空けないように挿入部1bに設けている。
挿入口1cにICカード2が挿入される場合は、図20(a)に示すようにICカード2の挿入前の時点T4では、カード幅検出センサ3とIC接点検出センサ4とは、どちらも何も検出しておらず、図22に示すようにOFF状態のままである。図20(a)の状態から、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図20(b)に示す時点T5の状態になると、ICカード2がカード幅検出センサ3のアクチュエータ3aに接触して、アクチュエータ3aがL方向側に押される。このため、カード幅検出センサ3はICカード2を検出して、図22に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態になったので(図19のステップS31:YES)、このときIC接点検出センサ4がOFF状態であるか否かを確認する(ステップS32)。時点T5では、図20(b)に示すようにIC接点検出センサ4の直下にICカード2のIC接点2cが位置していないので、IC接点検出センサ4は、図22に示すようにOFF状態を維持したまま、OFF信号を制御部11に出力している。このため、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態であるので(図19のステップS32:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS33)。
その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t2を経過すると(ステップS34:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS35)、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がON状態になっているか否かを確認する(ステップS36)。なお、所定時間t2は、利用者が所定の速度で挿入口1cからICカード2を挿入して、ICカード2の前端部2aがシャッタ5に突き当たるまでにかかる時間よりも短い時間に設定されている。時点T5から所定時間t2が経過した時点T6では、図20(c)に示すように、カード幅検出センサ3のアクチュエータ3aが引き続きICカード2によってL方向側へ押されているため、カード幅検出センサ3は、図22に示すようにON状態を維持したまま、ON信号を制御部11に出力している。また、時点T6では、図20(c)に示すように、IC接点検出センサ4の直下に既にICカード2のIC接点2cが位置しているため、IC接点検出センサ4は、図22に示すように時点T6の直前でIC接点2cの前端部2eを検出してOFF状態からON状態に切り替わっていて、時点T6ではON信号を制御部11に出力している。よって、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がON状態になっているので(図19のステップS36:YES)、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断し(ステップS37)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上述したようにICカード挿入判定処理でICカードが挿入されたと判断しているので(ステップS2:YES)、ステップS3へ移行し、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を開く。これにより、ICカード2の本体内部1aの進入規制が解除されて、ICカード2が本体内部1aへ挿入されて行く。この後は、前述した手順と同様にしてステップS4〜ステップS15の各処理を実行し、ICカード2に対する処理を終了する。
一方、挿入口1cに異物としてアルミニウム板51が挿入される場合は、図21(a)に示すようにアルミニウム板51の挿入前の時点T4では、カード幅検出センサ3とIC接点検出センサ4とは、どちらも何も検出しておらず、図23に示すようにOFF状態のままである。図21(a)の状態から、挿入口1cにアルミニウム板51がF方向に挿入されて行って、図21(b)に示す時点T5の状態になると、アルミニウム板51がカード幅検出センサ3のアクチュエータ3aに接触して、アクチュエータ3aがL方向側に押される。このため、カード幅検出センサ3はアルミニウム板51を検出して、図23に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態になったので(図19のステップS31:YES)、このときIC接点検出センサ4がOFF状態であるか否かを確認する(ステップS32)。時点T5では、図21(b)に示すようにIC接点検出センサ4の直下にアルミニウム板51のF方向側の端部が位置しているので、IC接点検出センサ4はアルミニウム板51を検出して、図23に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態ではないので(図19のステップS32:NO)、挿入口1cに異物が挿入されたと判断し(ステップS38)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上記のようにICカード挿入判定処理でICカード2が挿入されたとは判断していないので(ステップS2:NO)、ステップS3〜ステップS15の各処理を実行することなく、即座に処理を終了する。
また、挿入口1cに異物として鉄板52または非対応カード53が挿入される場合は、図21(a)に示すように鉄板52または非対応カード53の挿入前の時点T4では、カード幅検出センサ3とIC接点検出センサ4とは、どちらも何も検出しておらず、図24に示すようにOFF状態のままである。図21(a)の状態から、挿入口1cに鉄板52または非対応カード53がF方向に挿入されて行って、図21(b)に示す時点T5の状態になると、鉄板52または非対応カード53がカード幅検出センサ3のアクチュエータ3aに接触して、アクチュエータ3aがL方向側に押される。このため、カード幅検出センサ3は鉄板52または非対応カード53を検出して、図24に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態になったので(図19のステップS31:YES)、このとき、IC接点検出センサ4がOFF状態であるか否かを確認する(ステップS32)。時点T5では、図21(b)に示すようにIC接点検出センサ4の直下に鉄板52または非対応カード53のF方向側の端部が位置しているが、IC接点検出センサ4は鉄板52または非対応カード53を検出することはなく、図24に示すようにOFF状態を維持して、OFF信号を制御部11に出力し続ける。これにより、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態であるので(図19のステップS32:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS33)。
その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t2を経過すると(ステップS34:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS35)、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がON状態になっているか否かを確認する(ステップS36)。時点T5から所定時間t2が経過した時点T6では、図21(c)に示すように、カード幅検出センサ3のアクチュエータ3aが引き続き鉄板52または非対応カード53によってL方向側へ押されているため、カード幅検出センサ3は、図24に示すようにON状態を維持したまま、ON信号を制御部11に出力している。また、時点T6では、図21(c)に示すように、IC接点検出センサ4の直下に鉄板52または非対応カード53が位置しているが、IC接点検出センサ4は鉄板52または非対応カード53を検出することはなく、図24に示すようにOFF状態を維持して、OFF信号を制御部11に出力し続ける。よって、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態であるが、IC接点検出センサ4がON状態になっていないので(図19のステップS36:NO)、挿入口1cに異物または非対応カードが挿入されたと判断し(ステップS38)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上記のようにICカード挿入判定処理でICカード2が挿入されたとは判断していないので(ステップS2:NO)、ステップS3〜ステップS15の各処理を実行することなく、即座に処理を終了する。
上述したように第3実施形態では、挿入口1cにICカード2が挿入された場合は、カード幅検出センサ3が時点T5のタイミングでICカード2を検出してON状態となった後に、IC接点検出センサ4が時点T6の直前のタイミングでICカード2のIC接点2cを検出してON状態となるので、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断することができる。また、挿入口1cにアルミニウム板51が挿入された場合には、カード幅検出センサ3が時点T5のタイミングでICカード2を検出してON状態になると同時に、IC接点検出センサ4がIC接点2cを検出してON状態となるので、挿入口1cにICカード2ではなく異物が挿入されたと判断することができる。さらに、挿入口1cに鉄板52または非対応カード53が挿入された場合には、カード幅検出センサ3が時点T5のタイミングでICカード2を検出してON状態となった後に、IC接点検出センサ4がOFF状態のまま一向にON状態にならないので、挿入口1cにICカード2ではなく異物または非対応カードが挿入されたと判断することができる。
図25および図26は、本発明の第4実施形態を示す図である。なお、図25では、前述の図1〜図3と同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、図25(a)に示すように、ICカード2の挿入方向Fに向かって手前にIC接点検出センサ4を、奥にカード幅検出センサ3をそれぞれ挿入部1bに設けている。また、カード幅検出センサ3のアクチュエータ3aとIC接点検出センサ4のB方向側の端部4bとのF、B方向の間隔Zが、ICカード2の前端部2aからIC接点2cの前端部2eまでの距離X5未満(Z<X5)となるように、IC接点検出センサ4とカード幅検出センサ3とを挿入部1bに設けている。
上記のようにIC接点検出センサ4とカード幅検出センサ3とを挿入部1bに設けた場合も、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)を、図19のフローチャートに従って実行する。例えば、挿入口1cにICカード2が挿入される場合は、図25(a)に示すようにICカード2の挿入前の時点T4では、カード幅検出センサ3とIC接点検出センサ4とは、どちらも何も検出しておらず、図28に示すようにOFF状態のままである。図25(a)の状態から、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図25(b)に示す時点T5の状態になると、アクチュエータ3aがICカード2によってL方向側に押されるため、カード幅検出センサ3はICカード2を検出して、図26に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態になったので(図19のステップS31:YES)、このとき、IC接点検出センサ4がOFF状態であるか否かを確認する(ステップS32)。時点T5では、図25(b)に示すようにIC接点検出センサ4の直下にICカード2のIC接点2cが位置していないので、IC接点検出センサ4は、図26に示すようにOFF状態を維持したまま、OFF信号を制御部11に出力している。このため、制御部11は、IC接点検出センサ4がOFF状態であるので(図19のステップS32:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS33)。
その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t2を経過すると(ステップS34:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS35)、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がON状態になっているか否かを確認する(ステップS36)。時点T5から所定時間t2が経過した時点T6では、図25(c)に示すように、カード幅検出センサ3のアクチュエータ3aが引き続きICカード2によってL方向側へ押されているため、カード幅検出センサ3は、図26に示すようにON状態を維持したまま、ON信号を制御部11に出力している。また、時点T6では、図25(c)に示すように、IC接点検出センサ4の直下に既にICカード2のIC接点2cが位置しているため、IC接点検出センサ4は、図26に示すように時点T5の直後でIC接点2cの前端部2eを検出してOFF状態からON状態に切り替わっていて、時点T6ではON信号を制御部11に出力している。よって、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がON状態になっているので(図19のステップS36:YES)、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断し(ステップS37)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上述したようにICカード挿入判定処理でICカードが挿入されたと判断しているので(ステップS2:YES)、ステップS3へ移行し、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を開く。これにより、ICカード2の本体内部1aの進入規制が解除されて、ICカード2が本体内部1aへ挿入されて行く。この後は、前述した手順と同様にしてステップS4〜ステップS15の各処理を実行し、ICカード2に対する処理を終了する。
上述したように第4実施形態では、ICカード2の挿入方向Fに向かって手前にIC接点検出センサ4を、奥にカード幅検出センサ3を間隔Zを空けて設けた場合にも、挿入口1cにICカード2が挿入されると、カード幅検出センサ3が時点T5のタイミングでICカード2を検出してON状態となった後に、IC接点検出センサ4が時点T6よりも早いタイミングでICカード2のIC接点2cを検出してON状態となるので、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断することができる。なお、挿入口1cにアルミニウム板51、鉄板52、または非対応カード53が挿入された場合には、第3実施形態で説明したのと同様に、カード幅検出センサ3が時点T5のタイミングでON状態になっても、IC接点検出センサ4がカード幅検出センサ3よりも遅いタイミングでON状態にならないので、挿入口1cにICカードが挿入されていないと判定することができる。
図27〜図29は、本発明の第5実施形態を示す図である。なお、図28では、前述の図1〜図3と、同一部分には同一符号を付してある。本実施形態では、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)を、IC接点検出センサ4とカード幅検出センサ3のそれぞれの検出状態の時間的変化に基づいてICカード2が挿入されたか否かを判断する図27のフローチャートに従って実行する。また、本実施形態では、IC接点検出センサ4は、図28(a)に示すように、シャッタ5からIC接点検出センサ4のF方向側の端部4aまでの距離Y1が、ICカード2の前端部2aからIC接点2cの後端部2fまでの距離X1を越える(Y1>X1)位置に設けられている。
挿入口1cにICカード2が挿入される場合は、図28(a)に示すようにICカード2の挿入前の時点T7では、カード幅検出センサ3とIC接点検出センサ4とは、どちらも何も検出しておらず、図29に示すようにOFF状態のままである。図28(a)の状態から、挿入口1cにICカード2がF方向に挿入されて行って、図28(b)に示す時点T8の状態になると、IC接点検出センサ4の直下に既にICカード2のIC接点2cが位置しているため、IC接点検出センサ4は、図29に示すように時点T8よりも前でIC接点2cの前端部2eを検出してOFF状態からON状態に切り替わっていて、時点T8ではON信号を制御部11に出力している。また、時点8では、図28(b)に示すようにカード幅検出センサ3のアクチュエータ3aがICカード2によってL方向側に押されるため、カード幅検出センサ3はICカード2を検出して、図29に示すようにOFF状態からON状態に切り替わり、ON信号を制御部11に出力する。よって、制御部11は、IC接点検出センサ4がON状態であり、かつカード幅検出センサ3がON状態になったので(図27のステップS41:YES)、前述のタイマ13によって時間の計測を開始する(ステップS42)。
その後、タイマ13により計測している時間が所定時間t3を経過すると(ステップS43:YES)、制御部11は、タイマ13を停止して(ステップS44)、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がOFF状態になっているか否かを確認する(ステップS45)。なお、所定時間t3は、利用者が所定の速度で挿入口1cからICカード2を挿入して、ICカード2の前端部2aがシャッタ5に突き当たるまでにかかる時間よりも短い時間に設定されている。時点T8から所定時間t3が経過した時点T9では、図28(c)に示すように、カード幅検出センサ3のアクチュエータ3aが引き続きICカード2によってL方向側へ押されているため、カード幅検出センサ3は、図29に示すようにON状態を維持したまま、ON信号を制御部11に出力している。また、時点T9では、図28(c)に示すようにIC接点検出センサ4の直下をIC接点2cが既に通り過ぎているため、IC接点検出センサ4は、図29に示すように時点T9の直前でIC接点2cの後端部2fを検出してON状態からOFF状態に切り替わっていて、時点T9ではOFF信号を制御部11に出力している。よって、制御部11は、カード幅検出センサ3がON状態でありかつIC接点検出センサ4がOFF状態になっているので(図27のステップS45:YES)、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断し(ステップS46)、ICカード挿入判定処理を終了して、図5のステップS2へ移行する。図5のステップS2に移行すると、制御部11は、上述したようにICカード挿入判定処理でICカードが挿入されたと判断しているので(ステップS2:YES)、ステップS3へ移行し、ソレノイド16を駆動してシャッタ5を開く。これにより、ICカード2の本体内部1aの進入規制が解除されて、ICカード2が本体内部1aへ挿入されて行く。この後は、前述した手順と同様にしてステップS4〜ステップS15の各処理を実行し、ICカード2に対する処理を終了する。
上述したように第5実施形態では、挿入口1cにICカード2が挿入された場合は、IC接点検出センサ4がICカード2のIC接点2cを検出してON状態になり、かつカード幅検出センサ3がICカード2を検出してON状態になった後に、時点T9のタイミングでカード幅検出センサ3がON状態のまま、IC接点検出センサ4がIC接点2cを検出しなくなってOFF状態になっているので、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判定することができる。なお、挿入口1cにアルミニウム板51が挿入された場合には、IC接点検出センサ4がアルミニウム板51を検出してON状態になり、かつカード幅検出センサ3がアルミニウム板51検出してON状態になった後に、時点T9のタイミングでカード幅検出センサ3はON状態のままであるが、IC接点検出センサ4がアルミニウム板51を検出しなくなってOFF状態になることはないので(図27のステップS45:NO)、挿入口1cに異物が挿入されたと判断することができる(ステップS47)。また、挿入口1cに鉄板52または非対応カード53が挿入された場合には、カード幅検出センサ3は鉄板52または非対応カード53を検出してON状態になるが、IC接点検出センサ4は鉄板52または非対応カード53を検出せず、一向にON状態にならないので(ステップS41:NO)、挿入口1cにICカード2が挿入されたと判断されることはない。
以上述べた実施形態においては、ICカード2のIC接点2cの有無を検出するIC接点検出手段として、周波数発振型の近接センサから構成されるIC接点検出センサ4を用いた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、IC接点検出手段として、例えばホール素子と磁石や、磁気抵抗素子と磁石や、サーチコイル、磁気インダクタンス素子、磁気インピーダンス素子等を用いてもよい。また、磁石として電磁石を用いてもよい。つまり、IC接点検出手段は、挿入口1c近傍でICカード2のIC接点2cを構成する金属を検出することができるものであればよい。
また、以上の実施形態では、所定の幅を有する物体を検出する幅検出手段として、リミットスイッチから構成されるカード幅検出センサ3を用いた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、幅検出手段として、例えばフォトインタラプタ等を用いてもよい。つまり、幅検出手段は、挿入口1c近傍でICカード2の幅W2のような所定の幅を有する物体を検出することができるものであればよい。
また、以上の実施形態では、挿入口1cに挿入されたICカード2の本体内部1aへの進入を規制する規制手段として、シャッタ5を用いた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、規制手段として、例えば通路1dに突出して通路1dを閉塞するストッパを用いてもよい。また、ICカード2の搬送時以外には回転せずにカードの通行を禁止するカード搬送用のローラを用いてもよい。つまり、規制手段は、ICカード2や異物が挿入口1cから本体内部1aへ進入するのを規制することができるものであればよい。
また、第1および第2の実施形態では、図5のICカード挿入判定処理(ステップS1)を、図6のフローチャートに従って実行する場合を例に挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、図6のフローチャートに代えて、図19のフローチャートや図27のフローチャートに従って実行するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、IC接点2cとICチップ2dのみを備えたICカード2専用のICカード処理装置10に、本発明を適用した場合を例に挙げているが、本発明はこれ以外にも、IC接点とICチップと磁気ストライプとを備えたハイブリッドICカードを処理可能なICカード処理装置や、IC接点とICチップと非接触ICチップとを備えたハイブリッドICカードを処理可能なICカード処理装置のような、各種のICカード処理装置に適用することが可能である。