ところで、前述した従来の白色発光ダイオードは、図17に示す発光特性を有している。すなわち、従来の白色発光ダイオードは、図17に示すように、青色発光ダイオードからの青色発光とYAG蛍光体からの黄色発光とが混合されることにより、白色発光を実現しているが、図17から明らかなように、白色発光ダイオードの発光スペクトルにおける赤色発光成分が少ないために、演色性に劣る白色発光しか得られていないという問題があった。
前記に鑑み、本発明の目的は、演色性に優れた白色発光が可能な蛍光体及び半導体発光素子並びにこれらの製造方法を提供することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る蛍光体は、青色又は紫外発光が可能な発光ダイオードによる励起によって白色発光を生じる蛍光体であって、可視光を透過し得る基板と、基板の上に形成された半導体層とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る蛍光体によると、発光ダイオードからの青色又は紫外光により、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る蛍光体において、基板における半導体層が形成されている面とは反対側の面又は半導体層における基板が形成されている面とは反対側の面の上に形成された蛍光材料よりなる蛍光層をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、蛍光層を組み合わせることにより、例えば発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に蛍光層から黄色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。また、例えば、発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に蛍光層から緑色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る蛍光体において、蛍光層は、第1の蛍光層及び第2の蛍光層を少なくとも含み、第1の蛍光層及び第2の蛍光層の各々は、発光ダイオードによる励起によって互いに異なる中心波長を有する発光を生じることが好ましい。
このようにすると、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、第1の蛍光層及び第2の蛍光層の各々からそれぞれ緑色発光及び青色発光が可能であるので、発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る蛍光体において、第1の蛍光層は、Mnが添加されたZn2SiO4、Mnが添加されたBaAl12O19、Tbが添加されたCeMgAl11、Eu2+及びMn2+が添加されたBaMgAl10O17、又はCe3+及びTb3+が添加されたY2SiO5よりなり、第2の蛍光層は、Euが添加されたBaMgAl14O23、YP0.85V0.15O4、Euが添加されたBaMg2Al14、Eu2+が添加された(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2、又はEu2+が添加されたBaMgAl10O17よりなることが好ましい。
このようにすると、第1の蛍光層からは緑色発光が生じ、第2の蛍光層からは青色発光が生じる。
本発明に係る蛍光体において、蛍光層は、YAG蛍光体よりなる単層、又は少なくともYAG蛍光体を含む複数層よりなることが好ましい。
このようにすると、蛍光層からより高輝度の黄色発光が生じるので、例えば発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る蛍光体において、半導体層は、発光ダイオードによる励起によって赤色発光を生じることが好ましい。
このようにすると、演色性に優れた白色発光を実現できる。
本発明に係る蛍光体において、半導体層は、InGaAlPよりなることが好ましい。
このようにすると、発光ダイオードからの青色又は紫外発光により、半導体層からより高輝度の赤色発光が生じる。
本発明に係る蛍光体において、半導体層は、第1の半導体層及び第2の半導体層を少なくとも含み、第1の半導体層は、発光ダイオードによる励起によって赤色発光を生じ、第2の半導体層は、発光ダイオードによる励起によって緑色発光を生じることが好ましい。
このようにすると、白色発光を生じるダイオードにおける赤色及び緑色発光が強くなるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る蛍光体において、第1の半導体層は、InGaAlPよりなり、第2の半導体層は、ZnMgSSeよりなることが好ましい。
このようにすると、第1の半導体層からより高輝度の赤色発光が生じ、第2の半導体層からより高輝度の緑色発光が生じる。
本発明に係る蛍光体において、可視光を透過し得る基板は、石英基板、ガラス基板、又はサファイア基板であることが好ましい。
。
本発明に係る第1の半導体発光素子は、白色発光を生じる半導体発光素子であって、青色又は紫外発光が可能な発光ダイオードチップと、発光ダイオードチップからの発光が透過可能な位置に配置された可視光を透過し得る基板及び該基板上に形成された半導体層よりなる蛍光体とを備え、発光ダイオードチップと蛍光体とは、1つのパッケージに実装されていることを特徴とする。
本発明に係る第1の半導体発光素子によると、発光ダイオードチップからの青色又は紫外発光により、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第1の半導体発光素子において、蛍光体は、基板における半導体層が形成されている面とは反対側の面又は半導体層における基板が形成されている面とは反対側の面の上に形成された蛍光材料よりなる蛍光層をさらに備えていることが好ましい。
このようにすると、蛍光層を組み合わせることにより、例えば発光ダイオードチップから青色発光が生じる場合には、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に蛍光層から黄色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。また、例えば、発光ダイオードチップから紫外発光が生じる場合には、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に蛍光層から緑色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第2の半導体発光素子は、白色発光を生じる半導体発光素子であって、基板上に形成された、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードと、ダイオード上に形成された、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極と、透明電極上に形成された半導体層と、半導体層の上に形成された蛍光材料よりなる蛍光層とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第2の半導体発光素子によると、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第2の半導体発光素子において、透明電極は、ITO材料よりなることが好ましい。
このようにすると、透明電極は透過率が大きいため、透明電極の膜厚ばらつきにより発光強度が変化することがないので、高輝度及び高演色性を有する白色発光ダイオードを再現性よく実現できる。
本発明に係る第3の半導体発光素子は、白色発光を生じる半導体発光素子であって、基板上に形成された、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードと、ダイオード上に形成された、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極と、透明電極上に形成された、互いに異なる組成を有する複数の半導体層とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第3の半導体発光素子によると、組成が互いに異なる複数の半導体層の各々からそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第3の半導体発光素子において、透明電極は、ITO材料よりなることが好ましい。
このようにすると、透明電極は透過率が大きいため、透明電極の膜厚ばらつきにより発光強度が変化することがないので、高輝度及び高演色性を有する白色発光ダイオードを再現性よく実現できる。
本発明に係る第4の半導体発光素子は、白色発光を生じる半導体発光素子であって、InGaANよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードと、ダイオード上に形成された、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極と、透明電極上に形成された半導体層と、半導体層の上に形成された、ダイオード及び半導体層からの発光を透過し得る基板と、基板上に形成された蛍光材料よりなる蛍光層とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第4の半導体発光素子によると、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第4の半導体発光素子において、ダイオードにおける透明電極が形成されている面とは反対側の面の上に形成された電極をさらに備え、電極は、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなることが好ましい。
このようにすると、高反射特性を有する電極を実現できるため、ダイオードからの発光は高反射電極で反射されるので、より高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第5の半導体発光素子は、白色発光を生じる半導体発光素子であって、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードと、ダイオード上に形成された、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極と、透明電極上に形成された、互いに異なる組成を有する複数の半導体層と、複数の半導体層の上に形成された、ダイオード及び複数の半導体層からの発光を透過し得る基板とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第5の半導体発光素子によると、組成の異なる複数の半導体層の各々からはそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第5の半導体発光素子において、ダイオードにおける透明電極が形成されている面と反対側の面の上に形成された電極をさらに備え、電極は、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなることが好ましい。
このようにすると、高反射特性を有する電極を実現できるため、ダイオードからの発光は高反射電極で反射されるので、より高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の蛍光体の製造方法は、青色又は紫外発光が可能な発光ダイオードによる励起によって白色発光を生じる蛍光体の製造方法であって、単結晶よりなる第1の基板の上に半導体層を形成した後に、半導体層における第1の基板が形成されている面とは反対側の面の上に可視光を透過し得る第2の基板を接着する工程と、第1の基板を半導体層から分離する工程と、第2の基板における半導体層が形成されている面とは反対側の面又は半導体層における第2の基板が形成されている面とは反対側の面の上に、蛍光材料よりなる蛍光層を形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明に係る第1の蛍光体の製造方法によると、単結晶基板上に形成された半導体層は結晶性に優れるので、半導体層から例えば高輝度の赤色発光が可能になる。この場合、例えば発光ダイオードから青色発光が生じて蛍光層を励起すると、蛍光層から黄色発光が生じるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の蛍光体の製造方法において、蛍光層を形成する工程は、第1の蛍光層及び第2の蛍光層を少なくとも形成する工程を含み、第1の蛍光層及び第2の蛍光層の各々は、発光ダイオードによる励起によって互いに異なる中心波長を有する発光を生じることが好ましい。
このようにすると、単結晶基板上に形成された半導体層は結晶性に優れるので、半導体層から高輝度の赤色発光が可能になる。この場合、第1及び第2の蛍光層の各々からはそれぞれ青色及び緑色発光が可能であり、例えば発光ダイオードより紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法は、青色又は紫外発光が可能な発光ダイオードによる励起によって白色発光を生じる蛍光体の製造方法であって、単結晶よりなる第1の基板上に複数の半導体層を形成する工程と、複数の半導体層における第1の基板が形成されている側の面とは反対側の面の上に可視光を透過し得る第2の基板を接着する工程と、第1の基板を複数の半導体層から分離する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法によると、単結晶基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層の各々は結晶性に優れるので、それぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能である。この場合、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法において、複数の半導体層を形成する工程は、発光ダイオードによる励起によって、赤色発光を生じる第1の半導体層と緑色発光を生じる第2の半導体層とを少なくとも形成する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、白色発光ダイオードの赤色及び緑色発光が強くなるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法において、第1の基板は、GaAsよりなり、第1の半導体層は、InGaAlPよりなり、第2の半導体層は、ZnMgSSeよりなることが好ましい。
このようにすると、GaAs基板上には結晶性に優れたInGaAlP層の形成が可能になるため、InGaAlP層から高輝度の赤色発光を得ることが可能になるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。また、GaAs基板上には結晶性に優れたInGaAlP層及びZnMgSSe層の形成が可能になるため、InGaAlP層からより高輝度の赤色及び緑色発光を得ることが可能になると共にZnMgSSe層から青色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法において、第1の半導体層及び第2の半導体層の少なくとも一方は、第1の基板と格子整合が可能な組成を有していることが好ましい。
このようにすると、GaAs基板上には格子整合されて結晶性に優れたInGaAlP層を形成できるため、InGaAlP層から高輝度の赤色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。また、GaAs基板上には格子整合されて結晶性に優れたInGaAlP層及びZnMgSSe層を形成できるため、InGaAlP層からより高輝度の赤色及び緑色発光を得ることができると共にZnMgSSe層から青色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の半導体発光素子の製造方法は、白色発光を生じる半導体発光素子の製造方法であって、第1の基板上に、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードを形成する工程と、ダイオードにおける第1の基板が形成されている面とは反対側の面の上に、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極を形成する工程と、単結晶よりなる第2の基板上に半導体層を形成する工程と、透明電極におけるダイオードが形成されている面とは反対側の面と、半導体層における第2の基板が形成されている面とは反対側の面とを接着させる工程と、第2の基板を半導体層から分離する工程と、半導体層における透明電極が存在していている面とは反対側の面の上に、蛍光材料よりなる蛍光層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第1の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶よりなる第2の基板上には結晶性に優れた半導体層を形成できるため、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の半導体発光素子の製造方法において、蛍光層は、YAG蛍光体よりなる単層、又は少なくともYAG蛍光体を含む複数層よりなることが好ましい。
このようにすると、蛍光層からより高輝度の黄色発光を得ることができるので、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の半導体発光素子の製造方法は、白色発光を生じる半導体発光素子の製造方法であって、第1の基板上に、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードを形成する工程と、ダイオードにおける第1の基板が形成されている面とは反対側の面の上に、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極を形成する工程と、単結晶よりなる第2の基板上に複数の半導体層を形成する工程と、透明電極におけるダイオードが形成されている面とは反対側の面と、複数の半導体層における第2の基板が形成されている面とは反対側の面とを接着させる工程と、第2の基板を複数の半導体層から分離する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第2の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶よりなる第2の基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層は結晶性に優れるため、各々の半導体層からそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1又は第2の半導体発光素子の製造方法において、第1の基板は、サファイア、SiC、MgO、LiGaO2、LiAlO2、又はLiGaO2及びLiAlO2の混晶よりなることが好ましい。
このようにすると、InGaAlNよりなる活性層を含むダイオードの結晶性が向上するため、半導体層と蛍光層とを励起する発光ダイオードの輝度が向上するので、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオードを実現することが可能となる。
本発明に係る第3の半導体発光素子の製造方法は、白色発光を生じる半導体発光素子の製造方法であって、第1の基板上に、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードを形成する工程と、ダイオードにおける第1の基板が形成されている面とは反対側の面上に、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極を形成する工程と、単結晶よりなる第2の基板上に半導体層を形成する工程と、半導体層における第2の基板が形成されている面とは反対側の面上に、可視光を透過し得る第3の基板を接着させる工程と、第2の基板を前記半導体層から分離する工程と、透明電極におけるダイオードが形成されている面とは反対側の面と、半導体層における第3の基板が形成されている面とは反対側の面とを接着させる工程と、第1の基板をダイオードから分離する工程とを備え、第3の基板を形成する工程よりも後に、第3の基板における半導体層が形成されている面とは反対側の面の上に、蛍光材料よりなる蛍光層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る第3の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶基板上に形成された半導体層は結晶性に優れるために高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度でで演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第3の半導体発光素子の製造方法において、第1の基板をダイオードから分離する工程の後に、ダイオードにおける透明電極が形成されている面とは反対側の面の上に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる電極を形成する工程をさらに備えることが好ましい。
このようにすると、高反射特性を有する電極を実現できるため、ダイオードからの発光は高反射電極で反射されるので、より高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第4の半導体発光素子の製造方法は、白色発光を生じる半導体発光素子の製造方法であって、第1の基板上に、InGaAlNよりなる活性層を有する青色又は紫外発光が可能なダイオードを形成する工程と、ダイオードにおける第1の基板が形成されている面とは反対側の面の上に、ダイオードからの発光を透過し得る透明電極を形成する工程と、単結晶よりなる第2の基板上に、複数の半導体層を形成する工程と、複数の半導体層における第2の基板が形成されている面とは反対側の面の上に、可視光を透過し得る第3の基板を接着する工程と、第2の基板を複数の半導体層から分離する工程と、透明電極におけるダイオードが形成されている面とは反対側の面と、複数の半導体層における第3の基板が形成されている面とは反対側の面とを接着させる工程と、第1の基板を前記ダイオードから分離する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る第4の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層は結晶性に優れるために高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えばダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第4の半導体発光素子の製造方法において、第1の基板を前記ダイオードから分離する工程の後に、ダイオードにおける透明電極が形成されている面とは反対側の面の上に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる電極を形成する工程をさらに備えることが好ましい。
このようにすると、高反射特性を有する電極を実現できるため、ダイオードからの発光は高反射電極で反射されるので、より高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第3又は第4の半導体発光素子の製造方法において、第1の基板をダイオードから分離する工程は、第1の基板における前記ダイオードが形成されている面とは反対側の面から光を照射することにより、第1の基板を除去する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、基板上に形成されたInGaAlN層を含むダイオードの一部分を光に照射することによって分解するこにより、大面積で再現性良く第1の基板をダイオードから分離することが可能となる。
本発明に係る第3又は第4の半導体発光素子の製造方法において、光の光源は、パルス状に発振するレーザであることが好ましい。
このようにすると、光の出力パワーを著しく増加させることができるので、第1の基板をダイオードから容易に分離できる。
本発明に係る第3又は第4の半導体発光素子の製造方法において、光の光源は、水銀灯の輝線であることが好ましい。
このようにすると、光パワーではレーザに劣るものの、スポットサイズを大きくできるので、第1の基板をダイオードから短時間で分離できる。
本発明に係る第3又は第4の半導体発光素子の製造方法において、第1の基板をダイオードから分離する工程は、第1の基板を研磨によって除去することにより、第1の基板を分離する工程を含むことが好ましい。
このようにすると、大面積であって且つ低コストにて、第1の基板をダイオードから分離することが可能となる。
本発明に係る蛍光体によると、発光ダイオードからの青色又は紫外光により、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の半導体発光素子によると、発光ダイオードチップからの青色又は紫外発光により、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第2の半導体発光素子によると、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第3の半導体発光素子によると、組成が互いに異なる複数の半導体層の各々からそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を特殊なパッケージを用いることなく実現することが可能となる。
本発明に係る第4の半導体発光素子によると、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第5の半導体発光素子によると、組成の異なる複数の半導体層の各々からはそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の蛍光体の製造方法によると、単結晶基板上に形成された半導体層は結晶性に優れるので、半導体層から例えば高輝度の赤色発光が可能になる。この場合、例えば発光ダイオードから青色発光が生じて蛍光層を励起すると、蛍光層から黄色発光が生じるので、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の蛍光体の製造方法によると、単結晶基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層の各々は結晶性に優れるので、それぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能である。この場合、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第1の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶よりなる第2の基板上には結晶性に優れた半導体層を形成できるため、半導体層から高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第2の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶よりなる第2の基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層は結晶性に優れるため、各々の半導体層からそれぞれ高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えば発光ダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第3の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶基板上に形成された半導体層は結晶性に優れるために高輝度の赤色発光が可能であると共に、蛍光層から黄色発光が可能であるので、例えば、発光ダイオードから青色発光が生じる場合には、高輝度でで演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
本発明に係る第4の半導体発光素子の製造方法によると、単結晶基板上に形成された組成が互いに異なる複数の半導体層は結晶性に優れるために高輝度の赤色、緑色及び青色発光が可能であるので、例えばダイオードから紫外発光が生じる場合には、高輝度で演色性に優れた白色発光ダイオード構造を実現することが可能となる。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の各実施形態において、InGaAlPとは、ある組成のInx1Ga1−x1−y1Aly1P(但し、0≦x1≦1、0≦y1≦1)を表しており、InGaAlNとは、ある組成のInx2Ga1−x2−y2Aly2N(但し、0≦x2≦1、0≦y2≦1)を表している。また、ZnMgSSeとは、ある組成のZn1−x3Mgx3Sy3Se1−y3(但し、0≦x3≦1、0≦y3≦1)を表している。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光体について、図1、図2、及び図3(a)〜(e)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第1の実施形態に係る発光体の構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る発光体と該発光体を励起するために用いる青色発光ダイオードとが示された断面図である。
図1に示すように、石英基板2の主面の一方には、青色発光ダイオード4による励起によって赤色発光するアンドープのInGaAlP層1が貼り合わせられており、石英基板2の主面の他方には、青色発光ダイオード4による励起によって黄色発光するYAG蛍光体3が形成されている。
このように、本発明の第1の実施形態に係る発光体は、InGaAlP層1、石英基板2、及びYAG蛍光体3よりなる構造を有している。
ここで、InGaAlP層1は、例えばIn0.49Ga0.51P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色発光する。また、InGaAlP層1をIn0.49Ga0.51P層とすると、InGaAlP層1はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
このような構造を有する本発明の第1の実施形態に係る発光体に対して、高出力の青色発光ダイオード4から例えば470nmの波長を有する励起光を照射することにより、本発明の第1の実施形態に係る蛍光体は、図2に示すスペクトルを有する白色光を得ることができる。図2から明らかなように、発光スペクトルは、青色発光ダイオード4からの青色発光の透過分(波長470nm)と、YAG蛍光体3からの黄色発光(ピーク波長550nmと)、InGaAlP層1からの赤色発光(波長650nm)とによって構成されている。このため、本発明の第1の実施形態に係る発光体と青色発光ダイオード4とによって、白色光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
以上のように、本発明の第1の実施形態では、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオード4にて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
第2に、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とについて、図3(a)〜(e)を参照しながら説明する。
図3(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とを示す要部工程断面図である。なお、図3(a)〜(e)において、図1に示した構成要素と同様の部分には同一の符号を付している。
まず、図3(a)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープのInGaAlP層1を形成する。GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、InGaAlP層1はGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、ここでは、InGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.49Ga0.51P層よりなる。このようにすると、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
次に、図3(b)に示すように、InGaAlP層1上に接着するように、石英基板2をInGaAlP層1を有するGaAs基板5に貼り合わせる。ここで、石英基板2とInGaAlP層1とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
次に、図3(c)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、InGaAlP層1が石英基板2に接着した構造を得る。
次に、図3(d)に示すように、石英基板2におけるInGaAlP層1が形成されていない側の面上に、YAG蛍光体3を塗布する。ここでは、石英基板2の膜厚が例えば100μm以下になるように、YAG蛍光体3を塗布する前に、石英基板2を研磨して膜化しておいてもよい。このようにして、図1に示した蛍光体の構造を実現できる。
さらに、図3(e)に示すように、図3(e)に示した構造を有する蛍光体を例えば1mm角程度にダイシングした後、このダイシングされた蛍光体を例えば接着剤8などを用いてパッケージ7に接着すると共に、青色発光ダイオードチップ6をパッケージ7内に集積化する。これにより、図1における青色発光ダイオード4と同様に、青色発光ダイオードチップ6から例えば470nmの波長を有する青色発光による励起によって、InGaAlP層1から赤色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオードを得ることができる。
なお、本実施形態において、石英基板2の代わりにサファイア基板を用いてもよい。
また、本実施形態において、石英基板2と青色発光ダイオードチップ6とがパッケージ7内に集積化された構造である場合であっても、上述と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光体について、前述した図3(a)〜(e)、図4及び図5を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光体の構造について、図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る蛍光体と該蛍光体を励起するために用いる紫外発光ダイオードとが示された断面図である。
図4に示すように、石英基板2の主面の一方には、紫外発光ダイオード11による励起によって赤色発光するアンドープのInGaAlP層1が貼り合わせられており、石英基板2の主面の他方には、紫外発光ダイオード11による励起によって緑色発光する緑色発光蛍光体9及び紫外発光ダイオード11による励起によって青色発光する青色発光蛍光体10が順に形成されている。
ここで、緑色発光蛍光体9を構成する材料としては、Mnが添加されたZn2SiO4(Zn2SiO4:Mn) 、Mnが添加されたBaAl12O19(BaAl12O19:Mn)、Tbが添加されたCeMgAl11(CeMgAl11:Tb)、Eu2+及びMn2+が添加されたBaMgAl10O17(BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+)、又はCe3+及びTb3+が添加されたY2SiO5(Y2SiO5:Ce3+,Tb3+)を用いるとよい。
また、青色発光蛍光体10を構成する材料としては、Euが添加されたBaMgAl14O23(BaMgAl14O23:Eu)、YP0.85V0.15O4、Euが添加されたBaMg2Al14(BaMg2Al14:Eu)、Eu2+が添加された(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2((Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+)、又はEu2+が添加されたBaMgAl10O17(BaMgAl10O17:Eu2+)を用いるとよい。
このように、本発明の第2の実施形態に係る発光体は、InGaAlP層1、石英基板2、緑色発光蛍光体9、及び青色発光蛍光体10よりなる構造を有している。
ここで、InGaAlP層1は、第1の実施形態と同様に、例えばIn0.49Ga0.51P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色発光する。また、InGaAlP層1をIn0.49Ga0.51P層とすると、InGaAlP層1はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
このような構造を有する本発明の第2の実施形態に係る発光体に対して、高出力の紫外発光ダイオード11から例えば340nmの波長を有する励起光を照射することにより、本発明の第2の実施形態に係る蛍光体は、図5に示すスペクトルを有する白色光を得ることができる。図5から明らかなように、発光スペクトルは、ごく微少ではあるが紫外発光ダイオード11からの紫外光の透過分(波長340nm)と、緑色発光蛍光体9からの緑色発光(ピーク波長550nm)と、青色発光蛍光体10からの青色発光(ピーク波長470nm)と、InGaAlP層1からの赤色発光(波長650nm)とによって構成されている。このため、本発明の第2の実施形態に係る発光体と紫外発光ダイオード11とによって、白色光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
以上のように、本発明の第2の実施形態では、InGaAlP層1と緑色発光蛍光体9と青色発光蛍光体10とを紫外発光ダイオード11にて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いと共に青色緑色及び赤色の3色の出力バランスが良いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
第2に、図4に示した本発明の第2の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とについて説明する。
図4に示した本発明の第2の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とは、本発明の第1の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法と共通する部分が多いので、前述の図3(a)〜(e)を再度参照しながら説明する。
まず、前述した図3(a)〜(c)を用いた説明と同様にして、InGaAlP層1と石英基板2とが接着された構造を得る。
次に、前述した図3(d)に示すように、石英基板2におけるInGaAlP層1が形成されていない側の面上に、緑色発光蛍光体9及び青色発光蛍光体10を順に形成する。これにより、図4に示した蛍光体の構造を得ることができる。
さらに、前述した図3(e)に示すように、同図を用いた説明と同様に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光体をダイシングした後、このダイシングされた蛍光体を例えば接着剤8などを用いてパッケージ7に接着すると共に、紫外発光ダイオードチップをパッケージ7内に集積化する。これにより、図4における紫外発光ダイオード11と同様に、紫外発光ダイオードチップから例えば340nmの波長を有する紫外発光による励起によって、InGaAlP層1から赤色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオードを得ることができる。
なお、本実施形態において、石英基板2の代わりにサファイア基板を用いてもよい。
また、本実施形態において、石英基板2と紫外発光ダイオードチップとがパッケージ7内に集積化された構造である場合であっても、上述と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る蛍光体について、前述した図5、図6及び図7(a)〜(d)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第3の実施形態に係る蛍光体の構造について、図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る蛍光体と該蛍光体を励起するために用いる紫外発光ダイオードとが示された断面図である。
図6に示すように、石英基板2の主面を有する一方の面には、紫外発光ダイオード11による励起によって青色発光するZnMgSSe層14、紫外発光ダイオード11による励起によって緑色発光するアンドープの第2のInGaAlP層13、及び紫外発光ダイオードによる励起によって赤色発光するアンドープの第1のInGaAlP層12が順に形成されている。
このように、本発明の第3の実施形態に係る発光体は、石英基板2、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe層14よりなる構造を有している。
ここで、第1のInGaAlP層12は、例えばIn0.48Ga0.52P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色で発光する。また、第2のInGaAlP層13は、例えばIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、禁制体幅2.3eVを有し、550nmの波長を有する緑色で発光する。また、ZnMgSSe層14は、例えばZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなり、禁制体幅2.6eVを有し、470nmの波長を有する青色で発光する。
また、第1のInGaAlP層12をIn0.48Ga0.52P層とし、第2のInGaAlP層13をIn0.48Ga0.08Al0.04P層とし、ZnMgSSe層14をZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層とすると、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、各々の層は低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
このような構造を有する本発明の第3の実施形態に係る発光体に対して、高出力の紫外発光ダイオード11から例えば340nmの波長を有する励起光を照射することにより、本発明の第3の実施形態に係る蛍光体は、第2の実施形態と同様に、図5に示すスペクトルを有する白色光を得ることができる。図5から明らかなように、発光スペクトルは、紫外発光ダイオード11からの紫外発光の透過分(波長340nm)と、第1のInGaAlP層12からの赤色発光(波長650nm)と、第2のInGaAlP層13からの緑色発光(波長550nm)と、ZnMgSSe層14からの青色発光(波長470nm)とによって構成されている。このため、本発明の第3の実施形態に係る発光体と紫外発光ダイオード11とによって、白色光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態では、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオード4にて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いと共に青色緑色及び赤色の3色の出力バランスが良いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
第2に、図6に示した本発明の第3の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とについて、図7(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図7(a)〜(d)は、本発明の第3の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とを示す要部工程断面図である。なお、図7(a)〜(d)において、図6に示した構成要素と同様の部分には同一の符号を付している。
まず、図7(a)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープの第1のInGaAlP層12及びアンドープの第2のInGaAlP層13を順に形成する。さらに、第2のInGaAlP層13の上に、ZnMgSSe層14を形成する。
ここで、GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe層14は、いずれもGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、第1のInGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.52P層よりなり、第2のInGaAlP層13は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、ZnMgSSe層14は、約1μmの膜厚を有するZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなる。このようにすると、第1のInGaAlP層1、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14の各々の層は、低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
また、第1のInGaAlP層12は紫外光による励起によって赤色発光し、第2のInGaAlP層13は紫外光による励起によって緑色発光し、さらに、ZnMgSSe層14は紫外光の励起によって青色発光する。
次に、図7(b)に示すように、ZnMgSSe層14上に接着するように、石英基板2を、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14を有するGaAs基板5に貼り合わせる。ここで、石英基板2とZnMgSSe層14とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。
次に、図7(c)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14が石英基板2と接着された構造を得る。ここでは、石英基板2の膜厚が例えば100μm以下になるように、石英基板2を研磨して膜化しておいてもよい。このようにして、図6に示した蛍光体の構造を得ることができる。
さらに、図7(d)に示すように、図7(c)に示した構造を有する蛍光体を例えば1mm角程度にダイシングした後、このダイシングされた蛍光体を例えば接着剤8などを用いてパッケージ7に接着すると共に、紫外発光ダイオードチップ15をパッケージ7内に集積化する。これにより、図6における紫外発光ダイオード11と同様に、紫外発光ダイオードチップ15から例えば340nmの波長を有する紫外発光による励起によって、第1のInGaAlP層12から赤色発光を得ることができるので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
なお、本実施形態において、石英基板2の代わりにサファイア基板を用いてもよい。
また、本実施形態において、石英基板2と紫外発光ダイオードチップ15とがパッケージ7内に集積化された構造である場合であっても、上述と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子について、前述した図2、図8及び図9(a)〜(g)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の構造について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の構造を示す断面図であって、具体的には、YAG蛍光体とInGaAlPよりなる蛍光層と青色発光ダイオードとを組み合わせてなる白色発光ダイオード構造を示している。
図8に示すように、パッケージ表面23にはサファイア基板16が形成されており、該サファイア基板16の上には、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19が下から順に形成されている。また、n型InGaAlN層17の上には、Ti/Auよりなる電極20が形成されており、p型InGaAlN層19の上には、ITO透明電極21が形成されている。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極を実現できる。ITO透明電極21の上には、Auよりなる電極22が選択的に形成されている。また、ITO透明電極21の上には、アンドープのInGaAlP層1が形成されている。そして、パッケージ表面23において、このような構造は、YAG蛍光体3によって覆われている。
このように、図8に示す半導体発光素子は、YAG蛍光体3とInGaAlP層1と青色発光ダイオードとが組み合わされてなる白色発光ダイオードとして機能する構造を有している。すなわち、図8に示す半導体発光素子は、InGaAlN活性層18を有する青色発光ダイオードの上に、ITO透明電極21を挟んで、青色発光ダイオードによる励起によって赤色発光するInGaAlP層1と青色発光ダイオードによる励起によって黄色発光するYAG蛍光体3とが形成された構造を有しているので、白色発光ダイオードとして機能する。
ここで、InGaAlP層1は、例えばIn0.49Ga0.51P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色発光する。また、InGaAlP層1をIn0.49Ga0.51P層とすると、InGaAlP層1はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
InGaAlP層1及びYAG蛍光体3に対して、活性層18を有する高出力の青色発光ダイオードから例えば470nmの波長を有する励起光を照射することにより、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子は、前述した図2に示したスペクトルと同様のスペクトルを有する白色光を得ることができる。前述した図2から明らかなように、発光スペクトルは、青色発光ダイオードからの青色発光の透過分(波長470nm)と、YAG蛍光体3からの黄色発光(ピーク波長550nmと)、InGaAlP層1からの赤色発光(波長650nm)とによって構成されている。このため、図8に示す半導体発光素子は、白色光を行なう発光ダイオードとして機能することができる。
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子によると、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
第2に、図8に示した本発明の第4の実施形態に係る蛍光体の製造方法と該蛍光体を集積化した半導体発光素子の製造方法とについて、図9(a)〜(g)を参照しながら説明する。
図9(a)に示すように、サファイア基板16の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19を順にエピタキシャル成長させる。ここで、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との間に、例えば500℃程度で成長するGaNバッファ層又はアンドープのGaN層を挿入してもよい。また、活性層18は、Inの組成比が異なるInGaNによる多重量子井戸構造を含んでもよい。続いて、p型InGaAlN層19を活性化するために、例えばN2ガス雰囲気中、700℃で約1時間熱処理する。続いて、p型InGaAlN層19の上に、例えばRFスパッタ法によってITO透明電極21を約300nm形成する。ITO透明電極21を低抵抗化するために、例えばO2雰囲気中で熱処理をしてもよい。この場合は、p型InGaAlN層19の活性化の熱処理を省略して、ITO透明電極21の低抵抗化の熱処理のみとしてもよい。このようにして、図9(a)に示すウエハ1を形成する。ウエハ1は青色発光ダイオード構造を有し、pn接合に順方向電流を流すことにより、例えば470nmの波長を有する青色発光を生じる。
図9(b)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープのInGaAlP層1を形成する。このようにして、図9(b)に示すウェハ2を形成する。GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、InGaAlP層1はGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、ここでは、InGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.49Ga0.51P層よりなる。このようにすると、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
図9(c)に示すように、ウェハ1におけるITO透明電極21とウェハ2におけるInGaAlN層1とが接着するように、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる。ここで、ITO透明電極21とInGaAlP層1とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
図9(d)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、InGaAlP層1が青色発光ダイオード構造を有するウェハ1の上に接着された構造を得る。
次に、図9(e)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)及びフォトリソグラフィ技術を繰り返し用いて、InGaAlP層1、ITO透明電極21、p型InGaAlP層19、及び活性層18を加工する。
次に、図9(f)に示すように、n型InGaAlN層19の上に、電子ビーム蒸着により、Ti/Au電極20を形成する。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極を実現できる。また、ITO透明電極21の上に、電子ビーム蒸着により、Au電極22を形成する。
次に、図9(f)に示す構造を有するウェハが例えば約150μmの膜厚となるように、サファイア基板16を研磨除去した後に、300μm角の大きさにダイシングする。その後、図9(g)に示すように、Agペーストを用いてダイシング後のウェハをパッケージ表面23に接着する。そして、該ウェハの表面を覆うように、YAG蛍光体3を塗布する。これにより、図8に示した白色発光ダイオード構造を実現できる。
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法によると、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
なお、本実施形態において、図示していないが、Ti/Au電極20及びAu電極22にはワイヤボンディングを行なう。
また、本実施形態において、ITO透明電極21はなくてもよい。但し、この場合は、p型InGaAlN層19の抵抗率を下げるとか、微細パターンにする等によって電流を横方向に拡げる必要がある。
また、本実施形態において、サファイア基板16の代わりに膜厚が厚い金属を用いてもよい。この場合は、n型InGaAlN層19上の電極20を形成する必要はない。
また、本実施形態において、青色発光ダイオード構造とする代わりに紫外発光ダイオード構造とし、紫外発光による励起を用いる場合には、YAG蛍光体3の代わりに青色蛍光体及び緑色蛍光体が混合された蛍光材料を用いることもできる。この場合の緑色蛍光体の材料としては、前述の第2の実施形態と同様に、Mnが添加されたZn2SiO4、Mnが添加されたBaAl12O19、Tbが添加されたCeMgAl11、Eu2+及びMn2+が添加されたBaMgAl10O17、又はCe3+及びTb3+が添加されたY2SiO5を用いるとよく、また、青色蛍光体の材料としては、前述の第2の実施形態と同様に、Euが添加されたBaMgAl14O23、YP0.85V0.15O4、Euが添加されたBaMg2Al14、Eu2+が添加された(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2、又はEu2+が添加されたBaMgAl10O17を用いるとよい。
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子について、前述した図5、図10及び図11(a)〜(f)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の構造について図10を参照しながら説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の構造を示す断面図であって、具体的には、第1及び第2のInGaAlPよりなる蛍光層とZnMgSSe層と紫外発光ダイオードとを組み合わせてなる白色発光ダイオード構造を示している。
図10に示すように、サファイア基板16の上には、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19が下から順に形成されている。また、n型InGaAlN層17の上には、Ti/Auよりなる電極20が形成されており、p型InGaAlN層19の上には、ITO透明電極21が形成されている。ここで、電極20の材料としては、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射電極を実現できる。ITO透明電極21の上には、Auよりなる電極22が選択的に形成されている。また、ITO透明電極21の上には、ZnMgSSe層14、アンドープの第2のInGaAlP層13、及びアンドープの第1のInGaAlP層12が順に形成されている。
このように、図10に示す半導体発光素子は、第1のInGaAlP層12と第2のInGaAlP層13とZnMgSSe層14と紫外発光ダイオードとが組み合わされてなる白色発光ダイオードとして機能する構造を有している。すなわち、図10に示す半導体発光素子は、InGaAlN活性層18を有する紫外発光ダイオードの上に、ITO透明電極21を挟んで、紫外発光ダイオードによる励起によって赤色発光する第1のInGaAlP層12と、紫外発光ダイオードによる励起によって緑色発光する第1のInGaAlP層13と、紫外発光ダイオードによる励起によって青色発光するZnMgSSe層14とが形成された構造を有しているので、白色発光ダイオードとして機能する。
ここで、第1のInGaAlP層12は、例えばIn0.48Ga0.52P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色で発光する。また、第2のInGaAlP層13は、例えばIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、禁制体幅2.3eVを有し、550nmの波長を有する緑色で発光する。また、ZnMgSSe層14は、例えばZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなり、禁制体幅2.6eVを有し、470nmの波長を有する青色で発光する。
また、第1のInGaAlP層12をIn0.48Ga0.52P層とし、第2のInGaAlP層13をIn0.48Ga0.08Al0.04P層とし、ZnMgSSe層14をZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層とすると、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、各々の層は低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe層14に対して、高出力の紫外発光ダイオードから例えば340nmの波長を有する励起光を照射することにより、本発明の第5の実施形態に係る蛍光体は、第2及び第3の実施形態と同様に、図5に示すスペクトルを有する白色光を得ることができる。図5から明らかなように、発光スペクトルは、紫外発光ダイオードからの紫外発光の透過分(波長340nm)と、第1のInGaAlP層12からの赤色発光(波長650nm)と、第2のInGaAlP層13からの緑色発光(波長550nm)と、ZnMgSSe層14からの青色発光(波長470nm)とによって構成されている。このため、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子は、白色光を行なう白色発光ダイオードとして機能する。
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子によると、第1のInGaAlP層12と第2のInGaAlP層13とZnMgSSe層14とを紫外発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いと共に青色緑色及び赤色の3色の出力バランスが良いので、演色性に優れた白色発光を行なう発光ダイオードを実現することができる。
第2に、図10に示した本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法について、図11(a)〜(f)を参照しながら説明する。
図11(a)に示すように、サファイア基板16の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19を順にエピタキシャル成長させる。ここで、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との間に、例えば500℃程度で成長するGaNバッファ層又はアンドープのGaN層を挿入してもよい。また、活性層18は、Inの組成比が異なるInGaNによる多重量子井戸構造を含んでもよい。続いて、p型InGaAlN層19を活性化するために、例えばN2ガス雰囲気中、700℃で約1時間熱処理する。続いて、p型InGaAlN層19の上に、例えばRFスパッタ法によってITO透明電極21を約300nm形成する。ITO透明電極21を低抵抗化するために、例えばO2雰囲気中で熱処理をしてもよい。この場合は、p型InGaAlN層19の活性化の熱処理を省略して、ITO透明電極21の低抵抗化の熱処理のみとしてもよい。このようにして、図11(a)に示すウエハ1を形成する。ウエハ1は紫外発光ダイオード構造を有し、pn接合に順方向電流を流すことにより、例えば340nmの波長を有する紫外発光を生じる。
次に、図11(b)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープの第1のInGaAlP層12、アンドープの第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe14層を順に形成する。このようにして、図11(b)に示すウェハ2を形成する。GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe14層はいずれもGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、第1のInGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.52P層よりなり、第2のInGaAlP層13は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、ZnMgSSe層14は、約1μmの膜厚を有するZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなる。このようにすると、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14の各々の層は、低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
次に、図11(c)に示すように、ウェハ1におけるITO透明電極21とウェハ2におけるZnMgSSe層14とが接着するように、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる。ここで、ITO透明電極21とZnMgSSe層14とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
次に、図11(d)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、ZnMgSSe層14が紫外発光ダイオード構造を有するウェハ1の上に接着された構造を得る。
次に、図11(e)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)及びフォトリソグラフィ技術を繰り返し用いて、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、ITO透明電極21、p型InGaAlP層19、及び活性層18を加工する。
次に、図11(f)に示すように、n型InGaAlN層17の上に、電子ビーム蒸着により、Ti/Au電極20を形成する。また、ITO透明電極21の上に、電子ビーム蒸着により、Au電極22を形成する。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極を実現できる。続いて、図11(f)に示す構造を有するウェハが例えば約150μmの膜厚となるように、サファイア基板16を研磨除去した後に、300μm角の大きさにダイシングする。これにより、図10に示した白色発光ダイオード構造を実現できる。
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法によると、第1のInGaAlP層12及び第2のInGaAlP層13とZnMgSSe層14とをとを紫外発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
なお、本実施形態において、図示していないが、Ti/Au電極20及びAu電極22にはワイヤボンディングを行なう。
また、本実施形態において、ITO透明電極21はなくてもよい。但し、この場合は、p型InGaAlN層19の抵抗率を下げるとか、微細パターンにする等によって電流を横方向に拡げる必要がある。
また、本実施形態において、サファイア基板16の代わりに膜厚が厚い金属を用いてもよい。この場合は、n型InGaAlN層19上のTi/Au電極20を形成する必要はない。
また、本実施形態において、紫外発光ダイオード構造とする代わりに青色発光ダイオード構造とし、青色発光による励起を用いる場合には、ZnMgSSe層14を形成する必要はない。
(第6の実施形態)
以下に、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子について、前述した図2、図12及び図13(a)〜(j)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子の構造について、図12を参照しながら説明する。
図12は、YAG蛍光体とInGaAlP蛍光層と青色発光ダイオードとを組み合わせた白色発光ダイオード構造を示している。
図12に示すように、パッケージ表面23の上には、Agバンプ24が形成されており、Agバンプ24の一方の上には、Ti/Au電極20、n型InGaAlN層16、InGaAlN層よりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19が順に形成されている。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射電極を実現できる。また、Agバンプ24の他方の上には、Au電極22が形成されている。p型InGaAlN層19及びAu電極21の上には、ITO透明電極21が形成されている。ITO透明電極21の上には、InGaAlP層1、石英基板2、及びYAG蛍光体3が形成されている。
このように、図12に示す半導体発光素子は、活性層18を有する青色発光ダイオード構造を有する半導体層が、ITO透明電極を挟むようにして、InGaAlP層1及びYAG蛍光体3を有する石英基板2に密着した構造を有している。
ここで、InGaAlP層1は、例えばIn0.49Ga0.51P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色発光する。また、InGaAlP層1をIn0.49Ga0.51P層とすると、InGaAlP層1はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
InGaAlP層1及びYAG蛍光体3に対して、活性層18を有する高出力の青色発光ダイオードから例えば470nmの波長を有する励起光を照射することにより、図2に示すスペクトルを有する白色光が得られる。図2から明らかなように、発光スペクトルは、活性層18を有する青色発光ダイオードからの青色発光の透過分(波長470nm)と、YAG蛍光体3からの黄色発光(ピーク波長550nmと)、InGaAlP層1からの赤色発光(波長650nm)とによって構成されている。このため、図12に示す半導体発光素子は、白色光を行なう白色発光ダイオードとして機能する。
なお、Agバンプ24の上には、n型InGaAlP層17、活性層18、及びp型InGaAlP層19が下から順に形成されている場合について説明したが、Agバンプ24の上に、p型InGaAlP層19、活性層18、及びp型InGaAlP層17の順に形成されている構成でもよい。また、Agバンプ24上に、ITO透明電極21が形成されていない場合であってもよい。
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子によると、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう発光ダイオードを実現することができる。
第2に、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法について、図13(a)〜(j)を参照しながら説明する。
まず、図13(a)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープのInGaAlP層1を形成する。GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、InGaAlP層1はGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、ここでは、InGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.49Ga0.51P層よりなる。このようにすると、InGaAlP層1は低欠陥密度を実現できるので、InGaAlP層1から高い発光効率を有する発光を期待できる。
次に、図13(b)に示すように、InGaAlP層1上に接着するように、石英基板2をInGaAlP層1を有するGaAs基板5に貼り合わせる。ここで、石英基板2とInGaAlP層1とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
次に、図13(c)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、InGaAlP層1が石英基板2に接着した構造を得る。
次に、図13(d)に示すように、石英基板2におけるInGaAlP層1が形成されていない側の面上に、YAG蛍光体3を塗布する。ここでは、石英基板2の膜厚が例えば100μm以下になるように、YAG蛍光体3を塗布する前に、石英基板2を研磨して膜化しておいてもよい。このようにして、図13(d)に示すウェハ1を形成する。
次に、図13(e)に示すように、サファイア基板16の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19を順にエピタキシャル成長させる。ここで、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との間に、例えば500℃程度で成長するGaNバッファ層又はアンドープのGaN層を挿入してもよい。また、活性層18は、Inの組成比が異なるInGaNによる多重量子井戸構造を含んでもよい。続いて、p型InGaAlN層19を活性化するために、例えばN2ガス雰囲気中、700℃で約1時間熱処理する。続いて、p型InGaAlN層19の上に、例えばRFスパッタ法によってITO透明電極21を約300nm形成する。ITO透明電極21を低抵抗化するために、例えばO2雰囲気中で熱処理をしてもよい。この場合は、p型InGaAlN層19の活性化の熱処理を省略して、ITO透明電極21の低抵抗化の熱処理のみとしてもよい。このようにして、図13(e)に示すウエハ2を形成する。ウエハ2は青色発光ダイオード構造を有し、pn接合に順方向電流を流すことにより、例えば470nmの波長を有する青色発光を生じる。
図13(f)に示すように、ウェハ1におけるInGaAlN層1とウェハ2におけるITO透明電極21とが接着するように、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる。ここで、ITO透明電極21とInGaAlP層1とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
図13(g)に示すように、ウェハ2におけるサファイア基板16が形成されている側から、ウエハ2の面内をスキャンするように、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を照射する。照射されたレーザ光は、サファイア基板16で吸収されず、GaNによってのみ吸収される。したがって、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との界面付近において、局所的な発熱が生じてGaNの結合が分解するので、サファイア基板16がn型InGaAlN層17から分離される。このようにして、GaN系の半導体層(n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19)がITO透明電極21及びInGaAlP層1を介して石英基板2に接着されたデバイス構造が得られる。
また、サファイア基板16を分離するために用いる光源としては、ここでは、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いたが、YAGレーザの第三高調波(波長355nm)を使用してもよい。または、水銀灯輝線(波長365nm)を使用してもよい。この場合は、光パワーではレーザに劣るものの、スポットサイズを大きくできるので、短時間での分離を可能にする。また、サファイア基板16を分離する方法としては、研磨することによって除去してもよい。このようにすると、大面積且つ低コストでの分離を可能にする。
次に、図13(h)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)及びフォトリソグラフィ技術を用いて、n型InGaAlN層17、活性層18、及びp型InGaAlP層19を加工する。
次に、図13(i)に示すように、n型InGaAlN層17における活性層18が形成されていない側の面上に、電子ビーム蒸着により、Ti/Au電極20を形成する。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極を実現できる。また、ITO透明電極21におけるInGaAlP層1が形成されていない側の面上に、電子ビーム蒸着により、Au電極22を形成する。
次に、図13(j)に示すように、Ti/Au電極20におけるn型InGaAlN層17が形成されていない側及びAu電極22におけるITO透明電極21が形成されていない側の面上に、Agバンプ24を形成する。その後、このような構造を有するウェハを300μm角の大きさにダイシングし、パーケージ表面23にフリップチップ実装する。このようにして、図12に示した白色発光ダイオード構造を実現できる。
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法によると、InGaAlP層1とYAG蛍光体3とを青色発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
なお、本実施形態において、石英基板2の代わりにサファイア基板を用いてもよい。
また、本実施形態において、p型層とn型層とが上下逆になってもよい。
また、本実施形態においては、ウェハ2におけるITO電極21の上に、ウェハ1におけるInGaAlP層1が貼り合わされる構造の場合について説明したが、ウェハ2におけるサファイア基板16の上に、InGaAlP層1を貼り合わせてYAG蛍光体3を塗布する構造であってもよい。この場合は、ITO透明電極21を形成する必要はない。
(第7の実施形態)
以下に、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子について、前述した図5、図14及び図13(a)〜(i)を参照しながら説明する。
第1に、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子の構造について、図14を参照しながら説明する。
図14は、第1のInGaAlP層12及び第2のInGaAlP層13と、ZnMgSSe層14と紫外発光ダイオードとを組み合わせた白色発光ダイオードの構造を示している。
図14に示すように、パッケージ表面23の上には、Agバンプ24が形成されており、Agバンプ24の一方の上には、Ti/Au電極20、n型InGaAlN層16、InGaAlN層よりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19が順に形成されている。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極20を実現できる。また、Agバンプ24の他方の上には、Au電極22が形成されている。p型InGaAlN層19及びAu電極21の上には、ITO透明電極21が形成されている。ITO透明電極21の上には、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、ZnMgSSe層14、及び石英基板2、及びYAG蛍光体3が順に形成されている。
このように、図14に示す半導体発光素子は、活性層18を有する紫外発光ダイオード構造を有する半導体層が、ITO透明電極21を挟むようにして、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe層14を有する石英基板2に密着した構造を有している。
ここで、第1のInGaAlP層12は、例えばIn0.48Ga0.52P層よりなり、禁制体幅1.9eVを有し、650nmの波長を有する赤色で発光する。また、第2のInGaAlP層13は、例えばIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、禁制体幅2.3eVを有し、550nmの波長を有する緑色で発光する。また、ZnMgSSe層14は、例えばZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなり、禁制体幅2.6eVを有し、470nmの波長を有する青色で発光する。
また、第1のInGaAlP層12をIn0.48Ga0.52P層とし、第2のInGaAlP層13をIn0.48Ga0.08Al0.04P層とし、ZnMgSSe層14をZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層とすると、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14はGaAsと格子整合して結晶成長できるため、後述する製造方法でも説明するように、各々の層は低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14に対して、活性層18を有する高出力の紫外発光ダイオードから例えば340nmの波長を有する励起光を照射することにより、図14に示す半導体発光素子は、第2の実施形態と同様に、図5に示すスペクトルを有する白色光を得ることができる。図5から明らかなように、発光スペクトルは、紫外発光ダイオード11からの紫外発光の透過分(波長340nm)と、第1のInGaAlP層12からの赤色発光(波長650nm)と、第2のInGaAlP層13からの緑色発光(波長550nm)と、ZnMgSSe層14からの青色発光(波長470nm)とによって構成されている。このため、図14に示す半導体発光素子は、白色光を行なう白色発光ダイオードとして機能する。
なお、Agバンプ24の上には、n型InGaAlP層17、活性層18、及びp型InGaAlP層19が下から順に形成されている場合について説明したが、Agバンプ24の上に、p型InGaAlP層19、活性層18、及びp型InGaAlP層17の順に形成されている構成でもよい。また、Agバンプ24上に、ITO透明電極21が形成されていない場合であってもよい。
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子によると、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14を紫外発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いと共に青色緑色及び赤色の3色の出力バランスが良いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
第2に、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法について、図15(a)〜(i)を参照しながら説明する。
まず、図15(a)に示すように、例えGaAs基板5の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、アンドープの第1のInGaAlP層12及びアンドープの第2のInGaAlP層13を順に形成する。さらに、第2のInGaAlP層13の上に、ZnMgSSe層14を形成する。
ここで、GaAs基板5として、(100)面にて(011)方向に約10°オフされた面方位を有する基板を用いている。また、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13、及びZnMgSSe層14は、いずれもGaAs基板5に格子整合する組成を有しており、第1のInGaAlP層1は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.52P層よりなり、第2のInGaAlP層13は、約1μmの膜厚を有するIn0.48Ga0.08Al0.04P層よりなり、ZnMgSSe層14は、約1μmの膜厚を有するZn0.95Mg0.05S0.06Se0.94層よりなる。このようにすると、第1のInGaAlP層1、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14の各々の層は、低欠陥密度を実現できるので、各々の層から高い発光効率を有する発光を期待できる。
また、第1のInGaAlP層12は紫外光による励起によって赤色発光し、第2のInGaAlP層13は紫外光による励起によって緑色発光し、さらに、ZnMgSSe層14は紫外光の励起によって青色発光する。
次に、図15(b)に示すように、ZnMgSSe層14上に接着するように、石英基板2を、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14を有するGaAs基板5に貼り合わせる。ここで、石英基板2とZnMgSSe層14との貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。
次に、図15(c)に示すように、例えばH2SO4とH2O2との混合液中に、GaAs基板5を浸すことにより、GaAs基板5をウエット・エッチングにより除去する。これにより、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14が石英基板2と接着された構造を得る。このようにして、図15(c)に示すウェハ1を形成する。
次に、図15(d)に示すように、サファイア基板16の上に、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)により、n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19を順にエピタキシャル成長させる。ここで、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との間に、例えば500℃程度で成長するGaNバッファ層又はアンドープのGaN層を挿入してもよい。また、活性層18は、Inの組成比が異なるInGaNによる多重量子井戸構造を含んでもよい。続いて、p型InGaAlN層19を活性化するために、例えばN2ガス雰囲気中、700℃で約1時間熱処理する。続いて、p型InGaAlN層19の上に、例えばRFスパッタ法によってITO透明電極21を約300nm形成する。ITO透明電極21を低抵抗化するために、例えばO2雰囲気中で熱処理をしてもよい。この場合は、p型InGaAlN層19の活性化の熱処理を省略して、ITO透明電極21の低抵抗化の熱処理のみとしてもよい。このようにして、図13(e)に示すウエハ2を形成する。ウエハ2は紫外発光ダイオード構造であり、pn接合に順方向電流を流すことにより、例えば340nmの波長を有する紫外発光を生じる。
図15(e)に示すように、ウェハ1における第1のInGaAlN層14とウェハ2におけるITO透明電極21とが接着するように、ウェハ1とウェハ2とを貼り合わせる。ここで、第1のInGaAlP層14とITO透明電極21とを貼り合わせる方法は、水溶液中で接着させる方法でもよいし、加熱又は加圧によって接着させる方法でもよい。例えばエポキシのような接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、例えばガラスフリットを用いて接着させてもよい。
図15(f)に示すように、ウェハ2におけるサファイア基板16が形成されている側から、ウエハ2の面内をスキャンするように、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を照射する。照射されたレーザ光は、サファイア基板16で吸収されず、GaNによってのみ吸収される。したがって、サファイア基板16とn型InGaAlN層17との界面付近において、局所的な発熱が生じてGaNの結合が分解するので、サファイア基板16がn型InGaAlN層17から分離される。このようにして、GaN系の半導体層(n型InGaAlN層17、InGaAlNよりなる活性層18、及びp型InGaAlN層19)が、ITO透明電極21、第1のInGaAlP層12、第2のInGaAlP層13及びZnMgSSe層14を介して石英基板2に接着されたデバイス構造が得られる。
また、サファイア基板16を分離するために用いる光源としては、ここでは、KrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いたが、YAGレーザの第三高調波(波長355nm)を使用してもよい。または、水銀灯輝線(波長365nm)を使用してもよい。この場合は、光パワーではレーザには劣るものの、スポットサイズを大きくできるので、短時間での分離を可能にする。また、サファイア基板16を分離する方法としては、研磨することによって分離除去してもよい。このようにすると、大面積且つ低コストでの分離を可能にする。
次に、図15(g)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)及びフォトリソグラフィ技術を用いて、n型InGaAlN層17、活性層18、及びp型InGaAlP層19を加工する。
次に、図15(h)に示すように、n型InGaAlN層17における活性層18が形成されていない側の面上に、電子ビーム蒸着により、Ti/Au電極20を形成する。ここで、電極20の材料として、Ti/Auの他に、Al、Ag、Rh、Pt、又はこれらの金属のうちのいずれかを含んでなる合金若しくは多層金属膜よりなる材料を用いることにより、高反射特性を有する電極を実現できる。また、ITO透明電極21における第1のInGaAlP層12が形成されていない側の面上に、電子ビーム蒸着により、Au電極22を形成する。
次に、図15(i)に示すように、Ti/Au電極20におけるn型InGaAlN層17が形成されていない側及びAu電極22におけるITO透明電極21が形成されていない側の面上に、Agバンプ24を形成する。その後、このような構造を有するウェハを300μm角の大きさにダイシングし、パーケージ表面23にフリップチップ実装する。このようにして、図14に示した白色発光ダイオード構造を実現できる。
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法によると、第1のInGaAlP層12と第2のInGaAlP層12とZnMgSSe層14とを紫外発光ダイオードにて励起することにより、YAG蛍光体を青色発光ダイオードにて励起して白色発光を得ていた従来の白色発光ダイオードと比較して、赤色領域での発光が強いと共に青色緑色及び赤色の3色の出力バランスが良いので、演色性に優れた白色発光を行なう白色発光ダイオード構造を実現することができる。
なお、本実施形態において、石英基板2の代わりにサファイア基板を用いてもよい。
また、本実施形態において、p型層とn層とが上下逆になってもよい。
また、本実施形態においては、ウェハ2が紫外発光ダイオード構造を有する場合について説明したが、ウェハ2が青色発光ダイオード構造を有する場合には、ZnMgSSe層14を形成する必要はない。
また、本実施形態においては、ウェハ2が紫外発光ダイオード構造を有する場合について説明したが、ウェハ2が青色発光ダイオード構造を有する場合には、YAG蛍光体をさらに用いてもよい。
また、本実施形態においては、ウェハ2におけるITO電極21の上に、ウェハ1における第1のInGaAlP層12が貼り合わされる構造の場合について説明したが、ウェハ2におけるサファイア基板16の上に、ウェハ1におけるInGaAlP層12を貼り合わせ構造であってもよい。この場合は、ITO透明電極21を形成する必要はない。
また、以上の各実施形態のいずれかで用いたサファイア又はGaAsよりなる基板は、いかなる面方位を有していてもよく、例えば、サファイアよりなる基板の場合には、(0001)面等の代表面からオフアングルのついた面方位であってもよい。また、GaAsよりなる基板の代わりの基板としては、例えばSiなどの除去が容易な半導体材料よりなる基板を用いてもよい。
また、以上の各実施形態において、InGaAlN層、InGaAlP層、又はZnMgSSe層は、いかなる組成比を有していてもよく、また、量子井戸構造のような多層構造を含んでいてもよい。また、これらの層の結晶成長方法は、MOCVD法に限定されるものではなく、これらの層の少なくとも1以上の層を、例えば、MBE法又はHVPE法によって結晶成長させた層としてもよい。また、InGaAlN層は、As若しくはPなどのV族元素又はBなどのIII族元素を構成元素として含んでいてもよい。
また、InGaAlN層は、サファイア基板上に成長させる場合について説明したが、可視発光の大部分を透過するSiC基板であってもよく、成長後に基板を分離除去する場合には、例えばSi又はGaAsなどの半導体基板であってもよく、さらに、MgO、LiGaO2、LiAlO2、又はLiGaO2及びLiAlO2の混晶よりなる基板であってもよい。また、InGaAlN層の結晶成長については、p型InGaAlN層、InGaAlN活性層、及びn型InGaAlN層の順に形成してもよい。