以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下では、複数の通信方式としてIEEE802.11x規格に基づくWLANとIEEE802.15.1で規定される無線通信プロトコルには、Bluetooth(登録商標)を有する無線通信装置を例に挙げて説明するが、無線方式の組み合わせはこれに限定されるわけではなく、同一周波数帯の電波を使用する無線方式の組み合わせであればよい。
実施の形態1,2は、WLANのScan時についての適用例、実施の形態3は、WLANのAP接続時についての適用例、実施の形態4−7は、WLANのScan時についての適用例である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の無線通信システムの基本構成を示す図である。無線通信システムを構成する無線通信装置として、1つの筐体内にWLANとBluetoothが共存(Coexistence)する通信端末装置に適用した例である。
図1において、無線通信システムは、WLAN機能及びBluetooth機能を有する無線通信装置100、キャリア網に接続される携帯電話基地局50、無線通信装置100とWLAN接続するためのアクセスポイントAP60、及び無線通信装置100とBluetooth接続される無線ヘッドホン70を備えて構成される。
無線通信装置100は、携帯電話基地局50と無線通信を行うとともに、キャリア以外のネットワークを使った情報配信サービスとしてWLAN機能及びBluetooth送受信機能を備える。無線通信装置100は、後述するPassive Scan処理によりアクセスポイントから所定の間隔毎に送信されてくるビーコン(Beacon)を受信し、受信したビーコンの送信元であるアクセスポイントのchannel,rssi(received Signal Strength Indicator:受信信号強度表示信号),ssid(Service Set Identifier),band(周波数帯域)を取得することができる。また、無線通信装置100は、Active Scan処理によりScan信号を送信し、アクセスポイントからの応答を受信することでアクセスポイントの検索を実施することもできる。
無線通信装置100は、無線通信を行う携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)や携帯情報端末(以下、PDA(Personal Digital Assistants)という)などの無線通信端末である。図1では、無線通信装置100として携帯電話機を例に採っている。携帯端末装置100が、PDA,ノート型PC,MP3プレーヤー,HDDプレーヤー、画像通信装置、ゲーム装置などである場合は、これら携帯機器の本体機能部を備える。
携帯電話基地局50は、無線通信装置100からの電波をアンテナを経由して送受信し、キャリア網を通じてキャリアサーバ(図示略)に接続する。
アクセスポイントAP60は、WLAN接続による通信を行うアクセスポイントであり、IEEE802.11xの周波数帯域で所定の間隔毎にビーコンを送信する。
アクセスポイントAP60は、例えばWLAN方式のホットスポット(hot spot)に設置される。また、WLAN方式のホットスポットの設置場所は、特定のホットスポット専用スペースのほか、コンビニエンスストア,ファミリーレストラン,レコード店,ガソリンスタンドなど各種店舗がある。
無線ヘッドホン70は、無線通信装置100とBluetooth接続される携帯機器の一例である。無線ヘッドホン70は、無線通信装置100とBluetoothにより無線接続され、無線通信装置100の音楽再生アプリケーション実行により再生された音声信号を聴くことができる。なお、無線通信装置100とBluetooth接続される携帯機器は、どのようなものでもよく、例えば無線通信装置100がゲーム装置であれば、無線コントローラ、また無線通信装置100が画像通信装置であればビューワなどである。Bluetooth接続される携帯機器の種類及び数は任意である。また、無線通信装置100は、WLAN接続機能及び/又はBluetooth接続機能を有する他の無線通信装置と無線接続可能である。
図1では、1つの携帯端末装置100と携帯電話基地局50、アクセスポイントAP60、無線ヘッドホン70を図示しているが、任意の数の携帯通信端末と基地局及びアクセスポイントAP、Bluetooth接続機器で構成することが可能である。
無線通信装置100は、同一周波数帯の電波を使用する無線方式の組み合わせであればよく、UWBなどの小電力近距離双方向無線通信方式やFWA(Fixed Wireless Access)端末のような、使用場所を移動することが可能な無線通信端末も含まれる。
図2は、WLANとBluetoothが共存する無線通信装置100の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、WLAN及びBluetooth機能を搭載する携帯電話機に適用した例である。携帯電話機本体の通信機能部の図示及び説明は省略する。
図2において、無線通信装置100は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路110、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路130を備えて構成される。WLAN回路110は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、WLAN_Active制御回路113、及びBluetooth共存(Coexistence)制御回路114から構成される。
WLAN回路110は、IEEE802.11x規格に基づくWLANによる無線通信を行う無線通信モジュールである。本実施の形態では、WLAN回路110は、アンテナ101を介してアクセスポイントAP60(図1)との無線接続を行う。
WLAN無線回路111は、Scan信号の送信やPassive Scan時における信号をアンテナ101経由で送受信する。
WLAN制御回路112は、WLAN回路110の送信受信動作を制御する。本実施の形態では、WLAN制御回路112は、BT共存(Coexistence)制御信号を基に、Probe Requestを送出するタイミングを調整し、またPassive Scan中におけるScan時間を可変させる。
WLAN_Active制御回路113は、WLAN制御回路112からの指示に基づき、WLAN_Active信号を制御する。
Bluetooth共存制御回路114は、WLAN回路110とBluetooth回路120との制御信号(WLAN_Active/BT_Active)を送信及び受信する。
WLAN_Activeは、Bluetoothとの干渉を回避するためにBluetooth側の動作を制限又は停止させる信号であり、WLAN回路110からBluetooth回路120に、あらかじめ設定した条件により送出される。WLAN回路110は、Bluetooth回路120を停止させる時はWLAN_Active“H”を出力する。BT_Activeは、Bluetooth回路120が動作しているタイミングをWLAN回路110へ通知するための制御信号である。Bluetooth回路120は、Bluetooth動作時はBT_Active“H”を、Bluetooth停止時はBT_Active“L”を出力する。
Bluetooth回路120は、Bluetoothプロトコルによる無線通信を行う無線通信モジュールである。本実施の形態では、Bluetooth回路120は、アンテナ102を介して無線ヘッドホン70(図1)との無線接続を行う。
WLAN_Bluetooth制御回路130は、WLAN及びBluetoothの通信動作を制御する。WLAN_Bluetooth制御回路130は、WLANによる無線通信時には、WLAN回路110がBluetooth回路120に対して、Bluetooth回路120のBluetooth動作を停止させるWLAN_Active“H”を通知するように制御するとともに、無線通信時であっても、WLAN回路110がアクセスポイントと接続するための周期スキャン実行時には、WLAN_Activeを通知しない(WLAN_Active“L”とする)ように制御する。ここで、上記WLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法は、図2ではWLAN_Bluetooth制御回路130が、WLAN制御回路112に指示し、WLAN制御回路112が実施する。
以下、上述のように構成された無線通信装置100のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
本実施の形態は、WLANのScan時についての適用例である。まず、WLANおけるScan方法について説明する。WLANにおけるScan方法は、(1)Active Scanと(2)Passive Scanとがある。
(1)Active Scan
WLANのステーション(以下STAと略称する)から、Probe RequestというScan信号を送信し、APからの応答を受信することでAPの検索を実施するScan方法である。
(2)Passive Scan
WLANにおいて、連続的に受信状態を設定し、定期的にAPから送信されているビーコンを受信することによりAPの検索を実施するScan方法である。
APからのビーコンは、通常100ms周期に送出されるために、STAは数100ms程度、受信状態を維持し、APからのビーコンを取得し、その取得したビーコン情報から接続するAPを検出する。
また、周期Scanを実施する場合にも、自らScan信号(Probe Request)を送出するActive Scanと、定期的にAPから送出されるビーコンを受信するPassive Scanとが実施されるケースがある。
図3は、WLANのSTAとAPのScan及び接続処理のシーケンスを示す図である。
図3のSTAは無線通信装置100、APはアクセスポイントAP60である場合を例にとる。
図3(a)は、STAがActive Scanを実施してAPを検出するまでのシーケンス、図3(b)は、STAがAP発見後に、APに接続する接続シーケンスを示す。
図3(a)において、図2に示す無線通信装置100のWLAN回路110からBluetooth回路120に送出されるWLAN_Activeは、Lowに固定される。WLAN_Activeは、Bluetoothとの干渉を回避するためにBluetooth側の動作を制限又は停止させる信号であり、このWLAN_ActiveがLowに固定されていることで、Bluetooth回路120の動作は停止されない。すなわち、WLANのScanning実施中であってもBluetooth側の動作は停止されない。従来例では、WLANのScan動作時にはWLAN_Activeを“H”にしてBluetooth側を一律に停止させていた。本実施の形態では、WLANのScan動作時でもBluetooth動作が停止しないので、Bluetooth側の音声が途切れるなどの品質低下は生じない。なお、WLANのScan動作時にBluetooth側を停止させないことによるScan信号の保護については、後述する実施の形態4乃至6により詳細に説明する。
図3(a)に示すように、周期Scan(番号150参照)において、STA(無線通信装置100)はAPにScan信号を送出する(番号151参照)。このScan信号を受信したAP(アクセスポイントAP60)は、STA(無線通信装置100)に対してScan応答を行う(番号152参照)。APが、STAに対してScan応答を行うと、AP発見となる(番号153参照)。このScan応答には、上位プロトコルの認証手順、認証及び暗号化情報が含まれる。
Scan応答を受信したSTAは、APと以下の接続動作を行う。
図3(b)に示すように、STAは、AP発見後の接続動作時には、WLAN_Activeを“H”に設定して、Bluetooth動作を停止させる(番号154参照)。STAは、接続動作時にはBluetooth動作を停止させることで、WLANの接続動作の安定化を図る。本実施の形態では、図3(a)のWLANのScan動作時には、Bluetooth側の動作の停止を行わないものの、図3(b)のAPとの接続動作時にはBluetooth側の動作を停止させる。接続動作の重要性と接続失敗時の影響(再接続による接続動作の長時間化など)、並びに周期Scanに比べて接続時間がかなり短いことなどの理由による。なお、従来例では、WLANのScan動作時及び接続動作は、いずれもWLAN_Activeを“H”にしてBluetooth側を停止させていた。
Scan応答を受信したSTAは、APに対してIEEE802.11x規格の認証要求(Authentication Request)を行う(番号155参照)。この接続要求を受信したAPは、STAに対してIEEE802.11x規格の接続応答(Authentication Response)を送信する(番号156参照)。
接続応答を受信したSTAは、上位のプロトコルの認証手順と暗号化方式を使用してAPに対して接続要求(Association Request)を行う(番号157参照)。この接続要求を受信したAPは、STAに対して接続応答(Association Response)を送信する(番号158参照)。
以下、STA、AP及び認証サーバ(図示略)は、図3には示されていない上位プロトコルでの認証処理(データリンクレイヤを使うための認証処理)と続く。なお、WLANの接続動作時のBluetooth側の停止制御については、後述する実施の形態3により詳細に説明する。
次に、WLANとBluetoothが共存する無線通信装置100の、WLANとBluetoothの想定される使用形態について説明する。
図4は、無線通信装置100のWLANとBluetoothの使用形態を表にして説明する図である。
図4に示すように、Bluetooth(Bluetooth回路120)では、1.FOMA(登録商標)網を経由してHeadset通話を行う、2.Headsetを使用して音楽を視聴する、3.Scanを実行している/接続相手先を検索しているケースがある。
また、WLAN(WLAN回路110)では、1.Webブラウザによりストリーミング等の通信を実施しているケース、2.圏外にてAPを検索しているケース、3.APに帰属しているが通信は実施せず定期的にビーコンを受信し待受け動作を実施しているケースがある。
上記Bluetooth側の想定される3つのケースに対して、WLAN側では3つのケースが想定される。本実施の形態は、上記2.の「WLAN動作の圏外にて定期的にAPを検索しているケース」について述べる。
従来技術では、Bluetoothが通信しているパケットの種別(SCO、ACL)に対して、優先順位を決定することは行われている。しかし、Bluetooth側を停止させる条件については取り決めがなく、WLANがBluetooth側をWLAN側の都合によって停止させているのが現状である。従来技術では、WLANのScan信号は優先順位の高いパケットと判断して、WLANがBluetooth側を停止させてScan処理を優先している。
WLANがBluetooth側を停止させる条件は、WLAN及びBluetoothがどのような動作を実行しているか、又はどのようなアプリケーションを実施しているかにより総合的に決定すべきである。つまり、Bluetoothで実行されているアプリケーションの内容と、WLANで実行されている動作を比較して、Bluetooth側を停止させるかどうかを決定すべきである。
本実施の形態では、WLANで実行されている上記2.の「WLAN圏外にて定期的にAPを検索しているケース」は、Bluetooth側で実行されている通信に対して優先順位が低いと考え、Bluetoothが音声通話や音楽視聴を実行している場合は、Bluetooth側を優先し、Bluetoothを停止させる信号であるWLAN_Active“H”を通知しない。
図1及び図2の例では、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置100のWLAN_Bluetooth制御回路130が、WLAN及びBluetoothの通信動作を制御する。WLAN_Bluetooth制御回路130は、圏外時における周期Scan時には、WLAN回路110からBluetooth回路120に送出するWLAN_ActiveをLowにする制御を行う。
図5は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置100のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図中、Sはフローの各ステップを示す。
ステップS1では、WLAN_Bluetooth制御回路130はWLAN周期Scanを設定する。
ステップS2では、WLAN_Bluetooth制御回路130はWLAN周期Scanを開始する前に、Bluetooth回路120が動作中か否かを判定する。
Bluetooth回路120が動作している場合には、ステップS3でWLAN_Bluetooth制御回路130はWLAN回路110に対して以下の制御を行う。
ステップS3では、WLAN回路110はWLAN制御回路112がWLAN_Active制御回路113に対して、周期Scan中にてWLAN_Activeを“L”に設定する指示を出す。WLAN_Active制御回路113は、WLAN制御回路112からの指示に従い、Bluetooth共存制御回路114に対してWLAN_Activeを“L”にするように指示し、Bluetooth側の通信を停止させる制御は実施しない。
上記ステップS2でBluetooth回路120が動作中でない場合は、WLAN_Activeを“L”にする必要がないと判断してそのままステップS4に進む。
ステップS4では、WLAN回路110は周期Scanを開始し、定期的にAPの検索を実施する。この検索は、Scan信号をWLAN制御回路112からWLAN無線回路111を通じてアンテナ101により送信する。
ステップS5では、WLAN回路110はAPを発見したか否かを判別する。AP発見は、図3(a)に示すように、WLAN無線回路111がAPからのScan応答を受信したことにより行う。
APを発見しない場合は、上記ステップS2に戻ってBluetooth回路120が動作中であるか否かの判別を続ける。
APを発見した場合は、ステップS6以下の接続動作へ移行する。AP発見後の接続動作時には、図3(b)に示すように、WLAN_Activeを“H”に設定して、Bluetooth動作を停止させる。すなわち、WLAN_Bluetooth制御回路130はWLAN回路110に対して以下の制御を行う。
ステップS6では、WLAN回路110はWLAN制御回路112がWLAN_Active制御回路113に対して、Bluetooth共存制御回路114を通して、WLAN_Activeを“H”に設定する。Bluetooth回路120は、WLAN_Active“H”の通知を受けてBluetooth動作を停止する。
ステップS7では、WLAN回路110はAPとの接続動作を開始して本フローを終了する。
これにより、WLAN接続時のシーケンスは保護されるため安定した接続が可能となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信装置100は、WLANによる無線通信時には、WLAN回路110がBluetooth回路120に対して、Bluetooth回路120のBluetooth動作を停止させるWLAN_Active“H”を通知するように制御するとともに、無線通信時であっても、WLAN回路110がアクセスポイントと接続するための周期スキャン実行時には、WLAN_Activeを送出しない(WLAN_Active“L”とする)ように制御する。そして、WLAN回路110がAPを発見後、APへの接続動作においてのみに、WLAN_Active“H”を送出することで、安定した接続動作を実現させるとともに、Bluetooth側への影響を最小限に抑えることができる。
特に、WLAN圏外にて定期的にAPを検索しているケースでは、Bluetooth側で実行されている通信に対して優先順位が低いと考え、Bluetoothが音声通話や音楽視聴を実行している場合は、WLAN_Active“L”とすることで、Bluetooth側を優先させる。これにより、圏外時における周期Scan時の比較的長い期間において、Bluetooth側の音声が途切れるなどの品質低下を未然に回避することができる。また、APへの接続動作には、WLAN_Active“H”を送出することで、安定した接続動作を実現することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、WLANとBluetoothにおいて使用しているアプリケーションの優先順位に対応する適用例である。
図6は、本発明の実施の形態2のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図2と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図6において、無線通信装置200は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路110、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路230を備えて構成される。WLAN回路110は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、WLAN_Active制御回路113、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
WLAN_Bluetooth制御回路230は、WLAN及びBluetoothの通信動作を制御する図2のWLAN_Bluetooth制御回路130の機能に加え、アプリケーション優先順位判定回路231を備える。アプリケーション優先順位判定回路231は、WLANとBluetoothの動作しているアプリケーションに対して、WLAN_Active信号の制御方法を判定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置200のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
図7は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置200のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図5のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS2でBluetooth回路120が動作中の場合には、ステップS11に進み、Bluetooth回路120が動作していない場合には、ステップS4に進む。
ステップS11では、WLAN_Bluetooth制御回路230のアプリケーション優先順位判定回路231は、WLANとBluetoothにおいて動作しているアプリケーションに応じて優先順位を判定する。この優先順位判定は、WLANの周期Scanを優先させるかBluetooth回路120のBluetooth動作を優先するかの判定である。
ステップS12では、アプリケーション優先順位判定回路231は優先順位判定結果に基づき、周期Scan中にWLAN_ActiveをLowにするかを判定し、判定結果をWLAN制御回路110に通知する。
周期Scan中にWLAN_ActiveをLowとする場合は、ステップS3に進み、周期Scan中にWLAN_ActiveをLowとしない場合は、ステップS4に進む。
ステップS3では、WLAN回路110のWLAN制御回路112はアプリケーション優先順位判定回路231からの指示に従い、WLAN_Active信号を設定する。具体的には、WLAN制御回路112がWLAN_Active制御回路113に対して、周期Scan中にてWLAN_Activeを“L”に設定する指示を出す。WLAN_Active制御回路113は、WLAN制御回路112からの指示に従い、Bluetooth共存制御回路114に対してWLAN_Activeを“L”にするように指示し、Bluetooth側の通信を停止させる制御は実施しない。
このように、本実施の形態によれば、アプリケーション優先順位判定回路231がWLAN回路110が実行するアプリケーション動作とBluetooth回路120が実行するアプリケーション動作から優先順位を決定し、決定した優先順位に従ってWLAN_Active“H”又は“L”に設定しているので、WLAN側の動作とBluetoothのアプリケーショの重要度又は必要度に合わせて、Bluetooth側を停止させるかどうかを決定することができ、よりユーザの意向を反映したユーザフレンドリーな装置を実現することができる。
なお、本実施の形態では、WLAN回路110はアプリケーション優先順位判定回路231からの指示に従い、周期Scan中にWLAN_Active信号を“L”とし、接続中に“H”に設定したが、接続中においてBluetooth側のアプリケーションを優先させたい場合には、WLAN_Activeは“L”に設定してもよい。また、以下のような動作を採ることも可能である。
(1)Bluetooth側で音楽の録音等を実施しているケースでは、Bluetooth側を優先し、周期Scan中でもWLAN_Activeを“L”に設定する。また、いかなる条件においてもノイズ等の混入を抑えたい場合についてもWLAN_Activeを“L”に設定する。
(2)Bluetooth側で音声通話を実施している場合は、あまりノイズの混入が発生するのは好ましくないため、WLAN_Activeは“L”とする。
(3)Bluetooth側で優先順位低いデータ通信をしている場合は、WLANの周期Scan中は“H”として、WLANのAPを検索する動作を優先する。
(実施の形態3)
実施の形態3は、接続時においてBluetoothを停止する適用例である。
図8は、本発明の実施の形態3のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図2と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図8において、無線通信装置300は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路110、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路330を備えて構成される。WLAN回路110は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、WLAN_Active制御回路113、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
WLAN_Bluetooth制御回路330は、WLAN及びBluetoothの通信動作を制御する図2のWLAN_Bluetooth制御回路130の機能に加え、AP登録情報リスト331、Scan結果AP情報検出回路332、及びWLAN_Active制御判定回路333を備える。
Scan結果AP情報検出回路332は、Scan結果を基に、APのID等の情報を検出する。
WLAN_Active制御判定回路333は、Scan結果AP情報検出回路332からのAP情報をAP登録情報リスト331と参照して、接続動作時にWLAN_Activeを“H”に設定するか“L”に設定するかを判定する。
以下、上述のように構成された無線通信装置300のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
図9は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置300のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図5のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS5でWLAN回路110がAPを発見した場合は、ステップS21以下の接続動作へ移行する。
実施の形態1,2では、AP発見後の接続動作時には、図3(b)に示すように、WLAN_Activeを“H”に設定して、Bluetooth動作を停止させている。本実施の形態では、AP発見後の接続動作時に、一律にWLAN_Active“H”を設定するのではなく、ユーザにとって優先順位の高いAPについてはWLAN_Active“H”を設定するものの、優先順位の低いAPについてはWLAN_Active“H”を設定せず、Bluetooth動作を停止させない。したがって、WLAN接続動作時であっても、Bluetooth側の音声が途切れるなどの品質低下を極力回避できる。優先順位の高いAPは、どのようなサービスを提供しているAPであるかにより判断されるが、VoIP等の着信サービスのようなデータ配信APを想定している。このようなAPは、ホットスポットや家庭向けでサービスを提供しているAPであることが考えられ、VoIPの着信データを受信する必要があり、かなり優先順位が高いと考えられる。そのため、Bluetoothの動作によらずBluetooth動作を停止させるようにする。また、APの優先順位は、AP登録情報リスト331にあらかじめ登録されている。AP登録情報リスト331は、ユーザにより更新可能である。
ステップS21では、Scan結果AP情報検出回路332はScan結果により発見されたAPのAP情報を検出する。
ステップS22では、WLAN_Active制御判定回路333はWLAN_Active判定を行う。すなわち、WLAN_Active制御判定回路333は、Scan結果AP情報検出回路332により発見されたAPのAP情報と、AP登録情報リスト331にあらかじめ登録されたAPの優先順位から、当該APによってどのようなアプリケーションが実行される可能性があるかを判定する。上述したようなVoIP等の着信サービスのようなデータ配信APは、優先順位の高いAPであると判定する。
ステップS23では、WLAN_Active制御判定回路333はWLAN_Active判定結果に基づいてWLAN_Active設定を行う。優先順位の高いAPである場合には、実施の形態1,2と同様に、WLAN_Activeを“H”に設定し、優先順位の低いAPである場合には、WLAN_Activeを“L”に設定して、WLAN制御回路112に通知する。したがって、AP発見後の接続動作時であっても優先順位の低いAPである場合には、Bluetooth動作を停止させない。
具体的には、WLAN制御回路112はWLAN_Active制御判定回路333からの指示に従い、接続動作時にWLAN_Activeを“H”又は“L”に設定する。WLAN回路110は、WLAN制御回路112がWLAN_Active制御回路113に対して、Bluetooth共存制御回路114を通して、WLAN_Activeを“H”に設定した場合、Bluetooth回路120は、WLAN_Active“H”の通知を受けてBluetooth動作を停止する。また、WLAN_Activeを“L”に設定した場合、Bluetooth回路120は、WLAN_Active“L”の通知を受けてBluetooth動作を停止しない。
このように、本実施の形態によれば、APを検索した結果、そのAPがVoIP等の着信サービスを実施しているような、ケースではすぐにでもAPに帰属し、着信を受信できるように状態に偏移させるため、接続動作においても安定した動作を確保することができる。また、確実にAPに帰属させることが重要であるため、その場合には、AP接続中はWLAN_Active“H”を通知して、Bluetoothを停止させる。
また、ブラウザ等のサービスしか実施していないAPと認識した場合には、ユーザが使用する状況にて帰属させればよいため、AP接続時には、WLAN_Active“L”として、Bluetooth動作を優先させる。
(実施の形態4)
実施の形態1,2では、WLANが定期的にAPを検索するScanを実行している際に、WLAN_Active“H”を送出せず、AP発見後、APへの接続動作時にWLAN_Active“H”を送出することで、Bluetooth側への影響を最小限に抑えることができる。また、実施の形態3では、APへの接続動作時に優先順位の低いAPについてはWLAN_Active“H”を送出せず、接続動作時においてもBluetooth側への影響を最小限に抑えている。しかし、WLANの周期Scanを実行中に、WLAN_Active“H”を送出しないことで、Bluetooth側への影響を最小限に抑えることは可能になるものの、Scan信号がBluetoothと衝突する可能性が高まる。実施の形態4−7は、実施の形態1,2の方法を採った場合の、Scanの実効を図る例である。
実施の形態4は、Bluetoothの動作タイミングを検出し、そのタイミングを避けて、Scan信号を送出する例である。
図10は、本発明の実施の形態4のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図2と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図10において、無線通信装置400は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路410、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路130を備えて構成される。WLAN回路410は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、Scan信号送出制御回路411、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
Scan信号送出制御回路411は、BT_Active信号をモニタし、BT_Activeが“L”になったタイミングでScanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
図11は、Bluetooth回路120からWLAN回路410に送出されるBT_Active信号を示す図である。
図11に示すように、WLAN回路410は、Bluetooth回路120にBluetooth側の動作を制限又は停止させるWLAN_Activeを送出する。また、Bluetooth回路120は、WLAN回路410のScan信号送出制御回路411に、Bluetooth回路120の動作タイミングを通知するBT_Active信号を送出する。
以下、上述のように構成された無線通信装置400のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
図12は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置400のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図5のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、WLAN回路410は周期Scanを開始し、定期的にAPの検索を実施する。この動作時に、図11に示すようにBluetooth側からWLAN側に、Bluetoothが動作しているタイミングがBT_Active信号によって通知されている。
ステップS32では、WLAN回路410のScan信号送出制御回路411はBT_Active信号をモニタし、BT_Active信号が“L”になったか否かを判別する。BT_Active信号が“L”でなければ、ステップS33で一定時間ウェイトして上記ステップS32に戻る。
BT_Active信号が“L”になった場合は、ステップS34でWLAN制御回路112はWLAN無線回路111を介してScan信号を送信する。本実施の形態は、Active Scanの場合を例に採るため、BT_Active信号が“L”になった場合にScan信号を送信している。
図13は、BT_Active信号をモニタするWLAN回路410のScan動作を説明する図である。
図13において、Bluetooth回路120は、Bluetooth動作時にはWLAN回路410にBT_Active信号“H”を送出している。WLAN回路410のScan信号送出制御回路411はBT_Active信号をモニタし、BT_Active信号が“L”になったか否かを判別する。Scan信号送出制御回路411は、Bluetoothから通知されるBT_Active信号が“H”から“L”に変化したことを検出したとき、BT_Active信号が“L”になったタイミングでScanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。WLAN制御回路112は、WLAN無線回路111によりアンテナ101を介してScan信号を送信する。
このように、本実施の形態によれば、無線通信装置400は、Bluetoothから通知されるBT_Activeをモニタし、BT_Active信号が“H”から“L”に変化したことを検出し、この場合はBluetooth動作終了直後であると判断して、直ちにScan信号を送出する。実施の形態1,2では、周期Scan時においては、Bluetooth側に停止させる制御を実施しないため、WLANのScan信号とBluetoothの通信が衝突し、干渉による通信品質劣化を引き起こす確率が高まることが考えられる。本実施の形態は、Bluetooth動作終了直後にScan信号を送出することで、Scan実効を高めることができ、実施の形態1,2の効果を担保しつつ、より一層安定した接続動作を実現することができる。
(実施の形態5)
実施の形態5は、BluetoothのTrafficパターンを検出し、Bluetoothの未動作区間にて、Scan信号を送出する例である。
図14は、本発明の実施の形態5のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図10と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図14において、無線通信装置500は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路510、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路130を備えて構成される。WLAN回路510は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、Bluetooth Trafficパターン検出回路511、Scan信号送出制御回路512、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
Bluetooth Trafficパターン検出回路511は、Bluetooth回路120から通知されるBT_Activeの情報を基に、BluetoothのTrafficパターンを検出する。
Scan信号送出制御回路512は、Bluetooth Trafficパターン検出回路511からの情報を基に、Scanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
図15は、Bluetooth Trafficパターン検出回路511のBluetooth Trafficパターン検出とWLAN回路510のScan動作を説明する図である。
Bluetooth回路120は、WLAN回路510のBluetooth Trafficパターン検出回路511に、Bluetooth回路120の動作タイミングを通知するBT_Active信号を送出する。Bluetooth回路120から通知されるBT_Active信号には、図15に示すようなTrafficパターンが存在する。Bluetooth Trafficパターン検出回路511は、このTrafficパターンを検出し、検出したTrafficパターンの情報をScan信号送出制御回路512に出力する。Scan信号送出制御回路512は、Bluetooth Trafficパターン検出回路512からの情報を基に、BT_Active信号が“L”の区間でScanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
以下、上述のように構成された無線通信装置500のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
図16は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置500のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図12のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、周期Scanを開始し、定期的にAPの検索を実施する。この動作時に、前記図11に示すようにBluetooth側からWLAN側に、Bluetoothが動作しているタイミングがBT_Active信号によって通知されている。
ステップS41では、WLAN回路510のBluetooth Trafficパターン検出回路511はBT_Active信号をモニタし、BluetoothのTrafficパターンを検出する。Bluetooth Trafficパターン検出回路511は、検出したTrafficパターンから、Bluetoothが通信を実施していないタイミングを検出し、そのTrafficパターンの情報をScan信号送出制御回路512へ通知する。
ステップS42では、Scan信号送出制御回路512はBluetooth Trafficパターン検出回路511から通知されたTrafficパターンの情報を基に、Scan信号送信可能か否かを判別する。Scan信号送出制御回路512は、通知されたTrafficパターンの情報を基に、BT_Active信号が“L”の区間でScan信号送信可能と判断して、Scanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
一方、上記ステップS42でScan信号送信可能でなければ、ステップS43で一定時間ウェイトして上記ステップS42に戻る。
ステップS34では、WLAN制御回路112は、WLAN無線回路111によりアンテナ101を介してScan信号を送信する。
このように、本実施の形態によれば、Trafficパターンを検出し、Trafficパターンを基にScan信号を送信することができ、実施の形態1,2の効果の実効を図ることができる。
(実施の形態6)
実施の形態6は、BluetoothのTrafficパターンを検出し、Bluetoothの未動作区間から、Scanを送出できる回数を検出し、複数回Scan信号を送出する例である。
図17は、本発明の実施の形態6のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図14と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図17において、無線通信装置600は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路610、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路130を備えて構成される。WLAN回路610は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、Bluetooth Trafficパターン検出回路511、Scan信号送出回数検出回路611、Scan信号送出制御回路612、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
Scan信号送出回数検出回路611は、Bluetooth Trafficパターン検出回路511からの情報を基に、Scan信号を送出する回数を判定する。
Scan信号送出制御回路612は、Scan信号送出回数検出回路611からの情報を基に、Scanを実行するタイミングにおいて複数回のScanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
図18は、Bluetooth Trafficパターン検出回路511のBluetooth Trafficパターン検出とWLAN回路610の複数回のScan動作を説明する図である。
Bluetooth回路120から通知されるBT_Active信号には、図18に示すようなTrafficパターンが存在する。Bluetooth Trafficパターン検出回路511は、このTrafficパターンを検出し、検出したTrafficパターンの情報をScan信号送出回数検出回路611に出力する。Scan信号送出回数検出回路611は、Bluetooth Trafficパターン検出回路511からの情報を基に、Scan信号を何回送出可能か判定し、判定結果をScan信号送出制御回路612に通知する。図18では、BT_Active信号の“L”区間で、Scan信号を2回(Scan信号1,2)送信する例を示している。BT_Active信号のTrafficパターンによっては、Scan信号は2回以上又は1回もある。
以下、上述のように構成された無線通信装置600のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
図19は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置600のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図16のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、WLAN回路610は周期Scanを開始し、定期的にAPの検索を実施する。この動作時に、前記図11に示すようにBluetooth側からWLAN側に、Bluetoothが動作しているタイミングがBT_Active信号によって通知されている。
ステップS41では、WLAN回路610のBluetooth Trafficパターン検出回路511はBT_Active信号をモニタし、BluetoothのTrafficパターンを検出する。Bluetooth Trafficパターン検出回路511は、検出したTrafficパターンから、Bluetoothが通信を実施していないタイミングを検出し、そのTrafficパターンの情報をScan信号送出回数検出回路611を経由してScan信号送出制御回路612へ通知する。
ステップS42では、Scan信号送出制御回路612はBluetooth Trafficパターン検出回路511からScan信号送出回数検出回路611を経由して通知されたTrafficパターンの情報を基に、Scan信号送信可能か否かを判別する。Scan信号送出制御回路612は、通知されたTrafficパターンの情報を基に、BT_Active信号が“L”の区間でScan信号送信可能と判定する。
ステップS51では、Scan信号送出回数検出回路611はBluetooth Trafficパターン検出回路511から通知されたTrafficパターンを基に、BT_Active信号“L”の区間でScan信号を何回送出可能かを判定し、Scan信号送出制御回路612へ通知する。
ステップS52では、Scan信号送出制御回路612はScan信号送出回数検出回路611からのScan信号の送出回数判定結果を基に、Scan信号の送出条件(Scan実行タイミング及びその回数)をWLAN制御回路112へ指示する。WLAN制御回路112は、WLAN無線回路111によりアンテナ101を介してScan信号を設定回数送信する。
このように、本実施の形態によれば、Trafficパターンを検出し、Trafficパターンを基に未動作区間とスキャン実行できる回数を判定し、判定した未動作区間及び回数でScan信号を送信しているので、Scan実効を高めることができ、実施の形態1,2の効果を担保しつつ、より一層安定した接続動作を実現することができる。
(実施の形態7)
実施の形態7は、Passive ScanのScan時間を可変する例である。
図20は、本発明の実施の形態7のWLANとBluetoothが共存する無線通信装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当たり、図14と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明は省略する。
図20において、無線通信装置700は、アンテナ101、アンテナ102、WLAN回路710、Bluetooth回路120、及びWLAN_Bluetooth制御回路230を備えて構成される。WLAN回路710は、WLAN無線回路111、WLAN制御回路112、Bluetooth Trafficパターン検出回路711、Passive Scan時間制御回路712、及びBluetooth共存制御回路114から構成される。
Bluetooth Trafficパターン検出回路711は、検出したTrafficパターンから、BluetoothのTraffic頻度を算出し、そのTraffic頻度の情報をPassive Scan時間制御回路712へ通知する。
Passive Scan時間制御回路712は、Bluetooth Trafficパターン検出回路711から通知されたTraffic頻度から、あらかじめ設けていたテーブル又は算出式等に基づいて、Passive Scanを実行する受信時間を算出し、算出したPassive Scan時間においてPassive Scanを実行することをWLAN制御回路112へ指示する。
以下、上述のように構成された無線通信装置700のWLAN_Bluetooth同時動作時における制御方法について説明する。
まず、Passive Scan時のWLAN動作について説明する。
Passive Scanは、ある一定時間、受信状態を継続してAPが送出しているビーコンを受信することで、周辺にあるAPを検索する方法である。この時、WLANは受信状態であるため、Bluetoothへ干渉を与えることはないが、Bluetooth側の送信波による影響でビーコンを受信できなくなる可能性がある。
これを回避するために、本実施の形態では、Bluetooth側のTrafficを検出して、そのTraffic量に応じて、Scan時間を可変することで、APからのビーコンを取得できる確率を上げる。Traffic量に応じて、Scan時間を可変する具体例については、以下の通りである。
図21は、Passive Scan時のビーコン取得動作を説明する図である。図21中、番号750はWLAN回路710におけるPassive Scanによる受信時間(以下、Scan時間という)である。
Passive ScanにおけるWLAN動作は、APからのビーコンを、受信状態に設定して取得する方法である。しかし、WLAN回路710がBluetooth回路120と同時に動作している場合には、Bluetooth回路120からの干渉により、APからのビーコンを取り損ねる可能性がある。
そこで、本実施の形態では、図21(b)に示すように、Scan時間を通常(図21(a)参照)より長く設定し、APからのビーコンを取得できる確率を上げる。また、基本的にAPとSTAのBluetoothは同期が取れていない。したがって、タイミングがずれていくため、通常よりScan時間を長く設定することでAPからのビーコンを取得できる確率が上がる効果を得る。
また、本実施の形態では、上記Scan時間を通常より長く設定することに加えて、あるいは、上記Scan時間を通常より長く設定する態様に代えて、Bluetooth Trafficパターン検出回路711により検出されたTrafficパターンを用いて以下の制御(ケース1及びケース2)を行うことで更なるビーコン取得確立の向上及び消費電流の低減効果を得る。
〔基本的な考え方〕
図22及び図23は、Bluetooth回路120からWLAN回路710に送出されるBT_Active信号とWLAN回路710のScan時間を示す図である。図22は、Bluetooth通信が密、すなわちBT_Active信号から検出されたTrafficパターンが密である場合、図23は、Bluetooth通信が疎、すなわちBT_Active信号から検出されたTrafficパターンが疎である場合を示す。
〔ケース1〕
図22に示すように、Bluetooth側のTrafficパターンが密である場合には、APからのビーコンがBluetooth回路120からのパケットと衝突する確率が高いため、WLAN回路710はScan時間750を増加させる。また、WLAN回路710はPassive Scanによる周期も変更し、APからのビーコンを取得できる確率を上げる。
〔ケース2〕
図23に示すように、Bluetooth側のTrafficパターンが疎である場合には、APからのビーコンが、Bluetooth回路120からのパケットと衝突する確率が低下するため、WLAN回路710はScan時間750を短く設定し、消費電流を抑えるように制御する。
図24は、WLANとBluetoothが共存する通信端末装置700のWLAN_Bluetooth制御処理の詳細を示すフローチャートである。図16のフローと同一処理ステップには同一ステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS31では、WLAN回路710は周期Scanを開始し、定期的にAPの検索を実施する。
ステップS61では、WLAN回路710はPassive Scan設定か否かを判別し、Passive Scan設定の場合はステップS41に進み、Passive Scan設定でない場合はステップS5に進む。
ステップS62では、Passive Scan時間制御回路712はPassive Scan時間の変更を行う。Passive Scan時間の変更は、以下の通りである。Bluetooth Trafficパターン検出回路711は、BT_Active信号をモニタし、検出したTrafficパターンから、BluetoothのTraffic頻度を算出する。Passive Scan時間制御回路712は、Bluetooth Trafficパターン検出回路711から通知されたTraffic頻度から、あらかじめ設けていたテーブル又は算出式等に基づいて、Passive Scanを実行する受信時間を算出し、算出したPassive Scan時間をWLAN制御回路112に通知する。WLAN制御回路112は、Passive Scan時間制御回路712からの通知を基に、指定されたPassive Scan時間においてScanを実行する。
このように、本実施の形態によれば、TrafficパターンからTraffic頻度を検出し、Traffic頻度を基にPassive Scanを実行する受信時間を判定し、判定した受信時間で、また必要に応じてScan時間を可変してScanしているので、APからのビーコンを取得できる確率を上げることができ、実施の形態1,2の効果を担保しつつ、より一層安定した接続動作を実現することができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
また、上記各実施の形態では、無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、移動端末、無線通信機器、無線通信制御方法、通信制御方法等でもよいことは勿論である。
また、上記無線通信装置を構成する各回路部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
また、以上説明した無線通信方法は、この無線通信方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。