JP4915772B2 - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック焼結体の製造方法に関するものである。
高圧放電灯の輝度を向上させるためには、放電管の透光性を向上させることによって、放電管の内部の発光物質の発光が、放電管の外部へと、セラミックスによって吸収されることなく放出されるようにすべきである。この観点から、現在のところ、透光性の高い透光性アルミナによって形成されることが多い。そして、透光性アルミナからなる放電管の肉厚をできるだけ薄くすることによって、放電管の透光性を高くすることが通常である。
このような高圧放電灯用の発光管としては、例えば特許文献1、2、3に記載のものが挙げられる。また、透光性アルミナからなる異形の発光管を、ゲルキャスト法を用いて製造する技術が特許文献4に記載されている。
特開2002−141021号公報 特開2002−164019号公報 特開2002−141022号公報 WO 02/85590
更に、非特許文献1においては、平均粒径0.24μmのα−アルミナ微粉体(純度=99.99%)を用いてスラリーを調整し、スリップキャスティング法により、アルミナ成形体を作製している。このアルミナ成形体を焼結することで、高強度の透光性アルミナ焼結体を作製することに成功している。この焼結段階においては、焼結体中に残存している微細な気孔を取り除くために、焼結体を1523Kの絶対温度で6時間ホットアイソスタティックプレス処理をしている。
「資源と素材」 115(1999) No.6 471〜474頁 「アルミナ焼結体の透光性に及ぼす結晶粒径の影響
本出願人は、特許文献1〜4を踏まえ、更に一層高い透光性を実現すべく、特許文献5において、平均粒径0.3μm以下の原料粉末、分散媒およびゲル化剤を含むスラリーを注型し、このスラリーをゲル化させることによって成形体を得、この成形体を焼結させ方法を開示した(2004年5月10日出願、未公開)。
特願2005−154945
本発明の課題は、セラミック原料粉末、分散媒、ゲル化剤および分散剤を含むスラリーを注型し、このスラリーを焼結法によってセラミック焼結体を得るのに際して、一層低温での十分な緻密化を促進できるようにし、一層良好な透光性が得られるようにすることである。
本発明は、平均粒径が0.5μm以下であるセラミック原料粉末、分散媒、ゲル化剤、マレイン酸系共重合体および3以上、12以下のHLB値を有するノニオン系分散剤を含むスラリー濃度25〜75体積%のスラリーを注型し、このスラリーをゲル化させることによって成形体を得、この成形体を焼結させることによってセラミック焼結体を得ることを特徴とする、セラミック焼結体の製造方法に係るものである。
本発明者は、このようなゲルキャスト法による透光性セラミック焼結体の製法について検討を続ける過程において、スラリー中分散剤として、マレイン酸系共重合体とノニオン系分散剤とを併用することによって、粉末凝集が少なく同充填率も高い成形体が得られる。これにより焼結時に一層低温で緻密化が十分に促進され、これによって透光性が著しく向上することを見いだし、本発明に到達した。更に、3以上、12以下のHLB値を有するノニオン系分散剤を使用することで、スラリー製造時の解砕時間の短さ(解砕の容易さ)という点で非常に顕著な効果を奏する。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの具体的態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
(セラミック原料粉末)
本発明のセラミック焼結体で使用できる材料は限定されず、以下を例示できる。
アルミナ、窒化アルミニウム、イットリア、YAG、Si3N4
本発明のセラミック焼結体は特に好ましくは透光性セラミックスとして使用する。このような材質は限定されないが、アルミナ、イットリア、YAG(イットリウム・アルミニウムガーネット)、石英が好ましく、透光性アルミナが特に好ましい。例えば純度99.9%以上(好ましくは99.95%以上)の高純度アルミナ粉末に対して、150〜1000ppmの助剤を添加した原料が好ましい。
このような高純度アルミナ粉末としては、大明化学工業株式会社製の高純度アルミナ粉体「タイミクロン TM−D」「タイミクロン TM−DR」「タイミクロン TM−DA」「タイミクロン TM−DAR」「タイミクロン TM−5D」を例示できる。
前述した助剤としては、酸化マグネシウムが好ましいが、ZrO2, Y2O3,La2O3,
Sc2O3も例示できる。
セラミック原料粉末の平均粒径は、低温焼結での緻密化および透光性向上という観点から、0.5μm以下とし、0.4μm以下が更に好ましい。一層好ましくは、セラミックスの原料粉末の平均粒子径は0.3μm以下(一次粒子径)である。この平均粒径の下限は特に限定されない。原料粉末の平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)による原料粉末の直接観察によって決定できる。
なお、ここでいう平均粒子径とはSEM写真(倍率:X30000。任意の2視野)上における2次凝集粒子を除く1次粒子の(最長軸長+最短軸長)/2の値のn=500平均値のことである。
平均粒径0.3μm以下のこのような超微細セラミック粉末をゲルキャスト法によって成形することにより、超微細粉末の分散性、分散安定性が向上するために、該成形体を焼結した焼結体における気孔や欠陥がほとんど見られず、焼結体の透光性が著しく向上する。
特に成形体を常圧焼結した場合でも、焼結体中に気孔や欠陥が見られず、焼結体の透光性が著しく向上する。即ち、従来はHIP法などの加圧焼結を採用することで、微細な気孔や欠陥が残留しないようにしていたが、かかる特殊な方法を用いることなく、微細な気孔や欠陥が残留しない焼結体を得ることが可能となる。このような焼結体は、粒子が微細であると共に、低温での加圧焼結でないことから、粒成長の余地を低減しているため、例えば1200℃程度の高温で長時間使用しても粒成長が見られない。
ゲルキャスト法は、セラミック粉末、分散媒、及びゲル化剤を含むスラリーを注型した後に、このスラリーを温度条件や架橋剤の添加等によりゲル化させることにより固化して成形体を得る粉体成形体の製造方法である。
ゲルキャスト法は、以下の方法を例示できる。
(1) 無機物粉体とともに、ゲル化剤となるポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のプレポリマーを、マレイン酸系共重合体およびノニオン系分散剤と共に分散媒中に分散してスラリーを調製し、注型後、架橋剤により三次元的に架橋してゲル化させることにより、スラリーを固化させる。
(2) 反応性官能基を有する有機分散媒とゲル化剤とを化学結合させることにより、スラリーを固化させる。この方法は、本出願人の特開2001−335371号公報、および特許文献4に記載されている方法である。このスラリー中には、本発明に従い、更にマレイン酸系共重合体およびノニオン系分散剤を混合する。
(2)の方法においては、2以上の反応性官能基を有する有機分散媒を使用することが好ましい。また、全分散媒のうち60質量%以上が、反応性官能基を有する有機分散媒であることが好ましい。
反応性官能基を有する有機分散媒の20℃における粘度が20cps以下であることが好ましく、ゲル化剤の20℃における粘度が3000cps以下であることが好ましい。具体的には、2以上のエステル基を有する有機分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤とを化学結合させることによりスラリーを固化することが好ましい。
有機分散媒は、ゲル化剤と化学結合し、スラリーを固化可能な液状物質であること、及び注型が容易な高流動性のスラリーを形成できる液状物質であること、の2条件を満たすことが必要である。
ゲル化剤と化学結合し、スラリーを固化するためには、反応性官能基、即ち水酸基、カルボキシル基、アミノ基のようなゲル化剤と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有していることが必要である。
前記有機分散媒は少なくとも1の反応性官能基を有するものであれば足りるが、より充分な固化状態を得るためには、2以上の反応性官能基を有する有機分散媒を使用することが好ましい。
2以上の反応性官能基を有する液状物質としては、例えば多価アルコール(エチレングリコールのようなジオール類、グリセリンのようなトリオール類等)、多塩基酸(ジカルボン酸類等)が考えられる。
尚、分子内の反応性官能基は必ずしも同種の官能基である必要はなく、異なる官能基であってもよい。また、反応性官能基はポリエチレングリコールのように多数あってもよい。
一方、注型が容易な高流動性のスラリーを形成するためには、可能な限り粘性の低い液状物質を使用することが好ましく、特に20℃における粘度が20cps以下の物質を使用することが好ましい。
既述の多価アルコールや多塩基酸は水素結合の形成により粘性が高い場合があるため、たとえスラリーを固化することが可能であっても反応性分散媒として好ましくない場合がある。従って、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン等)等の2以上のエステル基を有するエステル類を前記有機分散媒として使用することが好ましい。また、多価アルコールや多塩基酸も、スラリーを大きく増粘させない程度の量であれば、強度補強のために使用することは有効である。
エステル類は比較的安定ではあるものの、反応性が高いゲル化剤とであれば充分反応可能であり、粘性も低いため、上記2条件を満たすからである。特に、全体の炭素数が20以下のエステルは低粘性であるため、反応性分散媒として好適に用いることができる。
この実施形態においては、非反応性分散媒を併用できる。この分散媒としては、エーテル、炭化水素、トルエン等が好ましい。
また、非反応性分散媒として有機化合物を用いる場合であっても、ゲル化剤との反応効率を確保する観点からは、全分散媒のうち、反応性分散媒を60質量%以上含有させることが好ましく、85質量%以上含有させることがより好ましい。反応性のゲル化剤の例は、特開2001−335371号公報、特許文献4に記載されている。
具体的には、この反応性のゲル化剤は、分散媒と化学結合し、スラリーを固化可能な物質である。従って、本発明におけるゲル化剤は、分子内に、分散媒と化学反応し得る反応性官能基を有するものであればよく、例えば、モノマー、オリゴマー、架橋剤の添加により三次元的に架橋するプレポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等)等のいずれであってもよい。
但し、前記反応性ゲル化剤は、スラリーの流動性を確保する観点から、粘性が低いもの、具体的には20℃における粘度が3000cps以下の物質を使用することが好ましい。
一般に平均分子量が大きなプレポリマー及びポリマーは、粘性が高いため、本発明では、これらより分子量が小さいもの、具体的には平均分子量(GPC法による)が2000以下のモノマー又はオリゴマーを使用することが好ましい。尚、ここでの「粘度」とは、ゲル化剤自体の粘度(ゲル化剤が100%の時の粘度)を意味し、市販のゲル化剤希釈溶液(例えば、ゲル化剤の水溶液等)の粘度を意味するものではない。
ゲル化剤の反応性官能基は、反応性分散媒との反応性を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば反応性分散媒として比較的反応性が低いエステル類を用いる場合は、反応性が高いイソシアナート基(−N=C=O)、及び/又はイソチオシアナート基(−N=C=S)を有するゲル化剤を選択することが好ましい。
イソシアナート類はジオール類やジアミン類と反応させることが一般的であるが、ジオール類は既述の如く高粘性のものが多く、ジアミン類は反応性が高すぎて注型前にスラリーが固化してしまう場合がある。
このような観点からも、エステルからなる反応性分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤との反応によりスラリーを固化することが好ましく、より充分な固化状態を得るためには、2以上のエステル基を有する反応性分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤との反応によりスラリーを固化することが好ましい。また、ジオール類、ジアミン類も、スラリーを大きく増粘させない程度の量であれば、強度補強のために使用することは有効である。
イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤としては、例えば、MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)系イソシアネート(樹脂)、TDI(トリレンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、IPDI(イソホロンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、イソチオシアナート(樹脂)等を挙げることができる。
また、反応性分散媒との相溶性等の化学的特性を考慮して、前述した基本化学構造中に他の官能基を導入することが好ましい。例えば、エステルからなる反応性分散媒と反応させる場合には、エステルとの相溶性を高めて、混合時の均質性を向上させる点から、親水性の官能基を導入することが好ましい。
尚、ゲル化剤分子内に、イソシアナート基又はイソチオシアナート基以外の反応性官能基を含有させてもよく、イソシアナート基とイソチオシアナート基が混在してもよい。さらには、ポリイソシアナートのように、反応性官能基が多数存在してもよい。
本発明においては、スラリー中に、マレイン酸系共重合体とノニオン系分散剤とを混合する。(マレイン酸系共重合体)
マレイン酸系化合物と、他のモノマーとの共重合体である。マレイン酸系化合物と他のモノマーとの共重合体を、更に重合体によって変性することが好ましい。
マレイン酸系化合物モノマーとしては、無水マレイン酸、マレイン酸および/またはマレイン酸塩を例示できる。マレイン酸塩としては、マレイン酸モノリチウム、マレイン酸ジリチウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、マレイン酸モノカリウム、マレイン酸ジカリウムなどのマレイン酸のアルカリ金属塩、マレイン酸カルシウム、マレイン酸マグネシウムなどのマレイン酸のアルカリ土類金属塩、マレイン酸モノアンモニウム、マレイン酸ジアンモニウムなどのマレイン酸のアンモニウム塩、マレイン酸モノメチルアンモニウム、マレイン酸ビスモノメチルアンモニウム、マレイン酸モノジメチルアンモニウム、マレイン酸ビスジメチルアンモニウムどのマレイン酸のアルキルアミン塩、マレイン酸−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、マレイン酸ビス−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、マレイン酸ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、マレイン酸ビスジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムなどのマレイン酸のアルカノールアミン塩を例示できる。
マレイン酸系化合物と共重合させるべきモノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルを例示できる。
マレイン酸系化合物と共重合させるべきモノマーとしては、更に、炭素−炭素二重結合を有するアルコール(アリルアルコールなど)を例示できる。
また、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテルを共重合体にグラフト化することができる。これらの化合物を構成するオキシアルキレン基としては、炭素数2〜18のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシドデシレン基、オキシテトラデシレン基、オキシヘキサデシレン基、オキシオクタデシレン基が更に好ましい。オキシアルキレン基は同じ化合物中に2種類以上存在していてよく、その場合には、ランダム状付加又はブロック状付加のいずれであってもよい。
また、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルのエーテル部分に結合されたアルキル基、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテルのエーテル部分に結合されたアリル基は、炭素数1〜24のアルキル基であることが好ましい。
本発明において、ノニオン系分散剤とは、非イオン性の分散剤であれば特に限定されない。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー類,ポリエチレングリコール系分散剤、多価アルコール部分エステル系分散剤、エステルエーテル系分散剤、特殊非イオン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系分散剤、ソルビタンアルキルエステル系分散剤、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル系分散剤が好ましい。
また、好適な実施形態においては、ノニオン系分散剤が、多価アルコールと脂肪酸とのエステルである。このような多価アルコールとしては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールを例示できる。脂肪酸としては、炭素数1〜24の脂肪酸が好ましく、炭素数1〜18の脂肪酸が特に好ましい。更にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、セスキオレイン酸、トリオレイン酸、ベヘン酸が好ましい。
ノニオン系分散剤のHLB値は3以上、12以下である。これは、低温での緻密化や透光性にはそれほど影響しないが、スラリー製造時の解砕時間の短さ(解砕の容易さ)という点で非常に顕著な効果を奏することを発見した。
原料粉末の重量を100重量部としたとき、前記分散剤の合計量が3重量部以上であることが、本発明の観点から好ましい。ただし、分散剤を入れ過ぎてもそれほど効果は上がらないので、経済的な観点からは分散剤の合計量を6重量部以下とすることが好ましい。
ノニオン系分散剤とマレイン酸系共重合体分散剤との合計量に占めるノニオン系分散剤の重量比率は、本発明の観点からは、5重量%以上、40重量%以下とすることが好ましい。
マレイン酸系共重合体の具体的商品名としては、限定されないが、「マリアリム AKM−0531」(アリルアルコール・無水マレイン酸、スチレン共重合体とポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化物)(日本油脂株式会社)、「フローレン G700」(共栄社化学)が特に好ましい。
ノニオン系分散剤の具体的商品名としては、限定されないが、以下を例示できる。
ポリエチレングリコール系分散剤(ニッサンノニオンS−15、L−2、P−208、NS−210、NS−208.5、HS−210
多価アルコール部分エステル系分散剤(ニッサンノニオンSP−60R、OP−80R、OP−83RAT、PP−40R、LP−20R)
特殊非イオン系分散剤(ニッサンノニオンMN−609、NM−811、A−10R、A−13P、ユニルーブ34S−32、10MS−250KB、ユニオックスHC−10、HC−40、HC−50、HC−60)
ポリオキシエチレンアルキルエステル系分散剤(ニッサンノニオンL−2、P−6、S−2、S−4、S−6、S−10、S−15、O−2、O−3、O−4)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤(ニッサンノニオンK−201、K−204、K−208、K−210、K−213、K−223)
ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系分散剤(ニッサンノニオンE−202S、E−205S、E−212、E−206、E−207、S−206、S−207、S−211、S−230)
ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系分散剤(ニッサンノニオンHS−204.5、HS−206、HS−208、HS−210、HS−215、HS−220、HS−240、NS−204.5、NS−206、NS−208.5、NS−210、NS−212、NS−215、NS−220、NS−230、NS−240、NS−270)
ソルビタンアルキルエステル系分散剤(CP−08R,LP−20R、MP−30R、PP−40R、SP−60R,OP−80R、OP−83RAT、OP−85R、BP−70R)
特殊非イオン型分散剤(A−10R、A−13P、MN−811、ユニルーブ34S−23、10MS−250KB)
ポリオキシエチレン硬化ひまし油(ユニオックスHC−40、HC−60)
成形用スラリーは、以下のようにして製造できる。
(1)分散媒に原料粉末および分散剤を分散してスラリーとした後、ゲル化剤を添加する。
(2)分散媒に原料粉末、分散剤およびゲル化剤を同時に添加して分散することによりスラリーを製造する。
20℃におけるスラリーの粘度は600cpsより低いことが好ましい。本発明によれば、スラリーの粘度を著しく逓減し、緻密化に必要な焼結温度を低下させることができる。この観点からは、20℃におけるスラリーの粘度は、500cps以下が更に好ましく、450cps以下が最も好ましい。
但し、スラリー濃度が低すぎれば成形体密度が低下し、成形体の強度低下、乾燥・焼成時におけるクラックの発生や収縮率の増加に伴う変形等の問題を生ずる点において好ましくない。従って、スラリー濃度25〜75体積%とし、乾燥収縮によるクラックを少なくすることを考慮すると、35〜75体積%のものが更に好ましい。
尚、成形用スラリーには種々の添加剤、例えば分散媒とゲル化剤との反応を促進するための触媒、スラリー調製を容易にするための前記以外の分散剤、消泡剤、界面活性剤、或いは焼結体特性を向上させるための焼結助剤等を加えることが可能である。
好適な実施形態においては、成形体の焼結を還元性雰囲気下で行う。還元性雰囲気は代表的には水素であり、不活性ガスを含んでいて良い。
焼結温度は材料によって決定する。しかし、好適な実施形態においては、焼結時の最高温度を1750℃以下とすることもできる。
焼成温度の下限も特になく、材料によって選択するが、例えば1350℃以上、更には1400℃以上とすることが好ましい。また、焼成体の色調に応じ、適宜加湿してよい(露点−10〜+10℃)。
また、好適な実施形態においては、成形体を1000℃以上、1200℃以下の温度で脱脂し、次いで焼結できる。脱脂は大気雰囲気中で行うことが好ましい。この際、炉内が酸欠状態にならないように、適宜大気もしくは酸素を供給してよい。
ゲルキャスト成形体中有機分は、通常成形(粉末プレス用バインダや押出し加工)法によって得られた成形体中の有機分に比べて分解しにくいので、本脱脂工程は有機分の分解促進に有効であり、焼結体の黒化抑制に効果的である。脱脂時間も限定されないが、30時間以上とすることが好ましく、60時間以上とすることが更に好ましい。
また、焼成体色調に応じ、1000〜1500℃で大気中アニールしてよい。この際、炉内が酸素欠乏状態にならないように、適宜大気もしくは酸素を供給してよい。
本発明の方法によって製造される焼成体の平均粒径は特に限定されないが、0.8μm以上が好ましく、0.9μm以上が更に好ましく、1.0μm以上が一層好ましい。また、この平均粒径は、5.0μm以下が好ましく、3.5μm以下が更に好ましく、3.0μm以下が一層好ましい。
図1は、本発明で製造できる放電管1Aの一例を概略的に示す縦断面図である。図2は、図1の放電管1Aを使用した高圧放電灯を概略的に示す縦断面図である。
放電管1Aは、円管形状の中央発光部2Aと、中央発光部2Aの両側に設けられた一対の管状端部3と、中央発光部2Aと端部3とを連結する一対の連結部4とを備えている。中央発光部2Aの内部空間5と端部3の内部空間6とは連通している。2aは中央発光部2Aの外周面であり、2bは中央発光部2Aの内周面であり、3aは端部3の外周面であり、3bは端部3の内周面である。
図2は、図1の放電管を利用した高圧放電灯の設計例を概略的に示す縦断面図である。放電管1Aの端部3の開口3c付近には導電性部材8が封着用ガラス7で固定されており、導電性部材の端部には電極装置9が取り付けられている。そして、内部空間5、6にイオン化発光物質および始動ガスを充填し、一対の電極部材9の間でアーク放電を生じさせる。
導電性部材の材質としては、モリブデン、タングステン、レニウム、ニオブ、タンタルからなる群より選ばれた一種以上の金属、またはこれらの1種以上の金属とアルミナ、イットリア、石英からなる群より選ばれたセラミックからなる導電性サーメットが好ましい。中でも導電性サーメットは封着するセラミック放電管との熱膨張差が小さくできるため熱応力の発生を押さえることができるため有利である。
封着用ガラスは、アルミナ、イットリア、石英、および希土類酸化物からなる群より選ばれた二種以上のセラミックスの混合物であることが好ましい。
メタルハライド高圧放電灯の場合には、セラミック放電管の内部空間に、アルゴン等の不活性ガスとメタルハライドとを封入し、更に必要に応じて水銀を封入する。
これら高圧放電灯は、自動車用ヘッドランプ、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)、液晶プロジェクターなどの各種の照明装置に適用可能である。
また、本発明の透光性セラミックスは、例えば以下の用途に適用できる。
耐熱衝撃性を必要とする熱サイクル機関における構造体
高温炉等の目視窓
(実験1)
純度99.99%以上、BET表面積9〜15m/g、タップ密度0.9〜1.0g/cmの高純度アルミナ粉末に対して、500ppmの酸化マグネシウム粉末を添加した。この原料粉末をゲルキャスト法によって成形した。
具体的には、この粉末100重量部、分散媒(マロン酸ジメチル)40重量部、ゲル化剤(4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアナート変成物)8重量部、反応触媒(トリエチルアミン)0.1〜0.3重量部、マレイン酸系共重合体およびノニオン系分散剤を混合した。マレイン酸系共重合体およびノニオン系分散剤の合計量は3重量部とした。マレイン酸系共重合体とノニオン系分散剤との合計量を100重量部としたときの各重量比率(重量部単位)は表1に示す。
20℃で、分散媒に前記原料粉末および分散剤を添加して分散し、次いでゲル化剤を添加して分散し、最後に反応触媒を添加することによりスラリーを作製した。このスラリーの粘度は表1に示す。
このスラリーを型内に注入し、2時間放置してゲル化させた。ゲル化した成形体を型から取り出し、60〜100℃で乾燥した。次いで成形体を1100℃で2時間脱脂した。焼成は、100%Dry水素中にて、各条件下で焼結体の嵩密度が99.8%となるような最高温度条件で実施した。次いで、アニールを大気中1200℃で5時間実施した。スラリー粘度、緻密化度(焼結時の最高温度)および直線透過率は表1および表2に示す。
なお、得られたセラミックスは、厚み0.3mmの状態で両面ラップ研磨し、測定波長650nmで測定した。
Figure 0004915772
Figure 0004915772
表1、2からわかるように、マレイン酸系共重合体とノニオン系分散剤とを併用することによって、スラリー粘度が下がりつまり粉末凝集度が低下し、緻密化に必要な焼結温度が低下し、これによって得られたセラミックスの透光性が著しく向上するのがわかる。また別途分散剤総量のみを対粉末で4重量部、5重量部でそれぞれスラリー製作し、焼成体を得たが透過率は3重量部のそれとほぼ変化なかった。
(実験2)
実験1と同様にしてスラリーを作製した。ただし、マレイン酸系共重合体としては「マリアリム AKM−0531」を使用し、ノニオン系分散剤は、表3に示すように種々変更した。スラリーの最終的な粘度がほぼ一定になるのに必要な時間(スラリー化時間)を測定し、表3に示す。
Figure 0004915772
表3からわかるように、ノニオン系分散剤のHLB値を3以上、12以下とすることによって、スラリー化時間は1時間以下に短縮できた。ただし、HLB値はGriffin式で算出した。
本発明の方法で製造可能な発光管1Aの一例を概略的に示す縦断面図である。 図1の発光管1Aを使用して作製した高圧放電灯例を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
1A 発光管: 2A 発光部: 7 封着用ガラス: 9 電極部材

Claims (11)

  1. 平均粒径が0.5μm以下であるセラミック原料粉末、分散媒、ゲル化剤、マレイン酸系共重合体および3以上、12以下のHLB値を有するノニオン系分散剤を含むスラリー濃度25〜75体積%のスラリーを注型し、このスラリーをゲル化させることによって成形体を得、この成形体を焼結させることによってセラミック焼結体を得ることを特徴とする、セラミック焼結体の製造方法。
  2. 前記セラミック焼結体が透光性セラミックスであることを特徴とする、請求項1記載のセラミック焼結体の製造方法。
  3. 前記成形体を常圧下で焼結させることを特徴とする、請求項1または2記載のセラミック焼結体の製造方法。
  4. 前記スラリーの粘度が600cpsより低いことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  5. 前記セラミック焼結体がアルミナであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  6. 前記焼結を還元性雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  7. 前記分散媒が、反応性官能基を有する有機分散媒であり、この有機分散媒と前記ゲル化剤とを化学結合させることにより前記スラリーをゲル化させることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  8. 前記ノニオン系分散剤が、多価アルコールと脂肪酸とのエステルであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  9. 前記ノニオン系分散剤がソルビタン脂肪酸エステル系分散剤であることを特徴とする、請求項記載のセラミック焼結体の製造方法。
  10. 前記セラミック原料粉末の重量を100重量部としたとき、前記分散剤の合計量が3重量部以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
  11. 前記マレイン酸系共重合体と前記ノニオン系分散剤との合計重量を100重量%としたときの前記ノニオン系分散剤の重量比率が、5重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載のセラミック焼結体の製造方法。
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