JP4913366B2 - 難分解性有機ハロゲン化合物の処理方法 - Google Patents

難分解性有機ハロゲン化合物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリクロロビフェニル類(以下PCBと称する)に代表される有害な難分解性有機ハロゲン化合物を安全に化学分解処理する方法に関する。特に、難分解性有機ハロゲン化合物を過酷な条件下で処理することが可能な溶剤を使用することにより、該難分解性有機ハロゲン化合物を迅速に分解して、確実に検出限界以下にまで消失させることができる新規な方法に関する。
有害物質である難分解性有機ハロゲン化合物を安全に化学分解し、無害化処理することは、環境保全の観点から最重要課題となっている。従来から、難分解性有機ハロゲン化合物の分解に関して、種々の提案がなされている。
例えば、金属ナトリウムによる分解処理(特許文献1)、電子線照射による分解処理(特許文献2,3及び4)、酸化カルシウムを加えたボールミルによるメカノケミカル処理(特許文献5)等が公開されている。
しかし、これらの方法には、それぞれ以下のような問題点が指摘されている。
金属ナトリウムにより難分解性有機ハロゲン化合物を分解する方法においては、発火性の金属ナトリウムを使用するため、この取り扱いに危険を伴い、安全性に課題がある。また、電子線照射による分解処理は、使用する装置が高価であるため、処理コストが高くなってしまうという問題がある。さらにメカノケミカル処理においては、ボールミル等の衝撃粉砕装置を用いるが、このときに使用する装置が高価であるという問題がある。すなわち、いずれの方法も安全性及びコストの観点から満足のいく方法であるとは言えない。
上記のような従来法に存在する問題点を解決すべく、難分解性有機ハロゲン化合物を化学的に分解処理する方法として、化学抽出分解法が提案されている。化学抽出分解法は、ポリクロロビフェニル類及びPCB含有絶縁油の処理方法(特許文献6,7及び8)として公開されている。具体的には、難分解性有機ハロゲン化合物(PCB)を、溶解性にすぐれた耐熱耐アルカリ性極性溶剤(主に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、以下「DMI」という。)中で強アルカリ性物質(水酸化カリウム)を用いて脱ハロゲン化する方法である。これらの方法は、PCBを分解し、この濃度を基準値(0.5mg/kg以下)まで減少させることができる点で画期的な方法である。ところが、耐熱対アルカリ性極性溶剤としてDMIを使用して化学抽出分解法を行うと、過酷なアルカリ性条件下でDMIが一部分解する場合があり、高価な溶剤の有効利用、リサイクルという観点から今一段改良の必要があった。
尚、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
特開2000−246002号 特開2001−9408号 特開2001−9409号 特開2001−70913号 特開2001−47026号 特開平6−25691号 特開平7−8572号 特開平7−289656号 特開平7−223974号
そこで本発明は、高濃度のアルカリ性物質との接触にも耐えうる耐アルカリ性、耐熱性溶剤であり、なおかつ難分解性有機ハロゲン化合物の分解処理を促進できるものを見いだし、これを使用して難分解性有機ハロゲン化合物を迅速に分解処理する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するために、多種の溶剤を用いて実験を繰り返した結果、ポリエチレングリコールのジメチルエーテル類が、難分解性有機ハロゲン化合物を良好に溶解し、優れた耐アルカリ性を有し、かつ、260℃以下の温度では激しい分解を惹起しないことを見出した。ポリアルキレングリコールのエーテル類の使用に関しては、既に先行発明がなされているが(上記特許文献9)、現在求められる水準まで難分解性有機ハロゲン化合物を分解処理することができない場合があり、より高いレベルでの処理が必要である。
本発明者らは、反応機構の化学的検討の結果、反応系に水素供給源たりうる高沸点の溶剤と活性炭素とを適量加えることで目的を達したのである。
本発明の態様は、以下の通りである:
1.難分解性有機ハロゲン化合物を、反応溶剤中で強アルカリ性物質及び水素供給源化合物と反応させて分解する方法であって、反応温度が160℃以上260℃以下であり、反応溶剤がポリエチレングリコールジメチルエーテル類であり、水素供給源化合物が水素添加芳香族化合物類、ナフテン系高沸点鉱油及びこれらの2以上の混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、前記方法。
2.該水素供給源化合物を、該難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対して1重量部〜5重量部使用する、上記1に記載の方法。
3.該強アルカリ性物質が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたはこれらの混合物である、上記1又は2に記載の方法。
4.さらに、活性炭素を、難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対して0.1〜3重量部用いる、上記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.該活性炭素が、1重量%以下のNi、Fe、Cr、およびCuを含む金属化合物を含有する上記4に記載の方法。
6.該水素供給源化合物として、テトラリン、デカリン、水添ビスフェノールAまたはこれらの2以上の混合物を用いる、上記1〜5のいずれか1つに記載の方法。
7.該ポリエチレングリコールジメチルエーテル類が、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、及びこれらの2以上の混合物なる群から選ばれる、上記1〜6のいずれか1つに記載の方法。
本発明の内容を詳細に説明する。
本発明において「難分解性有機ハロゲン化合物」とは、人体、動植物に対して強い毒性を示す化合物であり、特に催奇形性などのおそれから、有害物質として廃棄物の処理及び清掃に関する法律により指定されているものが多数ある。これら化合物が土壌、地下水、焼却灰、洗浄水、機械油等に存在する場合は、何らかの処理を施してこれらの濃度を基準値以下に減少させなければならないことが厳密に定められている。本発明において「難分解性有機ハロゲン化合物」とは、有機化合物にフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が1以上置換した化合物全般を指す。本発明では、例えばポリクロロビフェニル類(PCB)、ダイオキシン類、フロン類、およびポリクロロベンゼン類等のハロゲン化芳香族化合物を含む。PCBとは、ビフェニル骨格に塩素原子が数個置換した化合物の総称であり、塩素原子の置換位置、置換数により多数の異性体が存在する。またダイオキシン類とは、狭義の意味ではダイオキシン類対策特別措置法で指定される特定の化合物を指すが、本発明では、いわゆる内分泌撹乱物質(環境ホルモン)として疑われるハロゲン化合物を全て含む。
本発明において好適な反応溶剤は、上述の通り、上記難分解性有機ハロゲン化合物を良好に溶解し、強アルカリ性条件下に耐えうる耐熱性溶剤であることが好ましい。過酷な条件下で難分解性有機ハロゲン化合物を分解するために、かかる条件において分解が起こりにくい溶剤を使用する必要があるからである。
本発明において好適な反応溶剤としてポリエチレングリコールジメチルエーテル類が挙げられる。ポリエチレングリコールジメチルエーテル類とは、ポリエチレングリコールの両末端をメタノールでキャップした化合物であり、例えばトリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル又はこれらの2以上の混合物などが挙げられる。
本発明において「強アルカリ性物質」とは、陽子受容体あるいは電子対供与体となる物質全般を指し、例えば、アルカリ金属元素、およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミン類等が挙げられる。特に本発明の方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、及びこれらの混合物を好適に用いることができる。特に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
本発明において「水素供給源化合物」とは、難分解性有機ハロゲン化合物中のハロゲンを置換する水素を供給することができる化合物を指す。すなわち、水素供給源化合物は、難分解性有機ハロゲン化合物中のハロゲンが上記アルカリ性物質の作用により引き抜かれた後に、自らの水素を提供することによって自身が安定になる化合物である。水素供給源化合物として、水素添加芳香族化合物類、ナフテン系高沸点鉱油またはこれらの2以上の混合物が挙げられる。本明細書において「水素添加芳香族化合物類」とは、少なくとも一部が水素化されている芳香族化合物のことを指す。水素供給源化合物として、例えばテトラリン、デカリン、水素添加ビスフェノールA、ドデシルベンゼン等が挙げられ、これらのうちから2以上を選択して混合物として用いることもできる。
本発明において、難分解性有機ハロゲン化合物を「分解する」とは、以下に詳しく述べる化学反応により、これら化合物を他の化合物に転換することを意味する。特に本発明では、ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応及び他の置換基による置換によって、別の無害な或いは毒性の低い化合物を生成することを意味する。
本発明において、場合により触媒を使用してもよい。脱ハロゲンされた難分解性有機ハロゲン化合物に水素供給源化合物から水素が移動する反応を触媒するものであることが好ましい。触媒として、活性炭素が挙げられる。活性炭素は、例えばNi、Fe、Cr又はCu等を含む金属化合物を含有していてもよい。
本発明の方法は、耐熱耐アルカリ性のポリエチレングリコールジメチルエーテル類を反応溶剤として用いるため、強アルカリ性、かつ高温条件下での反応においても溶剤が分解することがない。また比較的短時間で効率的に難分解性有機ハロゲン化合物を分解することができ、かつ予想される副生物の生成を最小限に抑制することが可能となる。
以下、本発明の方法を例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様は以下に説明される態様にのみ限定されるものではない。
まず、本発明の方法による化学反応メカニズムを従来法である化学抽出分解法との対比において説明する。以下に説明する反応メカニズムは本発明者らが現在理解している範囲のものであり、この理論に拘泥するものではない。
従来技術に説明される化学抽出分解法の反応メカニズムは、主に強アルカリ性物質由来の水酸化物イオンによる難分解性有機ハロゲン化合物への求核置換反応である。難分解性有機ハロゲン化合物としてポリクロロビフェニル(PCB)の分解を例として説明すると、PCB中の複数の塩素を水酸基(−OH)で置き換えることにより、PCBを別の化合物に変換することを試みているのである。ところが、この従来法では、内分泌撹乱物質の疑いが濃厚であるヒドロキシ塩素化ビフェニル類が残存してしまう可能性が非常に高い。なぜならば、塩素で置換したアリール基(ここではいわゆる芳香族環構造全般を示し、例えばベンゼン環構造、ビフェニル環構造等を全て含む)への水酸化物イオンの反応性は非常に低いことが知られているからである。たとえアリール基に置換した塩素のうち一つが水酸基で置き換わったとしても、この水酸基の電子供与性が大きいために、アリール基全体の電子密度が上昇し、さらなる水酸化物イオンによる求核置換反応は一段と進行しにくくなる。すなわち、置換塩素が複数あるPCBのうちの塩素の一つが水酸基で置換されてしまうと、二つ目の水酸基による置換はさらに困難となるのである。よって、複数ある置換塩素の全てが水酸基で置き換わっていない形のヒドロキシ塩素化ビフェニル類が、残存するという結果になる。したがって、PCB自体の濃度は基準値以下に減少したとしても、別の有害物質とされるヒドロキシ塩素化ビフェニル類が生成される、ということになり、これらを除去するために別途固液分離などの工程を経る必要がある。
本発明では、難分解性有機ハロゲン化合物を、反応溶剤中で強アルカリ性物質及び水素供給源化合物と反応させて分解する。この反応のメカニズムを順に説明すると、まず、難分解性有機ハロゲン化合物中のハロゲンを強アルカリ性物質により引き抜く。ハロゲンが脱離した難分解性有機ハロゲン化合物は置換基を求める状態になると、反応系に共存する水素供給源化合物が自らの水素を提供する。これにより難分解性有機ハロゲン化合物のハロゲンが水素に置換していく。これを、例えば、難分解性有機ハロゲン化合物としてポリクロロビフェニル類(PCB)を分解すると反応で説明する。PCB中の塩素がアルカリにより脱離し、ここに水素供給源化合物からの水素が移動する。最終的にはPCB中の塩素が全て水素に置き換わり、より毒性の低いビフェニルに変化することになる。本発明の方法では、水素供給源化合物由来の水素による置換と、強アルカリ性物質由来の水酸化物イオンによる置換との競争反応になるが、実際には水素による置換の方が優先的に起こるようである。この点に関し、本発明者らは、ベンザイン経由の反応が起こっているためと考えている。高温条件(例えば200℃以上)で本反応を行う場合が、非常に不安定なベンザイン構造が中間体として生成し、この近傍に抜き取りやすい水素(水素供給源化合物由来)を存在させると水素が直ちに付加することとなるため、アルカリ由来の水酸化物イオンによる置換は主ではなくなると考えられる。このように、水酸基による置換ではなく、水素による置換を主とするために、反応温度条件を高温にする必要があるとも云える。
高温かつ強アルカリ性条件下に耐えうる反応溶剤として、各種耐熱耐アルカリ性溶剤を検討した結果、本発明者らはポリエチレングリコールジメチルエーテル類が最適であることを見いだした。ポリエチレングリコールジメチルエーテル類はアルカリに強く、かつ沸点が高い。また難分解性有機ハロゲン化合物の良溶媒でもある。好適な反応溶剤は、例えばトリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル又はこれらの2以上の混合物などが挙げられる。混合物としてはポリエチレングリコールジメチルエーテルの分子量約170〜240程度のものが挙げられる。
本発明の方法においては、上述の通り反応温度を極めて高温にすることができる。例えば160〜260℃、好ましくは200〜260℃、水素による置換を主にするという観点からは240℃以上とすることが特に好ましい。
本発明の方法において、反応溶剤は、分解しようとする難分解性有機ハロゲン化合物の濃度が、例えば0.5ppm〜100重量%、好ましくは0.5〜70重量%となるような量で用いることができる。
また、強アルカリ性物質は、難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対し、等重量部〜10重量部、好ましくは2重量部〜5重量部の割合で用いることができる。難分解性有機ハロゲン化合物の種類にもよるが、通常かかる化合物には複数個のハロゲンが存在しているので、確実にハロゲンを脱離するためには、強アルカリ性物質を多めに存在させてやるのが好適である。強アルカリ性物質として、アルカリ金属元素、およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミン類等が挙げられる。特に本発明の方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、及びこれらの混合物、特に水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はこれらの混合物を使用することが好ましい。
一方、水素供給源化合物は、難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対して等重量部〜10重量部、好ましくは3〜5重量部用いることができる。難分解性有機ハロゲン化合物の種類にもよるが、通常かかる化合物中には複数個のハロゲンが存在しているので、確実に水素で置換するためには水素供給源化合物を多めに存在させてやるのが好適である。水素供給源化合物として、テトラリン、デカリン、分岐アルキルベンゼン、ナフテン系高沸点鉱油などが挙げられるが、かかる化合物はいずれも、ハロゲンが脱離した難分解性有機ハロゲン化合物に水素を提供することによって、自身も安定化することができる化合物である。例えば、テトラリンおよびデカリンはいずれも6員環を二つ有する化合物であるが、いずれの化合物も水素を提供することにより安定な共役のビフェニル構造を形成することができる。水素供給源化合物として特に好適に使用されるのが、水添ビスフェノールAである。水添ビスフェノールAも、水素を提供することにより共役のビスフェノール構造を形成し、安定化することができる。
水素供給源化合物から難分解性有機ハロゲン化合物への水素の移動を触媒する化合物として、先に説明した活性炭素を用いることができる。活性炭素は、難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対し、0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いることが好ましい。活性炭素中に、Ni、Fe、Cr又はCuを含む金属化合物を含有していてもよい。金属化合物を含有した活性炭素を用いると、触媒反応をスムーズに進行させることが可能となる。
本発明の方法による難分解性有機ハロゲン化合物の分解反応を、以下に実施例として説明する。本実施例は本発明の実施の態様の一部を記載したものであり、本発明の思想を制限するものと考えてはならない。
[実施例1]
本発明の方法により、ポリクロロビフェニル類の分解反応を行った。
反応液の温度を測定するための温度計、気相部の温度を測定するための温度計、撹拌棒及び撹拌機を備えた1Lの四ツ口の反応フラスコ(反応系の気相部は、不活性気体(窒素)により封入してある)に、難分解性有機ハロゲン化合物であるポリクロロビフェニル(カネクロールKC−1000、鐘淵化学工業製)25.4g、溶剤としてテトラエチレングリコールジメチルエーテル(和光純薬製)151g、強アルカリ性物質としてフレーク状水酸化カリウム(旭硝子製)87.1g、水素供給源化合物としてテトラリン(和光純薬製)25.4g、及び活性炭素(活性炭素粉末、和光純薬製)3.6gを混合し、撹拌機により反応液を撹拌しながら油浴の温度を上昇させた。油浴温度を240℃に維持し、反応を6時間続行した。反応後反応液を室温まで冷却し、下層の固形物を除去し、反応液をn-ヘキサンで抽出して、反応液中に含まれるPCB類、及びヒドロキシ塩素化ビフェニル類の濃度を計算した。PCB類の含有量の測定は、「特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192号 改正平成10年)に基づき、高分解能ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)を用いて行った。ヒドロキシ塩素化ビフェニル類の含有量は、ガスクロマトグラフ−質量分析法/選択イオン検出(GC−MS/SIM)を用いて行った。さらに、反応液中に残るDMI溶剤の量を「内部標準法」に基づき、水素炎イオン化検出器(GC−FID)を用いて測定し、DMIの分解率を求めた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例2]
溶剤としてトリエチレングリコールジメチルエーテル(和光純薬製)359gを使用し、テトラリンを50.8g使用したこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例3]
テトラリンを50.8g、活性炭素を6.2g使用したこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例4]
溶剤としてトリエチレングリコールジメチルエーテル359g、水素供給源化合物としてデカリン(デカヒドロナフタレン、和光純薬製)50.8g、活性炭素を6.2g使用したこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例5]
水素供給源化合物としてドデシルベンゼン(和光純薬製)25.4gを使用し、活性炭素を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例6]
水素供給源化合物としてドデシルベンゼン25.4gを使用し、活性炭素を6.2g使用したこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
[実施例7]
水素供給源化合物として水添ビスフェノールA(4,4'-Isopropylidenedicyclohexanol、Aldrich製)25.4gを使用したこと以外は実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表1に掲載する。
Figure 0004913366
いずれの実施例においても、PCB濃度は0.5mg/L以下になっており、副生物であるヒドロキシ塩素化ビフェニル類も未検出であった。
[比較例1]
溶剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(東京化成製)230g、水素供給源化合物としてジシクロヘキシルアミン(関東化学製)25.4gを使用し、活性炭を使用せず、反応温度を210℃で行ったこと以外は、実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表2に掲載する。
[比較例2]
溶剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン230g、強アルカリ性物質として水酸化ナトリウム(水酸化ナトリウム・粒状、キシダ化学製)60.1g、水素供給源化合物としてアルミ箔(Aluminum , Foil, 0.05mm、Aldrich製)12.2gを使用し、活性炭素を使用せず、反応温度を210℃で行ったこと以外は、実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表2に掲載する。
[比較例3]
溶剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン230g、強アルカリ性物質として水酸化ナトリウム100.2g、水素供給源化合物としてアルミ箔12.2gを使用し、活性炭素を使用せず、反応温度を210℃で行ったこと以外は、実施例1と同様に反応させた。本実施例の結果を表2に掲載する。
Figure 0004913366
いずれの比較例でも、副生物であるヒドロキシ塩素化ビフェニル類が多量に生成していた。
本発明の方法は、従来のPCB処理工場において使用される装置をそのまま利用して実施することができる。

Claims (6)

  1. 難分解性有機ハロゲン化合物を、反応溶剤中で強アルカリ性物質及び水素供給源化合物と反応させて分解する方法であって、反応温度が160℃以上260℃以下であり、反応溶剤がポリエチレングリコールジメチルエーテル類であり、水素供給源化合物として、テトラリン、デカリン、水添ビスフェノールA、ドデシルベンゼンまたはこれらの2以上の混合物を用いることを特徴とする、前記方法。
  2. 該水素供給源化合物を、該難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対して等重量部〜5重量部使用する、請求項1に記載の方法。
  3. 該強アルカリ性物質が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたはこれらの混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. さらに、活性炭素を、難分解性有機ハロゲン化合物1重量部に対して0.1〜3重量部用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 該活性炭素が、1重量%以下のNi、Fe、Cr、およびCuを含む金属化合物を含有する、請求項4に記載の方法。
  6. 該ポリエチレングリコールジメチルエーテル類が、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、及びこれらの2以上の混合物なる群から選ばれる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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