扉体の円滑な開閉移動を維持するためには、引戸装置について各種の作業を行うことが求められ、この作業のなかには、ガイド体についてのメンテナンス作業や交換作業等も含まれており、上述のように、ガイド体が取付部材にビス等の結合手段で結合されている場合には、ガイド体を取付部材から取り外して行うガイド体についての作業に手間がかかることになる。このため、ガイド体の取り外しを容易に行える工夫が求められる。
本発明の目的は、扉体の開閉移動を案内するためのガイド体の取り外しを容易に行えるようになる引戸装置を提供するところにある。
本発明に係る引戸装置は、ガイド体と、このガイド体が取り付けられた取付部材と、前記ガイド体に案内されて開閉移動自在となっている扉体とを含んで構成される引戸装置において、前記ガイド体が前記取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
この引戸装置では、ガイド体の取付部材への取り付けは、係脱手段で係脱可能に行われているため、取り付けをビスなどの結合手段によって行う場合と比べて、取付部材からのガイド体の取り外しを容易に行え、また、取付部材へのガイド体の取り付けも容易に行える。このため、ガイド体についてのメンテナンス作業や交換作業等の各種作業を容易かつ短時間で行え、作業効率を向上させることができる。
以上において、本発明に係るガイド体は、ガイドレールでもよく、スライドレール(スライディングレール)でもよい。
また、ガイド体を係脱手段で係脱可能に取り付ける取付部材は、扉体に対して不動となっている引戸装置の枠部材でもよく、この枠部材に結合された付属部材等でもよい。
また、係脱手段の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。係脱手段の個数を複数個とする場合には、これらの係脱手段を、扉体の開閉移動方向であるガイド体の長手方向に配置することが好ましい。これによると、ガイド体を取付部材に一層確実に取り付けることができる。
さらに、本発明は、扉体を収納するための戸袋を備えている引戸装置に適用できるとともに、このような戸袋を備えていない引戸装置にも適用できる。
また、本発明に係るガイド体は、扉体の開閉移動方向に連続している1本の部材で形成してもよく、この開閉移動方向に分割された複数の分割ガイド部材の連続的配置によって形成してもよい。
後者の場合には、全部の分割ガイド部材を取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けてもよく、これらの分割ガイド部材のうちの少なくとも1個の分割ガイド部材を取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けてもよい。
全部の分割ガイド部材のうち、少なくとも1個の分割ガイド部材を取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けることは、任意なタイプの引戸装置に適用することができる。その一例は、引戸装置が扉体を収納するための戸袋を有するタイプであって、ガイド体が、この戸袋の内部に配置された戸袋内部配置部分を備えるものになっている場合である。このような引戸装置については、前述した複数の分割ガイド部材のうち、係脱手段で取付部材に係脱可能に取り付けられている分割ガイド部材によって上記戸袋内部配置部分を形成してもよい。
これによると、ガイド体を形成している部分のうち、戸袋内部配置部分についてのメンテナンス作業や交換作業等を行うために、この戸袋内部配置部分を取付部材から取り外すことが必要となった場合には、この戸袋内部配置部分は、係脱手段で取付部材に係脱可能に取り付けられている分割ガイド部材によって形成されているため、戸袋を破壊等することなく、この分割ガイド部材を取付部材から容易に取り外すことができ、また、所定の作業の終了後に、分割ガイド部材を取付部材に容易に取り付けることもでき、作業の容易化と迅速化を図ることができる。
なお、上記戸袋は、外部に露出した戸袋、言い換えると、外部から視認できる戸袋でもよく、壁の内部に収納された壁収納式の戸袋でもよい。また、上記戸袋は、この戸袋に収納された前記扉体の一方の片面だけを隠し、他方の片面を外部に露出させる片面式の戸袋でもよい。
また、前述のように、ガイド体のうちの戸袋内部配置部分を、係脱手段で取付部材に係脱可能に取り付けられている分割ガイド部材によって形成する場合であって、この分割ガイド部材が戸袋から突出した突出部を備えている場合には、この突出部を取付部材にビス等の着脱可能な結合手段で結合することが好ましい。
これによると、上記分割ガイド部材が取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けられていても、この分割ガイド部材の一部はビス等の結合手段でも取付部材に結合されているため、取付部材に対する分割ガイド部材の取付強度をこの結合手段によって大きくできるとともに、この結合手段による結合は、分割ガイド部材のうち、戸袋から突出している突出部において行われるため、結合手段による結合を解除して行う分割ガイド部材の取付部材からの取り外し作業を、戸袋に影響されることなく容易に行え、また、結合手段の結合によって行う分割ガイド部材の取付部材への取り付け作業も、戸袋に影響されることなく容易に行える。
本発明において、ガイド体を取付部材に係脱可能に取り付けるための係脱手段は、任意な形式のものでよく、例えば、フック方式(引っ掛け方式)のものでもよく、係り止め方式(係止方式)のものでもよく、係合方式のものでもよく、嵌合方式のものでよく、挟着方式のものでもよく、これらのうちの少なくとも2つが複合されたもの等でもよい。
そして、一層具体的な構造で説明すると、上記係脱手段を、ガイド体と取付部材のうちの一方に形成された係止孔と、他方に設けられ、この係止孔に挿入係止される係止部材とを含んで形成されたものとすることができる。
なお、係止孔を取付部材に形成し、係止部材をガイド体に設けてもよく、係止孔をガイド体に形成し、係止部材を取付部材に設けてもよい。
また、係止部材の形状及び構造は任意であり、この係止部材を、例えば、ピン状のものとしてもよく、板状のものとしてもよく、ブロック状のもの等としてもよい。
また、係脱手段を、係止孔と係止部材とを含んで形成されたものとする場合には、これらの係止孔と係止部材とを、ガイド体の長手方向である水平方向又は略水平方向に長い細長形状としてもよい。
これによると、係脱手段の水平方向又は略水平方向の面積は大きくなるため、ガイド体の重量と、このガイド体を介して作用する扉体の重量とを、この大きな面積によって有効に受けることができるようになる。
また、係止部材を、係止孔に挿入される第1部分と、この第1部分から延び、前記一方における前記他方の側の面とは反対側の面と対面する第2部分とを有するものとし、上記他方と上記第2部分とで上記一方を挟着するようにしてもよい。
これによると、ガイド体の取付部材への係脱可能な取り付けは、上記一方が、上記他方と係止部材の上記第2部分とで挟着されることによって行われるため、この取り付けは一層確実なものとなる。
また、前記第2部分を前記第1部分の先端から鉛直方向に延びているものとする場合には、この第2部分の先端部を、前記他方から離れる側へ傾斜した傾斜部とすることが好ましい。
これによると、係止部材の前記第1部分を係止孔に挿入して係止部材を係止孔に係止する際に、第2部分の先端部が係止孔の縁部に当接しても、この先端部は前記他方から離れる側へ傾斜した傾斜部となっているため、この傾斜部の案内作用により、第2部分の先端部が係止孔の縁部に引っ掛かることなく、第2部分を、前記一方における前記他方の側の面とは反対側の面と対面する位置まで一層確実に到達させることができ、これにより、係止部材を係止孔に係止させることができる。
このように第1部分の先端から鉛直方向に延びている第2部分の先端部を、前記他方から離れる側へ傾斜した傾斜部とすることは、係止部材が前記ガイド体に設けられていて、係止孔が前記取付部材に形成されている場合と、係止部材が前記取付部材に設けられていて、係止孔が前記ガイド体に形成されている場合との両方において適用することができる。そして、係止部材がガイド体に設けられていて、係止孔が取付部材に形成されている場合には、第2部分は、第1部分の先端から下向きに延びることになり、係止部材が取付部材に設けられていて、係止孔がガイド体に形成されている場合には、第2部分は、第1部分の先端から上向きに延びることになる。
また、係止孔を、第2部分が挿入可能な大孔部と、この大孔部からガイド体の長手方向となっている水平方向又は略水平方向にずれた位置において前記他方に大孔部と連続して形成され、この大孔部よりも上下寸法が小さい小孔部とを含んで形成されたものとし、大孔部から係止孔に第2部分が挿入された係止部材が、ガイド体の長手方向へのこのガイド体の移動によって大孔部の側から小孔部の側へ移行可能とすることが好ましい。
これによると、大孔部から係止孔に第2部分が挿入された係止部材は、ガイド体の長手方向へのこのガイド体の移動によって大孔部の側から小孔部の側へ移行することになり、小孔部の上下寸法は第2部分の寸法よりも小さいため、上記移行後は、第2部分が係止孔から抜け出すことを防止でき、これにより、係止部材を係止孔に一層確実に係止させることができる。
また、本発明に係る引戸装置には、取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けられたガイド体を上向きに支持するための支持部材を設けてもよい。
これによると、ガイド体の重量と、このガイド体を介して作用する扉体の重量とを、係脱手段と支持部材とによって支持できるようになり、ガイド体の支持を一層有効に行える。
このように、ガイド体の重量と、このガイド体を介して作用する扉体の重量とを、係脱手段と共に支持するために支持部材は、任意な形状、構造のものでよい。その一例は、支持部材を、前記取付部材又はこの取付部材に結合された部材に取り付けられた部材とし、この支持部材の上にガイド体の長手方向の端部を載せるようにすることである。
また、他の例は、ガイド体の端部に、このガイド体の長手方向へ延長突出した延長部材を設け、この延長部材を、前記取付部材又はこの取付部材に結合された部材に形成されている孔に挿入支持させ、この孔が形成されている部材を上記支持部材とすることである。
以上説明した本発明は、扉体の開き移動と閉じ移動のうちの少なくとも一方が自動閉鎖装置によって行われる引戸装置と、扉体の開き移動と閉じ移動の両方が手動操作で行われる引戸装置とに適用することができる。自動閉鎖装置を備えている引戸装置には、扉体が全閉に近い位置まで閉じ移動した後にこの閉じ移動速度を減速させるためのブレーキ装置を設けてもよい。
さらに、本発明は、扉体の個数が1個となっている引戸装置と、扉体の個数が複数個となっている引戸装置とに適用することができる。
本発明を扉体の個数が複数個となっている引戸装置に適用する場合には、係脱手段によって取付部材に係脱可能に取り付けるガイド体は、全部の扉体のうちの1個の扉体のためのガイド体でもよく、全部の扉体のうちの複数個の扉体のための複数のガイド体でもよく、全部の扉体のための全部のガイド体でもよい。
また、本発明を扉体の個数が複数個となっている引戸装置に適用する場合には、これらの扉体の配置位置は、これらの扉体の厚さ方向にずれていてもよく、これらの扉体の厚さ方向にずれていなくてもよい。さらに、これらの扉体の開閉移動方向は、同じ方向でもよく、反対方向でもよい。そして、上記複数個の扉体の開閉移動方向を同じ方向とする場合には、これらの扉体を、外側扉体と、この外側扉体の内部に入れ子式に収納される内側扉体としてもよい。
また、扉体の個数が複数個の場合であって、任意の扉体に他の扉体の開閉移動を案内するためのガイド体を取り付ける場合には、前述した「取付部材」を、上記任意の扉体としてもよい。
また、ガイド体で案内される扉体の開閉移動形態は任意である。すなわち、扉体を案内するガイド体は、扉体を直線的に案内するものでもよく、曲線的に案内するものでもよく、さらに、例えば、扉体を建物躯体等に近づけながら全閉とさせるために、ガイド体は、扉体を扉体の厚さ方向に略平行移動させながら扉体の幅方向(扉体の開閉移動方向)に移動させるものでもよい。
また、本発明は、ガイド体と扉体とが各種の位置関係となっている引戸装置に適用することができる。その一例は、扉体の上方に配置されたガイド体から扉体が吊り下げられた上吊り式引戸装置であり、他の例は、扉体の下方に配設されたガイドレール等のガイド体に案内されて扉体が移動する引戸装置であり、さらに他の例は、扉体の下方と上方の両方に配設されたガイドレール等のガイド体に案内されて扉体が移動する引戸装置等である。
本発明によると、扉体の開閉移動を案内するためのガイド体は取付部材に係脱手段で係脱可能に取り付けられているため、ガイド体の取り外しを容易に行えるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る引戸装置は、1個の扉体が、この扉体の上方に配置されたガイド体となっているガイドレールから吊り下げられ、かつこのガイドレールに案内されて開閉移動を行う上吊り式の引戸装置であり、また、この引戸装置は、扉体を収納する戸袋を有するものであって、この戸袋は、壁の内部に収納された壁収納式の戸袋である。
図1は、例えば、建物内における廊下と部屋との間に配置され、扉体1で開閉される空間が出入口2となっているこの上吊り式の引戸装置の全体を示す正面図である。この引戸装置の外枠組みは、上枠部材10と、扉体1が全閉位置に達して出入口2を閉じたときにこの扉体1の先端が当接する戸先側の竪枠部材11と、この戸先側の竪枠部材11とは扉体1の移動方向反対側に配置されている戸尻側の竪枠部材12と、これらの竪枠部材11と12の間に配置されているとともに、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3における出入口2の側の端部に配置された竪額縁部材13と、床4における戸袋3の下端に配置された幅木14とを含んで形成されている。
出入口2は、これらの枠部材10〜14で形成された外枠組みの内側の一部の空間となっており、この出入口2は扉体1で開閉され、この出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋3は、壁5の内部に収納された壁収納式の戸袋である。上枠部材10は、戸先側の竪枠部材11から戸尻側の竪枠部材12まで延びているため、この上枠部材10は出入口2と戸袋3に跨る長さを有し、竪額縁部材13は、戸袋3における出入口2側の見切り部材となっている。
戸袋3は、上枠部材10と幅木14の長手方向(図1では左右方向であって、扉体1の開閉移動方向)に連続している補強部材20によって補強された構造となっており、この補強部材20は、竪枠部材11,12と竪額縁部材13の長手方向でもある上下方向に複数個配設されている。そして、これらの補強部材20の上下において、上枠部材10と幅木14の長手方向に細長い形状となっている内側壁材が接着テープ等による結合具で補強部材20に結合され、これらの内側壁材の外側に大面積を有する外側壁材が配置され、補強部材20にビスやステープル等の結合具で結合されているこの外側壁材の表面に、クロス等の壁仕上げ材が取り付けられている。このため、これらの内側壁材と外側壁材と壁仕上げ材により、戸袋3の部分の壁5が形成され、戸袋3は、補強部材20が構造材となって壁5の内部に形成されている。
上枠部材10の全長のうち、出入口2と対応する部分は、点検カバー23で開閉可能に塞がれる開口部10Aとなっている。この点検カバー23は、図1のS4−S4線断面図である図4に示されているように、上端に斜め下向きに形成され、上枠部材10の上面10Bの端部の傾斜延出部10Cに係止される係止部23Aと、この係止部23Aから鉛直又は略鉛直下向きに延びている正面部23Bと、この正面部23Bの下端から上枠部材10の内側へ水平又は略水平に屈曲している下面部23Cとを有する。上枠部材10の開口部10Aを塞いでいるときの点検カバー23は、係止部23Aが上枠部材10の傾斜延出部10Cに係止され、これにより点検カバー23の重量が上枠部材10で支持され、また、図1から分かるように、下面部23Cが、戸先側の竪枠部材11と竪額縁部材13に取り付けられているブラケット24,25にねじ部材26,27で止められている。
点検カバー23を取り外して上枠部材10の開口部10Aを開けるときには、ねじ部材26,27を取り外し、これにより、点検カバー23は、上端の係止部23Aを中心に上枠部材10の内外方向に揺動可能となるため、上枠部材10の外側方向へ揺動させることにより、係止部23Aを上枠部材10の傾斜延出部10Cから抜き取る。これにより、点検カバー23が取り外されて上枠部材10の開口部10Aが開けられることになり、また、以上とは逆の作業を行うことにより、開口部10Aを点検カバー23で塞ぐことができる。
上枠部材10の内部には、扉体1を開閉移動させるための扉体移動機構が収納配置されており、図2は、点検カバー23を取り外し、かつ戸袋3と壁5を除外して示した扉体移動機構の全体正面図であり、図3は、この扉体移動機構の要部拡大正面図である。
次に、この扉体移動機構について説明する。
図2に示されているように、上枠部材10の内部には、この上枠部材10の略全長に渡る長さとなったガイドレール30が、扉体1の上方において配置され、扉体1の直線の開閉移動を案内するための本実施形態のガイド体となっているこのガイドレール30は、図4に示されているように、上下に延びる基端部30Aと、この基端部30Aの下端から扉体1の厚さ方向へ水平又は略水平に延びるアーム部30Bとを有する略L字形状であり、基端部30Aは、上枠部材10の内部に配置されている取付部材38に着脱可能なビス等の結合具31で結合されている。扉体1の上部には、アーム部30Bの先端に上向きに形成されたローラ載置部30Cの上に転動自在に載っているローラ32がブラケット33を介して取り付けられ、これらのローラ32とブラケット33は、図3で示されているとおり、上枠部材10の長手方向である扉体1の開閉移動方向に2個設けられている。このため、扉体1は、この扉体1の上方に配置されたガイドレール30にローラ32が載っていてガイドレール30から吊り下げられた上吊り式の扉体になっている。
また、図3で示されているように、上枠部材10の内部空間には、扉体1を自動的に閉じ移動させるための渦巻きばね式の自動閉鎖装置34が配置され、この自動閉鎖装置34は、上枠部材10における戸先側の竪枠部材11に近い端部の近傍において、上枠部材10の内面やガイドレール30の上記基端部30Aにビス等の結合具で結合されている。自動閉鎖装置34からは、この自動閉鎖装置34の内部に設けられている渦巻きばね機構に一端が連結された合成樹脂製等の紐状部材35が導出され、この紐状部材35の他端は、上記2個のローラ32のうち、戸先側のローラ32Aを回転自在に支持しているブラケット33Aに連結されている。扉体1の戸先側の端部が戸先側の竪枠部材11に当接していて扉体1が前記出入口2を全閉としているときに、図1で示す把持部36を握った手によって扉体1をガイドレール30に沿って開き移動させると、自動閉鎖装置34から繰り出される紐状部材35により、上記渦巻きばね機構の渦巻きばねにばね力が蓄圧され、把持部36から手を離すと、この蓄圧されたばね力によって扉体1が自動的に全閉位置まで閉じ移動する。このため、本実施形態に係る引戸装置は、自動閉鎖式の引戸装置である。
図1で示されているように、扉体1が開閉移動する移動経路における前記竪額縁部材13の配置位置と対応する位置、言い換えると、前述した幅木14における戸先側の竪枠部材11の側の端部には、ガイドローラ39が配置されている。このガイドローラ39は前記床4に立設された軸に水平又は略水平に回転自在に配置されているとともに、下方に向かって開口している扉体1の下端部の内部に回転自在に挿入されており、これにより、扉体1のガイドレール30で案内される開閉移動は、扉体1の下端部がガイドローラ39で案内されながら行われる。
また、図3で示されているように、扉体1の上部にはロータリー式ブレーキ装置40が配置され、このブレーキ装置40は、上記2個のローラ32のうち、戸先側のローラ32Aを回転自在に支持しているブラケット33Aに取り付けられている。すなわち、本実施形態では、このブラケット33Aは、扉体1にローラ32Aとブレーキ装置40の両方を取り付けるための部材となっており、部材の兼用化が図られている。
ロータリー式ブレーキ装置40は、図4で示されているとおり、ラック部材50に噛合するピニオンギア41を有し、このピニオンギア41の回転中心軸42は扉体1の厚さ方向に延びているとともに、この回転中心軸42の軸方向は水平又は略水平方向となっており、この回転中心軸42と、上記ローラ32の回転中心軸37とは、平行又は略平行となっている。
ラック部材50は、上枠部材10の内部の前記取付部材38に取り付けられた保持部材51で保持されている。この保持部材51は、取付部材38に着脱可能なビス等の結合具52で結合されていて上下方向に延びている基端部51Aと、この基端部51Aの上端から扉体1の厚さ方向へ水平又は略水平に延びているアーム部51Bと、このアーム部51Bの先端部の下面に設けられ、ラック部材50のベース部50Aを溝53の内部で保持する保持部51Cとを有する。このため、ラック部材50は、保持部材51の保持部51Cにおいて、ピニオンギア41が噛合する歯部50Bが下側となって下向きに保持され、扉体1に上記ブラケット33Aを介して取り付けられているロータリー式ブレーキ装置40のピニオンギア41の上端が、ラック部材50のこの歯部50Bに噛合している。
ラック部材50と保持部材51は扉体1の開閉移動方向への長さを有しているとともに、これらのラック部材50と保持部材51は、図2及び図3で示されているように、ガイドレール30の全長に渡る長さとなっておらず、ラック部材50と保持部材51の戸先側の端部の位置は、扉体1の戸先側の端部が戸先側の竪枠部材11に当接したときに、言い換えると、扉体1が全閉位置に達したときに、ピニオンギア41が到達している位置と同じ位置又はこれよりも少し戸先側の位置となっている。また、ラック部材50と保持部材51の戸尻側の端部の位置は、扉体1の戸先側の端部と戸先側の竪枠部材11との間に人の肩幅と同じ程度の間隔が開いている位置まで扉体1が達しているときに、この扉体1におけるピニオンギア41と同じ位置又は略同じ位置となっている。
図4で示されているロータリー式ブレーキ装置40の本体40Aの内部には、シリコンオイル等の粘性流体が充填され、この粘性流体の内部には、ピニオンギア41に前記回転中心軸42を介して結合されたブレードが収納され、ピニオンギア41が回転すると、このブレードも回転中心軸42を介して回転する。
このため、扉体1が、前述した自動閉鎖装置34の渦巻きばね機構の渦巻きばねに蓄圧されたばね力による自動閉鎖力によって全開位置側から全閉位置側へ閉じ移動し、この閉じ移動の途中において、ピニオンギア41がラック部材50に噛合し始めたときには、このときからピニオンギア41がラック部材50によって回転することにより、扉体1には、ロータリー式ブレーキ装置40の上記粘性流体がブレードで撹拌されることで生ずる粘性力による制動力が発生し、これにより、扉体1はロータリー式ブレーキ装置40で制動されて減速しながら全閉位置に達する。
また、前述したように、図1で示した把持部36を握った手によって扉体1を開き移動させる場合にも、ラック部材50と噛合しているピニオンギア41は回転するが、このピニオンギア41と、ピニオンギア41の前記回転中心軸42との間には一方向クラッチが介設されており、扉体1が全開位置へ向かって移動しているときのピニオンギア41の回転については、この一方向クラッチの接続は断絶されるため、扉体1の開き移動を、ロータリー式ブレーキ装置40による制動力を発生させずに小さな力で軽く行うことができる。
なお、扉体1を減速させながら全閉位置に到達させるためのブレーキ装置は、上記ロータリー式のものに限らず任意な形式のものを採用でき、例えば、シリンダ式のものでもよい。
図2及び図3で示されているように、扉体1の開閉移動方向が長手方向となって水平又は略水平に延びているガイドレール30は、前記出入口2側の分割ガイド部材60と、前記戸袋3側の分割ガイド部材61とからなる。すなわち、ガイドレール30は、扉体1の開閉移動方向に分割された2個の分割ガイド部材60,61を連続的に配置することによって形成されており、戸袋3の内部に配置されている分割ガイド部材61は、ガイドレール30のうちの戸袋内部配置部分を形成している。
図5は、戸袋3の側の分割ガイド部材61を示す図1のS5−S5線断面図である。図4におけるガイドレール30についての前述の説明は、出入口2側の分割ガイド部材60についての説明であったが、図5の戸袋3側の分割ガイド部材61も、出入口2側の分割ガイド部材60と同じく、上下に延びる基端部30Aと、この基端部30Aの下端から扉体1の厚さ方向へ水平又は略水平に延びるアーム部30Bとを有する略L字形状であり、アーム部30Bの先端には上向きのローラ載置部30Cが形成され、このローラ載置部30Cに、扉体1の前記2個のローラ32が転動自在に載るようになっている。
また、戸袋3側の分割ガイド部材61の基端部30Aの上部には、ビスポケット状の空間部30Dが形成された取付部30Eが設けられている。この分割ガイド部材61はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き成形品で形成されており、戸袋3側の分割ガイド部材61と比較して取付部30Eが存在しない出入口2側の分割ガイド部材60は、取付部30Eを切除したこの押し出し成形品又は引き抜き成形品によって形成されており、そして、切除された取付部30Eに相当する位置に、前記ラック部材50を保持した保持部材51が配置されている。
出入口2側の分割ガイド部材60は、図4で説明したように、ビス等の結合具31で前記取付部材38に取り付けられているが、戸袋3側の分割ガイド部材61は、図2で示されているように、係脱手段70で取付部材38に係脱可能に取り付けられている(図5も参照)。また、この係脱手段70は、扉体1の開閉移動方向であるガイドレール30の長手方向に複数個、本実施形態では2個設けられている(図2を参照)。それぞれ係脱手段70の形状及び構造は同じであり、図6は、これらの係脱手段70のうちの戸尻側の係脱手段70を示す正面図であり、図7は、図6のS7−S7線断面図である。
図6及び図7で示されているとおり、係脱手段70は、取付部材38に形成された係止孔71と、分割ガイド部材61に設けられ、係止孔71に挿入係止される係止部材72とからなる。これらの係止孔71と係止部材72は、ガイドレール30の長手方向である水平方向又は略水平方向に長い細長形状となっている。
また、図5に示されているように、板材の折り曲げ品である係止部材72は、分割ガイド部材61の前記取付部30Eに、前記空間部30D内に配置された板ナット73に螺入されるビス等の結合具74によって取り付けられたベース部分72Aと、このベース部分72Aの上端から扉体1の厚さ方向へ延出し、係止孔71に挿入される第1部分72Bと、この第1部分72Bの先端から下向きに延びる第2部分72Cとを有し、第1部分72Bが係止孔71に挿入されることにより、第2部分72Cは、取付部材38における分割ガイド部材61の側の面とは反対側の面(すなわち、取付部材38における分割ガイド部材61の側の面を表面とした場合には、取付部材38における裏面)と対面し、この第2部分72Cと、分割ガイド部材61の取付部30Eの背面とにより、取付部材38を挟着するようになっている。
また、図5で示されているとおり、第2部分72Cの先端部は、分割ガイド部材61から離れる方向へ傾斜した傾斜部72Dとなっている。
さらに、図3で示されているように、分割ガイド部材61における戸先側の端部は、前記戸袋3の戸先側の見切り部材となっている前記竪額縁13から前記出入口2側へ突出した突出部61Aとなっており、この突出部61Aは、着脱可能な結合手段であるビス等の結合具75により、取付部材38に結合されている。
また、図6及び図7でも示されているとおり、戸尻側の竪枠部材12には、上枠部材10の内部において、エンド部材76が取り付けられており、このエンド部材76は、分割ガイド部材61の戸尻側の端面を当接させることにより、ガイドレール30の長手方向におけるこの分割ガイド部材61の位置出しを行うためのものである。また、このエンド部材76には、分割ガイド部材61の戸尻側の端部を載せることによってこの端部を上向きに支持するための支持部材77が結合されている。この支持部材77は、図5で示されているように、分割ガイド部材61の前記アーム部30Bを取付部材38と共に挟着するフランジ部77Aを備えている。
以上説明したように本実施形態に係るガイドレール30は、出入口2側の分割ガイド部材60と、戸袋3側の分割ガイド部材61とからなり、これらの分割ガイド部材60と61のうち、分割ガイド部材61が先に取付部材38に取り付けられる。図6及び図7で示されているように、ガイドレール30の長手方向における係止孔71の長さをガイドレール30の長手方向における係止部材72の長さよりも大きくしておくことにより、分割ガイド部材61に結合具74及び板ナット73で結合された係止部材72を係止孔71に挿入した後、この分割ガイド部材61をエンド部材76に当接するまでガイドレール30の長手方向にスライドさせることによって、分割ガイド部材61を自ずとガイドレール30の長手方向の所定位置に配置することができる。
また、係止部材72を係止孔71に挿入したとき、前述したように、係止部材72の第2部分72Cと、分割ガイド部材61の取付部30Eの背面とにより、取付部材38が挟着されるが、この挟着が、第2部分72Cが取付部材38の厚さ方向外側へ弾性的に開き変形することによって行われるようにしておくことにより、係止部材72の前述した傾斜部72Dの案内作用と併せ、取付部材38の厚さに誤差があっても、また、各種の施工現場に配置された上枠部材10に厚さが異なる取付部材38が用いられていても、これらに有効に対処できるようになる。
ガイドレール30のうち、戸袋内部配置部分を形成している分割ガイド部材61についてのメンテナンス作業や交換作業等を行うために、この分割ガイド部材61を取付部材38から取り外すときには、先ず、ガイドレール30が内部に収納されている上枠部材10の前記開口部10Aを塞いでいる点検カバー23を取り外し、次いで、出入口2側の分割ガイド部材60を取付部材38から取り外した後、分割ガイド部材61のうち、戸袋3から開口部10Aに突出している突出部61Aを取付部材38に結合している結合具75の取り外しを行う。この後、分割ガイド部材61の全体を持ち上げながらこの分割ガイド部材61を取付部材38から離す方向へ移動させ、これにより、分割ガイド部材61の戸尻側の端部を支持部材77から離すとともに、係止部材72を係止孔71から抜き取る。
これにより、分割ガイド部材61を取付部材38から取り外して上枠部材10の外部へ取り出すことができ、分割ガイド部材61についての所定の作業を、戸袋3の内部ではなく、言い換えると、戸袋3の影響を受けることなく行うことができる。
そして、結合具75を取り外すと、分割ガイド部材61は取付部材38に係脱手段70で係脱可能に取り付けられているため、この分割ガイド部材61の取付部材38からの取り外し作業を容易に行え、この取り外し作業を効率的に行うことができる。
また、結合具75は、分割ガイド部材61のうち、戸袋3から開口部10Aに突出している突出部61Aを取付部材38に結合するためのものになっているため、点検カバー23を上枠部材10から取り外すことにより、この結合具75は露出することになり、したがって、分割ガイド部材61を取付部材38から取り外すために結合具75を取付部材38から取り外す作業は、戸袋3の外部で行えることになり、この作業も、戸袋3の影響を受けることなく容易に行うことができる。
なお、ガイドレール30のうち、出入口2側の前記分割ガイド部材60を取付部材38から取り外すときには、点検カバー23を上枠部材10から取り外すことにより、この分割ガイド部材60の全体と、この分割ガイド部材60を取付部材38に結合している前記結合具31は、外部に露出するため、結合具31の取り外しによって取付部材38からの分割ガイド部材60の取り外しを行える。
また、戸袋3側の分割ガイド部材61についての所定の作業が終了した後、分割ガイド部材61の上述した取付部材38からの取り外し作業とは逆の作業を行うことにより、この分割ガイド部材61を取付部材38に容易に取り付けことができる。
また、この取り付け作業を行うとき、図5で示されている係止部材72の第2部分72Cと第1部分72Bとを係止孔71に挿入してから、分割ガイド部材61を下降させる作業が行われるが、この下降作業時に、第2部分72Cの下端部である第2部分72Cの先端部が係止孔71の下縁部に当接しても、この先端部は分割ガイド部材61から離れる側へ傾斜した傾斜部72Dとなっているため、この傾斜部72Dの案内作用により、第2部分72Cの先端部が係止孔71の下縁部に引っ掛かることなく、係止部材72を係止孔71に係止させる作業を行うことができる。
そして、この係止作業後には、分割ガイド部材61は取付部材38に係脱手段70で取り付けられており、係脱手段70は、水平方向又は略水平方向に長い細長形状となっている係止孔71と係止部材72によって形成され、したがって、係脱手段70の水平方向又は略水平方向の面積は大きいため、分割ガイド部材61の重量と、この分割ガイド部材61を介して作用する扉体1の重量とを、この大きな面積によって有効に受けることができる。
また、分割ガイド部材61の突出部61Aは取付部材38に結合具75で結合されているため、この結合具75により、取付部材38に対する分割ガイド部材61の取付強度を大きくすることができる。
さらに、分割ガイド部材61の戸尻側の端部は支持部材77の上に載せられているため、この支持部材77によっても、分割ガイド部材61の重量と、この分割ガイド部材61を介して作用する扉体1の重量とを有効に受けることができるようになる。
図8は、取付部材38に形成されている別実施形態の係止孔81を示し、図9は、図8のS9−S9線断面図である。この実施形態の係止孔81は、前記実施形態の係止孔71に相当する大孔部81Aと、この大孔部81Aから分割ガイド部材61の長手方向である水平方向又は略水平方向にずれて取付部材38に形成され、大孔部81Aと連続している小孔部81Bとからなる。大孔部81Aの下辺と、大孔部81Aよりも戸尻側に形成された小孔部81Bの下辺とは、同じ高さ位置となっており、大孔部81Aの上下寸法は、係止部材72の傾斜部72Dを含む第2部分72Cの上下寸法よりも大きく、このため、大孔部81Aに傾斜部72Dを含む第2部分72Cを挿入可能であり、小孔部81Bの上下寸法は、係止部材72の傾斜部72Dを含む第2部分72Cの上下寸法よりも小さい。また、この小孔部81Bの上下寸法は、係止部材72の第1部分72Bの上下寸法よりも小さい。言い換えると、小孔部81Bの上下寸法は、板材の折り曲げ品である係止部材72の材料となっているこの板材の厚さ寸法よりも少し大きい。
このため、この実施形態では、係止部材72の第2部分72Cと第1部分72Bとを大孔部81Aに挿入した後、分割ガイド部材61の長手方向のうちの戸尻側へこの分割ガイド部材61を移動させると、係止部材72は大孔部81Aの側から小孔部81Bの側へ移行することになる。大孔部81Aの上下寸法よりも小孔部81Bの上下寸法は小さく、小孔部81Bの上下寸法は、係止部材72の傾斜部72Dを含む第2部分72Cの上下寸法よりも小さいため、上記移行により、係止部材72が係止孔71から抜け出すことを防止することができる。
また、この実施形態でも、戸尻側の竪枠部材12に取り付けられたエンド部材76には、分割ガイド部材61の戸尻側の端部を載せることによってこの端部を上向きに支持するための支持部材87が結合されている。前記実施形態の支持部材77と異なりブロック状となっているこの支持部材87の戸先側の上端部は、切除加工によって戸尻側へ上向き傾斜したテーパ部87Aとなっている。
このため、分割ガイド部材61の長手方向のうちの戸尻側へこの分割ガイド部材61を移動させることにより、係止部材72を大孔部81Aの側から小孔部81Bの側へ移行させる際に、分割ガイド部材61の戸尻側の端面が支持部材87の戸先側の端面に当接しても、上記テーパ部87Aの案内作用により、分割ガイド部材61を支持部材87の上面に一層確実に乗り上げさせることができる。
図10〜図13は、分割ガイド部材61の戸尻側の端部を上向きに支持するための支持部材についての別実施形態を示す。これらの図のうち、図10には扉体1と全開側の戸当り手段90とが示され、図11は、これらの扉体1と戸当り手段90を取り除いた図であり、図12は、図11のS12−S12線断面図であり、図13は、図11のS13−S13線断面図である。また、この実施形態における係脱手段70は、図8及び図9で説明した係止孔81によるものとなっている。
図10で示されている全開側の戸当り手段90は、分割ガイド部材61の前記アーム部30Bを上下から挟着するための挟着部材90A,90Bを有し、これらの挟着部材90A,90Bをビス等の結合具91で結合することにより、戸当り手段90は、分割ガイド部材61の戸尻側の端部に取り付けられている。また、戸当り手段90は、扉体1に2個設けられている前記ローラ32のうち、戸尻側のローラ32Bが取り付けられているブラケット33Bが当たるストップ部材92を有し、ブラケット33Bがゴム製のこのストップ部材92に当たることにより、扉体1は全開位置に達する。また、戸当り手段90は板ばね製の係止部材93を有し、この係止部材93には、戸先側の端部のV字部93Aと、このV字部93Aに連続して戸尻側に形成された下向き開口凹部93Bとが設けられている。
上記ブラケット33Bには、扉体1が全開位置に達する直前にV字部93Aに当接してこのV字部93Aを弾性的に上向きに変形移動させるとともに、扉体1が全開位置に達したときには凹部93Bに入り込むローラ94が取り付けられており、このローラ94が凹部93Bに入り込むと、V字部93Aは復元弾性力で下向きに変形移動するため、ローラ94は係止部材93で係止され、これにより、扉体1は全開位置に停止する。そして、図1に示されている把持部36で扉体1を閉じ移動させると、ローラ94はV字部93Aを弾性的に上向きに変形移動させて凹部93Bから脱出するため、扉体1は前述した自動閉鎖装置34によって全閉位置まで自動移動する。
図11及び図12で示されているように、分割ガイド部材61の戸尻側の端部下面には、分割ガイド部材61の長手方向のうちの戸尻側へ延長突出した延長部材95がビス等の結合具96で結合されている。この延長部材95は、図13に示されているとおり、結合具96で分割ガイド部材61の前記アーム部30Bに結合されたウェブ部95Aと、このウェブ部95Aの幅方向(扉体1の厚さ方向)両端から下向きに延びるフランジ部95B,95Cとからなる断面チャンネル状となっている。
また、前述したように、分割ガイド部材61の戸尻側の端面を当接させることによってガイドレール30の長手方向における分割ガイド部材61の位置出しを行うためのエンド部材76は、図12で示されているように、分割ガイド部材61の戸尻側の端面が当接する突出部76Aと、ビス等の結合具97で前記戸尻側の竪枠部材12に結合されたベース部76Bとからなるアングル材で形成されている。延長部材95の先端部95Dは、図10及び図13で示されているとおり、エンド部材76のベース部76Bと戸尻側の竪枠部材12とに形成された孔98に挿入支持されている。
このため、この実施形態によると、分割ガイド部材61の重量と、この分割ガイド部材61を介して作用する扉体1の重量とを、延長部材95を介してエンド部材76のベース部76Bと戸尻側の竪枠部材12とで有効に受けることができるようになり、この実施形態では、延長部材95の先端部95Dを挿入支持する孔98が形成されているこれらのエンド部材76と戸尻側の竪枠部材12とが、分割ガイド部材61の戸尻側の端部を上向きに支持するための支持部材となっている。
また、この実施形態では、戸尻側の竪枠部材12のうち、エンド部材76のベース部76Bが重ね合わされ、この重ね合わせによって強度が大きくなっている部分に孔98が形成されているため、支持することができる分割ガイド部材61の重量と扉体1の重量とを大きくすることができる。
さらに、この実施形態では、図10に示されているように、延長部材95の先端部95Dの下端部は、戸先側へ下り傾斜した傾斜部95Eとなっている。このため、前記係脱手段70の係止部材72を係止孔81の大孔部81Aの側から小孔部81Bの側へ移行させるとともに、延長部材95の先端部95Dを孔98に挿入させるために、分割ガイド部材61を戸尻側へ移動させる作業を行った際、傾斜部95Eの案内作用によって延長部材95の先端部95Dを孔98に円滑に挿入することができる。
なお、孔98の上下寸法を延長部材95の上下寸法よりも若干小さくしておき、孔98に延長部材95を叩き込むようにして挿入する構造としておくことにより、係止部材72を係止孔71に上から挿入係止させる構造となっていても、分割ガイド部材61が上下にがたつくことを有効に抑えることができる。
また、この実施形態では、図12で示されているように、延長部材95の2個の前記フランジ部95B、95Cのうち、図10の戸当り手段90が取り付けられる側のフランジ部95Bは、延長部材95の全長に渡って設けられておらず、戸当り手段90が配置される戸先側の部分が切除されている。これにより、戸当り手段90と延長部材95のフランジ部95Bとが干渉することが防止されている。
図14は、別実施形態に係る係脱手段100を示す正面図であり、図15は、図14のS15−S15線断面図である。なお、この実施形態における戸袋3側の分割ガイド部材111は、図4で説明した出入口2の分割ガイド部材60と同じく、基端部30Aとアーム部30Bとローラ載置部30Cとからなり、図5で説明した前記実施形態の分割ガイド部材61の取付部30Eに相当する部分は切除されている。また、この実施形態において、分割ガイド部材111の戸尻側の端部を上向きに支持するための構造は、図10〜図13の実施形態と同じになっている。
この実施形態の係脱手段100は、前記取付部材38に形成された係止孔101と、分割ガイド部材111の基端部30Aにビス等の結合具103に結合され、係止孔101に挿入係止される係止部材102とからなり、これらの係止孔101と係止部材102は、ガイドレール30の長手方向である水平方向又は略水平方向に長い細長形状となっている。また、板材の折り曲げ品である係止部材102は、結合具103で分割ガイド部材111の基端部30Aに結合されたベース部分102Aと、このベース部分102Aの戸尻側の端部に設けられた第1部分102Bと、さらにこの第1部分102Bの戸尻側の端部に設けられた第2部分102Cとからなり、第1部分102Bは、本実施形態では、戸尻側へ延びるにしたがって分割ガイド部材111から離れる方向へ傾斜した傾斜部となっている。
係脱手段100によって分割ガイド部材111を取付部材38に係脱可能に取り付けるときには、先ず、係止部材102の全体を係止孔101に挿入し、次いで、分割ガイド部材111を戸尻側へ移動させ、これにより、第2部分102Cを、図15で示されているように、取付部材38における分割ガイド部材111の側の面とは反対側の面(すなわち、取付部材38における分割ガイド部材111の側の面を表面とした場合には、取付部材38における裏面)と対面させ、この第2部分102Cと、分割ガイド部材111の基端部30Aの背面とにより、取付部材38を挟着させる。
このようにして係脱手段100で取付部材38に取り付けた分割ガイド部材111を取付部材38から取り外すときには、以上とは逆の作業を行えばよい。
なお、この実施形態では、係止部材102の第2部分102Cと、分割ガイド部材111の基端部30Aの背面とにより、取付部材38が挟着されるが、この挟着が、第2部分102Cが取付部材38の厚さ方向外側へ弾性的に開き変形することによって行われるようにしておくことにより、取付部材38の厚さに誤差があっても、また、各種の施工現場に配置された上枠部材10に厚さが異なる取付部材38が用いられていても、これらに有効に対処できるようになる。
また、これまで説明した各実施形態において、戸袋3側の分割ガイド部材61,111は、出入口2側の分割ガイド部材60とエンド部材76とによってガイドレール30の長さ方向に挟着された状態となり、これにより、これらの分割ガイド部材60,111はガイドレール30の長さ方向に位置決めされるため、分割ガイド部材60,111の戸先側の端部が上下方向にがたつくことが前記扉体1の重量等によって防止できる場合には、分割ガイド部材60,111の戸先側の端部を取付部材38に結合している図3の結合具75を省略してもよい。
また、図14及び図15で示した係脱手段100は、図6及び図7で示した支持部材77や、図8及び図9で示した支持部材87を採用した場合にも適用することができる。
そして、図5〜図7、図8及び図9、図14及び図15で示した係脱手段と、図6及び図7、図8及び図9、図10〜図14で示した支持部材とは、適宜に組み合わせて実施することができる。
また、図8及び図9で説明した実施形態のように係脱手段の係止孔を大孔部と小孔部とからなるものとする場合には、この係止孔の形状は図8及び図9で示された形状に限定されず、例えば、係止孔に挿入係止される係止部材をピン形状のものとする場合には、係止孔を、それぞれが円形又は略円形となっている大孔部と小孔部とがガイドレール30の長手方向に接続されている横向きのダルマ形状又は略ダルマ形状のものとしてもよい。