JP4911887B2 - 高平滑更紙 - Google Patents
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Description
出版業界においても、多色印刷や写真調の印刷が多用され、この傾向は所謂週刊誌やコミック誌等においても同様である。これら週刊誌やコミック誌等には、比較的嵩高でページ数の割に本が厚くなるものが好まれ、またコシの強い用紙が好まれるため、一般に更紙と呼ばれる嵩高な紙が用いられる。更紙は嵩を得るため、一般の印刷用紙に施される紙表面の平滑化処理が成されずに製造されている。
また、澱粉を塗布する方法としては、澱粉をエマルジョン化して、または適宜希釈するなどして得た塗液を、サイズプレス、タブサイズ、カレンダーサイズ、ワイヤーバー、エアナイフコーター、ロールコーター(ゲートロールコーター)、ブレードコーター(ビルブレードコーター)、スプレー等で紙に塗布する方法を採用することができるが、これらのなかでも、紙表面加工剤を高速、高濃度で塗工でき紙層表面への歩留まりが高く、乾燥熱量が少なくてすむことから、ロールコーターを使用するのが最も好ましい。また、ロールコーターのなかでもゲートロールコーターが、他の表面加工剤等の助剤を用いて両面同時塗工が可能なこと、比較的低塗布量の澱粉を平滑性良く塗工することができること、光沢、インキ受理性等の印刷適性の改善ができること、更には高濃度塗工が可能なため紙層中への水分移動が少なく塗工中の紙切れ、シワの発生が少ないこと等の点から好ましい。
なお、澱粉の塗布量は、固形分の付着量を意味する。
本発明の更紙では、少なくとも紙面の一面側に2〜6g/m2の澱粉を塗布する。澱粉の種類は特に限定されず、天然の澱粉(未変性澱粉)の他、例えば酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、エーテル化澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、酵素変性澱粉、カチオン澱粉、ジアルデヒド澱粉、冷水可溶性澱粉等を用いることが出来る。
澱粉を塗布する本発明でいうロールコーターとは、一般に使用されているチャンプレックスコーター、ゲートロールコーター、3本リバースロールコーター、トップフィードコーター、コンソリデーテッドコーター、KCMコーター、サイズプレスコーター等のロールコーターを指す。ロールコーターを用いることにより澱粉を平滑性良く塗工でき、ソフトカレンダ装置で処理することで平滑度を100秒以上とすることが容易となる。更に、ロールコーターは、高粘度、高濃度の澱粉を塗工できるので乾燥スペースを小さくすることができ、断紙も少なく生産性が高まるという利点がある。
また、ソフトカレンダ装置はオフマシンとしてもよく、オンマシンとしてもよいが、オンマシンとすると紙の生産効率が向上する点において好ましい。
また、ソフトカレンダの金属ロールの表面温度を好ましくは180〜250℃、より好ましくは200〜230℃にして処理すると、カレンダー焼けの発生を確実に防止しつつ、平滑性に優れ、かつ嵩高で不透明度に優れた更紙を得ることができる。
金属ロールの表面温度を加熱し且つ制御する手法としては、例えば、金属ロール内部に温水や油を循環させる手法の他、金属ロール内に設けられ電磁誘導によりロール自体を誘導発熱させる内部誘導加熱装置を用いることができる。この内部誘導加熱装置としては、金属ロールの外殻部分をなす円筒状のシェルと、該シェルと同軸で該ロールの内側に設けた非回転部としての鉄芯と、この鉄芯の周囲に巻回された誘導コイルとを備え、該誘導コイルに交流電流を流すことで磁束を発生させて、鉄芯を覆う円筒状のシェルを発熱させるものが例示される。この場合、誘導コイルをロールの幅方向(ロールの軸方向)に分割(例えば3〜6分割)するとともに、シェル側には、誘導コイルの各分割部分に対応した位置におけるシェル(金属ロール表面)の温度を測定できる温度センサを設け、各温度センサによる温度信号に基づき対応する誘導コイルに流す交流電流量を制御することで、金属ロールのロール幅方向における温度分布を制御可能な内部加熱機構とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示す。以下の全実施例及び全比較例は、通常の製紙工程を経て製造されるが、以下に示す相違点を除き、全ての例の製造工程は共通である。
また、評価方法は以下の通りである。
(1)坪量
JIS P 8209に基づき測定した。
(2)緊度
JIS P8209で調整し、JIS P8118で測定した。
(3)平滑度
JIS P8119に規定されるベック平滑度により測定した。
(4)印刷画質の評価をインキ乾燥性と吸水着肉性から評価した。
〔インキ乾燥性〕RI印刷適性評価機(明製作所)を用い、オフセット枚葉印刷用墨インキ0.5ccを展色して印刷し、印刷60秒後に上質紙を印刷面に一定圧力で接着して上質紙へのインキ転移(セットオフ)状況を以下の基準(5点法)で評価した。
5:セットが非常に速く、オフセット枚葉印刷の高速印刷にも対応でき、スプレーパウダーの量を多くする必要がなく、裏移りの問題がないレベル。
4:セットが速く通常印刷ではスプレーパウダーの量を多くする必要がなく、裏移りの問題がないレベル。
3:標準レベル。
2:セットがやや遅く、スプレーパウダーを多くする必要があるが印刷条件の調整により、印刷可能なレベル。
1:セットが遅く、オフセット印刷としては使用不可能なレベル。
〔吸水着肉性〕RI印刷適性評価機(明製作所)を用い、オフセット枚葉印刷用墨インキ0.5ccを展色して印刷し、印刷60秒後に上質紙を印刷面に一定圧力で接着して上質紙へのインキ転移(セットオフ)状況を以下の基準で評価した。
5:オフセット枚葉印刷にては高速印刷および高精細印刷にまで耐えれ、かつ湿し水が増えても吸水着肉性は極めて良好なレベル。
4:オフセット枚葉印刷にては高速印刷に対応でき、吸水着肉性も良好なレベル。
3:標準レベル。
2:吸水着肉性がやや劣るが、オフセット印刷にて湿し水の量、印刷スピードを制限すれば印刷可能なレベル。
1:吸水着肉性が劣り、オフセット印刷としては使用困難なレベル。
(5)表面強度
ドライピックとウエットピックとから評価した。
〔ドライピック〕 ドライピック強度試験RI印刷適性評価機(明製作所製)を用い、タックインキ(東洋インキSMXタック15墨)の印刷にて紙むけ状態を目視にて判定し、10点法(10点を優、1点を劣)で評価した。
〔ウエットピック〕 ウェットピック強度試験RI印刷適性評価機(明製作所製)を用い、モルトンロールで試験片に水を塗布しタックインキ(東洋インキSMXタック15墨)の印刷にて紙むけ状態を目視にて判定し、10点法(10点を優、1点を劣)で評価した。
(実施例1)PGW50重量%、古紙パルプ50重量%からなるパルプ配合とし、対パルプ成分当たり硫酸バンド2重量%、填料としてホワイトカーボンを0.5重量%、その他染料、歩留まり剤を混合して調整したパルプスラリーを、長網抄紙機により坪量が49g/m2となるように抄紙した。澱粉の塗布は抄紙機に併設のゲートロールコーターにて行い、表裏合わせて2g/m2を両面塗工して乾燥した後、併設のソフトカレンダにて平滑化処理を施した。以上により実施例1の更紙を得た。
(実施例2)実施例1におけるパルプ配合を、PGW60重量%、古紙パルプを40重量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の更紙を得た。
(実施例3)実施例1におけるパルプ配合を、PGW30重量%、TMP20重量%、古紙パルプ50重量%とした以外は実施例1と同様にして、実施例3の更紙を得た。
(実施例4)実施例1におけるパルプ配合を、PGW40重量%、TMP10重量%、古紙パルプ50重量%とし、且つ実施例1における澱粉の塗布量を表裏あわせて6g/m2とした以外は実施例1と同様にして、実施例4の更紙を得た。
(比較例1)実施例1における澱粉の塗布量を表裏あわせて8g/m2とした以外は実施例1と同様にして、比較例1の更紙を得た。
(比較例2)実施例3におけるソフトカレンダ処理を施さず、平滑化処理をしなかった以外は、実施例3と同様にして、比較例2の更紙を得た。
(比較例3)実施例1における澱粉の塗布を行わないようにした以外は実施例1と同様にして、比較例3の更紙を得た。
(比較例4)実施例1におけるソフトカレンダ処理を施さず、スーパーカレンダにて平滑化処理を行った以外は実施例1と同様にして、比較例4の更紙を得た。
実施例及び比較例で用いたソフトカレンダ装置は、図1に示すような、2ニップで且つ各金属ロール1の外部及び内部に前述した外部誘導加熱装置及び内部誘導加熱装置を備えたのものをオンマシンで用いたものであり、加熱温度は230℃とした。
比較例で用いたスーパーカレンダは、縦型フレームに10段のロールが組み込まれたものをオフマシンで用いた。通紙中における紙の加熱温度は50℃〜80℃の範囲であった。
2 弾性ロール
3 外部誘導加熱装置(加熱機構)
7 内部誘導加熱装置(加熱機構)
10 ソフトカレンダ装置
Claims (4)
- 坪量40〜60g/m2の更紙であって、表裏合わせて2〜6g/m2の澱粉をロールコーターにより塗布し、金属ロールと弾性ロールとを備えたソフトカレンダ装置で温度100〜250℃の範囲内の温度に加熱されるとともにロール幅方向における温度分布を均一化する制御を行う加熱機構で制御された前記金属ロールにて、600〜2000m/分の速度で平坦化処理し、緊度が0.50〜0.60g/cm3で且つ平滑度が100秒以上であることを特徴とする、高平滑更紙。
- ロール幅方向における温度分布を均一化する制御を行うクーリング機構により制御された前記金属ロールにて平坦化処理したことを特徴とする、請求項1記載の高平滑更紙。
- 坪量40〜60g/m2の更紙の製造方法であって、表裏合わせて2〜6g/m2の澱粉をロールコーターにより塗布し、金属ロールと弾性ロールとを備えたソフトカレンダ装置で温度100〜250℃の範囲内の温度に加熱されるとともにロール幅方向における温度分布を均一化する制御を行う加熱機構で制御された前記金属ロールにて、600〜2000m/分の速度で平坦化処理することにより、緊度が0.50〜0.60g/cm3で且つ平滑度が100秒以上であることを特徴とする、高平滑更紙の製造方法。
- ロール幅方向における温度分布を均一化する制御を行うクーリング機構により制御された前記金属ロールにて平坦化処理することを特徴とする、請求項3記載の高平滑更紙の製造方法。
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