JP4910760B2 - 結晶成長速度制御方法、化合物結晶とその製造方法、および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 化合物ABXをイオン性溶媒に溶解した溶液中で化合物AXを結晶成長させる際の結晶成長速度を制御する方法であって、
結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を調整することにより、化合物AXの結晶成長速度を制御することを特徴とする結晶成長速度制御方法。
[前記Bは1族金属元素または2族金属元素であり、
前記Aは第13族金属元素であり且つ前記Xは第15族元素であるか、前記Aは第12族金属元素であり且つ前記Xは第16族元素であるか、または、前記Aは第14族元素であり且つ前記Xは炭素元素である。]
[2] 結晶成長場から溶質成分BXを除去することにより、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする[1]に記載の結晶成長速度制御方法。
[3] 前記溶液から溶質成分BXを蒸発させて除去することにより、結晶成長場における前記溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする[1]に記載の結晶成長速度制御方法。
[4] A金属と溶質成分BXとを前記溶液中で反応させることにより、または、溶質成分BXと反応する気相物質Gと溶質成分BXとを前記溶液中または前記溶液と気相との界面において反応させることにより、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[5] 溶液からの溶質成分BXの除去量を検知し、検知された除去量に応じて溶質成分BXの除去速度を制御することを特徴とする[2]〜[4]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[6] 結晶成長場において前記溶液の流れを生じさせることによって、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を調整することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[7] 前記溶液の流れを機械的手段により生じさせることを特徴とする[6]に記載の結晶成長速度制御方法。
[8] 前記溶液の流れをシードを回転させることにより生じさせることを特徴とする[7]に記載の結晶成長速度制御方法。
[9] 前記溶液の流れを反応容器の局所的な加熱により生じさせることを特徴とする[6]に記載の結晶成長速度制御方法。
[10] 化合物AXの結晶成長場と化合物ABXの溶解部との距離をほぼ一定に保ちながら連続的な結晶成長を行うことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[11] 化合物ABXを連続的に溶解する領域と化合物AXの結晶成長を行う領域の間に、2つの領域相互間の溶液流通量を制限する隔壁が設けられていることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[12] 溶質成分BXの除去を化合物AXの結晶成長を行う領域でのみ行うことを特徴とする[11]に記載の結晶成長速度制御方法。
(1)イオン性溶媒中において化合物ABXを溶解する工程
(2)前記化合物が溶解した溶質を含む溶液を化合物AXの結晶成長場に輸送する工程、
(3)結晶成長場において化合物AXの結晶成長を行う工程
(4)結晶成長場の溶液を溶質成分BXを減少させる場へ輸送する工程
(5)溶質成分BXを減少させる場において溶液中の溶質成分BXの濃度を減少させる工程
(6)溶質成分BXの濃度を減少させた溶液を前記(1)、(2)または(3)の工程に用いるために輸送する工程
[14] 前記(1)において、塊状、粒状または粉状の化合物ABXの間隙を前記溶液が通過することを特徴とする[13]に記載の結晶成長速度制御方法。
[15] 化合物ABXと、化合物ABXの間隙に侵入している前記溶液を加熱して前記溶液に上昇流を起こすことによって、化合物ABXの間隙において前記溶液を強制的に通過させることを特徴とする[14]に記載の結晶成長速度制御方法。
[16] 前記(2)の輸送が層流状の流路でなされ、前記(3)の結晶成長を経た後に流路が拡大していくことを特徴とする[15]に記載の化合物結晶の製造方法。
[17] 前記(2)の輸送の方向と結晶成長場の結晶成長面がほぼ直交していることを特徴とする[15]または[16]に記載の化合物結晶の製造方法。
[18] 前記(2)の輸送の方向と結晶成長場の結晶成長面がほぼ平行であることを特徴とする[15]または[16]に記載の化合物結晶の製造方法。
[19] 前記結晶成長面が回転していることを特徴とする[15]または[16]に記載の結晶成長速度制御方法。
[20] 溶質成分BXを構成するBが、第1族金属元素と第2族金属元素からなる群より選択される1以上の元素であることを特徴とする[1]〜[19]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[21] 前記イオン性溶媒が一種類または複数種の金属ハロゲン化物であることを特徴とする[1]〜[20]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[22] 前記イオン性溶媒の組成を調整することによって、溶質成分BXの除去量を制御することを特徴とする[1]〜[21]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[23] 前記溶液中にドーピング元素を溶解させておくことによって、前記元素をドープした結晶を成長させることを特徴とする[1]〜[22]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[24] ドーピング元素を含む溶媒を用いて前記溶液を調整することを特徴とする[23]に記載の結晶成長速度制御方法。
[25] 化合物ABXから溶質成分BXを除去してABXの化学量論組成に近づけてから前記結晶成長に用いることを特徴とする[1]〜[24]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[26] 化合物ABXをイオン性溶媒に溶解する前に、化合物ABXから溶質成分BXを除去することを特徴とする[25]に記載の結晶成長速度制御方法。
[27] 化合物AXの結晶成長を、標準生成エネルギーが1000Kにおいて−930kJ/mol以下である酸化物を主成分とする内壁を有する反応容器内で行うことを特徴とする[1]〜[26]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[28] 化合物ABXの調製を、標準生成エネルギーが1000Kにおいて−930kJ/mol以下である酸化物を主成分とする内壁を有する反応容器内で行うことを特徴とする[1]〜[27]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[29] 前記反応容器の内壁がシリコンカーバイドを主成分とすることを特徴とする[27]または[28]に記載の結晶成長速度制御方法。
[30] 化合物AXの結晶が極性面を有する結晶であり、極性面を有する結晶基板のX面に結晶成長を行うことにより、成長した結晶面積を前記基板面積よりも増大させることを特徴とする[1]〜[29]のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
[31] [1]〜[29]のいずれか一項に記載の工程を含むことを特徴とする化合物結晶の製造方法。
[33] [32]の化合物結晶に、不純物除去操作および結晶表面の平滑研磨を行った後に、当該結晶表面に気相成長を行うことを特徴とする化合物結晶基板の製造方法。
[34] [31]に記載の結晶成長方法により化合物結晶を製造する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
これにより本発明によれば、高温、高圧工程を経ることなく、かつ反応容器も周期表第2〜3族金属元素を含む耐火材(すなわち、Mg、Ca、Al,Ti,Y,Ce等の酸化物からなる耐火材、特に、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ジルコニア等の安価な耐火材料)の容器を用いて、半導体デバイスに応用するのに十分なサイズを有する化合物結晶を製造することができる。
さらに、本発明の半導体デバイスの製造方法によれば、パワーIC、高周波対応可能な半導体デバイス等を広く製造することができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において「シード」とは、第13族金属窒化物結晶以外に、サファイア、SiC、ZnO等の異種基板のほか、結晶成長によって形成された第13族金属窒化物結晶も含まれる。
(元素A,B,Xの組み合わせ)
本発明では、化合物ABXをイオン性溶媒に溶解した溶液中で化合物AXを結晶成長させる。
AとXは組み合わせが限定されている。すなわち、(i)Aが第13族金属元素であり且つXが第15族元素であるか、(ii)Aが第12族金属元素であり且つXが第16族元素であるか、または、(iii)Aが第14族元素であり且つXが炭素元素である。
本発明の反応式について、原料化合物ABXとしてガリウムおよびリチウムの複合窒化物(Li3GaN2)を用いた場合を例にとって説明する。この場合、溶媒にLi3GaN2を溶解させた溶液からのGaNの析出は以下の式で表される。
これに対して本発明では、例えばLi3GaN2を原料として用いLiClを溶媒として用いるために、常圧または10MPa以下という低圧においても十分な窒素溶解度を得られ、GaNの析出を圧力ではなく制御し易い方法で制御することが可能である。
本発明では、化合物ABXをイオン性溶媒に溶解した溶液中で化合物AXを結晶成長させる。本発明で用いるイオン性溶媒は、本発明における化合物AXの結晶成長を阻害しないものであれば特に制限されない。本発明では、以下の(A)〜(D)の条件を満たすイオン性溶媒やその溶液を選択することが好ましい。
(A)生成する化合物結晶AXが実質的に不溶であり、複合化合物ABXが溶解すること。ここで、実質的に不溶とは、結晶成長温度(例えば760℃)において、溶解度が0.001重量%以下であることを意味し、溶解するとは溶解度が0.01重量%以上であることを意味する。
(B)化合物BXが溶解すること。
(C)化合物BXをその溶媒に溶解した溶液に対して、化合物結晶AXが溶解度を有すること。ここで溶解度を有するとは溶解度が0.01重量%以上であることを意味する。
(D)化合物結晶AXの前記溶液に対する溶解度が溶液中の化合物BXの溶質濃度によって、変化すること。具体的には、溶液中の化合物BXの溶質濃度が高くなったときに化合物結晶AXの溶液に対する溶解度が上がり、溶液中の化合物BXの溶質濃度が低くなったときに化合物結晶AXの溶液に対する溶解度が下がることが好ましい。
(A)については、GaN結晶が溶媒に溶解する性質があると結晶品質が悪くなるため、溶媒には実質的に不溶性であることが好ましい。LiCl等のアルカリハライド溶融塩は、GaN結晶を溶解しない点で好ましい溶媒である。Li3GaN2等の複合窒化物の溶解機能をもつものとして、イオン性融体である1族金属ハライド、2族金属ハライド等の溶融塩が挙げられる。複合窒化物としてLi3GaN2を用いる場合にはLiCl単独、あるいは、LiCl−NaCl等の混合イオン性溶媒を用いることができる。
(B)を満たす溶媒としては、1族金属ハライド、2族金属ハライド等のイオン性溶媒が挙げられるが、特に複合窒化物に含まれる周期表第13族以外の金属元素を含むイオン性溶媒を用いると溶解度が高いという性質があり好ましい。特に、この場合、窒化物Li3Nの溶媒としては、Liを含むイオン性溶媒LiClやその混合塩を用いることが好ましい。
(C)については、例えばLi3NをLiClに溶解した溶液や、Li3NをLiClとNaCl等との混合塩に溶解した溶液がGaN結晶を溶解する機能をもつ。
(D)については、例えばLi3Nを溶解したLiCl溶液や、Li3Nを溶解したLiClとNaCl等との混合塩溶液へのGaN結晶の溶解度は、溶液中のLi3N溶質成分の濃度によって変化させることができる。
本発明で用いるイオン性溶媒は溶融塩を主成分とすることが好ましい。具体的には、使用するイオン性溶媒の50重量%以上が溶融塩であることが好ましく、70重量%以上が溶融塩であることがより好ましく、90重量%以上が溶融塩であることがさらに好ましい。
溶融塩の種類は、シードへのエピタキシャル成長を阻害しないものであれば特にその種類は制限されないが、原料である複合窒化物中の第13族金属元素以外の金属元素窒化物と化学的に親和力の強いものが好ましく、それらが化学平衡的に化合物をつくるものがより好ましい。例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。また、例えば前記窒化物がLi3Nであるような場合は、この溶解量が多いLiClを含む溶融塩であることが好ましい。一般には、安定で窒素化合物の溶解性が高いハロゲン化物を用いることが好ましく、また溶融塩は、1族金属および/または2族金属を含む塩で窒素イオン源の生成反応に供されるような化合物であることがさらに好ましい。
上記溶融塩に水等の不純物が含まれている場合は、反応性気体を吹き込んで予め溶融塩を精製しておくことが望ましい。反応性気体としては、例えば、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができ、塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素や塩素を用いることが好ましい。
前記溶液において、Li3GaN2に対するLiClの比が小さ過ぎる(LiClが少なすぎる)と、溶媒としての量が少ないためにLi3GaN2が十分に溶解せず、その結果、得られるGaN量が少なくて大きな結晶が得られなくなるという問題がある。逆にLi3GaN2に対するLiClの比が大き過ぎる(LiClが多すぎる)と、溶媒中のLi3GaN2濃度が低下し結晶折出が困難になり量が少なく大きな結晶が得られないという問題がある。
実際の結晶成長においては、砕いた粉状、または塊状のLi3GaN2固相をLiClまたは、LiCl−NaCl溶媒中に入れておき、前記溶媒を循環させることによってLi3GaN2を少しずつ、連続的に溶解していく方法が好ましく採用される。
式(A)にしたがって生成したLi3Nは1族金属ハロゲン化物の溶融塩中に溶解するため、反応の進行とともに溶媒中のLi3N濃度の成分は上昇し、Li3N濃度を制御しない場合の反応は平衡に達して停止する。本発明者らは、こうした理由から従来の技術では結晶の成長が遅く、また、小さな結晶しか得られないと考え、この問題を解決する手段を有する本発明に到達した。すなわち、本発明においては、式(A)の反応の進行とともに上昇する溶媒中のLi3N濃度を何らかの手段で取り除くことにより、濃度を制御することによってGaNを析出させることができる。Li3N濃度の制御方法としては蒸発、分解反応、他の化学種(例えばGaなどのA金属や、タングステンなど)との反応、反応場以外の溶媒中への拡散などによっても可能である。Li3Nの濃度を制御する方法は、これらの方法のうちの一つの方法を用いても、いくつかの方法を組み合わせて行ってもよい。
また、溶融塩中のLi3N溶質成分を溶液表面からの蒸発によって除去する方法では、LiCl中にNaClを混合するとLi3N溶質成分の蒸発速度が増すため、好ましい。このとき、LiCl(100重量部)に対してNaClを0.01〜70重量部用いることが好ましく、0.1〜50重量部用いることがより好ましく、0.1〜40重量部用いることがさらに好ましい。
また溶媒としての溶融塩の量を十分多く取ることで、拡散により結果として結晶成長部でのLi3N濃度の変化を小さくすることもできる。具体的には、原料である化合物ABXに対して、溶媒としての溶融塩を質量比で2〜1000倍量用いることが好ましく、5〜100倍量用いることがより好ましい。
また、GaなどのA金属かまたはA金属元素を含む化合物を、溶液中であって、結晶成長場とは離れた場所に配置し、下記式(B)の反応式にしたがって、Li3Nを除去することもできる。
本発明では、化合物AXを結晶成長させるための原料として、化合物ABXを用いる。化合物ABXを構成するA,B,Xのそれぞれについては、上で説明した通りである。好ましい化合物ABXとして、Li3GaN2、Ca3Ga2N4、Ba3Ga2N4、Mg3GaN3等を挙げることができる。
一般的に、液相の結晶成長では、原料として、製品の単結晶と同じ粉、あるいは微結晶を用いる。例えば、GaN単結晶の製造を考える場合、原料のGaN粉を作るのにもコストがかかるが、本発明による方法では、低コストで製造可能な複合窒化物を使うため、工業プロセスとして有利という特徴がある。
本発明では、化合物ABXを2種類以上用いてもよい。
Li3GaN2は、GaNとLi3Nを約700℃で反応させるか(方法A)、あるいはGa−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理する(方法B)ことによって作製することができる。また、イオン性溶媒中でGaNとLi3Nを反応させて製造することもできる。この方法では複合窒化物は生成した際に既にイオン性溶媒に溶解した溶液または融液となっているため、この溶液または融液の温度を低下させる手法により複合窒化物とイオン性溶媒が混合した固体が得られる。この混合固体を結晶成長の原料として用いると、複合窒化物とイオン性溶媒の両者を別々に結晶成長装置に投入する場合に比べて、均一な溶液または融液を得やすい利点がある。また、別の方法として、Li金属、Ga−Li合金をターゲットとして、窒素プラズマによる反応性スパッターを行い、Li−N、Ga−Li−Nの混合組成アモルファス膜を作り、これをLi3GaN2の代用とすることもできる。この場合は薄膜状の結晶を作るのに好都合であるばかりでなく、化学的には合成が困難な材料系でも作製が可能という長所がある。
Li3GaN2を作成する際の反応容器としては周期表第2〜3族金属を含む酸化物、具体的にはMg,Ca,Al,Ti,Y,Ce等の酸化物からなる耐火材、特に酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の安価な耐火材を用いることができる。
Li3GaN2以外の複合窒化物についても、上記のLi3GaN2に類する方法により作製することができる。
この課題を解決するために本発明では下記の1)または2)の手法を採用することが好ましい。
1) 結晶育成する際にシードを投入する前にLi3GaN2中の不純物Li3Nを除去する手法
2) Li3GaN2を合成した後、結晶育成に供する前にLi3Nを除去する手法
1)の具体例としては、シードを投入する前に蒸発、HClとの反応などによって過剰Li3Nを系外に除去あるいは分解する手法が挙げられる。また、2)の具体例としてはLi3GaN2を合成後に600℃などの高温真空下に保持し、過剰なLi3Nを除去する方法が挙げられる。保持時間は好ましくは0.1〜100時間であり、より好ましくは0.1〜10時間であり、さらに好ましくは0.5〜5時間である。
また複合金属窒化物の溶解度を増加させるために溶融塩中に第13族金属元素以外の金属元素の窒化物を添加させることもできる。この第13族金属元素以外の金属元素の窒化物としてはLi3Nの他、Ca3N2、Sr3N2、Ba3N2などを用いることが好ましい。
また、結晶中への第13族金属以外の物質をドーピングする場合は、例えばMg3N2、Mg3GaN3等の窒化物の形にして溶融塩に溶解するか、あるいは溶媒の一部として、例えばMgCl2等を加えておけばよい。
本発明において化合物AXを結晶成長させる際には、第13族金属窒化物結晶または基板を結晶成長のためのシード (種結晶)として用いることが好ましい。シードの形状は特に制限されず、平板状であっても、棒状であってもよい。また、ホモエピタキシャル成長用のシードであってもよいし、ヘテロエピタキシャル成長用のシードであってもよい。具体的には、気相成長させたGaN、InGaN、AlGaN等の13族金属窒化物のシードを挙げることができる。また、サファイア、シリカ、ZnO、BeO等の金属酸化物や、SiC、Si等の珪素含有物や、GaAs等の気相成長等で基板として用いられる材料を挙げることもできる。これらのシードの材料は、本発明で成長させる第13族金属窒化物結晶の格子定数にできるだけ近いものを選択することが好ましい。棒状のシードを用いる場合には、最初にシード部分で成長させ、次いで水平方向にも結晶成長を行いながら、垂直方向に結晶成長を行うことによってバルク状の結晶を作製することもできる。
また、極性面をもつウルツ構造のGaN等をシードに使う場合は、N極性面に溶融塩中でエピタキシャル成長を行うと、扇状に成長面積が増加し、小さなシードから大きな面積の結晶を製造することができるので、好ましい。
メルトバックを防いで効率よく結晶成長させるためには、シードの表面粗さ(Ra)は5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましく、0.5nm以下であることがさらに好ましい。
本発明では反応雰囲気として気相に窒素を含まない系でも実施することが可能であり、例えばアルゴン雰囲気中で実施することができる。アルゴンは窒素に比べて酸素の混入を抑え易く、アルゴン雰囲気下で結晶成長を行うことで結晶への酸素の混入を低減させることができる。なお、反応雰囲気とは、Li3GaN2を溶融塩中に溶解させた溶液を含む反応容器の周囲の気相成分を意味している。
本発明において、第13族金属窒化物結晶を析出させるための反応温度は、通常200〜1000℃であり、好ましくは400〜850℃、さらに好ましくは、600〜800℃である。本発明では、複合窒化物を溶融塩に溶解させて用いるため、複合窒化物の融点より低温で用いることが可能になっている。
本発明において、第13族金属窒化物結晶を析出させるための反応容器内の圧力は、通常10MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.11MPa以下である。
本発明に用いられる前記溶液に触れる反応容器や結晶成長のための部品は、熱的および化学的に安定な酸化物を主成分とするものであることが好ましい。以下の表1は、各酸化物の標準生成エネルギー(Ihsan Barin : Thermochemical dada of pure substances (VCH))を示したものであり、負であればあるほど化学的に安定であることを示す。
次に本発明の製造方法を、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。図1〜3および17〜18は、本発明を実施する際に用いる第13族金属窒化物結晶成長のための製造装置の構成例を示すものであり、図4、図5、図11、図12、図15、図16は、本発明の実施例にて使用した装置を示す図である。また、図6は、溶融塩の精製装置の概略説明図であり、結晶成長に用いられる溶融塩はあらかじめこの装置により精製(主として脱水)される。
塩化物等の溶融塩は、一般に吸湿性が強いために多くの水分を含んでいる。本発明を実施する際に水分を含んでいる溶融塩を用いると、反応容器内で第13族金属の酸化物が形成され、また、反応容器が腐食しやすくなることから好ましくない。そこで、図6に示すような試料密封型の前処理装置(溶融塩、熱技術の基礎、(株)アグネ技術センター発行p266参照)を用いて、予め水等の不純物を取り除いておくことが好ましい。図6に示す装置を用いて精製するときは、まず精製しようとする金属塩を精製容器21中に入れ、真空下またはガス排出口19から精製容器21内を真空に引きながら、塩精製装置用電気炉15の温度を昇温させ、さらにアルゴンガス等の不活性ガスまたは塩化水素ガス等の反応性ガス雰囲気に切り替えて金属塩を溶融させる。その後、溶融状態の金属塩に、塩化水素ガス等の反応性ガスをガス導入管20から多孔質フィルター22を介して約1時間以上吹き込んでバブリングを行う。バブリング終了後に、ガス導入管20側を減圧し、必要に応じてガス排出口19側から不活性ガスを用いて圧力をかけることにより、溶融塩を試料溜め23に移す。冷却後、真空状態にして試料溜め23の上部を封じ切ることで、精製試料を真空封入して保存する。なお、溶融塩中に上記方法では除去できない重金属等が含まれている場合には、この塩をさらにゾーンメルト法によって精製することが好ましい。
図1は、本発明を実施する際に用いる典型的な製造装置の模式図である。まず、酸化マグネシウム、または、酸化カルシウムの反応容器14中に精製したLiCl塩6を入れ、650〜780℃で溶解する。仕切り板5で仕切られた部分に、予め作製しておいたLi3GaN2複合窒化物8を置き、溶融塩6中へ溶解させる。溶解したLi3GaN2複合窒化物は、溶媒であるLiClと錯塩を作りながら溶解すると考えられ、この状態でGaN結晶1の表面に到達し、式(A)の反応でGaN結晶が成長し、副生成物であるLi3Nの濃度がその周辺で上昇する。結晶表面での均一な結晶成長を促すためには、溶液または融液中でのLi3N濃度も斑がない方が好ましいため、GaN結晶1は、基板2、基板保持機構3を通じて、緩やかに溶液または融液中で運動させることが好ましい。溶融塩の量が十分にあり、また、成長させるGaN結晶1の厚さも、それほど必要でない場合は、結晶成長にともなうLi3N濃度の上昇で自然に結晶成長が停止する所まで反応させればよいが、バルク状の大きな結晶を成長させるためには、図1で示すように、GaN結晶1の背後にGa金属を置くようにするとよい。結晶成長部付近で濃度が上昇したLi3NはGa金属との反応でGaLi合金になると同時に、GaLi合金表面付近で、GaN、Li3GaN2を生成する。Li3GaN2は、再び結晶のエピタキシャル成長の原料として働く。このようにして、Li3GaN2の原料が存在する限りにおいて、連続的にGaNの結晶を成長させることができる。また、Li3GaN2の溶解部分は高温にし、結晶の成長部分は低温にしておくと結晶化の速度が上がるという利点がある。
図16は、本発明を実施する際に用いる典型的な製造装置の模式図である。まず、酸化イットリウム、または、シリコンカーバイドの反応容器14中に精製したLiClとNaCl塩6を入れ、650〜780℃で溶解する。反応容器14の底部には、予め作製しておいたLi3GaN2複合窒化物8を置き溶融塩6中へ溶解させる。ヒータ27は、複合窒化物8の下に設置されており、溶媒であるLiClに溶解したLi3GaN2溶液が加熱されて矢印で示すように上昇流となる。加熱による熱対流は、塊状、粒状または粉状の前記複合化合物ABXの間隙を前記溶液が強制的に通過するようにできるため、原料の溶液への溶解効率が高いという特徴がある。また、この加熱されることによって発生した上昇流は一般的に層流的で、あまり広がらずに、したがって、Li3GaN2の溶質濃度も下がらずに上昇する。Li3GaN2は溶媒であるLiClと錯塩を作りながら溶解すると考えられ、この状態でGaN結晶1の表面に到達し、式(A)の反応でGaN結晶が成長し、副生成物であるLi3Nの 濃度がその周辺で上昇する。結晶表面での均一な結晶成長を促すためには、溶液または融液中でのLi3N濃度も斑がない方が好ましいため、GaN結晶1は、基板2、基板保持 機構3を通じて、緩やかに溶液中で運動させることが好ましい。Li3N濃度の上がった溶液は結晶から外側に広がり、溶質自体の濃度も下がりながら、一部はLi3Nが蒸発、または、HClとの反応を起こす気-液界面の方に向かい、また、一部は、反応容器の壁伝いに下降流となって再び結晶成長の原料であるLi3GaN2 8がある部分に循環する。上部と下部の循環流は互いに交わる部分で混合が起こり、上部でLi3Nが減少した溶液も下部の循環流に一部合流する。また、結晶成長によってはき出されたLi3N溶質成分濃度の上がった溶液が容器の壁伝いに下降流を作るため、壁では、式(A)の反応によるGaN結晶の析出は起こりにくくなるというメリットもある。バルク状の大きな結晶を成長させるためには、溶媒であるLiClにNaClを0.1〜50%添加しておくと、Li3Nの蒸発が促進され、GaN結晶1が連続的に成長する。また、10で示すキャリアガス導入口から、極僅かなHClを混入したキャリアガスを反応器に導入し、溶液表面で、Li3N成分の溶質を分解するようにするようにすると結晶の成長速度を流すガス流量によって自由に制御できる。また、結晶を大きく成長させる場合、結晶の成長面とLi3GaN2原料との距離がほぼ一定になるように、結晶の成長に伴って、結晶の回転保持機構3を上部に引き上げるようにするとよい。
図17に示す装置は、図16で示した製造装置の模式図とほぼ同じであるが、基板を垂直方向に立てることによって、同時に多数の基板を結晶装置内に入れることができ、比較的小さなサイズの基板を効率よく作るのに適した装置である。まず、酸化イットリウム、または、シリコンカーバイドの反応容器14中に精製したLiCl塩6を入れ、650〜780℃で溶解する。反応容器14の底部には、予め作製しておいたLi3GaN2複合窒化物8を置き溶融塩6中へ溶解させる。ヒータ27は、複合窒化物8の下に設置されており、溶媒であるLiClに溶解したLi3GaN2溶液が加熱されて矢印で示すように上昇流となる。GaN結晶1は、基板保持機構3を通じて、緩やかに溶液中で運動させることが好ましい。図16で示した製造装置と異なる点は、結晶基板を多数入れるような大きな容器内では、熱対流のみで浴全体の循環流をつくることは難しいため、29で示した隔壁を容器内に設置し、攪拌羽28によって循環流を作り出すようにするとよい。結晶成長後Li3N濃度の上がった溶液は、液面表面で蒸発させるか、または、HClとの反応を起こすことによって分解する。Li3N濃度が下がった溶液は、大きな循環流にのって、Li3GaN2原料8の部分に戻る。この場合も、バルク状の大きな結晶を成長させるためには、溶媒であるLiClにNaClを0.1〜50%添加しておくとLi3Nの蒸発が促進され、GaN結晶1が連続的に成長する。また、10で示すキャリアガス導入口から、極僅かなHClを混入したキャリアガスを反応器に導入し、溶液表面で、Li3N成分の溶質を分解するようにすると結晶の成長速度を流すガス流量によって自由に制御できる。溶液の循環流の一部分にGaなどのA金属を配置しておいてもよい。
LiClにNaClを0.1〜50%添加した場合、Li3N溶質成分は、式(A)の反応で発生するLi3Nに較べて、自然蒸発する方が時間とともに多くなる傾向にあり、式(A)において、上記膜状の結晶成長の範囲に制御するためには、時間の経過とともにるつぼの上部にある、蒸着されたLi3Nの膜厚モニターのデータを元に、るつぼの上部にある蓋を少しずつ締めて、蒸発量を減らし、溶液中の溶質成分を膜状の成長が可能になるように一定に制御する。
また、溶媒がLiClのみである場合は、式(A)の反応で発生するLi3Nは制限なく溶媒中に溶解し、また、Li3Nは蒸発しないため、制御をしないと、平衡点に達し、結晶の成長は停止してしまう。こうした系については、10で示すキャリアガス導入口から、極僅かなHClを混入したキャリアガスを反応器に導入し、溶液表面で、Li3N成分の溶質を分解するようにするようにすると結晶成長が始まる。導入すべきガス量は、上記分解反応で生じる分解ガス(H2またはN2)の量をモニターしながら制御するようにするとよい。
図18に示す装置は、図17で示した製造装置の模式図に似ているが、Li3GaN2原料8を溶解する領域と結晶成長領域を分離し、溶解領域では、強制的な機械攪拌を行って溶解速度を高くする。この場合、結晶の析出条件にならないように、この領域は密閉し、Li3N溶質成分は、蒸発、分解されないようになっており、溶質を溶解した溶液は結晶成長領域の方に運ばれ、図17で示した製造装置と同じ原理で結晶成長が行われる。
図2は、本発明を実施するのに適した別の縦型形式の結晶成長装置である。酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムの反応容器14中に、精製したLiClまたは2元共晶塩LiCl−NaCl等の低融点をもつ溶融塩6を入れ、別途作製したLi3GaN2複合窒化物8にタングステンのネット9をかぶせ、反応容器14の底に沈め、この上部に回転機能を備えた基板支持棒3の先につけたシード2を置くと、Li3GaN2が溶解した溶液または融液からGaN結晶が折出し、液相からのエピタキシャル成長が起こる。結晶表面でGaN結晶が成長すると、溶液または融液中で、Li3N成分が増加して行くが、結晶の回転に伴って図中で示した矢印の方向の溶液または融液の流れに乗り、一部は上昇して行き溶液または融液中のLi3N成分の濃度が上がって行く。薄膜状の結晶をシードに成長させる場合は溶液または融液の量を多くしておけばよいが、バルク状の結晶を連続的に成長させるためには、溶液または融液中のLi3N成分を連続的に除去する必要がある。図2においては、ガス吹き込み管12から塩化水素を溶液または融液中に吹き込み、Li3N成分を、LiCl、N2、H2に分解する。あるいは、もっと穏やかな条件にするには、ガス導入管10,11から窒素、あるいはアルゴンをキャリアガスとして使い、塩化アンモニウムの気体を反応容器14内に導くことで、溶液または融液界面から分解した塩化水素が溶融塩中に拡散させるようにしてもよい。
図3は、スパッター等のドライプロセスを使って、石英、サファイア、GaN等の基板2の上に、Ga−Li−N等の混合物からなる薄膜17をつくり、これをLiCl溶融塩6に溶解させて、基板2上にGaN結晶を成長させるものである。図中、18は、結晶成長部分以外での窒化物薄膜17とLiCl溶融塩6の反応を防ぐための仕切り板であり、材料としては、タングステン等が使われる。
また、反応容器14内の雰囲気7は、窒素またはアルゴン等の不活性雰囲気とする。
生成したGaNの解離圧は、生成の自由エネルギーから計算すると650℃で1気圧となり、一般には、常圧で650℃以上の温度になると分解が始まるといわれている。しかし、本発明によれば、常圧600〜800℃の温度であっても溶融塩中でGaNがGa金属と窒素ガス等に分解することはない。また、式(A)から明らかなように、溶融塩中のLi3N濃度によりGaN結晶の溶解・析出を制御できるため、結晶成長の固液界面において再溶解と再結晶を繰り返すことができる。その結果、結晶の高品質化を図ることができるため、本発明は極めて有利である。
本発明の製造方法は、半導体デバイスの製造方法における第13族金属窒化物結晶を製造する工程に用いることができる。その他の工程における原料、製造条件および装置は一般的な半導体デバイスの製造方法で用いられる原料、条件および装置をそのまま適用できる。本発明の製造方法によれば、パワーIC、高周波対応可能な半導体デバイス等を製造することができる。
なお、実施例において結晶成長の溶媒として用いたLiCl、NaClは、図6で示される装置を用いて上記説明にしたがって精製したものである。
多結晶窒化ガリウムおよび窒化リチウム試薬(三津和化学製)を乳鉢を使ってLi3N/GaN=1.05のモル比で混合し、得られた混合物約2gをY2O3の反応容器(坩堝)に入れて、60ml/minの窒素流通下で焼成することにより、複合窒化物を作製した。焼成を行う際には、室温から700℃まで1時間で昇温し、700℃で20時間保持したのちに、電気炉電源を切り自然放冷した。サンプルは、焼成前は灰色、赤紫の混合色であったが、焼成後は白っぽい灰色に変化した。このサンプルのX線データを図7に示す。Li3GaN2が生成したことが分かる。得られたLi3GaN2を以下の実施例2〜6で用いた。
Li3N/GaN比を1.07に変更したこと以外は製造例1と同じ方法にしたがって、700℃で20時間保持してLi3GaN2を合成した。得られたLi3GaN2を以下の実施例7のNo.71で用いた。
製造例2にしたがって700℃で20時間保持してLi3GaN2を合成した後、630℃で2時間真空引きし過剰なLi3Nを除去した。過剰なLi3Nが除去されたことはLi3GaN2から赤みが消えたこと、及びXRDで確認した。得られたLi3GaN2を以下の実施例7のNo.72で用いた。
図2の装置内に、GaN粉末を0.3g、LiClを5.2g、Li3Nを表2に示す量添加し、窒素雰囲気中で室温から760℃まで1時間で昇温し、その後20時間保持した。20時間保持した後の溶液中のGa濃度を分析した結果と、溶液中でのGaN結晶成長の有無について、表2に示す。得られたGaN結晶の光学顕微鏡写真、SEM写真、XRDパターンを図8〜10に示す。
LiClを3.4gとNaClを1.8g混合した溶媒に、製造例1で合成したLi3GaN2を0.52g添加して、Li3Nが蒸発できるように蓋を外した装置を用いて、N2雰囲気中で1時間かけて760℃に昇温した。その後、表3に記載されるタイミングで390mgのGaNシードを投入し、10時間保持したのちシードを取り出して変化を確認した。結果を表3に示す。得られたGaN結晶のSEM写真、X線回折の(002)回折ピークのロッキングカーブ測定結果を図13と図14に示す。
図2の装置内に、製造例1で合成したLi3GaN2を0.30g、Li3Nを0.03g、LiClとNaClをそれぞれ表4に示す量添加して、N2雰囲気中で室温から1時間かけて760℃に昇温し、Li3Nを蒸発させながら760℃で20時間結晶成長を試みた。GaN単結晶の生成量を表4に示す。
図12の装置内に、製造例1で合成したLi3GaN2を0.52gとLiClを5.2g加えて、表5に示す量のHClを含むArガスを50ml/minの速度で流通させた雰囲気中にて1時間かけて760℃に昇温して、760℃に8時間保持した。GaN単結晶の生成量を表5に示す。
図16の装置内に、製造例1で合成したLi3GaN2を0.52g、LiClを6.8g、NaClを3.6g添加し、窒素雰囲気中で1時間かけて760℃に昇温して、8時間保持してGaN結晶を成長させた。このとき、No.52では底部のみをヒーターで770℃に加熱し、それ以外の箇所を760℃としてるつぼ内に熱分布を形成した状態で結晶成長させた。GaN単結晶の生成量を表6に示す。
内径25mmのY2O3製るつぼ内に、製造例1で合成したLi3GaN2を0.52g、LiClを6.8g、NaClを3.6g投入した。このるつぼ内の中央部には、5mm角の攪拌翼2枚が設置されている。窒素雰囲気中で1時間かけて室温から760℃に昇温し、20時間保持してGaNを結晶成長させた。このとき、No.62では760℃に到達後20rpmで攪拌翼を回転させ、溶液を攪拌しながら20時間保持した。GaN単結晶の生成量を表7に示す。
図11の装置内に、表8に記載される種類のLi3GaN2を0.52g、LiClを6.8g、NaClを3.6添加し、窒素雰囲気中で1時間かけて760℃に昇温し、760℃に到達してすぐにシードを投入し、12時間保持してGaN結晶を成長させた。
2 基板またはシード
3 基板または結晶保持および回転機構
4 Ga−Li合金
5 仕切り板
6 溶融塩
7 窒素またはアルゴン
8 複合窒化物
9 ネット
10 ガス導入管
11 ガス導入管
12 ガス吹き込み管
13 窒素
14 反応容器(第1反応容器)
15 電気炉
16 ガス吹き込み管
17 Ga−Li−N薄膜
18 仕切り板
19 ガス排出口
20 ガス導入管
21 精製容器
22 多孔質フィルター
23 試料溜め
24 塩化水素ガス
25 第2反応容器
26 蓋
27 ヒータ
28 攪拌羽
29 隔壁
Claims (27)
- 化合物ABXをイオン性溶媒に溶解した溶液中で化合物AXを結晶成長させる際の結晶成長速度を制御する方法であって、
結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を調整することにより、化合物AXの結晶成長速度を制御することを特徴とする結晶成長速度制御方法。
[前記Bは1族金属元素または2族金属元素であり、
前記Aは第13族金属元素であり且つ前記Xは第15族元素であるか、前記Aは第12族金属元素であり且つ前記Xは第16族元素であるか、または、前記Aは第14族元素であり且つ前記Xは炭素元素である。] - 結晶成長場から溶質成分BXを除去することにより、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする請求項1に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記溶液から溶質成分BXを蒸発させて除去することにより、結晶成長場における前記溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする請求項1に記載の結晶成長速度制御方法。
- A金属と溶質成分BXとを前記溶液中で反応させることにより、または、溶質成分BXと反応する気相物質Gと溶質成分BXとを前記溶液中または前記溶液と気相との界面において反応させることにより、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を下げることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 結晶成長場において前記溶液の流れを生じさせることによって、結晶成長場における溶液中の溶質成分BXの濃度を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記溶液の流れを機械的手段により生じさせることを特徴とする請求項5に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記溶液の流れをシードを回転させることにより生じさせることを特徴とする請求項6に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記溶液の流れを反応容器の局所的な加熱により生じさせることを特徴とする請求項5に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物AXの結晶成長場と化合物ABXの溶解部との距離をほぼ一定に保ちながら連続的な結晶成長を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物ABXを連続的に溶解する領域と化合物AXの結晶成長を行う領域の間に、2つの領域相互間の溶液流通量を制限する隔壁が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 溶質成分BXの除去を化合物AXの結晶成長を行う領域でのみ行うことを特徴とする請求項10に記載の結晶成長速度制御方法。
- 下記(1)〜(6)の工程を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
(1)イオン性溶媒中において化合物ABXを溶解する工程
(2)前記化合物が溶解した溶質を含む溶液を化合物AXの結晶成長場に輸送する工程、
(3)結晶成長場において化合物AXの結晶成長を行う工程
(4)結晶成長場の溶液を溶質成分BXを減少させる場へ輸送する工程
(5)溶質成分BXを減少させる場において溶液中の溶質成分BXの濃度を減少させる工程
(6)溶質成分BXの濃度を減少させた溶液を前記(1)、(2)または(3)の工程に用いるために輸送する工程 - 前記(2)の輸送が層流状の流路でなされ、前記(3)の結晶成長を経た後に流路が拡大していくことを特徴とする請求項12に記載の化合物結晶の製造方法。
- 前記(2)の輸送の方向と結晶成長場の結晶成長面が直交していることを特徴とする請求項12または13に記載の化合物結晶の製造方法。
- 前記(2)の輸送の方向と結晶成長場の結晶成長面が平行であることを特徴とする請求項12または13に記載の化合物結晶の製造方法。
- 溶質成分BXを構成するBが、第1族金属元素と第2族金属元素からなる群より選択される1以上の元素であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記イオン性溶媒が一種類または複数種の金属ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記イオン性溶媒の組成を調整することによって、溶質成分BXの除去量を制御することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記溶液中にドーピング元素を溶解させておくことによって、前記元素をドープした結晶を成長させることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- ドーピング元素を含む溶媒を用いて前記溶液を調整することを特徴とする請求項19に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物ABXから溶質成分BXを除去してABXの化学量論組成に近づけてから前記結晶成長に用いることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物ABXをイオン性溶媒に溶解する前に、化合物ABXから溶質成分BXを除去することを特徴とする請求項21に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物AXの結晶成長を、標準生成エネルギーが1000Kにおいて−930kJ/mol以下である酸化物を主成分とする内壁を有する反応容器内で行うことを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 化合物ABXの調製を、標準生成エネルギーが1000Kにおいて−930kJ/mol以下である酸化物を主成分とする内壁を有する反応容器内で行うことを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の結晶成長速度制御方法。
- 前記反応容器の内壁がシリコンカーバイドを主成分とすることを特徴とする請求項23または24に記載の結晶成長速度制御方法。
- 請求項1〜25のいずれか一項に記載の工程を含むことを特徴とする化合物結晶の製造方法。
- 請求項26に記載の結晶成長方法により化合物結晶を製造する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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