JP4908683B2 - 酸化窒素分析用装置および酸化窒素測定用センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンモニアの共存下でも被測定ガス中の酸化窒素を選択的に測定する酸化窒素分析用装置、同測定装置に使用するアンモニア除去装置、および同測定装置に使用するアンモニア除去デバイスが組み込まれた酸化窒素測定用センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各種発電所設備やゴミ焼却炉等から排出される燃焼排ガス中の所定のガス成分を測定し、その濃度を監視する等の公害監視の目的や、また所定のガス成分濃度から燃焼状態をフィードバック制御する等の目的から、各種のガス分析装置が利用されている。例えば、火力発電所においては、燃焼炉から排出される燃焼排ガス中に酸化窒素(NOx)が存在するところから、NH3脱硝反応(4NO+4NH3+O2 →4N2 +6H2O)を利用したアンモニア脱硝装置が設けられているが、そのような燃焼排ガス中のNOxを除去する脱硝装置においては、その脱硝効率を向上させるための制御用途のNOx計や、脱硝装置出口(煙突入口)において、未反応のNOxとNH3の排出量をモニタする公害監視用途のNOx計とNH3計が利用されている。
【0003】
そして、それらのガス分析計のうち、NOx計では、化学発光法や赤外線吸収法等を用いたサンプリング方式のものが、またNH3計では、化学発光法や紫外線吸収法やイオン電極法等のサンプリング方式のものが、それぞれ、実用化されている。また、半導体式ガスセンサや固体電解質ガスセンサ等を燃焼排ガス中に直接挿入して、NOxやNH3の濃度を電気信号として取り出すようにしたNOx計やNH3計の開発も、試みられている。
【0004】
しかしながら、上記した化学発光法、赤外線吸収法、紫外線吸収法、イオン電極法等を用いたサンプリング方式のガス分析計にあっては、燃焼排ガス等の被測定ガスが存在する空間より、長いガス配管(10〜50m)を用いて、被測定ガスを吸引して、ガス分析計まで導かねばならず、そのためにリアルタイムのガス測定ができないところから、特に、制御用途には不向きであった。特に、脱硝装置には必ず付いてまわる、未反応成分として排出されるNOxやNH3の測定を考えた場合において、前記のサンプリング方式のガス分析計では、巨大なガス検知部を2台(NOx検知部およびNH3検知部)も設置しなければならず、そのために装置の建設費、維持管理費も莫大なものとなるという問題を有している。このように、既に実用化されているサンプリング方式のNOx計やNH3計は、その利用者に対して、充分な満足を与えていないのが、現状である。
【0005】
また、前記した半導体式のガスセンサや固体電解質ガスセンサ等のガスセンサを、燃焼排ガスの如き被測定ガス中に直接挿入するタイプのNOx計やNH3計にあっては、ガスセンサの選択性が悪く、何れも、実用化には至っていない。例えば、固体電解質ガスセンサからなるNOx計にあっては、被測定ガス中にNOxと共にNH3が存在すると、NH3がNOx測定環境下において酸化され、NOとなるとことから、被測定ガス中のNOx濃度を正確に測定することが困難であるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題は、NH3がNOxと共存するエンジンなどの各種燃焼機関や発電所設備やゴミ焼却炉等を含む各種産業用装置からの排ガス中のNOxの濃度のみを直接測定できる装置の提供をその目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために種々検討の結果、被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構よりなる、アンモニアが含まれることもある被測定ガス中の酸化窒素濃度を選択的に測定する酸化窒素測定用装置において、被測定ガス中に含まれるアンモニアを除去する機構を被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構の配置個所よりも被測定ガス取り込み口側に設けることにより上記の目的を達成できることを見いだして本発明を完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、第一に、被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構よりなる、アンモニアが共存する被測定ガス中の酸化窒素濃度を選択的に測定する酸化窒素分析用装置において、被測定ガス中に含まれるアンモニアの除去デバイスを被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構の配置個所よりも上流の被測定ガス取り込み口側に設けたことを特徴とする酸化窒素分析用装置、特に、前記酸化窒素分析用装置がガス拡散型装置、全ガス通過型酸化窒素分析用装置、または直接挿入型酸化窒素分析用装置のいずれかである酸化窒素分析用装置が提供される。
【0009】
さらに、前記被測定ガス中に含まれるアンモニアの除去デバイスが、硫酸化合物または塩素化合物を含むデバイスよりなることを特徴とする酸化窒素分析用装置、特に前記硫酸化合物または塩素化合物を含むデバイスが複数の固体電解質層からなり、第一の拡散律速通路と、該第一の拡散律速通路と連通した第一の内部空所と、第一の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプと;第二の拡散律速通路と、該第二の拡散律速通路と連通した第二の内部空所と、第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが少なくとも外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口側から順に設けられた固体電解質層と、基準空気導入通路が形成された固体電解質層と、加熱手段が埋設された固体電解質層とから少なくともなる酸化窒素測定用センサ素子であって、前記外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口に近接して設けられた第一の拡散律速通路の上流に設けられた、多孔質材料からなる担体と、同担体に担持されている硫酸化合物または塩素化合物よりなるアンモニア除去デバイスを有することを特徴とする酸化窒素分析用装置が提供される。
【0010】
さらにまた、前記硫酸化合物が、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸コバルト、硫酸マグネシウム、および硫酸チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の硫酸化合物であることを特徴とする酸化窒素分析用装置、または前記塩素化合物が、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化ジルコニウム、塩化コバルト、塩化マグネシウム、および塩化チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の塩素化合物であることを特徴とする酸化窒素分析用装置が提供される。
【0011】
第二に、導入口と排出口とを有する耐酸化性の材料からなる保持部材と、前記導入口と排出口側とにそれぞれ設けられた粉末飛散防止材と、粉末の硫酸化合物または塩素化合物よりなるアンモニア除去装置であって、前記粉末の硫酸化合物または塩素化合物が前記保持部材と、前記粉末飛散防止材とから構成される収納容器に封入されていることを特徴とするアンモニア除去装置、および多孔質材料からなる担体と、同担体に担持されている硫酸化合物または塩素化合物よりなることを特徴とするアンモニア除去装置が提供される。
【0012】
さらに、第三に、複数の固体電解質層からなり、第一の拡散律速通路と、該第一の拡散律速通路と連通した第一の内部空所と、第一の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプと;第二の拡散律速通路と、該第二の拡散律速通路と連通した第二の内部空所と、第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが少なくとも外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口側から順に設けられた固体電解質層と、基準空気導入通路が形成された固体電解質層と、加熱手段が埋設された固体電解質層とから少なくともなる酸化窒素測定用センサ素子であって、前記外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口に近接して設けられた第一の拡散律速通路の上流に設けられたアンモニア除去デバイスを有することを特徴とする酸化窒素測定用センサ素子が提供される。
【0013】
さらにまた、上記の第一と第二の拡散律速通路と、第一と第二の拡散律速通路と連通した第一と第二の内部空所と、第一と第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層が、さらに第三の拡散律速通路と、該第三の拡散律速通路と連通した第三の内部空所と、第三の内部空所内に配置された電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層であって、さらに、汲み込みエアダクトが形成された固体電解質層を有することを特徴とする酸化窒素測定用センサ素子が提供されることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、添付の図面に触れながら、詳細に説明することとする。
本発明に係る酸化窒素分析用装置は、基本的には、被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構よりなる、アンモニアが含まれることもある被測定ガス中の酸化窒素濃度を選択的に測定する酸化窒素分析用装置において、被測定ガス中に含まれるアンモニアの除去デバイスを被測定ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構の配置個所よりも被測定ガス取り込み口側に設けたことを特徴とする酸化窒素分析用装置(以下、ガス分析装置と称することもある)に関する。
【0015】
本発明に係る酸化窒素分析用装置の場合には、測定の対象とする装置、使用条件などにより、ガス全量を分析装置を通過させるタイプで、主としてサンプリング用途に使用される全ガス通過型酸化窒素分析用装置、ガスの流路の側面に取り就けるタイプのガス拡散型装置、およびアンモニア除去デバイスが組み込まれたNOxセンサを使用する直接挿入型酸化窒素分析用装置の三種類に大別される。全ガス通過型酸化窒素分析用装置とガスの流路の側面に取り付けるタイプのガス拡散型装置の場合には、前記被測定ガス中に含まれるアンモニアの除去デバイスとして、硫酸化合物または塩素化合物を含むアンモニア除去デバイスをNOxセンサとは独立に設ける必要がある。アンモニア除去デバイスが組み込まれたNOxセンサを使用する直接挿入型酸化窒素分析用装置においては、硫酸化合物または塩素化合物を含むアンモニア除去デバイスがNOxセンサの一部に直接取り付けられた構造が採用されることとなる。
【0016】
全ガス通過型酸化窒素分析用装置とガスの流路の側面に取り付けるタイプのガス拡散型装置の場合には、酸化窒素を測定するために使用するNOxセンサは、使用条件などを考慮して適宜選定すればよいことはいうまでもない。例えば、全ガス通過型酸化窒素分析用装置においても、ガス拡散型装置においても、λ<1である自動車の排ガス中の酸化窒素の分析用の場合には、平成11年9月22日出願に係る特願平11−268410号明細書に開示のNOxセンサ素子を使用すればよく、λ≧1である火力発電所プラントなどの排ガス酸化窒素の分析用の場合には、平成10年3月17日公開に係る特開平10−73563号公報に開示のNOxセンサ素子を使用すればよい。
【0017】
図1は、全ガス通過型酸化窒素分析用装置の構成を示す概念図である。図中1は、硫酸化合物を含むアンモニア除去デバイスを、2はセンサ部を示す。通常、硫酸化合物を含むアンモニア除去デバイス1は、粉末の硫酸化合物3を飛散防止材3aを介してガス導入孔とガス排出孔を有する耐酸化性の材料からなる保持部材5中に収納した構造からなる。図1においては、硫酸化合物の例を示してあるが、これは塩素化合物と代えても同様の効果が得られることはいうまでもない。なお、以下の図面において、同一または類似の機能を有する部品および/または構造体は原則として、同一の番号を使用することとする。硫酸化合物としては、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸コバルト、硫酸マグネシウム、および硫酸チタンまたはこれらの混合物の粉末が好適に使用される。塩素化合物としては、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化ジルコニウム、塩化コバルト、塩化マグネシウム、および塩化チタンまたはこれらの混合物の粉末が好適に使用される。また、粉末度については、特に制限はないが、好ましくは充分なアンモニアガス吸着能を示すに充分な粉末度であることが好ましい。なお、排ガスと共に粉末が飛散するのを防止するために、耐酸化性の材料からなる保持部材5に設けられているガス導入孔側とガス排出孔側にそれぞれ飛散防止材3aを配置する。飛散防止材としては、通気性に優れると共に、耐熱性、耐薬品性に優れ、排ガス中の被測定成分に対して触媒作用を有しない素材から製造されたものが好適に使用される。そのようなものの例としては、石英ウールや、シリカ/アルミナ系濾紙が好適に使用される。この様な構成からなる硫酸化合物を含むアンモニア除去デバイス1の例として、その概要の断面構造を図2に示す。
【0018】
図3は、ガス拡散型酸化窒素分析用装置の構成を示す概念図である。図3においても1は、硫酸化合物を含むアンモニア除去デバイスを、2はセンサ部を示す。通常、この態様における硫酸化合物を含むアンモニア除去デバイス1は、通気性に富み、耐熱性、耐薬品性に優れ、排ガス中の被測定成分に対して触媒作用を示さない担体5aに硫酸化合物3が担持されて形成されている。この様な担体5aとしては、セラミック製のハニカム構造体、石英ウール成形体、シリカ/アルミナ系濾紙などが好適に使用される。図4は、この態様において使用される硫酸化合物および塩素化合物を含むアンモニア除去デバイスの作製方法の概要を示す工程図である。このアンモニア除去デバイス1は、図4から明らかなとおり、通常は、予め用意した通気性に富み、耐熱性、耐薬品性に優れ、排ガス中の被測定成分に対して触媒作用を示さない担体5aを、所定濃度の硫酸化合物と塩素化合物とを溶解させた溶液、好ましくは、水溶液中に所定時間浸漬し、乾燥し、所定温度で加熱し、焼き付けして作製する。
【0019】
なお、図1と図3に示した酸化窒素検出装置は、例えば、それぞれ、JIS K0095の4.3項に示されている採取管、特開平10−73563号公報の図5に示されているガス分析計として知られている装置に、上記のように構成したアンモニア除去デバイスを所定の位置に組み込むことにより作製できる。
【0020】
アンモニア除去デバイス1が組み込まれたNOxセンサ素子を使用する直接挿入型酸化窒素分析用装置において、使用されるNOxセンサ素子は、λ<1の場合とλ≧1の場合とで、後者においては、センサ入り口近傍で未燃焼の炭化水素など酸化窒素ガスの測定に直接影響する物質を燃焼させることが必要なためであり、そのため構造の一部が異なる。
【0021】
λ<1の場合に使用されるセンサ素子としては、複数の固体電解質層からなり、第一の拡散律速通路と、該第一の拡散律速通路と連通した第一の内部空所と、第一の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプと;第二の拡散律速通路と、該第二の拡散律速通路と連通した第二の内部空所と、第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが少なくとも外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口側から順に設けられた固体電解質層と、基準空気導入通路が形成された固体電解質層と、加熱手段が埋設された固体電解質層とから少なくともなる酸化窒素測定用センサ素子であって、前記外部の被測定ガス存在空間からの被測定ガス取り入れ口に近接して設けられた第一の拡散律速通路の上流に設けられたアンモニア除去デバイスを有することを特徴とする酸化窒素測定用センサ素子が挙げられる。
【0022】
λ≧1の場合使用されるセンサ素子としては、上記の第一と第二の拡散律速通路と、第一と第二の拡散律速通路と連通した第一と第二の内部空所と、第一と第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層が、さらに第三の拡散律速通路と、該第三の拡散律速通路と連通した第三の内部空所と、第三の内部空所内に配置された電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層であって、さらに、汲み込みエアダクトが形成された固体電解質層を有することを特徴とする酸化窒素測定用センサ素子が挙げられる。
【0023】
λ≧1の場合に使用されるセンサ素子構造について、図5に基づきより具体的に説明する。図5は、λ≧1の場合で自動車に搭載されて使用されるアンモニア除去デバイス1が組み込まれたNOxセンサ素子の基本構造の断面を模式的に示す図である。このNOxセンサの基本構造は、特開平10−73563号公報において図4に開示されたNOxセンサ素子の基本構造と同一である。本発明において、図5に示したNOxセンサ素子には、特開平10−73563号公報において図4に開示されたNOxセンサ素子の第一の拡散律速通路よりも前方の被測定ガス取り込み口(図示せず)側にアンモニア除去デバイス1を設けたものである。かかるアンモニア除去デバイス1としては、粉末状の硫酸化合物または塩素化合物を充填したものが挙げられる。勿論、上述したような多孔質の担体に硫酸化合物または塩素化合物を担持したものでもよい。
【0024】
λ<1の場合使用されるセンサ素子素子構造について、図6に基づきより具体的に説明する。図6は、λ<1の場合で自動車に搭載されて使用されるアンモニア除去デバイス1が組み込まれたNOxセンサ素子の基本構造の断面を模式的に示す図である。このNOxセンサ素子の基本構造は、特願平11−268410号明細書の図1に開示されたNOxセンサ素子の基本構造と同一である。本発明において、図6に示したNOxセンサ素子には、特願平11−268410号明細書の図1に開示されたNOxセンサ素子の第一の拡散律速通路よりも前方の被測定ガス取り込み口(図示せず)側にアンモニア除去デバイス1を設けたものである。かかるアンモニア除去デバイス1としては、図5に示した素子と同様に、粉末状の硫酸化合物を充填したものが挙げられる。勿論、上述したような多孔質の担体に硫酸化合物または塩素化合物を担持したものでもよい。
なお、図5と図6との主要な差異は、より具体的に説明すれば、図6に示したものには、汲み込みエア用ダクトがセンサ素子の最上段に設けられていること、さらに、第三の拡散律速通路と第三の内部空所が設けられている点にある。
【0025】
図5に示すセンサ素子2は、板状体で、気密性の高い酸素イオン伝導性の固体電解質材料、例えば、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体電解質材料から形成されている。そして、かかる一体構造のセンサ素子内には、素子先端側に順に、矩形形状の平面形態を呈するアンモニア除去デバイス1、第一の内部空所6、第二の内部空所7が、外部から区画された形態で、別個に形成され、それぞれ、第一の処理ゾーン、第二の処理ゾーン、および第三の処理ゾーンを構成している。第一の処理ゾーンで、排ガス中に含まれるアンモニアが硫酸化合物または塩素化合物により吸着されて、第二の処理ゾーン以降にはアンモニアが除去された排ガスが送り込まれる。
【0026】
第一の拡散律速通路12は、例えば、アルミナ等の多孔質体を充填することによって形成されており、この第一の拡散律速通路12を通じて、所定の拡散抵抗の下に、アンモニア除去デバイス1によりアンモニアが除去された被測定ガス、例えば被測定ガス成分としてNOxを含む被測定ガスを、第一の内部空所6内に導き入れられるようになっている。さらに、第一の内部空所6と第二の内部空所7との間に位置する固体電解質層4c部分にも、例えば、多孔質体による第二の拡散律速手段を構成する第二の拡散律速通路13が形成されている。通常、この第二の拡散律速通路13は、それら通路の拡散抵抗が前記第一の拡散律速通路12における拡散抵抗よりも大きい拡散抵抗を示すように構成されている。かくして、第二の拡散律速通路13を通じて、第一の内部空所6内の雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第二の内部空所7内に導き入れられるようになっている。
【0027】
第一の内部空所6内に露呈する部分には、矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一内側ポンプ電極16が設けられ、さらに該第一内側ポンプ電極16に対応する固体電解質層4bの外面部位には、それに接するように、同様な矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一外側ポンプ電極18が設けられており、それら電極16、18と固体電解質層4bとによって第一の電気化学的ポンプセルが構成されている。なお、第一外側ポンプ電極18は、後述する第二の第二内部ポンプ電極28の外部電極としても使用される。そして、この第一の電気化学的ポンプセルにおける二つの電極16、18間に、外部の可変電源(図示せず)にて、第一内側ポンプ電極16から第一外側ポンプ電極16の方向に電流を流して、特開平10−73563号公報に記載のように所定の働きをさせてもよい。なお、多孔質サーメット電極は、Pt等の金属とZrO2等のセラミックスとから構成されることとなるが、被測定ガスに接触する第一の内部空所6内に配置される第一内側ポンプ電極16は、被測定ガス中のNOx成分の還元性を弱めたあるいは還元性のない金属を用いる必要があり、例えばPt−Au合金とZrO2とのサーメットにて構成されていることが好ましい。
【0028】
第一の内部空所6内に露呈する部分には、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる測定電極22が設けられ、基準ガス導入通路10に露呈する部分には、後述する第三の外側ポンプ電極としても機能し、測定電極としても機能する共通電極44が設けられており、同電極44と固体電解質膜4dとによって、酸素分圧検出手段としての第二の電気化学的セルが構成され、第二の内部空所7内の雰囲気と基準ガス導入通路10(大気)との間の酸素濃度差に基づいて、電極44との間に発生する起電力を、例えば電位差計(図示せず)で測定するように配置することにより、第一の内部空所6内の雰囲気中における酸素分圧が検出される。
【0029】
第二の内部空所7内には、第三内側ポンプ電極28と上記共通電極18からなる第三の電気化学的セルが設けられた第三の処理ゾーンが設けられている。第三内側ポンプ電極28は、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる。そして、この第三の電気化学的ポンプセルの二つの電極28、18間に、外部の直流電源(図示せず)を用いて所望の電圧を印加せしめ、共通電極18側より第三内側ポンプ電極28側に電流を流すことによって、第三の拡散律速通路を通って導入された被測定ガス中の酸素分圧が第二の内部空所7内の入り口近傍において、実質的に被測定ガス成分、例えば、NOxが還元、または、分解されない状況下において、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない、一定の低い酸素分圧値に制御されるようになっている。
【0030】
さらに、第二の内部空所7内における第三の処理ゾーン内において、第三の電気化学的セルとは一定の距離を置いて、矩形形状の第四内側ポンプ電極36が設けられている。この第四内側ポンプ電極36は、被測定ガス成分たるNOxを還元しうる金属、例えば、RhやPtとセラミックスとしてのZrO2とからなる多孔質サーメットにて構成され、これにより、第三の内部空所8内の雰囲気中に存在する被測定ガス成分であるNOxを還元せしめうるNOx還元触媒として機能する一方、内側ポンプ電極36に対応して、基準ガス導入通路10内に配置された共通電極44との間に、直流電源(図示せず)から一定電圧を印加させることによって、第2の内部空所7内の第四の処理ゾーンの雰囲気中の酸素を基準ガス導入通路10内に汲み出すようになっている。従って、ここでは、第四内側ポンプ電極36と共通ポンプ電極44と固体電解質層4dとによって、第四の電気化学的ポンプセルが構成されている。そして、この第四の電気化学的ポンプセルのポンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計(図示せず)によって検出されるよう配置すればよい。
【0031】
なお、センサ素子2内には、固体電解質層4eと4fとにより上下から挟まれた形態において、外部からの給電によって発熱せしめられるヒータ42が埋設されている。また、このヒータ42の上下面には、図示はされていないが、固体電解質層との電気的絶縁を得るために、アルミナ等のセラミックスからなる薄層が形成されている。そして、ヒータ42は、図5に示すように、第一の内部空所6から第二の内部空所7の全体にわたって配設されており、これによって、それら内部空所6、7が、それぞれ、所定の温度に加熱されることにより、第一、第二、第三および第四の電気化学的ポンプセルは、それぞれ、所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0032】
なお、これらの機能は特開平10−73563号公報に記載のものと本質的には差異がないのでこれ以上の詳細な説明は省略する。また、図6に示すセンサ素子については、基本的には、上記の構成に加えて、第二の拡散律速通路と連通した第二の内部空所に続いて、第三の拡散律速通路と、該第三の拡散律速通路と連通した第三の内部空所が設けられていることと、汲み込みエア用ダクトが、第一と第二の電気化学的ポンプの外側ポンプ電極を、被測定ガスに直接さらされないように隔離し、酸素を上記第一の内部空所に汲み入れる際には酸素の供給源としての役割を果たすダクトとして設けられており、このように構成することにより、被測定ガス中の酸化窒素の濃度を、該被測定ガス中の酸素などの干渉ガスの濃度の変化に影響を受けることなく、連続的に応答性よく且つ長時間正確に測定可能と為し得る構造を有している。
【0033】
即ち、基本的には、板状体で、気密性の高い酸素イオン伝導性の固体電解質材料、例えば、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体電解質材料から形成されている。センサ素子2内には、図6に示したように、それぞれ、矩形形状の平面形態を呈する第一の内部空所6、第二の内部空所7および第三の内部空所8が、素子先端側に設けられているアンモニア除去デバイス1に続いて、第一の内部空所6が位置し、素子基端側には該第三の内部空所8が位置するようにして、外部から区画された形態にて、別個に形成され、それぞれ、第一の処理ゾーン、第二の処理ゾーン、第三の処理ゾーン、および第四の処理ゾーンを構成している。気密性の高い酸素イオン伝導性の固体電解質材料を介して、第二および第三の内部空所7、8と平行して、センサ素子2の基部側の端部に向かって、同素子の長手方向に沿って、基準ガス存在空所としての基準ガス導入通路10が少なくとも上記第二の内部空所7の大半が接するように設けられている。なお、該基準ガス導入通路10は、センサ素子2の基部側の端部には開口部を有し、大気または基準ガスを含む領域と連通している。また基準ガス導入通路10は、固体電解質層に形成された対応する空所が固体電解質にて上下から覆蓋されることによって、形成されている。
【0034】
また、第一の内部空所6を外部の被測定ガス存在空間に連通せしめる第一の拡散律速手段たる第一の拡散律速通路12が設けられており、この第一の拡散律速通路12を通じて、所定の拡散抵抗の下に、アンモニアが除去された被測定ガス、例えば被測定ガス成分としてNOxを含む被測定ガスを、第一の内部空所6内に導き入れられるようになっている。さらに、第一の内部空所6と第二の内部空所7との間に位置する固体電解質層4c部分や、第二の内部空所7と第三の内部空所8との間に位置する固体電解質層4c部分にも、第二、第三の拡散律速手段を構成する第二、第三の拡散律速通路13、14が形成されている。通常、これらの第二、第三の拡散律速通路13、14は、それら通路の拡散抵抗が前記第一の拡散律速通路12における拡散抵抗よりも大きい拡散抵抗を示すように構成されている。かくして、第二の拡散律速通路13を通じて、第一の内部空所6内の雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第二の内部空所7内に導き入れられるようになっており、さらに、第二の内部空所7内の雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第三の内部空所8内に導かれるようになっている。
【0035】
第一の内部空所6内に露呈する部分には、矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一内側ポンプ電極16が設けられ、さらに該第一内側ポンプ電極16に対応する固体電解質層4bの外面部位には、それに接するように、同様な矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一外側ポンプ電極18が設けられており、それら電極16、18と固体電解質層4bとによって第一の電気化学的ポンプセルが構成されている。第一の内部空所には水素ガスなどの可燃性ガスを燃焼させるに充分な量の酸素を含むように、被測定ガスを含む領域とは隔離された汲み込みエア用ダクト31から酸素を汲み入れる。また、この汲み入れは、第一の電気化学的ポンプセルにおける両電極16、18間に、所定の一定電流、あるいは、所定の一定電圧を印加することにより汲み入れる。勿論、第一空所内の酸素濃度をモニタすることにより、常に一定量の酸素が存在するように両電極16、18間に印加する電流、または、電圧を制御してもよい。
【0036】
なお、多孔質サーメット電極は、Pt等の金属とZrO2等のセラミックスとから構成されることとなるが、被測定ガスに接触する第一の内部空所6内に配置される第一内側ポンプ電極16は、被測定ガス中のNOx成分の還元性を弱めたあるいは還元性のない金属を用いる必要があり、例えばPt−Au合金とZrO2とのサーメットにて構成されていることが好ましい。なお、第一の空所内への酸素汲み入れの際には、第一外側ポンプ電極18および後述する第二外側電極24が、被測定ガスにさらされていると、空気比λが1未満でNOxが可燃性ガスと反応して消失したり、NOxが反応して、NOxの測定誤差が大きくなるため、被測定ガスとは隔離された箇所に第一外側ポンプ電極18および後述する第二外側ポンプ電極24を設けることが必要である。そのためには、図6に示したように、 第一外側ポンプ電極18および後述する第二外側ポンプ電極24を被測定ガスから隔離し、外気を取り入れられるようにするための取り入口を有する汲み込みエア用ダクト31を設ける。
【0037】
通常は、気密性の高い酸素イオン伝導性の固体電解質材料を介して、第二および第三の内部空所7、8と平行して、センサ素子2の基部側の端部に向かって、同素子の長手方向に沿って、少なくとも上記第二の内部空所7の大半が接するように、より好ましくは、上記第一の内部空所の少なくとも一部が接するように、被測定ガスとは隔離された外気を取り入れるための取り入れ口を有する汲み込みエア用ダクト31が設けられている。また、第一の空所内に充分な酸素を送り込むために、汲み込みエア用ダクト31は、充分な容量、例えば、汲み込みエア用ダクト31のセンサの長手方向に対して垂直な断面の断面積が1mm2以上であることが必要である。また、第一外側ポンプ電極18は、図6に示すように固体電解質層4aと固体電解質層4bから構成される汲み込みエア用ダクト31内に設けられる。
【0038】
第二の内部空所7内に露呈する部分には、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる第二内側ポンプ電極22が設けられ、第一外側ポンプ電極18と同一面側には同電極と同様な多孔質サーメット電極からなる第二外側ポンプ電極24が設けられ、基準ガス導入通路10に露呈する部分には、後述する第三の外側ポンプ電極と第四の外側ポンプ電極が設けられており、それら電極22と電極30または電極38と固体電解質膜4dとによって、酸素分圧検出手段としての第二の電気化学的セルが構成され、第二の内部空所7内の雰囲気と基準ガス導入通路10(大気)との間の酸素濃度差に基づいて、電極22と電極30または電極38との間に発生する起電力を、電位差計(図示せず)にて測定することにより、第二の内部空所7内の雰囲気の酸素分圧が検出されるよう配置する。そして、この電位差計にて検出された、第二の内部空所7内における雰囲気の酸素分圧の値に基づいて、可変電源(図示せず)の電圧が制御され、よって第二の内部空所7内の雰囲気の酸素分圧が、被測定ガス成分が還元または分解しない値で、なおかつ次の第三の内部空所8において酸素分圧の制御を行いうるに充分な低い所定の値となるように、第二の電気化学的ポンプセルのポンプ作動が制御されるようになっている。
【0039】
第三の内部空所8内には、第三内側ポンプ電極28と第三外側ポンプ電極30からなる第三の電気化学的セルが設けられた第三の処理ゾーンと、同電気化学的セルとは一定の距離を置いて第四内側ポンプ電極36と第四外側ポンプ電極38とからなる第四の電気化学的セルが設けられている第四の処理ゾーンが設けられている。第三内側ポンプ電極28は、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる。
【0040】
また、この内側ポンプ電極28に対応する固体電解質層4dの基準ガス導入通路10内に露呈する部分には、第一外側ポンプ電極18と同様な多孔質サーメット電極からなる第三外側ポンプ電極30が設けられ、それら内側ポンプ電極28と外側ポンプ電極30と固体電解質層4dとによって、第三の電気化学的ポンプセルが構成されている。そして、この第三の電気化学的ポンプセルの二つの電極28、30間に、外部の直流電源(図示せず)を用いて所望の電圧を印加せしめ、第三外側ポンプ電極30側より第三内側ポンプ電極28側に電流を流すことによって、第三の内部空所7内の雰囲気の酸素分圧が、実質的に被測定ガス成分、例えば、NOxが還元、または、分解されない状況下において、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない、一定の低い酸素分圧値に制御されるようになっている。
【0041】
さらに、第三の内部空所8の第四の処理ゾーン内において、第三の電気化学的セルとは一定の距離を置いて、矩形形状の第四内側ポンプ電極36が設けられている。この第四内側ポンプ電極36は、被測定ガス成分たるNOxを還元しうる金属、例えば、RhやPtとセラミックスとしてのZrO2とからなる多孔質サーメットにて構成され、これにより、第三の内部空所8内の雰囲気中に存在する被測定ガス成分であるNOxを還元せしめうるNOx還元触媒として機能する一方、内側ポンプ電極36に対応して、基準ガス導入通路10内に配置された第四外側ポンプ電極38との間に、直流電源(図示せず)により一定電圧が印加せしめられることによって、第三の内部空所8内の第四の処理ゾーンの雰囲気中の酸素を基準ガス導入通路10内に汲み出すように配置する。従って、ここでは、第四内側ポンプ電極36と第四外側ポンプ電極38と固体電解質層4dとによって、第四の電気化学的ポンプセルが構成されている。
【0042】
そして、この第四の電気化学的ポンプセルのポンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計(図示せず)によって検出されるよう配置する。なお、前記した定電圧(直流)電源は、第三の拡散律速通路14による制限されたNOx流入下において、第四の電気化学的ポンプセルによるNOx分解時に生成した酸素のポンピングに対して、限界電流を与える大きさの電圧を印加することができるように構成することが好ましい。
【0043】
なお、センサ素子2内には、固体電解質層4eと4fとにより上下から挟まれた形態において、外部からの給電によって発熱せしめられるヒータ42が埋設されている。また、このヒータ42の上下面には、図示はされていないが、固体電解質層との電気的絶縁を得るために、アルミナ等のセラミックス層が薄層において形成されている。そして、ヒータ42は、図1に示すように、第一の内部空所6から第三の内部空所8の全体にわたって配設されており、これによって、それら内部空所6、7、8が、それぞれ、所定の温度に加熱されることにより、第一、第二、第三および第四の電気化学的ポンプセルは、それぞれ、所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0044】
このように構成されたセンサ素子2は、その先端部側が、被測定ガス存在空間内に配置されるのであり、これによって、被測定ガスは、先ず、アンモニア除去デバイス1によりアンモニアが除去された被測定ガスがセンサ素子2に設けられた第一の拡散律速通路12を通って、所定の拡散抵抗の下に、第一の内部空所6内に導き入れられる。そして、第一の内部空所6内に導かれた被測定ガスは、第一の電気化学的ポンプセルを構成する二つの電極16、18間に所定の電流または電圧が印加せしめられることによって惹起される酸素のポンピング作用を受け、その酸素濃度が被測定ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼させるに充分な量を含むように制御される。
【0045】
第一の内部空所6における所定酸素濃度と基準ガスの酸素濃度との差に相当する起電力となるように、第一の電気化学的ポンプセルの電圧を制御すればよい。ここで、第一の拡散律速通路12は、第一の電気化学的ポンプセルに電圧を印加した際、被測定ガス中の酸素が測定空間(第一の内部空所6)に拡散流入する量を絞り込み、第一の電気化学的ポンプセルに流れる電流を抑制する働きをしている。このようにして、第一の電気化学的ポンプセルの酸素ポンピング作用により、前記汲み込みエア用ダクト31内から酸素を汲み入れて、第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素濃度を被測定ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼させるに充分な量の酸素濃度となるように制御することになる。
【0046】
図5または図6に示したセンサ素子において、第一の内部空所6内の雰囲気の酸素濃度を所定の値とするためには、第一の電気化学的ポンプセルの二つの電極16、18間に、所定の一定電流、あるいは、所定の一定電圧を印加することにより、酸素の汲み入れを行えばよい。また、よく知られているネルンストの式に基づいて、例えば、電極16と共通電極44または電極30との間の起電力を電位差計(図示せず)で測定し、第一の電気化学的ポンプセルの二つの電極16、18間に印加する電圧を制御する手法を採用してもよい。
【0047】
なお、上述した構造を有するセンサ素子をアンモニアガスを含む可能性の高い条件下で使用するに際しては、図5に示したセンサ素子の場合には、例えば、特開平10−73563号公報の図1に記載された構成を有する分析計の所定位置に組み込むことにより分析計を作製すればよい。また、図6に示したセンサ素子の場合には、例えば、平成11年9月22日出願にかかる特願平11−268410号明細書に添付した図2に記載された構成を有する分析計の所定位置に組み込むことにより分析計を作製すればよい。
【0048】
このように、本発明に係る分析装置のみならず、アンモニア除去装置、アンモニア除去デバイスを組み込んだセンサ素子は、本発明の趣旨から逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そしてそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範囲内に属するものであると理解されるべきである。
【0049】
以下、試験例を挙げて本発明の装置について説明するが、勿論、以下の試験例により本発明は何ら制限されるものではない。
【0050】
【試験例】
本発明に係る図4に示した構造を有するガス分析装置を使用して、被測定ガス中にNH3を0ppm、50ppm、および100ppmそれぞれ含むガスに、NOの濃度を0〜200ppmの範囲で添加したときの酸化窒素濃度を測定した。なお、同時に、アンモニア除去デバイスを設けないこと以外は同一の構造を有するガス分析装置を使用して、被測定ガス中にNH3を0ppm、および100ppmをそれぞれ含むガスに、NOの濃度を0〜200ppmの範囲で添加したときの酸化窒素濃度を測定した。図7(a)には、アンモニア除去デバイスを設けないこと以外は同一の構造を有するガス分析装置を用いた場合の測定結果を、図7(b)には、アンモニア除去デバイスを設けた本発明に係るガス分析装置を用いた場合の測定結果を示す。この両図から、アンモニア除去デバイスを設けた本発明に係るガス分析装置を用いた場合には、アンモニア濃度が100ppmという高濃度となっても、添加した酸化窒素濃度に正確に対応した測定結果が得られることが判る。なお、この場合には、アンモニア除去デバイスには硫酸化合物を使用しているが、塩素化合物であっても同様な効果が得られることを確認している。
【0051】
さらに、本発明に係るガス分析装置の測定感度に共存する酸素濃度、一酸化炭素濃度が影響するか否かを試験した結果を図8(a)、(b)および(c)に示す。図8(a)は、酸素濃度が15%で、λ>1の条件下での排ガス中の酸化窒素の濃度の測定例を、図8(b)は、酸素濃度が3%で、λ>1の条件下での排ガス中の酸化窒素の濃度の測定例を、図8(c)は、一酸化炭素濃度が18.8%で、λ=0.80の条件下での排ガス中の酸化窒素の濃度の測定例をそれぞれ示す。なお、それぞれの測定試験において、アンモニアを全く含まないものと、アンモニアを100ppmの濃度で添加したものを使用しているが、測定結果にはアンモニアの存在による影響は全く認められていないことが判る。なお、この場合においても、硫酸化合物に代えて塩素化合物を使用しても、同様な効果が得られることを確認している。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るガス分析装置によれば、被測定ガス中にアンモニアが高濃度で酸化窒素と共存していても、特別な校正方法を要することなく、直接かつ正確に酸化窒素濃度を測定することができる。また装置的にも見ても、装置の小型化や簡略化が効果的に達成でき、結果として低価格のガス分析装置の提供が実現されることとなる。即ち、アンモニアの存在下でも、自動車からの排ガスのみならず各種産業装置からの排ガス中のNOx濃度の正確な測定は必要不可欠であり、本発明に係るアンモニア除去装置、同装置を装着したガス分析装置により、正確な酸化窒素の測定が可能となったことにより、NOx過剰排出による環境汚染の防止を、事前に防止できるという効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一のガス分析装置の構成例の断面を示す概要図である。
【図2】 図1に示した本発明に係るガス分析装置においてアンモニア除去デバイスとして使用されるアンモニア除去装置の一例の断面構造を示す図である。
【図3】 本発明に係る別のガス分析装置の構成例の断面を示す概要図である。
【図4】 図3に示した本発明に係るガス分析装置においてアンモニア除去デバイスとして使用されるアンモニア除去装置の一例の断面構造を示す図である。
【図5】 本発明に係る一の酸化窒素測定用センサ素子の構成例の断面を示す概要図である。
【図6】 本発明に係る別の酸化窒素測定用センサ素子の構成例の断面を示す概要図である。
【図7】 本発明に係るガス分析装置によるNH3の除去効果を示すグラフであり、(a)は本発明に係るアンモニア除去デバイスが装着されていないガス分析装置による測定結果を、(b)は本発明に係るアンモニア除去デバイスが装着されていないガス分析装置による測定結果をそれぞれ示す。
【図8】 本発明に係るガス分析装置の被測定ガス中に共存する酸素、一酸化炭素の影響について試験した結果を示すグラフであり、(a)は酸素を15%含む場合、(b)は酸素を3%含む場合、(c)は一酸化炭素を18.8%含む場合の測定結果を示す。
【符号の説明】
1…アンモニア除去デバイス、2…センサ素子、3…硫酸化合物、3a…拡散防止材、4a〜4h…固体電解質層、5…保持部材、6…第一の内部空所、7…第二の内部空所、8…第三の内部空所、10…基準空気導入通路、12…第一の拡散律速通路、13…第二の拡散律速通路、14…第三の拡散律速通路、16…第一内側電極、18…第一外側電極、22…第二外側電極、24…第二内側電極、28…第三内側電極、30…第三外側電極、31…汲み込みエア用ダクト、36…第四内側電極、38…第四外側電極、42…ヒーター、44…共通電極。
Claims (8)
- 燃焼排ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構よりなる、アンモニアが共存する燃焼排ガス中の酸化窒素濃度を選択的に測定する酸化窒素分析用装置において、収納容器と、同容器に封入された燃焼排ガス中に含まれるアンモニア除去材料であって硫酸化合物または塩素化合物よりなる粉末のアンモニア除去材料と、同材料の両端にそれぞれ設けられた粉末飛散防止材とから構成されるアンモニアの除去デバイスを燃焼排ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構の配置個所よりも上流の燃焼排ガス取り込み口側に設けたことを特徴とする酸化窒素分析用装置。
- 燃焼排ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構よりなる、アンモニアが共存する燃焼排ガス中の酸化窒素濃度を選択的に測定する酸化窒素分析用装置において、多孔質材料からなる担体と、同担体に担持されているアンモニア除去材料であって硫酸化合物または塩素化合物よりなるアンモニア除去デバイスを、燃焼排ガス中の酸化窒素量を検出する酸化窒素検出機構の配置個所よりも上流の燃焼排ガス取り込み口側に設けたことを特徴とする酸化窒素分析用装置。
- 前記硫酸化合物が、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸コバルト、硫酸マグネシウム、および硫酸チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の硫酸化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化窒素分析用装置。
- 前記塩素化合物が、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化ジルコニウム、塩化コバルト、塩化マグネシウム、および塩化チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の塩素化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化窒素分析用装置。
- 複数の固体電解質層からなり、
第一の拡散律速通路と、該第一の拡散律速通路と連通した第一の内部空所と、第一の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプと;第二の拡散律速通路と、該第二の拡散律速通路と連通した第二の内部空所と、第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが少なくとも外部の燃焼排ガス存在空間からの燃焼排ガス取り入れ口側から順に設けられた固体電解質層と、
基準空気導入通路が形成された固体電解質層と、
加熱手段が埋設された固体電解質層とから少なくともなる
酸化窒素測定用センサ素子であって、
前記外部の燃焼排ガス存在空間からの燃焼排ガス取り入れ口に近接して設けられた第一の拡散律速通路の上流に設けられた、燃焼排ガス中に含まれる粉末のアンモニア除去材料であって、硫酸化合物または塩素化合物よりなるアンモニア除去材料から構成されるアンモニア除去デバイスを有することを特徴とする酸化窒素測定用センサ素子。 - 上記の第一と第二の拡散律速通路と、第一と第二の拡散律速通路と連通した第一と第二の内部空所と、第一と第二の内部空所内に配置された少なくとも一個の電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層が、さらに第三の拡散律速通路と、該第三の拡散律速通路と連通した第三の内部空所と、第三の内部空所内に配置された電気化学的ポンプとが設けられた固体電解質層であって、
さらに、汲み込みエアダクトが形成された固体電解質層を有することを特徴とする請求項5に記載の酸化窒素測定用センサ素子。 - 前記硫酸化合物が、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸コバルト、硫酸マグネシウム、および硫酸チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の硫酸化合物であることを特徴とする請求項5に記載の酸化窒素測定用センサ素子。
- 前記塩素化合物が、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化ジルコニウム、塩化コバルト、塩化マグネシウム、および塩化チタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の塩素化合物であることを特徴とする請求項5に記載の酸化窒素測定用センサ素子。
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