JP4907798B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体に照射した超音波に依るエコー信号に基づき、被検体内の超音波画像を得る超音波診断装置に関し、特に、そのエコー信号の強度分布から被検体内の生体臓器中の微小な構造物を抽出する機能を備えた超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波信号を医学的に応用した例は多岐にわたっており、超音波診断装置もその1つである。
【0003】
この超音波診断装置の主流は、超音波パルス反射法を用いて生体の軟部組織の断層像を得るタイプである。この撮像法は無侵襲で組織の断層像を得ることができ、X線診断装置、X線CTスキャナ、MRI装置、および核医学診断装置など、他の医用モダリティに比べて、リアルタイム表示が可能、装置が小形で比較的安価、X線などによる被曝が無い、超音波ドプラ法に拠り血流イメージングができるなど、多くの利点を有している。このため、循環器(心臓)、腹部(肝臓、腎臓など)、乳腺、甲状腺、泌尿器、および産婦人科などの診断において広く利用されている。特に、超音波プローブを体表に当てるだけの簡単な操作によって心臓の拍動や胎児の動きをリアルタイムに観察できること、X線被曝の心配も無いことから何度も繰り返して検査できること、さらには、超音波診断装置をベッドサイドに移動させて容易に検査を行うことができる等の利点が好まれている。
【0004】
また、現在使用されている超音波診断装置は通常、種々の計測機能を有している。ここで言う「計測」とは、被検体内の物理的事象を定量化することであり、計測結果は数値自体、及び/又は、数値に相当する色や輝度などの量に変換されて提示される。
【0005】
従来の超音波診断装置に搭載されている計測機能の主なものを以下に列挙する。
1、形状計測:この形状計測機能により、例えば肝臓腫瘍の大きさ、心筋の壁厚、胎児の大きさなどが計測される。
2、速度計測:この速度計測機能には、例えば、ドプラ法を用いた動脈の血流速度、カラードプラ法を用いた肝臓内血管の血流速度マッピングがある。
3、体積、流量などの計測:この計測機能により、例えば、心腔内のいくつかの長さを元にした心腔の容積推定、造影剤の信号強度の経時変化からの血流量の計測が行われる。
【0006】
このような計測によって得られる計測値は、当然のことながら、疾病の重症度を評価する上で有用な情報になるものが多い。例えば、腫瘍サイズや血管内の逆流の程度などの情報はすぐさま、治療の必要性の度合いを示している。
【0007】
その一方で、疾病を直接評価するためのものではなくても、被検体の健康状態の診断に間接的に役立つ計測情報も数多く存在している。むしろ、日常の身近な計測としては、この方が一般的である。例えば、被検体の身長、体重、血圧、或いは血液検査によって得られる様々な数値などが、この範疇に入る。
【0008】
さらに、このような様々な計測機能とは一線を画す事項として、医師の経験的な判断に拠る、定量化に近い診断がある。この貴重な診断は、医療現場において随所にみることができる。例えば、このような診断の一つに、肝臓の硬変度の診断がある。
【0009】
肝硬変とは、肝細胞の破壊と再生が繰り返されることにより肝臓内に繊維化組織が増え、次第に肝細胞数が減り、肝臓が硬く縮小した状態になることを言う。肝硬変の初期の段階では、患者の自覚症状もない上に、超音波診断画像においても、その微小な繊維化構造を視認することは難しい。しかしながら肝硬変度が高くなるに連れ、肝臓実質のスペックルパタンの不均一さが視認できるようになるため、医療現場ではこの不均一さを目視観察することで、肝硬変の度合いを判断する基準としている。
【0010】
この超音波診断画像に現れるスペックルパタンとは、無数の散乱体が超音波の解像度以下の細かさで分布しているときに、散乱波の無数の重畳によってエコー信号強度に高い部分と低い部分とが生じる現象である。これは、いわゆる干渉縞に近い物理現象であり、そのパタン自体は臓器の構造を直接に反映するものではないことは良く知られている。上記の肝硬変の観察も、スペックルパタンが繊維化組織の構造の様子を直接は反映していない。しかしながら、肝硬変の重症度が増すにつれて、このスペックルパタンが特徴的な視覚的パタンを呈するため、これが診断に利用されているのである。
【0011】
例えば、図15(a)、(b)に、上記の肝硬変の観察の際に参考とされる肝臓の断層像を模式的に示す。同図(a)は、肝臓に異常の無い正常者の断層像であり、肝臓のスペックルパタンと呼ばれる模様が比較的一様に見えている。これに対し、同図(b)は、疾病を持つ異常な肝臓の断層像を模式的に示しており、そのスペックルパタンが、上記同図(A)の画像に比べて不均一になっていることが確認できる。
【0012】
従って、肝臓の超音波診断画像が提示されたときに、そのスペックルパタンの「均一さ」を目視観察し、その不均一な様相が強い場合には、肝硬変の異常肝の疑いがあると診断されるわけである。
【0013】
しかしながら、これまで、この例における「スペックルパタンの不均一さ」、すなわち「異常度」が数値化されたケースはなく、あくまで診断は医師の経験的な判断に拠っていた。
【0014】
そして、近年になってようやく、上述のような医師の経験的な判断による診断が人間のどのような認識パタンの元で行われているのか、という疑問を客観的に且つ科学的に解明しようという研究がなされるようになった。
例えば:
1、 Yamaguchi T,Hachiya H,“Modeling of the Cirrhotic Liver Considering the Liver Lobule Structure”,Jpn,J.App;.Phys.Vol.38(1999)pp.3382−3392;
2、 大塚、山口、蜂屋:”病変肝の超音波Bモード画像のシミュレーションによる検討”,信学技報,US96−16(1996−06),pp.15−22:
3、 菊池恒夫、中澤敏弘 他、”超音波診断装置のエコー波形スペクトル形状による間疾患定量診断技術の開発”,日超医基礎技術研究会,BT−2000−31,pp.9−15(2001);
などの論文がある。
【0015】
これらの文献によれば、前記肝臓の断層像のスペックルパタンが肝硬変の進行に伴い変化していく(図15(a)、(b)参照)理由は、肝硬変の進行に伴い発生する結節と繊維化組織が、その進行と共に大きさを増していく過程で超音波パルスに対して構造物として認知されるに至ると、そのスペックルパタンにも構造物としての情報が徐々に現れ、増加していくため、これに伴いその様相も徐々に変化していくものと考察されている。
【0016】
また、これまでに開示されている従来技術においても、この肝硬変の進行度を定量化しようという試みがいくつかなされている。例えば、特願2000−054201において、『超音波診断装置及び超音波による組織正常の定量解析手法』なる発明がある。
【0017】
この特願2000−054201記載の発明は、以下に示すようなスペックルパタンの統計的性質に基づくものである。
【0018】
図16(A)の曲線51は、正常な肝臓から反射されるエコー信号の輝度値の確率密度分布を示す。確率・統計的な観点から言えば、散乱体がランダムに分布しているならば、それらの散乱体から反射されるエコー信号の強度である振幅値の確率密度分布P(x)は、P(x)=(x/σ2)exp(−x2/2σ2)で表されるレイリー分布に従うことになる。ここでσ2は分散を表し、平均0と規格化される。
【0019】
肝臓が正常である場合、肝臓内には多くの散乱体(血管などの自明な構造物は除く)がランダムに存在していると仮定できるので、肝臓を表すエコー信号強度(振幅)の確率密度関数は図16(A)で示す曲線51のようにレイリー分布を呈する。しかし肝臓に上述のような繊維化構造が増加していくと、そのスペックルパタンは構造物を反映するようになり、ランダムとは言えなくなる。その結果、輝度の確率密度関数は、同図(B)の曲線52に示すごとく、レイリー分布から逸脱することになる。
【0020】
このように、肝臓が正常であるか、異常であるかの判断は、エコー信号強度の確率密度分布曲線が呈する概形を観察することにより可能となる。すなわち、実測により得られた確率密度分布と理論値としてのレイリー分布との誤差がその評価の判断基準とされている。
【0021】
しかしながら、超音波診断画像の分解能は、送信周波数、送信波数、送信口径などによって決定されており、上述のような肝硬変における初期の繊維化構造、あるいは組織の中に存在する微小な病変(一般的な診断時の分解能の限界に近いかそれ以下の病変)は、スペックルパタンに埋もれて見えないか、あるいはスペックルパタンと識別が難しい状態で映像化されている現状がある。肝硬変の診断としては、患者の自覚症状があまり出てこない初期段階で画像を元に診断できるのが理想であるのだが、超音波診断には前述のような特性があるために、スペックルの中に微小構造物を見つけ、さらに定量化することは非常に困難なことであった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スペックルパタンの統計的性質を利用してスペックル部の画像の平滑化を行うと共に微小構造物を抽出することで、肝硬変の進行度をはじめ、均質な組織構造の中にある微小な異常病変を観察することが可能な解析アルゴリズムを具備した超音波診断装置を提供することにある。
【0023】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被検体に超音波パルスを照射することにより断層像を得る超音波診断装置において、前記被検体部位に基づく受信信号の第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度を検定によって判定する判定手段と、前記第1及び第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が高い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に大きな重み係数を乗算し、前記類似度が低い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に小さな重み係数を乗算し、前記設定された重み係数に基づいて前記第1及び第2信号の強度あるいは振幅値を加重平均する平均化手段と、前記加重平均された値に基づいて生成された超音波画像を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決するために、請求項2記載の発明は、被検体に超音波パルスを照射することにより超音波画像を得る超音波診断装置において、第1の被検体部位に基づく第1の受信信号の強度あるいは振幅値と、第2の被検体部位に基づく第2の受信信号の強度あるいは振幅値との類似度を統計的性質に基づいて検定によって判定する判定手段と、前記類似度に基づいて前記第1の受信信号の強度あるいは振幅値と第2の受信信号の強度あるいは振幅値とを合成した、第3の受信信号を得る合成手段と、前記第3の受信信号に基づく超音波画像を生成する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、被検体に超音波パルスを照射することにより超音波画像を得る超音波診断装置において、前記被検体部位に基づく受信信号の第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度を検定によって判定する判定手段と、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値とを重み付け平均化する平均化手段と、前記平均化された値に基づいて生成された超音波画像を表示する表示手段とを備え、前記平均化手段は、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が高い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に大きな重み係数を乗算し、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が低い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に小さな重み係数を乗算し、重み付けされた該第1及び第2の信号の強度あるいは振幅値を加重平均することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態における超音波診断装置の制御構成を示すブロック図である。
【0027】
本発明は、種々の診断装置に対して適応可能であるが、本実施例は超音波診断装置の場合について説明する。また、診断部位は、正常時には比較的均質な組織構造を持つ、肝臓、膵臓、心筋などに応用が可能であるが、本例では肝臓の肝硬変重症度を診断する場合について説明を行う。
【0028】
[構造の説明]
図1に示すように、本実施形態における超音波診断装置は、被験者との間で超音波信号の送受信を担う超音波プローブ12と、この超音波プローブ12を駆動し且つ超音波プローブ12の受信信号を処理する装置本体11と、この装置本体11に接続され且つオペレータからの指示情報を装置本体11に入力可能な入力装置13と、モニタ14を具備する。入力装置13には、診断装置の制御や様々な画質条件設定を行うことが可能な、ボタン、キーボード、トラックボールなどが含まれる。
【0029】
装置本体11は、超音波送信ユニット21,超音波受診ユニット22、Bモード処理ユニット23,ドプラ処理ユニット24、画像生成回路25,(本発明で主要な)信号解析ユニット26、制御プロセッサ(CPU)27、記憶媒体28,その他のインターフェース29、を具備する。これらは集積回路などのハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたソフトウェアプログラムである場合もある。
【0030】
超音波送信ユニット21は、図示省略の、遅延回路及びパルサ回路といった送信回路から構成されており、また超音波受診ユニット22はA/D変換器、加算器といった受信回路からなり、パルス状の超音波を生成してプローブ12の振動素子に送り、被検体内の組織で散乱したエコー信号を再びプローブ12で受信することで受信信号を得る。
【0031】
超音波受診ユニット22からの出力は、Bモード処理ユニット23に送られる。ここでエコー信号対数増幅、包絡線検波処理などが施され、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータとなる。ドプラ処理ユニット24は、エコー信号から速度情報を周波数解析し、解析結果を画像生成回路25に送る。
【0032】
画像生成回路25では、超音波スキャンの走査線信号列から、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換される、また種々の設定パラメータの文字情報や目盛などと共に合成され、ビデオ信号としてモニター14に出力する。かくして被検体組織形状を表す断層像がモニタ14に表示される。また画像生成回路25には、画像データを格納する記憶メモリを搭載し、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっている。
【0033】
制御プロセッサ27は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。また本発明の信号解析においても、必要なプログラムやデータを記憶媒体28から信号解析ユニット26へ転送する旨の指令を送る。
【0034】
記憶媒体28は、前記診断画像の保存を行う他、前述の種々の解析ソフトウェアプログラムを保管している(詳細は後述する)。
【0035】
信号解析ユニット26は、超音波受信ユニット22直後の出力信号(radio frequency(RF)信号と呼ばれる)、もしくはBモード処理部23通過後の画像輝度信号を読み込み、後述する本発明の解析処理を行い、その結果を画像処理ユニット25を経由して表示部に表示する、或いは記憶媒体28に保存する、若しくはネットワークインターフェース29を経由して外部のPC、プリンタなどに転送する。
【0036】
[解析手法の説明]
次に、信号解析ユニット26における解析手法について図2を基に説明する。
【0037】
初めに、解析の対象となるエコー信号が、操作者によって選択される。この信号はRF信号を使用する場合であっても、肝臓実質から得られたエコー信号であることが望ましいので、図2のように画像内に領域41(以下、ROI41と称す。)を指定することで、空間的に対応するエコーデータが、信号解析ユニット26に取り込まれるようになっている。尚、本例ではROI41の形状は方形であるが、円形(楕円)、或いは自由閉曲線などの指定も可能である。また、複数のROI41を指定することも可能である。
【0038】
次に、ROI41内の信号について以下の処理が行われる。ここで、ROI41内のRF信号若しくは画像輝度信号は、診断画像に空間的に対応した2次元配列で番号付けされているものとする。例えば図3に示すように、ROI41内にはx方向にNx個、y方向にNy個、計Nx×Ny個のデータがあるものとする。また、ROI41内にある点Pの座標を(x,y)とする(ただし1≦x≦Nx,1≦y≦Ny)。
【0039】
このROI41内の各点P(x,y)に対して、以下に説明する演算処理が施される。
【0040】
まず、図4に示すように、P(x,y)の近傍領域が確保される。この近傍領域は点Pを中心とした円形である方がより理想的な形となるが、ここでは簡単のため、図4に示すようにx方向に±a,y方向に±bとなるような方形の領域で考えることにする。(注意:図4の近傍領域は、図3のROI41内に含まれるものであり、一般的には図3に示すROI41より十分小さい。)ここで、この近傍領域内にある点をQ(i,j)、点P,Qにおける信号強度の値をそれぞれIp,Iqとする。
【0041】
次に、上記近傍領域に対して「類似度」なる観点から平滑処理を施す。以下、この平滑処理について一般的説明を行った後、本発明に係る平滑処理の具体的説明を行うことにする。
【0042】
<A:一般的説明>
この平滑処理とは、ある点の値に、近傍の点の情報(値)が幾分重み付けされることで、いわゆる「ぼかし」の効果を得る処理のことである。従来の一般的な平滑化処理は、2点間の距離に相関した重み付けがなされる場合が多い(すなわち近い点の重み係数は大きく、遠い点の重み系数は小さい)。
【0043】
<B:本発明に係る平滑処理の具体的説明>
これに対して、本発明の手法による重み係数は2点間の距離に無関係で、2点が統計的に似ているか否かという「類似度」なる観点から決定される。上記点Pに対して、近傍の点Qの類似度が高い場合には、例えば1に近い係数によって点Qの値が点Pに重み付けされ、類似度が低い場合には、例えば0に近い係数によって点Qの値が点Pに重み付けされる。このように、類似度によって平滑化される処理を「コヒーレントフィルタ」処理と呼ぶ。
【0044】
以下に、コヒーレントフィルタ処理の一例を説明する。
【0045】
まず始めに、以下の評価関数Wを定義する:
W=D−|Iq−Ip|/σ …(1)
ここで、σはROI41内のエコー信号強度の確率密度分布から得られる標準偏差であり、Dは別途設定されるしきい値である(図5参照)。仮にW<0の場合(すなわち、右辺第2項がしきい値Dより大きい場合)には、点Qは点Pと「似ていない」と判断され、重み付けの対象から除外される(これは統計学の検定という手法で、棄却域をDと選んだ場合に相当する)。仮にW>0の場合は点Qの振幅値IqはIpに重み付けされることになる。但し、その際の重み付け係数Cw(i,j)は、以下のような強度の差の関数となる:
Cw(i,j)=[1−{(Iq−Ip)/σD}2]2。
【0046】
この重み係数を近傍領域の全ての点について求め、点Pに加算したものが、演算後の点Pの値Ip´となる:
Ip´=Ip+{Σ(Cw(i,j)×Iq(i,j))}/Ctot
ただしCtotはCwの総加算量である。
【0047】
上記棄却域Dは、操作者によって指定、変更が可能であるが、言うまでもなく最適な条件が超音波診断装置内に予め保管されるものとする。先に説明したように、エコー信号の振幅はレイリー分布に従うといった統計的性質があるため、この棄却域Dは、レイリー分布の確率密度関数から決定される。
【0048】
本手法で得られる画像処理の結果を図6に示す。但し、(A)は原画像であり、対象は正常な肝臓であるが、肝臓上部には境界が、また肝臓内にも比較的大きな血管の断面といった構造物が確認されている例である。そして、(B)が演算後の画像である。ここで標準偏差σには、本データにおける肝臓実質内の比較的均質な部分の統計量を元に計算した値を使用した。
【0049】
一般に、単純な平滑化処理を行うと、所謂「エッジぼけ」が発生し、画像の空間分解能が損なわれ、画像全体がぼやけてしまう。しかしながら、本手法により得られた結果(B)を見ると、実質部の輝度はレイリー分布に従うスペックルパタンのため、互いの類似性が認められ、結果として非常に大きな平滑化処理が施されている。一方、肝臓境界壁や血管壁の構造物は、肝臓実質部の統計的分布に従わないため、平滑処理の対象にはならず、そのままの構造物として描出されている。このように、本手法で得られる画像処理結果は、通常の平滑処理に比べて、構造物の境界が非常に急峻であることが特徴である。
【0050】
次に操作者の手続きのフローを図7に示し説明する。
【0051】
まず初めに、操作者は被検体の肝臓をスキャンし、解析対象となる断面を選定する(S71)。次に、解析するROIを指定する(S72)。次に、評価関数に必要な標準偏差σを得る。この時、操作者によって、標準偏差σを求めるためのROIを別途指定する方法(S73)と、その時の画像全体のエコー信号から又解析対象のROI内のデータから予め標準偏差σを演算し、この値が呼び出される方法(S74)を選択することが可能である。次に、実際の解析が行われ(S75)、この解析結果が表示部に表示される(S76)。この時、しきい値Dは任意の値をとるが、このしきい値Dを変えることで、スペックルパタンとは類似しない、すなわち構造物としての認識の度合いが変化することになるため、前記解析結果に応じてしきい値Dの値を変化させ、再計算を行う(S77)。繰り返して行った演算の結果、所望の画像が得られた時点で解析は終了する(S78)。
【0052】
<精度向上のための種々のアイデア…その1>
次に、本解析演算の精度を向上させるための第一手法について説明する。
【0053】
本解析を行う際、操作者は解析を始める旨をシステムに入力することで、本発明の超音波診断装置は、専用の送受信条件に変化する。これは、以下のような目的を達成するためである:
[1]取得データのサンプル数増大による解析精度向上…解析は統計的性質を利用するため、エコーデータのサンプル数は多い方がよい。しかし単に送受信回数を増やすのみでは、同じ情報を持つエコー信号を取るばかりで、実質的な情報量の増大にはならない。本目的を達成するために、送受信の走査線密度は、通常の診断時のそれより多くなる、例えば2倍、4倍となる。もしくは、同一走査線に対して、周波数の異なる送信条件にて複数回の超音波送受信を行う。
【0054】
上記の処理は、フレームレート低下によるリアルタイム観察能力の低下につながるため、解析直前までは、通常の走査線条件でシステムは稼働し、解析開始のタイミング(操作者が指示するなど)で、本送受信条件に変化するようになっている。
【0055】
[2]高周波帯域でのS/N比向上…超音波の基本性質上、高周波帯域で送受信を行う方が解像度は高く、空間的な情報量は多いと言える。その一方、高周波数では音波の減衰が大きく、深部領域まで受信信号が取得できないという問題が生じる。これを解決するために、同一走査線での同一の送受信数が増大し、RF信号レベルで加算平均処理が行われる。例えば2回の同一受信RFデータの加算平均処理を施すと、ランダムノイズは低減し定常なエコー信号振幅レベルは約6dB増加する。この手法も前記[1]と同様に、走査線密度の増大はフレームレート低下によるリアルタイム観察能力の低下につながるため、解析直前までは、通常の走査線条件でシステムは稼働し、解析開始のタイミング(操作者が指示するなど)で、本送受信条件に変化するようになっている。
【0056】
[3]信号飽和の回避…大きな散乱係数をもつ媒体などが存在すると、受信信号は飽和してしまう場合がある。また操作者が装置上のゲイン設定などを誤ると、同様に受信信号飽和が起こる。信号が飽和すると、信号の統計量が変わり誤った解析結果を提示してしまう危険性が生じる。本システムにおいては、受信信号の取り得る最大値の情報を基に、図1に示す信号解析ユニット26は、超音波受信ユニット22の信号レベルを監視し、最大値に至る信号が発生した場合(或いは、それに近い値が発生した場合)、解析を中止し、操作者に再計測を促すメッセージを表示する。
【0057】
[4]複数フレームに対する解析…信号解析ユニット26には複数フレーム分のRFデータを保管するメモリが具備され、図8に示すように、近傍(x,y)に加えて複数フレームz方向の情報を加味し、3次元的な近傍に対して前述の解析処理(コヒーレントフィルタ処理)を施すことも可能である。この場合、z方向の信号の情報量を増やすためには、プローブを動かすことで生体内のスキャン面を経時的に変化させることが望ましいが、我々の検討では、例えプローブを意図的に動かさなくとも、操作者の微小な動きあるいは被験者の心拍、呼吸といった動きによって、エコー信号の情報が経時的に変化することが確認され、上記複数フレームによる解析により、本手法の解析精度が向上する。
【0058】
<その他の機能>
[5]解析領域の表示・非表示…解析結果の画像は、スペックルパタンから構造物という特徴量が抽出され、新たな情報として診断に利用されることを目的とするが、それでもなお解析前のエコー像を再確認したいという状況も発生する。解析前の診断画像の情報は、図1の信号解析ユニット26が記憶するか、あるいは一旦、記憶媒体28に記録されることで保持され、解析後であっても入力装置を使った操作者の呼び出し指令で、モニタ14に表示することが可能となる。その際の表示形態としては、並列表示、重畳表示、あるいはボタン入力などで交互に入れ替わるような表示が可能となっている。
【0059】
[6]解析領域の拡大…本発明の超音波診断装置では、解析領域として指定されたROIの部分を、解析前、解析時、あるいは解析後に拡大して表示することが可能となっている。一般的に、画像生成回路で処理される診断画像の情報は、表示部にテレビフォーマットとして表示される画素数よりも多い。よって、この場合の拡大表示とは、単に写真などを拡大するのとは異なり、ROI内の表示される情報量自体が増える結果となる。さらに、前述のように本発明による送受信制御法(アイデア[1])では、走査線密度も従来法に比べて密となっているため、この拡大表示は、診断画像の精査を行う場合などに有利となる。
【0060】
<精度向上のための種々のアイデア…その2>
次に、本解析演算の精度を向上させるための第二手法について説明する。
【0061】
診断画像から組織性状を定量化しようとする場合、画像の局所領域を「標本(サンプル)」として解析するのが一般的である。なぜならば、診断画像には組織の領域の他に、血管、臓器境界、胆嚢などが含まれており、これらを含んだまま解析するのは誤差を大きくする結果を生んでしまうからである。
【0062】
このように、画像の限られた一部(標本)から母集団を推定する手法として、「検定」という統計的手法がよく知られる。これは、母集団の性質について1つの仮説を立て、標本の性質を調べることによって、この仮説を棄却するか否かを判定するという手法である。
【0063】
肝臓の組織診断を例にとれば次のようである。
【0064】
まず、肝臓(母集団)が正常であると仮説を立てる。正常な肝臓から得られるエコー信号の振幅の集合は、前述したようにレイリー分布に従うことが知られている。従って、取り出した標本がこの仮説が当てはまるか否かを判定するのが検定という手法である。
【0065】
一般に、検定には、χ2検定、t検定、F検定など様々な方法があるが、その手法自体は既に広く知られているため、その詳細についてはここでは省略する。
【0066】
しかしながら、上記組織正常診断にこれらの検定を利用しようとした場合、以下の問題が生じることになる。
【0067】
それは、上記組織正常診断においては、母集団に相当する「正常な組織」の統計量が直接的に得られないということである。この統計量は、「肝硬変の患者が正常な肝臓だった場合の平均値、或いは分散値」を意味しており、この値を肝硬変の患者(肝硬変の疑いのある患者)から取得することは不可能である。また、この値は、正常な肝臓を持つ別の被検体(人体)のエコー信号から求めた平均値、分散値では意味をなさない。なぜなら、これらの統計量は超音波の照射音圧やゲイン設定によって変化するからである。この問題は、たとえ診断装置の設定を同一にしたとしても、前記値が被検体の生体減衰の違いなどで変わるために、問題の解決にはならない。
【0068】
そこで、本発明においては、現在診断中の被検体から、「正常組織」の統計量として相応しい局所領域を抽出して、これを母集団の統計量(分散値σ2、標準偏差σ)として利用する手法をとる。
【0069】
以下、この手法について説明する。
【0070】
図9は、肝硬変と診断された肝臓のエコー信号を基に、診断画像と同様な空間配置(図8参照)を行ったものから算出した分散値σ2を示す前記肝臓の解析結果である。以下に図中A,Bの曲線の解析手法を説明する。
【0071】
A:まず、図10に示すように、サンプルを取るための一定サイズの小領域R01を設定し、その位置を少しずつずらしながらその平均値μ、分散σ1 2を計算し、この分散値σ1 2を表示したものが、図9に示す曲線Aである。
B:次に、上記の平均値μを、以下の式に代入して分散σ2 2を求めたのが、曲線Bである。
σ2 2=(4/π―1)μ …(1)
上記式(1)は、サンプルの確率密度分布が「レイリー分布に従う」という仮定が成り立つときのみ有効である。従って、仮にサンプルが非レイリー分布の場合には、この式(1)は成立しない。
【0072】
図9から明らかなように、同図における区間(1)の範囲では、両者の値はほぼ一致している。このことから、区間(1)においては式(1)を用いて計算した分散値σ2 2と実際に求めた分散値σ1 2がほぼ一致するものであろうと予測することができる。従って、この区間(1)においては、サンプルの確率密度分布はレイリー分布にほぼ従うものと判断することができる。
【0073】
一方、区間(2)の範囲においては両者の値は大きく異なっている。これは、式(1)が成り立っていないことを示している。従って、この区間(2)においては、サンプルの確率密度分布が非レイリー分布である可能性が強いと判断することができる。
【0074】
ここで重要なのは、区間(1)のような範囲が局所的にでも見つかるという事実である。このように、肝硬変と診断される組織領域内であっても、サンプルの位置を変えながら探索することで、レイリー分布に従う小領域を見つけることが可能となる。
【0075】
本発明では、上述の手法によりレイリー分布と似た分散値を持つサンプルを探索し(図11参照)、この分散値を母集団の分散σ0 2をとし、且つその近傍の解析領域内の分散値をσ1 2とした上で、両者の値から検定を行う。このように、「擬似的な母集団の分散」を探索によって得ることが本発明の特徴である。
【0076】
前述のように、検定の手法そのものはいくつかの種類があり、既に広く行われる手法であるため、ここではその記載を省略することにする。また、ここでの「検定」とは、広く解釈すれば、「サンプルがレイリー分布を示すか否か」を判断する判断方法であり、特に厳密な検定方法を用いなくとも良い。例えば、上記σ1 2とσ2 2との比が2倍以上であれば棄却するといった方法であってもよい。
【0077】
いずれにせよ、検定の結果、もし仮説が棄却されれば、その領域は「非レイリー」であるとして判断されることになる。
【0078】
<CFARへの適用>
本発明の前記手法は、所謂、Constant False Alarm Rate処理(CFAR処理)に応用することも可能である。このCFARとは、超音波診断装置と原理が類似しているレーダーの技術でよく知られている手法である。
【0079】
以下にその原理を簡単に説明する。
【0080】
図12は、レーダーに表示された信号を例に示している(このようにビデオ輝度信号に対して行うCFAR処理はLOG/CFAR処理と呼ばれるが、ここでは単にCFAR処理と称す。)。本例においては、雲に代表される散乱物の中に飛行機に代表される信号が3個含まれている。
【0081】
本例においては抽出すべき点は明白であるが、輝度情報として表示された場合、上記散乱物の影響でこの抽出物が見にくくなる場合がある。そこで、この散乱物を除くために、あるしきい値以下を表示させない、所謂ゲイン調節が行われることになる。
【0082】
しかしながら、本例のような場合、仮に同図に示すT1をしきい値とすれば、点Cは抽出されないことになる。また、同図に示すT2をしきい値とすると、点Cは表示されるが、代わりに点A付近の散乱物が視認されることになる。そこで、このような場合には、さらにCFAR処理が行われることになる。
【0083】
このCFAR処理とは、ある点Xに対して、その点自身を除いた近傍の信号の平均値をこの点Xから減算し、その後改めて表示のしきい値を設定する処理のことを言う。
【0084】
図12に示すレーダーに表示された信号にこのCFAR処理を施すと、図13のような結果となる。同図から明らかなように、このCFAR処理を施すことにより散乱物の全体の傾きは除去され、点A〜Cを抽出するためのしきい値T3を容易に設定することが可能になる。
【0085】
以上に説明したものが、所謂CFAR処理である。
【0086】
既に、このCFARを用いて肝臓の病変部位が比較的良好に抽出できたという論文報告もあるが、CFARは、抽出すべき点が疎らに存在する場合に良好に行えるものであり、抽出すべき点が密に存在する場合、すなわち進行した肝硬変などを想定した場合には、理論的にうまくいかないことが解っている。なぜなら、上記「近傍の平均値」には散乱物のみでなく隣接した抽出点も含まれるので、もはや非レイリー性を示すことになる(図14参照)。従って、このような場合、減算結果は過小評価となる。
【0087】
従って、このような場合には、本手法を用いて近傍のレイリー分布を呈する領域を探索し、そこから求めた平均値を用いることで、前述の抽出物が疎な場合と同程度の精度を保つことができる。
【0088】
<判断結果の提示方法>
上記の判定法によって棄却された部分は正常組織でない可能性が高い。そこで、本例では、この部分の断層像を表示し、棄却されなかった部分は、例えば輝度値を0として黒く表示することにする。このような手法により、疾患部位の可能性がある部分を強調して表示することができる。
【0089】
この変形例としては、例えばBモード白黒輝度画像において、上記棄却された領域を赤色などに彩色表示するという強調表示方法も考えられる。
【0090】
また、以上に述べた疾患の強調表示画像が得られた後も、元のBモード断層像を観察できれば、解析結果の確認やオリジナルの組織性状を確認するのに便利である。
【0091】
そこで、本発明では、前記解析結果の強調表示画像と元のBモード断層像は、操作者の指示(例えばボタン操作)によって切り替え表示が可能に構成するものとする。また、並列して1画面に同時に表示することも可能とする。
【0092】
<統計量の表示>
また、本発明では、上記の手法で得られた母集団の分散値σ0 2、或いは関心領域の分散値σ1 2、若しくはその平方根(標準偏差)、さらにはその平均値μは表示部に表示することが可能に構成するものとする。
【0093】
<確率密度曲線の表示>
本発明では、前述の解析により得られた平均値、分散値等、各領域のサンプルデータは、言うまでもなく図16に示したような確率密度分布で表示されるものとする。さらに、本発明では、解析後に操作者が指定した画像上の1点あるいは局所領域についての確率密度曲線を別画面にて表示することも可能である。
【0094】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係る超音波診断装置によれば、超音波診断の際に、目視ではスペックルパタンとの分別が難しい、超音波パルスの分解能の限界に近い構造物の存在を、統計的な性質を用いて抽出し、視認が容易な画像を生成することで、肝硬変の重症度の診断をより容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る超音波診断装置において、その解析領域の指定を行う場合の説明図である。
【図3】本発明に係る超音波診断装置において、その解析領域のデータの並びを示す概念図である。
【図4】本発明に係る超音波診断装置において、その解析領域中の1点に対して平滑処理のために使用される領域を示す図である。
【図5】平滑処理を施す2点の信号強度の関係を説明するための概念図である。
【図6】本発明に係る超音波診断装置及びその解析手法によって得られる画像例である。
【図7】本発明の解析を行う際の操作者の手続きを表すフロー図である。
【図8】本発明の解析領域中の1点に対して、複数フレームを用いて平滑処理を行う際の概念図である。
【図9】肝硬変と診断された肝臓のエコー信号を基に、図8に示す診断画像と同様な空間配置を行ったものから算出した分散値σ2を示す前記肝臓の解析結果である。
【図10】図9に示す曲線Aを描くためのサンプル取得方法を説明するための説明図である。
【図11】図10に示す方法によりレイリー分布と似た分散値を持つサンプルを探索する過程を示す概念図である。
【図12】レーダーに表示された信号を例に示す説明図である。
【図13】図12に示す説明図にCFAR処理を施した結果を示す図である。
【図14】抽出すべき点が密に存在する場合、すなわち進行した肝硬変などを想定した場合の従来手法の平均値とレイリー部探索後の平均値の違いを示す図である。
【図15】正常肝臓と硬変肝臓の診断画像の見え方の違いを表す模式図である。
【図16】正常肝臓と硬変肝臓の信号強度の確率密度分布の違いを表す模式図である。
【符号の説明】
11…装置本体
12…超音波プローブ
13…入力装置
14…モニター
21…超音波送信ユニット
22…超音波受信ユニット
23…Bモード処理ユニット
24…ドプラ処理ユニット
25…画像再生回路画像メモリ
26…信号解析ユニット
27…制御プロセッサ(CPU)
28…記憶媒体
29…その他のインターフェース
41…領域
51…正常な肝臓から反射されるエコー信号の輝度値の確率密度分布
52…繊維化構造が増加した肝臓から反射されるエコー信号の輝度値
の確率密度分布
P…被検体
T1…しきい値
T2…しきい値
T3…点A〜Cを抽出するためのしきい値
Claims (10)
- 被検体に超音波パルスを照射することにより断層像を得る超音波診断装置において、
前記被検体部位に基づく受信信号の第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度を検定によって判定する判定手段と、
前記第1及び第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が高い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に大きな重み係数を乗算し、前記類似度が低い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に小さな重み係数を乗算し、前記設定された重み係数に基づいて前記第1及び第2信号の強度あるいは振幅値を加重平均する平均化手段と、
前記加重平均された値に基づいて生成された超音波画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体に超音波パルスを照射することにより超音波画像を得る超音波診断装置において、
第1の被検体部位に基づく第1の受信信号の強度あるいは振幅値と、第2の被検体部位に基づく第2の受信信号の強度あるいは振幅値との類似度を統計的性質に基づいて検定によって判定する判定手段と、
前記類似度に基づいて前記第1の受信信号の強度あるいは振幅値と第2の受信信号の強度あるいは振幅値とを合成した、第3の受信信号を得る合成手段と、
前記第3の受信信号に基づく超音波画像を生成する表示手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体に超音波パルスを照射することにより超音波画像を得る超音波診断装置において、
前記被検体部位に基づく受信信号の第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度を検定によって判定する判定手段と、
前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値とを重み付け平均化する平均化手段と、
前記平均化された値に基づいて生成された超音波画像を表示する表示手段とを備え、
前記平均化手段は、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が高い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に大きな重み係数を乗算し、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度が低い場合には前記第2信号の強度あるいは振幅値に小さな重み係数を乗算し、重み付けされた該第1及び第2の信号の強度あるいは振幅値を加重平均することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記加重平均の結果を、被検体の断層面と空間的に対応するように再構築し、表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の超音波診断装置。
- 前記表示手段は、被検体の断層面と空間的に対応するように再構築された前記加重平均の結果を、解析前の診断画像と並列表示、あるいは重畳表示する手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記類似度の判定は、信号値の確率密度分布がレイリー分布に従う理論値からなる確率密度分布に従う仮説から、判定を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
- 前記受信信号が画像データに変換される前のデータを取り込んで、当該データを前記判定に用いるデータ取り込み手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
- 前記判定のための棄却域を操作者によって設定可能な手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
- 前記判定手段は、受信信号のうち前記被検体の所定範囲に対応する領域に対して前記判定を行うものであって、
前記超音波診断装置は、前記所定領域とそれ以外の領域とで前記超音波パルスの照射条件及び前記受信信号の受信条件を異ならせる
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。 - 被検体に超音波パルスを照射することにより断層像を得る超音波診断装置において、
前記被検体部位から発生するエコー信号値あるいは画素値の統計的性質を用いて特定の信号を抽出する解析演算手段と、
該解析演算手段より抽出した結果を表示する表示手段とを備え、
前記解析演算手段は、前記解析対象となるエコー信号あるいは受信信号の中の第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度を検定によって判定する判定手段と、前記第1信号の強度あるいは振幅値と第2信号の強度あるいは振幅値の類似度に基づいて、類似度が高い場合には大きな重み係数を、類似度が低い場合には小さな重み係数を乗算する重み設定手段と、前記第1信号の強度あるいは振幅値と、前記重み係数を乗算した第2信号の強度あるいは振幅値とを加重平均して前記抽出を行う平均化手段と、を備える
ことを特徴とする超音波診断装置。
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