JP4906214B2 - 差分スパッタリング速度を減少する装置及び方法 - Google Patents
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Description
[発明の分野]
本発明は、結晶材料におけるスパッタリング速度、特に、結晶材料における差分スパッタリング速度を減らすために使用される装置及び方法に関わる。
【0002】
[発明の背景]
集束イオンビーム(FIB)顕微鏡システムは、1980年代半ばから工業生産され、今日では半導体装置を速く市場に出すための構成要素である。FIBシステムは、荷電粒子の狭く集束されたビームを生成し、陰極線管のようにこのビームでラスタ式に試料上を走査する。荷電粒子が負の電荷が与えられた電子である走査型電子顕微鏡と異なり、FIBシステムは、帯電された原子を夫々のビームを生成するために使用し、この帯電された原子を以降イオンと呼ぶ。多くの市販用のFIBシステムでは、使用されるイオンは、液体金属イオン源からの正の電荷が与えられたガリウムイオン(Ga+)であるが、他のイオンのビームも生成され得る。例えば、シリコン、インジウム、セシウムのような材料、又は、アルゴン、クリプトン或いは酸素のようなガスさえもイオン源として使用され得る。
【0003】
FEI Company/Micrion of Hillsboro,Oregonから生産されている2500FIBシステムのような現在の機器は、径が約5ナノメートル(nm)の狭いガリウムイオンのビームを生成し得る。FIBを「原子スケールミリングマシーン」として動作させるためにビーム中のイオンの電流を増加し、ビームが置かれるどの場所の材料も選択的に除去すると同時に入射ビームが試料と相互に作用すると放射される信号と既知のビーム位置とを相互に関係付けることによってサンプルをイメージングし得る。当業者は、この周知の手順の動作は理解するだろう。
【0004】
マイクロプロセッサのような半導体装置は、幾つかのレベルにわたって分岐した薄い金属線によって夫々相互接続され、誘電材料の層によって互いから電気的に絶縁されている無数のトランジスタからなり得る。新しい半導体設計が以降「ファブ」と呼ぶ半導体製造施設で最初に生産されるとき、設計が予想した通り正確には動作しないことが一般的である。このとき、装置を設計した技術者が夫々の設計を試験し所望の機能性を実現するために「配線しなおす」ことが必要である。ファブで半導体装置を組み立てる複雑さにより、再設計された装置を生産するには何週間又は何ヶ月もかかることが典型的である。更に、頻繁に変化させることは、問題を解決せず、設計における更なる困難を露にする。試験、再設計、及び、再製造の処理を繰り返すことは、新しい半導体装置を市場に出すまでの時間を著しく延ばし得る。
【0005】
過去10年間にわたって、設計を完璧にするためのこの手順に要求される時間を減らすことをFIBシステムに可能にさせる技術が開発された。FIB機器は最初に、プロトタイプ装置上の典型的にはアルミニウム及び/又はタングステンの合金から成る金属線を「切断する」ために使用され、それにより簡単な場合の設計確認を可能にさせた。更に、2つ以上の導体を接続するよう薄い金属線を選択的に堆積し、金属相互接続部ではなく誘電絶縁体を選択的に除去し、且つ、誘電絶縁体を除去することなく金属製相互接続部を選択的に除去することを可能にするために、FIBシステムで特別なガスの化学薬品を使用する技術が開発された。更に、絶縁材料の堆積を可能にする技術が更に開発された。従って、FIBシステム技術におけるこのような発展は金属相互接続線を切断し、これら金属接続線を夫々の周囲から絶縁し、別の場所へ線を配線しなおすことを可能にする。本質的に、これらの能力は再製造が要求する数週間又は数ヶ月の時間の代わりに数日又は数時間の問題でプロトタイプ及び設計確認を可能にする。このFIBの「高速プロトタイピング」はしばしば「FIB装置変更」又は「顕微手術」と呼ばれる。FIB顕微手術は、その速度及び有用性のため、競争半導体産業において要求される市場に出るまでの時間を速くする目標を実現するのに非常に重要となった。
【0006】
最近まで、金属性相互接続部に使用される典型的な金属は、主にアルミニウム及び/又はタングステンの合金であった。金属相互接続部を切断し堆積するFIBシステム技法における上述の開発は、特にこれら金属合金及びそれらの特定の物理的特性のために設計された。
【0007】
多結晶アルミニウム相互接続線は、小さく連続的な粒のアルミニウムから成る。各粒内では、原子は正規のアレイのようなオーダを共有するが、原子のアレイの相対的な位置は粒間で異なり得る。原子のアレイのアライメントは、所与の粒の「結晶学的向き」として公知である。結晶学的向きにおける差は、以降「スパッタリング」と呼ぶ、簡単なイオンビームでミリングされた粒を所与の向きに依存して異なる速度で除去させる。しかしアルミニウムに関して、最も速いスパッタリング向きと比較した多くの最も遅いスパッタリング向きとの間の差は、特に顕著でなく、従って、アルミニウム相互接続部を切断及び/又は除去する技法において重要な要素ではない。更に、アルミニウムに関して、アルミニウムに選択的に攻撃し、任意の向きの粒をイオンビームだけの場合よりもガスがある場合により速くスパッタリングする化学薬品が開発された。この処理は、技術において周知であり、一般的にガス促進エッチング(GAE)と呼ばれる。FEI Company/Micrion 2500FIBシステムと使用され得る一つの特定の周知の技法では、アルミニウム相互接続部のGAEを実施するために塩素ガスが使用され、個々の結晶学的向きをあまり考慮せずにアルミニウム粒をきれいに除去する。
【0008】
最近では、銅を使用することで増加した透過速度が実現可能なため、銅ベースの相互接続部が最新装置におけるアルミニウムベースの相互接続部を置き換え始めている。不運にも、銅のFIBスパッタリングはアルミニウム合金のスパッタリングよりもより困難である。まず、アルミニウム原子は銅原子よりも低い原子質量及び少ない「阻止能」を有し、銅原子の簡単なイオンビームミリングはアルミニウムの同様のミリングよりもあまり効果的でない。更に、銅のGAEを可能にするガス化学薬品はまだ上手く開発されていない。更に、銅の異なる結晶学的折向きの粒間の相対的なスパッタリング速度は大きい係数倍だけ異なり、この係数は幾つかの実験的試験では約360%である。
【0009】
異なる結晶学的向きを有する銅の相互接続部をスパッタリングすることを試みるときに発生し得る幾つかの困難な点を図1及び図2A乃至図2Iを参照して例によって説明する。図1は、銅の相互接続部の典型的なセクション2、3、及び4中の3つの粒を示す。各端のセクション2及び4中の粒は、本例では、同様の向きを有する一方で、中央のセクション3中の粒はかなり違う。各端のセクション2及び4中の粒が「遅いミリング」であり、中央のセクション3中の粒が「速いミリング」である状況を考える。図2A乃至図2Iは、2つのレベルの銅の相互接続部を有する半導体装置の断面においてこれら3つの粒のセクション2、3、及び4を示す。図1からの3つの粒のセクションは、図2A乃至図2Iにおいて銅層5中に表示される。「実際の」装置におけるように、これら粒のセクションは保護誘電ガラス6によって覆われている。粒のセクションは、垂直方向の次元において低いレベルの導体から誘電ガラス7によって絶縁されている。導電性相互接続部の第2のより低い層は銅層8によって表わされる。トランジスタ等を含む装置の更に低いレベルは、明瞭性のため図示しない。更に、当業者は、銅層5及び8が図の左から右へ延在し、装置の機能に必要な電気信号を伝えることを意図することを理解するだろう。
【0010】
例示目的のため、図2A乃至図2Iは、設計変更を確認するよう銅層5を「切断」する(この金属線の方向に「開回路」を生成するために導電性の銅を全てミリングする)ことで装置を変更するために顕微手術を実施する必要がある場合を示す。図2A及び図2Bは、第1の段階、つまり、誘電ガラス6が銅層5を露出するためにイオン9が衝突することで除去されることを示す。誘電ガラスは、典型的には「非晶質」、つまり、結晶構造を有さず、FIBで非常に均一にミリングされる傾向がある。図2Cでは、入射するGa+イオンビームが誘電ガラス6全てをきれいに且つ均一に除去し、銅層5をミリングし始める。図1を参照して上述した通り、銅層5は、銅の3つの粒のセクション2、3、及び4から成り、各端の粒のセクション2及び4は「遅い」ミリング向きを有する一方で中央の粒のセクション3は「速い」ミリング向きを有する。図2Dは、ミリング速度の差による結果を示し、中央の「速いミリング」粒のセクション3は、端の粒のセクション2及び4の厚さの25%がミリングされる前に既に略完全に除去されている。図2Eは、銅層5の中央の「速い」ミリングの粒がFIBミリングによって完全に除去される一方で、両端における「遅い」ミリングの粒がその最初の厚さの50%以上をまだ保持する時点を示す。
【0011】
この時点では、開回路を設けるために銅層5を「切断」するための最初の要件が成し遂げられたといえる。しかしながら、粒の3次元の性質(第三の次元は図面の方向への次元であるため図2A乃至図2Iには図示しない)により、金属線の第3の次元においてまだ接続されている(「閉回路」)周囲の粒を除去するためにこの時点よりも更に進む必要がしばしばある。
【0012】
図2F及び図2Gは、ミリング処理の続きを示す。銅層5の中央の粒が無くなると、銅層5の今では除去された「速い」ミリングの中央の粒のセクション3の下の領域中にイオンビームが入射することによって誘電ガラス7がミリングされ始める。短時間で、誘電ガラス7のこの部分もミリングされる。
【0013】
図2Hでは、銅層8の露出した部分がイオンビームによってミリングされる。この部分もたまたま銅の「速いミリング」向きを有する場合、急速に除去される。
【0014】
図2Iは、銅層5の最後の部分がイオンビームによってようやくミリングされた時点を示す。不運にも、この時間中、銅層5及び銅層8中の「速い」ミリングの銅の粒に対して充分なミリングが行われ、銅層8の中央もミリングされ、銅層8の相互接続線が故意にでなく切断され、望ましくない開回路がこのシグナルにおいても生ずる。
【0015】
この向きが引き起こす銅の相対的なスパッタリング速度の差が他の困難を示す他の状況が多数ある。上記の図2Gに示す時点でFIBミリングが停止された場合、銅層8はまだ手を付けられていないままであるが露出された状態である。その後FIB顕微手術処理において導電性材料が堆積されると、FIB堆積された導電性層と露出された銅層8との間に望ましくない短絡回路が生じ得る。
【0016】
従って、銅のミリングを実施する改善された技法が必要であり、より一般的には粒の向きに基づいてミリング速度において大きい変化を有する要素をミリングする改善された技法が必要である。この改善されたミリング技法は、FIBによって実施されるときこのような要素を好ましくはより均一にミリングする。
【0017】
[発明の要約]
本発明の実施例は、結晶構造の差分スパッタリング速度を減らす装置及び方法、好ましくは、銅ベースの結晶構造に向けられるFIB顕微手術に関わる。
【0018】
本発明の好ましい実施例の方法は、結晶構造の表面上に犠牲層を適用し、その後、適用された犠牲層にイオンビームを投射することを含む。犠牲層を適用することにより、イオンビームの投射中結晶構造の表面から原子がより均一に除去される。犠牲層を適用し、イオンビームを方向付けるこの処理は、結晶構造が除去、又は、所定のレベルまで減少されるまでの繰り返される処理であることが好ましい。
【0019】
他の実施例では、好ましい実施例の方法は、異なるスパッタリング速度を有する、異なる結晶学的向きの粒を含み得る他の材料のスパッタリングを改善するために利用され得る。
【0020】
本発明の一実施例によると、この方法は、犠牲層を適用する前に複数のプライマー原子を適用することを含み、プライマー原子は犠牲層の効果を高める。
【0021】
本発明の別の実施例によると、この方法は、スパッタリング動作から残留する全ての残留物の導電性を少なくするよう動作する複数の導電性のない原子を適用することを更に含む。例えば、この導電性のない原子は、水蒸気、酸素分子、及び/又は、他の酸化剤を有し得る。
【0022】
本発明の別の実施例によると、この方法は、ビームの径よりも広い間隔で配置される第1のドウェル点又はピクセル、次に、平滑に仕上げるためにビームの径よりも狭い間隔で配置される第2のドウェル点と、一つ以上の段階でイオンビームを与え、第1のドウェル点でミリングされる一方で、且つ、好ましくはないが任意には第2のドウェル点でミリングされる一方で犠牲層が好ましくは任意に適用される。
【0023】
本発明の他の面及び特徴は、添付の図面と共に本発明の特定の実施例の以下の説明を参照することで当業者には明らかとなる。
【0024】
[好ましい実施例の詳細な説明]
本発明の好ましい実施例を以下の図面を参照して説明する。
【0025】
本発明の好ましい実施例は、半導体装置内の銅ベースの金属線を含む結晶材料をミリングするために使用される装置及び方法に関わる。以下の説明は、銅のミリング及び半導体装置内の銅のミリングに特に関わるが、本発明の装置及び方法がそれ自体として又は他の技法と組み合わされて他の結晶構造をミリングするために同様に利用されてもよいことを認識すべきである。従って、本発明の範囲は、単に銅ベースの結晶構造をミリングすることに制限されてはならない。
【0026】
図3は、本発明を実行するために使用される典型的な集束イオンビームシステム10を示す。集束イオンビームシステム10は、上ネック部分12を有する排気されたエンベロープ11を含み、この上ネック部分12内には、液体金属イオン源14、及び、引出し電極並びに静電光学系を含む集束カラム16がある。イオンビーム18は、源14からカラム16、及び、概略的に参照番号20で示す静電偏向手段の間をサンプル22の方に通り、サンプル22は、例えば、下部チャンバ26内の可動なX−Yステージ24上に位置決めされる半導体装置を有する。イオンポンプ28は、ネック部分12を排気するために使用される。チャンバ26は、真空制御器32下でターボ分子及び機械的ポンピングシステム30を用いて排気される。真空システムは、約1×10−7トル乃至5×10−4トルの真空をチャンバ26内に提供する。エッチング促進、エッチング抑制ガス、又は、蒸着前駆体ガスが使用されるとき、チャンバのバックグラウンド圧力は、典型的に約1×10−5トルに上昇する場合がある。
【0027】
高電圧電源34は、約1keV乃至60keVのイオンのビーム18を形成し、このビームを下方向に方向付けるために、液体金属イオン源14並びに集束カラム16中の適当な電極に接続される。パターン発生器38によって与えられる規定のパターンに従って動作する偏向制御器及び増幅器36は、偏向板20に結合され、それによりビーム18はサンプル22の上表面上の対応するパターンをトレースするよう制御されてもよい。幾つかのシステムでは、偏向板は、技術において周知の通り、最終レンズの前に配置される。
【0028】
他のイオン源、例えば、マルチカスプ(multicusp)又は他のプラズマイオン源も使用され得るが源14は、ガリウムの金属イオンビームを典型的に供給する。源は、イオンミリング、高められたエッチング、材料堆積によって表面22を変更、又は、表面22をイメージングする目的のいずれかのためにサンプル22で十分の一サブミクロン幅のビームに典型的に集束し得る。イメージングのための二次イオン又は電子の出射を検出するために使用される荷電粒子増倍管40は、ビデオ回路及び増幅器42に接続され、ビデオ回路及び増幅器42は制御器36からも偏向信号を受信するビデオモニタ44を駆動させる。チャンバ26内の荷電粒子増倍管40の位置は、異なる実施例において異なり得る。例えば、好ましい荷電粒子増倍管40は、イオンビームと同軸であり、イオンビームを通すための穴を有し得る。走査型電子顕微鏡41には、その電源及び制御部45と共に、FIBシステム10が任意に設けられる。
【0029】
流体送出しシステム46は、サンプル22の方にガス状の蒸気を送り且つ向けるために下部チャンバ26の中に任意に延在する。本発明の譲受人に譲渡された“Gas Delivery Systems For Particle Beam Processing”なる名称のCasella外への米国特許第5,851,413号は、適切な流体送出しシステム46を開示する。別のガス送出しシステムは、本発明の譲受人に譲渡された“Gas Injection System”なる名称のRasmussenへの米国特許第5,435,850号に開示される。
【0030】
加熱又は冷却されてもよいステージ24上にサンプル22を挿入し、使用される場合には内部ガス供給貯蔵器を与えるためにドア60が開く。ドアは、システムが真空下にある場合には開かないようインターロックされている。高電圧電源は、イオンビーム18を励起し集束するためにイオンビームカラム16中の電極に適当な加速電圧を供給する。イオンビームがサンプルに当たると、材料はスパッタリングされ、つまり、サンプルから物理的に放出される。集束イオンビームシステムは、例えば、本出願の譲受人であるFEI Company,Hillsboro,Oregonから市販されている。
【0031】
本発明の好ましい実施例を説明する前に、本発明を導いた開発の説明を背景としてここで提供する。最初に、様々な向きの銅の粒のFIBミリング速度における差の原因を追求するために、公知の結晶学的向きを夫々有する銅の大口単結晶試料で研究が行われた。
【0032】
図4Aは、通常、銅原子によって形成される結晶構造を概略的に示す。この構造は、「面心立方」(FCC)単位セル70に基づき、このとき原子72は立方体を形成するかのようにグループ化され、この立方体は8つのコーナー夫々に原子72があり、更に立方体の各面の中央に1つづつ6つの更なる原子72がある。銅の単一の粒は、これら単位セルの三次元において同一の繰り返しのアレイを有する。単位セルは、観察者又はFIBの入射ビームに対して多数の異なる方向に向けられ得る。材料科学者は、法線ベクトルが観察方向に対して平行な単位セル内の原子「面」を説明することでFCC材料における特定の向きを参照する場合がある。図4B乃至図4Dは、単位セル内の3つの異なる面上の原子の相対的な位置を示し、これら面を夫々(100)面、(110)面、及び(111)面とする。当業者は、異なる面を有するこれら銅の粒が異なる分布の原子、その結果、異なる原子密度を有することを理解するだろう。
【0033】
研究のための単結晶の銅サンプルの中でも3つのこれらサンプルは、(100)面、(110)面、及び(111)面が夫々FIB中の入射するイオンビームに対して垂直であるよう配向され得る。次に、FEI Company/Micrion 2500FIBシステム(50kVのGa+イオンを一次ビームとする5nmの解像度のFIBカラムを有する)において標準のミリング状態を用いて実験が行われ、このとき公知の線量(1平方マイクロメートル(μm)当たり5nCのガリウム)のガリウムイオンが各サンプル上で夫々10μm×10μmの幾つかの域にわたって運ばれる。この公知の線量に対する結果となるミリングの深さは、試料をセクション化しイメージングする標準FIB技法を用いて測定される。FIB堆積されたタングステンの保護層は、周知の技法に従って、元の表面を保存するためにセクション化する前に寝かせられることに注意する。これらの実験による結果は以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
これらの実験より、(111)のような「速い」ミリング向きは(110)のような「遅い」ミリング向きよりも約3.6倍速くミリングされることが分かる。この実験から幾つかの仮定が立てられ得る。金属物理学の観点から、密にパッケージされた(111)結晶構造と比較して(110)結晶構造における比較的「空いた」格子が与えられるとして(図4C及び図4Dを夫々参照)、入射イオンビームは、「チャンネリング」し、つまり、(110)表面に対して垂直な原子の面の間に入り込み、銅の中に更に深く注入され得る。チャンネリングされたイオンは、エネルギーを費やして(111)の向きに垂直な密にパッケージされた銅原子の中に打ち込み、これら密にパッケージされた銅原子をミリングするイオンと比較して、非常に少ないサンプル材料をミリングする。図5A及び図5Bは、(111)及び(110)の銅の向き夫々に対するこの可能な現象を概略的に示し、ガリウムイオン又は原子74は銅原子72の中に注入される。
【0035】
これを更に研究するために、単結晶の銅サンプルのミリングされた領域からのTEM試料の断面が検査され、(110)の銅サンプルのこのようなTEMイメージの一例を図6に示す。イメージングのためのTEM試料は、Philips 200kV Field Emission CM20 TEMにおいて使用される電子を透過するのに関心領域が十分に薄くなるまで、関心領域をミリングするために使用されるFIBビームの前に金の薄い保護層及びそれよりも厚いFIB堆積されたタングステンの保護層を有して生成される。
【0036】
図6から分かるように、(110)の銅の場合、ガリウムが豊富な銅材料の層がスパッタクレータの表面で約85nmの厚さを有して見つけられる。次に、TEMにおける電子ビームが微細なスポットに集束され、銅の基板及びクレータ表面においてガリウムが豊富な層から収束電子線回折(CBED)パターンが得られる。これら回折パターンを識別する標準的な技法は、図7に示すように基板材料が銅であり、未知の表面層が図8に示すようにCu3Gaの組成を有する銅−ガリウム金属間相であることを明らかにした。この相の結晶学的パラメータは、銅及びガリウムを含み、粉末回折規格に関する連合委員会(JCPDS)の粉末回折ファイルPDF44−1117で見つけられるCu3Gaの説明に対応する化合物に関してJCPDSの粉末回折データベースを検索することで得られる。このTEMイメージを用いて、(110)の銅結晶がチャンネリングのためにミリングが遅いだけでなく、スパッタリングに耐性があるよう、クレータの表面をCu3Gaに変換するためにサンプル中に十分なガリウムが注入されることが分かる。
【0037】
TEMにおけるスパッタクレータのエッジを更に検査した後、クレータの表面に対する法線が入射イオンビームに対して非常に平行に近くなるまで、Cu3Ga相が明らかでないことが確認された。この効果は、図9のTEMイメージ中の白色の矢印によって示され、図9は図6のTEMイメージを高い倍率で示す図である。この実験より、入射イオンビームが(110)表面の法線に対して実際上平行であるときだけCu3Ga相が生成されると仮定される。前述の通り、これは、相当のチャンネリングが純粋な銅の中で予期される状態と同じである。
【0038】
要約するに、銅をスパッタリングする困難な点は、銅の結晶学的向きに依存して、所与の線量のガリウムイオンに対する材料の除去率が少なくとも3.6倍だけ変わり得る点である。従って、銅の導体がランダムな向きを有する多数の結晶粒から典型的に成るため、より均一なスパッタリング速度を発生するために結晶学的効果を除去することが必要であると考えた。これ実現するための一つの可能な解決策は、粒がその結晶学的オーダーを全て失うよう粒の表面を十分に乱すことである。別の解決策は、ビーム中の各イオンが「ランダムな」方向から来るように入射ビームを結晶構造まで送ることである。FIB顕微手術の実行に関して、各入射イオンに対してサンプルを異なる向きに傾け、又は、各入射イオンに対してビームを新しいランダムな角に傾けることが実際的でないため別の解決策が必要となる。
【0039】
本願で以下に説明する本発明の好ましい実施例は、銅の異なる結晶学的向きの粒間のスパッタリング速度における差を減少させる技法を有する。上記分析に基づき、イオンミリング中に本質的に非晶質又はナノ結晶の、十分に密な材料の薄い層を動的に堆積することが、2つの基準のうち少なくとも1つが満たされた場合に、不均一なミリングを排除するよう調整され得ることが確認される。最初に、この層は好ましくはイオンビームによって銅格子の中に追い込まれ、各入射イオンに対して効果的な「ランダムな」結晶学的テクスチャを提供するのに充分に格子を乱すような層でなくてはならない。次に、層は、イオンが銅に当たる前に、各イオンの結果となる方向が前のイオンと比較して異なるよう比較的ランダムな角で入来するイオンを偏向するのに充分でなくてはならず、生成される偏向は各入射イオンに対して異なる向きを各粒に効果的に与える。
【0040】
以下の特定の例において説明するように追加的な層を使用するアプローチ法は犠牲層の動的発生として以降称し、犠牲層はイオンと銅原子との間の入射角を変えるよう入来するイオンを偏向するか、イオンビームで衝突されるとき銅原子の結晶の向きを乱すか少なくともいずれか一方のために使用される。第2の基準を満たす犠牲層を図10に示し、同図では、複数のイオンが犠牲層と衝突し、その後結果としてこれらイオンは銅基板中に偏向される。
【0041】
特定の実施において以下に説明するように一つの好ましい実施例では、ヘキサカルボニルタングステンガス送りシステムが犠牲層を供給するために使用される。この犠牲層を生成するためには、ガス圧力、ガリウムビームのドウェル時間、イオンビーム電流、ピクセルの大きさ、及び、ピクセルスペーシングのパラメータは、従来のように堆積されたヘキサカルボニルタングステンの層を蓄積する代わりに、幾らかのカルボニル化合物を払うことでイオンビームがガスをタングステンベースの犠牲層に変換する前に薄い層だけが銅層の表面で吸収されることを可能にするよう選択される。この変換により、可能であれば幾らかのガリウム及び炭素が含まれた微細な粒であるFIB堆積されたタングステンが残る。変換後、イオンビームは更に薄いタングステン層をスパッタリングする。好ましくは、特定の場所でイオンビームがドウェルする時間の間中タングステン層があるようイオンビームが通る度にその場所に十分な量のヘキサカルボニルタングステンガスがあるが、イオンビームが下にある銅層まで貫通することを実質的に抑止せず或いは銅のスパッタリング除去を防止しないよう十分に薄く、又は、結果としてタングステンが継続して蓄積されるよう著しい量が銅に残される。
【0042】
本発明による手順の組の一つの特定の例、及び、相対的な均一さで銅をうまくスパッタリングするために使用され得る所定のパラメータをここで説明する。最初にこの手順に関して、銅金属化を有する半導体構成要素がFEI Company/Micrion 2500FIBシステム中に配置され、ガリウムイオンビームは、50kVに加速され、150μmアパーチャを用いて672pAビーム電流まで調整され、標準手順を用いて整列される。FIBチャンバ中のベースの圧力は1×10−7トルのオーダから始まる。その後、銅金属化の10μm×10μmの領域が選択され、標準手順を用いて露出される。次に、ヘキサカルボニルタングステンのガスノズルが挿入され、ノズル弁を開けることによってチャンバ内の圧力が標準手順を用いて約1×10−5トルに上昇される。
【0043】
ソフトウェアでは、ボックス中のその後のピクセル間のスペーシングが「x」及び「y」次元の両方において0.01μmであり、ビームのドウェル時間が2μ秒であるとして、銅を切断するために「ミル・ボックス」が用意される。この時点では、リフレッシュ及びリトレース時間は10μ秒のデフォルト値に設定され、この特定の例に関して、ボックスは約0.75μmの深さまで切断するために2nC/μm2の合計線量に設定されるべきである。
【0044】
全ての予備準備が完了すると、ミリングが開始される。この手順では、ヘキサカルボニルタングステンガスは、露出された銅表面上に連続的に流される。FIBシステムで実施されるソフトウェア制御は、イオンビームを「x=0、y=0」ピクセル上に位置決めし、そこに2μ秒残し、これがドウェル時間となる。これは、図11A乃至図11Cの断面図において示す(これら断面図は下にある材料の一部分が既に除去された後のスパッタリングを示す)。このドウェル時間の第1の部分中、イオンビームは吸着されたヘキサカルボニルタングステンガスをタングステンベースの結晶構造に変換する一方で個々のイオンはタングステンベースの化合物によって幾らか偏向され、銅の上から数枚の層までこれら化合物を幾らか入れる。最後に、図11A乃至図11Dに示すように、タングステン層は偏向されたイオンが衝突する幾らかの銅材料と一緒にスパッタリングされる。ドウェル時間が終了したとき、そのピクセルにおいて銅の表面上にタングステンが残らないことが理想的である。2μ秒のドウェル時間が経過した後、制御ソフトウェアは次のピクセルに移動し、図11E乃至図11Hに示すように2μ秒間再びドウェルされる。この結果は、ピクセルに対する上記結果と同じであり、図11I乃至図11Lに図示する第3のピクセルのドウェル時間の結果も同じである。
【0045】
このステップ−ドウェル−ステップ−ドウェル処理は、ミル・ボックス中の全てのピクセルにビームが当たるまで続けられ、そこで図11M乃至図11Pに示すように、第1のピクセル(x=0、y=0)に対してビームが再び向けられることで処理が始められる。図11A乃至図11Pでは材料がピクセルにわたって均一に除去されることが示されるが、当業者はイオンビーム内の電流密度、従って、実際のエッチングプロファイルが典型的にはガウス形状であることを認識する。更に、図11A乃至図11Pがピクセルを連続的、且つ、重なり合わさずに示すが、当業者は、ピクセルスペーシングが典型的にビームの径よりも小さく、従って隣接するピクセルが重なり合うことを認識する。以下により詳細に説明するように、幾つかの実施例では、ビームの径よりも広い間隔で配置されるピクセルを使用することが好ましいこともある。上記の通り、実施例では、ヘキサカルボニルタングステンガスは露出された銅の表面に連続的に与えられ、従って、イオンビームが第1のピクセルに戻る頃にはピクセルで新しい層のヘキサカルボニルタングステンがターゲット表面に接着されている。ミリングが完了したときにサンプル表面上に残る任意のヘキサカルボニルタングステンは、タングステンへの分解がイオンビーム衝撃中にだけ生ずるため、タングステン堆積は結果として生じない。
【0046】
この実施では、ビームが各点でドウェルする一方で銅は上述の通りスパッタリングされる。このスパッタリング材料は、FIBシステム中の標準検出器、この目的のための特別に設計された検出器、又は検出された粒子ではなくサンプルによって吸収される電流のような別の現象に基づく信号のいずれかを用いて検出され得る粒子を含む。その時点での公知のビームの位置と相互に関係付けられる検出器からの信号を検査することにより、処理の仮想「イメージ」を見ることが可能となる。このイメージを仮想的に分析する、又は、信号の他の分析を実施することにより、「エンドポイント決定」、つまり、全ての銅がミル・ボックスの近傍からいつ除去されたかを決定し、下にある誘電ガスを露出する。
【0047】
標準FIBシステムは、「どれだけの」イオンビームが特定の場所に運ばれたかを決定する方法を提供し、この「どれだけの」値は以降線量とする。所与の線量で、充分なエンドポイント信号が検出されたとき、又は、これら2つの組合せでミリング手順を停止することを判断してもよい。
【0048】
一旦ミリングが完了すると、ガスの流れが停止され、チャンバの圧力はそのベース圧力に近い値に戻ることが可能となる。
【0049】
上記技法を正しく適用することにより、粒単位での差分スパッタリングが生じた証拠を僅かに示す又は全く示さない平坦な底のクレータが生ずる。
【0050】
上記サンプル手順は、単結晶サンプルに対する条件を最適化するために実験によって作られた。この技法を用いることで、所与の線量に対するスパッタリングの深さは、遅いスパッタリング(110)に対する0.68μmの深さ及び速いスパッタリング(111)に対する2.45μmの深さから(111)及び(110)の結晶学的向きの両方に対する約1.8μmの値までの範囲にある。更なる実験が工業製造業者から多結晶の銅半導体装置に対して実施され、幾つかの銅の粒が比較的均一に除去される点で高品質の結果が得られた。図12は、このようなテストクレータの2つの例を示す。
【0051】
既に述べたとおり、上記説明は特定の実施に対する説明であり、好ましい実施例の方法を別の例にうまく適用するために他のシステム及び状況にパラメータを調節又は「微調整」することが要求される場合があることを理解する。150μmのアパーチャを用いて約2,000pAのビーム電流を生成する特別な電源を具備する例えば、FEI Company/Micrion 9500FIBシステムを使用するとき、デフォルトガス設定はチャンバの圧力を要求される1×10−5トルに上昇させず、7×10−6トルにさせることが分かった。上記と同じパラメータを使用する試みは、結果として差分スパッタリングを生じさせ、その結果、銅の幾らかの粒は他がきれいに除去されるのにきれいに除去されない。より高いビーム電流及びより低いガス圧力は、結果として犠牲のタングステンベースの層を早く消費させると理論化された。この問題は、ドウェル時間を2μ秒から約0.2μ秒に短くし、ピクセルスペーシングを0.01μmから0.05μmに大きくさせることによって改められた。
【0052】
FIBシステムを使用するときの重要なパラメータは、イオン電流及びピクセルの大きさを変数として含む電流密度、ガス圧力に基づく犠牲層の適用速度、及び、ドウェル時間であると考えられ得る。実験は、本発明の好ましい実施例の技法が典型的な機器動作パラメータの範囲にわたるオリエンテーションに関わらず銅の粒を比較的均一に除去するために最適化され得ることを示す。本発明の方法を実施することができる他のシステムがこれらのパラメータよりも大きい又は小さいパラメータの値を使用することができ、従って、本発明はこれらの場合に制限されないことに注意すべきである。
【0053】
パラメータが最適化されていない場合に生じ得る望ましくない状況が幾つかある。例えば、堆積されたタングステンのような犠牲層は、ドウェル時間中に全てのタングステンがスパッタリングされない場合、時間と共に蓄積され得る。この蓄積は、イオンが単に偏向されないためにどの下にある材料も除去されないが本質的に底層に到達することからブロックされる厚さまで最終的になり得る。この場合、より高いビーム電流、より長いドウェル時間、又は、減少されたガス圧力が例えば、堆積速度を遅くするために使用され得る。当業者は、所望の均一なミリング速度から特定の偏差を観察した後、所望の結果を実現するために自身のパラメータを容易に調節することができるべきである。
【0054】
本発明を用いる幾つかの実験において発生した他の望ましくない状況は、標準ミリングアルゴリズムに対する更なる変化が幾つかの状態において必要となり得ることを示す。例えば、ある実験では、銅がクレータ上できれいに且つ均一に除去される一方で、クレータ壁のエッジでは銅が過剰に除去され、エッジにおいて幾らかの「トラッフィング」が生ずる。このようなトラッフの形成は、クレータのエッジ近くに与えられる線量を変更することによって防止され得る。
【0055】
別の望ましくない状況は、犠牲層が上記のようなヘキサカルボニルタングステンのような導電性の金属ベースのガスを用いて形成される場合に生じ得る。この場合、幾らかの残留する導電性材料がミリング処理の終わりに残ってもよく、可能性として装置内に短絡回路を生ずる。この残留物は、ミリングが行われた域内から残ってもよく、一つの場所におでスパッタリングオフすることで生成され、可能性としてガリウムイオンの一次ビームを受ける前に別の域にあるヘキサカルボニルタングステンをタングステンに跳飛し、その後変換する。一つの可能な解決策は、XeF2を用いる高速クリーニングミリングのような既に技術において周知の標準クリーンアップ手順を使用することである。
【0056】
発生し得る別の望ましくない状況は、ミリングされている域の一部又は全体にわたる結晶材料を底を通ってミリングし続けることである。ミリングされている材料及びミリングされている材料の下にある材料に依存して、典型的にはミリング処理の終わり近くでミリングされている材料の下にある材料のエッチングを選択的に禁止するガスを入れることがしばしば可能である。例えば、酸化ケイ素のような誘電材料上に位置決めされる銅材料をミリングするとき、水蒸気又は酸素のような酸素を含むガスが銅材料上の酸化層のエッチングを選択的に禁止するために入れられ得、それによりミリングされた域が平滑なフロアとなることが促される。集束イオンビームエッチングにおいて水蒸気を使用することは、“Method for Water Vapor Enhanced Charged−Particle−Beam Machining”なる名称のRussell外への米国特許第5,958,799号に開示される。
【0057】
一旦堆積されイオンビームで投射されるとイオンを偏向及び/又は銅アレイを乱すことを可能にする充分な特性を有する別のガスで上述するヘキサカルボニルタングステンガスからのタングステン堆積を置き換えることができることを認識すべきである。制限的でない置き換えの幾つかの例は、白金ベース及び金ベースの分子のような多数の有機金属の気体、表面上に二酸化ケイ素を生成するやめに使用され得るシロキサン及び酸素のようなシリコン及び酸素ベースの分子を含み、希ガスのような非固体でさえも可能性として使用され得る。これら新しい犠牲層の物質夫々に対して、スパッタリングのための最適条件を見つけるために実験に基づく新しい組のパラメータが必要となる。
【0058】
上述の犠牲層と、又は、犠牲層無しで使用され得る別のアプローチ法は、格子面の規則的なアレイを乱し、チャンネリングの効果を減らすよう銅の上表面に規則的な間隔で「損傷を与える」方法である。このアプローチ法は、注入のダメージによって夫々囲われる非常に小さい窪みを形成するためにイオンビームを用いて乱された領域のアレイを形成することを含む。差分スパッタリングの問題を緩和するための別のアプローチ法は、乱された領域中の規則的な場所にビームをより長い期間おき、ビーム下のアレイだけに損傷を与えるだけでなく相当な穴も形成することである。図13は、第1のアプローチ法を用いて形成される乱された領域のアレイの透過型電子顕微鏡(TEM)イメージを示す。
【0059】
均一なエッチングのために有用とされる別の新しい技法は、最初に一連の非連続的なピクセルでターゲットをミリングし、次に、ミリングされた域のフロアを平滑にするために好ましくはオーバーラップするピクセルに最終的なミリングを実施することを必然的に伴う。非連続的なピクセルのミリングは、単一の段階又は幾つかの段階において実施され得、ピクセルスペーシングは各後続する段階において段々に狭くなる。この技法を用いる銅のうまいミリングは、厚さ及び粒の構造のような特定の銅の特性に依存して、最小で2最大で10のミリング段階で実現される。この技法は、上記のように犠牲層を適用、又は、適用すること無く使用され得る。
【0060】
この技法は、可能性として、上記のようなガリウム銅化合物の形成に寄与し得る銅の導体の局部化された加熱を減少することによってエッチング耐性域の形成を禁止する。非連続的な場所をミリングすることは、一箇所でイオンビームの衝突によって伝えられるエネルギーをビームがその域に戻る前に試料を通じて消散させることを可能にしてもよく、それによりエッチング耐性領域を形成するために必要なエネルギーの蓄積を防止する。エッチング耐性域の広がりは、本発明の方法が銅をセグメントに隔離する穴を形成するために減らされてもよく、エッチング耐性域はこれら穴を越えて広がることができなくなる。
【0061】
この技法は、エッチング耐性域の形成を防止するだけでなく、一般的に銅の導体のミリング速度を増加させる。イオンビームの限定されたエッジ解像度のため、ミリングされた穴の側面は表面に対して正確には垂直でない。これにより、ターゲットの露出された表面積が増大され、幾らかの衝突するイオンは垂直でない角でターゲット表面の一部に当たる。表面積の増大及び垂直でない角での入射の両方がエッチング速度を増加させると考えられる。
【0062】
本発明のこの面を含むシステムによると、偏向制御器及び増幅器36に供給される信号は、ミリング速度を増加しより均一な材料の除去を生ずる新しいパターンでミリングされるべきターゲット域内において集束イオンビームを移動させる。図14は、本発明の好ましい実施例に伴われる段階を示す図である。段階100では、ミリングされるべきターゲット域は下部チャンバ26中のサンプル22上にある。段階101は、イオンビームの衝突時に犠牲層を堆積する前駆体ガスがサンプルに任意に方向付けられることを示す。段階102では、ターゲット域は、ターゲット表面においてイオンビームのエッジからエッジまでの径として定義されるビームのスポットの大きさよりも大きいピクセルスペーシングを用いてミリングされ、ビームのエッジはビームの強度がその最大値の十分の一に下がる点として考えられる。イオンビームは、0.05μm乃至0.15μmの間のスポットの大きさをミリングのために典型的に有するが、ミリングされるべきターゲットに依存し、最小で0.005μmのビームも0.8μm以上のビームと同様に容易に実現され使用され得る。
【0063】
段階104では、ターゲット域は、段階102において使用されたピクセルスペーシングよりも小さいピクセルスペーシングを用いて再びミリングされる。ミリングされる材料、ミリングされる域の大きさ、使用されるイオンビームの特性に依存して、段階104が繰り返され、このときピクセルスペーシングは、段階106に示すように、ターゲット域上に平滑且つ平坦なフロアを生成するのに充分に小さくなるまで減少される。任意には、段階108において、好ましくはミリング動作の完成間近に下にある基板の全ての故意でないエッチングを更に減らすよう下にある材料のエッチング速度を下げるために選択的にエッチング抑制ガスが供給される。
【0064】
犠牲層は、段階102乃至106のどの段階中にも上述の通り堆積されエッチングされ得るが、犠牲層は最終ミリング段階中に堆積されないことが好ましく、それによりターゲット上に堆積された材料が残ることが回避される。除去される材料に依存して、ミリングされる薄膜金属のエッチング速度を上げ、又は、膜の下の低レベルの誘電体のエッチング速度を禁止するいずれかのためにエッチング促進ガスもミリング処理全体中に適用され得る。
【0065】
可変ピクセルミリング(VPM)と呼ばれる一実施例では、本発明は、一連の「ミリング・ボックス」を使用する。ミリング・ボックスは、x方向及びy方向に特定の量だけ離間されたミリング位置又はピクセルの群として定義される。1単位面積当たりの電荷として表される、平均的なイオン線量は、各ミリング・ボックスに対して指定されている。イオンビームは、ボックス中のミリング位置の間で移動し、ボックス中の各ミリング位置がボックスに対して指定される所定の平均線量を略受けるまでミリング位置でミリングする。各ミリング位置では、ビームのスポットの大きさに略等しい径を有する穴がミリングされる。線量を供給することにおいて、イオンビームは、一回のドウェル期間中にボックスに対する線量全部を各点に運ぶ代わりに、典型的にはボックス中の各点を数回訪れる。最初のミリング・ボックスが完了した後、サンプル表面はミリングされていない材料によって分離された多数の穴を有する。
【0066】
連続的に近接するピクセルを夫々有する多数のミリング・ボックスが与えられる。「ネステッド」ボックスは、所望の関心特徴の上に位置決めされ、ミリングは逐次実施され、その後のボックスはより狭い間隔のピクセルスペーシングを有する。この結果、ディスプレイスクリーン上では黒くうつる非常にチャンネリングされた黒い領域の形成を抑止する一連の隔離された銅のアイランドが生成される。この領域の形成を抑止することにより、ミリングは平坦且つ均一な表面を生成する。更に、これら銅のアイランドの形成によって実現される増大した表面積は、犠牲層を適用しなくとも約1.25乃至約4.0倍だけミリング全体の効率化を高める。
【0067】
後のボックスにおいてミリングされた穴の幾つかは、前にミリングされた穴を典型的にオーバーラップする。しかしながら、完全な組のミリング・ボックスを終えると、サンプル中の各点から除去された材料の量は、ミリングされた域全体にわたって均一且つ平坦なフロアを生成するための量に略等しい。最後のミリング・ボックスは、典型的に従来のピクセルスペーシングを使用、つまり、ピクセルスペーシングは平滑且つ均一にミリングされた域を生成するためにビームのスポットの大きさよりも小さい。
【0068】
FIBカラム中で150μmのアパーチャ、及び、2.04nAのビーム電流を使用して銅の相互接続部をミリングする一つの好ましい実施例では、6つのミリング・ボックスが使用される。イオンビームは、0.05μm乃至0.10μmのビームのスポットの大きさを有する。銅の1.0μmの厚さに対する、各ボックスのパラメータを表2で以下に示す。
【0069】
【表2】
表2のミリング・ボックスの最初の5つは、標準のデフォルト・ミリングに使用されるピクセルスペーシングよりも著しく大きいピクセルスペーシングを使用する。最後のミリング・ボックスだけが従来のデフォルト走査スペーシングを使用する。各ミリング・ボックス内では、ビームは多数の回路を形成、つまり、ボックスに対して指定された平均線量を各ピクセルが略受けるまで各ピクセルは数回ミリングされる。ビームは、典型的に各ピクセルにおいて約5μ秒ドウェルし、結果として各ドウェル期間中各ピクセルにおいて約0.001nCの線量をもたらす。表2では6つのミリング・ボックスが示されるが、他の実施例では、2つのミリング・ボックスが使用され、第1のミリング・ボックス中のピクセルは非連続的且つ例えば、50μmだけ離れており、第2のミリング・ボックス中のピクセルは例えば、0.05μmだけ離れオーバーラップしている。
【0070】
図15A乃至図15Fは、各ミリング・ボックスが順次に与えられた後のサンプルを示し、このとき図15Fは最後のミリング・ボックスが完了した後のサンプルを示す。図15Fは、残留する銅が明らかでない平滑な底表面を有するサンプルを示す。図16Aは、従来のミリングを用いてミリングされたサンプルの銅の相互接続部を示し、図16Bは比較のために、犠牲層無しで、第1の非連続的なピクセル、及び、その後にオーバーラップするピクセルを使用してミリングされた同様の銅の相互接続部を示す。
【0071】
ミリング・ボックスは、150μmのアパーチャを用いて、20μm×20μmよりも大きい大きさから1μm×1μmまでの幅広い範囲の大きさにわたってうまくスケールされている。ボックスは、同じピクセルスペーシング及び線量を維持して所望の域に単に拡大又は収縮される。
【0072】
150μmよりも大きい又は小さいのいずれかのアパーチャの使用は、この手順をうまく実行するためにピクセルスペーシングを注意深くスケーリングすることを要求する。出願人は、50μm乃至150μmのアパーチャの範囲にわたってミリング・ボックスをスケールした。例えば、20μm×20μmよりも大きい域に対してミリング時間を可能な限り短い期間で維持するためには、FIB操作者はスポットの大きさを大きくし、ビーム電流をより大きくするといった両方を提供する大きいアパーチャを選択し得る。スポットの大きさが大きくなると、多数のボックス中のピクセルスペーシングは相応じて大きくされなくてはならず、それによりピクセルは最初の5つのボックスにおいて連続的でなくなる。
【0073】
当業者は、上述の例によって案内される任意のアパーチャの大きさに使用するためのボックスの組を過度の実験無しに決定することができる。
【0074】
出願人は、ミリング仕様、つまり、各ボックスのピクセルスペーシング、線量、イオンエネルギー、ビームの大きさ、及び他のパラメータ、並びに、使用される異なるボックスの数が銅の粒の構造及びミリングされる材料の厚さのような銅の特性に依存してミリングを最適化するために変えられてもよいことが分かる。出願人は、最小で2最大で10のミリング・ボックスを使用して銅を上手くミリングした。各ミリング・ボックスの仕様及びボックスの数は、案内として上記した例及び情報を用いて実験的に決定され得る。
【0075】
上述のパターンではミリングが各ボックス内の固定のピクセルスペーシングの長方形のアレイで実施されているが、本発明はその実施例に制限されない。例えば、ピクセルスペーシングは、別々の段階で減少される代わりに除々に減少され得、ミリング位置は、エッチング耐性域の成長を防止するにピクセルが充分に広く間隔があけられ、各点から最終的に除去される材料の量が平坦、平滑、且つ平面なフロアを生成するための量と略同じになる限り長方形又は正則のパターンに配置される必要はない。ピクセルスペーシングは、不変のままでもよく、ピクセル位置が平坦、平滑、且つ平面なフロアを生成するためにその後の走査において変化される。
【0076】
出願人は、減少したビームエネルギーがエッチング耐性領域の形成を防止することも分かった。好ましい減少されたビームエネルギーは、許容可能な速度で銅をスパッタリングするに充分であるがエッチング耐性領域を形成するための余剰のエネルギーには不十分なエネルギーを供給する。例えば、集束イオンビームの加速電圧は、ターゲットに対する1イオン当たりのエネルギーがより少なく与えられるよう30keV乃至50keVの典型的なミリング範囲に減少され得る。好ましいビームエネルギーは、約20keVよりも少なく、より好ましくは、約10keVよりも少ない。好ましい最小エネルギーは約1keVである。出願人は、幾つかの銅のターゲットに関して約5keVのエネルギーが好適であることが分かった。
【0077】
既に述べた通り、本願記載の詳細な説明は銅特有であるが、他の結晶構造も本発明のスパッタリング技法から恩恵を受けることができることを認識すべきである。例えば、恩恵を受けることができる構造の幾つかの例は、金ベース、白金ベース、タングスタンベース、ニッケルベース、及び、クロムベースの結晶構造である。本発明は、減少される異なる結晶学的向きの効果から恩恵を受けることができる全ての結晶構造に適用し得るため、上記のリストは本発明の範囲を制限するものではないことに注意する。
【0078】
ヘキサカルボニルタングステンの連続的な流れを本発明の好ましい実施例に関して本願で上記したが本発明の範囲を制限するものではないことに注意する。単に、適当なレベルの犠牲層が各ピクセル位置において吸収されることをイオンビームがその位置に戻る前に可能にする十分な流れだけで十分である。
【0079】
本発明の説明は、スパッタリング方法に主として向けられるが、この方法の動作を実施する装置も更に本発明の範囲内であることを認識すべきである。更に、本発明の実施例は、制御論理(ソフトウェア及び/又はハードウェア)内で、或いは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体内の制御ソフトウェアプログラムとしても実行され得ることを認識すべきである。
【0080】
本願記載の処理をより良く当業者に理解してもらうために、出願人は本発明の成功を説明する理論上の機構を説明した。本発明は経験的に動作し、その有用性は下にある機構の理論の正当さとは無関係である。
【0081】
好ましい実施例は、集束イオンビームを使用するが、本発明の方法は電子ビーム処理のためにも有用である。本発明は、銅の相互接続部をミリングする問題を解決したが、プラズマガスイオン源を含む任意の荷電粒子ミリングに適用され得、どの特定の材料又は適用法にも制限されない。
【0082】
当業者は、本発明を実行することが可能な別の実行及び変更態様があり、上記実行は本発明のある実施例を例示したに過ぎないことを認識する。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求によってだけ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 異なる粒の向きの3つのセクションに分割された一枚の銅の三次元図である。
【図2A】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2B】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2C】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2D】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2E】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2F】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2G】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図2H】 周知の顕微手術技法による異なる段でミリングされた半導体装置の断面図である。
【図3】 本発明の好ましい実施例において使用される典型的な集束イオンビームシステムを概略的に示す図である。
【図4A】 面心立方(FCC)の銅の単位セルに対する原子構造を示す図である。
【図4B】 銅のある向きの原子面上の銅原子を示す図である。
【図4C】 銅のある向きの原子面上の銅原子を示す図である。
【図4D】 銅のある向きの原子面上の銅原子を示す図である。
【図5A】 密にパッケージされた結晶学的向きへのFIBミリング処理を示す図である。
【図5B】 まばらにパッケージされた結晶学的向きへのFIBミリング処理を示す図である。
【図6】 (110)の銅中のスパッタクレータの底を通る、FIB生成されたサンプルの透過電子顕微鏡(TEM)イメージの断面図である。
【図7】 図6中の単結晶基板からの収束電子線回折(CBED)パターンを示す図である。
【図8】 図6中のガリウムが豊富な層からのCBEDパターンを示す図である。
【図9】 図6のサンプルの小規模のTEMイメージの断面図である。
【図10】 本発明の好ましい実施例によるジチャネリング層を有する結晶の断面図である。
【図11A】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11B】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11C】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11D】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11E】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11F】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11G】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11H】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11I】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11J】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11K】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11L】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11M】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11N】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11O】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図11P】 本発明の好ましい実施例によるスパッタリング動作内の段における銅結晶構造の断面図である。
【図12】 多結晶の銅のサンプルに対する本発明の好ましい実施例によるFIB顕微手術の2つのサンプルを示す図である。
【図13】 FIBによって形成される乱れたスポットのアレイのTEMイメージを示す図である。
【図14】 本発明の実施例の段階を示すフローチャートである。
【図15A】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、サンプルに第1のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図15B】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、図15Aからのサンプルに第2のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図15C】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、図15Bからのサンプルに第3のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図15D】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、図15Cからのサンプルに第4のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図15E】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、図15Dからのサンプルに第5のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図15F】 図14の方法による一連のミリング動作後のサンプルを示し、図15Eからのサンプルに第6のミリング・ボックスを適用した結果を示す図である。
【図16A】 従来のラスタミリングの結果を示す図である。
【図16B】 各ボックスに5.5nC/mm2の線量を使用する、図14の本発明によるミリングの結果を示す図である。
Claims (4)
- ターゲットの域から結晶材料を除去する方法であって、
基板へ向けて前駆体気体を方向付け、前記前駆体気体をイオンビームの存在下で分解させて、前記ターゲットの表面上に材料を蒸着することによって上記ターゲットの域上に層を形成する層形成工程、及び
前記結晶材料を除去するために上記ターゲットの域の方に前記イオンビームを方向付ける案内工程、
を有し、
上記形成された層は、上記イオンビームと相互作用することで、前記層は、入射イオンが前記基板と衝突する前に、前記入射イオンをランダムな角度で偏向させ、
前記偏向は、前記イオンと前記基板の結晶グレインとがなす前記イオンの入射角を変化させることで、上記イオンビームによる上記結晶材料の除去の均一性を高める、
方法。 - 上記形成された材料は、前記結晶材料の結晶格子へ入り込むことで、上記層の結晶配向を乱れさせる、請求項1記載の方法。
- ターゲットの域から結晶材料を除去する方法であって、
基板へ向けて前駆体気体を方向付け、前記前駆体気体をイオンビームの存在下で分解させて、前記ターゲットの表面上に、タングステン、白金、金、シリコン、又は酸素を含む材料を蒸着することによって上記ターゲットの域上に層を形成する層形成工程、及び
前記結晶材料を除去するために上記ターゲットの域の方に前記イオンビームを方向付ける案内工程、
を有し、
上記形成された層は、上記イオンビームと相互作用することで、前記層は、入射イオンが前記基板と衝突する前に、前記入射イオンをランダムな角度で偏向させ、
前記偏向は、各グレインに、各入射イオンに対してそれぞれ異なる配向を実効的に与えることで、上記イオンビームによる上記結晶材料の除去の均一性を高める、方法。 - 上記結晶材料は、銅原子を有する請求項3記載の方法。
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