JP4906201B2 - レーザ駆動方法および駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザの駆動制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの補助記憶装置等で実用化されている光ディスク装置の光源にはレーザが用いられている。一般に、レーザ素子は個別の特性差が大きく、またレーザ素子の温度変化、経時変化の影響により、入力電流と出力光強度の関係は一定ではない。従って、光ディスク装置では、発光強度をモニターしながら出力光強度を一定に制御するフィードバック型のパワー制御により、常に所望のレーザ強度を得るようにしている。更に、記録可能な光ディスク装置では、レーザ光を記録データに応じてパルス発光させた状態でパワー制御する必要があり、種々の方法が提案されている。
【0003】
従来技術による、パルス発光状態におけるレーザパワー制御方法は、大別すると2種類ある。1つは、データを記録していないときにテスト発光を行うことでパルス発光に必要な電流値を求めて記憶し、データ記録時には、記憶しておいた電流値を保持したまま記録を続ける方法である。これは、テスト発光方式と呼ばれる。もう1つは、記録データ中に存在する、局所的に強度が一定の区間を高速サンプルホールド回路で抽出し、記録中に離散的にパワー制御を行う方法である。これは、サンプルホールド方式と呼ばれる。サンプルホールド方式の例として、特開平9−171631号公報の技術が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2つの方式には、それぞれ以下のような問題が存在する。
【0005】
まずテスト発光方式は、連続して長時間のデータ記録を行う場合に、たとえ保持した電流値が一定でも、レーザの温度がデータ記録中に上昇して発光強度が変化してしまう。この問題に対しては、記録トラックの一定間隔毎にテスト発光用の領域(ギャップ)を設けたトラックフォーマットを採用し、一定時間毎にテスト発光することで、強度変化を無視できる量に抑えることができる。しかしその反面、ギャップの分だけ記録エリアが減少するので、記録媒体の容量効率が悪くなる。
【0006】
また、サンプルホールド方式は、記録速度を向上させる目的で記録データの周波数を高めた場合、発光強度モニター部の周波数特性が不足することがある。また、このとき、高速サンプルホールド回路に極めて高い応答性能が必要となって使用部品のコストアップを招いてしまう。
【0007】
本発明の目的は、光ディスク装置において、データ記録中にパルス発光状態にあるレーザを、テスト発光、または、高速サンプルホールド回路を用いることなく、常時連続的に強度を制御することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるレーザ駆動方法は、光源から出射されたビームの強度を検出して、モニタ波形を生成するステップと、データを受け取るステップと、受け取った前記データに基づいて、前記ビームの強度の期待値波形を生成するステップと、生成された前記モニタ波形と前記期待値波形との波形の差分を演算するステップと、前記波形の差分の演算結果に基づいて、バイアス電流源の電流量を制御するステップと、制御された前記バイアス電流源の電流量に基づいて、光源からビームを出射するステップとを含み、これにより上記目的を達成できる。
【0009】
前記出射するステップは、受け取った前記データに応じてスイッチングされるパルス電流源の電流量に基づいて、光源からビームを出射するステップであってもよい。
【0010】
前記モニタ波形と前記期待値波形とを、略同じ帯域に帯域制限するステップをさらに含んでもよい。
【0011】
帯域制限された前記モニタ波形のピークボトム間の差を検出し、モニタ振幅として出力するステップと、帯域制限された前記期待値波形のピークボトム間の差を検出し、期待値振幅として出力するステップと、出力された前記モニタ振幅と前記期待値振幅との振幅差を演算するステップと、前記振幅差の演算結果に基づいて、前記パルス電流源の電流量を調整するステップとをさらに含んでもよい。
【0012】
本発明のレーザ駆動装置は、光源から出射されたビームの強度を検出して、モニタ波形を生成する発光強度モニタ部と、データを受け取り、受け取った前記データに基づいて、前記ビームの強度の期待値波形を生成する期待値波形生成部と、発光強度モニタ部により生成された前記モニタ波形と、期待値波形生成部により生成された前記期待値波形との波形の差分を演算する差動演算器と、差動演算器による前記波形の差分の演算結果に基づいて、電流量を制御するバイアス電流源とを備えたレーザ駆動装置であって、バイアス電流源により制御された電流量に基づいて、光源からビームを出射させる。これにより、上記目的が達成される。
【0013】
受け取った前記データに応じてスイッチングされて電流量を調整するパルス電流源をさらに含み、バイアス電流源により制御された電流量、および、パルス電流源により調整された電流量に基づいて、光源からビームを出射させてもよい。
【0014】
前記モニタ波形および前記期待値波形を、それぞれ略同じ帯域に帯域制限する2つのフィルタをさらに備えていてもよい。
【0015】
前記レーザ駆動装置は、帯域制限された前記モニタ波形のピークボトム間の差を検出し、モニタ振幅として出力するモニタ振幅検出部と、帯域制限された前記期待値波形のピークボトム間の差を検出し、期待値振幅として出力する期待値振幅検出部と、モニタ振幅検出部から出力された前記モニタ振幅と、期待値振幅検出部から出力された前記期待値振幅との振幅差を演算する振幅差動演算器とをさらに備えており、パルス電流源は、振幅差動演算器による前記振幅差の演算結果に基づいて、電流量を調整してもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面では、同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付すものとする。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明によるレーザ駆動装置20を備えた、光ディスク装置100の部分概略図である。光ディスク装置100は、光ディスク101に記録されたデータを読み出して、ユーザが視聴可能な情報、または、コンピュータが利用可能な情報として再生する。また、光ディスク装置100は、所定のデータをレーザを用いて、光ディスク101に記録する。データの読み出し動作を説明すると、図1を参照して、光ディスク装置100のレーザ光源16から出射されたレーザビームは、コリメートレンズ102で平行光にされ、透過ミラー103、偏光ビームスプリッタ104、および、4分の1波長板109を経由し、対物レンズ105で収束ビームに変換される。そしてビームは光ディスク101に照射され、その情報記録面上に集光される。光ディスク101の情報記録面で反射されたビームは、再び4分の1波長板109を通過する。これにより反射光の偏光方向が変えられる。その後、反射光は偏光ビームスプリッタ104に到達する。偏光ビームスプリッタ104は、再生光だけを反射させて抽出する。その結果、抽出された光は、集光レンズ106を通して光検出器107に導かれる。光検出器107で検出された信号は、読み出されたデータの信号として再生される。一方、書き込み動作を説明すると、光ディスク装置100は、レーザ光源16のレーザビームの強度を調整して、光ディスク101の所定の位置に、所定の時間間隔だけレーザビームを照射する。このレーザビーム照射により、照射された位置の物理的な特性が変化し、データが記録される。
【0018】
光ディスク装置100は、常に所望のレーザ強度を得るために、レーザ光源16のレーザ発光強度をモニターしながら出力光強度を一定に制御するフィードバック型のパワー制御を行う。パワー制御を行うための機構が、図1に示すレーザ駆動装置20であり、発光強度モニタ部1において、レーザ光源16のレーザ発光強度をモニターする。
【0019】
以下、レーザ駆動装置20をより詳しく説明する。図2は、実施の形態1のレーザ駆動装置20のブロック図である。レーザ駆動装置20は、レーザ光源16から出射されたレーザビームを、コリメートレンズ102、透過ミラー103および、集光レンズ108を介して、発光強度モニタ部1で受け取る。受光されるレーザビームは、透過ミラー103の特性によって調整可能であり、例えば、レーザ光源16の出力光量の10%である。レーザ光源16のパワー制御が、この割合を勘案して行わなければならないことはいうまでもない。レーザ駆動装置20は、受け取ったレーザビームの強度が、所定の強度になるように、レーザ光源16に流す電流量を制御する。レーザ駆動装置20は、発光強度モニタ部1と、期待値波形生成部5と、差動演算器11と、積分器13と、バイアス電流源14と、パルス電流源15とを備えている。なお、説明の便宜上、図2にはレーザ光源16も示す。
【0020】
以下、各構成要素を説明する。発光強度モニタ部1は、レーザ光源16から実際に出射される光の強度を検出し、モニタ波形2を生成する。モニタ波形は、時間と電圧(モニタ電圧)との関係として規定される。より詳しくは、発光強度モニタ部1は、ピンダイオード3と、i/v変換回路4とを含む。ピンダイオード3は、レーザ光源16のレーザ光17を受光し、発光強度を電流として検出する。i/v変換回路4は、ピンダイオード3の出力電流を電圧値に変換する。これにより、モニタ波形を得ることができる。
【0021】
次に期待値波形生成部5は、所望の強度変調がなされたレーザ光を受光検出した際に得られる光強度の期待値波形を、記録データの入力に同期して生成し、期待値電圧6として出力する。期待値波形生成部5は、パワー値多重回路(Multiplexer: MPX)7と、DAコンバータ10とを含む。
【0022】
図3を参照して、期待値波形生成部5をより詳しく説明する。図3は、期待値波形生成部5の構成および動作を示す図である。(a)は、期待値波形生成部5の構成を示すブロック図を示す。パワー値多重回路(MPX)7は、パワー値8を発光パルスの変化点毎に設定する。具体的には、パワー値多重回路7は、記録データ9に基づいて、スイッチ701を切り替え、発光パルスを表す2種類のパワー値8(すなわち、記録パワー値と消去パワー値)のいずれかをDAコンバータ(DAC)10に送る。記録パワー値と消去パワー値は、いずれもレーザ光源16(図2)を駆動させる際の諸条件(温度等)に基づいて設定される値であり、レーザ光源16(図2)の所望のビーム強度を与える理想値である。
【0023】
DAコンバータ10は、パワー値多重回路7の出力をアナログ電圧の波形に変換する。本明細書では、この「アナログ電圧」が期待値電圧として言及される。図3の(b)は、期待値波形生成部5の動作を示すタイミング図である。まず、記録パワー値として値aが与えられ、消去パワー値として値bが与えられるとする。0または1で表される記録データが、所定のタイミングで入力されると、パワー値多重回路7の出力Xは、記録データが0の場合には値b、記録データが1の場合には値aとなる。このような出力Xを受け取ったDAコンバータ10は、出力値aを電圧値aに変換し、出力値bを電圧値bに変換して出力する。DAコンバータ10の出力Yは、(b)の最下段に示されている。
【0024】
再び図2を参照して、差動演算器11は、期待値波形生成部5からの期待値電圧6と、i/v変換回路4からのモニタ電圧2の差分を演算して、差分電圧12を出力する。積分器13は、差動演算器11が出力した差分電圧12を積分する。バイアス電流源14は、積分器13の出力電圧に応じて電流量を制御する。バイアス電流源14は、具体的には、抵抗、電源およびトランジスタから構成される。すなわち、トランジスタのベースは、積分器13の出力電圧を電流値に変換する抵抗を介して、積分器13と接続される。トランジスタのコレクタは、電源と接続される。そしてトランジスタのエミッタは、レーザ光源16と接続される。トランジスタはベース電流のhfe倍のコレクタ電流を流すことができる。このhfe値は、直流電流増幅率と呼ばれ、トランジスタ毎におおよその値が決まっている。例えば、hfe値が100のトランジスタにベース電流を1mA流せば、コレクタ電流は100mAまで流すことができる。これにより、バイアス電流源14は、積分器13の出力電圧に応じて電流量を制御する。最後に、パルス電流源15は、記録データ9に応じてスイッチングする。レーザ光源16は、バイアス電流源14とパルス電流源15とで電流駆動される。
【0025】
次に、レーザ光源16(図2)の特性を説明する。図4は、レーザ光源16(図2)の動作特性を示す図である。図の横軸はレーザ光源の駆動電流を示し、縦軸はレーザビームの発光強度を示す。なお、太線は、レーザ光源16の駆動電流と発光強度との関係を示す。図4に示すように、一般的なレーザ光源は、電流が与えられていても、所定のしきい値までは発光せず、しきい値以上の電流で直線的に発光強度が増加する特性を有する。図4の(a)は、温度に応じて、しきい値電流が変化するレーザ光源16(図2)の特性例を示す。仮にレーザ光源16(図2)の温度が20℃であったとすると、しきい値電流はI20となり、消去パワー21に相当するバイアス電流Iaと、消去から記録までの強度に相当するパルス電流ΔIを加算した電流Ibをレーザ光源16(図2)に供給する必要がある。一方、レーザ光源16(図2)の温度が60℃である場合には、しきい値電流がI60まで増加するので、同じ記録パワー20と消去パワー21を得るために、バイアス電流がIcまで増加し、一方、パルス電流44は20℃の時のΔIから変化しない。
【0026】
次に、実施の形態1によるレーザ駆動装置20(図2)の動作を説明する。図5は、各種の信号波形図である。図5において、各波形の横軸は時間軸を示す。縦軸は、(a)はレーザの発光強度、(b)は期待値電圧6、(c)はモニタ電圧2、および、(d)は差分電圧12を示す。レーザ光源16(図1、2)は、図5の(a)に示す発光強度で、すなわち記録パワー20と消去パワー21の2値で、パルス発光しているとする。
【0027】
期待値波形生成部5(図2)は、図5の(b)に示す通り、実際のレーザ発光強度17と相似形をなすように、期待値電圧6を生成する。一方、図5の(c)に示すように、発光強度モニタ部1によって検出され、生成されるモニタ電圧2は、レーザ発光強度17と類似しているが、少し傾きを持った波形となる。傾きが現れる理由は、高域で減衰する受光素子(ピンダイオード3)の周波数特性の影響があるからである。従って、これら2つの信号の差分電圧12は、図5の(d)に示すような”くさび型”のパルス列となる。両極性に検出されるくさび部分は、積分器13(図2)によって平滑化される。したがって、積分器13(図2)の出力は、2つの信号の電圧方向(縦軸方向)のオフセット(差分)になる。
【0028】
従って、実施の形態1のレーザ駆動装置20(図2)は、モニタ電圧2が期待値電圧6より大きいとき、即ち実際のレーザ強度が所望の強度より大きいとき、差分電圧が正極性に検出される。このとき、積分器13の出力はバイアス電流源14の電流を減少させるので、レーザ強度は減少する。逆に、モニタ電圧2が期待値電圧6より小さいとき、即ち実際のレーザ強度が所望の強度より小さいとき、差分電圧が負極性に検出される。このとき、積分器13の出力はバイアス電流源14の電流を増加させるので、レーザ強度も増大する。よって、図4の(a)における特性の例に示すように、レーザビームの温度が変化した場合に、所望の強度を得るためのしきい値電流が変化しても、常にその強度で発光させることができる。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1における期待値波形生成部5(図2)および発光強度モニタ部1(図2)の各々に、ローパスフィルタを追加して構成したレーザ駆動装置を説明する。ローパスフィルタは、期待値電圧とモニタ電圧を概ね同一帯域に帯域制限して出力するためのフィルタである。ローパスフィルタを設けたことにより、モニタ波形と期待値波形の差分検出精度を向上させることができる。
【0030】
図6は、実施の形態2のレーザ駆動装置120のブロック図である。レーザ駆動装置120と、レーザ駆動装置20(図2)との相違点は、レーザ駆動装置20(図2)の発光強度モニタ部1および期待値波形生成部5に、それぞれローパスフィルタ(LPF)を設けたことである。ローパスフィルタを設けた発光強度モニタ部および期待値波形生成部は、それぞれ発光強度モニタ部121および期待値波形生成部125として参照される。上述した相違点に関して、レーザ駆動装置120の構成を説明する。発光強度モニタ部121のローパスフィルタ50は、i/v変換回路4の出力2を帯域制限したモニタ電圧51に変換する。続いて、期待値波形生成部125のローパスフィルタ52は、DAコンバータ10の出力11を帯域制限した期待値電圧53に変換する。ローパスフィルタ50、および、ローパスフィルタ52は、同じ周波数特性(通過帯域の特性)を有する。帯域制限されたモニタ電圧51と帯域制限された期待値電圧53とから、差動演算器11は、差分電圧54を生成する。差分電圧54は、実施の形態1と同様に、積分器13に入力される。バイアス電流源14は、積分器13の出力に基づいて電流量を制御する。
【0031】
続いて、図7を参照して、レーザ駆動装置120の動作を説明する。図7は、各種の信号波形図である。レーザ光源16(図6)は、図7の(a)に示す発光強度で、すなわち記録パワー20と消去パワー21の2値で、パルス発光しているとする。
【0032】
期待値波形生成部125(図6)は、図7の(b)に示す通り、実際のレーザ発光強度17を帯域制限し、鈍った波形として期待値電圧53を生成する。図7の(c)に示すように、発光強度モニタ部121(図6)によって検出され、生成されるモニタ電圧51もまた、期待値電圧53と同じ帯域制限されているので、鈍った波形となる。従って図7の(d)に示すように、これら2つの信号の差分電圧54からは、2つの信号の電圧方向(縦方向)のオフセット電圧分だけが検出される。
【0033】
従って、実施の形態2のレーザ駆動装置は、実施の形態1と同様に、レーザの温度が変化した場合に所定の強度を得るためのしきい値電流が変化しても、常に所定の強度でレーザ光源を発光させることができる。さらに、発光強度モニタ部および期待値波形生成部とに両者の出力信号帯域を同等に帯域制限するローパスフィルタを設けたので、差分検出の波形の局所乱れを無くすことができる。従って、レーザ駆動装置のパワー制御の応答速度を高めたい場合に有効になる。
【0034】
(実施の形態3)
実施の形態3では、レーザ光源の駆動電流と発光強度との関係が直線で表されるときに、温度によって直線の傾きが変化するレーザの特性変化に対応できるレーザ駆動装置を説明する。なお、実施の形態3は、実施の形態1および2の特徴も含むので、実施の形態1および2で得られた効果も同時に得ることができる。
【0035】
図8は、実施の形態3のレーザ駆動装置220のブロック図である。レーザ駆動装置220と、レーザ駆動装置120(図6)との相違点は、新たに、モニタ振幅検出部60、期待値振幅検出部61、差動演算器64、積分器66、および、パルス電流源68を設けたことである。この相違点に関して、レーザ駆動装置220の構成を説明する。モニタ振幅検出部60は、帯域制限したモニタ電圧51のピークボトム間の電圧差を検出し、モニタ振幅62として出力する。期待値振幅検出部61は、帯域制限した期待値電圧53のピークボトム間の電圧差を検出し、期待値振幅63として出力する。差動演算器64は、モニタ振幅62と期待値振幅63の差分電圧65を出力する。積分器66は、差分電圧65を積分してパルス電流源の制御電圧67を出力する。パルス電流源68は、記録データ9に応じてスイッチングし、制御電圧67に応じて電流量を制御(調整)する。
【0036】
次に、レーザ光源16(図8)の特性を説明する。図4は、レーザ光源16(図8)の動作特性を示す図である。図の横軸はレーザ光源の駆動電流を示し、縦軸はレーザビームの発光強度を示す。なお、太線は、レーザ光源16の駆動電流と発光強度との関係を示す。図4の(b)は、温度に応じて、しきい値電流が変化し、さらに、しきい値電流と発光強度の関係を表す直線の傾きも変化するレーザの特性の例を示す。仮にレーザの温度が20℃であったとすると、しきい値電流はI48となり、消去パワー21に相当するバイアス電流Iaと、消去から記録までの強度に相当するパルス電流ΔI1を加算した電流をレーザに供給する必要がある。一方、レーザの温度が60℃である場合には、しきい値電流がI60に増加し、同じ消去パワー21を得るために、バイアス電流がIcに増加する。更に、同じ記録パワー20を得るためには、特性の傾きが変化しているので、パルス電流も20℃の時のΔI1より大きい値ΔI2が必要となる。
【0037】
次に、実施の形態3によるレーザ駆動装置220(図8)の動作を説明する。図5(a)に示す発光強度で、レーザが、記録パワー20と消去パワー21の2値でパルス発光しているものとする。
【0038】
図7の(b)に示す通り、期待値波形生成部125(図8)によって生成される期待値電圧53(図8)は、実際のレーザ発光強度17を帯域制限した鈍った波形で生成する。また図7の(c)に示すように、発光強度モニタ部121(図8)によって検出されるモニタ電圧51もまた、期待値電圧53と同様に帯域制限されているので鈍った波形となる。従って図7の(d)に示すように、これら2つの信号の差分電圧54からは、2つの信号の電圧方向(縦軸方向)のオフセット電圧が滑らかに検出される。
【0039】
従って、実施の形態3のレーザ駆動装置は、実施の形態2と同様に、レーザの温度が変化し、所定の強度を得るためのしきい値電流が変化しても、バイアス電流源を制御することにより、レーザ光源16(図8)を所定の強度で発光させることができる。但し、ここで制御されるのは、レーザビームの強度の平均値であり、パルス部分の波高値ではない。
【0040】
そこで、パルス部分の波高値を制御するための本発明の原理を説明する。パルス部分の波高値は、パルス電流源68(図8)により調整できる。図7の(b)に示す通り、期待値波形生成部5(図8)によって生成される帯域制限された期待値電圧53には、ピーク電圧30とボトム電圧31が存在する。よって、ピークボトム間の電圧を求めることができる。この電圧を、期待値振幅63と言及する。期待値振幅63は、期待値振幅検出部61(図8)により検出される。同様に図7の(c)に示すとおり、発光強度モニタ部121(図8)によって生成される帯域制限されたモニタ電圧51には、ピーク電圧32とボトム電圧33が存在する。よって、ピークボトム間の電圧を求めることができる。この電圧を、モニタ振幅62と言及する。モニタ振幅62は、モニタ振幅検出部60(図8)により検出される。
【0041】
差動演算器64(図8)は、得られた期待値振幅63とモニタ振幅62を減算して、差分電圧65を出力する。この差分電圧65は、期待値波形とモニタ波形のパルス部分の振幅差を表す。差分電圧65は、積分器66で積分され、制御電圧67に変換されてパルス電流源68の電流量を調整する。パルス電流源68の構成は、実施の形態1において説明したバイアス電流源14の構成と同様である。
【0042】
以上説明したように、実施の形態3のレーザ駆動装置では、モニタ振幅62が期待値振幅63より大きいとき、すなわちレーザ発光強度17のパルス部振幅が所望の振幅値より大きいとき、差分電圧65が正極性に検出され、積分器66の出力がパルス電流源68の電流を減少させる。これにより、パルス部振幅を減少させる動作となる。逆に、モニタ振幅62が期待値振幅63より小さいとき、即ちレーザ発光強度17のパルス部振幅が所望の振幅値より小さいとき、差分電圧65が負極性に検出され、積分器66の出力がパルス電流源68の電流を増加させる。これにより、パルス部振幅を増大させることができる。従って、実施の形態3では、図6(b)に示す特性例のように、レーザの温度が変化した場合に、所定の強度を得るためのしきい値電流、および、しきい値電流と発光強度の関係を表す直線の傾きの両方が変化しても、バイアス電流源とパルス電流源を制御して、常に所定の強度でパルス発光させることができる。
【0043】
なお、実施の形態3では、ローパスフィルタ50およびローパスフィルタ52を通過させた後、差動演算器11に入力するようにした。しかし、ローパスフィルタ50およびローパスフィルタ52の設置位置を変更することもできる。例えば、モニタ振幅検出部60および期待値振幅検出部61への分岐後であって、モニタ振幅検出部60および期待値振幅検出部61に入力される前の位置に設けてもよい。これにより、発光強度モニタ部121および期待値波形生成部125の構成は、実施の形態1の発光強度モニタ部1(図2)および期待値波形生成部5(図2)と同じになる。よって、モニタ振幅検出部60および期待値振幅検出部61への分岐を除いては、レーザ駆動装置20(図2)と同じ構成になる。
【0044】
図9を参照して、実施の形態1〜3のレーザ駆動装置の電流源とレーザ光源との関係を説明する。図9は、電流源とレーザ光源との接続図である。上述の実施の形態の説明では、図9の(a)に示すように、バイアス電流源70とパルス電流源71を並列に接続し、両者の加算電流でレーザ光源72を駆動する構成とした。しかし、それに代えて、図9の(b)に示す構成を採用することもできる。すなわち、パルス電流源73をレーザ光源74と並列に接続し、バイアス電流源75により全電流を供給し、その一部からパルス電流源73によりパルス分を分流させてもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、本発明によるレーザ駆動が、光ディスク装置で利用される場合を例に説明した。しかし、本発明は、レーザ光源の制御が必要であるレーザプリンタや、通信用レーザの光モニタでも利用可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明のレーザ駆動方法および駆動装置は、パルス発光状態にあるレーザを、テスト発光、または、高速サンプルホールド回路を用いることなく、常時連続的にパワー制御を行うことができる。従って、記録レートおよび容量効率の極めて高い光ディスクの再生装置等にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるレーザ駆動装置を備えた、光ディスク装置の部分概略図である。
【図2】 実施の形態1のレーザ駆動装置のブロック図である。
【図3】 期待値波形生成部の構成および動作を示す図である。(a)は、期待値波形生成部の構成を示すブロック図である。(b)は、期待値波形生成部の動作を示すタイミング図である。
【図4】 レーザ光源の動作特性を示す図である。
【図5】 各種の信号波形図である。
【図6】 実施の形態2のレーザ駆動装置のブロック図である。
【図7】 各種の信号波形図である。
【図8】 実施の形態3のレーザ駆動装置のブロック図である。
【図9】 電流源とレーザ光源との接続図である。
【符号の説明】
1 発光強度モニタ部
3 ピンダイオード
4 i/v変換回路
5 期待値波形生成部
7 パワー値多重回路
10 DAコンバータ
11 差動演算器
13 積分器
14 バイアス電流源
15 パルス電流源
16 レーザ光源
20 レーザ駆動装置
Claims (2)
- 光源から出射されたビームの強度を検出して、モニタ波形を生成するステップと、
データを受け取るステップと、
受け取った前記データに基づいて、前記ビームの強度の期待値波形を生成するステップと、
生成された前記モニタ波形と前記期待値波形との波形の差分を演算するステップと、
前記波形の差分の演算結果に基づいて、バイアス電流源の電流量を制御するステップと、
制御された前記バイアス電流源の電流量に基づいて、光源からビームを出射するステップと、
前記モニタ波形と前記期待値波形とを、略同じ帯域に帯域制限するステップと、
帯域制限された前記モニタ波形のピークボトム間の差を検出し、モニタ振幅として出力するステップと、
帯域制限された前記期待値波形のピークボトム間の差を検出し、期待値振幅として出力するステップと、
出力された前記モニタ振幅と前記期待値振幅との振幅差を演算するステップと、
前記振幅差の演算結果に基づいて、前記パルス電流源の電流量を調整するステップと
を含み、前記出射するステップは、受け取った前記データに応じてスイッチングされるパルス電流源の電流量に基づいて、光源からビームを出射するステップである、レーザ駆動方法。 - 光源から出射されたビームの強度を検出して、モニタ波形を生成する発光強度モニタ部と、
データを受け取り、受け取った前記データに基づいて、前記ビームの強度の期待値波形を生成する期待値波形生成部と、
発光強度モニタ部により生成された前記モニタ波形と、期待値波形生成部により生成された前記期待値波形との波形の差分を演算する差動演算器と、
差動演算器による前記波形の差分の演算結果に基づいて、電流量を制御するバイアス電流源と、
受け取った前記データに応じてスイッチングされて電流量を調整するパルス電流源と、
前記モニタ波形および前記期待値波形を、それぞれ略同じ帯域に帯域制限する2つのフィルタと、
帯域制限された前記モニタ波形のピークボトム間の差を検出し、モニタ振幅として出力するモニタ振幅検出部と、
帯域制限された前記期待値波形のピークボトム間の差を検出し、期待値振幅として出力する期待値振幅検出部と、
モニタ振幅検出部から出力された前記モニタ振幅と、期待値振幅検出部から出力された前記期待値振幅との振幅差を演算する振幅差動演算器と
を備えたレーザ駆動装置であって、バイアス電流源により制御された電流量、および、パルス電流源により調整された電流量に基づいて、光源からビームを出射させると共に、パルス電流源は、振幅差動演算器による前記振幅差の演算結果に基づいて、電流量を調整する、レーザ駆動装置。
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