JP4904446B2 - 果実の内成分情報の予測方法及び予測装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えばトマト等の果実において、生育途中に成熟時の果実の内成分情報を予測する技術の分野に属する。
生育途中の青果物(果実)の表面に投光体から光を照射し、その反射光を受光体で検出してその果実の吸光度を検出し、現在の果実の成熟度を判断する方法が知られている(特許文献1参照。)。
また、生育途中の果実内に光が通過するように投光体と受光体とを設け、該受光体が受ける光よりその果実の吸光度を検出し、現在の果実の成熟度(糖度)を判断する方法が知られている(特許文献2参照。)。
特開平11−332378号公報 特開平7−229834号公報
上記背景技術では、単に生育途中の果実の現在の内成分情報を検出する方法が開示されているだけで、現在の果実の内成分情報を判断して収穫適期を予測するのに使用できるが、栽培を終えて収穫するときの果実の内成分情報を事前に予測するという技術思想がなく、現在の果実の内成分情報をフィードバックして果実の栽培に十分に利用することができなかった。
そこで、本発明では、果実の生育途中の内成分情報から成熟時の内成分情報を高い精度で予測できるようにすることを課題とする。
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、果実の生育途中の内成分情報を判断し、この生育途中の内成分情報から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を予測する果実の内成分情報の予測方法であって、前記演算モデルは、果実の受粉後の栽培週令によって異なる演算方程式を使用し、該演算方程式は、生育途中の内成分情報として乾物率と澱粉含量を使用し、成熟時の内成分情報として可溶性固形物含量を設定し、該可溶性固形物含量を演算する方程式であり、乾物率をA、澱粉含量をB、可溶性固形物含量をCとすると、果実の受粉後の栽培週令が6週令の場合は、C=1.554+0.488A+0.361Bとし、果実の受粉後の栽培週令が7週令の場合は、C=0.521+0.804A+0.049Bとし、果実の受粉後の栽培週令が8週令の場合は、C=0.342+1.259A−0.099Bとし、果実の受粉後の栽培週令が9週令の場合は、C=0.198+0.675A−0.061Bとし、果実の受粉後の栽培週令が10週令の場合は、C=0.489+0.826A+0.055Bとする果実の内成分情報の予測方法とした。
また、請求項2に係る発明は、果実の生育途中の内成分情報を判断する判断手段と、この生育途中の内成分情報から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を予測する予測手段を備え、請求項1に記載の予測方法を使用する果実の内成分情報の予測装置とした
よって、本発明によると、果実の生育途中の内成分情報から予め作成した果実の受粉後の栽培週令によって異なる演算方程式を使用する演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を高い精度で予測することができ、所望の成熟果実が得られるように生育途中の果実の内成分情報を栽培に適確に利用することができる。
まず、図1に基づいて、生育途中の果実(トマト)の内成分情報となる乾燥物含量(DM)及び澱粉含量を検出するために使用する近赤外線スペクトル測定装置1の概略について説明する。この近赤外線スペクトル測定装置1は、物質に吸収されやすい近赤外線を含む光を発生する光源2と、該光源2からの光を照射すると共にその拡散反射光を受光する光干渉型プロ−ブ3と、該光干渉型プロ−ブ3が受光した拡散反射光を分光分析し近赤外線スペクトル(NIRスペクトル)を測定する分光分析器4と、該分光分析器4で分析された結果を出力する出力端末(パソコン)5とを備えている。尚、前記光源2、光干渉型プロ−ブ3及び分光分析器4により果実の生育途中の内成分情報を判断する判断手段が構成され、前記出力端末(パソコン)5により生育途中の内成分情報から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を予測する予測手段が構成されている。また、光源2及び分光分析器4と光干渉型プロ−ブ3とは、ケ−ブル6により接続されている。また、分光分析器4と出力端末5とは、ケ−ブル7により接続されている。前記光源2は、手動シャッタ−8を備え、光干渉型プロ−ブ3から光を照射しない状態に切り替えできる。また、光源2は、その光量を調節するための光量調節つまみ9を備えている。尚、果実(トマト)内部への近赤外光の浸透深さは最大で8mm程度であるので、光量も少なくて且つ精度良くトマトの吸光度を検出するために、果実内部への近赤外光の浸透深さが8mmとなるよう設定している。光干渉型プロ−ブ3の先端部は、図3に示すように、光源2からの光を外部に照射する円形の光放射リング10と外部の光を受光する受光孔11とを備え、前記光放射リング10から果実に投光される光が反射し、その反射光を受光孔11から受光する構成となっている。また、図2に示すように、光干渉型プロ−ブ3の先端部にはラッパ状のサンプルホルダ−12を取り付けており、このサンプルホルダ−12に果実を合わせた状態(図2(b)の状態)で光干渉型プロ−ブ3により果実に光を照射して果実の吸光度(近赤外線スペクトル)を検出するようになっている。従って、前記サンプルホルダ−12が果実の位置決めガイドの役割を果たし、果実と光干渉型プロ−ブ3との距離を適正に維持して果実の吸光度を精度良く検出することができる。また、フィールド(栽培圃場)において外光の影響を受けないようにするため、サンプルホルダ−12部分を含む光干渉型プロ−ブ3の先端部及び測定する果実を黒色で布製のカバ−で覆って遮光し、果実の吸光度(近赤外線スペクトル)を検出するようにしている。
尚、フィールド(栽培圃場)での取り扱いを簡便にするために、前記判断手段を構成する光源2、光干渉型プロ−ブ3及び分光分析器4を一体にした携帯型の計測器を設け、この携帯型の計測器を出力端末5と接続するケ−ブル7を外して使用すると共に野外の栽培圃場内の適宜位置に移動してその位置にある樹上になる生育途中の果実の吸光度(近赤外線スペクトル)を測定するようにし、この測定作業を簡便にすることもできる。
近赤外線スペクトル測定装置1にて得られるトマト果実の近赤外線スペクトルは750乃至900nmの波長領域において記録し、この記録結果から乾物率(DM)及び澱粉含量(正確には澱粉含有率)を演算し判定する。この乾物率(DM)及び澱粉含量の演算は、出力端末(パソコン)5に備える演算装置(前記予測手段に相当する)により実行されることとなる。また、果実(トマト)の柄を上方にして上下に3等分に区分して上方から果柄部、赤道部(中間部分)、果頂部とした場合、果実(トマト)の成熟度に拘らず該果実(トマト)の前記果柄部及び果頂部の内成分情報に対して前記赤道部(中間部分)の内成分情報は果実全体の平均的な値を示すので、各果実の近赤外線スペクトルは、その前記赤道部(中間部分)に沿って180度離れた2箇所(果実中心に対して対称な位置)で測定し、この測定値を平均して得る。
そして、上記近赤外線スペクトル測定装置1で測定した果実の受粉後の栽培週令をオペレータが出力端末(パソコン)5に入力すると、近赤外線スペクトル測定装置1で得られた乾物率(DM)並びに澱粉含量及び前記栽培週令のデータから、出力端末(パソコン)5に備える演算装置により所定の演算モデル(以降に示す演算方程式を含む)に基づいて予測される成熟時の果実の可溶性固形物含量(SSC)が演算される。演算装置で使用される乾物率(DM)及び澱粉含量の値により成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測するための演算方程式は、様々な週令(本例では6週令から10週令)によって異なる。その演算方程式を示すと、6週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=1.554+0.488(6週令のDM)+0.361(6週令の澱粉含量)
7週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.521+0.804(7週令のDM)+0.049(7週令の澱粉含量)
8週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.342+1.259(8週令のDM)−0.099(8週令の澱粉含量)
9週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.198+0.675(9週令のDM)−0.061(9週令の澱粉含量)
10週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.489+0.826(10週令のDM)+0.055(10週令の澱粉含量)
となる。尚、上記方程式における成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)は、冬期の栽培で着果後11週令乃至12週令で収穫した場合を想定しており、成熟果実の糖度に相当する。一般的に、この糖度が目標値(例えば8%)となるよう養液を制御して所望の品質の果実を収穫しようとするのである。また、上記方程式における乾物率(DM)の単位は%W/Wとなり、澱粉含量(澱粉含有率)の単位は乾物基準の重量パーセント(%W/W dry basis)となる。
以上により、この近赤外線スペクトル測定装置1を使用して、フィールド(栽培圃場)内の樹上でなる生育中の果実(トマト)に光を照射し、その拡散反射光より果実の吸光度を検出して果実の生育途中の内成分情報となる乾燥物含量及び澱粉含量を判断し、この生育途中の乾物率(DM)及び澱粉含量から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報となる可溶性固形物含量(SSC)すなわち糖度を予測することができる。従って、樹上でなる生育中の果実の赤道部(中間部分)に光を照射し、その拡散反射光より果実の吸光度を検出して果実全体の内成分情報を判断して果実の成熟時の糖度を予測するため、樹上でなる生育中の果実を傷つけることなく成熟時の果実全体の糖度を予測することができ、高い精度で糖度予測ができる。また、果実の可溶性固形物含量(糖度)と相関の高い生育途中の果実の乾物率に基づいて成熟時の前記糖度を予測するので、概ね適正で安定した予測糖度値を得ることができる。また、果実の成熟時の糖度を予測にあたり、該糖度と相関の高い生育途中の果実の澱粉含量も予測因子として使用するため、この糖度の予測精度を更に向上させることができる。
よって、この近赤外線スペクトル測定装置1は、培養トマト果実の乾物率(DM)及び澱粉含量を監視するためのフィールド(栽培圃場)用の近赤外線測定装置となり、更には監視される未熟な果実の乾物率(DM)及び澱粉含量から成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測することができる。そして、この近赤外線スペクトル測定装置1により、果実を破壊せずに乾物率(DM)、澱粉含量及び成熟時の可溶性固形物含量(SSC)等の生物情報をリアルタイムで判定又は予測し、その生物情報を栽培における養液の日常的な制御に反映させることができ、高糖度の果実を得ることができる。
次に、上述した成熟時の果実の可溶性固形物含量(SSC)の予測のための演算手段(演算方程式)の合理性を立証した過程について説明する。
トマト果実に関して考慮すべき品質パラメータの中でも、可溶性固形物含量(SSC)は最も重要な成分であり、生産者に支払うべき価格を定めるにあたって極めて重要である。水ストレスと塩分条件下で生育したトマトは、より高レベルの可溶性固形物含量(SSC)をもつことはよく知られている。水耕養液栽培では、これらの条件は、養液の断続的循環、又は養液の電気伝導度の上昇によって達成される。このような条件下では、乾物率(DM)は高レベルとなり、澱粉蓄積も強調され、拡張される。乾物率(DM)は可溶性固形物を主要成分として含み、且つ成熟段階における澱粉の分解は還元性糖分の急激な蓄積と相関するから、未熟な果実の乾物率(DM)並びに澱粉含量と成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)との間には高い相関がある。従って、高品質トマト果実を生産するためには、養液の状態を生長しつつある果実の乾物率(DM)と澱粉含量とに基づいて制御しなければならない。
生育中の果実の乾物率(DM)及び澱粉含量を求めるには、非破壊的試験を実行しなければならない。果実の非破壊的品質評価における近赤外線分光光度計測の潜在的能力については、この十年来既に明らかにされている。本願発明者は、室内実験において、可溶性固形物含量(SSC)を測定するための正確な較正方程式が、果実全体へ近赤外線放射光を照射しその果実の底部側から透過光を検出することによって得られることを示した。しかしながら、その提案された測定装置は、フィールド(栽培圃場)での測定を実行するには極めて難しいものであった。最近、携帯用近赤外線装置を用いて、近赤外線分光光度計測がフィールド(栽培圃場)における木になったままのマンゴーの成熟度の判定に使用が可能であることが示されている。
そこで、本願の発明者は、乾物率(DM)及び澱粉含量に関する温度補償を備えた較正モデルの作成、及びトマト果実の乾物率(DM)及び澱粉含量の監視法を確立することに注力した。
次に、本件の演算手段を立証するに際し、本願の発明者が行った近赤外線スペクトル記録の手法について説明する。近赤外線スペクトル測定装置1にて得られるトマト果実の近赤外線スペクトルを、305乃至1100nmの波長領域において3.3nm間隔で記録した。近赤外線スペクトル測定条件として、積分時間を20msに設定し、平均値を得るために光干渉型プロ−ブ3から光を50回走査させて行った。参照測定として、果実の代わりに直径5cmの白色の樹脂製の球の吸光度(近赤外線スペクトル)を測定した。果実(トマト)の柄を上方にして上下に3等分に区分して上方から果柄部、赤道部(中間部分)、果頂部とした場合、果実(トマト)の成熟度に拘らず該果実(トマト)の前記果柄部及び果頂部の内成分情報に対して前記赤道部(中間部分)の内成分情報は果実全体の平均的な値を示すので、各果実の近赤外線スペクトルは、その前記赤道部(中間部分)に沿って180度離れた2箇所(果実中心に対して対称な位置)で測定し、この測定値を平均して得ることとした。
尚、フィールド(栽培圃場)で内部構造が複雑なトマト果実の内成分情報を迅速に測定するためには、合理的な測定位置と測定点数を決定しなければならない。これまでの研究により、少ない測定点で合理的な測定をするための方法を明らかにした。すなわち、果実(トマト)の赤道部(中間部分)の円周上に60度ごとに6点の測定位置をとり、これらの位置において、(1)任意の1点、(2)180度対向する2点、(3)120度の角度をなす位置の3点、及び(4)全ての位置の6点、の4つの組み合わせの測定点を設定し、それぞれについてキャリブレーションモデルを作成し、評価した。その結果、測定点数が少なくて精度の良い合理的な測定方法は、前述のように赤道部における180度対向する2点を測定すればよいという結論を得たのである。尚、トマト果実の成熟度に拘らず、該果実の内成分情報となる糖度は果柄部、赤道部(中間部分)、果頂部といくにつれて少しづつ高い値を示し、該果実の果柄部及び果頂部に対して赤道部(中間部分)における糖度は平均的な値を示すことが判っている。従って、前述のように、測定位置を果実の赤道部とすることにしたのである。
次に、化学分析の手法について説明する。新鮮なトマトの赤道部(中間部分)における外面から3.3cmの厚み部分を採取し、その採取片を計測器により乾物率(DM)及び澱粉含量の化学的成分を分析した。尚、化学的試験による採取部位を果実(トマト)の前記赤道部(中間部分)で外面から3.3cmの厚み部分としたのは、当該部分の内成分情報が果実全体の平均的な値を示すからである。前記乾物率(DM)は、採取された部分を摂氏70度で72時間乾燥させてから測定した。また、澱粉含量は、その乾燥された標本を小型ブレンダーにて粉砕し、0.5mmスクリーンを通過させてろ過して測定した。可溶性固形物含量(SSC)については、採取部分をハンドミキサーにて粉砕してろ過し、その濾液をデジタル屈折計を用いて測定した。
そして、フィールド(栽培圃場)では果実の温度管理が困難であることを考慮し、温度補償付きの較正モデルを得るための実験を行った(以下、この実験を実験1という)。サンプルとなるトマトの果実温度は野外では制御することが困難であるので、実験室内の温度制御下でトマト果実の近赤外線スペクトルを測定した。乾物率(DM)及び澱粉含量について温度補償付き較正モデルを作成し、サンプルとして150個のトマト果実を用いた。これらのトマトは、広範囲の乾物率(DM)及び澱粉含量を実現するために、養液のEC値が1及び10dS/mの2種類の異なる養液条件下の養液栽培区を設定し、各々の該養液栽培区で栽培した。以降、EC値が1dS/mで得られた果実を「ノンストレス」トマト、10dS/mで得られた果実を「ストレス」トマトという。これらの果実は、2月から3月の受粉後5週令から9週令にわたって各週に各養液栽培区から15個のトマトを毎週収穫した。すなわち、毎週合計30個のトマトの標本を採取した。近赤外線測定の直前に水温が摂氏15度、25度及び35度に維持された水槽中に各標本を30分間浸して、各標本の温度を設定した。尚、標本(トマト)が濡れるのを防止するため、水槽の水面をポリエチレンフィルムで被って該フィルム上に標本を載せた。150個の標本のうち、74個は乾物率(DM)及び澱粉含量の較正を導く検量線作成用(キャリブレーション用)試料として用い、残りの標本は前記較正の有効性判定のための検量線評価用(バリデーション用)試料として用いた。乾物率(DM)及び澱粉含量に関する温度補償付き較正モデルの作成にあたっては、部分的最小二乗(PLS)回帰法を用いた。
図5に示すように、摂氏15度、25度及び35度の各々の果実(トマト)における近赤外線スペクトル(吸光度)とそれを二次微分した二次微分スペクトル(二次微分吸光度)とは、共に波長971nmの水の吸収バンドの周辺で果実温度による影響が観察された。これは、水の水素結合が温度によって容易に影響されるからであると考察される。このような果実温度による影響に対処するため、摂氏15度、25度及び35度の果実(トマト)の近赤外線スペクトルにおける各々の温度対応型較正モデルを組み合わせて最終的な較正モデル(検量線)を決定した。この最終的な較正モデル(検量線)を評価するために、乾物率(DM)及び澱粉含量について750乃至1000nmの波長領域における二次微分スペクトルを用いて部分的最小二乗(PLS)回帰法により計算した。較正及び有効判定(バリデーション)結果を図4の図表に示す。較正の標準誤差(SEC)及び予測のバイアス補正標準誤差(SEP)は、澱粉において比較的高かった。同時に、澱粉では、予測の標準誤差に対する検量線評価用(バリデーション用)試料の参照データの標準誤差の比(RPD)は2.66と比較的高かった。前記参照データと近赤外線スペクトル測定データとの変動はそれぞれ標準偏差と予測のバイアス補正標準誤差(SEP)とによって示されるが、前記RPDから前記SEPは参照データの標準偏差よりもはるかに低いことが判った。従って、澱粉含量について、乾物率(DM)で0.57%、澱粉含量で2.32%のSEPとなる作成された較正モデルは、十分正確なものと考察できる。また、摂氏15度、25度及び35度からなる異なる温度における果実(トマト)の乾物率(DM)及び澱粉含量も十分正確に判定できた。95%信頼性水準による2標本t−検定を用いたところ、乾物率(DM)及び澱粉含量の両判定値とも、化学分析値と近赤外線スペクトル予測値の間に有意差はみられなかった。これは、バイアスずれがないことを示す。よって、較正モデルは摂氏15乃至35度の果実の乾物率(DM)及び澱粉含量を判定することにおいて十分に正確であることが認められた。従って、この較正モデルは、温度制御の不可能なフィールド(栽培圃場)における樹上で生育中の実なりのトマトに適用するのに好適である。
回帰係数を波長に対してプロットした回帰係数プロットにおけるピークは、乾物率(DM)及び澱粉含量共に765、839,904及び987nmに観察された。765及び839nmの大きな負のピークは水に関係し、904及び987nmのピークは炭水化物に関係する。これは、乾燥物含量(DM)及び澱粉含量の参照値を与える化学組成物が共に炭水化物であることに由来したものと考察される。
また、フィールド(栽培圃場)における樹上果実の乾物率(DM)及び澱粉含量の監視法を確立するための実験を行った(この実験を実験2という)。上述の実験1と同じフィールド(栽培圃場)で得られた合計45個の果実を用い、生育中の果実について受粉後6週令から10週令まで毎週フィールド(栽培圃場)において近赤外線測定を行った。乾物率(DM)及び澱粉含量は、実験1にて作成した較正モデルをフィールド(栽培圃場)において測定された近赤外線スペクトルに適用して確定した。実験1との近赤外線スペクトル測定条件の相違(実験1は実験室内で測定しており、本実験ではフィールド(栽培圃場)で測定している)による偏倚(バイアス)発生は、本実験で使用した標本(トマト果実)の一部(各週6個、合計30個)を収穫し、その収穫した標本の乾物率(DM)及び澱粉含量を化学分析を用いて定量測定することによってチェックし、前記測定条件の相違に伴う偏倚(バイアス)発生分を偏倚(バイアス)補正として以後に補正することにした。収穫されない残りの15個の果実は、各週毎に近赤外線測定を行った後も熟成するまで(受粉後12週令まで)栽培を継続した。この残りの15個の果実のフィールド(栽培圃場)において測定された近赤外線スペクトルから、実験1で得られた温度補償付き較正モデルと前記偏倚(バイアス)補正とを用いて乾物率(DM)及び澱粉含量の予測を行った。そして、この残りの15個の完熟果実について可溶性固形物含量(SSC)を化学分析を用いて測定する通例法によって分析した。様々な週令における化学分析値と近赤外線測定から予測される乾物率(DM)並びに澱粉含量とを用いて関係式を作成した。この関係式を用いることにより、生育時の果実の乾物率(DM)並びに澱粉含量から成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測することが可能となった。
実験1で得られた較正モデルに基づいて、果実生育時の果実の内成分の変化を連続的に監視すると、「ストレス」トマトの乾物率(DM)は高く殆ど安定的なレベルに維持され、「ノンストレス」トマトの乾物率(DM)は低下していたことが判った。この現象は、他の研究者によっても既に報告されている事項である。また、トマトは、水補給を制限されると、その生長期の大部分を通じて大量の澱粉を蓄積することから、較正モデルは、樹上果実の乾物率(DM)及び澱粉含量を監視するのに有効であることが確認できた。
そして、成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測するにあたり、生育中の果実の乾物率(DM)及び澱粉含量にそれぞれを独立変数として直線回帰及び重回帰を適用すると、果実の様々な成長段階を通じて、乾物率(DM)及び澱粉含量の両方を使用する方が一方のみを使用するよりもより適切な予測結果を得られることが判明した。次に、様々な週令(本例では6週令から10週令)における乾物率(DM)及び澱粉含量の値により成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測するための演算方程式を示すと、6週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=1.554+0.488(6週令のDM)+0.361(6週令の澱粉含量)
7週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.521+0.804(7週令のDM)+0.049(7週令の澱粉含量)
8週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.342+1.259(8週令のDM)−0.099(8週令の澱粉含量)
9週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.198+0.675(9週令のDM)−0.061(9週令の澱粉含量)
10週令の値から演算できる方程式は、
(SSC)=0.489+0.826(10週令のDM)+0.055(10週令の澱粉含量)
となる。尚、上記方程式における成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)は、冬期の栽培で着果後11週令乃至12週令で収穫した場合を想定しており、成熟果実の糖度に相当する。一般的に、この糖度が目標値(例えば8%)となるよう養液を制御して所望の品質の果実を収穫しようとするのである。また、上記方程式における乾物率(DM)の単位は%W/Wとなり、澱粉含量(澱粉含有率)の単位は乾物基準の重量パーセント(%W/W dry basis)となる。これらの方程式からも判るように、様々な生長段階において、乾物率(DM)の回帰係数は澱粉含量の回帰係数に比較して極めて高く、成熟果実の可溶性固形物含量(SSC)を予測するには、乾物率(DM)の方が澱粉含量より重要である。これは、可溶性固形物が乾燥物質の主要基質であることを裏付けている。尚、未熟果実における澱粉は、成熟段階における糖生産の供給源と考えられるが、成熟過程における澱粉分解は極めて複雑であり澱粉以外の多くの要因を含むため、澱粉含量の回帰係数が比較的低くなったものと考えられる。
栽培途中の果実の内成分情報を判定することにより、収穫適期の予測に利用できる。また、栽培途中の果実の内成分情報に基づいて、収穫時における果実の内成分を推測するのに利用できる。さらに、養液栽培において栽培途中の果実の内成分情報に基づいて養液の濃度等を制御することにより、目的とする糖度の果実を収穫できる。また、例えば選果機等、果実の質を判定してその質に基づいて果実を選別するのに利用できる。
近赤外線スペクトル測定装置の概略を示す図 光干渉型プロ−ブにより果実の吸光度を検出する状態を示す図(a:検出前、b:検出時) 光干渉型プロ−ブの先端部を示す図 未熟果の乾物率と澱粉含量に関する較正(キャリブレーション)と有効判定(バリデーション)の結果を示す図表 各温度におけるトマトの2次微分スペクトル

Claims (2)

  1. 果実の生育途中の内成分情報を判断し、この生育途中の内成分情報から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を予測する果実の内成分情報の予測方法であって、前記演算モデルは、果実の受粉後の栽培週令によって異なる演算方程式を使用し、該演算方程式は、生育途中の内成分情報として乾物率と澱粉含量を使用し、成熟時の内成分情報として可溶性固形物含量を設定し、該可溶性固形物含量を演算する方程式であり、乾物率をA、澱粉含量をB、可溶性固形物含量をCとすると、果実の受粉後の栽培週令が6週令の場合は、C=1.554+0.488A+0.361Bとし、果実の受粉後の栽培週令が7週令の場合は、C=0.521+0.804A+0.049Bとし、果実の受粉後の栽培週令が8週令の場合は、C=0.342+1.259A−0.099Bとし、果実の受粉後の栽培週令が9週令の場合は、C=0.198+0.675A−0.061Bとし、果実の受粉後の栽培週令が10週令の場合は、C=0.489+0.826A+0.055Bとする果実の内成分情報の予測方法。
  2. 果実の生育途中の内成分情報を判断する判断手段と、この生育途中の内成分情報から予め作成した演算モデルに基づいて果実の成熟時の内成分情報を予測する予測手段を備え、請求項1に記載の予測方法を使用する果実の内成分情報の予測装置。
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