JP4897395B2 - 定着装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真方式のカラー画像形成装置に用いられる定着装置は、加熱及び加圧すべき用紙上に転写された未定着画像のトナー厚さがモノクロ画像形成時に比較して厚いことから、トナーの溶融性能だけでなく、定着ローラからの分離性、発色性、光沢度、光沢ムラ等の画質面でもモノクロ画像よりも高い要求がなされている。
また、加熱ローラ側の弾性層の厚みを加圧ローラよりも厚くすることで、定着ニップの排紙方向を記録媒体の画像面と異なる方向にして分離性のマージンを上げている。
さらには、補助的な分離部材として分離爪や分離板等で強制的に加熱ローラから記録媒体を剥離するものもある。 さらに、トナー像と接触する面に弾性層を設けることで、トナー像の凹凸に追従して均一に接触することで、光沢ムラや色ムラなどを防止できる。このように、従来技術では、定着装置における不都合に対して種々の提案がなされている(例えば、特許文献1乃至6参照)。
このような問題を解決するために、モノクロ画像形成用の定着装置と同様に0.3〜3.0mmの肉厚のアルミ管、又は0.3〜3mmの肉厚の鉄管等に0.1〜3.0mmのシリコンゴムなどの弾性層を設け、さらに、離型性向上のための表面コート(例えば、PFAやPTFE)を施した薄肉の加熱ローラと、定着ニップ幅を確保するために、加圧ローラ側には3.0〜10.0mmのシリコンゴムや発泡シリコンゴムなどの弾性層を用いた定着装置がある。
ところが、カラー画像形成用の定着装置では、上述のように、加熱ローラの弾性層が加圧ローラの弾性層よりも薄いため、定着ニップの排紙方向が加熱ローラ側になってしまい、用紙上のトナー像が加熱ローラに接触したまま排紙され、巻き付きジャムを発生する場合がある。前述の分離爪や分離板により強制的に剥離したとしても、巻き付き力が大きいと、画像面に擦りキズが発生し、画質を著しく低下させる場合がある。
また、剥離ローラの外径を加熱ローラの外径よりも小さくし、また、剥離ローラの表面硬度は加熱ローラの表面硬度と同等以上にされている。これは、1対のローラ間を通過した用紙は、外径の小さいローラの周面に巻き付こうとすることと、加熱ローラの周面における弾性体を剥離ローラの周面となすニップ部分で凹状に変形させて用紙を剥離ローラ側に向かわせるためである。
また、剥離ローラの外径を加熱ローラよりも小さくする必要があるために、剥離ローラを加熱ローラに押圧する際に撓みが生じ、剥離ローラと加熱ローラのなす剥離ニップ幅が均一にならず、安定した用紙分離性が確保できない場合がある。
特許文献2および3には、ニップ部下流で定着ローラに押し当てる熱供給ローラ、定着ローラとニップ部を形成する剥離部材が記載されている。また、このような剥離ニップの不均一を防止するために、特許文献4乃至6では、剥離ローラが加熱ローラとなすニップとは略逆側からバックアップローラで押し付けて撓みを防止している。
この状態で幅が広い用紙を通紙すると端部が高温のため、光沢ムラやトナーのホットオフセットなどを発生させ、画質を著しく劣化させることになる。また、加熱ローラ自体の弾性層や離型層も高温で劣化、破壊する恐れがある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、加熱ローラの軸方向の温度ムラを全域にわたって均一にし、用紙サイズによらず、省エネルギかつ低コストで高画質の画像を得る定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の定着装置において、前記ヒートパイプは複数で構成されることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の定着装置において、前記分離部材がクラウン形状のローラであることを特徴とする。
すなわち、上流側から搬送される用紙Pが進入する第1ニップをそれらの間に形成する配置の定着ローラ1とこの定着ローラ1に対向して設けられる加圧ローラ2、さらにその搬送方向下流側に定着ローラ1に対向して設けられかつそれらの間に第2ニップを形成する分離ローラ3からなっている。
定着ローラ1内には熱源となるハロゲンヒータ4が配置され、そして定着ローラ1表面は、定着ローラ1の略軸方向中心で外部に設けられた図示してない温度センサと制御装置によってハロゲンヒータ4のオン、オフを制御して任意の温度に制御される。
また、定着ローラ1はφ30〜40の外形で、AlまたはFe製の肉厚0.4〜1.0mmの芯金13上に耐熱弾性層12として0.2〜1.0mmのシリコンゴムが設けられており、さらに最外層に10〜50μmのフッ素系樹脂であるPFAやPTFE製の離型層11が設けられる。芯金13は撓みの強度を向上するために内部にリング状のリブを設けることで、芯金13の薄肉化ができ、熱容量の低減と強度の向上が可能になっている。
加圧ローラ2は図示してないばねで定着ローラ1に加圧され、第1ニップを形成する。第1ニップはニップ幅として5〜10mm、面圧は0.5〜2kgf/cm2程度となっている。また、加圧ローラ2は外径として端部よりも中央部の径が小さい逆クラウン形状になっている。
かかる構成によって、加圧ローラ2、定着ローラ1とニップを形成した際に、弾性層15である発泡シリコンゴムの変形量が中央と端部で差ができる。この結果、用紙の搬送速度が中央と端部で連続的に変化し、中央部が遅く、端部が速くなって用紙Pが中央から端部に引っ張られる力が働き、しわの発生を防止できる。
中実芯金18の材質は熱伝導性の高いFeやステンレス(SUS)製、AlやCuで構成される。分離ローラ3は図示してないばねによって定着ローラ1に押圧され、第2ニップを形成する。
第2ニップは、ニップ幅が0.5〜3mmで面圧が2kgf以上になるような荷重に設定される。安定なニップ幅を形成するために、芯金18と離型層17間に0.05〜0.2mm程度のシリコンゴムなどの弾性層を設けても良い。
この場合、定着ローラ1の弾性層12の厚みよりも薄く、硬度が高い弾性層を用いる必要があり、第2ニップで分離ローラ3よりも定着ローラ1の弾性層12の変形を大きくでき、排紙方向を分離ローラ3側にすることができる。
この画像形成装置20本体の下部には給紙トレイ22が配置され、転写紙Pが積載されている。給紙トレイ22の上方には給紙コロ24が配置され、この給紙コロ24に圧接しているフリクションパッド25により1枚ずつ分離して転写紙Pをレジストローラ26へと搬送する。
給紙トレイ22、給紙コロ24及びフリクションパッド25は給紙手段を構成している。レジストローラ26の上方には、縦搬送路Bを挟んで感光体(像担持体)27と転写ローラ28が配置され、縦搬送路Bを上方に向かって移動する転写紙P上に、感光体27上のトナー画像を転写する。
感光体27を含んだ画像形成部Aの上方には、定着ローラ1と加圧ローラ2とからなる定着装置21が配置され、熱と圧力により未定着トナー画像を転写紙Pに定着する。
なお、第1及び第2の排紙トレイ31、32は、画像形成部Aよりも上側に位置し、かつコンタクトガラスCG上の原稿画像を読み取るスキャナユニット33よりも下方に位置しており、そして縦搬送路Bの終端付近に位置している。
第1の排紙トレイ31の直前位置には、第1の排紙ローラ34が配置され、第2の排紙トレイ32の直前位置には第2の排紙ローラ35が配置されている。第1の排紙トレイ31は通常使用するためのトレイであり、第2の排紙トレイ16はファクシミリやプリンタ画像などを仕分けしたい時に使用する補助的なトレイである。
また、定着ローラ1内部のハロゲンヒータ4により定着ローラ1が加熱され、所定の温度130〜180℃で通紙可能になる。画像形成部Aにより用紙P上に未定着のトナー像Tが形成され、定着装置21に搬送される。
排紙された用紙は第2ニップを通過し、分離ローラ3の押圧力により、定着ローラ1の弾性層12が凹状に変形しているため、分離ローラ3側に沿って図3のC方向に排紙され、用紙Pを定着ローラ1面より確実に剥離し、ジャム等の発生を防止できる。
この時、非通紙領域の定着ローラ1端部では用紙Pに熱が奪われないため、温度が上昇するが、定着ローラ1に押圧接触している分離ローラ3に熱が伝導し、分離ローラ3は軸方向に熱伝導率が高くなっているので、端部の熱が中央部に移動し、定着ローラ1の軸方向の温度ムラを防止し、均一な温度にすることが可能である。
これにより、定着ローラ1の劣化や、サイズが異なる用紙を連続的に通紙した場合でも、軸方向の温度ムラが生ぜず、画像の光沢ムラやホットオフセットなどの異常画像を防止できる。
図4では、上述したように、分離ローラ3は、その材質が熱伝導性の高いFeやステンレス(SUS)製、AlやCuである中実芯金18によって構成されている。図5では、分離ローラ3は、中空芯金19に接触するようにして分離ローラ3の中心にヒートパイプ36を設ける。
ヒートパイプ36はCuやAlに比べ100倍以上の熱伝導率があるため、第1の実施の形態の場合の金属製中実芯金18よりも軸方向の温度差を小さくすることができる。
分離ローラ3に第2の実施の形態の場合よりも径の細いヒートパイプ37を分離ローラ3の芯金39の外周近傍に複数個設ける。ヒートパイプ37が外周近傍に配置されており、また、複数のヒートパイプを使用することでさらに効率よく軸方向の熱を均一化可能にし、第2の実施の形態の場合よりもさらに軸方向の温度差を低減できる。
分離ローラ3の中心に硬質断熱材38として中空ビーズやセラミック繊維、エンボスフィルム積層部材などの断熱材をシリコン系接着材でバインドしたものや細孔状のセラミックである中空セラミックが設けられる。この硬質断熱材38は弾性体をほとんど含まず、硬質で中空ガラスビーズや気泡によって空気の含有率が高く、熱伝導率が0.2W/mK以下になっており、断熱性が高い。
このように、分離部材(分離ローラ)3の一部に硬質断熱材38を使用することで、分離ローラ3の見かけ上の熱容量を低減し、定着ローラ1の昇温時間を短縮する。また、金属やヒートパイプなどの高熱伝導率の部材との組み合わせにより定着ローラ1の軸方向の熱の均一化が可能である。
図8に示すように、芯金39は中央部がもっとも太く(直径a)、端部に行くほど径が細く(直径b)なるようなクラウン形状を採る。このような形状にすることによって、定着ローラ1(図3)に押圧した際に分離ローラ3の撓みが補正され、軸方向に均一な圧力で押圧される。
従って、定着ローラ1と分離ローラ3は均一なニップ幅で接触するため、第2乃至第4の実施の形態の場合に比べ、定着ローラ1からの熱伝導の偏りが小さくなり、より効率よく軸方向の温度差を低減できる。
T トナー(トナー像)
P 用紙(記録媒体)
1 定着ローラ
2 加圧部材(加圧ローラ)
3 分離部材(分離ローラ、熱均一化部材)
4 ハロゲンヒータ
12 弾性層(耐熱弾性層、シリコンゴム)
13 芯金(定着ローラ1の)
18 中実芯金(分離ローラ3の)
19 中空芯金(分離ローラ3の)
36 ヒートパイプ
37 ヒートパイプ
38 硬質断熱材
39 芯金(分離ローラ3の)
Claims (4)
- 耐熱弾性層を有する定着ローラと、この定着ローラに圧接する加圧部材と、前記定着ローラと前記加圧部材で形成する第1ニップの下流側で、前記定着ローラに圧接して第2ニップを形成しかつ前記耐熱弾性層を変形させることで前記定着ローラから用紙を分離する分離部材を有する定着装置において、
前記分離部材が軸方向の熱均一化部材であり、該熱均一化部材を構成する材料は、少なくとも金属もしくは金属に埋め込まれたヒートパイプと、硬質断熱材の組み合わせであることを特徴とする定着装置。 - 前記ヒートパイプは複数で構成されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記分離部材がクラウン形状のローラであることを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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