JP4894328B2 - 脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸 - Google Patents

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Description

本発明は、耐加水分解性と捲縮のヘタリが抑制された、耐久性に優れた脂肪族ポリエステルからなるカーペット用捲縮糸を提供する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等に代表されるポリエステルは、機械的特性及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維に使用されている。代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とする芳香族ポリエステル、例えばPETの場合にはテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。一方、脂肪族ポリエステルに含まれるポリ乳酸は、ラクチドの開環重合や乳酸の直接重合などにより製造されている。
このうち、脂肪族ポリエステルについては芳香族ポリエステルと比較して機械的強度や熱的な特性は劣るものの、柔軟性・透明性に優れることや原料が植物であるなど、地球環境問題等を考えた際には芳香族ポリエステルにはない特徴があり、現在さまざまな分野で用途開発が進行している。
しかしながら、脂肪族ポリエステルは一般に加水分解速度が速く、容易に分子量が低下してしまうため、成形品の力学強度を保つことが困難であった。熱と湿度が高い条件ではその傾向が顕著であり、実用化に際しての障害になっていた。特に繊維の分野では比表面積が他の成形品に比較して高いため、上記の加水分解を受けやすいことがわかっている。
そこで脂肪族ポリエステルの酸末端やアルコール末端を別の化合物で置換して、その加水分解を抑制する技術が、例えば特許文献1に記載されている。該文献記載の技術は末端封鎖剤としてカルボジイミド化合物やエポキシ化合物を用いることが記載されている。しかしながら、単純に耐加水分解性を向上させるのみでは、カーペット用捲縮糸の熱水処理工程(染色、熱セットなど)での捲縮のヘタリを抑制することは困難であった。
一方、そのような問題の少ない末端封鎖性の化合物を添加する方法として特許文献2に挙げられる方法が記載されている。特許文献2に記載の化合物は3官能性であることから溶融成形の際に増粘することで低延伸倍率でもガスバリア性が向上することが記載されている。しかし、特許文献2はフィルムに関するものであり、繊維については検討がされていない。
特開平08−120520号公報(3頁、0014段落) 特開2005−314444号公報(2頁)
本発明は、耐加水分解性と捲縮のヘタリが抑制された、耐久性に優れた脂肪族ポリエステルからなるカーペット用捲縮糸を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、130℃〜200℃の加熱流体を用いた加熱流体捲縮付与装置に導入して捲縮を付与された、2官能以上のエポキシ系末端封鎖剤と脂肪族ポリエステルから構成され、前記脂肪族ポリエステルのCOOH末端基に前記エポキシ系末端封鎖剤が少なくとも一部反応している脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸により上記課題が解決できる。
本発明で使用する脂肪族ポリエステルは、飽和ジカルボン酸とジオールとの重縮合により得られるもの、またはヒドロキシカルボン酸を重縮合したものである。これら重縮合により得られる脂肪族ポリエステルの例として、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)共重合体、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのグリコールとコハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸よりなるポリエステルなどが挙げられる。
これら脂肪族ポリエステルは芳香族ポリエステルと比較して加水分解が早いデメリットがあるものの、その原料を天然物由来とし易いこと、また芳香族ポリエステルと比較して一般的に柔軟であることなどから、ポリエステルとして脂肪族ポリエステルを用いることが好ましい。また、これら脂肪族ポリエステルのうちポリ乳酸は力学的特性や耐熱性の面で、他の脂肪族ポリエステルよりも優れており、特に好適に用いられる。
また、本発明で特に好適に用いられるポリ乳酸は、L−乳酸を主体とするものとD乳酸を主体とするものの2種類が知られており、本発明においてはどちらを主体としたポリ乳酸を用いても良いが、ポリ乳酸中の乳酸の光学純度が97%以上であれば、樹脂の融点を高くすることができる、すなわち耐熱性に優れるため好ましい。一般に本発明で特に好適に用いられるポリ乳酸は、光学純度が低下すると結晶性が低下するために、得られた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は概して耐熱性が低下してしまい、実用的な脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得られない。このことから光学純度98%以上のポリ乳酸が好適に用いられる。ポリマー1分子中の光学純度が上記値を満たしている場合、例えばL−乳酸を主体とするポリマーとD−乳酸を主体とするポリマーを溶融混合したポリ乳酸を用いることもできる。この場合には、L−乳酸を主体としたポリ乳酸分子鎖とD−乳酸を主体としたポリ乳酸分子鎖がステレオコンプレックス結晶を形成し、該結晶はホモポリマーと比較して更に高融点となることから、脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の耐熱性に優れるため好ましい。また、本発明のエポキシ化合物が添加された繊維は耐湿熱老化特性も良好であり、耐熱性が高い脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は捲縮処理を高温蒸気で実施しても強度劣化が発生しにくく、高度に捲縮した品位に優れたものを得ることが可能であり好適である。
また上記ポリ乳酸の重量平均分子量は10万以上であることが、耐熱性、製糸性の観点から好ましい。重量平均分子量を10万以上とすることで、得られる脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の結晶性が増大して耐久性が向上し、捲縮のヘタリが少ないものを得られるばかりでなく、溶融時の流動性や結晶化特性も好ましい範囲とすることが可能となり、安定した生産が可能になる。このことから重量平均分子量は10万〜40万の範囲であるとより好ましく、12万〜25万の範囲が最も好ましい。
本発明で特に好適に用いられるポリ乳酸中に含まれる未反応のモノマー、オリゴマーの量は、0.01〜0.3重量%の範囲であることが好ましい。未反応のモノマー、オリゴマーは溶融成形中にブリードしてきて装置を汚染してしまったり、本発明のエポキシ化合物と反応してエポキシ化合物の活性を低下させてしまうが、ごく僅かの量が存在すると、所謂可塑剤として作用し、成形性を向上させることができる。このことからモノマー、オリゴマーの量は0.01〜0.2重量%の範囲であると好ましく、0.01〜0.15重量%の範囲がより好ましい。
また、本発明において用いられる脂肪族ポリエステルに対して、その特性を変化させない範囲で他の改質剤、添加剤や他のポリマーを含有することもできる。これら改質剤、添加剤や他のポリマーは重合時に添加しても良いし、先に混練したマスターペレットの形態としても良いし、直接脂肪族ポリエステルペレットと混合して溶融成形しても良い。更には上記脂肪族ポリエステルの基本特性を大きく変化させない範囲で他のモノマーを添加して共重合することも好適である。共重合される単量体は特に制限させるものではなく、脂肪族ポリエステルと共重合を行い、その分子量を低下させることがない、ジカルボン酸やアルキレングリコールなどが好ましく用いられる。該共重合成分の配合量は脂肪族ポリエステルに対して40モル%以下にすることで、脂肪族ポリエステルの基本特性を大きく変化させることがなく、所望の改質効果を得られるため好適である。
また、本発明の捲縮糸において2官能以上のエポキシ化合物を脂肪族ポリエステルの末端に反応させることが重要である。特に、上記2官能以上のエポキシ化合物は、化合物1分子中にエポキシ基を2個以上有することが重要である。化合物1分子に対してエポキシ基が2個以上あれば、脂肪族ポリエステルと溶融混練を行い、本発明のカーペット用捲縮糸を得た際に一部が脂肪族ポリエステルと反応し、分子量を増大させることで捲縮のヘタリを抑制すること、また湿熱老化特性をも向上させることが可能となる。
また、本発明の2官能以上のエポキシ化合物は、グリシジルオキシカルボニル基またはN−(グリシジル)アミド基を1分子内に少なくとも1個持つことを特徴とする。好ましくは、下記式(I)または(II)の構造を1分子内に少なくとも1個持つことが好適である。
Figure 0004894328
Figure 0004894328
(式中、R1は飽和結合・不飽和結合・置換基を含む炭化水素骨格を持つ官能基または炭素以外の共有結合性の原子を含む飽和結合・不飽和結合・置換基を含む官能基を示す。またR2は飽和結合・不飽和結合・置換基を含む炭化水素骨格を持つ官能基または炭素以外の共有結合性の原子を含む飽和結合・不飽和結合・置換基を含む官能基を示し、R1との環構造を形成しているものも含む。また式中1〜3はグリシジル基の反応性の説明のため便宜的に付したものである。)
上記式(I)または(II)の構造を1分子内に少なくとも1個持つことが好適である。上記式(I)または(II)の構造を持つエポキシ化合物について、様々な化合物を検討した結果、該構造を持つエポキシ化合物は特異的に反応性が高いことがわかった。この原因については定かではないが、以下のように考えている。カルボニル基の酸素は電子密度が高く、これが主にグリシジル基の式中1の炭素にアタックする形を取り、その結果エポキシ環が開いた擬似的な6員環構造を取り得る。すなわち、エポキシ環の開環に要するエネルギーが、該擬似的な6員環構造を持たない化合物と比較して低く済むため、特異的に反応性が高かったものと考えられる。このことから、本発明は2官能以上のエポキシ化合物として上記式(I)または(II)の構造を1分子内に少なくとも1個持つ化合物を用いることが好適である。
また、該擬似的な6員環構造を取り得る化合物の具体例として、式(I)の化合物は、7,8−ジメチル−1,7,8,14−テトラデカンテトラカルボン酸テトラキス(オキシラニルメチル)、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3,4−ジカルボン酸ジグリシジル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]エチレン、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,3−プロパンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,4−ブタンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,5−ペンタンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,6−ヘキサンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,7−ヘプタンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,8−オクタンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,9−ノナンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,10−デカンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,11−ウンデカンジイル、ビス[2−(グリシジルオキシカルボニル)−4,5−エポキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸]1,12−ドデカンジイル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(オキシラン−2−イルメチル)、4,4−ビス[4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)フェニル]ペンタン酸2,3−エポキシプロパン−1−イル、4,4−ビス[4−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)フェニル]ペンタン酸2,3−エポキシプロパン−1−イルなどの群、シュウ酸ジグリシジルエステル、マロン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、グルタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ピメリン酸ジグリシジルエステル、オクタン二酸ジグリシジルエステル、ノナン二酸ジグリシジルエステル、デカン二酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、1,6−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステルなどのジカルボン酸ジグリシジルエステルの群、モノ(置換−または非置換−)フェニルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(置換−または非置換−)アラルキルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(置換−または非置換−)ナフチルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(置換−または非置換−)ナフチルアルキルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(置換−または非置換−)アルキルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(置換−または非置換−)アリルジグリシジルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸変性体があり、具体例としては、モノベンジルジグリシジルイソシアヌレート、モノフェニルジグリシジルイソシアヌレート、モノナフチルジグリシジルイソシアヌレート、モノナフチルメチルジグリシジルイソシアヌレート、モノベンジルジ(メチルグリシジル)イソシアヌレート、モノフェニルジ(メチルグリシジル)イソシアヌレート、モノナフチルジ(メチルグリシジル)イソシアヌレート、モノナフチルメチルジ(メチルグリシジル)イソシアヌレート、モノメチルジグリシジルイソシアヌレート、モノエチルジグリシジルイソシアヌレート、モノプロピルジグリシジルイソシアヌレート、モノブチルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノ(2,3−ヒドロキシ)プロピルジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどの群が挙げられ、上記各群から選ばれる少なくとも1種の単量体を選択するほか、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ノルボルナ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸2−メチル3−グリシジル、2−フェニルノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−(ピペリジノカルボニル)ノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−(ジプロピルカルバモイル)ノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−メチレンブタン酸(2−エチルオキシラン−2−イル)メチル、3−ペンテン酸グリシジル、4−ペンテン酸グリシジル、5−ヘキセン酸グリシジル、6−ヘプテン酸グリシジル、7−オクテン酸グリシジル、8−ノネン酸グリシジルやこれらの変性体を少なくとも1種含む単量体を重合した重合体などが挙げられる。
本発明の2官能以上のエポキシ化合物として上記のうち単量体を用いる場合には、耐熱性やエポキシ指数による反応効率を考慮した場合、7,8−ジメチル−1,7,8,14−テトラデカンテトラカルボン酸テトラキス(オキシラニルメチル)、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3,4−ジカルボン酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレートが好ましく、更にトリグリシジルイソシアヌレートを用いると好適である。トリグリシジルイソシアヌレートは融点が約100℃の粉体であり、取り扱いが容易であるほか、本発明の脂肪族ポリエステルと例えば2軸型押出機にて溶融混合した際に、トリグリシジルイソシアヌレートが溶融して分散することで脂肪族ポリエステル中に微分散した構造とすることができる。脂肪族ポリエステルを前記構造とすることで、樹脂の溶融粘度や分子量の斑を低減できることから、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を安定して製造することが可能となるばかりでなく、得られる脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の糸斑を抑制し、強伸度、捲縮特性のバラツキが少ない優れた品質の捲縮糸を得ることができる。
また本発明の2官能以上のエポキシ化合物として上記のうち重合体を用いる場合には、反応性および脂肪族ポリエステルとの相溶性を考え、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ノルボルナ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸2−メチル3−グリシジル、2−フェニルノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−(ピペリジノカルボニル)ノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−(ジプロピルカルバモイル)ノルボルナ−2,5−ジエン−3−カルボン酸グリシジル、2−メチレンブタン酸(2−エチルオキシラン−2−イル)メチル、3−ペンテン酸グリシジル、4−ペンテン酸グリシジル、5−ヘキセン酸グリシジル、6−ヘプテン酸グリシジル、7−オクテン酸グリシジル、8−ノネン酸グリシジルやこれらの変性体を少なくとも1種含む単量体を少なくとも1種含む重合体とすることが好適である。また、脂肪族ポリエステルとの相溶性や反応性を調整する上で、上記単量体以外の単量体を共重合したものも好適に用いられる。前記共重合成分としては、炭素−炭素2重結合を有し、上記単量体と重合可能な成分であれば特に制限はないが、例えばエチレン、プロペン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、2−メチルプロペン、イソプレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−へキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチルやこれらの変性体などが挙げられる。
これら共重合可能な成分のうち、上記反応性の単量体との反応性や脂肪族ポリエステルとの相溶性を考慮し、また入手のし易さなどからエチレン、プロペン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−へキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−へキシルが好適であり、エチレン、スチレン、イソプレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−へキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−へキシルやこれらの変性体が更に好適に用いられる。特に、脂肪族ポリエステルのうち本発明で好適に用いられるポリ乳酸を使用した場合には、アクリル酸またはメタクリル酸を骨格とした化合物であると、ポリ乳酸との相溶性に優れた構造とすることができ、樹脂中へ均一に添加・反応させることが可能となることからより好適である。
上記反応性の単量体に対して共重合成分である単量体の組成は任意に決定できるものであるが、エポキシ化合物のエポキシ指数、脂肪族ポリエステルとの相溶性、熱的・物理的特性などは、目的に応じて適宜決定する。前記単量体もしくは重合体のエポキシ化合物のエポキシ指数は好ましくは500〜15000当量/tの範囲である。該範囲のエポキシ指数を持つ2官能以上のエポキシ化合物を本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸に添加することで、脂肪族ポリエステルと一部が反応し、また増粘やゲル化の問題がないものを安定して製造することが可能になる。一般に溶融紡糸においては増粘が発生すると製糸安定性が損なわれて収率が悪化する傾向にあるが、上記範囲のエポキシ指数を持つ化合物であれば前記した問題が無く、また本発明の効果、すなわち脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を再度溶融成形した際に、残存したエポキシ基と脂肪族ポリエステルの末端が反応することで、重量平均分子量が増大して、捲縮のヘタリを抑制できる。このことからエポキシ指数は本発明の効果を達成するため、また安定した製糸を行うため上記範囲とすることが好ましく、前記範囲は1000〜12000当量/tであるとより好ましく、3000〜12000当量/tの範囲であると最も好ましい。
また、本発明の2官能以上のエポキシ化合物は、その添加量を0.3〜3.0重量%の範囲とすることが好ましい。エポキシ化合物の添加量が0.3重量%以上であれば、本発明の分子量増大による捲縮のヘタリを抑制することが十分に可能となる。またエポキシ化合物の添加量が3.0重量%以下であれば、前記分子量増大効果を得られるほか、化合物によるコスト増を避けることが可能となり、更には製造中の飛散による環境悪化を未然に防止して、安定した製造が可能となる。これらのことから、エポキシ化合物の添加量は0.7〜2.0重量%の範囲がより好適である。
また、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は、前記のエポキシ化合物添加効果によって、脂肪族ポリエステルのCOOH末端基濃度が20当量/t以下であることが好適である。一般にポリエステル繊維はCOOH末端基濃度が高いと加水分解による分子量低下が発生し易く、長期間の保管や高温・多湿の環境に晒される船便での輸送などに際して、その強度やタフネスが低下してしまうという問題がある。本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸中のCOOH末端基濃度を前記範囲とすることで、加水分解による繊維の劣化を抑制することが可能となり、更にはカーペット製造工程にてかかる熱水処理においても劣化を防止できるため、優れた品質をもつ脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得ることが可能となる。COOH末端基濃度は低いほど前記の効果が高いため好適であるため、その濃度は15当量/t以下であることがより好適であり、10当量/t以下であることが更に好適であり、検出されないことが最も好適である。
また、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の強度は0.8〜3cN/dtexの範囲であると、糸条の染色工程や撚糸工程の通過性、タフティングの際の糸切れを防止することが可能となり、品位に優れたカーペットを得ることが可能となる為好適である。このことから強度のより好ましい範囲は1〜3cN/dtexである。
また、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の捲縮伸長率は3〜18%の範囲であると、カーペットとした際のバルキー性に優れるためボリューム感に優れたカーペットを得ることができ、また捲縮加工時に過度の熱処理を行う必要がないため、繊維強度に優れた捲縮糸を得ることが可能となるため好適である。このことから捲縮伸長率は5〜15%の範囲であるとより好適である。
本発明におけるポリ乳酸捲縮糸は、その総繊度が600〜2500dtexであることが好適である。総繊度が600dtex以上であれば、カーペット用パイルとしてタフトした場合、実用の目付として安定したタフティングが可能となり、品位に優れたカーペットを得ることが可能となる。また撚糸を施し諸撚り糸のカットパイルとして使用してもゲージやステッチを量産品と大きく変更することなく生産が可能であり、ボリューム感に優れたカーペットを低コストで得ることができる。また、総繊度を2500dtex以下にすることで、製糸工程での糸条の冷却をスムーズに行うことが可能となり、糸斑のない、工程通過性に優れた捲縮糸を得ることが可能となる。これらのことから、総繊度は800〜2000dtexの範囲であるとより好ましい。
本発明における脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸とは、加熱流体処理などにより3次元ランダムなスパイラル形状を与えられ、カーペット等の表糸として優れたバルキー性を付与されたマルチフィラメントヤーンである。前記3次元ランダムなスパイラル形状とは、脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の構成単糸が、少なくとも一部が加熱流体処理などによって繊維直径方向に膨らんだ形状を持つことを指し、該構造を持つことで本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は所望のバルキー性や伸縮性、嵩高性を持つことが可能となる。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は、マルチフィラメントに3次元的なクリンプを付与することにより嵩高性を持たせた糸を指す。これによりカーペット等の表糸として用いたときにバルキー性を発現することが可能となる。マルチフィラメントに対する捲縮は、特に制限なく公知の方法で付与できる。ギヤなどによる機械捲縮、紡糸時の非対称熱処理による捲縮付与、仮撚り加工方式、加熱流体処理による捲縮付与等が挙げられる。中でも3次元のランダムな捲縮を付与する点、高捲縮を付与できる点から加熱空気あるいは蒸気などの加熱流体により付与することが好ましい。また加熱流体を使用する方法は、糸へのダメージを少なくして捲縮が付与できるため、高い引張り強度の捲縮糸を得ることが可能となるため特に好適である。
本発明においては、柔軟でソフトな風合いのカーペットを得るために、脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を構成する単糸の繊度を、5〜30dtexの範囲とすることが好適である。一般に脂肪族ポリエステルからなるフィラメントの場合には、単糸繊度を小さくすればするほどフィラメント製糸工程での単糸切れを生じやすく、また特にカーペット等の表糸に適した捲縮を得ようとする場合には、流体捲縮処理等の捲縮加工工程を通過する直前に、高い延伸倍率にて延伸する必要があって、この際に単糸の延伸切れが頻発したり、さらには加熱流体捲縮処理等の捲縮加工工程時に糸切れを生じたりするばかりか、カーペット等として使用中に、フィブリル化しやすくなる。しかしながら、単糸繊度を5dtex以上にすることで、上記した問題が発生することなく、更にはカーペットにした際のピリング発生を抑制でき、高捲縮かつ工程通過性に優れた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得ることが可能となるため好適である。また、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を構成する単糸の繊度を30dtex以下にすることで、得られる脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の柔軟性を保ち、得られるカーペットの風合いを向上でき、更には製糸工程での冷却を均一化し易いため、工程安定性に優れた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得ることができるため好適である。
本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の断面形状は特に限定されるものではないが、糸切れ等のない、工程安定性に優れた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得るためには、繊維の断面形状は丸断面であることが好適である。また、カーペットのバルキー性やカバーリング性を向上させるために、三葉断面や中空断面、扁平断面などの異形断面繊維も好適である。
三葉断面の場合には、工程安定性や上記したカバーリング性、バルキー性を両立しようとした場合、断面写真から測定される三葉断面の内接円の直径(A)と外接円の直径(B)の比(B÷A)から算出される断面変形度は、1.5〜5.5の範囲であることが好適である。断面変形度が上記範囲であれば、十分な工程通過性とカバーリング性、バルキー性を両立することが可能となり、更には繊維表面の光の反射によって光沢感を持たせたカーペットを得ることができる。
また、中空断面の場合には、断面写真から測定される中空率は5〜50%の範囲であることが好適である。中空率が5%以上であればバルキー性に優れた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得ることが可能となり、また中空率が50%以下であれば中空部のつぶれによる異常を防止することが可能となるため、十分な工程通過性とカバーリング性、バルキー性を両立することが可能となり、カーペットにした際の品位に優れるのである。これらのことから、中空率は10〜30%の範囲であるとより好適である。また、中空断面の中空部の形状及び数は特に規定されるものではないが、形状は丸断面であることが、中空部のつぶれにくさの点から好適である。また、カットパイルとして用いた際には、中空断面を持つことで汚れが付着しても目立たないため好適である。
また、扁平断面の場合には、断面写真から測定される長径(C)と短径(D)から算出される扁平度(C÷D)は2〜6の範囲であることが好ましい。扁平度が2以上であれば捲縮糸の柔軟性を十分に向上させることが可能となり、またカバーリング性も向上させることが可能となる。また、扁平度が6以下であれば、工程通過性に優れ、糸の剛性も確保できるため、風合いに優れたカーペットを得ることができる。このことから、扁平度は3〜5の範囲であるとより好適である。また、前記扁平断面を持つ脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の断面には、1個以上の凸部を有するものも好適に用いられる。
次に、本発明のポリ乳酸捲縮糸の好ましい製造方法の一例について説明する。
まず、脂肪族ポリエステルのチップ及び2官能以上のエポキシ化合物を別々に計量して押出し機に供給し、続いて紡糸パック内で濾過を実施した後、紡糸口金から紡糸する。このとき、2官能以上のエポキシ化合物は、事前に高濃度添加されたマスターペレットとして供給することも好適である。紡出された糸条は、冷風により冷却・固化され、次いで油剤が付着される。油剤は公知の油剤が使用可能であり、用途に応じて繊維の摩擦係数をコントロールする適正な油剤を使用することが望ましい。その後糸条は引取りロールで引き取られた後、熱延伸される。本発明の引張り強度と捲縮伸長率の好ましい範囲を同時に満足させるための好ましい条件としては、引き取り速度400〜2000m/分、延伸倍率は2〜5倍を採用することが好適である。延伸は毛羽や単糸切れを抑制するために、引き取りまでにある程度配向を進めておき、最終的に3倍程度の延伸を施すことがより好ましい。
延伸に際し、十分な予熱を行い、糸の失透や物性低下を抑制するために、ネルソンローラを用いることが好ましい手法である。続いて加熱流体捲縮付与装置に導入して捲縮が付与される。捲縮付与のための、加熱流体としては加熱蒸気もしくは加熱空気が好ましく用いられる。通常糸条に付与する加熱流体の温度としては130℃〜200℃が好適として採用される。加熱流体の温度は130℃以上であれば高捲縮の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得ることが可能となり、200℃以下であれば単糸の融着を抑制でき、更には捲縮糸の強度低下を防止することができる。また加熱媒体は脂肪族ポリエステルの加水分解によるダメージを少なくする点から加熱蒸気よりも加熱空気の使用がより好ましい。
しかし、本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸はエポキシ化合物が添加され、耐湿熱老化特性が向上しているため、加熱流体に加熱蒸気を用いることもできる。その場合の加熱蒸気の温度は捲縮の付与性、加水分解抑制の観点から130〜170℃の温度であることが好ましい。
捲縮が付与された糸条は冷却された後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばされて、最後にパッケージに巻き取られる。本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸は、通常0.1cN/dtex以下の巻き取り張力が採用される。巻取張力を0.1cN/dtex以下とすることで、巻取糸のパッケージ形状を好適な状態にすることができ、また経時による強力低下や端面での強力低下、巻き取られた繊維が経時変化によって捲縮がヘタることを抑制することができる。以上の製法は上記工程の任意部分で一旦糸条を巻取ってもよいが、好ましくは連続で行うのが好適である。
次いで、上記の方法により得た脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸をタフティング機にセットし、脂肪族ポリエステル不織布または芳香族ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布などの基布などにタフティングした後、不織布またはポリプロピレンなどのバッキング材で裏張りを行うことにより、カーペットを得ることができる。
なお、必要に応じて、途中にスチーミング工程、ブラッシング工程、スプレー工程、染色工程、シャーリング工程およびポリシャー工程などの加工工程を付加することも可能である。
本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸より得られるカーペットは、上記カーペットをそのまま使用してもよく、また縫製して整形することによりカーマットなどのマットとして使用してもよい。
本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸より得られるカーペットやカーマットは、縫製用の縫糸及びバッキング材、基布は本発明で使用した脂肪族ポリエステルと同様のものを使用することで、リサイクルや廃棄段階での工程を簡略化することが容易になり好適である。
以下に本発明の好ましい実施の態様を示すが、本発明はこれら記載に対して何ら制限を受けるものではない。
A.重量平均分子量および分散度
本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸あるいは脂肪族ポリエステルポリマー試料10mgを、4mlのクロロホルム(高速液体クロマトグラフ用)に溶解し、目開き0.15μmのメンブランフィルターを用いて濾過したものを試料溶液とした。その後、Waters社製ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)“Waters2690”を用いて25℃、注入サンプル量200μlでクロロホルム(高速液体クロマトグラフ用)流量1.0ml/分にて測定し、分子量既知のポリスチレン6サンプルを標準物質として、主分散ピークから換算して重量平均分子量を求めた。
B.エポキシ化合物のエポキシ指数
エポキシ指数は、JIS K7236(2001)に従いエポキシ指数EI(単位:当量/kg)を算出し、これを1,000倍してエポキシ指数(当量/t)とした。
C.COOH末端基濃度
0.5gに精秤した本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより測定した。この時、脂肪族ポリエステルのオリゴマーが加水分解し、COOH末端基を生じることがあるため、ポリマーのCOOH末端基濃度およびモノマー由来のCOOH末端基濃度、オリゴマー由来のCOOH末端濃度の全てを合計したCOOH末端基濃度が求まる。
D.総繊度及び単糸繊度
本発明の実施例で得られた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸について、100mのカセ取りを行い、その重量Wを求め、下記式(III)にて総繊度を求めた。また、フィラメント数Nから下記式(IV)にて単糸繊度を求めた。
総繊度(dtex)=W×100 ・・・・・(III)
単糸繊度(dtex/F)=W×100÷N ・・・・・(IV)。
E.繊維の強度
オリエンテック製テンシロンUCT−100にて試料長200mm、引張速度200mm/分にて強伸度曲線を描き、最大点の応力値を繊維の強度とした。
F.脂肪族ポリエステルの融点及び結晶化特性
TA Instruments社製DSC“2920modulatedDSC”を用いて、昇温速度16℃/分、試料量10mgにて融点ピークを求め、そのピークトップ位置を融点とした。
G.捲縮伸長率
室温(20〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されたパッケージから解舒した脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料として使用する。この試料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/dtex)の張力を与える初荷重をかけ、30秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90mg/dtex)の張力を与える定荷重をかけて、30秒経過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで下記式(V)により、捲縮伸長率(%)を求めた。
捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100 ・・・・・(V)。
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用される時の捲縮状態、つまり、吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ、結露を生じないという点から採用したものである。
H.捲縮のヘタリ
本発明の実施例で得られた脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸の製造直後の捲縮伸長率C1と、50℃×95%RHの環境下で400時間湿熱老化処理後の捲縮伸長率C2を上記G.の方法で測定し、下記式(VI)から捲縮保持率を求めた。捲縮保持率が80%以上のものを◎、60%以上のものを○、60%未満のものを×として○以上を合格とした。
捲縮保持率(%)=C2÷C1×100 ・・・・・(VI)。
I.湿熱老化特性
本発明の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸をカセ取りし、H.と同様の条件で湿熱老化処理を施し、処理前の強度(T1)及び処理後の強度(T2)から下記式(VII)から強度保持率を求めた。強度保持率が70%以上のものを◎、50%以上のものを○、50%未満のものを×として○以上を合格とした。
強度保持率(%)=T2÷T1×100 ・・・・・(VII)。
[実施例1]
純度99.8%のL乳酸(D−乳酸含量0.2%)を出発物質としてビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させて窒素雰囲気下180℃で160分間重合を行った。その後、冷却溶媒中でカットして、重量平均分子量は16万、分散度が1.7、粒度35mg/個、COOH末端基濃度25.2当量/tであるポリ乳酸ペレットP1を得た。また、ラクチド量を測定したところ0.11重量%であった。
得られたポリ乳酸ペレットP1を樹脂温度80℃、真空下で4時間の乾燥を実施して絶乾状態とした。該ポリ乳酸ペレットP1に対して、2官能以上のエポキシ化合物として日産化学製工業製TEPIC−S(物質名トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ指数10101当量/t)1.0重量%をテクノベル製2軸押出機(KZW−15TWIN)にて混練温度200℃にて押出した後、冷却・ペレタイズを行い、ポリ乳酸樹脂組成物P2を得た。
その後、ポリ乳酸樹脂組成物P2を100℃、真空下で4時間の乾燥を実施して絶乾状態とした。その後、貯留ホッパーにポリ乳酸樹脂組成物P2を投入し、紡糸温度220℃、紡糸機内滞留時間8分にて丸孔54ホールを有する紡糸口金から吐出量304.5g/分にて紡出し、引取速度700m/分、予熱温度70℃、延伸倍率3.0倍にてローラー間にて延伸を施し、ついで捲縮予熱ロール温度130℃、200℃の加熱空気による捲縮処理を施し、冷却ドラムにて糸条を冷却後、巻取張力0.08cN/dtexにて1450dtex−54F(単糸繊度26.9dtex/F)のポリ乳酸捲縮糸を得た。得られたポリ乳酸捲縮糸の物性評価を実施した結果を表1に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例2]
2官能以上のエポキシ化合物の添加量を0.5重量%とした以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表1に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例3]
2官能以上のエポキシ化合物の添加量を1.5重量%とした以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表1に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[比較例1]
2官能以上のエポキシ化合物を添加せずに、実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表1に示すが、品位には優れていたものの、捲縮のヘタリが顕著であった。
Figure 0004894328
[実施例4]
紡糸口金の吐出孔形状をY断面(スリット幅0.12mm、スリット長2mm)とした以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表2に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例5]
紡糸口金の吐出孔形状を中空断面(3スリット型、スリット幅0.1mm、スリットのPCD3.0mm)とした以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表2に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例6]
紡糸口金の吐出孔形状をスリット型断面(スリット比1:4、スリット幅0.35mm、スリット長1.4mm)とした以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表2に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
Figure 0004894328
[実施例7]
2官能以上のエポキシ化合物として東亞合成製ARUFON UG−4030(エポキシ指数1800当量/t、アクリル−スチレン系共重合樹脂、重量平均分子量11,000)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表3に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例8]
2官能以上のエポキシ化合物として東亞合成製ARUFON UG−4100(エポキシ指数1100当量/t、アクリル−スチレン系共重合樹脂、重量平均分子量9,200)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表3に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例9]
2官能以上のエポキシ化合物として日本油脂製モディパーA4200(エポキシ指数725当量/t、エチレン−グリシジルアクリレート−ポリメチルメタクリレート系共重合樹脂)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表3に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例10]
2官能以上のエポキシ化合物として四国化成工業製MA−DGIC(モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、エポキシ指数8368当量/t)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表3に示すが、捲縮のヘタリが高度に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例11]
2官能以上のエポキシ化合物としてナガセケムテックス製デナコールEX−920(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ指数5450当量/t)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表3に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位に優れたものが得られた。
Figure 0004894328
[比較例2]
2官能以上のエポキシ化合物の代わりにナガセケムテックス製デナコールEX−731(N−グリシジルフタルイミド、エポキシ指数4650当量/t)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表4に示すが、品位には優れていたものの、捲縮のヘタリを抑制できなかった。
[比較例3]
2官能以上のエポキシ化合物の代わりにナガセケムテックス製デナコールEX−146(n−tertブチルフェニルグリシジルエーテル、エポキシ指数4430当量/t)を用いた以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表4に示すが、品位には優れていたものの、捲縮のヘタリを抑制できなかった。
Figure 0004894328
[実施例12]
口金のホール数を96に変更した以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表5に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例13]
吐出量を420g/分に変更した以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表5に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位良好なものが得られた。
[実施例14]
口金のホール数を96に変更した以外は実施例13と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表5に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位に優れたものが得られた。
[実施例15]
延伸の予熱温度を70℃から100℃、延伸倍率を3.3倍に変更した以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル捲縮糸を得た。得られたサンプルの物性値を表5に示すが、捲縮のヘタリが十分に抑制され、品位に優れたものが得られた。
Figure 0004894328

Claims (3)

  1. 130℃〜200℃の加熱流体を用いた加熱流体捲縮付与装置に導入して捲縮を付与された、2官能以上のエポキシ系末端封鎖剤と脂肪族ポリエステルから構成され、前記脂肪族ポリエステルのCOOH末端基に前記エポキシ系末端封鎖剤が少なくとも一部反応していることを特徴とする脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸。
  2. 2官能以上のエポキシ化合物が、グリシジルオキシカルボニル基またはN−(グリシジル)アミド基を1分子内に少なくとも1個持つことを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸。
  3. 2官能以上のエポキシ化合物が、アクリル酸グリシジルエステルを含む重合体、メタクリル酸グリシジルエステルを含む重合体、p−アリル安息香酸グリシジルを含む重合体、イソシアヌル酸のグリシジル化物、2官能以上の酸末端を持つ多価カルボン酸(のグリシジルエステルからなる群のうち、少なくとも1種から選ばれるものであることを特徴とする請求項2記載の脂肪族ポリエステルカーペット用捲縮糸。
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