本発明による交換システムの第1の実施例を図1に示す。
図1において、交換装置100は、アクセス網600を介して複数の通信端末や他の交換装置等の機器と接続されている。交換装置100は、通信端末500内の通信制御部504を介して通信端末500から接続要求を受けた場合、或いは他の通信端末や交換装置から通信端末500への接続要求を受けた場合に、通信制御部110を機能させてかかる接続処理を実行する。
アクセス網600は、例えば、アナログ加入者回線網、ISDN加入者回線網、或いはCATVやLAN、WANなどの通信ネットワークである。また、アクセス網600において用いられる通信プロトコルは、アクセス網の属性や形態に応じて、例えば、アナログ加入者回線プロトコル、ISDN加入者回線プロトコル、或いはインターネット・プロトコル(以下「IP」という)など様々の方式がある。因みに、どのようなアクセス網が選択されて如何なる通信プロトコルが用いられた場合であっても、本発明の実施がかかる事例に限定されることはない。
交換装置100は、図1に示される如く、以下の各要素から構成されている。
端末インタフェース部101(以下「端末IF部101」という)は、各通信端末からアクセス網600を介して受信される各種の要求や応答、或いは通知やその他の情報を受け付ける機能を有する部分である。また、端末IF部101は、各種の要求や応答、或いは通知やその他の情報を、アクセス網600を介して通信端末等の機器に対して送出する機能も有している。
通信制御部110は、前述の如く、通信端末500と他の通信端末、若しくは他の交換装置配下の通信端末との通信を制御する機能を有している。なお、通信制御部110は、上述の端末IF部101を用いて通信端末500等との通信処理を実行する。
通信相手情報選択編集部102(以下「情報編集部102」という)は、通信端末500からのサポート情報要求を端末IF部101を介して受信する部分である。情報編集部102は、受信したサポート情報要求を分析すると共に、該サポート情報要求の中に含まれる情報に従って交換装置100内の各種機能や必要に応じて、他の交換システム200や他のITシステム300にアクセスして、要求元の通信端末に提供すべきサポート情報を収集して選択・編集する機能を有している。
ここで、サポート情報とは、通信端末或いはそのユーザが所望の目的を達成するために利用可能な、アドレス情報、アクセス方法に関する情報、或いはプレゼンス情報等の情報をいう。これをさらに具体的に示せば、例えば、通信先候補の名前または装置名、電話番号、メールアドレス、インスタント・メッセージング用のユーザID、或いはSIP(Session Initiation Protocol) URI等の通信アドレス情報や、その他のプレゼンス情報が該当する。なお、サポート情報によって提示される通信先候補は、複数存在する場合があり、これら複数の候補については、ユーザの要求に応じた優先度による順位付けや階層化などの情報構造を持たせて、その構造に適した形でユーザに表示・提供される。
すなわち、サポート情報は、上記の各情報が複数若しくは組み合わされて構成される場合があり、情報編集部102は、収集した情報からユーザの希望する情報を選択して、必要に応じて組み合わせ、或いは加工する機能を有している。情報編集部102は、選択し、組み合わせ、或いは加工した情報を用いて、さらに交換装置100内の各種機能や必要に応じて、他の交換システム200や他のITシステム300にアクセスする行程を必要なサポート情報が得られるまで繰り返す。その後、情報編集部102は、得られたサポート情報を端末IF部101を用いて、アクセス網600を介して通信端末500に送信する。
なお、本実施例においては、情報編集部102若しくはこれと同等の機能を、交換装置100ではなくITシステム300に設けるようにしても良い。このような場合は、通信端末500が交換装置100に送信したサポート情報要求を交換装置100がITシステム300に転送するようにしても良いし、或いは、通信端末500が直接にITシステム300に対してサポート情報要求を送出するようにしても良い。
他システムインタフェース部103(以下「他システムIF部103」という)は、交換装置100内の各部が同装置の外にあるITシステム300と通信する際に用いられる部分である。なお、交換装置100とITシステム300との間では、予め定められた通信プロトコルに従って通信処理が行われる。因みに、かかる通信プロトコルとしては、例えば、共通線信号方式におけるSCCP(signalling connection control part)、TCAP(transaction capability application part)や、LDAP(lightweight directory access protocol)、HTTP(hypertext transfer protocol)、SOAP等のIPプロトコル、或いは通信を行う各々のITシステム独自の通信プロトコルなどが想定される。
他交換装置インタフェース部104(以下「他交換装置IF部104」という)は、交換装置100内の各部が同装置の外部にある交換装置200と通信する際に用いられる部分である。なお、交換装置100と交換装置200との間では予め定められた通信プロトコルに従って通信処理が行われる。因みに、この際に使用される通信プロトコルとしては、例えば、共通線信号方式におけるISUP(ISDN user part)、SCCP、TCAPや、SIP(session initiation protocol)、H.323等のIPプロトコル、或いは通信を行う各交換装置独自の通信プロトコルなどが想定されている。
なお、上記の他システムIF部103、或いは他交換装置IF部104の説明において例示された各種の通信プロトコルは、説明の便宜上から例示的に列挙したものであり、本発明の実施がかかる事例に限定されるものでないことは言うまでもない。
プレゼンス情報管理部105は、各通信端末のユーザが通信を希望している相手先端末に関するプレゼンス情報をデータベースとして管理している部分であり、交換装置100内の他の各部からの要求に応じて該プレゼンス情報を提供する。
なお、プレゼンス情報管理部105は、交換装置100内の他の各部から要求されたプレゼンス情報の全部又は一部を自ら管理していない場合には、交換装置100の外部にある他のITシステム300や交換装置200から必要とするプレゼンス情報を得ることができる。因みに、プレゼンス情報管理部105は、他のITシステム300に対しては他システムIF部103を用いてアクセスを行い、他の交換装置200に対しては他交換装置IF部104を用いてアクセスを行う。
また、プレゼンス情報管理部105は、必ずしも交換装置100の内に設ける必要はなく、交換装置100外部の、他のITシステム300や他の交換装置200の内に設けるようにしても良い。この場合、プレゼンス情報を必要とする交換装置100内の各部は、直接に他システムIF部103或いは他交換装置IF部104を用いて、プレゼンス情報管理部105が駐在する適切な他のITシステム300、または他の交換装置200にアクセスを行って必要とするプレゼンス情報を得ることができる。
ここで、相手先端末に関するプレゼンス情報とは、相手先通信端末の状態や、当該通信端末にアクセスするためのアドレス情報や位置情報、或いはそれらの情報の取得時間、登録時間、並びにその有効期間などの情報をいう。なお、通信端末の状態とは、例えば、当該端末機器の電源のON/OFF、当該端末機器が通信中か否か、或いは端末のユーザが在席/離席か、さらには会議中か移動中かというような状況を示す表示、若しくはそのような表示に付随する詳細な情報を含むものをいう。また、通信端末にアクセスするためのアドレスとは、一般的には携帯電話番号を含む電話番号、電子メールアドレス、SIP URI、及びメッセージソフトのユーザIDなどがある。また、位置情報としては、端末あるいはユーザの位置する住所、建物名、建物の階(フロア)、居室名・番号、及び会議室名・番号などがある。因みに、これらの各情報は、単独で管理・利用されるようにしても良いし、複数或いは数種類を組み合わせて管理・利用するようにしても良い。なお、プレゼンス情報管理部105が如何なる状態で交換装置100に実装されるか、或いは、どのようなプレゼンス情報が用いられるかという点に関しては、発明実施上の技術的選択事項に過ぎず、本発明の実施がこれらの事例に限定されることはない。
スケジュール情報管理部106は、通信端末500のユーザが通信を望んでいる相手先通信端末、例えば、端末550のユーザのスケジュール情報をデータベースとして管理しており、交換装置100内の他の各部からの要求に応じて当該スケジュール情報を提供する部分である。
近年、個人のスケジュール情報の管理をネットワークアプリケーションとして、ユーザがWebブラウザなどを用いて実施する形態が普及しつつある。このような場合、個人のスケジュール情報は、ネットワーク上のデータベース内に置かれることが多い。スケジュール情報管理部106は、かかる状況を想定して交換装置100に設けられたものである。
なお、スケジュール情報管理部106は、交換装置100内の他の各部から要求されたスケジュール情報の全部あるいは一部を自らが管理していない場合に、他のITシステム300へ他システムIF部103を通して、または他の交換装置200へ他交換装置IF部104を通して当該スケジュール情報を取得するようにしても良い。また、スケジュール情報管理部106は、必ずしも交換装置100の内に設ける必要はなく、交換装置100外部の、他のITシステム300や他の交換装置200の内に設けるようにしても良い。この場合、スケジュール情報を必要とする交換装置100内の各部は、直接に他システムIF部103或いは他交換装置IF部104を用いて、スケジュール情報管理部106が駐在する適切な他のITシステム300、または他の交換装置200にアクセスを行って必要とするスケジュール情報を得ることができる。
ここで、スケジュール情報とは、前述の如く、例えば、通信端末550のユーザの個人スケジュール(予定)であって、ある時点における同ユーザの予定された状態や、同ユーザにアクセスするためのアドレス、位置、これらの情報の取得時間・登録時間及び有効期間等を示す情報をいう。なお、ユーザの状態とは、在席/離席、会議中、或いは移動中といった表示、並びにかかる表示に付随する詳細な情報示すものである。また、アクセスするためのアドレスとは、例えば、電話番号、携帯電話番号、電子メールアドレス、SIP URI、及びメッセージソフトのユーザID等が該当する。また、位置情報としては端末或いはユーザの位置する住所、建物名、建物の階(フロア)、居室名・番号、及び会議室名・番号などがある。因みに、これらの各情報は、単独で管理・利用されるようにしても良いし、複数或いは数種類を組み合わせて管理・利用するようにしても良い。なお、スケジュール情報管理部106が如何なる状態で交換装置100に実装されるか、或いは、どのようなスケジュール情報が用いられるかという点に関しては、発明実施上の技術的選択事項に過ぎず、本発明の実施がこれらの事例に限定されることはない。
個人情報管理部107は、例えば、通信端末500のユーザが通信を希望している通信端末550のユーザの個人情報をデータベースとして管理しており、交換装置100内における他の各部からの要求に応じて当該個人情報を提供する部分である。なお、個人情報管理部107は、交換装置100内の他の各部から要求された個人情報の全部あるいは一部を自らが管理していない場合に、他のITシステム300へ他システムIF部103を通して、または他の交換装置200へ他交換装置IF部104を通して当該個人情報を取得するようにしても良い。また、個人情報管理部107は、必ずしも交換装置100の内に設ける必要はなく、交換装置100外部の、他のITシステム300や他の交換装置200の内に設けるようにしても良い。この場合、個人情報を必要とする交換装置100内の各部は、直接に他システムIF部103或いは他交換装置IF部104を用いて、個人情報管理部107が駐在する適切な他のITシステム300、または他の交換装置200にアクセスを行って必要とする個人情報を得ることができる。
ここで、個人情報とは、各通信端末を使用するユーザ個人に関する情報であり、例えば、個人の氏名、住所、自宅電話番号、携帯(PHS)電話番号、電子メールアドレス、メッセージシステムのユーザID、勤務先名称、勤務先における所属、役職、電話番号、電子メールアドレス等の情報をいう。なお、これらの各情報は、単独で管理・利用されるようにしても良いし、複数或いは数種類の組み合わせで管理・利用するようにしても良い。また、個人情報管理部107が如何なる状態で交換装置100に実装されるか、或いは、どのような個人情報が用いられるかという点に関しては、発明実施上の技術的選択事項に過ぎず、本発明の実施がこれらの事例に限定されることはない。
加入者データ管理部108は、各通信端末やそのユーザに対して交換装置100がサービスを提供するために必要とされる種々の加入者データ情報を管理しており、交換装置100内における他の各部からの要求に応じて当該加入者データを提供する部分である。なお、加入者データ管理部108は、交換装置100内の他の各部から要求された加入者データ情報の全部あるいは一部を自らが管理していない場合に、他システムIF部103を用いて他のITシステム300から、或いは他交換装置IF部104を用いて他の交換装置200から当該加入者データ情報を取得するようにしても良い。
また、加入者データ管理部108は、必ずしも交換装置100の内に設ける必要はなく、交換装置100外部にある他のITシステム300や他の交換装置200の内に設けるようにしても良い。この場合、加入者データ情報を必要とする交換装置100内の各部は、直接に他システムIF部103或いは他交換装置IF部104を用いて、加入者データ管理部108が駐在する適切な他のITシステム300、または他の交換装置200にアクセスを行って必要とする加入者データ情報を取得することができる。
ここで、加入者データ情報とは、それぞれの通信端末の種別や加入しているサービス、サービスの属性・提供状態、或いはサービスグループの種別等の情報をいう。なお、これらの各情報は、単独で管理・利用されるようにしても良いし、複数或いは数種類の情報を組み合わせて管理・利用するようにしても良い。また、加入者データ管理部108が如何なる状態で交換装置100に実装されるか、或いはどのような加入者データ情報が用いられるかという点に関しては、発明実施上の技術的選択事項に過ぎず、本発明の実施がこれらの事例に限定されることはない。
通信履歴管理部109は、各々の通信端末間における通信履歴を管理し、交換装置100内の他の各部からの要求に応じて、該要求によって指定された通信端末に関する通信履歴を提供する。なお、通信履歴管理部109は、交換装置100内の他の各部から要求された指定端末の通信履歴の全部あるいは一部を自らが管理していない場合に、他システムIF部103を用いて他のITシステム300から、或いは他交換装置IF部104を用いて他の交換装置200から該当する通信履歴を取得するようにしても良い。
また、通信履歴管理部109は、必ずしも交換装置100の内に設ける必要はなく、交換装置100外部にある他のITシステム300や他の交換装置200の内に設けるようにしても良い。この場合、通信履歴を必要とする交換装置100内の各部は、直接に他システムIF部103或いは他交換装置IF部104を用いて、通信履歴管理部109が駐在する適切な他のITシステム300、或いは他の交換装置200にアクセスを行って必要とする該通信履歴を取得することができる。
ここで、通信履歴とは、通信端末に関する発着信関連の情報をいうものであり、例えば、発着信アドレスや通信の開始/終了時刻、通信時における利用サービス、或いは通信結果等の情報をいう。なお、発着信アドレスとは、通信に関与した発信側及び着信側の各通信端末、或いは当該通信端末を使用したユーザを識別可能な識別子をいう。また、通信履歴管理部109が如何なる状態で交換装置100に実装されるか、或いはどのような通信履歴が用いられるかという点に関しては、発明実施上の技術的選択事項に過ぎず、本発明の実施がこれらの事例に限定されることはない。
次に、図1の通信端末500の構成について説明を行う。同図に示される如く、通信端末500は以下に示す各要素から構成されている。
サポート要求受付部501は、通信端末500のユーザが所望の相手先と通信ができなかった際に、何らかの別手段を講じてかかる所望の相手先と通信を行うべく、同ユーザが本実施例のシステムに対して発するサポート要求を受け付ける部分である。サポート要求受付部501は、通信端末500の有するHMI(Human Machine Interface)機能を通して、ユーザによるコマンドの入力や要求受付用ボタンの押下、或いは通信端末500に具備されたディスプレイパネル(図示せず)上のボタン/アイコン等のクリックを検知して、サポート要求あるいは同要求における各種パラメータ指定の数字・ダイヤル等を受け付ける。また、サポート要求受付部501は、通信制御部504が相手先との通信の不成功を検出した際に自律的に発信するサポート情報の要求も受け付ける。
サポート要求受付部501によって受け付けられたサポート情報要求は同部によって分析処理が為され、その分析結果は、後述する通信履歴記憶部505から取得された通信相手等に関する情報と共に、通信端末500についての通信制御を担う交換装置100へ送出される。なお、通信端末500は、後述するアクセス網インタフェース部503(以下「アクセス網IF部503」という)の機能を用いて、上記の各情報をアクセス網600を介して交換装置100に送信する。
サポート情報標示部502は、交換装置100に送られたサポート情報要求の応答として交換装置100から返信されてきたサポート情報を、通信端末500のユーザに視認させるべくその内容を表示する部分である。
ユーザは、表示されたサポート情報に基づいて、適切な選択・決定を行い、通信端末500の有するHMI機能を通してコマンドの入力や要求受付用ボタンの押下、或いはディスプレイパネル上のボタン/アイコンのクリック、要求用数字のダイヤルなどの指示を行うことができる。そして、サポート情報標示部502が、かかる指示入力を受け取ってその内容を分析して分析結果を通信制御部504に引き渡す。これによって通信端末500は、自動的にサポート情報に示された所定の通信相手に対して通信を開始することができる。
また、サポート情報標示部502は、通信端末500のユーザに対してサポート情報の全部または一部を表示することなく、若しくはサポート情報を表示してもユーザからの指示を待つことなく、自律的にサポート情報に基づいて選択・決定を行って通信制御部504を起動して通信を開始するようにしても良い。
アクセス網IF部503は、通信端末500内の他の各部からの要求に応じて、または自律的に、アクセス網600を介して交換装置100と通信する機能を有する部分である。また、通信履歴記憶部505は、通信端末500が実施した通信履歴を記憶する部分である。ここで、通信履歴とは、通信端末における発着信関連の情報をいうものであり、例えば、発着信アドレスや通信の開始/終了時刻、通信時における利用サービス、或いは通信結果等の情報をいう。
図1に示される本実施例のシステム構成において、交換装置200は、上述した交換装置100と同等の構成を有するものであり、交換装置100からの要求に応じて交換装置200が保持する各種の情報を交換装置100に対して提供することが可能である。
また、ITシステム300は、以上に説明した交換装置とは異なり通信制御機能は具備しておらず、もっぱら各種情報の収集、管理、提供などを行うシステムである。なお、ITシステム300は、外部にある他の交換装置やITシステムからの要求に応じて自らの保持する各種の情報を提供する機能を有している。すなわち、ITシステム300は、具体的には、プレゼンス情報管理機能やスケジュール情報管理機能、個人情報管理機能、加入者データ管理機能、通信履歴管理機能等の機能を有しており、さらに電話帳情報、地図情報、特定建物内のレイアウト情報・座席情報、特定企業内の人事情報・役職情報等の情報を保持することもある。なお、ITシステム300は、交換装置の一部として設定・機能するようにしても良い。
次に、本実施例によるシステムの処理動作を(a)サポート情報要求処理、(b)交換装置におけるサポート要求受付処理、(c)交換装置におけるサポート情報生成処理、(d)サポート情報の通信端末への送出処理、(e)通信端末における受信サポート情報の処理、の各々に分けて、それぞれの処理動作について以下に説明を行う。
(a)サポート情報要求処理
(a−1)通信端末のユーザがサポート情報の要求を行う場合
先ず、通信端末のユーザが自らサポート情報の要求を行う場合について、図2に示す動作シーケンスチャートを参照しつつ説明を行う。
通信端末のユーザは、本来通信を望んだ他の通信端末、或いは当該端末のユーザ(以下「本来通信相手」という)との通信に失敗した場合、即ち本来通信相手が応答せずに呼が終了した場合、若しくは本来通信相手との直接の通信が不可能であることを何らかの手段を用いて認識した場合に、通信端末500に対してサポート情報要求の入力を行う(ステップS201)。すなわち、ユーザは、本来通信相手を指定して、或いはそれまでの通信履歴などから明らかなときは指定することなく、通信端末500に対して、本来通信相手との通信を何らかの方法で実現する可能性を示す情報(例えば、別のアドレスやアクセス方法或いはサービス方法などを示す情報)を要求する。
このとき、ユーザと通信端末500との間のインタフェースとしては、コマンドの入力や要求受付用ボタンの押下、通信端末500に備えられた表示画面上のボタン/アイコンのクリック、或いは要求用数字のダイヤル等の方法を用いることができる。また、ユーザが要求動作を行うタイミングを待つことなく、通信端末500が当該要求をユーザに催促する表示や警告音、或いは音声ガイド等を出力するようにしても良い。
例えば、SIP(session initiation protocol)を使用して通信を行うソフトフォンの場合、セッションへの参加を求めるメソッドであるINVITEメッセージの応答として、一時的な利用不可を表すステータス・コード480を持ったレスポンスを受信した際に、パソコンの画面上に該当するウィンドウを出して、その旨を表示すると共にサポート情報要求を行うためのアイコン/ボタンを表示してユーザの選択を促すようにしても良い。なお、かかる事例は、本発明の動作説明を行う上の一例に過ぎず、本発明の実施がかかる事例に限定されることはない。
一方、通信端末500では、ユーザからのサポート情報要求を受け付けると、サポート要求受付部501においてその内容の分析が為される。そして、該要求において対象とする本来通信相手が指定されていない場合は、通信履歴記憶部505に対して通信履歴の問い合わせが為され(ステップS202)、通信履歴記憶部505から得られた通信履歴によって適切な通信相手が選定される(ステップS203)。なお、この場合に選定される通信相手先は単数でも良いし或いは複数であっても良い。
サポート要求受付部501は、サポート情報要求の際に必要とされる本来通信相手に関する情報が、ユーザから提示された情報や通信履歴などの通信端末500内にある情報から十分に取得可能であるか否かを分析し、取得不可能と判断した場合は処理の実行が不可能である旨を表示して当該処理を終了させる。
一方、取得可能であると判断した場合は、必要とされる全ての情報を各部から取得して、本来通信相手の通信アドレスの形式が正しいか、或いは通信処理において適法に使用できるものであるか等の事項を分析する。例えば、相手先が不応答となった通信が誤った電話番号のため接続不能になっていた場合は、本来通信相手の情報が正しくないと判断してその旨を表示して処理を終了させる。
なお、対象となる通信相手の選択論理としては、例えば、直近で通信に失敗した通信相手を選ぶ、無条件に直近の通信相手を選ぶ、或いは直近の発信先の通信相手を選ぶ、等の複数のロジックが考えられる。因みに、かかるロジックは、通信相手先の選択時までには定まっている必要がある。また、如何なるロジックを採用するかの決定方法は、例えば、各々の通信端末に固有の選択理論とする、事前に何らかの方法で設定された選択理論とする、ユーザがサポート情報要求時または要求前に指定した選択理論とする、等の様々な方法を用いることができる。なお、選択論理の決定は、サービス要求時までに定まっているのであれば如何なる決定方法を用いても良い。
また、ユーザが本来通信相手を指定した場合には、かかる指定をそのまま採用するようにしても良いし、または、上記の方法を使ってさらに通信相手を選択し直すか、或いはユーザが指定した通信相手に追加・補充を行うようにしても良い。因みに、かかる方式は、例えば、本来通信相手が複数の通信アドレスを持っている場合や、ユーザが複数人の構成員を有するグループの何れか一人と通信を行いたい場合に有効である。
交換装置100へサービス要求を行うために必要な情報が備わった時点で、サポート要求受付部501は、予め定められた通信プロトコルに従ってサービス要求信号を生成し、アクセス網IF部503に対して信号送出要求を発信する(ステップS204)。これを受けて、アクセス網IF部503は、かかるサービス要求信号をアクセス網600を介して交換装置100に対して送出する(ステップS205)。
因みに、サービス要求信号の構成は、図3の信号フォーマット図に示される通りであって、信号の送り先のアドレスを示す送信先アドレス301、信号の送出元のアドレスを示す送出元アドレス302、送られる情報を識別するための情報種別303、かかる情報種別に関連したその他の情報を含むパラメータ群304から成っている。なお、サポート情報要求の送出時には、以下に示す情報内容がサービス要求信号に設定される。また、かかる設定事例に含まれる各部分は、その全てが必須とされるものではなく、本発明の実施の形態によっては省略される部分もあり得る。
次に、サポート情報要求の送出時に設定される信号フォーマット各部の情報内容について説明を行う。
先ず、送信先アドレス301には、アクセス網上における交換装置100のアドレスが設定される。この情報は、予め設定されたものであっても良いし、或いは所定のタイミングでネットワークをアクセスすることにより取得されて設定されるようにしても良い。送信元アドレス302には、サポート情報要求を送出する通信端末のアドレスが設定される。また、情報種別303には、サポート情報要求を表す識別情報が設定される。パラメータ群304には、例えば、サポート情報要求自体を識別するための要求識別情報、本来通信を望んでいた通信端末やそのユーザを識別するためのアドレス情報、サポート情報要求を送出した通信端末やそのユーザを識別するためのアドレス情報、或いは現在のプレゼンス情報から情報を取得したい等のサポートするための条件を特定する情報などが設定される。なお、パラメータ群304に設定される情報の数は、本発明の実施の形態により変動するものであり、単数でも良いし或いは複数であっても良い。なお、上記の要求識別情報は、同時に複数のサポート情報要求が発信された場合に有効な情報となる。
かかるサービス要求信号の具体例として、IP網上においてTCP(transmission control protocol)を用いてサポート情報要求を行った場合の信号フォーマットを図17に示す。この場合、サポート情報要求信号1700は、IPヘッダ1701、TCPヘッダ1702、及びTCPデータ1703から構成されている。
同図において、図3の信号フォーマットとの対比により示される如く、送信先アドレス301は、IPヘッダ1701中の宛先IPアドレス1705と、TCPヘッダ1702中の宛先ポート番号1707にセットされる。一方、送信元アドレス302は、IPヘッダ1701中の送信元IPアドレス1704とTCPヘッダ1702中の送信元ポート番号1706にセットされる。また、情報種別303とパラメータ群304は、TCPデータ1703の中にセットされる。
図17の事例では、情報種別303とパラメータ群304がXML(eXtensible Markup Language)の形式で表現されている。なお、図中に示されたXMLデータ1708は、かかる部分を取り出して具体的に表現したものである。すなわち、情報種別303とパラメータ群304の全体は、<m:SupportInfoReq>と</m:SupportInfoReq>に夾まれた範囲にセットされてIP網上を伝送される。因みに、<m:SupportInfoReq>の“m:SupportInfoReq”が情報種別303に相当し、サポート情報要求を意味している。そして、<m:SupportInfoReq>と</m:SupportInfoReq>に夾まれた部分がパラメータ群304に相当する。また、XMLデータ1708中の<m:ReqID>492YZ6111015</m:ReqID>は上記の要求識別情報であり、この信号で伝送されるサポート情報要求を識別するものとして、通信端末内で固有なものを当該端末に設定する。また、<m:DestUser>+81123456789</m:DestUser>は本来通信相手を表し、<m:OrigUser>+81023456789</m:OrigUser>は要求元の通信端末を表している。同様に、<m:UseInfoType>Home</m:UseInfoType>は、自宅情報の使用を指示している部分である。また、<m:PreferService>Telephone</m:PreferService>は、望まれるサービスとして電話を指定していることを意味し、先の<m:UseInfoType>Home</m:UseInfoType>と合わせて通信相手先の自宅の電話を選択、要求していることが分かる。
(a−2)通信端末が自律的にサポート情報の要求を行う場合
次に、通信端末自らが自律的にサポート情報の要求を行う場合について、図4に示す動作シーケンスチャートを参照しつつ説明を行う。
通信端末500において直前に実施した通信が失敗に終わった場合、すなわち、通信相手先が応答せずに呼が終了した場合、または相手先が応答したが本来通信相手との所期の目的とする通信が出なかった場合に、端末内部の通信制御部504は、サポート要求受付部501に対して所期の通信を何らかの方法で実現する可能性を持った情報を要求する(ステップS401)。因みに、かかる要求情報とは、例えば、別の相手先アドレスやアクセス方法、或いはサービス方法などを示す情報である。
上記のステップS401の後、上述のユーザによるサポート情報要求の場合と同じ手順を経て、通信端末500から交換装置100に対するサポート情報の要求が行われる。なお、これ以降の動作処理(ステップS402〜S405)に関しては、上述した(a−1)の場合と同様であるためその説明を省略する。
(b)交換装置におけるサポート情報要求の受付処理
次に、交換装置100におけるサポート情報要求の受付処理を、図1のシステム構成図および図5に示す動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
先ず、アクセス網600を介して、交換装置100が通信端末からのサポート情報要求信号を受け付けると(ステップS501)、交換装置内の端末IF部101によって当該要求信号の分析が行われる。すなわち、端末IF部101は、受け取った信号の送信元や情報種別、及び信号に含まれるパラメータ群のうちの必要な部分などを分析する。そして、当該信号の引渡先として情報編集部102を決定し、分析した受信情報を付けて情報編集部102の機能を起動する(ステップS502)。
前述の如く、端末IF部101は、受信した信号の送信先や送信元などの内容を分析してそれ以降の処理を決定するが、かかる動作を詳細に説明すれば以下の通りである。
例えば、端末IF部101は、当該信号の送信先が自局交換装置であるか、或いは送信元の端末を示す形式が適正であって、所定の通信プロトコルの規定に正しく従ったものであるか(例えば、IPアドレスが用いられている場合には、“0.0.0.0”のような不正なアドレスではないこと)などの事項の判断する。そして、かかる判断において異常がなければ、信号が、例えばTCP/IPの形式で送られてきたものであれば、信号の送信先の一部であるポート番号や情報種別(この場合はサポート情報要求に該当)から、サポート情報要求を処理する機能を有する情報編集部102を選択して、その通信相手情報選択・編集機能を起動させる。
また、場合によっては、受信した信号中に含まれるパラメータ群に要求識別情報が必須であることもあり、そのときには、端末IF部101は、情報編集部102を起動する前に要求識別情報の有無や形式等の事項をチェックして、異常が認められた場合にはその旨を通知する信号を生成し、かかる信号を送信元の通信端末へ送出して処理を終了させる。
(c)交換装置におけるサポート情報の生成処理
次に、交換装置100におけるサポート情報の生成処理を、図1のシステム構成図および図6に示す動作フローチャートに基づいて説明する。
通信端末から受信したサポート情報要求について、端末IF部101から情報編集部102の機能が当該要求信号に含まれるパラメータ群と共に起動されると、図6のフローチャートに示される処理が実行される。
先ず、情報編集部102の通信相手情報選択・編集機能は、パラメータ群に含まれる情報に従い、または所定の方法に従って、パラメータ群に設定されている本来通信端末ユーザや要求元の通信端末ユーザ等の事項をキーワードとして情報の検索等を行う。次いで、収集した情報を基に、パラメータ群に含まれる情報に従い、または所定の方法に従って、情報の分析・加工を行い(ステップS602等)、必要であれば再度情報の検索を行う(ステップS603等)。そして、かかる行程を必要な情報が収集されるまで繰り返し実行して(ステップS604)、取得された情報を基にサポート情報を編集する(ステップS605)。
なお、各種情報の収集にあたっては、要求元の通信端末または同端末ユーザの情報へのアクセス権(例えば、情報の表示・利用の可不可や、表示・利用できる範囲等に関する権利)を考慮して行う。因みに、かかる考慮は、情報編集部102における通信相手情報選択・編集機能のみで為されるわけではなく、同機能が起動する交換装置100内の他の部分における機能の発揮時においても為されるものとする。
次に、以下に示す(c−1)から(c−7)の7つのケースを例にとって、サポート情報の取得・生成処理の詳細について、図7から図13の動作シーケンスチャートを参照しつつ説明を行う。
なお、(c−1)〜(c−7)の各ケースのプロセスは、それぞれが単一に実行される場合もあり、その幾つか或いは全てが実行される場合もある。その結果、情報の取得・生成処理で得られたサポート情報は単一または複数の場合がある。かかる場合、交換装置は、得られたサポート情報を選別し、単独で或いはその幾つかを組み合わせて、またはその全てを情報要求元の通信端末へ返送する。
例えば、同じ内容のサポート情報が複数あった場合は、そのうちの1つだけを情報要求元の通信端末に返送する。また、同じ通信相手に対するいくつかの異なるサポート情報があった場合は、これらを纏めて1つのサポート情報にして情報要求元の通信端末に返送する。因みに、後者の事例を図20のデータフォーマットに示す。同事例では、同じ通信相手先Aに関して、個人情報から得たサポート情報2001と、プレゼンス情報から得たサポート情報2002があり、これら2つのサポート情報を纏めて1つのサポート情報2003を生成している。すなわち、サポート情報2003は、サポート情報2001に示される固定電話番号と、サポート情報2002に示される携帯電話番号の2つの情報を含んでいる。
また、複数の情報がサポート情報に含まれて通信端末に提供される場合には、サポート情報に含まれる情報要素間の優先度、若しくは情報要素間における何らかの順序を示す情報、またはグループ化若しくは階層化された情報要素間の構造を示す情報等の情報要素間の関係を示す情報がサポート情報に付随して提供される。
例えば、通信相手先として、個人Aと個人Bに関する固定電話番号と携帯電話番号がそれぞれ得られたものと仮定する。さらに、A及びBに関するプレゼンス情報に示される情報や通信に関する優先度設定情報等の情報から、Aの方がBよりも通信できる可能性が高く、また、Aは携帯電話よりも固定電話による通信を希望しており、Bは携帯電話による通信を希望していることが判明したものと仮定する。かかる状況下では、サポート情報において以下に示す順序で通信の優先度情報を付与するものとする。
優先度1;Aの固定電話番号
優先度2;Aの携帯電話番号
優先度3;Bの携帯電話番号
優先度4;Bの固定電話番号
XMLを用いてこれを表した事例を図19のデータフォーマットに示す。同事例では、<m:SupportInfo pri="n">(本事例では"n"は"1"と"2")と</m:SupportInfo>とで囲まれた範囲が2つのサポート情報を示している。2つのサポート情報のうち最初のものがAに関する情報であり、タグ<m:SupportInfo pri="1">の属性pri="1"によって、この情報の優先度が第1位であることを表している。また、二つ目のものはBに関する情報であり、同じくタグ<m:SupportInfo pri="2">の属性pri="2"によって、このの優先度が第2位であることが分かる。ここでは、優先度1の情報が優先度2の情報よりも優先されるため、Aに関する情報がBに関する情報よりも優先度の高いサポート情報であることが判断できる。さらに、Aに関する最初のサポート情報には、その内部に<m:ComAddress pri="n">(本事例では"n"は"1"と"2")と</m:ComAddress>とで囲まれた2つの通信アドレスが含まれている。このうち最初の通信アドレスタグ(タグの属性pri="1")は、固定電話の電話番号であり、二つ目の通信アドレス(タグの属性pri="2")は携帯電話の電話番号である。因みに、両者に関するタグの属性の比較から、二つ目の通信アドレスよりも最初の通信アドレスの方がその優先度が高いことが分かる。
同様に、Bに関するサポート情報を観察すれば、携帯電話の方が固定電話よりも高い優先度を持っていることが分かる。
次に、交換装置におけるサポート情報の取得・生成処理についての(c−1)から(c−7)の各々のプロセスを順次説明する。
(c−1)通信相手近傍の固定電話に関する情報の取得
通信端末のユーザが本来通信相手と通信ができなかった場合、一般に、本来通信相手のユーザが所属する職場にある他の固定電話の電話番号が分かれば便利である。実際の経験則においても、相手にかけた最初の電話が繋がらない場合、相手の職場にある他の電話番号を調べてそこに電話をかけるという動作は広く行われている。(c−1)に示す事例では、かかる情報をサポート情報として取得する場合であり、これを図7の動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
先ず、このような職場の電話番号情報が格納されているデータベースとして、本来通信相手に関する加入者データを仮定する。このとき情報編集部102は、交換装置100内部の加入者データ管理部108に対して、本来通信相手のアドレス情報等と共に職場電話番号に関する情報を要求する(ステップS701)。
加入者データ管理部108は、本来通信相手に関する情報を自らが管理していれば、情報編集部102から受け取った本来通信相手の情報で加入者データベースの検索を行い、検索によりヒットした職場電話番号を情報編集部102に返送する(ステップS702)。
例えば、本来通信相手の情報としてその電話番号が分かっていれば、当該電話番号で加入者データ管理部108内のデータベースを検索し、本来通信相手の加入者データを求めてその中にある職場電話番号を抽出する。
なお、交換装置100内の加入者データ管理部108が本来通信相手の加入者データを管理していなければ、例えば、交換装置200などの他の交換装置に対し、他交換装置IF部104を介して本来通信相手の情報を送信すると共にその職場電話番号を要求する(ステップS703〜S704)。その後、加入者データ管理部108は、他の交換装置から職場電話番号を含む情報の応答を得ると(ステップS705〜S706)、かかる情報を情報編集部102に返送する(ステップS702)。
すなわち、本来通信相手の電話番号が分かっていれば、その電話番号から自交換装置の管理下にある加入者か否かが判明し、自交換装置の管理下にない場合には当該電話番号をネットワーク内で分析することによって、本来通信相手を管理している交換装置を特定してその情報を収集することができる。なお、本来通信相手のSIP URIが分かっている場合は、そのドメイン名から本来通信相手を管理する交換装置の特定が可能であり、同交換装置との通信が可能となる。
また、個人情報として職場情報が管理されており、職場の電話番号が交換装置の外部にあるITシステムで管理されている場合には、情報編集部102から個人情報管理部107に対して本来通信相手の情報を送信すると共に職場電話番号の要求を行う(ステップS707)。これは、例えば、外部のITシステムで職場の机の配置や電話番号計画などのレイアウト情報がデータベースとして管理されている場合に、かかる外部ITシステムのデータベースを利用する場合である。
この場合、個人情報管理部107は、予めそのようなデータベースを有する外部のITシステムを認知しておく必要があるが、これは交換装置やデータベースの構成データとして設定されているものを参照するか、或いはDNS(Domain Name System)などのシステム外部機関に問い合わせを行う等の方法によって認知することができる。
個人情報管理部107は、それ自身が本来通信相手の個人情報を管理していれば、本来通信相手のユーザが如何なる職場に属しているか等の職場情報を本来通信相手情報で検索し、他システムIF部103を介して外部にあるITシステム(例えば、ITシステム300)に対して検索結果の職場情報を送信すると共に職場電話番号を要求する(ステップS708〜S709)。
かかる要求を受けたITシステムでは与えられた情報を基に、例えば、職場の名称でデータベースを検索して職場電話番号を求めて、これを個人情報管理部107に返送する(ステップS711〜S712)。個人情報管理部107は、この応答を受け取るとその情報を情報編集部102に返送する(ステップS713)。
一方、個人情報管理部107が本来通信相手の情報を持たない場合には、他の交換装置或いはITシステムに本来通信相手情報を渡して、これらから職場電話番号を取得する(但し、かかる行程は図7のシーケンスチャートでは図示せず)。
なお、上記に説明した職場電話番号の取得方法は、何れか一方のみで十分であるが、これらの方法は排他的なものではなく、むしろ併用して実行し様々なソースから情報を得ることが本発明の目的に沿う。何故なら、一般に、職場には複数の固定電話が設置されており、また、本来通信相手が複数の職場や作業場に属することもある。さらに、本来通信相手のユーザと、同ユーザが日常使用する端末が異なる職場に在る等の理由から、取得される職場電話番号は複数であることが一般的だからである。したがって、上記の方法によって取得された複数の職場電話番号は、所定の順序で配列され必要に応じて、その職場に関する情報(職場の名称、建物名、住所など)と共に情報要求元の通信端末に返送される。
かかる情報の順序付けは、例えば、レイアウト情報を管理するITシステムにおいて、職場にある本来通信相手の座席と電話との距離や、職場にいる人間のプレゼンス情報を参照して定めるようにしても良い。例えば、本来通信相手の座席との距離が近い電話ほどその優先度を高めたり、或いは本来通信相手と同一職場で在席中のプレゼンス情報を有する人の電話の優先度を高めるなどの措置を講ずるようにしても良い。
(c−2)通信相手と同じ職場に属する人間のアドレスの取得
次に、本来通信相手と同じ職場に属する人間のアドレスの取得に関するプロセスについて説明する。何故なら、本来通信相手の職場に固定された電話番号を知ることと同様に、同じ職場にいる人間の情報を知ることも、サポート情報を要求するユーザにとっては有益だからである。ここで、同じ職場にいる人間とは、組織上の所属が同じと言うだけではなく、例えば、秘書などの本来通信相手と関連した職務にある人間の情報も含むものとする。また、それらの人間に関する情報として得られるものには、固定電話の電話番号に限らず、例えば、携帯電話やPHS或いは無線LANを利用した端末などの移動端末の呼出番号、若しくはメールアドレスやインスタント・メッセージの為のユーザID等も含まれる。
なお、以下の記載では説明を容易にすべく、本来通信相手と同じ職場に関連する人間の情報及びそれらの人間に関する情報(以下「職場関連情報」という)は、交換装置100の内部において個人情報として管理されているものと仮定して、かかる情報を取得する事例を、図8の動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
先ず、情報編集部102が職場関連情報を取得する場合、自交換装置内の個人情報管理部107に対して本来通信相手情報と共に職場関連情報の要求を送信する(ステップS801)。これを受けて、個人情報管理部107は、次の3つの段階を踏んで職場関連情報を収集する。
その第1段階において、個人情報管理部107は本来通信相手の職場を探知する。これを具体的に説明すれば、個人情報管理部107は、本来通信相手情報を基にして自己の管理するデータベースを検索して本来通信相手の職場情報を得る。因みに、ここで得られる職場情報には、本来通信相手の勤務先、所属名、職場への連絡アドレス、役職、及びアクセス方法等の情報が含まれる。
次の第2段階において、個人情報管理部107は、その職場に関連する人間(以下「職場関連者」という)の情報を収集する。基本的には勤務先や所属名でデータベースを検索して、同じ勤務先や所属名を持つ職場関連者を列挙する。なお、単純に勤務先、所属名から職場関連者を列挙するだけでなく、可能であれば本来通信相手の所属や役職から、さらに関連する職場や役職を求めてそこに所属する人間の一覧表も作成する。
これを具体的に示せば、例えば、本来通信相手が会社の社長であれば、その職場が特定できないため単純な検索では何も情報が取得できないか、或いは会社全体の従業員が職場関連者とみなされて多数の職場関連者が列挙される場合がある。それ故、このような場合は、社長という本来通信相手の情報から社長秘書や秘書課と言った役職や職場を求めて、さらにそれに関連する人間の一覧を作成する。
このような処理は、例えば、個人情報或いは役職や所属・職場情報に関連させて代理人情報を設けることにより容易に実現することができる。すなわち、所属で索引・検索するデータベース(以下「所属データベース」という)を準備して、所属で検索して得られるデータに代理人の所属、役職、氏名、その他の識別名等の何れか一つ或いは複数を設定しておく。そして、所属が与えられたときに所属データベースを検索してそこから代理人情報を抽出し、この代理人情報を用いて個人情報データベースを検索して得られた結果を職場関連情報とする。なお、このようにして間接的に職場関連者を求めるだけでなく、例えば、本来通信相手情報から直接に検索できる職場関連者があれば、その職場関連者を利用するようにしても良い。
個人情報管理部107は、次の第3段階において、一覧に挙げられた人間のそれぞれについてその人間に関する情報を収集する。なお、ここで収集される情報は、一覧に挙げられた職場関連者の各々についての固定電話の電話番号に限らず、例えば、携帯電話やPHS或いは無線LANを利用した端末などの移動端末の呼出番号、若しくはメールアドレスやインスタント・メッセージの為のユーザID等も含まれる。
以上に説明した各段階で、個人情報管理部107自らが情報を有しない場合には、適宜他の交換装置やITシステム等に対して問い合わせが為される。図8のシーケンスチャートでは、そのステップS803からS806の過程において他の交換装置へ問い合わせを行う事例が示されている。
以上に説明した処理が終了すると、個人情報管理部107は、収集した情報から必要とされる情報を選択してその結果を情報編集部102へ返送する(ステップS802)。
なお、以上の過程によって、一般に複数のサポート情報が選択されることになる。それ故、データ取得元の属性やデータ取得時に付随して得られた情報から、選択された複数のサポート情報にその優先度に関する情報を付与する必要がある。例えば、本来通信相手の加入者データから得られた情報には一番高い優先度を付け、役職情報に関しては一般職よりも秘書職に関する情報の優先度を高めるなどの措置を講ずるようにしても良い。
(c−3)通信相手の自宅アドレス等の取得
次に、本来通信相手の自宅アドレス等の取得に関するプロセスについて説明する。本来通信相手の自宅へのアクセス情報などの個人的な情報も、本来通信相手に連絡をとるには有効であるため、サポート情報の一つとして取得するものである。ここで、自宅へのアクセス情報(以下「自宅情報」という)とは、例えば、自宅電話番号、FAX番号、メールアドレス、本人の携帯電話番号やPHS番号、或いは本人家族への同様なアクセス情報などの情報をいう。
以下において、自宅情報を取得する場合の事例を、図9の動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
情報編集部102は、自宅情報を取得する場合に、先ず、サポート情報要求元に本来通信相手の自宅情報へのアクセス権が認められているか否かを判定し、アクセスが認められていればアクセス可能な範囲において次の処理を実行する。なお、以下の記載においてはその説明を容易にすべく、自宅情報は個人情報管理部107において管理されているものと仮定する。
情報編集部102は自宅情報の取得を決定すると、個人情報管理部107に対して自宅情報要求を行う(ステップS901)。個人情報管理部107ではかかる要求に従い、必要に応じて他の交換装置やITシステムから所要の情報を取得しながら(ステップS903〜S906)、本来通信相手情報でデータベースを検索して、検索結果である本来通信相手の自宅情報を情報編集部102へ返送する(ステップS902)。
その後、情報編集部102は、サポート情報要求元の本来通信相手に対するアクセス権を考慮しつつ、収集した種々の自宅情報に優先度等を表すデータ構造情報等を付加してサポート情報を編集する。
因みに、個人情報管理部107は、個人情報システムとして会社等の従業員情報データベースを含むものとする。通常このようなデータベースには、会社従業員の自宅電話番号や配偶者等に関する情報、或いは緊急連絡先等の情報が蓄積されている。情報編集部102は、サポート情報要求元の参照可能なデータのアクセス権に応じて情報を取得してサポート情報を生成する。
なお、アクセス権の判定に際しては、単純にアクセス権の有無を問う静的な判定はもとより、例えば、サポート情報要求元が本来通信相手の上司であればアクセス権の範囲を拡大して、サポート情報要求元が参照できる個人情報の範囲を拡げるなどの動的な判定を行うようにしても良い。
(c−4)通信相手の携帯電話やPHS等に関する情報の取得
次に、本来通信相手の携帯電話やPHS等に関する情報の取得プロセスについて説明する。一般に、携帯電話端末やPHS端末などの移動端末機器(以下「携帯端末等」という)をサービス対象に含む交換装置は、携帯端末等の位置やその状態を把握するために、常にこれらの携帯端末等との間で信号の授受を行っている。そして、携帯端末等が交換装置からの電波の到達範囲外に移動したときや、或いは携帯端末等の電源が切られて通信が途絶えたときはこれを感知する。交換装置において携帯端末等の位置やその状態を予め掌握することができれば、携帯端末等との間の通信を行う上で極めて有効である。例えば、電波の到達範囲外や電源断の状態にある携帯端末等と通信を始めることは無駄であるので、かかる携帯端末等への通信処理が起動されることを予め防止することができるからである。
ここでは、(c−1)から(c−3)の説明で述べた如く単に携帯端末等の電話番号などを収集してサポート情報を生成するだけではなく、携帯端末等に関する位置情報や圏外・電源断などの情報も含めてサポート情報を生成するプロセスについて、図10の動作シーケンスチャートに基づいて説明する。なお、交換装置が保有する携帯端末等の位置や通信状況に関する情報(例えば、電源のオン/オフ、電波到達範囲の圏内/圏外、通話中/空などの状態を示す情報、或いは住所や地理上の位置を示す情報)は、プレゼンス情報として交換機内のプレゼンス情報管理部105が管理しているものとする。
また、以下の記述においては説明の便宜上、ネットワーク上の交換装置が保持する携帯端末等の位置情報を取得する機能をプレゼンス管理システム(機能)と呼んでいるが、本発明の実施においてプレゼンス管理システムがかかる機能にのみ限定されるものでないことは言うまでもない。
先ず、(c−3)で説明した自宅情報に携帯端末等の電話番号が含まれる場合、或いは勤務先で携帯端末等が使われておりその情報がサポート情報として取得された場合(ステップS1001〜S1002)、情報編集部102は、その電話番号に関するプレゼンス情報をプレゼンス情報管理部105に要求する(ステップS1007)。
プレゼンス情報管理部105は、必要であれば他の交換装置やITシステムからプレゼンス情報を取得しながら(ステップS1009〜S1012)、該当する電話番号を用いてデータベースを検索して所望のプレゼンス情報を取得すると、これを情報編集部102に返送する(ステップS1008)。
その後、情報編集部102は、取得済みの本来通信相手の携帯端末等の電話番号に、このプレゼンス情報を付加してサポート情報を編集する。
(c−5)通信相手のプレゼンスから関連するアドレスの取得
次に、本来通信相手のプレゼンスから関連するアドレスを取得するプロセスについて説明する。
一般に、本来通信相手が会議などに出席している場合、会議の進捗状況によっては本来通信相手が通信に応答できないことがある。このような場合には会議が行われている部屋の電話番号や、同じ会議に出席している人間等の情報が入手できれば本来通信相手との通信目的を達成する上で有効である。
以下の記述では、本来通信相手と同じ場所にある電話番号や、その場所にいる関係者(以下「位置関連者」という)を検索してサポート情報を生成するプロセスを、図11の動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
なお、以下の説明では、本来通信相手や位置関連者の位置や状態はプレゼンス情報として交換装置100のプレゼンス情報管理部105が管理しているものとする。また、本事例では、通信端末がネットワークと接続したとき或いはその後周期的に、同ネットワークに含まれる交換装置やITシステムに対して自端末、若しくは自端末ユーザのプレゼンス情報を登録するものとする。なお、かかる情報の登録は、任意の時点においてユーザが通信端末を介して行うようにしても良いし、あるいは、交換装置やITシステム自らが、ネットワークに接続されている通信端末とそのユーザのプレゼンス情報を周期的に収集して登録するようにしても良い。また、かかる情報の登録処理は、図11に示される動作シーケンスが機能する以前に十分にその実行が為されているものと仮定する。
図11の動作シーケンスにおいて、情報編集部102が位置関連者等について情報を得ることを決定すると、先ず、プレゼンス情報管理部105に本来通信相手の情報と共にプレゼンス情報を要求する(ステップS1101)。
かかる要求に従い、プレゼンス情報管理部105は、必要であれば他の交換装置やITシステムからプレゼンス情報を取得しながら(ステップS1103〜S1106)、本来通信相手の情報を用いてプレゼンス情報を検索して、その検索結果を情報編集部102に返送する(ステップS1102)。
以上に説明した処理を具体的に示せば以下の通りである。
例えば、本来通信相手として、ノートパソコン上で動作するソフトフォンを用いてSIP URLを持った通信端末のユーザを仮定すると、そのプレゼンス情報としては以下の[1]〜[5]に示すものが求められる。
[1] ノートパソコンのIPアドレスからネットワーク上の位置が判明する。例えば、通信ネットワークが企業の事業所毎にサブネットワークに分散して運用されていれば、サブネットワーク上の位置から、何れの事業所において当該ノートパソコンが使用されているかが判明する。
[2] ノートパソコンのIPアドレスと物理的な位置との対応関係が明らかであれば、当該ノートパソコンの物理的な位置が判明する。かかる事例は、例えば、IPアドレスがDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)で取得されており、DHCPが割り当てるIPアドレスを建物の階数や部屋番号などの地理的な位置に対応付けておくことにより可能となる。また、会議室毎に使用されるIPアドレスが予め分かっていれば、そのIPアドレスからノートパソコンが使用されている会議室の所在が判明する。
[3] 例えば、回線使用中/回線空などのソフトフォンの通信状態が判明する。これは、ソフトフォンが交換装置を介して他の端末と通信を行っていれば、交換装置の動作状態をモニタすることにより取得することができる。
[4] 例えば、会議室名などの通信端末のユーザがプレゼンス情報管理システムに登録した位置情報が判明する。
[5] 例えば、“会議中”などの通信端末ユーザがプレゼンス情報管理システムに登録した状態情報が判明する。
情報編集部102は、収集したプレゼンス情報から場所を示す情報を抽出・選択して、その場所(例えば、OOO号会議室など)に備えられた電話番号を得るために外部にあるITシステムにアクセスを行う(ステップS1107〜S1110)。なお、図11の事例では、例えば、会議室と同会議室に備え付けられた電話番号に関する情報は外部のITシステムに記憶されているものと仮定したが、かかる情報は、情報編集部102が含まれる交換装置100内部に在っても良いし、或いは他の交換装置の内部に在っても良い。
続いて、情報編集部102は、位置関連者に関係する情報をプレゼンス情報管理部105へ要求する(ステップS1111)。
かかる要求に従い、プレゼンス情報管理部105は、必要であれば他の交換装置やITシステムから情報を取得しながら(ステップS1113〜S1116)、入力された場所の情報でデータベースを検索して、検索結果である位置関連者のプレゼンス情報を情報編集部102へ返送する(ステップS1112)。ここで、位置関連者のプレゼンス情報とは、場所に関する情報の他に電話番号やメールアドレス等の位置関連者にアクセス可能な情報を含むものとする。
情報編集部102は、以上の過程において取得した会議室等の場所に備え付けの電話番号や位置関連者等の情報、及びこれらのプレゼンス情報をサポート情報として編集する。
(c−6)通信相手のスケジュール情報に連携した情報の取得
次に、本来通信相手のスケジュール情報等に連携した情報を取得するプロセスについて説明を行う。
一般に、個人のスケジュールをネットワーク上のアプリケーションとして、ユーザがWebブラウザを用いて利用する形態が広く普及している。このような形態では、個人のスケジュール情報はネットワーク上にあるデータベースに置かれ、所定のスケジュール管理システムによって管理されている。そして、かかるスケジュール情報から本来通信相手のスケジュールを把握して、その予想所在位置や同位置へのアクセス方法等を含むサポート情報を生成することは、本来通信相手との通信という所期の目的を達成する上で極めて有効である。
ここでは、本来通信相手のプレゼンス情報から求まったアクセス方法による当該相手との通信が失敗したケースを考えて、本来通信相手のスケジュール情報から本来通信相手が所在すると思われる場所の情報を抽出して、その場所に備えられた電話に関する情報やその場所に関連した人間のプレゼンス情報からサポート情報を生成するプロセスを、図12に示すシーケンスチャートに基づいて説明する。
先ず、情報編集部102は、スケジュール情報からのサポート情報の作成を決定すると、本来通信相手のスケジュール情報に対するサポート情報要求元のアクセス権を考慮の上で、交換装置100内のスケジュール情報管理部106へ本来通信相手情報を送信すると共に、本来通信相手の現時点におけるスケジュール情報を要求する(ステップS1201)。ここで、スケジュール情報とは、個人の活動予定や活動場所及びその時間帯などを含む情報をいう。
この要求に従い、スケジュール情報管理部106は、必要であれば他の交換装置やITシステムからスケジュール情報を取得しながら(ステップS1203〜S1206)、本来通信相手情報を用いてスケジュール情報を検索し、その検索結果を情報編集部102へ返送する(ステップS1202)。なお、かかる検索を行う際は、月日時刻を考慮して検索の時点における本来通信相手のスケジュール情報を得るものとする。
情報編集部102は、取得したスケジュール情報から現時点における本来通信相手の所在場所の情報を抽出・選択して、その場所(例えば、会議室など)に備えられた電話番号を得るため外部にあるITシステムにアクセスを行う(ステップS1207〜S1210)。なお、図12の事例では、例えば、会議室と同会議室に備え付けられた電話番号に関する情報は外部のITシステムに記憶されているものと仮定したが、かかる情報は、情報編集部102が含まれる交換装置100の内部に在っても良いし、或いは他の交換装置の内部に在っても良い。
続いて、情報編集部102は、位置関連者に関係する情報をプレゼンス情報管理部105へ要求する(ステップS1211)。
かかる要求に従い、プレゼンス情報管理部105は、必要であれば他の交換装置やITシステムから情報を取得しながら(ステップS1213〜S1216)、入力された場所の情報でデータベースを検索して、検索結果である位置関連者のプレゼンス情報を情報編集部102へ返送する(ステップS1212)。ここで、位置関連者のプレゼンス情報とは、場所に関する情報の他に電話番号やメールアドレス等の位置関連者にアクセス可能な情報を含むものとする。
情報編集部102は、以上の過程において取得した本来通信相手がいると想定される場所に備え付けの電話番号や位置関連者等の情報、並びにこれらのプレゼンス情報をサポート情報として編集する。
(c−7)通信相手の通信履歴に関する情報の取得
次に、本来通信相手の通信履歴に関する情報を取得するプロセスについて、以下に説明を行う。
一般に、交換装置は、ユーザへの課金のため、または通信トラフィックの状況を検知するため交換機を介する通信履歴を記録している。そして、かかる通信履歴には、個々の通信の開始・終了時刻や発信元と着信先の識別情報、或いは通信に使用されたサービスの種別や通信結果に関する情報が記録されている。
それ故、本来通信相手への通信の試行が何度も失敗しているような状況下では、所期の目的を達成する上において、本来通信相手の通信履歴を参照・利用することが有効となる。すなわち、本来通信相手の通信履歴から、本来通信相手が最後に通信した日時や最後に通信した相手、或いは使用したサービス等の状況を知ることにより、本来通信相手に通信するための通信候補の決定に役立つ情報が得られる。
ここでは、図13に示される動作シーケンスチャートを参照しつつ、本来通信相手の直近の通信相手を検索してサポート情報を得るプロセスについて説明する。
先ず、情報編集部102は、通信履歴からのサポート情報の作成を決定すると、本来通信相手の通信履歴に対するサポート情報要求元のアクセス権を考慮した上で、交換装置100内の通信履歴管理部109へ本来通信相手情報を送信すると共に、本来通信相手における直近の通信履歴を要求する(ステップS1301)。なお、アクセス権の判定に際しては、単純にアクセス権の有無を問う静的な判定はもとより、例えば、サポート情報要求元が本来通信相手の上司であればアクセス権の範囲を拡大して、サポート情報要求元が参照できる個人情報の範囲を拡げるなどの動的な判定を行うようにしても良い。
かかる通信履歴の要求に従い、通信履歴管理部109は、必要であれば他の交換装置やITシステムから通信履歴を取得しながら(ステップS1303〜S1306)、本来通信相手情報を用いて通信履歴を検索して、その検索結果を情報編集部102へ返送する(ステップS1302)。かかる検索は、例えば、本来通信相手の電話番号を用いて、本来通信相手との通信履歴を有する交換装置やITシステムを特定して行われる。
情報編集部102は、取得した通信履歴情報から本来通信相手の直近の通信相手(以下「直近通信相手」という)を抽出・選択して、その情報をプレゼンス情報管理部105に送信すると共に、直近通信相手のプレゼンス情報の要求を行う(ステップS1307)。
この要求に従い、プレゼンス情報管理部105は、必要であれば他の交換装置やITシステムから情報を取得しながら(ステップS1309〜S1312)、入力された直近通信相手の情報でデータベースを検索して、検索結果である直近通信相手のプレゼンス情報を情報編集部102へ返送する(ステップS1308)。
情報編集部102は、以上の過程において得られた直近通信相手に関する情報とそのプレゼンス情報からサポート情報を編集する。
(d)サポート情報の通信端末への送出処理
次に、サポート情報の通信端末への送出処理を、図1のシステム構成図、および図14に示す動作フローチャートに基づいて説明する。
交換装置100内の情報編集部102は、サポート情報の編集を終えると同情報を要求元の通信端末に送出すべく、端末IF部101を起動する(ステップS1401)。これに応じて端末IF部101は、アクセス網600に対して当該サポート情報を送出する(ステップS1402)。
ここで、アクセス網に送出されるサポート情報の構成例は、前述した図3に示す信号フォーマットと同様であり、情報の設定例は以下の説明の通りである。但し、実際の運用形態においては信号フォーマット中で省略される部分もある。
先ず、送信先301には、当該サポート情報を要求した通信端末(具体的には通信端末500)のアドレスが設定され、送信元302には、サポート情報を送出する交換装置(具体的には交換装置100)のアドレスが設定される。また、情報種別303には、当該サポート情報を識別するための識別情報が設定される。さらに、パラメータ群304には、サポート情報要求で受信した要求識別情報、サポート情報要求に対する結果を表す情報(例えば、要求結果の良否やその理由等)、及び情報編集部102が生成したサポート情報の本体などが設定される。
図18の信号フォーマット説明図に、IP網でTCP(Transmission Control Protocol)を用いてサポート情報を送出した場合のフォーマット例を示す。なお、図18には説明の便宜上、図3の信号フォーマットの301〜304が重複して示されている。
図18から明らかな如く、情報種別303とパラメータ群304は、サポート情報信号1800のTCPデータ1803によって伝送される。即ち、情報種別303とパラメータ群304の全体は、<m:SupportInfoResp>と</m:SupportInfoResp>とで囲まれた部分で伝送される。因みに、<m:SupportInfoResp>のm:SupportInfoRespは、情報種別303に相当し、通信端末からのサポート情報要求への応答信号であることを表している。
また、<m:ReqID>492YZ6111015</m:ReqID>は要求識別情報であり、サポート情報要求信号で運ばれたものと同じものが設定されている。かかる信号によって、通信端末からのサポート情報要求と、その要求に対する応答であるサポート情報との対応付けが可能となる。
さらに、<m:DestUser>+81123456789</m:DestUser>もサポート情報要求にあった本来通信相手と同じものである。また、<m:Result>OK</m:Result>は、サポート情報要求に対する処理が正常に終わり、かつその結果が良好であったことを示している。
同様に、<m:InfoSource>pres</m:InfoSource>は、サポート情報を生成したときに使用された情報源を表している。因みに、同事例ではプレゼンス情報が情報源であることを意味している。
一方、XMLデータ1808には、<m:SupportInfo pri="n">(本事例では"n"は"1"と"2")と</m:SupportInfo>とで囲まれた範囲に2つのサポート情報が存在する。そして、pri="n"の部分は、サポート情報の優先度を表し、最初のものが優先度1で二つ目が優先度2を意味している。即ち、図18の事例においては、pri="1"を持つ最初のサポート情報が優先して処理される。因みに、最初のサポート情報は、「O山X夫という人物が、第1会議室で会議中であり、+81123456789へ電話することにより、同人と通信可能である」という内容を表している。
なお、二つ目のサポート情報については、説明の便宜上その記述を省略する。
(e)通信端末で受信したサポート情報の処理
通信端末500が、アクセス網600からサポート情報を含む信号を受信した際の処理としては次の二つの場合が考えられる。受信したサポート情報を用いて通信端末のユーザが通信の開始の指示を行う場合と、通信端末自らが自律的に受信サポート情報を用いて通信の開始を判断する場合である。
典型的な事例として、前者は、サポート情報の要求を通信端末のユーザが自ら行った場合が相当する。一方、後者は、通信端末が自律的にサポート情報の要求を出した場合や、通信端末が自端末ユーザの不在を認識している場合、ニュースや音楽・映像コンテンツの自動配信など通信端末ユーザの介在を必要としない通信サービスの場合、或いは通信端末がサポート情報の内容をユーザへ表示する適切な機能を有さない場合などが相当する。
かかる二つの場合について、通信端末におけるサポート情報を受信した際の処理について以下に説明を行う。
(e−1)通信端末のユーザが通信の開始を指示する場合
かかる場合の動作処理を、図15に示す動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
先ず、アクセス網600からのサポート情報を含む信号は、通信端末500のアクセス網IF部503において受信される(ステップS1501)。アクセス網IF部503は、かかる受信信号を分析して、当該信号がサポート情報を含む信号であることを確認すると、通信端末500内のサポート情報標示部502の機能を起動する(ステップS1502)。
サポート情報標示部502は、通信端末の有するHMI(Human Machine Interface)機能を介して、サポート情報の全部或いはその一部を通信端末のディスプレイパネル(図示せず)上に表示する。なお、かかるHMI機能としては、このようなCRT/LED表示画面の他に、例えば、表示ランプや合成音声、或いは警告電子音等を用いてユーザに情報を知らせるようにしても良い。また、受信したサポート情報に複数の通信先候補が含まれる場合には、当該サポート情報に含まれる情報構造に関するデータを用いて、ユーザに分かり易いようにサポート情報を表示することも可能である。なお、かかるサポート情報の表示に伴って、サポート情報標示部502は通信端末ユーザに対して通信先候補の選択をうながす。
ユーザは、通信端末の具備するHMI機能を用いて、例えば、コマンドの入力や指示受付用のボタンの押下、通信端末のディスプレイ上のボタン/アイコンのクリック、或いは要求用数字のダイヤル等によって通信先候補を通信端末に指示する(ステップS1504)。なお、このときにユーザは通信を行わないとする指示を出すことも可能である。
以上の通信端末における処理動作を、さらに具体的に説明すれば次の通りである。
例えば、通信端末がパソコン上で動作するソフトフォンの場合は、サポート情報の一覧を表にしたウィンドウをパソコン画面上に表示する。このときにサポート情報が複数ある場合には、これに付随するサポート情報の構造や優先度に合わせて表を編集してウィンドウに表示することも可能である。一方、かかるソフトフォンを通信端末とするユーザは、例えば、上記ウィンドウの表示内容の特定位置をマウスでクリックすることによって、希望する通信相手或いは通信相手のアドレスを指定することができる。
通信端末500内のサポート情報標示部502は、ユーザからの指示に従いサポート情報から通信を開始するために必要な情報を抽出して、その情報と共に通信制御部504に対して呼設定の要求を行う(ステップS1505)。通信制御部504は、かかる要求に応じて、入力された情報に基づいて新たな通信を開始する。
なお、新たに開始した通信が失敗した場合、通信端末のユーザは、既に受信しているサポート情報から更に他の通信相手先を選び直しても良いし、再びサポート情報の要求を行うようにしても良い。或いは、かかる本来通信相手への通信を断念しても良い。
(e−2)通信端末が自律的に通信の開始を判断する場合
かかる場合の動作処理を、図16に示す動作シーケンスチャートに基づいて説明する。
なお、本事例において通信端末500のサポート情報標示部502が、アクセス網600からアクセス網IF部503を介して、サポート情報を含む信号を受信するまでの処理(ステップS1601〜S1602)は、上述の(e−1)におけるステップS1501〜S1502と同じであるのでその説明を省略する。
通信端末が自律的にサポート情報を用いて通信の開始を判断する際において、サポート情報標示部502は、ユーザに受信したサポート情報の全部または一部を表示する場合、サポート情報を受信した旨だけを表示する場合、或いは全く何も表示しない場合の各態様がある。いずれの場合においても、サポート情報標示部502は、受信したサポート情報を分析し、通信の可否を判断して通信先候補を選択すると、かかる情報と共に呼設定要求を通信制御部504に対して送信する(ステップS1505)。なお、この場合の選択論理は、通信端末毎に固有なものであっても良いし、システムの構成情報によって予め設定されているものでも良い。或いは各通信端末のユーザにより指定されるものであっても良い。また、通信端末は通信の再開を行わないとする判断を行うようにしても良い。
以上の処理が行われた後に、通信制御部504は、入力された情報に基づいて新たな通信を開始する。
なお、新たに開始した通信が失敗した場合、通信端末500は、既に受信しているサポート情報から更に他の通信相手先を選び直しても良いし、再びサポート情報の要求を行うようにしても良い。或いは、かかる本来通信相手への通信を断念しても良い。
以上に説明したように、本発明によれば、通信端末のユーザが本来通信を希望する相手との通信が失敗した場合、本来通信相手をキーワードにしてネットワーク上に設置された各種装置の持つ情報を検索・収集・編集することによって、所期の目的を達するための、或いは同目的達成の補助となる通信先候補の一覧を取得することができる。さらに、かかる一覧を利用して通信の再開を図ることにより、通信端末のユーザに対して高い利便性を持ったサポートを提供することができる。