JP4891786B2 - 超硬複合化金属体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
固相拡散接合法はビードを発生させない過程でなされて溶接と同等の接合強度が得られる工法とされるが、超硬合金に対して拡散接合される相手材が鋼である特定の場合には、接合部位の強度が両部材の強度よりも低く、実質的に零となる現象(以下「拡散接合脆性」と記す)が発生するという問題が知られている。
超硬可接性金属は硬度、延靭性、熱膨張率、鋼との接合性などの特性が更に考慮されて使用される。更に、超硬合金と超硬可接性金属を拡散接合させてなす2層の複合化金属体(以下「超硬複合化金属体」と記す)が有用であるので、その研究が推進された。鋼との接合性がある場合は超硬合金と鋼の中間に配してなる3層の複合化金属体が形成される。また、比較的低硬度で低WC量の超硬合金種と高WC量の超硬合金種を複合化した組成層化超硬合金体がある。
(5)そこで、HIP処理が被処理物全体を均一に加熱・保持し、かつ、拡散接合を接合面の全面で任意の時間にわたり実行する方法であるので、超硬合金が係わる拡散接合の施工に好適な方法として適用が望まれた。また、超硬合金の焼結後のHIP処理が内部の空孔欠陥を消滅させる作用があることから、超硬合金の寿命向上やワレ防止に有効であるとされているので、この点からも、超硬合金を部材とする複合化金属体を安定的に形成する方法としてHIP処理の適用が望まれている。
従来方式のHIP処理では、超硬合金と超硬可接性金属の部材とを組み合せて鋼製密閉缶に挿入し、外周から高温・高圧気体を作用させて、鋼製缶が外表でなるHIP被処理体を得る。該処理において、密閉缶内では組み合せた部材の合わせ目の隙間が閉塞し、緻密に一体化した超硬複合化金属体が形成され、かつ同時に、超硬複合化金属体に鋼缶材が全外周から拡散接合で一体化される。
HIP被処理体は小別体に分割するためのワイヤ−放電切断や、外周缶鋼材部は切削と研磨で除去する加工(以下「脱缶加工」と記す)を必要とし、また、型彫放電加工や研磨加工などの製品形状加工がなされる。しかしながら、従来のHIP処理による被処理体は外周加工の初期的段階で、内部の超硬複合化金属体の超硬合金部にワレが発生する特有の現象があって、被処理体に加工を付加することが困難である。また、減圧密閉缶の製造と脱缶加工は高コストであり製品の市場を拡大することが困難である。
(i)超硬合金は、図1に示す、「Co−WC;擬2元系平衡状態図」に示すように、WC63重量%以上の共晶点をこえる組成範囲と1320℃の共晶温度をこえる温度範囲で加熱・保持する処理(いわゆる、液相焼結処理または結合処理)が施されて、常温で「C−W−残部Co;γ相」の固溶体がWC粒と結合した「γ+WC」の微視的組織をもつ合金である。「Co−WC;擬2元系平衡状態図」は「Ni−WC;擬2元系」も同様である。また、1320℃の共晶温度は1280℃であるとの説もある。
(ii)超硬合金には強度や寿命性能に大なる影響を及ぼす脆化現象が知られている。詳しくは、図2に示す、「W−C−Co;3元系のCo隅平衡状態図」(なお、「W−C−Ni;3元系」も同様である)の(2a)に示す如く、「γ+WC」相と隣接してη相が存在する。ηは、図2の(2b)に示す如く、「γ+WC」から低C(および/または)高Wとなる組成相であり、超硬合金内に生成して脆化部となる。超硬合金内の応力の強度が該脆化部の強度を越えた場合に、その部分を起点とするワレが発生し、高硬度,低延性の超硬合金内で急速に伝播する現象がおこる。
(iii)金属部材間の拡散接合処理においては、部材間の隙間が閉塞する。すなわち空孔の拡散によって合わせ目の隙間の空疎が消滅する。続いて、部材金属の拡散による組成傾斜分布層が接合界面を基準として双方の部材に生じる。その結果として、両部材の金属成分系の平衡相が組成傾斜分布層中に生成する可能性が生じる。上記の超硬合金と鋼の間の接合脆性は該η生成事象の結果であって、接合部の超硬合金中Cの鋼中への拡散・逸散による低C化によるη生成現象であると本発明者は考察した。
(iv)上記の「加工付加内部ワレ」は、HIP被処理体に加工を付加した際に、内包される超硬合金内の応力が部分的に大となり、すなわち応力集中が起こり、応力が集中した脆化部を起点として超硬合金がワレる現象であると考察した。この際、ワレの駆動力は超硬合金と超硬可接性金属の複合化に起因する内部応力である。
(v)HIP被処理体には、超硬合金の部材と超硬可接金属の部材が高温で拡散接合されて結合された後に常温に至る行程を経ることによって、内包される超硬複合化金属体部に両者の熱膨張の差に起因した内部応力が不可避的に発生することが知られている(例えば特開2003−53554号公報)。
ここで、超硬合金の熱膨張率は、硬質物質成分の含有量に依存するが、商用の超硬合金のそれは概ね[7.0×10-6/℃以下]であり、超硬可接金属の熱膨張率は、結合合金は[8.5×10-6〜13.0×10-6/℃]であり(特許文献1)、後述する実施例に示すように溶製合金の熱膨張率は[13×10-6/℃]であるので、HIP被処理体内の超硬複合化金属体部は常温で応力を固有し、また、その強度が非常に高い場合がある。
しかして、加工付加によって応力状態が変化して、すなわち応力変化と集中により、応力が脆化部の強度をこえる事態が容易に発生すると推察される。また、超硬合金の加工に重用される放電加工はスパークによるヘアークラック発生を伴うので、加工面の微視的応力集中点の発生が不可避であるとされる。
すなわち、内包される超硬複合化金属体部の超硬合金に脆化部が存在する場合は、加工付加時にワレが誘起される可能性が極めて高いと推察され、HIP被処理体の「加工付加内部ワレ」の対策としては、内包される超硬複合化金属体部の超硬合金外郭の脆化部発生防止が第一義であると本発明者は考察した。
超硬可接性金属としては、(1)超硬合金、(2)硬質物質と鉄系金属を結合した、上記結合合金、(3)C−W−残部Coおよび/またはNi系の溶解・鋳造による、上記溶製合金などが挙げられる。また、超硬可接性金属は、その硬度、延靭性、熱膨張率、鋼との接合性などに優れた金属部材であることが好ましい。
上記結合合金の場合、熱膨張の特性のみを考慮するとWCを20〜80重量%含むことが望まれているが、延性を考慮するとWCは30重量%以下であることが好ましい。このことは、後述する実施例2に示されている。
上記溶製合金の場合、WCを10〜30重量%含むことが好ましい。WCが30重量%以上では延性が不足し、10重量%以下では機械的強度が不足する。
この固着処理によって合わせ目にガラスの侵入を防ぎ,ガラスを介した加圧によって超硬合金固着体に対して圧力が等方的に伝播し、超硬合金固着体は全体が緻密に一体化する。ここで、本発明におけるHIP処理で形成された超硬複合化金属体内の応力はガラスを用いない従来方式のHIP処理と同等である。
(イ)超硬合金3の部材(以下「甲部材」と記す)と超硬可接性金属4の部材(以下「乙部材」と記す)を当接して組み合わせる。更に、甲部材と乙部材とに接して,且つ、両者が接してなす合わせ目の隙間を覆う様に延性のある超硬可接性金属5の部材(以下「丙部材」と記す。)を配して組み合わせる。
その態様は、図4(4a)に示す「突合せ」と、同(4b)および同(4c)に示す「嵌め合い」と、び同(4d)、同(4e)に示す「突合せと嵌め合いの折衷」による。乙部材は公知の超硬合金または前述の焼結合金または溶製合金である。ここで、乙部材と丙部材は特性が許容する場合は一体化して形成することができる。その態様は図4の(4f)、同(4g)、同(4h)、同(4i)、同(4j)にそれぞれ示す。(4f)は(4a)の、(4g)は(4b)の、(4h)は(4c)の、(4i)は(4d)の、(4j)は(4e)の、乙部材と丙部材との一体化の状態をそれぞれ示す。
さらに、甲部材は2個以上積層等して使用できる(4a)、(4b)、(4c)、(4d)、(4f)、(4g)、(4h)、(4i)。乙部材は2個以上積層等して使用できる(4e)。丙部材は2個以上積層等して使用できる(4j)。
固着処理に加えて、開口幅と閉口状態を修整するために、金属塑性加工的手段による閉口処理を丙部材になしてもよい。金属塑性加工的手段とは、コイニング、スエージング、転造、ショット、鍛金などの加工方法である。組み合わせと固着処理と閉口処理は同時、同一操作に含んでもよい。必要に応じて、超硬合金固着体の隙間の開口や部材の形状などに応じてこれらの手段を一つ以上選択して行なう。閉口処理は丙部材自体の溝,疵および開放孔にも有効であり、合わせ目の隙間の閉塞と丙部材自体の溝、疵および開放孔の閉塞を同時に一回のHIP処理でなすことが出来る。
(ホ)合わせ目の開口幅より大なる粒子径を有するガラス粉、粒を収納する金属製開放容器中に超硬合金固着体を埋設し、該ガラスの加工点温度以上〜1280℃未満(共晶温度)で加熱・溶融して単層の浴を生成せしめ、浴中で保持して冷却する。
(ヘ)ガラスの溶融は減圧下でなし、脱気とガラス中のガスと気泡を除去し、部材の酸化を防いでガラスとの密着性を確保する。
(ト)ガラス溶融体は表面張力によって合わせ目の隙間の外に留まって単層化し、冷却後にガラス固化体となって超硬合金固着体を包摂する。
(チ)ガラスの種類はソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウ珪酸ガラスなどである。ガラスの加工点温度とはガラスの粘性が1×10−3Pa・sになる温度をいう。加工点温度はソーダ石灰ガラスおよび鉛ガラスの場合は略900〜980℃、ホウ珪酸ガラスおよびアルミノ珪酸ガラス場合は略1200℃である。例えば、ソーダ石灰ガラスで包摂処理する条件は1000℃以上〜1280℃以下,1×10−3気圧以下の真空度,処理時間は0.5〜3時間が好ましい。
(リ)該操作では同一浴中に複数個の超硬合金固着体を装入できる。
(ヌ)ガラス固化体処理はガラス固化体で超硬合金固着体を包摂した状態で開始する。処理条件は、500℃以上、ガラスの加工点温度以下、圧力10MPa以上、80MPa以下、処理時間は30分以上が好ましい。固化体処理温度が加工点温度をこえると粘性が低くなり過ぎて隙間の開口部が閉塞する前にガラスが侵入する可能性が有る。又、圧力が10MPa以下では隙間の開口の閉塞が進行しない。該加圧条件は従来公知のHIP処理の昇温、昇圧過程の条件に準ずる。
複合化金属体は構成する部材金属の熱膨張の差によって応力が不可避的に発生し、応力ワレの原因となる。2層の複合化金属体は応力ワレを防止するためにその差を30%以下にすることが通常望ましいとされている。また、特許文献1には、超硬合金と鋼の中間に超硬可接性金属を配設して3層の複合体を形成する部材について、その熱膨張率を両者の中間[8.5×10-6〜13.0×10-6/℃]に設定して、複合体内の応力を緩和してワレを防止する方法が開示されている。
本発明による超硬複合化金属体はHIP処理によるので安定性が高く、かつ、超硬合金外殻に脆化部がないので、熱膨張率が[13×10-6/℃]の超硬可接性金属を直接複合化しても応力ワレが発生しない。該熱膨張率は鉄族金属の熱膨張率と同等レベルである。
(i)延性のある超硬可接性金属5(上記丙部材)の製造
延性のある超硬可接性金属5として、20重量%WC−残部Coである溶製合金を製造した。
市販の金属溶解用原料「C粉(≦250メッシュ);1.2重量%,W塊(≦20mm);18.8重量%,Co粒(≦10mm);残部%、および各々の不純物元素としての総Fe≦0.5重量%」を配合して1650℃で誘導炉溶解し、Φ40×L100の砂型鋳塊を得た。該鋳塊で熱膨張率を測定した。熱膨張率は実測で13×10-6/℃である。
実施例1で用いるの超硬可接性金属5として、上記鋳塊を旋盤加工で外径Φ30.05;+0.03−0、貫通孔内径Φ20.01;+0.02−0×L35の形状(以下「丙形状」と記す)にした。加工面の表面性状許容限度はRz2.0μm(JISB0031)である。部材は浸透探傷試験で全面に反応はなかった。図5において部材5として示す。
超硬可接性金属4として、(i)の鋳塊を旋盤加工でΦ20.00;+0−0.01×L15.0の形状(以下「乙形状」と記す)にした。加工面の表面性状許容限度はRz2.0μm(JISB0031)である。部材は浸透探傷試験で全面に反応はなかった。図5において部材4として示す。
(iii)超硬合金3(上記甲部材)の加工
超硬合金3として、市販の[13重量%Co−残部WC超硬合金]を用いた。「平均炭化物粒度2μm、熱膨張率4.5×10-6/℃」の市販品を研磨加工でΦ20.00;+0−0.01×L15.0の形状(以下「甲形状」と記す)にした。加工面の表面性状許容限度はRz0.5である。部材は浸透探傷試験で全面に反応はなかった。図5において部材3として示す。
(iv)超硬可接性金属6の製造
図5に示す部材6として、超硬可接性金属5の鋳塊を旋盤加工でΦ20.00;+0−0.01×L5.0の形状にした。加工面の表面性状許容限度はRz2.0μm(JISB0031)である。部材は浸透探傷試験で全面に反応はなかった。
(vii)HIP処理として、該容器を真空炉中で真空度1×10-4気圧、温度1030℃で0.5時間加熱、静置、冷却した。容器内のガラスは単層化し、固着体はガラス固化体で包摂された。該容器をそのままHIP炉に挿入しHIP処理をした。処理条件を表1に示す。
比較例1で用いる部材5として実施例1の鋳塊を上記丙形状にした。以下、材質表記を簡略化し、各部材の加工法および寸法公差の記述を省略する。部材3として実施例1の鋳塊を乙形状にした。部材4として[13%Co超硬]を甲形状にした。部材6として[JIS SS400鋼]をΦ20.00×L5.0にした。加工面の表面性状許容限度は実施例1と同様である。各部材は浸透探傷試験で反応はなかった。部材3、4、5、6を使用し、実施例1と同様の固着処理をして比較例1の固着体を得た。図5の(5a)に形状を示す。合わせ目の隙間の閉塞を実施例1と同様に確認した。該固着体5個を同様に包摂処理とHIP処理を行なった。処理条件を表1に示す。
比較例2で用いる部材5として、実施例1の鋳塊を上記丙形状にした。部材3として[6%Co超硬]を乙形状にした。部材4として[13%Co超硬]を甲形状にした。部材6として[JIS SS400鋼]をΦ20.00×L5.0にした。加工面の表面性状許容限度は実施例1と同様である。部材は浸透探傷試験で反応はなかった。実施例1と同様の固着処理をして比較例2の固着体を得た。図5の(5a)に形状を示す。合わせ目の隙間の閉塞を実施例1と同様に確認した。該固着体5個を同様に包摂処理とHIP処理を行なった。処理条件を表1に示す。
各被処理体をワイヤー放電切断「条件:線径0.2Φ、材質真鍮、切断量100mm2/h、電圧100V」で接合面に対して垂直2等分縦断して、切断面の浸透探傷試験を行なった。なお、超硬合金の切断加工法は実用的にはワイヤー放電切断に限定される。結果を表1および図6の(6a)に示す。図6は、実施例と比較例の被処理体の縦断面浸透探傷試験結果の模式図である。なお、図6において、実線は外郭線、太実線は浸透探傷試験において浸透探傷反応箇所、破線は光沢変化線をそれぞれ表す。
実施例1は切断面浸透探傷試験で全く反応箇所がない。比較例1は部材4と部材6との境界部に反応があり、部材4の隅に接合面に対し角度略45度方向のワレの反応箇所(以下「45度ワレ」と記す)がある。比較例2は部材4と部材6との境界部に反応がある。
実施例1は外表面で反応箇所がなく、切断面に反応がない。それゆえ、[13%Co超硬]と[20%WC−Co溶製合金]の境界部ではHIP処理時に脆化部は生じないと考えられる。
実施例2で用いる部材5として実施例1の鋳塊を丙形状にした。部材3として実施例1の鋳塊を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。部材6として実施例1の鋳塊をΦ20.00×L5.0にした。
比較例3で用いる部材5として実施例1の鋳塊を丙形状にした。部材3として実施例1の鋳塊を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。部材6として[JIS SS400鋼]をΦ20.00×L5.0にした。
比較例4で用いる部材5として実施例1の鋳塊を丙形状にした。部材3として[13%Co超硬]を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。部材6として[JIS SS400鋼]をΦ20.00×L5.0にした。
各々の固着体5個を実施例1と同様に同様に包摂処理とHIP処理をした。処理条件を表1に示す。また、外表面の浸透探傷試験結果を表1に示す。縦断面の浸透探傷試験を表1および図6の(6b)に示す。
実施例2は切断面で全く反応箇所がない。比較例3は部材4と部材6との境界部に反応があり、部材4の隅に「45度ワレ」の反応箇所がある。比較例4は部材4と部材6との境界部に反応がある。
比較例3と比較例4は外表面で反応箇所がなく、切断面で部材4と部材6との境界部に反応がある。それゆえ、HIP処理で閉塞した[6%Co超硬]と[SS400鋼]との合わせ目に脆化部が生じ、ワイヤー放電切断時に該脆化部が破壊して浸透探傷試験の反応箇所になったと考えられる。
実施例2は外表面で反応箇所がなく、切断面で反応がない。それゆえ、[6%Co超硬]と[20%WC-Co溶製合金]の境界部ではHIP処理時に脆化部は生じないと考えられる。
また、実施例1と比較例1との比較、および、実施例2と比較例3との比較から、HIP被処理体内の熱膨張率が小なる超硬合金と熱膨張率が大なる[20%WC−Co溶製合金]の複合化金属体部において、超硬合金の頭部外郭に脆化部がなければ、ワイヤー放電切断時の「45度ワレ」は生じないことが確認される。
実施例3で用いる部材5として実施例1の鋳塊を30.05−Φ20.01×L30の丙形状にした。この形状は、長さLが実施例1で用いた丙形状の長さにたいして5mm縮小された。この形状は、部材6の部分がない形状である(以下、丙(−5)形状と記す)。部材3として実施例1の鋳塊を乙形状にした。部材4として[13%Co超硬]を甲形状にした。
実施例4で用いる部材5として実施例1の鋳塊を丙(−5)形状にした。部材3として実施例1の鋳塊を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。
実施例5で用いる部材5として、実施例1の鋳塊を丙(−5)形状にした。部材3として[13%Co超硬]を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。
比較例5で用いる部材5として、実施例1の鋳塊を丙(−5)形状にした。部材3として[13%Co超硬]を乙形状にした。部材4として[6%Co超硬]を甲形状にした。
固着体を実施例1と同様の包摂処理とHIP処理をした。処理条件を表1に示す。なお、比較例5のHIP処理温度を950℃に変更した。
外表面浸透探傷試験の結果を表1示す。切断面浸透探傷試験の結果を表1および図6の(6c)に示す。
実施例3、実施例4と実施例5とは切断面で全く反応箇所がない。比較例5は部材5と部材3、部材5と部材4および部材3と部材4の境界部に反応がある。
実施例6に用いる部材5として実施例1の鋳塊を丙(−20)形状にした。この形状は、丙形状における長さLが20mm縮小されている。
[20%WC−Co結合合金]について、市販の超硬合金用原料の「WC粉(粒度3μ);20.0重量%,Co粉(粒度<500メッシュ);残部%」からなる混合粉を、圧力5000kgf/cm2で金型プレス成型しΦ23.0×L17.0の圧粉体をえた。結合処理として、該圧粉体を焼結温度:1420℃、2時間、水素気流中で保持してΦ21×L16の焼結体を得た。なお、処理温度は、図1に示す共晶温度以上〜Co融点温度以下の範囲に設定した。該焼結体で熱膨張率を測定した。熱膨張率は実測で13×10-6/℃である。
実施例6に用いる部材3として、該焼結体を乙形状にした。部材4とし[13%Co超硬]を甲形状にした。
実施例8に用いる部材5として、実施例1の鋳塊を丙(−20)形状にした。部材3として、[20%WC−40%Co−40%Ni結合合金]を実施例6の部材3と同様の操作によって乙形状にした。部材4として[13%Co超硬]「炭化物粒度2μ」を甲形状にした。
包摂処理とHIP処理条件は表1による。
外表面浸透探傷試験の結果を表1に示す。切断浸透探傷試験の結果を表1および図6の(6d)に示す。
実施例6、実施例7、実施例8は外表面で全く反応箇所がない。この結果と上記各実施例の外表面浸透探傷試験結果から、固着体の外周で固定操作がなされる部材5(丙部材相当)のL(長さ)が段階的に縮小され、各々の固着体にソーダ石灰ガラス溶融体を介するHIP処理を行なって、ガラスの侵入、隙間の未閉塞、外表に開口するワレのないHIP被処理体を形成することができる。それゆえ、(5C)形状を有する固着体の部材5(丙部材相当)のL(長さ)は可及的に縮小することが可能であると考えられる。しかして、実質的に2層でなる固着体に、ソーダ石灰ガラス溶融体を介するHIP処理をなして、ガラスの侵入、隙間の未閉塞、外表に開口するワレのない超硬複合化金属体を形成することができる。
[20%WC−Co結合合金]について、圧力5000kgf/cm2で金型プレス成型しΦ33.0−Φ18.0×L17.0の圧粉体をえた。実施例6と同様の結合処理をなしてΦ31−Φ19×L16の焼結体を得た。
実施例9の部材5として該焼結体を丙(−20)形状にした。部材3として[20%WC−Co結合合金]を乙形状にした。部材4とし[6%Co超硬]「炭化物粒度2μ」を甲形状にした。
実施例6と同様の固着処理をして実施例9の固着体を得た。図5の(5c)にその形状を示す。
固着体の包摂処理として、粒径250〜1000μのホウ珪酸ガラスを使用し、真空度1×10-4気圧、温度1200℃で1時間加熱、静置、冷却した。実施例9においては、ガラスの種類および包摂処理条件が変更された。
実施例9のHIP処理条件は表1による。なお、HIP処理温度が1200℃に変更された。
外表面浸透探傷試験の結果を表1に示す。切断面浸透探傷試験の結果を表1および図6の(6e)に示す。
実施例9は外表面と切断面で全く反応箇所がない。それゆえに、[6%Co超硬]にホウ珪酸ガラス溶融体を介するHIP処理で、超硬合金外郭に脆化部は生じないと考えられる。しかして、上記実施例6等と実施例9の要約から、固着体にガラス溶融体を介するHIP処理をなして、超硬合金外郭に脆化部は生じないことが確認された。
(2)延性のある超硬可接性金属はビ−ド形成が可能でありHIP処理後に溶接施工ができる。超硬複合化金属体形成後に鋼部材を溶接して付加することによって3層の複合化金属体を簡便に形成できる。また、HIP処理で第3層を付加する場合は、鉄,鉄基合金,鋼,セラミックス、セラミックス−金属基複合材などが可能となる。
(3)銅と超硬合金は相互の溶解度が極めて小さく拡散層が実際的には生成しないので、η非生成であり超硬可接性である。超硬合金外郭部に脆化部が生じないので、HIP処理温度を銅の融点である1083度℃以下に限定して丙部材として使用できる。その際、超硬合金複合化金属体の接合強度や信頼性を上げるために、銅を除去後に1083℃をこえ〜共晶点温度以下でHIP処理や常圧拡散処理を追加することができる。
ロ−材なども同様の用法を想定することができる。
2 ガラス固化体
3 超硬合金(甲部材)
4 超硬可接性金属(乙部材)
5 超硬可接性金属(丙部材)
6 超硬可接性金属(部材6)
7 金属製開放容器
Claims (2)
- 超硬合金部材と、該超硬合金部材以外の超硬合金、硬質物質と鉄系金属を結合した結合合金、または、C−W−残部Coおよび/またはNi系の溶解・鋳造による溶製合金とを熱間等方圧縮処理により複合一体化してなる超硬複合化金属体であって、
前記超硬合金部材と前記超硬合金部材以外の超硬合金、硬質物質と鉄系金属を結合した結合合金、または、C−W−残部Coおよび/またはNi系の溶解・鋳造による溶製合金部材との接合部外周に延性のある、超硬合金、硬質物質と鉄系金属を結合した結合合金、または、C−W−残部Coおよび/またはNi系の溶解・鋳造による溶製合金を配して、固着処理をして一体の超硬合金固着体とし、該超硬合金固着体にガラスを介して高温・高圧気体を作用させる熱間等方圧縮処理により得られることを特徴とする超硬複合化金属体。 - 請求項1記載の超硬合金固着体をガラス粉粒体中に埋設し、その後前記ガラス粉粒体を減圧下で溶融して冷却することにより包摂処理を施す第1工程と、該ガラスの外周から高温、高圧の気体を作用させて前記超硬合金固着体に熱間等方圧縮処理を施す第2工程とを備えてなる、超硬複合化金属体の製造方法であって、
前記第2工程は、ガラス固化体処理工程と、その後のガラス溶融体処理工程とからなり、前記ガラス固化体処理工程は、500℃以上、前記ガラスの加工点温度以下の温度で熱間等方圧縮処理を施す工程であることを特徴とする超硬複合化金属体の製造方法。
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