[本実施形態の無線通信機に共通する構成要件]
以下、本発明の無線通信機にかかる複数の実施形態に共通する構成、機能を説明する。
「第1類スイッチ」はONとされると緊急通報処理手段を稼動状態とするスイッチであれば、任意の構成とでき、緊急時に当該無線通信機の使用者が操作できるものであっても、外部情報によりONとなるものであっても良い。例えば、当該無線通信機の外部に露出(あるいは突出)して設けられたボタンあるいは所定の時間握り締めているとONとなるスイッチである。無線通信機を身体に装着可能としている装着具(例えば無線通信機をペンダント型にした場合の首にかける紐)が破断されたときにONとなるようにすることでスイッチを構成しても良い。
外部からの信号、通信等を受信し所定の信号かどうかを判断し、所定の信号である場合に緊急処理手段をONとする手段を第1類スイッチとして利用しても良い。例えば、高速道路の出口道路に設けた、逆進入防止信号、徘徊老人の無意識の外出に備えて玄関出口で発信する信号である。例えば、スタート信号発信機等の外部からの信号を時から、所定の時間内に所有者による所定の動作、指示が無線通信機に対してなされない場合に緊急通報処理手段をONとする構成をスイッチとすることもできる。
当該信号を受けたことを音や振動またはLEDの点滅等で表示が行われても良い。例えば、子供が誘拐等の危害にあったことを早期に認知するために、下校時に校門を出るときに校門に設けられたスタート信号発信機から発せられる信号でONとなり、自宅の玄関を通過するときに得られる信号でOFFとなる構成にタイマーを組み合わせたスイッチ等である。この場合に、校門等からの信号を受信すると基準点の位置を測定し、所定の時間が経過したときの位置との距離が所定の距離を超えた場合に緊急通報手段をONとする構成にしても良い。
また、センサが患者の心拍を検知していて、心拍数が所定の値以上になった場合や、所定の値以下になった場合、運転手の瞬きの回数や目を閉じた回数が所定の値を越えたときに緊急通報処理装置をONとさせる仕組みも第1類スイッチである。
また、犯罪者が侵入を試みる可能性がある扉や窓の開閉を検知するセンサが発する情報や貴重品が所定の場所から移動されたことを検知した場合に緊急通報装置をONとさせる仕組みも第1類スイッチである。前記集音用マイクで集められた音声を処理して音声データを生成する音声処理手段が生成した、前記音声データを用いて音声認識を行うことによって前記緊急通報処理が必要か否かを判断し、必要と判断すると前記緊急時処理手段が稼働状態になる場合は集音用マイク、音声処理手段、判断手段で第1類スイッチが形成されていることとなる。
第1類のスイッチは1個のみであるよりも、複数設置されており、TPOに応じたスイッチが緊急通報処理手段を稼動状態とすることが好ましい。
「第2類スイッチ」は緊急情報処理手段の稼動を停止させるとともに、訂正通報処理手段を稼動させる機能を担っている。第2類スイッチは第1類スイッチと異なるボタン等のスイッチであっても、第1種スイッチが第2種スイッチの機能を兼ねていても良い。例えば短時間の押圧で第一種スイッチとして機能し、長押しで第2種スイッチとして機能するボタンである。第2種スイッチといて機能したかどうかは表示手段が表示を停止することによって確認となっている
「緊急通報処理手段」とは第1類スイッチ手段の何れかによって、及び/またはセンサが検知した異常情報によって、及び/又はタイマーがスタートされた後に、特定の情報を特定時間内に検知しない場合、及び/又は距離測定手段が特定距離を超えたことを検知したときに稼動状態となり、予め設定されている緊急通報先へ緊急情報、経過情報の送信を通信手段に指示し、第2類スイッチまたは前記緊急通信先からの通信を受けて非稼動状態となる手段である。
「表示手段」とは前記緊急通報処理手段が稼動中であるときにその旨を表示する手段である。例えば、点滅する赤色のLEDボタンのような視覚的な表示手段や無線通信機全体が振動するような体感的な表示手段があるが、犯人等の第三者には知覚されにくいものが好ましい。 表示手段がONとなっていることだけで、送信者は緊急通報処理手段が稼動状況にあることを認識でき、安心感を得ることができる。
「警告手段」とは前記緊急通報処理手段が稼動状態の時に音、叫び声、輝度の高い照明等を発生する手段であり、無線通信機の保持者に危害を与える者に行動を自省させる警告を与えると共に、周囲の者に、保持者に緊急事態が生じたことを認知させるための手段であり、助けを求めていることを伝える手段である。警告としてはサイレン音、助けてとの叫び声の連呼等がある。警告手段は犯人を刺激し、過激な行動を起こす原因となる可能性もあり、本発明の無線通信機では、予め緊急通報装置が稼動状態になると稼動するモードと稼動しないモードが設定できるようになっている。
「訂正通報処理手段」とは前記第2類スイッチ手段によって稼動状態となり、訂正通報処理を実行する手段である
「通信手段」は前記緊急通報処理手段の指示で、前記緊急通報先へ、前記緊急情報、前記経過情報を送信するとともに、前記訂正通報処理手段の指示で、前記緊急通報先へ送信する手段である。情報を無線で外部の緊急通報装置に向けて送信できるものであれば、任意のもの(ハードウェアでもよいし、ソフトウェアでもよいし、両者の組み合わせでもよい)が使用できる。典型的には、公知の無線通信装置や無線通信用ソフトウェアが使用可能である。好ましい例では、通信手段は複数の経路を使って前記緊急通報装置に向けて送信する。この場合、前記緊急通報装置が前記緊急情報と前記緊急である旨を伝える情報を受信できないという事態(送信エラー)が生じ難くなるため、前記緊急通報装置によって前記通報が実行される確実性がいっそう高まるという利点がある。
「タイマー手段」とは経過情報の送付タイミングをコントロールする及び/又は外部から特定の情報を受けてからの経過時間を監視する手段である。
「音声再生手段」は緊急情報や経過情報の送信を受けた緊急通報先から音声信号が通信されたときに音声に再生する手段である。緊急通報先が状況の確認や、得た情報の処理状況の報告、無線通信機保持者への指示等に使われる。
「日時データ作成手段」とは緊急通報処理手段または前記訂正通報処理手段の指示で日時データを作成する日時データ、すなわち日付と時刻を示すデータを生成できるものであれば、任意のもの(ハードウェアでもよいし、ソフトウェアでもよいし、両者の組み合わせでもよい)を使用できる。
「測位手段」とは前記緊急通報処理手段または前記訂正通報処理手段の指示で指示を受けた時の前期当該無線通信機の位置を特定するためのデータを作成する手段である。典型的には、GPS衛星からの電波を受信して測位する公知の回路や電子装置が便宜である。しかし、これには限定されず、当該無線通信機の位置を測定して位置を特定するための情報を生成できるものであれば、任意のもの(ハードウェアでもよいし、ソフトウェアでもよいし、両者の組み合わせでもよい)が使用できる。
「音声処理手段」とは前記緊急通報処理手段または前記訂正通報処理手段の指示で集音用マイクが採録した情報より音声データを作成する手段である。前記緊急通報処理手段が稼働状態となった時や経過情報を送付する直前の当該無線通信機の周囲の音声データであるため、犯罪捜査や事故調査、災害調査に利用できる情報が増加し、その結果、迅速な犯人逮捕や原因究明の期待がいっそう高まるという利点がある。
「画像処理手段」とは前記緊急通報処理手段または前記訂正通報処理手段の指示で撮像装置が撮影した画像より画像データを作成する。典型的には、携帯電話に内蔵されている公知のデジタルカメラを使用できるが、これには限定されない。被写体を撮影して画像データを生成できるものであれば、任意のもの(ハードウェアでもよいし、ソフトウェアでもよいし、両者の組み合わせでもよい)を使用できる。
「装着手段」は紐、クリップ、バンド、眼鏡の等の身体との装着を可能とする手段である。
「小型、軽量」とは本発明の無線携帯通信機の場合、20立方センチメートル以下、70グラム以下を意味し、携帯電話型は勿論、ブローチ型、時計型、眼鏡型、そしてネックレス型等にすることができる。
「緊急情報」は緊急通報先が、送信者が誰なのか及び/又はどの無線通信機から送信されたかを認知可能なID情報、送信者が緊急な状況にある及び/又は無線通信機が異常を検知した旨を緊急通報先が認知可能な情報、日時データ作成手段が生成した日時データ、測位手段が生成した無線通信機の所在場所を特定可能とする測位データを含んでいる。更に、好ましくは音声処理手段が生成した音声データ、画像処理手段が生成した画像データを含んでいる。
「緊急通報先」は緊急情報、経過情報及び訂正情報の送信先であって、使用者が緊急事態にある旨を家族や知人、警察、警備会社、消防署等の所定の連絡先に通報する本発明の緊急通報装置に設定しておけば、無線通信機の使用者が犯罪、事故や災害に遭遇した場合に、危険な状態(緊急事態)を、簡単な操作で家族や知人、警察、警備会社、消防署等の関係者・関係機関に迅速かつ確実に通報することができる。また、緊急通報先として家族や知人、学校等を直接無線通信機に設定することも可能である。
「緊急通報である旨を伝える情報」は前記緊急通報装置が緊急情報である旨を理解できる情報であれば任意の信号を使用できる。例えば、特定のコードを「緊急である旨を伝える情報」として決めておく方法である。
「経過情報」とは通報先が前記当該無線通信機または送信者を特定可能なID情報、経過情報である旨を伝える情報、前記日時データ作成手段が作成した日時データ、前記測位手段が作成した測位データを含んでおり、緊急通信先は緊急事態が継続していることや送信者及び/又は当該無線通信機が緊急情報を送信した場所から移動しているのか否か等を知ることができる。経過情報に送信直前の画像データや音声データが含まれている場合は、送信者及び/又は無線通信機がどのような状況に置かれているかを、緊急情報送信時との比較ができるので、より好ましい。
「訂正情報」とは通報先に、送信者が誰なのか及び/又は無線通信機から送信されたかを認知可能なID情報、緊急情報を送信した件についての緊急状態が終了したか緊急状態で無かった旨を知らせる情報、日時データ作成手段が生成した日時データを含んでおり、緊急通報先に事態が一段落したしたことが連絡されるようになっている。
なお、本発明の無線通信機は携帯電話の機能、構成を有していても良いが必須ではない。テンキーや液晶表示機能を保有させるために小型軽量化に対して障害となる場合があるからである。
本発明の無線通信機の好ましい例では、前記緊急通報先に連絡を要請する連絡先データを記憶する連絡先記憶手段をさらに備えており、緊急情報、経過情報を送信する際に、前記連絡先データ記憶手段に記憶されている連絡先データが読み出されて前記緊急情報に包含せしめられる。この場合、前記緊急通報装置において前もって前記連絡先を指定しておかなくても、希望する連絡先に緊急通報を行うことができるという利点がある。
また、前記連絡先を示す連絡先データが、前記緊急情報に包含されない場合は、前記緊急通報装置に前記連絡先データを保存しておくようにし、当該緊急通報装置からの通報は前記緊急通報装置の記憶装置から前記連絡先データを読み出して実行される。その結果、前記緊急情報の総データ量が減少して、通信速度が向上する、通信エラーが減少するといった利点が得られる。
また、本発明の無線通信機のさらに他の好ましい例では、第3種のスイッチで前記緊急通報処理手段が、前記日時データ生成手段で生成された日時データ、前記測位手段で生成された位置を特定するための情報及び前記画像処理手段で生成された画像データに当該無線通信機のID情報、蓄積データである旨の情報を付加した蓄積情報を、前記通信手段によって前記緊急通報装置に向けて送信する機能を持つ。この場合、当該無線通信機の使用者が何らかの犯罪や事故や災害に遭遇する可能性を感じた場合に、前記画像処理手段で被写体を撮影して画像データを生成し、その画像データを撮影時に得られた日時データ及び位置を特定するための情報に関連づけて緊急通報機に情報を蓄積することができる。その結果、犯罪捜査や事故調査、災害調査に役立つと思われる情報を取得して前記緊急通報装置に保存しておくことが、専用の手段を別個に設けることなく実現可能となるという利点がある。
[本発明の緊急通報システム]
本発明の緊急通報システムは、無線通信機の緊急通報処理手段稼動状態とするスイッチをONとする引き金になるスタート情報を前記無線通信機に伝達するスタート信号発信機、スタート情報を経て所定の設定条件を満たしたときに、前記緊急通報処理手段を稼動状態にするスイッチ、前記緊急処理手段、前記緊急処理手段の指示に従って緊急通報装置に緊急情報、経過情報を送信する複数の無線通信機、位置情報と対応可否情報を定期的に前記緊急通報処理装置に伝達する複数の緊急通報対応端末機、前記複数の緊急通報対応端末機からに前記位置情報、前記対応可否情報、前期無線通信機からの前記緊急情報、前記経過情報に基づいて、前記複数の緊急通報対応端末機のなかで前記無線通信機保有者の緊急事態の救出指示を与える少なくとも1つの緊急通報対応端末機を抽出し、前記緊急情報、経過情報に含まれる無線通信機の位置情報と救出指示を前記抽出した緊急通報対応端末機に指示するとともに、所定の通報先に無線通信機保有者が緊急事態に遭遇している旨の情報を送信する前記緊急通報装置を備えている。
(1)発明の無線通信機10は他の複数の無線通信機とともに、スタート信号発信機、緊急通報対応端末機及び緊急通報装置70とともに本発明の緊急通報システムを構成することができる。このシステムは図1に示すように、無線通信機10と、警備会社等の建物内に設置された緊急通報装置70と複数のタクシや宅配会社の宅配車に配備された緊急通報対応端末機を備えている。
本発明の無線通信機10が第2型または第3型の場合に、第1種スイッチにスタート情報を提供する信号発信機であるスタート信号発信機が本発明の緊急通報システムの構成メンバーに加わる。スタート信号発信機は第2型の無線通信機においては無線通信機の測位手段に無線通信機の初期位置となる位置情報を作成させるともに、タイマーをスタートさせる情報を提供する。第3型の無線通信機に対しては、タイマーのスタートを支持する信号を発信する発信機であって、第2型に対応した発信機、第3型に対応した発信機、第2型、第3型の両方に対応した発信機等である。
緊急通報対応端末機は緊急通報装置と交信可能で、緊急通報装置が緊急情報を受信した時に、無線通信機保持者を緊急事態から救出に動員する可能性なある関係者に保持させる通信機である。緊急通報装置に対して、救出作業に従事可能かどうかの情報と位置情報を提供するとともに、緊急通報装置から救出指示を受けるために用いられる。また本発明の無線通信機とも交信可能であることが好ましい。
無線通信機10から緊急情報が送信されると(第2型、第3型の本発明の無線通信機ではスタート信号発信機からのスタート信号を受信した無線通信機が所定の条件を満たしたときに緊急情報が発せられる。)その緊急情報は、携帯電話網を構成する基地局50とインターネット60を介して緊急通報装置70に届けられる。緊急通報装置70は、前記緊急情報に直ちに応答して、所定の危険メッセージを予め登録された連絡先1〜連絡先n(nは2以上の正の整数)にそれぞれ送付し、無線通信機10の使用者(所有者)に危険な状況(緊急事態)が発生したことを迅速に通報する。緊急通報装置70は、届けられた緊急情報内の各種データを、内蔵している通報データ保存用データベース107に保存する。こうしてデータベース107に保存された各種データは、必要に応じて、犯罪操作や事故調査や災害調査に利用することが可能となる。
無線通信機10から送信される緊急情報は、インターネット60を経由せずに、基地局50と50Aを含む携帯電話網(と公衆電話回線)を介して緊急通報装置70に到達することも可能である。緊急通報装置70は、この場合も、緊急情報に含まれる緊急通報用ファイル内の各種データを通報データ保存用データベース107に保存することができる。
緊急通報装置には複数の緊急通報対応端末機の各々から、端末機保持者が救出作業に従事可能かどうかと緊急通報対応端末機の位置情報が送信されている。緊急通報装置は緊急情報に含まれている無線通信機の位置情報と緊急通報対応端末機から送信された緊急通報対応端末機の位置情報から、緊急情報を発信した無線通信機に最も近い緊急情報対応端末機に緊急事態にある緊急情報を発信した無線通信機保有者の救出を要請する。
(2)システムを構成するスタート信号発信機
第2型の無線通信機や第3型の無線通信機のように、予め設定された条件を満たしたときに緊急通報処理手段を稼動状態とする型の第1種スイッチを有している無線通信機に当該第1種スイッチにスタート値を設定するための情報を提供する送信機であって、例えば校門に設置される。生徒が下校に際して校門を校内から校外へ横切ったときにのみ無線通信機が受信されるように設定されていたり、スタート信号発信機の近傍の所定の領域通過したときに当該情報が無線通信機に送信される。送信強度は必要以上に強いと、意図していない無線通信機にスタート情報を提供してしまうので、適宜に設定されている必要がある。好ましくは金属探知機のように、通過した瞬間に、スタート信号機が無線通信機キー信号を読み取り、キー信号を付与したスタート信号を無線通信機に伝達されるようにすると良い。またICタグを埋め込んだカードの読み込、書き込み装置のように接触、非接触で情報を伝達するものであっても良い。情報の伝達に際して無線通信機のID情報を送信を受けまたは読み取って、所定のIDを確認できた場合に情報を伝達するスタート信号発生器や、ID信号を確認できなかった場合に職員室等の予め設定された連絡先にその旨が通報されるスタート信号発生器であることが好ましい。同様なスタート信号発信機は病室や個人住宅の玄関に設置可能である。
(2−1)第1の型のスタート信号発信機
第1の型のスタート信号発信機は、無線通信機が所定の領域を通過した時に無線通信機の緊急通報処理手段を稼動状態にするスイッチの一つをONとするためのスタート情報を無線通信機に伝達する情報付与手段、情報付与手段を稼動状態、非稼動状態とするスイッチ手段を有する。
(2−2)第2の型のスタート信号発信機
第2の型のスタート信号発信機は、無線通信機のID確認手段、前記ID確認手段が無線通信機のID情報を確認した時に無線通信機の緊急通報処理手段を稼動状態にするスイッチの一つをONとするためのスタート情報を当該IDの無線通信機に伝達する情報付与手段、情報付与手段を稼動状態、非稼動状態とするスイッチ手段を有する。
(2−3)第3の型のスタート信号発信機
第3の型のスタート信号発信機は、所定の領域を経過するものを検知手段、ID確認手段、前記ID確認手段が無線通信機のID情報を確認した時に無線通信機の緊急通報処理手段を稼動状態にするスイッチの一つをONとするためのスタート情報を当該IDの無線通信機に伝達する情報付与手段、検知手段が物の通過を検知したがID確認手段がID情報を確認しなかった場合に所定の連絡先にその旨を連絡する連絡手段、情報付与手段を稼動状態、非稼動状態とするスイッチ手段を有する。
(3)本発明の緊急通報システムを構成する緊急通報装置
本発明の緊急通報装置は、本発明の無線通信機から送信されてくる緊急情報を受信して保存すると共に、前記緊急情報に含まれる緊急である旨を伝える情報を受信して所定の緊急通報処理を実行する緊急通報装置であって、緊急情報からID情報を抽出して調べることにより、前記緊急情報の送信元が当該緊急通報装置の利用を許可されたものであるか否かを判断する認証手段と、前記緊急である旨を伝える情報が受信されているか否かを判断する信号検出手段と、前記緊急情報から日時データと、その日時データに関連づけられた位置を特定するための情報、音声データ及び画像データとを抽出すると共に、抽出された日時データ、位置を特定するための情報、音声データ及び画像データを前記ID情報に関連づけてデータベースに保存するデータベース管理手段と、前記信号検出手段によって前記緊急である旨を伝える情報が受信されていると判断されたときには、前記緊急通報処理を実行し、それによって前記緊急情報の送信者が緊急事態にある旨の通報を所定の連絡先に対して実行する通報手段とを備えている。
(3)本発明の緊急通報システムに用いられる緊急通報装置では、本発明の無線通信機から送信されてくる緊急情報を受信した後、認証手段によってその緊急情報からID情報を抽出して調べることにより、当該緊急情報の送信元が当該緊急通報装置の利用を許可されたものであるか否かを判断する。その結果、利用を許可されたものであると判断されると、信号検出手段により、緊急である旨を伝える情報が受信されているか否かが判断される。その結果、受信されていると判断されると、通報手段によって所定の緊急通報処理が実行される。
これにより、緊急情報の送信者が緊急事態にある旨の通報が所定の連絡先に対して実行される。並行して、データベース管理手段により、緊急情報に含まれる日時データと、その日時データに関連づけられた位置を特定するための情報、音声データ及び画像データのうち含まれている情報が抽出され、さらに、抽出された日時データ、位置を特定するための情報、音声データ及び画像データが前記ID情報に関連づけられてデータベースに保存される。 信号検出手段によって緊急である旨を伝える情報が受信されていないと判断されると、緊急通報処理は実行されないが、好ましくはデータベース管理手段によって、緊急情報から日時データ、位置を特定するための情報、音声データ及び画像データが抽出され、さらに抽出された日時データ、位置を特定するための情報、音声データ及び画像データを前記ID情報に関連づけてデータベースに保存される。
(4)本発明の緊急通報装置においては、主に以下の特徴を有する。
(4−1)第1の型の緊急通報装置は無線通信機から送信されてくる緊急情報、経過情報を受信して保存すると共に、所定の緊急通報処理を実行する緊急通報装置であって、前記緊急情報に含まれるID情報を抽出して、前記緊急通報用データの送信者が当該緊急通報装置の利用を許可された者であるか否かを判断する認証手段と、前記緊急情報に含まれる緊急情報である旨の情報が受信されているか否かを判断する信号検出手段と、前記緊急情報から日時データと、その日時データに関連づけられた位置データ及び画像データとを抽出すると共に、抽出された日時データ、位置データ及び画像データを前記ID情報に関連づけてデータベースに保存するデータベース管理手段と、 前記信号検出手段によって前記緊急情報で在る旨の情報が受信されていると判断されたときには、前記緊急通報処理を実行し、それによって前記緊急通報用データの送信者が緊急事態にある旨の通報を所定の連絡先に対して実行する通報手段を備えていて、前期緊急処理に、複数の緊急処理対応端末から定期的に送信される、緊急処理端末機の位置情報、対応可否情報から前期緊急情報、経過情報を送信してきた無線通信機にコンタクトするに適した少なくとも1個以上の緊急通報端末機を抽出して、コンタクトを指示する情報を送信するプロセスを含んでいる。
(4−2)第2の型の緊急通報装置は複数の無線通信機から送信されてくる管理情報、緊急情報、経過情報を受信して保存すると共に、所定の管理処理、緊急通報処理を実行する緊急通報装置であって、前記管理情報、前記緊急情報、前記経過情報の各々の情報に含まれるID情報を抽出して、前記情報の送信者が当該緊急通報装置の利用を許可された者であるか否かを判断する認証手段と、前記情報の種類を判断する判断手段と、前記情報が管理情報である場合に同じIDの複数の情報から、所定の通報先に通報するべきか否かの判断手段、前記情報毎に前記ID情報に関連づけてデータベースに保存するデータベース管理手段と、前記判断手段が通報をするべきと判断した場合は所定の通報先に、所定の連絡を実行する通報手段を備えている。
(4−3)第3の型の緊急通報装置は複数の無線通信機から送信されてくる情報を受信して保存すると共に、所定の緊急通報処理を実行する緊急通報装置であって、前記情報に含まれるID情報を抽出して、前記情報の送信者が当該緊急通報装置の利用を許可された者であるか否かを判断する認証手段と、前記情報を分析し、行うべきアクションを決める判断手段と、前記情報を前記ID情報に関連づけてデータベースに保存するデータベース管理手段と、前記判断手段に基づいて処理を実行する処理手段、複数の緊急処理対応端末から定期的に送信される、緊急処理対応端末機の位置情報、対応可否情報から前期情報を送信してきた無線通信機にコンタクトするに適した少なくとも1個以上の緊急通報端末機を抽出して、指示する情報を送信する緊急処理対応端末機管理手段を有している。
これらの緊急通報装置において「緊急通報処理」は、それを実行することによって、緊急情報の送信者が緊急事態にある旨の通報を所定の連絡先に対して実行することができるものであれば、任意の処理を使用できる。例えば、連絡先としてあらかじめ指定された電話番号やファクシミリ番号、電子メールアドレス等に、所定のメッセージを口頭または文書またはテキストデータで送る処理を使用できる。
「認証手段」は、緊急情報からID情報を抽出して調べることにより、緊急情報の送信元が当該緊急通報装置の利用を許可されたものであるか否かを判断できるものであればよい。この条件を満たすものであれば、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現してもよい。典型的にはソフトウェアを用いて実現可能である。例えば、特定のコードを「ID情報」として決めておき、そのコードが緊急情報中に含まれているか否かをソフトウェアで調べることにより、容易に実現できる。
「信号検出手段」は、緊急情報と共に緊急である旨を伝える情報が受信されているか否かを判断できるものであればよい。この条件を満たすものであれば、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現してもよい。典型的にはソフトウェアを用いて実現可能である。例えば、特定のコードを「緊急である旨を伝える情報」として決めておき、そのコードが受信されたか否かをソフトウェアで調べることにより、容易に実現できる。
「データベース管理手段」は、緊急情報から日時データと、その日時データに関連づけられた位置を特定するための情報及び画像データを抽出することができ、さらに、抽出された日時データ、位置を特定するための情報及び画像データをID情報に関連づけてデータベースに保存することができるものであればよい。この条件を満たすものであれば、任意のハードウェアあるいはソフトウェア、または両者の組み合わせを使用できる。典型的には、公知のコンピュータに公知のデータベース管理用ソフトウェアを組み合わせることにより容易に実現できる。
「通報手段」は、緊急通報処理を実行することにより、緊急情報の送信者が緊急事態にある旨の通報を所定の連絡先に対して実行するものであればよい。この条件を満たすものであれば、任意のハードウェアあるいはソフトウェア、または両者の組み合わせを使用できる。例えば、連絡先として電話番号やファクシミリ番号が指定されている場合、公知の通信用ソフトウェアにより、所定のメッセージを音声または文書で送ることができる。また、連絡先として電子メールアドレスが指定されている場合、公知のメールサーバやその他の電子メール管理用ソフトウェアを用いれば、所定のメッセージをテキストデータで送信することができる。
緊急通報装置の好ましい例では、前記連絡先を示す連絡先データが、前記ID情報に関連づけて前記データベースに保存されており、前記通報は前記データベースから前記連絡先データを読み出して実行される。この場合、前記緊急情報の総データ量が減少して、通信速度が向上する、通信エラーが減少するといった利点が得られる。
緊急通報装置のさらに他の好ましい例では、前記信号検出手段によって前記緊急である旨を伝える情報が受信されていると判断されたときに、前記緊急情報の送信者あてにコールバックが実行される。この場合、前記緊急情報の送信者が応答できる状況にあれば、その場で状況を確認でき、また、応答がなければ、応答ができない状況である可能性を推定できる、という利点がある。
緊急通報装置のさらに他の好ましい例では、前記データベース手段が、前記緊急情報から抽出された日時データ、位置を特定するための情報及び画像データを前記ID情報に関連づけて前記データベースに保存してから所定期間経過すると、それらのデータを前記データベースから削除してデータ保管用ファイルに移す。この場合、それらデータの削除により前記データベースの総データ量が減少し、検索速度が改善されるという利点がある。他方、削除されたデータは、データ保管用ファイルに保管されるので、そのデータが将来必要になったときには、同ファイルを検索して利用することが可能である。
(5)システムを構成する緊急通報対応端末機
本発明の緊急通報対応端末機は稼動状態と非稼動状態の切り替えが可能であって、稼動状態においては保有者が指示に呼応して対応行動が可能か否かの情報の対応可否情報を入力する手段、対応依頼情報と関連付けて受信した位置情報を目的地の一つに自動的に設定する設定手段、少なくとも、対応可能情報が入力された後、対応不能情報が入力されるまで、定期的に位置情報と対応可否情報をID情報とともに所定の通信先に送信する送信手段、前記所定の通信先との会話手段、前記目的地への経路を表示するとともに、音声で経路を指示するナビゲーション手段を有していることを特徴としている。
無線通信機から緊急情報が緊急通報装置に発信されたときは無線通信機の保持者が緊急状態に陥ったときであり、可及的速やかに援助の手が差し伸べられることが好ましい。そのためには、当該無線通信機保持者の近くにいる者が、救助に従事することが好ましいが、当該目的は緊急通報対応端末機を活用することで、達せられる。都会では宅配便配送者やタクシーの運転手、郵便配達人等、多くの人が車を活用しつつ動き回っている。緊急通報対応端末機はこれらの人の所持や車への搭載を意図している。特にカーナビゲーション装置に緊急通報端末機の機能を合体させることで、本発明の緊急通報端末機の機能が有効に発揮できる。
緊急通報対応端末機には、緊急通報装置に、緊急通報に対応可能かどうかを知らせるスイッチがある。例えばON状態は対応可能、OFF状態は対応不可能状態を示すスイッチである。また無線通通信機と同様な測位手段を有している。定期的に緊急通報装置に緊急通報に対応可能かどうかの情報と位置情報又は位置を決定するために必要な情報を送信するためのタイマー手段と送信手段を有している。緊急通報装置には多くの緊急通報対応端末機から各々の端末機の保持者が緊急情報に対応可能かどうかの情報と各々の端末機保持者のいる場所の情報が定期的にあつまっている。緊急通報装置に無線通信機から緊急情報が送信されると緊急通報装置は対応可能な緊急通報対応端末機保持者の中で、緊急情報を送信してきた無線機の保持者に最も近くにいる保持者を検索し、緊急情報の内容を伝達する。好ましくは、緊急通報対応機はカーナビゲーションシステムムと連動していて、緊急情報を送信してきた無線機の存在地が目的地として設定される。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信機を利用した本発明の緊急通報システムの構成を示す概念図、図2はその無線通信機の外観図、図3はその無線通信機の内部構成を示す機能ブロック図である。
(第1の実施形態)
図2及び図3を参照しながら、本発明の無線通信機についての第1実施形態に係る詳細な構成を説明する。
本発明の無線通信機10は、図2−2に示すように、携帯電話機として構成されていてもよい。携帯電話としての通話機能は必須ではない。携帯電話としての機能を有している場合は、周知の携帯電話機の形態及び機能を有している。
本発明の無線通信機は図1に示すように、基地局50を介して同様の構成を持つ他の無線通信機10’や固定電話機(図示省略)との間で通話、通信が可能である。無線通信機10はまた、内蔵しているインターネット接続用の電子回路(図示省略)を用いて無線でインターネット60に接続し、所定の電子メールの送信も可能である。つまり、無線通信機10は、電話本来の通話回線を用いての通信機能に加えてインターネット接続機能と電子メール送信機能も有しているのである。前述したように会話機能が可能であっても良い。これらの機能とそれを実現する手段は、いずれも周知であるから、それらについての詳細な説明は省略する。
図2の無線通信機10は首からかけるためのネックレス21を有しているペンダント型の、20立方センチメートル、重さが70グラムの小型軽量の無線通信機である。本体11の上端には、アンテナ13が取り付けてある。アンテナ13は、インターネット60への接続、インターネット60を介したデータ通信(データの送受信や電子メールの送受信など)、GPS衛星80から放射される電波の受信等に使用される。
本体11の表面の略中央部には、内蔵デジタルカメラのレンズ21が本体11より露出して取り付けられている。撮影した被写体の画像は、内蔵されたメモリに保存される。
本体11の表面には第1類スイッチである丸型操作ボタン15、第2類スイッチである十字型操作ボタン20とが設けてある。なお、本体11の裏面には緊急通報装置から送信される音声信号を音声に再生するスピーカー22が設けられている。
第1類スイッチである丸型操作ボタン15は、緊急通報装置70に対して情報の送信を指示するためのもので、これを押すと直ちに緊急通報処理手段が稼働状態となる。また丸型操作ボタンが操作されると丸型操作ボタンが赤色に輝くとともに、スピーカーから「助けて!」の声が連呼を開始する。
GPS作動ボタン16は、内蔵のGPS受信回路(図示省略)を作動・非作動状態に設定するためのもので、これを押すとGPS受信回路が作動状態になり、GPS衛星80から放射される電波(位置情報を含む)をアンテナ13で受信し、受信した位置情報に基づいて当該無線通信機10の現在位置を測位して内蔵されたメモリに保存される。GPS受信回路を非作動状態にするには、GPS作動ボタン16をもう一度押せばよい。
マイク17は、周囲の音声を拾って電気信号に変換する装置であり、主として通話に使用されるが、通話時以外にも必要に応じて集音のために使用される。
カメラスタンバイボタン18は、内蔵デジタルカメラを作動・非作動状態に設定するためのものである。カメラスタンバイボタン18を押すと、内蔵デジタルカメラが撮影可能となり、第1類スイッチである丸型ボタンが押圧されると被写体を撮影する。撮影された被写体の画像は、デジタルの画像データとして無線通信機10内部のメモリ(図示省略)に保存される。保存された画像データは、必要に応じてインターネット60を介して(あるいは介さないで)外部に伝送することができる。内蔵デジタルカメラを非作動状態にするには、カメラスタンバイボタン18をもう一度押せばよい。
第2類スイッチである十字型ボタン20は、第1類スイッチである第1類スイッチ15を誤って操作した場合や、緊急事態を脱したときに押圧される。この押圧により、第1類スイッチ15を操作した時に稼働状態となっている緊急通報処理手段が非稼働状態となるとともに、訂正情報が緊急通報装置に送信される。
無線通信機10はタイマー(図示省略)を内蔵している。タイマーは緊急通報処理手段が稼働状態になると時間の経過を計測し始める。当該時間の経過が予め設定された時間を経過した時毎にその旨の情報が緊急通報処理手段に伝達され、経過情報が緊急通報装置に送信される。図の無線通信機は10は図示していないが、時間の設定は任意にできるようになっていて、その設定を行うための機構を有している。
図3は、無線通信機10の本体11の内部回路構成を示す機能ブロック図である。
本体11の内部には、同図に示すように、時計・タイマー部31、デジタルカメラ部32、位置測定部34、位置を特定するための位置データ記憶部35、連絡先データ記憶部36、画像データ記憶部37、画像処理部38、通信部39、音声処理部40、制御部41、音声データ記憶部42、そして緊急通報処理部43、訂正通報処理部44が設けられている。制御部41は、これら本体11の内部回路の全体を制御する。位置を特定するための位置データ記憶部35、連絡先データ記憶部36、画像データ記憶部37、そして音声データ記憶部42は、通常、単一のハードウェア(メモリ)を領域毎に区切ることによって実現されるが、別個のハードウェア(メモリ)で実現してもよいことは言うまでもない。
時計・タイマー部31は、制御部41に所定のクロック信号を供給しするとともに、緊急通報処理部43に必要な時刻データを供給する。
デジタルカメラ部32は、カメラスタンバイボタン18が押されて内蔵デジタルカメラが動作状態にある時に、丸型ボタン15が押されると、カメラレンズ21を介して被写体を撮影してそれに対応するデジタル画像データを生成し、画像処理部38に送る。画像処理部38は、送られてきた画像データに対してデータ圧縮等の所定のデータ処理を行ってから、画像データ記憶部37に記憶する。これらの動作はいずれも、制御部41による制御の下に行われる。
位置測定部34は、制御部41による制御の下で、GPS衛星80から放射されるGPS電波をアンテナ13で受信し、当該GPS電波に含まれている位置情報を利用して無線通信機10の現在位置を測定し、無線通信機10の現在位置を示す位置を特定するための情報を生成する。そして、こうして得られた位置を特定するための情報を位置を特定するための位置データ記憶部35に記憶する。位置測定部34は、第1類スイッチ15が押された場合にも、これと同様の動作を行う。
連絡先データ記憶部36は、所定の「危険メッセージ」(例えば、○○さんが危険です。××さんが危険な状態にあります。)を送信すべき緊急通報装置70及び連絡先を示すデータ(例えば、固定電話番号、携帯電話番号、電子メールアドレス、ファックス番号等)を記憶する部分である。連絡先データ記憶部36に記憶された連絡先は、ここでは「登録連絡先」と称する。連絡先データ記憶部36には、m個(mは2以上の正の整数、ただしm>n)の連絡先が登録(記憶)可能である。
連絡先データは電子メールや携帯可能な記憶装置などを用いて外部から入力(登録)することで記憶される。また、登録している連絡先データの変更や消去も、同様の方法で行うことが可能である。これらの動作も、制御部41による制御の下に行われる。
連絡先データ記憶部36に記憶されている連絡先データは、入力(登録)が完了する毎に緊急通報装置70に送信して通報データ保存用データベース107に保存しておくのが好ましい。また、その連絡先データの変更または消去を行った時にも、それを直ちに緊急通報装置70に送信してデータベース107の内容に反映させておくのが好ましい。こうすれば、緊急通報時に連絡先データを緊急通報装置70に送信する必要がなくなるため、送信データ量が減少し、その結果、送信速度や送信確実性が向上する利点が生じるからである。なお、予め連絡先データをデータベース107に保存しておかなくてもよい。この場合は、緊急通報時に連絡先データも緊急通報装置70に送信されるようにする必要がある。
音声処理部40は、制御部41による制御の下で、マイク17によって集音して電気信号に変換された音声をデータ処理し、得られた音声データを音声データ記憶部42に記憶する。音声処理部40はまた、得られた音声データが、予め登録しておいた無線通信機10の所有者(使用者)の救助を求める声であるか否か、予め登録しておいた同所有者(使用者)の悲鳴であるか否かを認識し、そうであると判断した場合は、所定の起動信号を緊急通報処理部43に送って緊急通報処理部43を起動させる。その結果、緊急通報処理部43は、第1類スイッチ15が押された時と同様に、所定の緊急通報処理を実行する。
緊急通報処理部43は、第1類スイッチ15が押された時、または音声処理部40から起動信号が送られて来た時(以下、「緊急時」という)に、稼働状態となり、所定の「緊急情報通報処理」が実行される。この「緊急情報通報処理」とは、以下の(1)〜(8)の処理をいう(図4を参照のこと)。なお、(1)〜(8)の処理は、いずれも、制御部41の制御プログラムを調整する等により、公知技術を用いて容易に実現できるから、下記に記載した以上の詳細な説明は省略する。
(1)の処理においては、時計部31から送られる「第1類スイッチによって緊急通報処理手段が作動状態となった時」の日時を示す日時データ準備させる。(ここでは「第1類スイッチによって緊急通報処理手段が作動状態となった時」としたが、送信時刻を日時データとしても良い)。
(2)の処理においては、「第1類スイッチによって緊急通報処理手段が作動状態となった時(緊急時)」における現在位置に関する情報を現在位置情報収集部34で測定し、得られた位置を特定するための情報を位置位置データ記憶部35に記憶する。そして、その位置を特定するための情報を位置位置データ記憶部35から読み出す。
(3)の処理においては、「第1類スイッチによって緊急通報処理手段が作動状態となった時」における被写体の画像をデジタルカメラ部32で撮影し、得られた画像データを画像データ記憶部37に記憶する。そして、その画像データを画像データ記憶部37から読み出す。(デジタルカメラ部を有していない無線通信機では省略可能である。また緊急情報処理手段の稼働に連動して画像処理手段が作動するモードと作動しないモードを設定可能な無線通信機で作動しないモードに設定されている場合は省略される)
(4)の処理においては、「第1類スイッチによって緊急通報処理手段が作動状態となった時から所定時間」における音声や音をマイク17で集音し、音声処理部40でデータ処理して、得られた音声データを音声データ記憶部42に記憶する。そして、その音声データを音声データ記憶部42から読み出す。(マイク、音声処理部を有していない無線通信機では省略可能である。また緊急情報処理手段の稼働に連動して音声処理部が作動するモードと作動しないモードを設定可能な無線通信機で作動しないモードに設定されている場合は省略される)
(5)の処理においては、連絡先データを連絡先データ記憶部36から読み出す。(連絡先データを予め緊急通報装置70に送信して通報データ保存用データベース107に保存しておき、緊急時にはそのデータベース107に保存されている連絡先データを読み出して使用するように設定された場合は、この動作は省略可能である。)
(6)の処理においては、(1)の処理〜(5)の処理で得られた日時データ、位置を特定するための情報、画像データ、音声データそして連絡先データに、無線通信機10の所有者(使用者)の持つ「ID(Identification)情報」を結合して「緊急通報用ファイル」を生成する。この時、位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び連絡先データは、日時データに対して関連付けが行われる。がこれは、これら位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び連絡先データが、日時データで示される日時におけるものであることを示すためである。なお、この処理の際に、公知の適当な方法でデータ圧縮をして、送信される総データ量を減少させるのが好ましい。その場合、このデータ圧縮動作も緊急通報処理部43が行うことになる。諸データと日時データとの関連づけは、本発明の無線通信機で行わず、緊急通報装置70が緊急情報の送信を受けた後に行っても良い。送信日時を日時データとして使用する場合は日時データと他のデータとの関連付けは緊急通報装置で行われる。
(7)の処理においては、(6)の処理で生成した「緊急通報用ファイル」に所定の「緊急である旨を伝える情報(緊急通報信号)」を付加し緊急情報として、通信部39に送る。
「緊急通報用ファイル」に付加される「緊急である旨を伝える情報」とは、緊急通報装置70に対して、使用者が緊急である旨を伝え、所定の緊急通報動作の実行を指示する情報である。具体的に言えば、警備会社に設けられた緊急通報装置70に指示して、予め登録されている連絡先1〜nに所定の「危険メッセージ」(例えば、○○さんが危険です。××さんが危険な状態にあります。)を、電話や電子メールやファクシミリなどの手段によって送るという緊急通報動作の実行を指示するものである。
「緊急通報用ファイル」に含められる「ID情報」は、無線通信機10の所有者(使用者)が持つ固有のID情報であって、緊急通報装置70を設置した警備会社から付与されたものである。「ID情報」の付与を受けることにより、同所有者(使用者)は緊急通報装置70を用いる緊急通報サービスを利用することが可能となる。この「ID情報」は無線通信機に付与されている固有のID情報であっても良い。
(8)の処理においては、(7)の処理で送られてきた緊急情報を、通信部39によって外部に無線で送信する。送信された緊急情報は、一方では、基地局50とインターネット60を介して緊急通報装置70に到着する。他方では、基地局50と50A(すなわち携帯電話網)だけを介して(インターネット60を介さずに)緊急通報装置70に到着する。これは、緊急情報の到達確実性(安全性)を向上するためである。しかし、所望の到達確実性(安全性)が得られるのであれば、いずれか一方の経路を経て到着するようにしてもよいことは勿論である。また、三つ以上の経路を経て到着するようにしてもよい。
上述のように、入力データ群から緊急通報用ファイルが生成され、それに緊急である旨を伝える情報が付加されて緊急情報として緊急通報装置70に送信されると、緊急通報装置70から所定の緊急メッセージが登録連絡先1〜nに送信される。その際のデータの流れは図4および図8に示すようになる。
図8に示した緊急通報用ファイルの例では、左上から右下に向かって順に、「2004/9/15」「10:30」という日時データ、「東京M−G」という位置を特定するための情報(M−Gとは、予め指定された東京都の区域コードを示す)、「○○○○−△△△△△−□□□□□□」というID情報、顔写真からなる画像データ、波形で示された音声データ、連絡先データが、ファイルの先端(Start Of File, SOF)からファイルの終端(End
Of File, EOF)の間に含まれている。
なお、位置を特定するための情報については、区域コードによる表示に限定されず、緯度と経度で表示してもよいし、住居表示で表示してもよい。位置を特定して示すか位置を特定する情報であれば良い。
図8に示した緊急送信用ファイル中の「送信フラグ」とは、n個の登録連絡先1〜nの各々に危険メッセージが送られたことを確認するためのコードである。当初の値は「0」であり、登録連絡先1〜nの各々に緊急メッセージが送られる毎に「1」が加算される。「送信フラグ」の値が「n」になると、登録連絡先1〜nのすべてに危険メッセージが送られたことが分かる。このように、「送信フラグ」を使用することにより、登録連絡先1〜nの各々に危険メッセージが順次送られていく状況を監視することができる利点がある。
上記(1)の処理〜(4)の処理は、緊急時であることを考慮して、その時にデジタルカメラ部32や現在位置情報収集部34や音声処理部40が動作状態にあるか否かに拘わらず、常に実行される。このため、緊急時における位置、画像及び音声の各データが確実に得られる。
図6−1,6−2は、無線通信機10の動作を示すフローチャートである。同図を参照して無線通信機10の動作を説明すると次の通りである。なお、以下の動作において動作主体を説明していないものは、緊急処理部43又は制御部41が行う。
ステップS1では、第1類スイッチである丸型ボタン15が押されたか否かを判断する。結果が「Yes」であればステップS3に進む。結果が「No」であればステップS2に進み、音声処理部40によって所定の悲鳴(あるいは声)が認識されたか否かを判断する。ステップS2の判断の結果が「No」であれば、ステップS1の前に戻り、再度ステップS1の判断する。ステップS2の判断の結果が「Yes」であれば、ステップS3に進む。丸型ボタンや音声判断以外の第1類スイッチがある場合は各々のスイッチに対して同様なステップが行われる。このように、無線通信機10では、ステップS1とS2において「緊急通報処理」を開始がすべきか否かを第1類スイッチのすべてについて常時監視しているのである。このため、「緊急時」と判断されると直ちに且つ確実に「緊急通報処理」が開始される。
ステップS3と平行してタイマー・時計部が時間の経過の監視を開始し始めている(ステップS3−1)。また、ステップS3と平行して音声処理部がサイレン音の発生を開始(ステップS3−2)するとともに、表示手段である赤色LEDボタンが点滅を開始(ステップS3−3)する。
ステップS3では、時計・タイマー部31から送られてくる日時データを受け取る。第1類スイッチ15が押された時あるいは音声処理部40によって所定の悲鳴(あるいは声)が認識された時、すなわち「緊急時」の日付と時刻を示す日時データが時計部31から送られてくる。そこで、その日時データを受け取って一時的に保存する。
ステップS4では、「緊急時」における無線通信機10の現在位置を現在位置情報収集部34で収集し、得られた位置を特定するための情報を位置位置データ記憶部35に記憶する。そして、その位置を特定するための情報を位置位置データ記憶部35から読み出す。
ステップS5では、「緊急時」における被写体の画像をデジタルカメラ部32で撮影し、得られた画像データを画像データ記憶部37に記憶する。そして、その画像データを画像データ記憶部37から読み出す。「緊急時」に犯人に向かってレンズ21を向ける余裕があれば、犯人の顔等を写した画像が得られるであろう。しかし、「緊急時」のレンズ21の向きによっては、犯人の画像ではなく、現場の景色等の画像になる可能性がある。「緊急時」にレンズ21の向きを制御する余裕が無い場合は仕方がないことである。しかし、そのような場合であっても、現場の景色が得られるだけでも犯罪捜査の参考になることが多く必ずしも無駄になるわけではない。
ステップS6では、「緊急時から所定の時間」における音声をマイク17で集音し、音声処理部40でデータ処理して得られた音声データを、音声データ記憶部42に記憶する。そして、その音声データを音声データ記憶部42から読み出す。得られた音声データは、犯人の声や犯人が使った車や器具(例えば銃器)などに関する音、あるいは現場で生じた音声を含むであろうから、これも犯罪捜査の参考になる場合が多いと思われる。
ステップS7では、連絡先データ記憶部36から連絡先データを読み出す。なお、「緊急時」に連絡先データを緊急通報装置70に送信しないように設定されている場合は、ステップS7の実行は省略される。すなわち、ステップS7がスキップされ、ステップS6からステップS8に飛ぶことになる。
ステップS8では、ステップS3〜S7で得られた日時データ、位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び連絡先データに、無線通信機10の所有者(使用者)の持つ「ID情報」を結合して「緊急通報用ファイル」を生成する(図4を参照)。この時、位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び連絡先データは、日時データに関連づけられることは、上述した通りである。
ステップS9では、ステップS8で生成した「緊急通報用ファイル」に、所定の「緊急である旨を伝える情報(緊急信号)」を付加して、通信部39に送る。この時、送信容量を小さくするために「緊急通報用ファイル」をデータ圧縮するのが好ましい。
ステップS10では、通信部39に送られてきた「緊急通報用ファイル」を、「ID情報」と「緊急である旨を伝える情報」と共に緊急情報として、緊急通報装置70に無線で送信する。
こうして送信された緊急情報は、インターネット60を介して、警備会社に設置された緊急通報装置70に到着する。また、それと同時に、携帯電話網を介して緊急通報装置70に到着する。両方の緊急情報が破損されておらずそのまま使用可能であれば、緊急通報装置70ではいずれか一方が利用される。
緊急通報装置70は、到着した緊急情報に含まれている「緊急通報用ファイル」から日時データ、位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び連絡先データを抽出し、無線通信機100の使用者のID情報と関連づけて通報データ保存用データベース107に保存される。この点についての詳細は後述する。
ステップS10−1ではタイマー手段が監視している時間の経過が予め設定されている時間を経過したかどうかを確認され、確認されるとステップS10−2に進む。
ステップS10−2では経過情報が作成される。経過情報作成のプロセスは緊急情報作成のプロセスと同様であり、省略する。この経過情報には。ステップ10−2に入った時点の日時データ(送信時の日時データを使用しても良い。)、無線通信機及び/又は送信者を特定可能なID情報、経過情報である旨を伝える情報、ステップS10−2に入った時点の無線通信機の位置を特定するための情報(位置そのものの情報も含む)、画像データ、音声情報を含んでいる。この場合、画像データ、音声データは省略される場合がある。また日時データはこのステップで含ませず、後述するステップ10−4の送信時に追加されても良い。
ステップS10−3では、ステップS10−2で生成した「経過情報」を通信部39に送られ、通信部39では送られてきた「経過情報」を、緊急通報装置70に無線で送信する。この時、送信容量を小さくするために「経過情報」はデータ圧縮されていることが好ましい。
ステップ10−1から10−3は第2類スイッチがONとされるか緊急通報装置70からのストップ指示を受けるまで繰り返される。
第2類スイッチがONとされるか無線通信機が緊急通報装置70からのストップ指示を受けると時計・タイマー部が行っていた経過時間の監視、サイレン音の発生、赤色REDの点滅が止る。
制御部は上記ステップと平行して十字型ボタン等の第2種スイッチがONとされていたかどうかを監視している(ステップS10−4)。ONとなったことを検知するとステップS10−5で、訂正通報処理部で訂正情報が作成される。
訂正情報には、ステップ10−5に入った時点の日時データ(送信日時データを使用しても良い。)、無線通信機及び/又は送信者を特定可能なID情報、既に送ってある緊急情報、経過情報に関する件が緊急状況でなくなった旨の情報を含んでいる。緊急状況でなくなった旨の情報は、緊急事態である旨の認識を訂正する情報であってもよい。日時データはこのステップで含ませず、後述するステップ10−4の送信時に追加されても良い。
ステップS10−5と平行して時計・タイマー部が行っていた経過時間の監視が終了(ステップS10−6)、サイレン音の発生の停止(ステップS10−7)、赤色REDの点滅の停止(ステップS10−8)が実行される。ステップS10−9で、ステップS10−5で作成した「訂正情報」が通信部39に送られ、通信部39は送られてきた「経過情報」を、緊急通報装置70に無線で送信する(ステップS10−10)ことで処理が終了する(ステップS10−11)。
(第2の実施形態)
携帯無線機10は、図2−2に示すように、携帯電話機として構成されており、周知の携帯電話機の形態及び機能を有している。したがって、図1に示すように、基地局50を介して同様の構成を持つ他の携帯無線機10’や固定電話機(図示省略)との間で通話が可能である。携帯無線機10はまた、内蔵しているインターネット接続用の電子回路(図示省略)を用いて無線でインターネット60に接続し、インターネット60上に設置されているウェブサイトを閲覧したり、インターネット60を介して電子メールを送受信することも可能である。つまり、携帯無線機10は、電話本来の通話機能に加えてインターネット接続機能と電子メール送受信機能も有しているのである。これらの機能とそれを実現する手段は、いずれも周知であるから、それらについての詳細な説明は省略する。
図2−2の携帯無線機10は、さらに以下のような機能を持つ。
第一に、内蔵しているデジタルカメラ(図示省略)を用いて所望の被写体を撮影し、得られた画像データを保存する機能、その画像データをインターネット60を介して(あるいは介さないで)外部に送信する機能、そして、外部からインターネット60を介して(あるいは介さないで)画像データを受信して保存する機能である。
第二に、GPS衛星80(図1参照)から放射される電波を受信して位置情報を得、それに基づいて当該携帯無線機10の現在位置を測位して表示する機能である。
第三に、内蔵している通話用のマイク17を用いて音声を集音し、それが予め定めた音声(例えば、前もって記憶された携帯無線機10の所有者の悲鳴や助けを求める声)であるか否かを認識し、そうであると判断すると所定の緊急通報動作を行う機能である。例えば、集音した音声が救助を求める人の声であり、あるいは人の悲鳴であると認識すれば、その人に緊急事態が発生したと判断し、所定の緊急通報動作を開始する機能である。
第一の「撮像機能」は、実際に販売され使用されているデジタルカメラ付きの携帯電話機と同じ手段を用いて容易に実現できる。第二の「測位機能」は、実際に販売され使用されているGPS測位機能付きのPDA、携帯型データ端末などと同じ手段を用いて容易に実現できる。第三の「音声認識機能」は、実際に販売され使用されている音声認識ソフトウェアと同様のソフトウェアや、同等の機能を実現するハードウェアを用いて容易に実現できる。したがって、これらについての詳細な説明は省略する。
携帯無線機10は、薄い箱形の本体11を有している。本体11の表面には、図2−2に示すように、液晶表示装置による略矩形のスクリーン12が設けてある。スクリーン12には、操作用のメニュー画面や、送信するあるいは受信した電子メールのテキスト、ウェブサイト上の文字や画像、撮影しようとするあるいは撮影した被写体の画像、あるいは、GPS機能に基づく地図と当該携帯無線機10の現在位置を示すポインタ等、必要に応じて種々の文字や画像を表示可能である。
本体11の上端には、アンテナ13が取り付けてある。アンテナ13は、主として通話に使用されるが、インターネット60への接続、インターネット60を介したデータ通信(データの送受信や電子メールの送受信など)、GPS衛星80から放射される電波の受信にも使用される。
本体11の裏面の略中央部には、内蔵デジタルカメラのレンズ21が本体11より露出して取り付けられている。レンズ21を撮影しようとする被写体に向けると、その被写体の画像がスクリーン12に表示されるので、被写体の位置や大きさを確認しながら撮影することができる。撮影した被写体の画像は、内蔵されたメモリに保存されると共に、直ちにスクリーン12に表示されるので、撮影が良好か否かをその場で確認することができる。
本体11の表面には、一群の電話操作用ボタン(電源オン・オフボタン、数字の0〜9のボタン、その他の付加機能用ボタン)14と、緊急時ボタン15と、GPS作動ボタン16と、マイク17と、カメラ・スタンバイ・ボタン18と、内蔵デジタルカメラ用のシャッター19と、リセット・ボタン20とが設けてある。なお、本体11の表面には通話用のスピーカも設けられているが、本発明とは無関係のため、図示されていない。
一群の電話操作用ボタン14は、周知の携帯電話機に備えられているものと同じである。
緊急時ボタン15‘は、緊急通報装置70に対して後述の緊急通報動作の開始を指示するためのもので、これを押すと直ちに所定の緊急通報動作(詳細は後述する)が開始されるようになっている。
GPS作動ボタン16は、内蔵のGPS受信回路(図示省略)を作動・非作動状態に設定するためのもので、これを押すとGPS受信回路が作動状態になる。すると、GPS衛星80から放射される電波(位置情報を含む)をアンテナ13で受信し、受信した位置情報に基づいて当該携帯無線機10の現在位置を測位してスクリーン12に表示する。GPS受信回路を非作動状態にするには、GPS作動ボタン16をもう一度押せばよい。
マイク17は、周囲の音声を拾って電気信号に変換する装置であり、主として通話に使用されるが、通話時以外にも必要に応じて集音のために使用される。例えば、緊急通報の要否判断のための音声認識や、緊急通報時に周囲の音を拾うために使用される。
カメラスタンバイボタン18は、内蔵デジタルカメラを作動・非作動状態に設定するためのものである。カメラスタンバイボタン18を押すと、内蔵デジタルカメラが撮影可能となり、そのときにシャッタ19を押す(切る)と被写体を撮影することができる。撮影された被写体の画像は、デジタルの画像データとして携帯無線機10内部のメモリ(図示省略)に保存される。保存された画像データは、必要に応じてインターネット60を介して(あるいは介さないで)外部に伝送することができるし、外部からインターネット60を介して(あるいは介さないで)画像データを受信してメモリに保存することも可能である。内蔵デジタルカメラを非作動状態にするには、カメラスタンバイボタン18をもう一度押せばよい。
取消ボタン20‘は、緊急時ボタン15’を誤って操作した場合に押すことにより、その操作を取り消すためのものである、すなわち、緊急時ボタン15‘を操作した時に開始される緊急通報動作を停止または中断することを指示するものである。これは、何らかの危険を感じて緊急時ボタン15’を押したが、後になってそれが思い違いであったことが分かり、緊急通報動作を取り消したい場合があることを考慮したものである。
図2−2(a)は携帯無線機10の待機状態を示す。このとき、スクリーン12には所定の待ち受け画像あるいは初期メニューが表示されるのが通常であるが、ここでは省略している。図2−2(b)は内蔵デジタルカメラの使用状態を示す。図2−2(b)では、スクリーン12に内蔵デジタルカメラで撮影した犯人像Cが表示された状態が示されている。図2−2(c)はGPS機能の作動状態を示す。図2−2(c)では、スクリーン12に地図Mと携帯無線機10の現在位置を示すポインタPが表示された状態が示されている。このように、スクリーン12には、必要に応じて種々の画像を表示される。
図10は、本発明の第2実施形態に係る他の無線通信機10Aの外観図である。この無線通信機10Aは、折り畳み可能な携帯電話構造である点を除いて、上述した第1実施形態の無線通信機10と同じ構成である。したがって、その詳細な説明は省略する。
(第3の実施形態)
図11は本発明の第3実施形態に係る無線通信機10Bの外観図である。この無線通信機11Bは、腕時計の形態に構成されている点を除いて、上述した第1実施形態の無線通信機10と同じ構成である。したがって、その詳細な説明は省略する。
(第4の実施態様)
図12は本発明の無線通信機の第4の実施形態の眼鏡型の無線通信機である。通常の眼鏡と同様なレンズとフレームからなっていて、瞬きの感覚、回数を検知するセンサ24がレンズとレンズの間のフレーム部に、処理手段25が左のフレームに、送信手段が右レンズの上部にある。処理手段がセンサの検知する瞬きの間隔や回数に異常と判断すると送信手段が所定の連絡先に眼鏡型の無線通信機のID情報又は保持者のID情報が添えられて通報を発信するようになっている。
通報先は緊急通報装置以外に自動車内の所定の居眠り防止警報機に送信され、警報を発するようにしても良い。
本眼鏡型無線通信機は一定時間毎に所定の連絡先にセンサが検知した瞬きに所定時間あたりの瞬きの回数又は瞬きの間隔を管理情報として送信し、眼鏡保持者の心身状態の把握等に用いることも可能である。
処理手段はフレーム上に設けたが、センサ、通信手段と無線通信可能にべったいとしても良い。通信手段も同様に別体としても良い。
(本実施形態の無線通信機の変形例)
上述した本発明の第1〜第3の実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
(緊急通報システムで使用される緊急通報装置の実施態様)
図5は、警備会社に設置された緊急通報装置70の内部構成と、それに関連する機器の構成を示す機能ブロック図である。
緊急通報装置70は、図5に示すように、警備会社内に設置されたローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network, LAN)(図示省略)内に設けられている。警備会社内のLAN(したがって緊急通報装置70)は、ファイアウォール101と、リモートアクセスサーバ(Remote Access Server,
RAS)102と、ルータ103とを介して、インターネット60に常時接続されている。緊急通報装置70は、認証データベース105を備えると共に、そのデータベース105を用いて無線通信機や緊急通報対応端末機からの情報に対して認証作業を行う認証サーバ104、緊急情報、経過情報、管理情報等の保存用データベース107、データ保管用ファイル110を備えると共に、そのデータベース107を管理するデータベースサーバ106、電子メールの送受信を制御するメールサーバ108、そしてこれらサーバ104、106、108の制御と、登録連絡先である外部の電話機やファックスやコンピュータへの発呼(呼び出し)を行うためのコンピュータ109を有している。
ファイアウォール101は、インターネット60から警備会社内のLANへの不法侵入を防ぐ(セキュリティを確保する)働きをするものであり、当該LANには警備会社の許可を受けた者だけがアクセス可能となっている。当該LANの内部からインターネット60へのアクセスは、任意に行うことができる。
RAS102は、インターネット60から有線または無線の電話回線を利用して警備会社内のLANへのアクセスを実現する。図5では、無線通信機10と当該LAN(すなわちLAN内の各サーバ104、106、108とコンピュータ109)は、基地局50と基地局50AとRAS102を介して相互にアクセス可能とされている。RAS102を介しての当該LANへのアクセスは、警備会社の許可を受けた者(すなわち緊急通報装置70用を許可されたもの)だけが行える。なお、RAS102は、電話をかけてきた無線通信機10に対して自動的に電話をかける機能、すなわちコールバック機能を有している。
ルータ103は、インターネット60と警備会社内のLAN(したがって緊急通報装置70)を接続するものである。ルータ103を介在することにより、インターネット60と、当該LAN内の各サーバ104、106、108とコンピュータ109の各々との間で、電子メールやデータの送受信が可能である。
図5において緊急通報端末対応機とはインターネット又は基地局を介して基地局経由で通信されるように記載したが無線通信機との交信同様ファイアウォール、RPSを介して、又は基地局、RAS経由でルーターで受けても良い。 次に、無線通信機と緊急通報装置間の交信に置ける緊急通報装置70に設けられた各サーバ104、106、108とコンピュータ109の機能について説明する。
緊急通報装置70を用いた警備会社による緊急通報サービスは、無線通信機10の所有者(使用者)と当該警備会社との間で契約を締結することによって利用可能となる。したがって、当該サービスを受けることを希望する者は、前もって当該警備会社との間でその旨の契約を行う必要がある。契約を締結すると、契約締結者には、当該警備会社から一意的なID(Identification)情報が付与される。この時、図9の認証用データの例に示すように、当該契約締結者のID情報とその氏名、携帯(連絡先)電話番号、顔写真、音声、指紋等の人的データが、認証データベース105に予め登録される。ここでは、上述した無線通信機10の所有者(使用者)が既にその契約を行っていると仮定する。
認証サーバ104は、警備会社内のLAN(したがって緊急通報装置70)へのアクセス、すなわちインターネット60を介して送られてきた「緊急情報」が、許可を受けた者(契約ユーザ)によって送られたものか否かを判断する。すなわち、緊急通報サービス提供契約を締結した者(契約ユーザ)であれば、緊急通報装置70へのアクセスを許可し、そうでなければアクセスを拒否する。この判断は、「緊急情報」から「ID情報」を抽出して認証データベース105で検索することにより容易に実行できる。すなわち、認証データベース105中に合致するID情報が見つかれば、契約ユーザであることが直ちに判明する。見つからなければ契約ユーザでないことが分かる。
「緊急情報」の内容の一例を具体的に示すと、図9の上の表のようになる。認証サーバ104は、図9の「緊急情報」を、認証データベース105に保存されている認証用データ(図9の下の表を参照)と照合し、ID情報の一致・不一致を調べて登録ユーザであるか否かを判断する。
データベースサーバ106は、犯罪捜査や事故調査や災害調査に利用できるデータを種類毎に分けてデータベース107に保存するために設けられている。すなわち、認証サーバ104によって緊急通報装置70へのアクセスが許可されると、データベースサーバ106によって、送られてきた「緊急情報」から日時データ、位置を特定するための情報、画像データ、音声データ及び登録先データが抽出され、先に抽出されたID情報と対応づけて、データベースサーバ106の通報データ保存用データベース107に保存される。その結果、日時データで示される日時(すなわち緊急事態が発生した日時)と、その時の無線通信機10の位置、その時に撮影された画像、その時に集音された音声が、ID情報と対応づけてデータベース107に格納される。このため、後日、犯罪捜査や事故調査、災害調査に利用できるデータが自動的に分類されて保存されることになる。
メールサーバ108は、「緊急である旨を伝える情報」に応答して、登録連絡先1〜nのうち、電子メールを送信すべきとして登録されているもの(すなわち電子メールアドレスが登録されている連絡先)に対して、所定の「危険メッセージ」を含む電子メールを自動的に送信する作業を行う。「危険メッセージ」としては、「○○さん(無線通信機10の所有者)が危険です。」といった内容のものでよい。「危険メッセージ」中に、危険な状況に陥った時刻や位置のデータを包含させてもよいし、包含させなくてもよい。図5の例で言えば、インターネット60を介して外部のコンピュータ204(登録連絡先n)に電子メールを送信する。
コンピュータ109は、「緊急である旨を伝える情報」に応答して、登録連絡先1〜nのうち、電話をかける(発呼を行う)べき箇所として登録されているもの(携帯電話や固定電話の電話番号が登録されている連絡先)に対して、所定の「危険メッセージ」を含むメッセージを音声で伝える(例えば、予め記憶している音声データを再生して伝える)ために設置されている。コンピュータ109はまた、登録連絡先1〜nのうち、ファクシミリに対して送信を行うべきとして登録されているもの(ファクシミリ用の電話番号が登録されている連絡先)に対して、所定の「危険メッセージ」を含むメッセージを文書で伝える働きもする。図5の例で言えば、基地局50Bを介して無線で無線通信機201(登録連絡先1)に電話をかけ、無線通信機201の使用者に「危険メッセージ」を口頭で伝えるか、記憶していた音声を再生して伝える。あるいは、公衆電話回線200を介して固定電話機202(登録連絡先2)に電話をかけ、固定電話機202の使用者に「危険メッセージ」を口頭で伝える、または記憶していた音声を再生して伝える。あるいは、公衆電話回線200を介してファクシミリ202(登録連絡先3)に電話をかけ、「危険メッセージ」が記載された文書を送信する。
登録連絡先1〜nのうち電子メールを送信すべきとして登録されているもの(コンピュータ204)に対して電子メールを送信する作業を、メールサーバ108ではなく、コンピュータ109で行ってもよいことは言うまでもない。
電話にて音声で伝える「危険メッセージ」は、電子メールで送信されるものと同一のものでよいが、音声で伝えることを考慮して異なるものとしてもよい。この場合、登録連絡先が電話を受けた時に、予め作成して記録媒体に記録した「危険メッセージ」を音声で流すようにするのが好ましいが、人が口頭で伝えるようにしてもよい。ファクシミリにて文書で伝える「危険メッセージ」は、電子メールで送信されるものと同一のものでよい。
「危険メッセージ」中に、危険な状況に陥った時刻や位置のデータなどを包含させるのが好ましい。受け取った人や機関が、直ちに緊急事態の概要を知ることができるからである。しかし、それによって処理が複雑になる等の難点が生じる場合は、包含させなくてもよい。この場合、危険な状況に陥った時刻や位置は、受信者が警備会社に別個に電話や電子メールなどで照会することになる。
図7は、無線通信機との交信における緊急通報装置70の動作を示すフローチャートである。
ステップS11では、無線通信機10から送信されてきた「緊急情報」または「蓄積用ファイル」を受信し、その中からID情報を抽出する。
ここで、「蓄積用ファイル」とは、「緊急情報」と同様に、日時、位置、画像、音声、登録連絡先の各データを含むファイルであるが、緊急時以外に送信されてきたファイルであり、緊急である旨を伝える情報が付加されていないものである。「蓄積用ファイル」は、無線通信機10の所有者が、緊急時ではないがストーカー犯罪の前兆や何らかの危険を感じたような場合に、画像データ、位置を特定するための情報または音声データを生成して緊急通報装置70に送信し、日時データと共にデータベース107に蓄積しておくために使用するものである。データベース107に蓄積(保存)されたこれらのデータは、後に犯罪が起こった際に証拠として使用しうるからである。
ステップS12では、ステップS11で抽出されたID情報を用いて、警備会社との間で緊急通報サービス提供契約を締結した者(契約ユーザ)からの送信か否かを判断する。結果が「No」であれば、ステップS20に進んで受信を拒否し、直ちに処理を終了する。結果が「Yes」であればステップS13に進み、「緊急である旨を伝える情報」が送られてきているか否かを判断する。結果が「Yes」であればステップS14に進み、結果が「No」であればステップS18に進む。
ステップS14では、所定の「危険メッセージ」を電話、ファクシミリ、電子メール等によって登録連絡先1〜nにそれぞれ送信する。
ステップS15では、送られてきた緊急情報に含まれている「緊急通報用ファイル」から日時、位置、画像、音声、登録連絡先の各データを抽出する。
ステップS16では、抽出した日時、位置、画像、音声、登録連絡先の各データを、抽出したID情報と関連づけて通報データ保存用データベース107に保存する。
ステップS17では、緊急である旨を伝える情報を送ってきた無線通信機10に、RAS102を使ってコールバックする。これにより、無線通信機10の使用者が電話に出ることができる状況にあれば、その場で状況を確認できる。電話に出ることができない場合は、そのような状況であることを推測できる。コールバック完了後、動作を終了する。
ステップS13での判断結果が「No」の場合、ステップS18に進む。ステップS18では、ステップS15と同様にして、送られてきた「蓄積用ファイル」から日時、位置、画像、音声、登録連絡先の各データを抽出する。そして、次のステップS19では、ステップS16と同様にして、抽出した日時、位置、画像、音声、登録連絡先の各データを、抽出したID情報と関連づけて通報データ保存用データベース107に保存する。その後、動作を終了する。
データベースサーバ106が、緊急情報から抽出された日時データ、位置を特定するための情報及び画像データをID情報(ID情報)に関連づけてデータベース107に保存してから所定期間経過すると、それらのデータはデータベース107から削除してデータ保管用ファイル110に移される。この場合、それらデータの削除によりデータベース107の総データ量が減少し、検索速度が改善されるという利点がある。他方、削除されたデータは、データ保管用ファイル110に保管されるので、そのデータが将来必要になったときには、同ファイル110を検索して利用することが可能であり、支障は生じない。
(緊急通報システムの無線通信機10への対応)
無線通信機10の使用者が何らかの危険な状態に陥ったと判断した場合、使用者は第1類スイッチ15を単に押すだけばよい。それだけで、当該使用者が危険状態にある旨を、登録連絡先である警察や警備会社、さらには家族・友人等の関係者・関係機関に迅速かつ確実に通報することができる。ここでは、一例として、ストーカーによる犯罪を例にとって説明する。
無線通信機10の所有者(使用者)がストーカーから被害を受けそうになった場合、あるいは実際に受けた場合、当該使用者は直ちに第1類スイッチ15を押す。すると、無線通信機10では、すぐに緊急通報処理部43が起動せしめられて、所定の「緊急通報処理」が直ちに実行され、「緊急情報」が、緊急通報装置70に対して送信される。その結果、緊急通報装置70は、直ちに連絡先1〜nの各々に危険メッセージを送り、緊急事態の発生を通報する。
何らかの事情で第1類スイッチ15を押せない場合は、当該使用者は「キャー」と悲鳴を上げる、あるいは「助けて」等の言葉を発して助けを求めればよい。すると、その音声はマイク17を通じて音声処理部40に取り込まれ、そこで音声認識が行われる。そして、予め登録されている音声であると判断されると、音声処理部40が緊急通報処理部43に起動信号を送るため、所定の「緊急通報処理」が直ちに実行される。よって、第1類スイッチ15を押せないような危険な場面においても、確実に危険メッセージが通報されることになる。
上述したように、無線通信機10から送信される位置を特定するための情報や画像データや音声データは、原則として、緊急ボタン15が押された時に生成されたものが緊急通報装置70に送信される。何らかの原因で緊急ボタン15が押された時にデータが生成されなかった場合は、その直前に記憶されていたものが緊急通報装置70に送信される。
しかし、例えば、差し迫った危険はないが、将来の犯罪発生を考慮して、犯人に関する画像データや音声データ等を保存しておいた方がよいと考えた場合は、無線通信機10の使用者がタイミングを見計らってデジタルカメラ部32を作動させてストーカーの姿や尾行の現場などを撮影しておき、得られた画像データを日時データ及び位置を特定するための情報と共に無線通信機10に記憶しておくことができる。また、それらのデータを「蓄積ファイル」として緊急通報装置70に送信して保存しておくこともできる。あるいは、無線通信機10にいやがらせ電話がかかってきたような場合には、相手の音声、通話時刻、発信先電話番号などを記録しておき、得られたデータを無線通信機10に記憶したり、「蓄積ファイル」として緊急通報装置70に送信して保存してもよい。
こうしておけば、後日、犯罪が発生したときに、無線通信機10の使用者本人またはその許可を受けた者あるいは警察署員や消防署員や調査機関員が、無線通信機10や緊急通報装置70に保存されているデータを入手することにより、犯人逮捕や原因究明に役立つ情報が得られ、大変有益である。緊急通報装置70に保存されているデータへのアクセスは、原則として禁止されるが、犯罪捜査等に必要な場合など、当該データへのアクセスを許容する正当な理由があるときは、許可すべきである。したがって、そのような場合には、アクセス制御のための認証手段を意図的に解除できるようにするのが好ましい。
なお、上述の対応説明では、緊急通報を受信した際に待機している警備員が直ちに行動をとれることを考慮して、緊急通報装置70が警備会社に設置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。緊急通報装置70は、例えば、警察署、民間あるいは公的機関(市区町村役所、消防署等)の建物あるいは敷地内、インターネット接続サービスを提供するインターネット・サービス・プロバイダ(Internet Service
Provider, ISP)が所有する建物内に設置してもよいし、病院、学校、ボランティア団体、NPOの建物、民生委員、個人の自宅等に設置することも可能である。
また、上述した対応説明において、緊急時に無線通信機10から送信される「緊急である旨を伝える情報」を省略することも可能である。その場合は、到着したファイルが所定の「緊急通報用ファイル」であるか否かを判断するようにし、「緊急通報用ファイル」であると判断した場合は直ちに緊急通報処理を実行するように構成すればよい。
上記の対応説明では、警備会社に設けた緊急通報装置70に緊急である旨を伝える情報と緊急通報ファイルが送信され、緊急通報装置70が登録連絡先1〜nに電話をかけたりメールを送ったりして通報を行うようにしている。しかし、例えば、緊急通報装置70に緊急である旨を伝える情報と緊急通報ファイルを送信する一方で、無線通信機10それ自体によって登録連絡先1〜nに緊急である旨を伝える情報を順次送信することも可能である。
また、登録連絡先1〜nを示す連絡先データは、無線通信機10から送信する等により、緊急通報装置70に前もって記憶させておくのが好ましい。緊急である旨を伝える情報を受領するだけで直ちに登録連絡先1〜nに対して通報できるからである。しかし、例えば、無線通信機10から送られた緊急通報ファイルを受信する際に、その中に「連絡先データ」が含まれていないかを調査し、含まれていた場合にはその連絡先データに対応する連絡先に通報するように構成し、含まれていない場合には、緊急通報装置70に記憶されている連絡先データを用いて通報するように構成してもよい。この場合、例えば認証サーバ104にそのような調査機能を付加することが必要となるが、緊急通報ファイル中に連絡先データが含まれている場合には連絡先データのデータベース107への保存作業が不要となり、通報速度が向上する等の利点がある。
緊急緊急通報装置70の認証サーバ104によって契約ユーザであるか否かの認証を行う際に、ウィルスチェックを行ってもよい。
(緊急通報対応端末機について)
緊急通報端末機は緊急事態に直面した無線通信機保持者の救出に、当該無線通信機保持者の近くを走行している車両の運転手を活用する目的で開発されたが、バイクや自転車に搭載可能な小型軽量なものであっても良い。ここでは、緊急通報装置管理会社と契約したタクシー会社、宅配便会社等の車に搭載されている場合を想定して説明する。好ましい緊急通報対応端末機はカーナビゲーション装置と一体になっている。カーナビション装置と独立または分離して緊急通報端末機の機能が稼動状態と非稼動状態にできるスイッチがあり、稼動状態では緊急通報対応端末機の保有者(車の運転者)が緊急通装置から緊急情報を発信した無線通信機の保持者の緊急事態の救出要請があったときに、対応可能か否かの情報を位置情報とID情報とともに所定の時間間隔で定期的に緊急通報装置に送信されるようになっている。緊急通報対応端末機が稼動状態になったときに対応可能との情報が発信されるように設定されていて、切り替えスイッチで、対応不可能情報が発信されるように切り替えられるまで維持されるように設定されていることが好ましい。
(緊急通報対応端末機と緊急通報装置との交信について)
図5を用いて説明する。複数の緊急通報対応端末機からID情報、対応可能か否課の情報、位置情報が定期的に緊急通報装置70に送信されてくる。緊急通報装置は認証データベースに保存されているデータと照合することでIDが特定の緊急通報対応装置からのものであることを確認し、データ管理用ファイルに緊急通報対応端末機管理情報としてIDに関連付けて保存する。各々の緊急通報対応端末機から、定期的に管理情報が送信されてくるものがIDごとに整理され保存される。特定の無線通信機から緊急情報が送信されると、緊急通報装置の制御部は緊急通報対応端末機管理データを検索し、緊急情報を送信してきた無線通信機に最も近い緊急通報装置を抽出し、救助等の対応指示を当該緊急通報対応端末機に指示を送信する。この指示には緊急情報を送信してきた無線通信機の直近の位置情報が付加されている。当該指示を受信するとカー当該位置がナビゲーションシステムの目的地一つに加えられ、当該目的地への経路が表示装置に表示されるとともに、音声で経路が指示されるようになる。緊急通報対応端末機と緊急通報装置を管理する会社とは会話が可能となっており、緊急通報対応端末機管理者は通話を通して緊急情報を送信してきた無線通信機保持者に関する情報を交換することが可能となっている。
(本発明のシステムの効果)
本発明のシステムは犯罪、事故、災害、病気の急変等に人が遭遇したときに、迅かつ的確に関係者にその旨を伝えるとともに、迅速に救援活動を開始できる緊急事態連絡、救援システムを提供できる。
本発明のシステムは、日常的に市外を運行している車運転者に救援活動の一翼を担わせることが可能となる。
本発明の無線通信機は人が緊急事態に遭遇したときに簡易な操作で的確にその旨の連絡を関係者に通報可能である。
本発明のシステム、無線通信機、緊急通報装置、緊急通報対応端末機は、それぞれ犯罪の防止を助長する。