以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の一側面の表示装置は、画像信号に対応する画像を、所定の表示領域に表示する表示装置(例えば、図6の液晶表示装置101)において、前記表示領域を分割した複数の領域に対応して個別に配置された複数の光源を有するバックライト(例えば、図6のバックライト12)と、前記表示領域に対応する複数の画素を有し、画素単位で前記光源からの光の透過率を変更するパネル(例えば、図6の液晶パネル11)と、前記複数の光源の輝度を前記画像信号に応じて個別に設定するとともに、個別に設定された前記複数の光源の輝度に対応して、前記画素の光の透過率を設定するバックライト部分制御と、前記複数の光源の輝度を同一に設定するとともに、同一に設定された前記複数の光源の輝度に対応して、前記画像信号に応じた前記画素の光の透過率を設定するバックライト全体制御とを、ランダムな周期で交互に行う制御手段(例えば、図6の液晶パネル制御回路131)とを備える。
本発明の一側面の表示制御方法は、所定の表示領域を分割した複数の領域ごとに個別に配置された複数の光源を有するバックライトと、前記表示領域に対応する複数の画素を有し、画素単位で前記光源からの光の透過率を変更するパネルとを備え、画像信号に対応する画像を前記表示領域に表示する表示装置の表示制御方法において、前記複数の光源の輝度を前記画像信号に応じて個別に設定するとともに、個別に設定された前記複数の光源の輝度に対応して、前記画素の光の透過率を設定するバックライト部分制御(例えば、図7のステップS23乃至S27)と、前記複数の光源の輝度を同一に設定するとともに、同一に設定された前記複数の光源の輝度に対応して、前記画像信号に応じた前記画素の光の透過率を設定するバックライト全体制御(例えば、図7のステップS28乃至S32)とを、ランダムな周期で交互に行うステップを含む。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
最初に、図3を参照して、本発明の基本となる液晶表示装置1について説明する。
図3の液晶表示装置1は、R,G、またはBの着色がされているカラーフィルタ基板、液晶層などを有する液晶パネル11、液晶パネル11の背面側に配置されるバックライト12、液晶パネル11およびバックライト12を制御する制御部13、およびメモリ14により構成されている。液晶表示装置1は、入力される画像信号に対応する原画像を所定の表示領域(表示部21)に表示する。なお、液晶表示装置1に入力される画像信号は、60Hzのフレームレートの画像(以下、フィールド画像という)に対応する。
液晶パネル11は、バックライト12からの光を透過させる画素としての開口部が複数配列されている表示部21、並びに、表示部21を構成する各画素に1対1に対応して設けられている図示しないトランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)に駆動信号を送出するソースドライバ22およびゲートドライバ23により構成されている。
バックライト12は、表示部21に対応する所定の点灯領域において白色の光を発する。バックライト12の点灯領域は複数の領域に分割されており、分割された複数の領域それぞれについて個別に点灯が制御される。
図3では、バックライト12の点灯領域が、水平方向に5分割、垂直方向に6分割の計30分割され、領域A11乃至A56により構成されている。バックライト12は、領域A11乃至A56に対応する光源BL11乃至BL56を有する。
領域Aij(i=1乃至5,j=1乃至6)に配置されている光源BLijは、例えば、所定の順序で配列された赤色の発光ダイオード、緑色の発光ダイオード、および青色の発光ダイオードにより構成される。光源BLijは、光源制御回路33から供給されるバックライト制御値BLctlijに対応する輝度で、赤色、緑色、および青色の混合により得られる白色の光を発生させる。
なお、領域A11乃至A56は、バックライト12の点灯領域を、仕切り板等を用いて物理的に分割したものではなく、光源BL11乃至BL56に対応する領域として仮想的に分割したものである。従って、光源BLijから出射された光は、図示しない散乱板や散乱シートによって拡散されて、光源BLijに対応する領域Aijだけでなく、その領域Aijの周辺の領域に対しても照射される。
制御部13は、液晶パネル11を制御する液晶パネル制御回路31、メモリ32、および、バックライト12を制御する光源制御回路33により構成される。
液晶パネル制御回路31には、フィールド画像に対応する画像信号が他の装置から供給される。液晶パネル制御回路31は、供給された画像信号からフィールド画像の輝度分布を求める。そして、液晶パネル制御回路31は、フィールド画像の輝度分布から、領域Aijで必要な表示輝度Areqijを算出する。
なお、上述したように、光源BLijから出射された光は、光源BLijの前方の領域Aijだけでなく、その領域Aijの周辺の領域に対しても照射される。逆に言うと、領域Aijで必要な表示輝度Areqijは、領域Aijの後方に配置されている光源BLijから出射された光と、領域Aijの周辺の領域にそれぞれ配置されている光源からの光との合成によって得られる。
液晶パネル制御回路31は、光源BLijによる発光輝度の領域Aijに対する寄与分を光源BL11乃至BL56まで寄せ集めることにより領域Aijの表示輝度Areqijが得られるとする式を、領域A11乃至A56それぞれについて立てた連立方程式(連立不等式)を解くことにより、光源BL11乃至BL56の発光輝度を設定する輝度設定値BLset11乃至BLset56を算出し、光源制御回路33に供給する。
なお、光源BLijによる発光輝度の領域Aijに対する寄与分を光源BL11乃至BL56まで寄せ集めることにより領域Aijの表示輝度Areqijが得られるとする式は、光源BL11乃至BL56の輝度設定値BLset11乃至BLset56と、光源BL11乃至BL56の領域Aijに対する寄与率との積和が表示輝度Areqij(以上)であるとする式で表すことができる。ここで、光源BL11乃至BL56それぞれの領域Aijに対する寄与率は、領域Aijから照射される光に含まれる光源BL11乃至BL56それぞれの光の割合を表し、予めメモリ14に記憶されている。
さらに、液晶パネル制御回路31は、輝度設定値BLset11乃至BLset56が決定されると、メモリ14に記憶されている設定階調変換テーブルに基づいて、輝度設定値BLset11乃至BLset56から、表示部21を構成する各画素の設定階調S_data’を算出する。設定階調S_data’は、画素の開口率を決定する8ビットの値である。そして、液晶パネル制御回路31は、算出された設定階調S_data’を駆動制御信号として、液晶パネル11のソースドライバ22およびゲートドライバ23に供給する。
メモリ32は、液晶パネル制御回路31からの出力である、8ビット(bit)、256階調の輝度設定値BLsetを、バックライト12が受け付け可能な制御信号である、10ビット、1024階調のバックライト制御値BLctlに変換するバックライト制御値変換テーブルを記憶している。
光源制御回路33は、液晶パネル制御回路31から供給される輝度設定値BLset11乃至BLset56それぞれを、メモリ32に記憶されているバックライト制御値変換テーブルに基づいて、バックライト制御値(光源制御値)BLctl11乃至BLctl56に変換し、バックライト12に供給する。これにより、バックライト12の領域Aijに配置されている光源BLijは、バックライト制御値BLctlijに応じた発光輝度で発光する。バックライト制御値BLctlijは、例えば、電流値またはPWM(Pulse Width Modulation)幅である。
メモリ14は、上述したように、例えば、予め実験等により求められた、領域A11乃至A56それぞれに対する光源BL11乃至BL56それぞれの寄与率を記憶する。また、メモリ14は、輝度設定値BLset11乃至BLset56を設定階調S_data’に変換するための設定階調変換テーブルを記憶する。設定階調変換テーブルについては、図5を参照して後述する。
次に、図4のフローチャートを参照して、図3の液晶表示装置1の表示制御処理について説明する。
初めに、ステップS1において、液晶パネル制御回路31は、他の装置から供給された画像信号を受信する。この画像信号は、1枚のフィールド画像に対応する。
ステップS2において、液晶パネル制御回路31は、フィールド画像の輝度分布を求める。また、ステップS2において、液晶パネル制御回路31は、フィールド画像の輝度分布から、領域Aijで必要な表示輝度Areqijを算出する。
ステップS3において、液晶パネル制御回路31は、光源BL11乃至BL56の輝度設定値BLset11乃至BLset56と、光源BL11乃至BL56の領域Aijに対する寄与率との積和が表示輝度Areqijであるとした式を、領域A11乃至A56それぞれについて立てた連立方程式を解くことにより、光源BL11乃至BL56それぞれの輝度設定値BLset11乃至BLset56を算出し、光源制御回路33に供給する。
ステップS4において、液晶パネル制御回路31は、メモリ14に記憶されている設定階調変換テーブルに基づいて、輝度設定値BLset11乃至BLset56から、表示部21の各画素の設定階調S_data’を算出する。
ステップS5において、液晶パネル制御回路31は、算出された設定階調S_data’を駆動制御信号として、液晶パネル11のソースドライバ22およびゲートドライバ23に供給する。
ステップS6において、光源制御回路33は、液晶パネル制御回路31から供給された、8ビットの輝度設定値BLset11乃至BLset56それぞれを、メモリ32に記憶されているバックライト制御値変換テーブルに基づいて、10ビットのバックライト制御値BLctl11乃至BLctl56に変換し、バックライト12に供給する。
ステップS7において、液晶パネル制御回路31は、画像信号が供給されなくなったかを判定する。ステップS7で、画像信号が供給されたと判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1乃至S7の処理が実行される。これにより、液晶表示装置1は、次のフィールド画像を表示する。
一方、ステップS7で、画像信号が供給されなくなったと判定された場合、処理は終了する。
以上のように、光源BL11乃至BL56それぞれがフィールド画像に対して最適な(最低限の)発光輝度となるようにバックライト12を制御する方式を、以下では、バックライト部分制御という。これに対して、光源BL11乃至BL56がほぼ最大、かつ、同一の発光輝度となるようにバックライト12を制御する従来の方式を、以下では、バックライト全体制御という。
具体的な数値例で、従来のバックライト全体制御と図3の液晶表示装置1によるバックライト部分制御とを簡単に説明する。なお、実際の制御は、R,G,Bそれぞれについて求められるが、簡単のため、0乃至255階調(8ビット)のグレイスケール(白黒)で説明する。
例えば、従来のバックライト全体制御において、供給された画像信号から、表示部21の所定の画素PIXの表示輝度を128にする必要がある場合、バックライト12は、表示部21の全画素について均一に100%の出力、即ち発光輝度255で発光させ、画素PIXについては開口率を50%とすることによって128(255階調の50%)の表示輝度を実現していた。
一方、図3の液晶表示装置1によるバックライト部分制御では、例えば、画素PIXが含まれる領域Aijの光源BLijの輝度設定値BLsetijを128(即ち、光源BLijの50%の出力)に設定し、画素PIXについては開口率を100%とすることによって128の表示輝度を実現する。
これにより、光源BLijを最大の発光輝度255で発光させる必要がないので消費電力を低減させることが可能となる。なお、この例は、領域Aij内の画素の最大表示輝度が画素PIXの128である場合である。
バックライト部分制御において、画素PIXの開口率をバックライト全体制御と同様の50%としたときの画素PIXの表示輝度は128の半分の64であるが、バックライト部分制御では、液晶パネル制御回路31が、画素PIXの開口率を50%から100%とすることによって、残りの64の表示輝度を見かけ上発光させたと言える。このように、開口率をバックライト全体制御時の設定から変更することによって増大した輝度、換言すれば、開口率制御によって見かけ上発光した輝度を、本明細書では、液晶補正輝度という。
図5を参照して、従来のバックライト全体制御とバックライト部分制御についてさらに説明する。
図5は、開口率に対応する設定階調と表示輝度 [nit=cd/m2]との関係を表す表示輝度特性を示している。
図5においては、設定階調が256階調とされており、例えば、設定階調を0に設定したときが開口率0%となり、設定階調を255に設定したときが開口率100%となる。
図5において、実線の曲線で示される表示輝度特性f1は、バックライト全体制御における表示輝度特性を示している。即ち、表示輝度特性f1は、光源BLijが100%の出力で照明されている状態において、設定階調を0乃至255にそれぞれ設定したときの表示輝度を表す。
一方、点線の曲線で示される表示輝度特性fLOWは、バックライト部分制御における表示輝度特性を示している。即ち、表示輝度特性fLOWは、光源BLijが100%よりもε%だけ出力を抑制した輝度設定値BLsetijで照明されている状態において、設定階調を0乃至255にそれぞれ設定したときの表示輝度を表す。
図3の液晶表示装置1では、上述したように、領域Aijで必要な表示輝度Areqijから光源BL11乃至BL56それぞれの輝度設定値BLset11乃至BLset56が求められる。
いま、画素PIXにおいて表示輝度をL_dataにすることを考えると、光源BLijを100%の出力で照明するバックライト全体制御においては、表示輝度特性f1に従い、設定階調を65(=S_data)に設定すればよいことが分かる。
一方、バックライト部分制御では、光源BLijは、ε%だけ出力を抑制した輝度設定値BLsetijで照明しているので、画素PIXにおいて表示輝度をL_dataにするためには、図5に示されるように、設定階調を165(=S_data')とする必要がある。
実際には、液晶表示装置1では、表示輝度特性f1に対応する設定階調変換テーブルのみがメモリ14に記憶されており、液晶パネル制御回路31は、その表示輝度特性f1に対応する設定階調変換テーブルから、以下のようにして、設定階調S_data’を算出する。
まず、液晶パネル制御回路31は、光源BLijの出力の比率を算出する。即ち、液晶パネル制御回路31は、開口率についてはともに100%の同一条件とし、光源BLijを100%の出力で照明したときの表示輝度L_peakと、光源BLijをε%だけ出力を抑制した輝度設定値BLsetijで照明したときの表示輝度L_setijとの比γijを、式(1)により求める。
γij=L_peak/L_setij・・・・・(1)
次に、液晶パネル制御回路31は、画素PIXの設定階調S_data’を、表示輝度L_peakと表示輝度L_setijとの比γij及び表示輝度L_dataに基づいて、式(2)により算出する。
S_data’=f-1(γij×L_data)・・・・・(2)
式(2)は、バックライト部分制御において、ε%だけ抑制して出力している光源BLijによって表示輝度L_dataとするためには、光源BLijが100%で出力したときに表示輝度を(γij×L_data)にするときと同一の設定階調S_data'(=165)にする必要があることを表している。
以上のように、表示輝度は、バックライトの発光輝度と画素の開口率によって決定されるが、液晶表示装置1では、液晶パネル制御回路31に1フィールド画像分の画像信号が供給されるごとに、バックライトの発光輝度と画素の開口率を求める処理、即ちステップS1乃至S7の処理が繰り返し実行される。
従って、原画像の所定の画素または複数の画素からなる領域(以下、所定領域と称する)において、原画像自体の輝度は複数枚のフィールド画像間で変わらない場合であっても、所定領域の周辺の輝度の影響により、複数枚のフィールド画像それぞれの所定領域の表示輝度が、異なる光源BL11乃至BL56の発光輝度と各画素の開口率の組み合わせによって実現されることが多い。
この場合、開口率に対応する設定階調と表示輝度との関係を表す表示輝度特性f1に対応して設定した設定階調変換テーブルに誤差(以下、設定誤差という)が含まれていると、複数枚の画像間で同一の表示輝度となるべき領域が異なる表示輝度で表示されることになり、それが低周期で発生すると、視聴者には、所謂フリッカと呼ばれる画像のちらつきとして視認されるおそれがある。
そこで、図6は、画像のちらつきをより低減させるようにした液晶表示装置の構成例を示している。即ち、図6は、本発明を適用した液晶表示装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
なお、図6において、図3と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図6の液晶表示装置101は、図3の液晶表示装置1と同様に、液晶パネル11、バックライト12、制御部13、およびメモリ14により構成されている。
制御部13は、液晶パネル制御回路131、光源制御回路33、およびメモリ32により構成されている。即ち、制御部13は、液晶パネル制御回路31に代えて、液晶パネル制御回路131が設けられている点において、図3の液晶表示装置1と相違する。
液晶パネル制御回路131には、液晶パネル制御回路31と同様の画像信号が供給される。液晶パネル制御回路131は、1秒間当たり60枚のフィールド画像に対して、バックライト部分制御と、バックライト全体制御を交互に実行する。
本実施の形態では、液晶パネル制御回路131は、1秒間に供給される60枚の画像のうち、奇数フィールドの画像に対してはバックライト部分制御を行い、偶数フィールドの画像に対してはバックライト全体制御を行うこととする。バックライト全体制御を行う場合、液晶パネル制御回路131は、光源BL11乃至BL56が同一の発光輝度で発光するように同一の輝度設定値BLset’(=BLset’11乃至BLset’56)を光源制御回路33に供給する。ここで、輝度設定値BLset’は、例えば、光源BL11乃至BL56が発光可能な最大の輝度となる輝度設定値である。
バックライト全体制御では、光源制御回路33に対して同一の輝度設定値BLset’が常に供給されるため、所定の表示輝度を表示するための輝度設定値BLset’と開口率に対応する設定階調との組は一意に決まり、画像のちらつきは生じない。
図7のフローチャートを参照して、図5の液晶表示装置101の表示制御処理について説明する。
初めに、ステップS21において、液晶パネル制御回路131は、他の装置から供給された画像信号を受信する。この画像信号は、1枚のフィールド画像に対応する。
ステップS22において、液晶パネル制御回路131は、受信した画像信号からなるフィールド画像が奇数フィールドの画像であるかを判定する。
ステップS22で、フィールド画像が奇数フィールドの画像であると判定された場合、処理はステップS23に進み、液晶表示装置101は、ステップS23乃至S27の処理を実行し、バックライト部分制御によるフィールド画像の表示を行う。
なお、ステップS23乃至S27の処理は、上述した図4のステップS2乃至S6の処理とそれぞれ同様であるので、その説明は省略する。
一方、ステップS22で、フィールド画像が奇数フィールドの画像ではない、即ち、フィールド画像が偶数フィールドの画像であると判定された場合、処理はステップS28に進み、液晶表示装置101は、ステップS28乃至S32の処理を実行し、バックライト全体制御によるフィールド画像の表示を行う。
即ち、ステップS28において、液晶パネル制御回路131は、フィールド画像の輝度分布を求める。また、ステップS28において、液晶パネル制御回路131は、フィールド画像の輝度分布から、領域Aijで必要な表示輝度Areqijを算出する。
ステップS29において、液晶パネル制御回路131は、輝度設定値BLset’11乃至BLset’56として同一の輝度設定値BLset’を光源制御回路33に供給する。
ステップS30において、液晶パネル制御回路131は、輝度設定値BLset’に応じて、表示部21の各画素の設定階調S_data’を算出する。
ステップS31において、液晶パネル制御回路131は、算出された設定階調S_data’に対応する駆動制御信号を、液晶パネル11のソースドライバ22およびゲートドライバ23に供給する。
ステップS32において、光源制御回路33は、液晶パネル制御回路131から供給される輝度設定値BLset’を、バックライト制御値変換テーブルに基づいてバックライト制御値BLctl11乃至BLctl56に変換し、バックライト12に供給する。
ステップS27またはS32の処理後、ステップS33において、液晶パネル制御回路131は、画像信号が供給されなくなったかを判定する。ステップS33で、画像信号が供給されたと判定された場合、処理はステップS21に戻り、ステップS21乃至S33の処理が実行される。これにより、液晶表示装置101は、次のフィールド画像を表示する。
一方、ステップS33で、画像信号が供給されなくなったと判定された場合、処理は終了する。
次に、図8乃至図11を参照して、図5の液晶表示装置101によるちらつきの低減効果について説明する。
図8を参照して、ちらつきの低減効果を検証するために使用した検証用動画像を説明する。
画像201は、隙間の空いた壁を撮影した検証用動画像の1枚であり、壁に相当する暗部C1と、太陽光がのぞき見える壁の隙間に相当する明部C2からなる。検証用動画像は、画像201と同一の景色を定点撮影したものであり、太陽の変化、カメラの微動等により、フィールド画像ごとの各画素の輝度は僅かに異なる場合もあるが、基本的に、同一の輝度である。
この検証では、バックライト部分制御を常時実行する液晶表示装置1(図3)、バックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行する液晶表示装置101(図5)、および、バックライト全面制御を常時実行する図示せぬ従来の液晶表示装置(以下、従来液晶表示装置と称する)の3つの液晶表示装置それぞれに、検証用動画像を表示させ、図8の画像201において白丸で示されている所定領域Qの表示輝度をフォトディテクタ(以下、PDと称する)によって測定した。
図9は、液晶表示装置1、液晶表示装置101、および従来液晶表示装置で検証用動画像を表示させたときの、所定領域QにおけるPDの測定値を示している。
図9Aは、従来液晶表示装置で検証用動画像を表示させたときの、所定領域QにおけるPDの測定値を示している。
図9Bは、液晶表示装置1で検証用動画像を表示させたときの、所定領域QにおけるPDの測定値を示している。
図9Cは、液晶表示装置101で検証用動画像を表示させたときの、所定領域QにおけるPDの測定値を示している。
図9A乃至図9Cのいずれも、横軸は、測定時間[秒(sec)]を表し、縦軸は、PDの測定値[ボルト(V)]を表す。
図9A乃至図9Cでは、PDの測定値そのものを生データとして黒線で示している。
また、図9A乃至図9Cでは、生データのうちの50Hz以上のデータをカットしたローパスフィルタ(Low-Pass Filter)後のデータを、白線で示している。図10は人間の目の感度特性グラフを示しており、人間の目の感度は、周波数が大きくなるほど鈍くなり、50Hz以上については無視することができるとみなすことができるため、生データのうちの50Hz以上のデータだけにしたものが白線で示されるデータである。
図11は、図9に示した生データを周波数解析(FFT:Fast Fourier Transform)した結果を示している。
即ち、図11A乃至図11Cは、それぞれ、図9A乃至図9Cに示した生データを周波数解析した結果をそれぞれ表す。図11A乃至図11Cにおいて、横軸は周波数gjを表し、縦軸は、各周波数gjにおけるレベル(強度|cj|)を表す。
図11A乃至図11Cのいずれにおいても、60Hzの成分が最も多く含まれている。これは、光源制御回路33によるバックライト12のブリンキング処理によるものである。即ち、60Hzの成分は、光源制御回路33が、バックライト12の点灯をフレームレートと同一の60Hzの間隔で休止(ブリンキング)する制御によるものである。この60Hzの成分は、図10を参照して説明したように、人間の目の感度では、無視することができる成分であるため、問題にならない。
図11A乃至図11Cにおいて点線の丸で囲まれている、人間の目の感度で敏感な20Hz以下の成分(低周波成分)について考察する。
バックライト全面制御を常時実行する従来液晶表示装置では、図11Aに示されるように、低いレベルに抑えられているのに対し、バックライト部分制御を常時行う液晶表示装置1では、図11Bに示されるように、レベルが高くなっており、この成分がちらつき発生の原因となっている。
バックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行する液晶表示装置101によれば、図11Cに示されるように、図11Aよりも若干レベルが高いものの、図11Bよりも明らかにレベルが低くなっている。即ち、ちらつき発生の原因となる低周波成分が抑えられている。
なお、図11Cに示される解析結果では、60Hzの半分に相当する30Hzの成分のレベルが図11Aや図11Bよりも高くなっているが、人間の目の感度特性から、図11Bに示される低周波成分の多い状態よりも、ちらつきがより改善されていると言える。
以上のように、図5の液晶表示装置101によれば、バックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行することにより、画像のちらつきを低減させることができる。
上述した例では、図5の液晶表示装置101は、1フィールド画像ごとに、バックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行するようにしたが、複数フィールド画像ごと、または、ランダムな枚数のフィールド画像ごとに、バックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行するようにしてもよい。即ち、所定の周期でバックライト部分制御とバックライト全体制御を交互に実行すればよい。
バックライト部分制御とバックライト全体制御を何枚のフィールド画像ごとに実行するかによって、図11Cに示した解析結果において30Hz付近に出ていたピークを他の周波数成分に移動させることができる。また、バックライト部分制御とバックライト全体制御をランダムな枚数のフィールド画像ごとに実行することによって、図11Cの30Hz付近のピークを全周波数帯域に分散させることができる。
その意味では、図5の液晶表示装置101は、低周期の輝度変動を、より高域側にずらす、あるいは、全周波数帯域に分散させることで、ちらつきを低減させるとも言える。
また、上述した例では、液晶表示装置101は60Hzのフレームレートで画像を表示したが、液晶表示装置101が表示する画像のフレームレート(表示レート)は、60Hzに限らず、60Hzより小さい、または、60Hzより大きくてもよい。液晶表示装置101が60Hzより大きいフレームレートで画像を表示する場合、図11Cの60Hzおよび30Hzのピークは、より高い周波数帯域に移動するので、人間の目の感度特性から見て、ちらつきをより低減させることができる。
また、図5の液晶表示装置101は、バックライト部分制御においてバックライト12を点灯させない時間がある分、バックライト全面制御を常時実行する従来液晶表示装置と比べて、消費電力を抑制することができる。さらに、バックライト12を点灯させない場合には、バックライト12を点灯させて画素の開口率をゼロにする場合よりも、より暗い表示することができるので、図5の液晶表示装置101は、バックライト全面制御を常時実行する従来液晶表示装置と比べて、ダイナミックレンジが拡大し、コントラストが向上する。
なお、上述した例では、領域A11乃至A56は、バックライト12の点灯領域を仮想的に分割した領域としたが、領域A11乃至A56それぞれの間に仕切り板等を設け、物理的に分割したものとしてもよい。
本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
本発明は、分割された複数の領域個別に点灯が制御可能なバックライト12が表示パネル11の背面側に配置され、バックライト12のバックライト部分制御と、表示パネル11の画素の開口率の制御により、画像を表示する液晶表示装置に適用することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 液晶表示装置, 11 液晶パネル, 12 バックライト, 13 制御部, 14 メモリ, 21 表示部, 31 液晶パネル制御回路, 32 メモリ, 33 光源制御回路, 101 液晶表示装置, 131 液晶パネル制御回路