JP4887882B2 - 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置 - Google Patents

転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4887882B2
JP4887882B2 JP2006115302A JP2006115302A JP4887882B2 JP 4887882 B2 JP4887882 B2 JP 4887882B2 JP 2006115302 A JP2006115302 A JP 2006115302A JP 2006115302 A JP2006115302 A JP 2006115302A JP 4887882 B2 JP4887882 B2 JP 4887882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor
sensors
displacement
encoder
detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006115302A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006322928A (ja
Inventor
浩一郎 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2006115302A priority Critical patent/JP4887882B2/ja
Publication of JP2006322928A publication Critical patent/JP2006322928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4887882B2 publication Critical patent/JP4887882B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2326/00Articles relating to transporting
    • F16C2326/01Parts of vehicles in general
    • F16C2326/02Wheel hubs or castors

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Force Measurement Appropriate To Specific Purposes (AREA)

Description

この発明に係る転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置は、例えば車両(自動車)の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪に加わる荷重の大きさを測定して、車両の安定運行の確保に利用する。或は、各種工作機械の主軸を支持する為の転がり軸受ユニットに組み込んで、この主軸に加わる荷重を測定し、工具の送り速度等を適切に調節する為に利用する。
例えば、車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、転がり軸受ユニットを使用する。又、車両の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、電子制御車両用走行安定化装置(ESC)等の車両の走行状態安定化装置が広く使用されている。これらABSやTCS等の走行状態安定化装置によれば、制動時や加速時に於ける車両の走行状態を安定させる事はできるが、より厳しい条件でもこの安定性の確保を図る為には、車両の走行安定性に影響するより多くの情報を取り入れて、ブレーキやエンジンの制御を行なう事が必要になる。
即ち、上記ABSやTCS等の従来の走行状態安定化装置の場合には、タイヤと路面との滑りを検知してブレーキやエンジンを制御する、所謂フィードバック制御を行なっている為、これらブレーキやエンジンの制御が一瞬とは言え遅れる。言い換えれば、厳しい条件下での性能向上を図るべく、所謂フィードフォワード制御により、タイヤと路面との間に滑りが発生しない様にしたり、左右の車輪の制動力が極端に異なる所謂ブレーキの片効きを防止する事はできない。更には、トラック等で、積載状態が不良である事に基づいて走行安定性が不良になるのを防止する事もできない。
この様な問題に対応すべく、上記フィードフォワード制御等を行なう為には、懸架装置に対して車輪を支持する為の転がり軸受ユニットに、この車輪に加わるラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方を測定する為の荷重測定装置を組み込む事が考えられる。この様な場合に使用可能な荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットとして従来から、特許文献1〜4に記載されたものが知られている。
このうちの特許文献1には、ラジアル荷重を測定自在な、荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来構造の第1例の場合には、非接触式の変位センサにより、回転しない外輪と、この外輪の内径側で回転するハブとの径方向に関する変位を測定する事により、これら外輪とハブとの間に加わるラジアル荷重を求める様にしている。求めたラジアル荷重は、ABSを適正に制御する他、積載状態の不良を運転者に知らせる為に利用する。
又、特許文献2には、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する構造が記載されている。この特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、外輪の外周面に設けた固定側フランジの内側面複数個所で、この固定側フランジをナックルに結合する為のボルトを螺合する為のねじ孔を囲む部分に、それぞれ荷重センサを添設している。上記外輪を上記ナックルに支持固定した状態でこれら各荷重センサは、このナックルの外側面と上記固定側フランジの内側面との間で挟持される。この様な従来構造の第2例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、車輪と上記ナックルとの間に加わるアキシアル荷重は、上記各荷重センサにより測定される。
又、特許文献3には、外輪の円周方向4個所位置に支持した変位センサユニットとハブに外嵌固定した断面L字形の被検出リングとにより、上記4個所位置での、上記外輪に対する上記ハブの、ラジアル方向及びスラスト方向の変位を検出し、各部の検出値に基づいて、このハブに加わる荷重の方向及びその大きさを求める構造が記載されている。
更に、特許文献4には、一部の剛性を低くした外輪相当部材に動的歪みを検出する為のストレンゲージを設け、このストレンゲージが検出する転動体の通過周波数から転動体の公転速度を求め、この公転速度から、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
前述の特許文献1に記載された従来構造の第1例の場合、変位センサにより外輪とハブとの径方向に関する変位を測定する事で、転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する。但し、この径方向に関する変位量は僅かである為、この荷重を精度良く求める為には、上記変位センサとして、高精度のものを使用する必要がある。高精度の非接触式センサは高価である為、荷重測定装置付転がり軸受ユニット全体としてのコストが嵩む事が避けられない。
又、特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、ナックルに対し外輪を支持固定する為のボルトと同数だけ、荷重センサを設ける必要がある。この為、荷重センサ自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットの荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献3に記載された構造は、外輪の周方向4個所位置にセンサを設置する為、上記特許文献1に記載された構造よりも更にコストが嵩む。更に、特許文献4に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある。
この様な事情に鑑みて特願2005−147642号には、荷重の作用方向に配置された1対のセンサの出力信号の位相差に基づき、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明(先発明)が開示されている。図3〜10は、上記出願に開示された先発明のうちの2例の構造を示している。これら各先発明に係る構造は、何れも、図3、7に示す様に、懸架装置に支持された状態で回転しない静止側軌道輪である外輪1の内径側に、車輪を支持固定(結合固定)する回転側軌道輪であるハブ2を、複数個の転動体3、3を介して回転自在に支持している。そして、このハブ2の中間部にエンコーダ4、4aを外嵌固定すると共に、上記外輪1の軸方向中間部で複列に配置された上記各転動体3、3の間部分にセンサ5、5aを、それぞれの検出部を、被検出面である上記エンコーダ4、4aの外周面に近接対向させた状態で、それぞれ1対ずつ設けている。尚、上記センサ5、5aの検出部には、ホールIC、ホール素子、MR、GMR等の磁気検知素子を組み込む事が適当である。又、図示の例の場合、転動体3、3として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、転動体として円すいころを使用する場合もある。
図3〜6に示した、先発明の第1例の構造の場合、上記エンコーダ4として、永久磁石製のものを使用している。被検出面である、このエンコーダ4の外周面には、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これらN極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界は、上記エンコーダ4の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、このエンコーダ4の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した(又は凹んだ)、「く」字形となっている。
又、上記両センサ5、5の検出部が上記エンコーダ4の外周面に対向する位置は、このエンコーダ4の円周方向に関して同じ位置としている。言い換えれば、上記両センサ5、5の検出部は、上記外輪1の中心軸を含む仮想平面上に配置されている。又、この外輪1と上記ハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ5、5の検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材4、5、5の設置位置を規制している。尚、先発明の第1例の場合には、上記エンコーダ4として永久磁石製のものを使用しているので、上記両センサ5、5側に永久磁石を組み込む必要はない。
上述の様に構成する先発明の第1例の場合、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用すると、上記両センサ5、5の出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用していない状態では、上記両センサ5、5の検出部は、図6の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図6の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用し(外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位し)た場合には、上記両センサ5、5の検出部は、図6の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図6の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ5、5の検出部は、図6の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に先発明の第1例の場合には、上記両センサ5、5の出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ5、5の出力信号の位相がずれる程度(変位量)は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って第1例の場合には、上記両センサ5、5の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその方向及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の方向及び大きさを求められる。
次に、図7〜10に示した、先発明の第2例の構造の場合には、ハブ2の中間部に、磁性金属板製のエンコーダ4aを外嵌固定している。被検出面である、このエンコーダ4aの外周面には、スリット状の透孔6a、6bと柱部7a、7bとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔6a、6bと各柱部7a、7bとは、上記エンコーダ4aの軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、このエンコーダ4aの軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。即ち、このエンコーダ4aは、軸方向片半部に、上記軸方向に対し所定方向に同じだけ傾斜した透孔6a、6aを形成すると共に、軸方向他半部に、この所定方向と逆方向に同じ角度だけ傾斜した透孔6b、6bを形成している。尚、図8〜9では、スリットである透孔6a、6bを「ハ」字形に設けているが、頂部を連結させた「ヘ」字状の透孔にしても、同様の作用を得られる。
一方、外輪1の軸方向中間部で複列に配置された転動体3、3同士の間部分に、前記1対のセンサ5a、5aを設置し、これら両センサ5a、5aの検出部を、上記エンコーダ4aの外周面に近接対向させている。これら両センサ5a、5aの検出部がこのエンコーダ4aの外周面に対向する位置は、このエンコーダ4aの円周方向に関して同じ位置としている。又、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記各透孔6a、6b同士の間に位置し、全周に連続するリム部8が、上記両センサ5a、5aの検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材4a、5a、5aの設置位置を規制している。尚、先発明の第2例の場合には、上記エンコーダ4aが単なる磁性材製である為、上記両センサ5a、5aの側に永久磁石を組み込む必要がある。
上述の様に構成する先発明の第2例の場合、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用(し外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位)すると、前述した先発明の第1例の場合と同様に、上記両センサ5a、5aの出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用していない状態では、上記両センサ5a、5aの検出部は、図10の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記リム部8から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ5a、5aの出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、上記エンコーダ4aを固定したハブ2に、図10の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ5a、5aの検出部は、図10の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記リム部8からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5a、5aの出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4aを固定したハブ2に、図10の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ5a、5aの検出部は、図10の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記リム部8からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5a、5aの出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に先発明の第2例の場合も、前述の先発明の第1例の場合と同様に、上記両センサ5a、5aの出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ5a、5aの出力信号の位相がずれる程度は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って第2例の場合も、上記両センサ5a、5aの出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその方向及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の方向及び大きさを求められる。
尚、エンコーダを円輪状に構成すると共に、このエンコーダの軸方向側面を被検出面とし、この被検出面に1対のセンサの検出部を、径方向にずらせた状態で対向させれば、上記外輪1と上記ハブ2との径方向に関する変位、延てはこれら外輪1とハブ2との間に加わるラジアル荷重を求める事も可能である。但し、特願2005−147642号には、アキシアル方向の変位とラジアル方向の変位との両方の変位(アキシアル荷重とラジアル荷重との両方の荷重)を求める構造に就いては、具体的には開示されてはいない。
これに対して、特願2004−370407号には、アキシアル方向の変位とラジアル方向の変位との両方の変位(アキシアル荷重とラジアル荷重との両方の荷重)を求める具体的な構造が開示されている。図11は、上記特願2004−370407号に開示されている、上記両方向の変位(荷重)を求める為の構造の1例を示している。この構造の場合には、ラジアル方向の変位を求める為のエンコーダ9の軸方向片側面に存在する円輪状の被検出面に、それぞれがこのエンコーダ9の径方向に対し一方向に傾斜した、突条、透孔、凹孔、磁極等の被検出用特性部10、10を設けている。又、アキシアル方向の変位を測定する為のエンコーダ11の外周面に存在する円筒状の被検出面の軸方向片半部{図11の(B)の左半部}に、それぞれが軸方向に傾斜した被検出用特性部12、12を設けている。これに対して、上記エンコーダ11の被検出面の軸方向他半部{図11の(B)の右半部}に、それぞれがこのエンコーダ11の軸方向に対し平行な、被検出用特性部12a、12aを設けている。
この様なエンコーダ9、11を組み込んだ構造の場合、合計3個のセンサの検出部を、これら両エンコーダ9、11の被検出面で、上記各被検出用特性部10、12、12aを形成した部分に対向させる。そして、上記エンコーダ11の軸方向に対し平行な、被検出用特性部12a、12aに対向したセンサの出力信号が変化する瞬間を基準として、残り2個のセンサの出力信号の位相のずれの方向及び大きさを求める。更に、この位相のずれの方向及び大きさに基づいて、アキシアル方向及びラジアル方向の変位を求める。
上述の図11に示した様な構造によれば、比較的小型に構成できて、アキシアル方向の変位とラジアル方向の変位との両方の変位を求める事ができる。但し、小型自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する複列の転動体の間部分の様に、限られた空間内に設置する事は、依然として難しい場合が考えられる。特に、この空間のアキシアル方向の寸法は限られる場合が多い為、ラジアル方向の変位(荷重)を求める為に、エンコーダの被検出面とセンサとをアキシアル方向に対向させる構造を採用する事が難しい場合が考えられる。
特開2001−21577号公報 特開平3−209016号公報 特開2004−3918号公報 特公昭62−3365号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、エンコーダとセンサとをラジアル方向に対向させるのみで、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる、転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置は、転がり軸受ユニットと変位測定装置又は荷重測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備える。
又、上記変位測定装置又は荷重測定装置は、上記回転側軌道輪と共に回転する部分にこの回転側軌道輪と同心に設けられたエンコーダと、上記静止側軌道輪に支持されて検出部をこのエンコーダの被検出面である外周面に対向させたセンサ装置と、演算器とを備える。
そして、上記エンコーダは、外周面のうちで互いに軸方向に外れた2個所位置に設けられた第一、第二の被検出面を備える。又、これら両被検出面の特性は、円周方向に関して交互に、且つ、互いに同じピッチで変化している。更に、少なくとも上記第一の被検出面の特性変化の位相が軸方向に対し、上記第二の被検出面と異なる状態で漸次変化している。
一方、上記センサ装置は、第一〜第三のセンサを備える。このうちの第一のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に対向している。同じく第二のセンサの検出部は、上記第二の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を上記第一のセンサの検出部と一致させた状態で対向している。同じく第三のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して、90度異ならせた状態で対向している。
そして、上記演算器は、上記第一〜第三のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間のアキシアル方向の変位及びラジアル方向の変位、又は、アキシアル方向に加わる荷重及びラジアル方向に加わる荷重を求める。
上述の様に構成する本発明の転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置の場合には、エンコーダとセンサとをラジアル方向に対向させるのみで、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる。
即ち、第一、第二のセンサの出力信号の位相差に基づいて、前述の図3〜10に示した先発明の場合と同様にして、アキシアル方向の変位(荷重)を求められる。又、第一のセンサの出力信号と第三のセンサの出力信号との間の位相差に基づいて、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる。
小型の転がり軸受ユニットの場合でも、径方向に関する空間は比較的確保し易いので、本発明は、例えば小型自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する複列の転動体の間部分の様に、限られた空間内に設置できる構造として有効である。
尚、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する荷重を求める為には、必ずしもこれら静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位量を求める必要はない。即ち、請求項4に記載した様に、演算器に、上記第一〜第三のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に作用する荷重を直接(上記変位を求める過程を経る事なく)算出する機能を持たせる事もできる。
本発明を実施する為に好ましくは、請求項2、5に記載した様に、第一〜第三のセンサに加えて第四のセンサを備える。そして、この第四のセンサの検出部を第一の被検出面に、エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して、上記第三のセンサとは反対側に、90度異ならせた状態で対向させる。又、演算器は、上記第一〜第四のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間のアキシアル方向の変位(荷重)、及び、互いに90度異なる2種類のラジアル方向の変位(荷重)を求める。
この様な構造によれば、これら2種類のラジアル方向の変位(荷重)を求める為の計算が単純になり、これら両方向の変位、延てはこれら両方向に加わる荷重を、ほぼリアルタイムで求める事が可能になる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3、6に記載した様に、転がり軸受ユニットを、静止側軌道輪を懸架装置に支持固定し、回転側軌道輪に車輪を支持固定する、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットとする。そして、請求項3に記載した発明の場合には、演算器に、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との相対変位量に基づいて、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する荷重を算出する機能を持たせる。
この様に構成すれば、フィードフォワード制御により、タイヤと路面との間に滑りが発生しない様にしたり、左右の車輪の制動力が極端に異なる所謂ブレーキの片効きを防止したり、更には、トラック等で、積載状態が不良である事に基づいて走行安定性が不良になるのを防止できる。
図1は、請求項1、4に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、磁性金属板製のエンコーダ4aの外周面に、3個のセンサ13a〜13cの検出部をラジアル方向に対向させるのみで、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる構造を実現する点にある。即ち、前述の図7〜10に示した先発明の第2例の構造にセンサ13cを1個加える事により、静止側軌道輪である外輪1と、回転側軌道輪であるハブ2(図7参照)との間のアキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)を測定可能にする点にある。このラジアル方向の変位(荷重)を測定可能にする点以外の構成及び作用は、上記先発明の第2例の場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。尚、上記3個のセンサ13a〜13cのうちの2個のセンサ13a、13bが、上記先発明の第2例の構造に組み込まれた1対のセンサ5a、5aに対応する。又、エンコーダ4aの構造に就いては、上記先発明の第2例の構造と同じである。このエンコーダ4aの外周面の軸方向2個所位置に、それぞれ全周に亙って設けられた1対の被検出面のうち、透孔6a、6aと柱部7a、7aとを交互に設けた部分が、特許請求の範囲に記載した第一の被検出面に、透孔6b、6bと柱部7b、7bとを交互に設けた部分が同じく第二の被検出面に、それぞれ相当する。
上記3個のセンサ13a〜13cのうち、特許請求の範囲に記載した第一、第二のセンサに相当する、上記2個のセンサ13a、13bの検出部を、上記エンコーダ4aの外周面のうちで、上記第一の被検出面に相当する部分と、上記第二の被検出面に相当する部分とに振り分けて、上記エンコーダ4aの円周方向に関して同じ位置に対向させている。又、上記先発明の第2例の場合と同様に、上記外輪1と上記ハブ2(図7参照)との中立状態で、上記エンコーダ4aに形成した各透孔6a、6b同士の間に位置し、全周に連続するリム部8が、上記両センサ13a、13bの検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様にしている。
これに対して、上記3個のセンサ13a〜13cのうち、特許請求の範囲に記載した第三のセンサに相当する、残り1個のセンサ13cの検出部は、上記エンコーダ4aの外周面のうちで、上記第一の被検出面に相当する部分に対向させている。上記1個のセンサ13cの検出部が上記エンコーダ4aの外周面に対向する位置は、上記外輪1と上記ハブ2との中立状態で、上記エンコーダ4aの回転方向に関しては、上記センサ13aが対向している部分から90度ずれた位置としている。又、上記エンコーダ4aの軸方向に関しては、上記センサ13aが対向している部分と同じ位置としている。
上述の様に構成する本実施例の構造によれば、上記外輪1と上記ハブ2との相対変位により生じる、上記3個のセンサ13a〜13cの出力信号同士の間の位相差に基づいて、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる。この点に就いて、x、y、z各方向の変位と、上記3個のセンサ13a〜13cの出力信号同士の間の位相差の有無とに就いて説明する。尚、x、y、z各方向とは、本実施例を自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用した場合に於いて、x方向が前後方向に関するラジアル方向を、y方向が幅方向に関するアキシアル方向を、z方向が上下方向に関するラジアル方向を、それぞれ表している。
(1) x方向の変位が発生(外輪1とハブ2とが前後方向に相対変位)した場合。
この場合には、下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間には位相差は発生しない。
これに対して、水平方向に設けて第一の被検出面に対向した上記1個のセンサ13cの出力信号と、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号との間に、上記x方向の変位(方向及び大きさ)に応じた方向及び大きさの位相差が発生する。
(2) y方向の変位が発生{外輪1とハブ2とが幅方向(軸方向)に相対変位}した場合。 この場合には、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間に位相差が発生する。
同様に、上記水平方向に設けた1個のセンサ13cの出力信号と上記下側に設けて第二の被検出面に対向したセンサ13bの出力信号との間にも位相差が発生する。
これに対して、上記下側に設けて第一の被検出面に対向したセンサ13aの出力信号と上記水平方向に設けた1個のセンサ13cの出力信号との間には位相差は発生しない。
(3) z方向の変位が発生(外輪1とハブ2とが上下方向に相対変位)した場合。
この場合には、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間には位相差は発生しない。
これに対して、上記水平方向に設けた1個のセンサ13cの出力信号と、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号との間に、上記z方向の変位(方向及び大きさ)に応じた方向及び大きさの位相差が発生する。
これら、x、y、z各方向の変位が発生した状態での、上記各センサ13a〜13cの出力信号同士の間の位相差の出現状態から明らかな通り、本実施例の場合には、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、ラジアル方向の変位(荷重)も求められる。但し、x、z両方向に関するラジアル方向の変位を見分ける事はできない。従って、本実施例の構造は、アキシアル方向の変位に加えて、何れか一方向のラジアル方向の変位を求める場合に有効である。即ち、x方向或はz方向の何れか一方向にのみ変位が発生し、他方向には変位が発生しない(一定値である)と見做せる様な用途、構造であれば、上記アキシアル、ラジアル、両方向の変位を求められる。
例えば、転がり軸受ユニットが、自動車の従動輪(FF車の後輪、FR車、RR車、MR車の前輪)を支持する為の転がり軸受ユニットの場合には、走行中に作用する荷重は、制動時を除き、アキシアル荷重と上下方向のラジアル荷重のみであり、前後方向のラジアル荷重はほぼ無視できる場合がある。そこで、上記x方向のラジアル変位を0であるとして、上記各センサ13a〜13cの出力信号同士の間の位相差を処理すれば、残りの2方向、即ち、車両の幅方向であるy方向に関するアキシアル方向の変位と、同じく上下方向であるz方向に関するラジアル方向の変位とを求められる。即ち、y方向の変位はセンサ13a、13bの出力信号同士の位相差により、z方向の変位はセンサ13a、13cの出力信号同士の位相差により、それぞれ求められる。上記各センサ13a〜13cの出力信号同士の間の位相差に基づいて、上記y、z両方向の変位を求める方法は、基本的には前述の図7〜10に示した、先発明の第2例の場合と同様であるから、詳しい説明は省略する。
上述の様にして、上記y、z両方向の変位を求められれば、これらy、z両方向に加わる荷重を求められる。この際、必要に応じて、例えば特願2004−370407号、或いは特願2005−110460号に記載した様な方法により、荷重が作用方向以外の方向の変位に及ぼす影響を軽減し、各方向の荷重の測定精度を向上させる。各方向の荷重を、各方向の変位を求める事なく、直接求めても良い事は、前述した通りである。
尚、上記両センサ13b、13cの出力信号同士の位相差も、上記z方向の変位によって変化する。但し、これら両センサ13b、13cの出力信号同士は、このz方向の変位だけでなく、y方向の変位によっても変化する。このy方向の変位は、上記両センサ13a、13bの出力信号同士の間の位相差から求められるので、上記両センサ13b、13cの出力信号同士の間の位相差から、y方向の変位の影響を除く為の修正演算により、z方向の変位のみを求める事もできる。但し、計算量が多くなり、上記z方向の変位を求めるまでに要する時間が長くなるだけでなく、誤差が入り込み易くなるので、好ましくはない。
図2は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、上述した実施例1の構造に加えて、第四のセンサであるセンサ13dを設けている。そして、このセンサ13dの検出部を、第三のセンサであるセンサ13cの検出部と同様に、エンコーダ4aの第一の被検出面である、透孔6a、6aと柱部7a、7aとを交互に設けた部分に対向させている。上記第四のセンサであるセンサ13dの検出部が上記エンコーダ4aの外周面に対向する位置は、上記外輪1と上記ハブ2(図7参照)との中立状態で、上記エンコーダ4aの回転方向に関しては、センサ13aが対向している部分から90度、上記第三のセンサであるセンサ13cとは反対側にずれた位置としている。又、上記エンコーダ4aの軸方向に関しては、上記両センサ13a、13cが対向している部分と同じ位置としている。本実施例の場合、この様な構成を採用する事により、x、y、zの3方向の変位を求め、更にこれら3方向の変位から、これら3方向に加わる荷重を求められる様にしている。
上述の様に構成する本実施例の構造によれば、上記外輪1と上記ハブ2との相対変位により生じる、4個のセンサ13a〜13dの出力信号同士の間の位相差に基づいて、アキシアル方向の変位(荷重)だけでなく、2方向のラジアル方向の変位(荷重)も求められる。この点に就いて、x、y、z各方向の変位と上記4個のセンサ13a〜13dの出力信号同士の間の位相差の有無に就いて説明する。
(1) x方向の変位が発生(外輪1とハブ2とが前後方向に相対変位)した場合。
この場合には、下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間には位相差は発生しない。
これに対して、上記下側に設けて第二の被検出面に対向したセンサ13bの出力信号と、水平方向に設けて第一の被検出面に対向した2個のセンサ13c、13dの出力信号との間に、上記x方向の変位(方向及び大きさ)に応じた方向及び大きさの位相差が発生する。
又、上記下側に設けて第一の被検出面に対向したセンサ13aの出力信号と、上記水平方向に設けて第一の被検出面に対向した2個のセンサ13c、13dの出力信号との間にも、上記x方向の変位(方向及び大きさ)に応じた方向及び大きさの位相差が発生する。 上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間には、位相差は発生しない。
(2) y方向の変位が発生{外輪1とハブ2とが幅方向(軸方向)に相対変位}した場合。 この場合には、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間に位相差が発生する。
同様に、上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号と、上記下側に設けて第二の被検出面に対向したセンサ13bの出力信号との間にも、位相差が発生する。
これに対して、上記下側に設けて第一の被検出面に対向したセンサ13aの出力信号と、上記水平方向に設けてこの第一の被検出面に対向した2個のセンサ13c、13dの出力信号との間には、位相差は発生しない。
又、上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間にも、位相差は発生しない。
(3) z方向の変位が発生(外輪1とハブ2とが上下方向に相対変位)した場合。
この場合には、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間には、位相差は発生しない。
これに対して、上記下側に設けて第二の被検出面に対向しているセンサ13bの出力信号と、水平方向に設けて第一の被検出面に対向した2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間に、位相差が発生する。
又、上記下側に設けて第一の被検出面に対向しているセンサ13aの出力信号と、水平方向に設けて第一の被検出面に対向した2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間にも、位相差が発生する。
更に、水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間にも、位相差が発生する。
要するに、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間の位相は、y方向の変位のみで変化(位相差が発生)し、x、z方向の変位では変化しない。従って、上記下側に設けた2個のセンサ13a、13bの出力信号同士の間の位相差の有無、方向、大きさを測定すれば、上記y方向の変位を求められる。
又、上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間の位相は、z方向の変位のみで変化し、x、y方向の変位では変化しない。従って、上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間の位相差の有無、方向、大きさを測定すれば、上記z方向の変位を求められる。
更に、それぞれが下方或いは水平方向に設けられて第一の被検出面に対向した、センサ13a、13cの出力信号同士の間の位相は、x方向の変位によって変化するが、同時に、z方向の変位によっても変化する。但し、このうちのz方向の変位は、上記水平方向に設けた2個のセンサ13c、13dの出力信号同士の間の位相差から求められるので、これら両センサ13c、13dの出力信号同士の間の位相差から上記z方向の変位の影響を除く修正演算を行なえば、上記x方向の変位のみを求められる。尚、このx方向の変位は、下方と水平方向とに設けられてそれぞれが第一の検出面に対向している、両センサ13a、13dの出力信号同士の間の位相差からも、同様に上記z方向の変位の影響を除く修正演算を行なう事により求められる。即ち、センサ13a、13cの出力信号同士の間の位相差、或いは、センサ13a、13dの出力信号同士の間の位相差から、或は両位相差の平均から、x方向の変位のみを求められる。各方向の変位から各方向の荷重を求められる事、各方向の荷重を、各方向の変位を求める事なく、直接求めても良い事は、前述した通りである。
尚、センサ13b、13cの出力信号同士の間の位相差や、センサ13b、13dの出力信号同士の間の位相差も、x方向の変位により変化するが、同時にy方向の変位やz方向の変位によっても変化する。これらy、z方向の変位は上述の様に求められるので、上記センサ13b、13cの出力信号同士の間の位相差や、上記センサ13b、13dの出力信号同士の間の位相差から、これらy、z方向の変位の影響を除く為の修正演算により、x方向の変位のみを求める事もできる。但し、計算量が多くなり、このx方向の変位を求めるまでに要する時間が長くなるだけでなく、誤差が入り込み易くなるので、好ましくはない。
図示の各実施例としては、第一、第二の被検出面に、互いに逆方向に傾斜した透孔6a、6b及び柱部7a、7bを形成した、磁性金属板製のエンコーダ4aを使用した構造に就いて示した。これに対して、使用するエンコーダは、前述の図11の(B)に示す様に、第一の被検出面部分にのみ、特性変化の境界が軸方向に対し傾斜したエンコーダを使用する事もできる。又、エンコーダの被検出面の特性変化の性状としては、図示の様な透孔と柱部との繰り返しに限らず、前述の図3〜6に示す様な、S極とN極との繰り返しや、凹部と凸部との繰り返しであっても良い。
又、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、例えばABSを制御する為の情報として、車輪の回転速度を計測する。前述の図1に示した実施例1の場合には、3個のセンサ13a〜13cで、図2に示した実施例2の場合には4個のセンサ13a〜13dで、上記車輪の回転速度を計測している。上記ABS制御用の信号は、何れか1個のセンサの出力信号をこのABS用の制御器に入力すれば足りるが、複数のセンサの出力信号をこの制御器に取り込んで互いに比較し、何れかのセンサに異常がないか否かの判定を行なう事もできる。尚、車輪の回転速度検出に使用するセンサが3個以上あれば、何れかのセンサに異常が発生した場合でも、多数決の論理で正常と思われるセンサを選択し、当該センサにより制御を暫定的に続行する事もできる。
又、前述した先発明及び本発明による、エンコーダとセンサとの組み合わせ構造は、何れも静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位を測定するものである。従って、上記エンコーダと上記センサとは、転がり軸受ユニットの構成部材、即ち、上記静止側軌道輪と回転側軌道輪とに設置しても良いが、上記エンコーダと上記センサとうちの少なくとも一方を、これら静止側、回転側両軌道輪以外の(転がり軸受ユニットの構成部材ではない)回転体又は静止部材に設置しても良い。即ち、上記エンコーダを回転側軌道輪又はこの回転側軌道輪に結合固定された回転体に設置すると共に、上記センサを、上記静止側軌道輪又はこの静止側軌道輪を結合固定した静止部材に設置する事もできる。例えば、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合であれば、ハブを回転駆動する為の駆動軸を有する等速ジョイント(回転体)の一部にエンコーダを設置し、懸架装置を構成するナックル(静止部材)にセンサを設置する事もできる。この様な構成を採用すれば、上記エンコーダ及びセンサを設置する事に関して、転がり軸受ユニット部分の寸法上の制約を受けずに済む。この為、小型の転がり軸受ユニットでも、上記静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位の測定や、これら両軌道輪同士の間に作用する荷重の推定が可能になる。
更に、上記先発明及び本発明を実施する場合には、演算器が必要になるが、この演算器は、転がり軸受ユニット部分に設置しても、或いはこの転がり軸受ユニット外に、この転がり軸受ユニットとは別体として設置しても良い。但し、転がり軸受ユニット部分に設置すれば、位相比と変位との関係を表すゲインや、変位と荷重との関係を表すゲイン等の特性を、個々の転がり軸受ユニットに設置されている演算器に書き込んでおけるので、個々の転がり軸受ユニット毎に異なるゲインを正しく管理する面からは都合が良い。これに対して、転がり軸受ユニットが、熱や振動等の面から過酷な環境に曝される場合には、演算器を、この転がり軸受ユニットから離れた、環境的に有利な場所に設置する事が好ましい。この場合でも、演算器と個々の転がり軸受ユニットとは、1対1の対応が付く様に管理する事が望ましい。この様な管理を行なえる構造として、転がり軸受ユニットに付属のセンサから導出したハーネスに演算器を結合し、この転がり軸受ユニットと演算器とを、このハーネスを介して1セットとして取り扱える様に、工場間で搬送する事が考えられる。この様な手段を採用すれば、環境的に有利な場所に演算器を設置でき、しかも、ゲイン等の、各転がり軸受ユニット毎に異なる特性を、各転がり軸受ユニットに対応する演算器に書き込んでおける。具体的には、各転がり軸受ユニットにその基端部を結合したハーネスの先端に設けたコネクタ部に、上記演算器を設置する方法が考えられる。
本発明の実施例1を示す、略斜視図。 同実施例2を示す略斜視図。 先発明の第1例を示す断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。 同じく展開図。 アキシアル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図。 先発明の第2例を示す断面図。 この第2例に組み込むエンコーダの斜視図。 同じく展開図。 アキシアル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図。 先発明に係る、アキシアル方向及びラジアル方向の変位を求める構造の1例を示す略図。
符号の説明
1、1a 外輪
2 ハブ
3、3a 転動体
4、4a エンコーダ
5、5a センサ
6a、6b 透孔
7a、7b 柱部
8 リム部
9 エンコーダ
10 被検出用特性部
11 エンコーダ
12、12a 被検出用特性部
13a〜13d センサ

Claims (6)

  1. 転がり軸受ユニットと変位測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記変位測定装置は、上記回転側軌道輪と共に回転する部分にこの回転側軌道輪と同心に設けられたエンコーダと、上記静止側軌道輪に支持されて検出部をこのエンコーダの被検出面である外周面に対向させたセンサ装置と、演算器とを備えたものであり、
    上記エンコーダは、外周面のうちで互いに軸方向に外れた2個所位置に設けられた第一、第二の被検出面を備えたもので、これら両被検出面の特性は、円周方向に関して交互に、且つ、互いに同じピッチで変化しており、少なくとも上記第一の被検出面の特性変化の位相が軸方向に対し、上記第二の被検出面と異なる状態で漸次変化しており、
    上記センサ装置は、第一〜第三のセンサを備えており、このうちの第一のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に対向しており、同じく第二のセンサの検出部は、上記第二の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を上記第一のセンサの検出部と一致させた状態で対向しており、同じく第三のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して90度異ならせた状態で対向しており、
    上記演算器は、上記第一〜第三のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間のアキシアル方向の変位及びラジアル方向の変位を求める転がり軸受ユニットの変位測定装置。
  2. 第一〜第三のセンサに加えて第四のセンサを備え、この第四のセンサの検出部は第一の被検出面に、エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して、上記第三のセンサとは反対側に、90度異ならせた状態で対向しており、
    演算器は、上記第一〜第四のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間のアキシアル方向の変位、及び、互いに90度異なる2種類のラジアル方向の変位を求める、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの変位測定装置。
  3. 転がり軸受ユニットが、静止側軌道輪を懸架装置に支持固定し、回転側軌道輪に車輪を支持固定する、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットであり、演算器は、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との相対変位量に基づいて、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する荷重を算出する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの変位測定装置。
  4. 転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪と共に回転する部分にこの回転側軌道輪と同心に設けられたエンコーダと、上記静止側軌道輪に支持されて検出部をこのエンコーダの被検出面である外周面に対向させたセンサ装置と、演算器とを備えたものであり、
    上記エンコーダは、外周面のうちで互いに軸方向に外れた2個所位置に設けられた第一、第二の被検出面を備えたもので、これら両被検出面の特性は、円周方向に関して交互に、且つ、互いに同じピッチで変化しており、少なくとも上記第一の被検出面の特性変化の位相が軸方向に対し、上記第二の被検出面と異なる状態で漸次変化しており、
    上記センサ装置は、第一〜第三のセンサを備えており、このうちの第一のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に対向しており、同じく第二のセンサの検出部は、上記第二の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を上記第一のセンサの検出部と一致させた状態で対向しており、同じく第三のセンサの検出部は、上記第一の被検出面に、上記エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して90度異ならせた状態で対向しており、
    上記演算器は、上記第一〜第三のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間にアキシアル方向に加わる荷重及びラジアル方向に加わる荷重を求める転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  5. 第一〜第三のセンサに加えて第四のセンサを備え、この第四のセンサの検出部は第一の被検出面に、エンコーダの周方向に関する位相を、上記第一、第二のセンサの検出部に対して、上記第三のセンサとは反対側に、90度異ならせた状態で対向しており、
    演算器は、上記第一〜第四のセンサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記両軌道輪同士の間にアキシアル方向に加わる荷重、及び、互いに90度異なる2種類のラジアル方向に加わる荷重を求める、請求項4に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  6. 転がり軸受ユニットが、静止側軌道輪を懸架装置に支持固定し、回転側軌道輪に車輪を支持固定する、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットである、請求項4〜5のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
JP2006115302A 2005-04-22 2006-04-19 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置 Expired - Fee Related JP4887882B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006115302A JP4887882B2 (ja) 2005-04-22 2006-04-19 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005125029 2005-04-22
JP2005125029 2005-04-22
JP2006115302A JP4887882B2 (ja) 2005-04-22 2006-04-19 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006322928A JP2006322928A (ja) 2006-11-30
JP4887882B2 true JP4887882B2 (ja) 2012-02-29

Family

ID=37542700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006115302A Expired - Fee Related JP4887882B2 (ja) 2005-04-22 2006-04-19 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4887882B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4940937B2 (ja) 2006-02-28 2012-05-30 日本精工株式会社 回転機械の状態量測定装置
JP2008175782A (ja) * 2007-01-22 2008-07-31 Jtekt Corp センサ付き転がり軸受装置
JP4957357B2 (ja) * 2007-04-26 2012-06-20 日本精工株式会社 回転支持装置の状態量測定装置
EP1988376B1 (en) 2007-05-01 2017-06-07 JTEKT Corporation Rolling bearing device with sensor
JP4962126B2 (ja) * 2007-05-01 2012-06-27 株式会社ジェイテクト センサ付き転がり軸受装置
JP4952405B2 (ja) * 2007-07-02 2012-06-13 日本精工株式会社 転がり軸受ユニットの状態量測定装置
JP5151634B2 (ja) * 2008-04-09 2013-02-27 日本精工株式会社 エンコーダの着磁方法
JP5251802B2 (ja) * 2009-09-17 2013-07-31 日本精工株式会社 転がり軸受ユニットの物理量測定装置
CN113776802B (zh) * 2021-09-17 2024-05-03 余雨娇 一种用于电机输出轴稳定性检测功能的电机生产装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006322928A (ja) 2006-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4887882B2 (ja) 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置
JP4940937B2 (ja) 回転機械の状態量測定装置
KR100989528B1 (ko) 복렬 구름 베어링 유닛용 예압 측정 장치
JP2006300086A (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2005090994A (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2007093580A (ja) 変位測定装置付転がり軸受ユニット及び荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2006337356A (ja) 変位測定装置付転がり軸受ユニット及び荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP5099245B2 (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2006113017A (ja) エンコーダと、エンコーダ付転がり軸受ユニットと、荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2006308465A (ja) 荷重測定装置
JP2006292445A (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2008039155A (ja) 状態量測定装置付転がり軸受ユニットとその組立方法
JP2006317434A (ja) 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び荷重測定装置
JP4957390B2 (ja) 物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法
JP2007057257A (ja) センサ付車輪用軸受
JP4887816B2 (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2006258801A (ja) 変位測定装置付転がり軸受ユニット及び荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2004198210A (ja) 転がり軸受ユニット用荷重測定装置
JP2007057342A (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP4752483B2 (ja) 変位測定装置付転がり軸受ユニット及び荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP4935203B2 (ja) 車輪のトー異常検知装置
JP4894277B2 (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP4899311B2 (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2005098771A (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2005308134A (ja) 公転速度検出用センサ付転がり軸受ユニット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090415

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4887882

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees