以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の無線チップの一実施の形態を図1に示す。図1(A)及び図1(B)は無線チップの断面図である。
本実施の形態の無線チップは、薄膜トランジスタを有する層102と、アンテナ103とが異方性導電接着材104によって固着される。また、薄膜トランジスタを有する層102の接続端子107とアンテナの給電体層113とが異方性導電接着材104に分散される導電性粒子109で電気的に接続される。又、図示しないが、薄膜トランジスタを有する層のグラウンド配線と、アンテナの接地体として機能する導電層とが異方性導電接着材104に分散される導電性粒子109で電気的に接続される。
薄膜トランジスタを有する層102は、絶縁層105上に形成される薄膜トランジスタ106、薄膜トランジスタ106上に形成される絶縁層108、絶縁層108の表面に露出し、且つ薄膜トランジスタ106と接続する接続端子107で形成される。なお、薄膜トランジスタを有する層102は、薄膜トランジスタ106のほかに薄膜で形成される抵抗素子、コンデンサ等を有してもよい。
薄膜トランジスタを有する層は、アンテナ103と同様の面積を有することが好ましく、数mm×数mm〜数十mm×数十mmであることが好ましい。また、薄膜トランジスタを有する層の厚さは、数μm〜数十μm、代表的には1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下である。
絶縁層105は、薄膜トランジスタを有する層102の保護層として機能する。絶縁層105は、スパッタリング法やプラズマCVD法等の公知の手段により、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等で形成される。
薄膜トランジスタ106の一態様について、図16を参照して説明する。図16(A)はトップゲート型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。絶縁層105上に薄膜トランジスタ106が設けられている。薄膜トランジスタ106は、絶縁層105に半導体層1302、ゲート絶縁層として機能することができる絶縁層1303が設けられている。絶縁層1303の上には、半導体層1302に対応してゲート電極1304が形成され、その上層に保護層として機能する絶縁層1305、層間絶縁層として機能する絶縁層1306が設けられている。さらにその上層に、保護層として機能する絶縁層を形成しても良い。
半導体層1302は、結晶構造を有する半導体で形成される層であり、非単結晶半導体若しくは単結晶半導体を用いることができる。特に、非晶質若しくは微結晶質の半導体を、レーザ光の照射により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザ光の照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。
レーザ光を照射して結晶化する場合には、連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザ光の照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。キャリアのドリフト方向を、この結晶粒界が延びる方向に合わせることで、トランジスタにおける電界効果移動度を高めることができる。例えば、400cm2/V・sec以上を実現することができる。
上記結晶化工程を、ガラス基板の耐熱温度(約600℃)以下の結晶化プロセスを用いる場合、大面積ガラス基板を用いることが可能である。このため、基板あたり大量の無線チップを作製することが可能であり、低コスト化が可能である。
また、ガラス基板の耐熱温度以上の加熱により、結晶化工程を行い、半導体層1302を形成してもよい。代表的には、絶縁性基板に石英基板を用い、非晶質若しくは微結晶質の半導体を700度以上で加熱して半導体層1302を形成する。この結果、結晶性の高い半導体を形成することが可能である。このため、応答速度や移動度などの特性が良好で、高速な動作が可能な薄膜トランジスタを提供することができる。
さらには、半導体層1302として、単結晶半導体を用いて形成してもよい。
このような単結晶半導体で半導体層が形成されるトランジスタは、応答速度や移動度などの特性が良好なために、高速な動作が可能なトランジスタを提供することができる。また、トランジスタは、その特性のバラツキが少ないために、高い信頼性を実現した無線チップを提供することができる。
ゲート電極1304は金属又は一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、上記した金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、絶縁層1303やその下層の半導体層1302に拡散することを防ぐことができる。
ゲート電極1304の側面には、サイドウォール(側壁スペーサ)1308が形成される。サイドウォールは、基板上にCVD法により酸化珪素で形成される絶縁層を形成し、該絶縁層をRIE(Reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法により異方性エッチングすることで形成できる。
半導体層1302、絶縁層1303、ゲート電極1304などを組み合わせて構成されるトランジスタは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、サイドウォールが重畳する半導体層において、低濃度不純物領域1310が形成されるLDD構造の薄膜トランジスタを示す。また、シングルゲート構造、等価的には同電位のゲート電圧が印加されるトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層を上下にゲート電極で挟むデュアルゲート構造を適用することができる。
絶縁層1306は、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンなどの無機絶縁材料、又はアクリル樹脂及びポリイミド樹脂などの有機絶縁材料で形成する。スピン塗布やロールコーターなど塗布法を用いて絶縁層を形成する場合には、有機溶媒中に溶かされた絶縁膜材料を塗布した後、熱処理により絶縁層を形成される酸化シリコンを形成することもできる。例えば、シロキサン結合を含む塗布膜を形成しておいて、200乃至400度での熱処理により酸化シリコンで形成される形成可能な絶縁層を形成することができる。絶縁層1306を、塗布法で形成される絶縁層やリフローにより平坦化した絶縁層を用いることで、その層上に形成する配線の断線を防止することができる。また、多層配線を形成する際にも有効に利用することができる。
絶縁層1306の上に形成される配線1307は、ゲート電極1304と同じ層で形成される配線と交差して設けることが可能であり、多層配線構造を形成している。絶縁層1306と同様に機能を有する絶縁層を複数積層して、その層上に配線を形成することで多層配線構造を形成することができる。配線1307はチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
図18(B)は、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。絶縁性基板上に絶縁層105が形成され、その上に薄膜トランジスタ106が設けられている。薄膜トランジスタ106には、ゲート電極1304、ゲート絶縁層として機能する絶縁層1303、半導体層1302、チャネル保護層1309、保護層として機能する絶縁層1305、層間絶縁層として機能する絶縁層1306が設けられている。さらにその上層には、保護層として機能する絶縁層を形成しても良い。配線1307は、絶縁層1305の層上若しくは絶縁層1306の層上に形成することができる。なお、ボトムゲート型の薄膜トランジスタの場合は、絶縁層105が形成されなくともよい。
図1(A)に示す絶縁層108は、絶縁層1306と同様の手法により形成される。また、接続端子107は、配線1307と同様の手法により形成される。また、配線の最上表面に、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される層を、印刷法、メッキ法、スパッタリング法等を用いて設けてもよい。
薄膜トランジスタを有する層102は、基板上に剥離層を設け、剥離層上に薄膜トランジスタを有する層102を形成した後、薄膜トランジスタを有する層102を剥離層から剥離し、アンテナ103上に異方性導電接着材104を介して貼り合わせる。なお剥離方法としては、(1)耐熱性の高い基板と薄膜トランジスタを有する層の間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して、当該薄膜トランジスタを有する層を剥離する方法、(2)耐熱性の高い基板と薄膜トランジスタを有する層の間に水素を含む非晶質珪素膜を設け、レーザ光の照射またはエッチングにより当該非晶質珪素膜を除去することで、当該薄膜トランジスタを有する層を剥離する方法、(3)薄膜トランジスタが形成された耐熱性の高い基板(ガラス基板、シリコン基板等)を機械的に削除又は溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法、(4)耐熱性の高い基板と薄膜トランジスタを有する層の間に剥離層及び金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化し、剥離層の一部を溶液やNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスによりエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化膜において物理的に剥離する方法、(5)基板に、耐熱性を有する基板を用い、当該基板と絶縁層との間に剥離層及び金属酸化膜を設け、絶縁層上に第2の薄膜トランジスタを有する層131を形成すると共に金属酸化膜を脆弱化し、第2の薄膜トランジスタを有する層131の絶縁層の一部にレーザ光を照射して、開口部(剥離層の一部を露出する開口部)を形成した後、基体を第2の薄膜トランジスタを有する層131上に貼り付け、脆弱化された金属酸化膜を用いて物理的に基板から第2の薄膜トランジスタを有する層131を剥離する方法等を適宜用いればよい。
また、半導体層1302として、単結晶半導体を用いて形成する場合は、第1の単結晶半導体層と、絶縁層と、第2の単結晶半導体層が順に積層された基板(SIMOX(Separation by Implanted Oxygen基板)を用い、第1の単結晶半導体層をチャネル領域としたトランジスタを作製した後、第2の単結晶半導体層をエッチングして除去したのち、アンテナ103上に異方性導電接着材104を介して貼り合わせる。第2の単結晶半導体層のエッチング方法としては、砥石等の研削研磨装置を用いた研磨、エッチング剤を用いたドライエッチング又はウエットエッチング、さらには研削研磨装置とエッチング剤を併用して行ってもよい。エッチング剤は、ウエットエッチングであれば、フッ酸を水やフッ化アンモニウムで希釈した混液、フッ酸と硝酸の混液、フッ酸と硝酸と酢酸の混液、過酸化水素と硫酸の混液、過酸化水素とアンモニア水との混液、過酸化水素と塩酸の混液等を用いる。また、ドライエッチングであれば、フッ素等のハロゲン系の原子や分子を含む気体、又はハロゲン系の原子や分子と共に酸素を含む気体を用いる。好ましくは、フッ化ハロゲン又はハロゲン化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を用いるとよい。
異方性導電接着材104は、導電性粒子(粒径数nm〜数μm程度)が分散された接着性の有機樹脂であり、有機樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子は、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一金属、若しくは複数の金属で形成される薄膜がコーティングされた導電性粒子を用いてもよい。
アンテナ103は、誘電体層110と、誘電体層の一表面に形成される第1の導電層111と、誘電体層を介して第1の導電層111に対向し、且つ誘電体層の他表面に形成される第2の導電層112と、給電体層113とを有する。このような構造を有するアンテナを、以下パッチアンテナと示す。第1の導電層111は、放射電極として機能する。また、第2の導電層112は接地体として機能する。給電体層113は、第1の導電層111と第2の導電層112と接触しないように設けられている。また、給電体層113を介して、アンテナから薄膜トランジスタで構成される回路、又は薄膜トランジスタで構成される回路からアンテナへ給電が行われる。なお、給電体層の代わりに給電点を用いて給電を行ってもよい。
本実施の形態では、接続端子107と給電体層113とが、異方性導電接着材104の導電性粒子109を介して電気的に接続されている。なお、図示しないが薄膜トランジスタで形成される回路の接地電極とアンテナ103の第2の導電層112とが同様に導電性粒子109を介して電気的に接続されている。
ここで、アンテナ103として用いるパッチアンテナの構造について説明する。
パッチアンテナの誘電体層110は、セラミックス、有機樹脂、又はセラミックスと有機樹脂の混合物等で形成することができる。セラミックスの代表例としては、アルミナ、ガラス、フォルステライト等が挙げられる。さらには、複数のセラミックスを混合して用いてもよい。また、高い誘電率を得るためには、誘電体層110を、強誘電体材料で形成することが好ましい。強誘電体材料の代表例としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等が挙げられる。さらには、複数の強誘電体材料を混合して用いてもよい。
また、有機樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を適宜用いる。有機樹脂の代表例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ビニルベンジル、ポリフマレート、フッ化樹脂等の樹脂材料を用いることができる。さらには、複数の有機樹脂材料を混合して用いてもよい。
誘電体層110がセラミックスと有機樹脂の混合物で形成される場合、粒子状のセラミックスの粒子を有機樹脂に分散させて形成することが好ましい。このとき、誘電体層110に対して粒子状のセラミックスの含有量は、20%体積%以上60体積%以下が好ましい。また、セラミックスの粒径は1〜50μmが好ましい。
誘電体層110の比誘電率は2.6〜150、好ましくは、2.6〜40であることが望ましい。比誘電率の高い強誘電体材料を用いることで、パッチアンテナの容積を小さくすることが可能である。
パッチアンテナの第1の導電層111、第2の導電層112、給電体層113は、金、銀、銅、パラジウム、白金、アルミニウムから選ばれる金属、又は合金等を用いることができる。また、パッチアンテナの第1の導電層111、第2の導電層112、給電体層113は、印刷法、メッキ法を用いて形成することができる。また、誘電体層に蒸着法、スパッタリング法等で導電膜を成膜した後、当該導電膜の一部分をエッチングして各導電層を形成することができる。
パッチアンテナの大きさとしては、数mm×数mm〜数十mm×数十mmであることが好ましい。代表的には、7mm×7mm〜12mm×12mmである。また、パッチアンテナの厚さは、1mm〜15mm、代表的には1.5mm〜5mmである。また、パッチアンテナの形状は、矩形の平板体が好ましいがこれに限定されるものではない。円形の平板体を用いることも可能である。
パッチアンテナについて図7を用いて説明する。
図7(A)は、放射電極として機能する第1の導電層202と、誘電体層201と、接地体として機能する第2の導電層203と、給電点204と、第1の導電層、誘電体層、及び第2の導電層に設けられたスルーホールに形成され、給電点に接続する給電体を有するパッチアンテナである。なお、給電体は、給電点において第1の導電層と接続するが、第2の導電層とは接続しない。放射電極として機能する第1の導電層202が、円形であり、且つ点対称となる2つの領域において、縮退分離素子205がある場合、円偏波のアンテナとなる。また、第1の導電層202が円形の場合、パッチアンテナは直偏波のアンテナとなる。
図7(B)は、放射電極として機能する第1の導電層212と、誘電体層211と、接地体として機能する第2の導電層213と、給電点214と、第1の導電層、誘電体層、及び第2の導電層に設けられたスルーホールに形成され、給電点に接続する給電体を有するパッチアンテナである。なお、給電体は、給電点において第1の導電層と接続するが、第2の導電層とは接続しない。放射電極として機能する第1の導電層212は、矩形であり、且つ点対称となる2つの角部において、縮退分離素子215がある場合、円偏波のアンテナとなる。また、第1の導電層212が矩形の場合、パッチアンテナは直偏波のアンテナとなる。
図7(C)は、放射電極として機能する第1の導電層222と、誘電体層221と、接地体として機能する第2の導電層223と、給電体層224とを有するパッチアンテナである。放射電極として機能する第1の導電層222は、矩形であり、且つ点対称となる2つの角部において、縮退分離素子225を有する円偏波のアンテナである。また、第1の導電層222が縮退分離素子225を有さない矩形の場合、パッチアンテナは直偏波のアンテナとなる。放射電極として機能する第1の導電層222と給電体層224とは、ギャップを介して容量的に結合されている。また、給電体層224は誘電体層の側面に形成されているため、表面実装が可能である。
図7(A)〜図7(C)に示すパッチアンテナは、誘電体層201、211、221の一方の面に接地体として機能する第2の導電層203、213、223が設けられているため、第1の導電層202、212、222側に指向性を有し、第1の導電層側に電波を放射する。
図7(D)は、放射電極として機能する第1の導電層242と、誘電体層241と、接地体として機能する第2の導電層243と、給電体層244とを有するパッチアンテナである。また、図7(D)に示すように、第1の導電層242において、対角線上に直交スリットが形成されている。すなわち、放射電極として機能する第1の導電層242には、十字の切欠きが設けられている。このため、誘電体層241が十字に露出している。放射電極として機能する第1の導電層242と給電体層244とは、ギャップを介して容量的に結合されている。このような形状のパッチアンテナの代表例としては、CABPB1240、CABPB0730、CABPB0715(TDK製)が挙げられる。また、給電体層244は誘電体層の側面に形成されているため、表面実装が可能である。このような構造のパッチアンテナは、放射電極の直交スリットにより無指向性であるため、全方向へ電波を放射することが可能である。このため、搭載場所や設置角度を選ばなくとも良い。このため、電子機器の設計の自由度を広げることが可能である。
また、図7に示すパッチアンテナ以外にも公知のパッチアンテナを用いることが可能である。
特に、円偏波のパッチアンテナを用いることで、GPS(Global Positioning System(1.5GHz))、衛星デジタル放送(2.6GHz)等の衛星送受信、無線LAN(Local Area Network)(2.4GHz、5.2GHz)、Bluetooth(商標)(2.4GHz)、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)(3〜10GHz)等のPAN(パーソナルエリアネットワーク)の送受信、第3世代のデータ通信、パケット通信等の送受信を行うことができる。
なお、図1(B)に示すように、薄膜トランジスタを有する層120は、複数の薄膜トランジスタを有する層121〜123が複数積層されていてもよい。具体的には、第1の薄膜トランジスタを有する層121上に、第2の薄膜トランジスタを有する層122が形成される。第2の薄膜トランジスタを有する層122上に第3の薄膜トランジスタを有する層123が形成される。第3の薄膜トランジスタを有する層123において、薄膜トランジスタ上に絶縁層127が形成される。また、絶縁層127の表面に、第1の薄膜トランジスタを有する層乃至第3の薄膜トランジスタを有する層のいずれかの薄膜トランジスタに接続する接続端子126が形成される。
なお、第1の薄膜トランジスタを有する層121において、薄膜トランジスタ上に第1の絶縁層124が形成される。第1の絶縁層124によって、第1の薄膜トランジスタを有する層121の薄膜トランジスタと、第2の薄膜トランジスタを有する層122の薄膜トランジスタとが絶縁される。また、第2の薄膜トランジスタを有する層122において、薄膜トランジスタ上に第2の絶縁層125が形成される。第2の絶縁層125によって、第2の薄膜トランジスタを有する層122の薄膜トランジスタと、第3の薄膜トランジスタを有する層123の薄膜トランジスタとが絶縁される。また、第3の薄膜トランジスタを有する層123において、薄膜トランジスタ上に第3の絶縁層127が形成される。第3の絶縁層127によって、第3の薄膜トランジスタを有する層123の薄膜トランジスタと、接続端子とが絶縁される。
図1(B)において、第1の薄膜トランジスタを有する層乃至第3の薄膜トランジスタを有する層を用いて、薄膜トランジスタを有する層120と示したが、これに限れられるものではなく、2つの薄膜トランジスタを有する層で構成してもよい。また4つ以上の薄膜トランジスタを有する層で構成してもよい。
また、図3(A)に示すように、薄膜トランジスタを有する層102は、有機樹脂層101を介して可撓性を有する基板100に固着されていてもよい。可撓性を有する基板100の代表例としては、薄くて軽いプラスチック基板を用いることが好ましく、代表的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、ポリプロピレンポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリフタールアミド等からなる基板を用いることができる。また、可撓性を有する基板100として、離型紙等のフィルムがコーティングされた紙を用いることができる。
また、有機樹脂層101の代表例としては、熱硬化型接着剤、重合型接着剤、感圧型接着剤、ホットメルト接着剤等の反応型接着剤が硬化した有機樹脂を用いることが好ましく、代表的にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。
なお、可撓性を有する基板100に接着性樹脂層が設けられている場合、薄膜トランジスタを有する層102に可撓性を有する基板を固着することが可能である。
なお、ここでは、図1(A)の薄膜トランジスタを有する層102に有機樹脂を介して可撓性を有する基板が設けられた無線チップを図示したが、これに限定されるものではなく、図1(B)に示すような複数の薄膜トランジスタを有する層に有機樹脂を介して可撓性を有する基板を設けてもよい。
また、図3(B)に示すように、可撓性を有する基板100上に形成された薄膜トランジスタを有する層141と、アンテナ103とが異方性導電接着材104で固着されていてもよい。
薄膜トランジスタを有する層141の表面に形成される接続端子107と給電体層113とが、異方性導電接着材の導電性粒子109を介して電気的に接続されている。なお、図示しないが薄膜トランジスタで形成される回路の接地電極とアンテナの第2の導電層112とが同様に導電性粒子を介して電気的に接続されている。
可撓性を有する基板100は、ガラス基板等の非可撓性基板と比較して耐熱温度が低い。このため、薄膜トランジスタは、有機半導体を用いて形成することが好ましい。有機半導体を用いて形成される薄膜トランジスタを有する層は、可撓性を有する基板100上に薄膜トランジスタ142が形成され、薄膜トランジスタ142を覆う絶縁層108が形成されている。また、薄膜トランジスタを有する層141の表面には、薄膜トランジスタ142の配線に接続する接続端子107が形成されている。
ここで、有機半導体を用いる薄膜トランジスタの構造について、図17を参照して説明する。図17(A)は、スタガ型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。可撓性を有する基板1401上に薄膜トランジスタ142が設けられている。薄膜トランジスタ142は、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、ゲート電極及びゲート絶縁膜として機能する絶縁層と重畳する半導体層1404、半導体層1404に接続する配線1405、1406が形成されている。なお、半導体層は、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403と配線1405、1406に接する。
ゲート電極1402は、ゲート電極1304と同様の材料及び手法により、形成することができる。また、微粒子を含む組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法(以下、本明細書では液滴吐出法という)を用い、乾燥及び焼成してゲート電極1402を形成することができる。また、可撓性を有する基板上に、微粒子を含むペーストを印刷法により印刷し、乾燥及び焼成してゲート電極1402を形成することができる。微粒子の代表例としては、金、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれかを主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)などの導電性酸化物を主成分とする微粒子でもよい。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403は、絶縁層1303と同様の材料及び手法により形成することができる。但し、有機溶媒中に溶かされた絶縁膜材料を塗布した後、熱処理により絶縁層を形成する場合、熱処理温度が可撓性を有する基板の耐熱温度より低い温度で行う。
半導体層1404は、多環芳香族化合物、共役二重結合系化合物、フタロシアニン、電荷移動型錯体等が挙げられる。例えばアントラセン、テトラセン、ペンタセン、6T(ヘキサチオフェン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、PTCDA(ペリレンカルボン酸無水化物)、NTCDA(ナフタレンカルボン酸無水化物)などを用いることができる。また、具体的な有機高分子化合物材料は、π共役系高分子、カーボンナノチューブ、ポリビニルピリジン、フタロシアニン金属錯体等が挙げられる。特に骨格が共役二重結合から構成されるπ共役系高分子である、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチエニレン、ポリチオフェン誘導体、ポリ(3アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレン誘導体又はポリパラフェニレンビニレン誘導体を用いると好ましい。
また、有機半導体膜の成膜方法としては、基板に膜厚の均一な膜が形成できる方法を用いればよい。膜厚は1nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下が望ましい。具体的な方法としては、蒸着法、塗布法、スピンコーティング法、バーコート法、溶液キャスト法、ディップ法、スクリーン印刷法、ロールコーター法又は液滴吐出法を用いることができる。
配線1405、1406は、ゲート電極1402と同様の材料及び手法により形成することが可能である。
図17(B)は、コプレナー型の薄膜トランジスタを適用する一例を示している。可撓性を有する基板1401上に薄膜トランジスタ142が設けられている。薄膜トランジスタ142は、ゲート電極1402、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層1403、配線1405、1406、ゲート電極及びゲート絶縁層として機能する絶縁層1403に重畳する半導体層1404が形成されている。また、配線1405、1406は、ゲート絶縁層として機能する絶縁層1403及び半導体層1404に接する。
ここで、本発明の無線チップの構成について、図9、図10を参照して説明する。図9(A)に示すように、本発明の無線チップ20は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調・変調回路13、他の回路を制御する制御回路14、インターフェイス回路15、記憶回路16、バス17、アンテナ18を有する。
また、図9(B)に示すように、本発明の無線チップ20は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調・変調回路13、他の回路を制御する制御回路14、インターフェイス回路15、記憶回路16、バス17、アンテナ18の他、中央処理ユニット21を有しても良い。
また、図9(C)に示すように、本発明の無線チップ20は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調・変調回路13、他の回路を制御する制御回路14、インターフェイス回路15、記憶回路16、バス17、アンテナ18、中央処理ユニット21の他、検出素子31、検出制御回路32からなる検出部30を有しても良い。
本実施の形態の無線チップは、薄膜トランジスタを有する層102、120、141により、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調・変調回路13、他の回路を制御する制御回路14、インターフェイス回路15、記憶回路16、バス17、アンテナ18、中央処理ユニット21の他、検出素子31、検出制御回路32からなる検出部30等を構成することで、小型で多機能を有する無線チップを形成することが可能である。
電源回路11は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、無線チップ20の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路12は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、無線チップ20の内部の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調・変調回路13は、リーダライタ19と交信するデータを復調・変調する機能を有する。制御回路14は、記憶回路16を制御する機能を有する。アンテナ18は、リーダライタ19と電磁波或いは電波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ19は、無線チップとの交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。なお、無線チップは上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
記憶回路16は、DRAM、SRAM、FeRAM、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、及び有機メモリから選択される1つ又は複数を有する。
なお、有機メモリとは、一対の電極間に有機化合物を有する層を挟んで設けたものをいう。また、有機メモリとは、一対の電極間に有機化合物と無機化合物との混合層を設けたものをいう。有機化合物の代表例としては、電気的作用や光が照射されることにより、結晶状態や導電性、形状が変化する物質を用いる。代表的には、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子、正孔輸送性が高い有機化合物、又は電子輸送性が高い有機化合物を用いることができる。
また、一対の電極間に有機化合物と無機化合物との混合層を設ける場合には、正孔輸送性の高い有機化合物と電子を受け取りやすい無機化合物とを混合させることが好ましい。また、電子輸送性の高い有機化合物と電子を与えやすい無機化合物とを混合させることが好ましい。このような構成とすることによって、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くのホールキャリアや電子キャリアが発生し、極めて優れたホール注入性・輸送性や電子注入性・輸送性を示す。
有機メモリは、小型化、薄膜化および大容量化を同時に実現することができるため、記憶回路16を有機メモリで設けることにより、無線チップの小型化、軽量化を達成することができる。
なお、薄膜トランジスタと同時に、マスクROMを形成することができる。マスクROMは複数のトランジスタで形成する。その際、トランジスタの例えばドレイン領域と接続する配線用のコンタクトホールを開口するか開口しないかによってデータを書き込むことが可能であり、例えば開口する場合は1(オン)、開口しない場合は0(オフ)のデータ(情報)を、メモリセルに書き込むことが可能である。
例えば、図1(A)に示す薄膜トランジスタ106上の絶縁層108上に形成されるフォトレジストを露光する工程において、ステッパなどの露光装置を用いてレチクル(フォトマスク)を通して露光する工程の前又は後に、上記コンタクトホールが開口される領域上のフォトレジストに電子ビーム又はレーザを照射する。その後、通常どおり現像、エッチング、フォトレジストの剥離し、配線を形成する工程をおこなう。こうすることで、レチクル(フォトマスク)を交換せずに、電子ビーム又はレーザの照射領域を選択するのみで、上記コンタクトホールを開口するパターンと開口しないパターンをつくり分けることができる。すなわち、電子ビーム又はレーザの照射領域を選択することで、製造時において、半導体装置毎に異なるデータが書き込まれたマスクROMを作製することが可能となる。
このようなマスクROMを用いて、製造時に半導体装置ごとの固有識別子(UID:Unique Identifier)等を形成することが可能となる。
ここで、中央処理ユニット21の構成について、図10のブロック図を用いて説明する。
まず、信号がバス17に入力されると、解析回路1003(Instruction Decoderともいう)において信号が解読され、信号が制御信号発生回路1004(CPU Timing Controller)に入力される。信号が入力されると、制御信号発生回路1004から、演算回路(以下、ALU1009と示す)、および記憶回路(以下、レジスタ1010と示す)に制御信号が出力される。
なお、制御信号発生回路1004には、ALU1009を制御するALUコントローラ(以下、ACON1005と示す)、レジスタ1010を制御する回路(以下、RCON1006と示す)、タイミングを制御するタイミングコントローラ(以下、TCON1007と示す)、および割り込みを制御する割り込みコントローラ(以下、ICON1008と示す)を含むものとする。
一方、処理信号がバス17に入力されると、ALU1009、およびレジスタ1010に出力される。そして、制御信号発生回路1004から入力された制御信号に基づく処理(例えば、メモリリードサイクル、メモリライトサイクル、あるいはI/Oリードサイクル、I/Oライトサイクル等)がなされる。
なお、レジスタ1010は、汎用レジスタ、スタックポインタ(SP)、プログラムカウンタ(PC)等により構成される。
また、アドレスコントローラー1011は、16ビットのアドレスをバス17へ出力する。
なお、本実施例に示したCPUの構成は、本発明の構成を限定するものではなく、上記構成以外の公知のCPUの構成を用いることも可能である。
検出部30は、温度、圧力、流量、光、磁気、音波、加速度、湿度、気体成分、液体成分、その他の特性を物理的又は化学的手段により検出することができる。また、検出部30は、物理量または化学量を検出する検出素子31と当該検出素子31で検出された物理量または化学量を電気信号等の適切な信号に変換する検出制御回路32とを有している。検出素子31としては、抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオード、静電容量型素子、圧電素子等で形成することができる。なお、検出部30は複数設けてもよく、この場合、複数の物理量または化学量を同時に検出することが可能である。
また、ここでいう物理量とは、温度、圧力、流量、光、磁気、音波、加速度、湿度等を指し、化学量とは、ガス等の気体成分やイオン等の液体に含まれる成分等の化学物質等を指す。化学量としては、他にも、血液、汗、尿等に含まれる特定の生体物質(例えば、血液中に含まれる血糖値等)等の有機化合物も含まれる。特に、化学量を検出しようとする場合には、必然的にある特定の物質を選択的に検出することになるため、あらかじめ検出素子31に検出したい物質と選択的に反応する物質を設けておく。例えば、生体物質の検出を行う場合には、検出素子31に検出させたい生体物質と選択的に反応する酵素、抗体分子または微生物細胞等を高分子等に固定化して設けておくことが好ましい。
なお、リーダライタと無線チップとの通信時に、検出部30を用いて温度、圧力、流量、光、磁気、音波、加速度、湿度、気体成分、液体成分、その他の特性を検出することができる。また、無線チップに、フィルム状の二次電池を用いても良い。フィルム状の二次電池の代表例として、電解液が浸透したゲルを有する薄型の二次電池を用いることができる。この場合、リーダライタと通信しないときでも、検出部30を用いて上記特性を検出することができる。
本実施の形態の無線チップは、薄膜トランジスタを有する層とアンテナとをほぼ同様の面積で形成することができる。パッチアンテナが、薄膜トランジスタを有する層の保護部材となるため、無線チップの機械的強度が向上する。
(実施の形態2)
本発明の無線チップの一実施の形態を図2に示す。図2は無線チップの断面図である。本実施の形態では、異方性導電接着材で固着された複数の薄膜トランジスタを有する層と、パッチアンテナとを有する無線チップの構造について説明する。
本実施の形態の無線チップは、第1の薄膜トランジスタを有する層102と、第2の薄膜トランジスタを有する層131とが異方性導電接着材133で固着される。
第1の薄膜トランジスタを有する層102の表面に形成される第1の接続端子と、第2の薄膜トランジスタを有する層131の表面に形成される第2の接続端子とは、異方性導電接着材133中に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第1の薄膜トランジスタを有する層102及び第2の薄膜トランジスタを有する層131と同様に、第2の薄膜トランジスタを有する層131及び第3の薄膜トランジスタを有する層132が、異方性導電接着材134で固着される。
また、第2の薄膜トランジスタを有する層131の表面に形成される第3の接続端子と、第3の薄膜トランジスタを有する層132の表面に形成される第4の接続端子とは、異方性導電接着材134中に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第1の薄膜トランジスタを有する層102乃至第3の薄膜トランジスタを有する層132のそれぞれを、プロセッサユニット、電源回路、クロック発生回路、データ復調・変調回路、制御回路、インターフェイス回路、記憶回路、検出回部等のいずれかの回路とすることで、小型で多機能を有する無線チップを形成することが可能である。
また、アンテナ103と、第3の薄膜トランジスタを有する層132の表面に形成される第5の接続端子とが、異方性導電接着材の導電性粒子を介して電気的に接続されている。なお、図示しないが薄膜トランジスタで形成される回路の接地電極とアンテナの第2の導電層112とが同様に導電性粒子を介して電気的に接続されている。
図2において、第1の薄膜トランジスタを有する層乃至第3の薄膜トランジスタを有する層が異方性導電接着材により固着される無線チップを示したが、これに限れられるものではなく、2つの薄膜トランジスタを有する層で構成してもよい。また4つ以上の薄膜トランジスタを有する層で構成してもよい。
また、実施の形態1と同様に、薄膜トランジスタを有する層102は、可撓性を有する基板に固着されていてもよい。
また、本実施の形態と実施の形態1を適宜組み合わせることが可能である。
本実施の形態の無線チップは、絶縁性基板上に形成された薄膜トランジスタを有する層とアンテナとをほぼ同様の面積で形成することができる。パッチアンテナが、薄膜トランジスタを有する層の保護部材となるため、無線チップの機械的強度が向上する。
また、本実施の形態の無線チップは、薄膜トランジスタを有する層複数がパッチアンテナと固着されるため、高集積化された無線チップである。
(実施の形態3)
本発明の無線チップの一実施の形態を図4に示す。図4は無線チップの断面図である。本実施の形態では、薄膜トランジスタを有する層と、受動素子と、パッチアンテナとが、異方性導電接着材や導電層等で固着された無線チップの構造について説明する。
実施の形態1に示すように薄膜トランジスタを有する層102が形成される。薄膜トランジスタを有する層102と受動素子を有する層150が異方性導電接着材104で固着される。ここでは、受動素子を有する層150を、第1の受動素子151及び第2の受動素子152で示す。また、薄膜トランジスタを有する層102の表面に露出された接続端子107と受動素子を有する層150の第1の接続端子160とが異方性導電接着材104中の導電性粒子で電気的に接続される。
また、受動素子を有する層150とアンテナ103とは、導電層171、172で固着される。アンテナ103の給電体層113及び受動素子を有する層150の第2の接続端子168、パッチアンテナの接地体として機能する第2の導電層112及び受動素子の第3の接続端子169は、それぞれ導電層171、172で電気的に接続される。導電層171、172は、導電性ペーストを硬化して形成する。導電性ペーストを硬化した導電層の代表例としては、スズ(Sn)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、銅(Cu)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)の複数を含む合金があげられる。また、導電層171、172の代わりに異方性導電接着材を用いることも可能である。
また、第1の受動素子151は、絶縁層154〜157とその間に設けられた導電層162〜164とで、キャパシタ、インダクタ、抵抗のいずれか一つ以上が構成される。第2の受動素子152も同様に、絶縁層157〜160とその間に設けられた導電層165〜167とで、キャパシタ、インダクタ、抵抗のいずれか一つ以上が構成される。
第1の受動素子151又は第2の受動素子152の絶縁層154〜160の比誘電率は2.6〜40が好ましい。導電層162〜167は、金、銀、銅、アルミニウムなど導電率の高い金属、またはこれらいずれか複数で形成される合金を用いる。
第1の受動素子151、第2の受動素子152の形成方法を以下に示す。酸化アルミニウムと酸化珪素を有するセラミックスを膜厚10〜150μmにシート状としたもの(いわゆるグリーンシート)に、金、銀、銅、アルミニウムなど導電率の高い金属、またはこれらいずれか複数で形成される合金を印刷法により印刷し導電層を形成する。なお、必要であればグリーンシートにスルーホールを形成し、該スルーホールに導電性ペーストを充填して、異なる層に形成される導電層を接続するプラグを形成してもよい。また、グリーンシートは、実施の形態1で示すアンテナ103の誘電体層110を形成するセラミックス、有機樹脂等を適宜混合して形成してもよい。このような導電層が印刷されたグリーンシートを複数積み重ねて熱圧着し、所定の大きさに加工し、800〜1300度で加熱して絶縁層と導電層を焼成して、1の受動素子151、第2の受動素子152を形成することができる。更には、絶縁層の側面に導電層を形成して、各層に形成される導電層を接続されてもよい。
キャパシタ、インダクタ、抵抗、配線等の受動素子を複数組み合わせることで、高周波回路を構成するコンデンサ、デュプレクサ、及びローパスフィルタを含むアンテナフロントエンドモジュール、並びにアイソレータ、カプラ、減衰器、及びパワーアンプを含むアイソレータパワーアンプモジュール、VCO(電圧制御発振器)、バンドバスフィルタ(BPF)、積層フィルター、バルントランス、誘電体フィルター、カプラ、共振器等を構成することが可能である。
また、薄膜トランジスタを有する層及び受動素子により、高周波回路である電源回路、クロック発生回路、データ復調・変調回路、他の回路を制御する制御回路、インターフェイス回路、記憶回路、バス、アンテナ、及び中央処理ユニット、並びに検出素子及び検出制御回路からなる検出部等を構成する。
また、実施の形態1と同様に、薄膜トランジスタを有する層102は、有機樹脂層を介して可撓性を有する基板に固着されていてもよい。
本実施の形態と実施の形態1乃至実施の形態3のいずれかを適宜組み合わせることが可能である。
本実施の形態の無線チップは、厚膜パターンで形成される受動素子と薄膜トランジスタを用いて形成された集積回路からなる。このため、適した機能を有する素子で各回路を高集積化させる。本発明の無線チップを配線基板に実装することで、実装部品数を削減することが可能であるため、配線基板面積の縮小及びそれを有する電子機器の小型化が可能である。
(実施の形態4)
本発明の無線チップの一実施の形態を図5に示す。図5は無線チップの断面図である。本実施の形態では、異方性導電接着材で固着した薄膜トランジスタを有する層複数と、受動素子と、パッチアンテナとが、異方性導電接着材や導電層等で固着された無線チップの構造について説明する。
実施の形態2と同様に、第1の薄膜トランジスタを有する層102と、第2の薄膜トランジスタを有する層131とが異方性導電接着材133で固着される。
第1の薄膜トランジスタを有する層102の表面に形成される第1の接続端子と、第2の薄膜トランジスタを有する層の表面に形成される第2の接続端子とは、異方性導電接着材133中に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第1の薄膜トランジスタを有する層102及び第2の薄膜トランジスタを有する層131と同様に、第2の薄膜トランジスタを有する層131及び第3の薄膜トランジスタを有する層132が、異方性導電接着材134で固着される。
また、第2の薄膜トランジスタを有する層131の表面に形成される第3の接続端子と、第3の薄膜トランジスタを有する層の表面に形成される第4の接続端子とは、異方性導電接着材134中に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第3の薄膜トランジスタを有する層132と受動素子を有する層150が異方性導電接着材135で固着される。ここでは、実施の形態4と同様に受動素子を有する層150を、第1の受動素子151及び第2の受動素子152で示す。また、第3の薄膜トランジスタを有する層132の表面に露出された接続端子と受動素子を有する層150の第1の接続端子とが異方性導電接着材中の導電性粒子で電気的に接続される。
また、実施の形態4と同様に、受動素子を有する層150とアンテナ103とは、導電層171、172で固着される。アンテナ103の給電体層113及び受動素子を有する層150の第2の接続端子168、パッチアンテナの接地体として機能する第2の導電層112及び受動素子の第3の接続端子169は、それぞれ導電層171、172で電気的に接続される。導電層171、172は、導電性ペーストを硬化した導電層を用いる。なお、導電層171、172の代わりに異方性導電接着材を用いることも可能である。
また、実施の形態1と同様に、薄膜トランジスタを有する層102は、可撓性を有する基板に固着されていてもよい。
本実施の形態と実施の形態1乃至実施の形態4のいずれかを適宜組み合わせることが可能である。
本実施の形態の無線チップは、厚膜パターンで形成される受動素子と薄膜トランジスタを用いて形成された集積回路からなる。このため、適した機能を有する素子で各回路を高集積化することが可能である。本実施の形態の無線チップを配線基板に実装することで、実装部品数を削減することが可能であるため、配線基板面積の縮小及びそれを有する電子機器の小型化が可能である。
(実施の形態5)
本発明の無線チップの一実施の形態を図6に示す。本実施の形態では、複数のアンテナを有する無線チップの例について示す。図6(A)は無線チップの展開図であり、図6(B)は図6(A)のA−Bにおける断面図である。本実施の形態では、複数のアンテナを有する無線チップにおいて、特に第1の薄膜トランジスタ、第2の薄膜トランジスタ、及び第1の薄膜トランジスタに接続する第1のアンテナを有する層と、パッチアンテナとを有する無線チップの構造について説明する。
第1の薄膜トランジスタ186、第2の薄膜トランジスタ185、及び第1の薄膜トランジスタに接続する第1のアンテナを有する層180は、薄膜トランジスタを有する層102上に層間絶縁層182が形成され、層間絶縁層182上に第1のアンテナ181が形成される。第1のアンテナ181上には絶縁層183が形成され、絶縁層183の表面に接続端子184が形成される。
接続端子184が露出された絶縁層183と第2のアンテナであるアンテナ103とが、異方性導電接着材104により固着される。また、接続端子184とパッチアンテナの給電体層113とが、異方性導電接着材104に分散される導電性粒子で電気的に接続される。接続端子184と第1の薄膜トランジスタ185とが電気的に接続される。また、第2の薄膜トランジスタ186と第1のアンテナ181とが接続される。
第1のアンテナ181は、アルミニウム、銅、銀を含む金属材料で形成する。例えば、銅又は銀のペースト状組成物を、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット方式の印刷法で形成することができる。また、スパッタリングなどでアルミニウム膜を形成し、エッチング加工により形成しても良い。その他、電解メッキ法、無電解メッキ法を用いて形成しても良い。
ここでは、第1のアンテナ181の形状は、図8(A)に示すように方形コイル状である。
第1のアンテナ181の形状について図8を用いて説明する。図8は、層間絶縁層182及びその上に形成されたアンテナを示す上面図である。本実施の形態では、図6(A)及び図8(A)に示すように、第1のアンテナ181は方形コイル状181aであるがこの形状に限定されるものではない。円形コイル状としてもよい。また、図8(B)に示すように方形ループ状181bのアンテナとすることができる。また、円形ループ状アンテナとすることができる。また、図8(C)に示すように直線型ダイポール状181cのアンテナとすることができる。また、曲線型ダイポール状のアンテナとすることができる。
また、図18に示すように、複数のパッチアンテナで薄膜トランジスタを有する層が挟持された無線チップとしてもよい。
代表的には、図18(A)に示すように、薄膜トランジスタを有する層102の第1の表面に第1の接続端子191が形成される。また、薄膜トランジスタを有する層102の第1の表面と対向する第2の表面に接続端子193が形成される。ここでは、薄膜トランジスタを有する層102は、絶縁層105上に第1の薄膜トランジスタ189及び第2の薄膜トランジスタ190が形成され、当該薄膜トランジスタ上に絶縁層192が形成される。第1の接続端子191は、薄膜トランジスタ189の半導体層に接続し、且つ絶縁層105表面に露出する。また、第2の接続端子193は、薄膜トランジスタ190に接続し、且つ絶縁層192表面に露出する。
第1の接続端子191が露出された絶縁層105と第1のアンテナ103aであるパッチアンテナとが、異方性導電接着材187により固着される。また、第1の接続端子191と第1のアンテナであるパッチアンテナの給電体層113aとが、異方性導電接着材に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
また、第2の接続端子193が露出された絶縁層192と第2のアンテナ103bであるパッチアンテナとが、異方性導電接着材104により固着される。また、第2の接続端子193と第2のアンテナであるパッチアンテナの給電体層113bとが、異方性導電接着材に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第1のアンテナ103aと第2のアンテナ103bとを、周波数の異なるアンテナとすることで、マルチバンド対応が可能な無線チップとなる。さらに、第1のアンテナ103aと第2のアンテナ103bの一方を、無指向性のアンテナとし、他方を指向性のアンテナとすることで、異なる周波数の電波の指向性を使い分けて発信、受信することが可能である。
さらには、図18(B)に示すように、第1のアンテナ103aであるパッチアンテナ及び第2のアンテナ103bであるパッチアンテナにより、第1乃至第3の薄膜トランジスタ、及び第1の薄膜トランジスタに接続する第3のアンテナを有する層194が挟持された無線チップでもよい。
第1の薄膜トランジスタ189、第2の薄膜トランジスタ190、第3の薄膜トランジスタ195、及び第3の薄膜トランジスタに接続する第3のアンテナ197を有する層194は、1乃至第3の薄膜トランジスタを有する層上に絶縁層192が形成され、絶縁層192上に第3のアンテナ197が形成される。第3のアンテナ197上には絶縁層198が形成され、絶縁層198の表面に接続端子199が形成される。第3のアンテナ197は、第3の薄膜トランジスタ195と導電層196を介して接続される。第3のアンテナ197は、図6及び図8に示す第1のアンテナ181と同様に形成することが可能である。
第1の接続端子191が露出された絶縁層105と第1のアンテナ103aであるパッチアンテナとが、異方性導電接着材187により固着される。また、第1の接続端子191と第1のアンテナであるパッチアンテナの給電体層113aとが、異方性導電接着材187に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
また、第2の接続端子199が露出された絶縁層198と第2のアンテナ103bであるパッチアンテナとが、異方性導電接着材104により固着される。また、第2の接続端子199と第2のアンテナであるパッチアンテナの給電体層113bとが、異方性導電接着材104に分散される導電性粒子で電気的に接続される。
第1のアンテナ103a、第2のアンテナ103b、第3のアンテナ197を、それぞれ周波数の異なるアンテナとすることで、マルチバンド対応が可能な無線チップとなる。さらに、第1のアンテナ103aと第2のアンテナ103bの一方を、無指向性のアンテナとし、他方を指向性のアンテナとすることで、異なる周波数の電波の指向性を使い分けて発信、受信することが可能である。
本実施の形態と実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかを適宜組み合わせることが可能である。
このように複数のアンテナを設けることで、一つの無線チップで多数の電波を受信、発信することが可能なマルチバンド対応の無線チップを形成することができる。
本実施の形態の無線チップは、厚膜パターンで形成される受動素子と薄膜トランジスタを用いて形成された集積回路からなる無線チップは、適した機能を有する素子で各回路を高集積化することが可能である。本発明の無線チップを配線基板に実装することで、実装部品数を削減することが可能であるため、配線基板面積の縮小及びそれを有する電子機器の小型化が可能である。
本実施例では、本発明の無線チップの作製方法について図19、図20を用いて説明する。
図19(A)に示すように、基板401の一表面に、絶縁層402、剥離層403を形成する。
基板401は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層を形成したもの等を用いる。絶縁層402としては公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等を成膜する。
剥離層403は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層403が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
剥離層403として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成するとよい。
なお、基板401と剥離層403との間に絶縁層402を設けているが、本発明はこの工程に制約されない。基板401に接するように剥離層403を形成してもよい。
ここでは、絶縁層402として厚さ100nmの酸化窒化珪素層をCVD法により形成し、剥離層403として、厚さ30nmのタングステン層をスパッタリング法により形成する。
次に、図19(B)に示すように、剥離層403を覆うように、下地となる絶縁層404を形成する。絶縁層404は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素等の単層又は積層で形成する。下地となる絶縁層は、外部から薄膜トランジスタを有する層への不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
ここでは、下地となる絶縁層404として、CVD法により厚さ50nmの窒化酸化珪素からなる層と、膜厚100nmの酸化窒化珪素からなる層を形成する。
次に、絶縁層404上に、薄膜トランジスタ405を形成する。薄膜トランジスタ405は実施の形態1に示す薄膜トランジスタを適宜用いることができる。ここでは、図16(A)に示すような、絶縁層404上に半導体層、ゲート絶縁層として機能することができる絶縁層、絶縁層1303の上には、半導体層に対応して形成されたゲート電極、その上層に保護層として機能する絶縁層、保護層を介して半導体層に接続される配線で構成されるトップゲート型の薄膜トランジスタを形成する。
次に、薄膜トランジスタ405を覆うように、単層又は積層で絶縁層406を形成する。ここでは、絶縁層として、厚さ1.5μmのシロキサンポリマーを塗布し、乾燥及び焼成を行って絶縁層406を形成する。この後、絶縁層406上に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層等の保護層を形成しても良い。
次に、薄膜トランジスタを覆う絶縁層406にコンタクトホールを形成し、接続端子407を形成する。
なお、ここでは、絶縁層404、薄膜トランジスタ405、絶縁層406、及び接続端子407を、薄膜トランジスタを有する層408と示す。
次に、図19(C)に示すように、剥離層403が露出するように、開口部411、412を形成する。開口部411、412は、レーザアブレーションやフォトリソグラフィ法により絶縁層406から絶縁層404まで貫通している。
ここでは、紫外線レーザから射出されるレーザビームを照射して、開口部411、412を形成する。また、当該開口部411、412によって各無線チップの薄膜トランジスタを有する層となるように分断するために、各チップごとに連続した開口部を設けることが好ましい。
次に、開口部411、412にエッチング剤を導入して、図19(D)に示すように、剥離層403の一部を除去する。一部エッチングされた剥離層を、剥離層413と示す。エッチング剤は、ウエットエッチングであれば、フッ酸を水やフッ化アンモニウムで希釈した混液、フッ酸と硝酸の混液、フッ酸と硝酸と酢酸の混液、過酸化水素と硫酸の混液、過酸化水素とアンモア水の混液、過酸化水素と塩酸の混液等を用いる。また、ドライエッチングであれば、フッ素等のハロゲン系の原子や分子を含む気体、又は酸素を含む気体を用いる。好ましくは、エッチング剤として、フッ化ハロゲン又はハロゲン化合物を含む気体又は液体を使用する。
ここでは、三フッ化塩素(ClF3)を使用して、剥離層の一部をエッチングする。
次に、図19(D)に示すように、薄膜トランジスタを有する層408において絶縁層406、接続端子407の表面と、基体415とを粘着剤414を用いて接着させる。
次に、図19(E)に示すように、基板401、絶縁層402、及び剥離層413を、薄膜トランジスタを有する層408から剥がす。
基体415は、基板401より剛性の高い基板を用いることが好ましい。ここでは、基体415として、石英基板を用いる。粘着剤414としては、剥離可能な粘着剤であり、代表的には紫外線により剥離する紫外線剥離型粘着剤、熱により剥離する熱剥離型粘着剤、水溶性粘着剤や両面粘着テープなどを用いることができる。ここでは、粘着剤414として紫外線剥離型粘着剤を用いる。
このとき、基体415と薄膜トランジスタを有する層418との接着強度は、基板401と絶縁層404との密着強度より高くなるように設定する。そして、絶縁層404上に設けられたトランジスタを有する層408のみを基板401から剥離する。
次に、図20(A)に示すように、薄膜トランジスタを有する層408の絶縁層404に、接着剤を用いて可撓性を有する基板421を固着する。なお、可撓性を有する基板421に接着性樹層が設けられている場合、接着剤を用いずとも薄膜トランジスタを有する層408の絶縁層404に可撓性を有する基板421を固着することが可能である。ここでは、可撓性を有する基板421として、シリコーン樹脂層を有するPETフィルムとシリカコートを積層させたシート材を利用することができる。
次に、基体415及び粘着剤414を、薄膜トランジスタを有する層408の絶縁層406及び接続端子407の表面から除去する。
ここでは、紫外線を粘着剤414に照射して、粘着剤414を除去する。
次に、図20(B)に示すように、薄膜トランジスタを有する層408の表面、代表的には絶縁層406及び接続端子407の表面に、異方性導電接着材423を用いてパッチアンテナ422を接着する。パッチアンテナ422は、ここでは、放射電極として機能する第1の導電層426、接地体として機能する第2の導電層427、第1の導電層426及び第2の導電層427に挟持される誘電体層428、給電体層429とを有する。また、異方性導電接着材423は、導電性粒子424として銀粒子が分散された接着性のエポキシ樹脂で形成される。
また、接続端子407及びパッチアンテナ422の給電体層429、図示されない接続端子及び接地体として機能する第2の導電層427を異方性導電接着材423の導電性粒子424で接続する。
その後、可撓性を有する基板421及び薄膜トランジスタを有する層408を個々のアンテナと同様の形状となるように切断する。図20(B)において、切断部分を破線矢印で示す。ここでは、レーザスクライブにより、無線チップを切り出しする。
以上の工程により、図20(C)に示すように、可撓性を有する基板421aに固着された薄膜トランジスタを有する層408aと、パッチアンテナ422と、薄膜トランジスタを有する層408a及びパッチアンテナ422を固着する異方性導電接着材423とを有する無線チップ431を形成することが可能である。なお、図20(B)において切断された薄膜トランジスタを有する層408を薄膜トランジスタを有する層408aと示し、切断された可撓性を有する基板421を、可撓性を有する基板421aと示す。
なお、本実施例と上記実施の形態のいずれかを適宜組み合わせることが可能である。