JP4881518B2 - ビニルラクタム系重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルラクタム系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルラクタム構造を必須構成単位とするビニルラクタム系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニルラクタム系重合体は、生体適合性、安全性、親水性等の利点があることから、医薬品や化粧品、食品等の添加剤、粘接着剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品等の製造原料として有用なものであり、その品質や安全性を向上させるための研究がなされている。このようなビニルラクタム系重合体としては、例えば、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。これらの重合体を製造する場合、ビニルラクタム系単量体を必須として重合することになるが、有機溶剤の溶媒中で重合すると、分子量が高くなりにくく、また、重合後に有機溶剤を除去する設備にコストがかかる等の問題があることから、水系溶媒中で重合することが検討されている。
【0003】
しかしながら、水系溶媒中でビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を重合する場合では、例えば、ビニルラクタム系単量体としてビニルピロリドンを用いると、一部が重合前に加水分解を起し、副生物としてアルデヒドと2−ピロリドンが生じ、生成物中に不純物として混入することになる。このようにして製造されるビニルラクタム系重合体では、アルデヒドに起因して臭気が生じ、また、アルデヒドと2−ピロリドンに起因して経時的に着色したり、熱黄変したりすることになる。また、このような製造方法では、ビニルラクタム系単量体をすべて重合することはできず、生成物中に未反応単量体として残存することになるが、ビニルラクタム系単量体が不純物として生成物中にあると、安全衛生面で問題となることも考えられる。更に、有機過酸化物開始剤を用いると、分子量が高くなり過ぎてゲル化しやすく、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いると、副生物による毒性が問題となる。従って、これらの問題点を解消し、不純物の含有量を抑制し、重合率を向上することが望まれていた。
【0004】
ところで、ビニルモノマーの重合方法に関し、開始剤の構造を特定して重合する技術が検討されている。このような技術について、例えば、特公昭59−3481号公報には、特定構造を有する水溶性アゾ開始剤又はその塩を用いて重合させるビニルピロリドン系重合体又は共重合体の製造方法が開示されている。また、特開平1−247401号公報には、特定構造を有する水溶性アゾアミド化合物を用いて酸の存在下に重合させるビニルモノマーの重合方法が開示されている。更に、特開平2−115202号公報には、特定構造を有する環状アゾアミジン化合物を用いて有機酸の存在下に重合させるビニルモノマーの重合方法に関し、実施例でメタノールを溶媒として用いることが開示されている。そして、特開平9−110912号公報には、ラジカル形成化合物として、アゾ基に隣接する炭素原子上にカルボン酸アルキルエステル基を有するアゾ化合物の存在下で、溶液重合により塩基性反応するビニルモノマーをベースとするポリマーを製造する方法に関し、ラジカル形成化合物を添加する前にモノマー溶液を酸の添加により特定のpH値に調整することが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの技術では、ビニルラクタム系単量体を用いる場合に、重合率を向上させて不純物の生成を抑制したり、重合後の残存モノマーを低減したりするために、ビニルラクタム系単量体の重合が行われている間、反応液中のpHを適切にする等の工夫の余地があった。
【0006】
一方、ビニルラクタム系重合体に関し、ビニルピロリドン重合体溶液中の残存モノマーを低減する技術が検討されている。このような技術について、例えば、特開昭63−68609号公報には、ビニルピロリドン重合体の水溶液又はアルコール溶液を吸着剤で処理する方法が開示されている。また、特開平5−239118号公報には、N−ビニルピロリドン重合体の製造法に関し、限外濾過を用いて精製することが開示されている。更に、特表平7−503749号公報には、非架橋又は架橋ポリビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムを精製するにあたり、特定の酸により、溶液又はスラリーのpHを5以下に調整し、加熱処理する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、吸着剤を用いる場合には、吸着剤を再生処理する工程や濾過工程を要し、処理塔の設備も必要となることから、製造工程が煩雑となり、製造コストも上昇することになる。また、限外濾過を用いる場合には、濾過膜の再生工程を要し、製造コストも上昇し、しかも、粘度の高い重合体には用いることができないという不具合がある。更に、これらの技術では、ビニルピロリドン重合体を形成するにあたり、残存モノマーを低減するために、モノマーの重合率を向上するための工夫の余地があり、着色が充分に抑制され、かつ安全性に優れたビニルラクタム系重合体をより確実に製造するために、更に残存モノマー等を低減するための工夫や残存モノマーの含有量並びに遊離した状態にある不純物(ラクタム)の含有量を適切に設定する等の工夫の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、残存単量体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時に着色等の問題のないビニルラクタム系重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ビニルラクタム構造を必須構成単位とするビニルラクタム系重合体の製造方法について検討するうち、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合するにあたり、水溶性アゾ系開始剤を用いると、ゲル化を防止したり、毒性を低減したりすることができることにまず着目し、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行うと、重合率が向上すると共に不純物となる副生物の生成が抑制されることから、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行い、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液のpHを5未満として反応液中の残存単量体を低減し、特定の不純物の含有量を一定範囲に設定しても、上記課題をみごとに解決することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、上記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、水溶性アゾ系開始剤を用い、かつビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う工程を含むビニルラクタム系重合体の製造方法である。
【0011】
本発明はまた、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、上記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う第一工程と、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液のpHを5未満として反応液中の残存単量体を低減する第二工程を含み、上記第二工程の後に得られるビニルラクタム系重合体は、ラクタム含有量が1.00重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量%以下であるビニルラクタム系重合体の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明の製造方法は、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体を製造する方法である。
上記ビニルラクタム系単量体とは、下記一般式(1);
【0013】
【化1】
Figure 0004881518
【0014】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。mは、1〜3の整数を表す。)で表される化合物であり、例えば、ビニルピロリドン、ビニルピペリドン、ビニルカプロラクタム等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
上記ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分においては、ビニルラクタム系単量体以外の単量体を含んでいてもいなくてもよいが、ビニルラクタム系単量体の使用量としては、例えば、単量体成分全量に対して、1.0モル%以上であることが好ましい。1.0モル%未満であると、得られるビニルラクタム系重合体が、ビニルラクタム構造に由来する種々の特性を発現しないおそれがある。より好ましくは、10.0モル%以上であり、更に好ましくは、20.0モル%以上である。
【0016】
上記ビニルラクタム系単量体以外の単量体としては、ビニルラクタム系単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、以下の(1)〜(13)の化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(2)(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(3)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体及びその塩又は第4級化物;(4)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;(5)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体及びその塩;(6)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;(7)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(8)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(9)スチレン及びその誘導体;(10)(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルエステル及びその誘導体;(11)ビニルスルホン酸及びその誘導体;(12)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(13)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフイン類等が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で表されるビニルピロリドンやビニルカプロラクタム等のビニルラクタム系単量体との共重合性等の点からは、上記(1)〜(8)が好適である。
【0017】
本発明における反応液は、重合の初期ではビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を含み、重合の終期では生成したビニルラクタム系重合体等を含むことになるが、通常では媒体を含んでいる。このような反応液を構成する媒体としては特に限定されるものではないが、化学工業で広く適用することができて安全性が高くなることから、水又は水系溶媒を用いることが好ましい。水系溶媒とは、水と混じり合うことができる化合物の1種又は2種以上の混合溶媒や、このような化合物に水が主成分となるように混合した混合溶媒を意味する。水と混じり合うことができる化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール等のジオール;グリセリン等のトリオール類等の多価アルコール等が挙げられる。なお、これらの化合物に混じり合う反応物を混合した溶液を水系溶媒としてもよい。これらの中でも、水、又は、水とアルコールとの混合溶媒を用いることが好ましい。すなわち本発明の好ましい実施形態の1つは、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を水又は水系溶媒中で重合することである。より好ましくは、水中で重合することである。
【0018】
上記反応液中の単量体成分の濃度としては特に限定されず、例えば、反応液100重量%に対して、単量体成分を1〜99重量%とすることが好ましい。より好ましくは、5〜80重量%であり、更に好ましくは、10〜60重量%である。
【0019】
本発明では、水溶性アゾ系開始剤を用い、かつビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う工程を含むことになる。すなわち本発明では、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分の反応液中での重合が上記工程により行われることになる。
【0020】
上記水溶性アゾ系開始剤としては、そのままで水溶性を示すアゾ系化合物や、中和されて塩になると水溶性を示すアゾ系化合物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができる。このような水溶性アゾ系開始剤としては、酸性基及び/又は塩基性基を有するアゾ系化合物が好ましく、例えば、下記一般式(2)〜(5)で表される水溶性アゾ化合物からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好適であり、中でも、一般式(3)で表される水溶性アゾ化合物を用いることが最も好ましい。
【0021】
【化2】
Figure 0004881518
【0022】
(式中、R1、R3及びR6は、同一若しくは異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有する炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0023】
上記水溶性アゾ系開始剤の具体的な化合物名としては、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2,2′−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
【0024】
上記水溶性アゾ系開始剤の使用量としては特に限定されず、例えば、単量体成分100重量%に対して、0.001〜10重量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.005〜5重量%であり、更に好ましくは、0.01〜3重量%である。また、重合を行う際には、必要に応じて連鎖移動剤等を用いることもできる。
【0025】
上記工程における重合形態としては特に限定されず、従来公知の重合方法、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等によって行うことができる。また、重合条件としては特に限定されず、単量体成分や反応液の組成等に応じて適宜設定すればよい。例えば、重合温度としては、0〜250℃とすることが好ましい。より好ましくは、20〜150℃であり、更に好ましくは、40〜100℃である。また、反応圧力としては、高温反応の場合には常圧としてもよく、加圧してもよいが、厳密な温度制御を必要とする場合には常圧とすることが好ましい。
【0026】
上記工程では、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持することになるが、反応液のpHが5未満であると、重合中にビニルラクタム系単量体の加水分解が進むため、不純物となるラクタムが多くなり、pHが10を超えると、水溶性アゾ系開始剤の作用が低下して重合効率が低下することになる。本発明では、上記反応液のpHを6〜9.5に保持することが好ましい。より好ましくは、上記反応液のpHを6.5〜9に保持することである。また、ビニルラクタム系単量体の重合率が99%を超えるまでは反応液のpHを上記のように保持することが好ましい。より好ましくは、99.5%を超えるまで、更に好ましくは、99.8%を超えるまでである。なお、本明細書中、重合率とは、最初に仕込んだ単量体成分に含まれるビニルラクタム系単量体の総重量に対する、反応したビニルラクタム系単量体の重量割合を意味する。また、pHの値は、反応液を原液濃度のまま25℃で測定した値である。
【0027】
上記工程において、反応液のpHを上記の範囲内とする方法としては特に限定されず、調整前の反応液のpHに応じて、適宜、酸及び/又は塩基を反応液中に存在させることにより行えばよい。また、酸及び/又は塩基を反応液中に存在させる方法としては特に限定されず、酸及び/又は塩基をそのまま添加してもよく、水や有機溶媒に溶解させて添加してもよいし、開始剤を含有する溶液に混合溶解させて添加してもよい。
【0028】
上記酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、L−アスコルビン酸、安息香酸等の1分子内に1つカルボキシル基を有する有機酸;しゅう酸、コハク酸、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、フマル酸、リンゴ酸等の1分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する有機酸;これらの有機酸の水和物等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、有機酸やその水和物を用いることが好ましく、また、着色が少なくてpH調節が容易である等の点から、しゅう酸、コハク酸やこれらの水和物を用いることがより好ましい。
【0029】
上記塩基としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸グアニジン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジアミノプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、有機塩基を用いることが好ましく、また、着色が少なくてpH調節が容易であり、沸点が高く乾燥時にpHの低下がない等の点から、トリエタノールアミン、炭酸グアニジンがより好ましい。
また、本発明においては、上記の酸や塩基以外に任意の緩衝剤を用いてもよい。
【0030】
本発明の製造方法は、上記工程以外の工程を含んでもよい。例えば、上記工程の後に、すなわちビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に、酸を添加し、反応液中に含まれる残存単量体を低減する工程を含むことが好ましい。また、ビニルラクタム系重合体の精製工程等を含んでもよい。更に、本発明によりビニルラクタム系重合体を含む溶液を製造する場合、該溶液のpHを、5〜10とすることが好ましく、6〜9とすることがより好ましい。これにより、ビニルラクタム系重合体の保存安定性が向上することになる。pHを調整する方法としては特に限定されず、上述したのと同様の方法等が挙げられる。
【0031】
本発明の製造方法において、残存単量体を低減させるために酸を添加する場合、酸としては有機酸を用いることが好ましい。更に、有機の二塩基酸を用いると、高温でも酸が揮発することなく、また、反応液中のpHが一定となるため、残留単量体を速やかに低減させることが可能となり、より好ましい。また、酸を添加した後、反応系を静置しておいても構わないが、効果的に残存単量体を除去するためには、反応系を攪拌することが好ましく、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、スパイラル翼等の任意の攪拌翼を用いることができる。この場合、反応液の粘度を100Pa・s以下とすることが好ましい。100Pa・sを超えると、通常の方法では攪拌が困難となり、残留単量体を低減する効果が充分とはならないおそれがある。一方、反応液の粘度が0.1Pa・s以上の場合には、高粘度攪拌用の攪拌翼で攪拌することが好ましい。高粘度攪拌用の攪拌翼としては、例えば、住友重機械工業社製のマックスブレンド翼やスーパーブレンド翼(いずれも商品名)等を用いることができる。更に、反応液の温度を25〜150℃とすることが好ましく、50〜100℃が更に好ましい。残存単量体を除去する時間は5分〜24時間とすることが好ましく、10分〜6時間が更に好ましい。上記温度や時間の範囲未満であると、残存単量体を低減する効果が充分でなくなるおそれがあり、上記温度や時間の範囲を超えると、ビニルラクタム系重合体の分子量を低下させたり、着色を引き起こしたりするおそれがある。
【0032】
上記の酸添加による残存単量体の低減工程の後に、上述の塩基を添加して、反応液のpHを好ましくは5〜10、より好ましくは6〜9とすることができる。この中和工程でのpH調整により、ビニルラクタム系重合体の分子量や着色等の経時変化を抑制することができる。
【0033】
本発明の製造方法において、特に残存単量体の低減工程及び上記中和工程においては、反応系中の気相部の酸素濃度を5重量%以下とするのが好ましく、1重量%以下とするのがより好ましく、0.1重量%以下とするのが最も好ましい。反応液のpHが7未満、特に5以下である場合には、ビニルラクタム系重合体の分子量が、加熱により低下しやすくなるが、反応系中の酸素濃度を上記の量に制限することで、分子量の低下を抑制することができる。具体的には、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス、好ましくは窒素ガスを反応系内に導入することで実施でき、上記ガスを気相部に流通させてもよいし、反応液中にバブリングしてもよく、ガスの流量については特に制限はない。
【0034】
本発明では、上記工程の後に得られるビニルラクタム系重合体が、ラクタム含有量が1.00重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量%以下であることが好ましく、ラクタム含有量が0.50重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.005重量%以下であることが更に好ましい。ラクタム含有量とは、重合体から遊離した状態にある不純物であるラクタム含有量、すなわちビニルラクタム系単量体の加水分解等により生じたラクタムの含有量を意味する。これは副生物の含有量の指標となる。また、N−ビニルラクタム含有量とは、重合後に残存しているビニルラクタム系単量体の含有量を意味する。ラクタム含有量やN−ビニルラクタム含有量の測定方法としては、液体クロマトグラフィーを用いることが好適である。このようにビニルラクタム系重合体中の不純物、すなわちビニルラクタム系単量体が加水分解して生じるラクタム及び残存単量体であるビニルラクタム系単量体の含有量を一定範囲に設定することにより、本発明の作用効果をより確実に発揮することが可能となる。なお、上記工程の後に得られるビニルラクタム系重合体は、ビニルラクタム系重合体が媒体中に存在する溶液の形態であってもよく、乾燥した固形物の形態であってもよい。固形物の形態の場合には、適当な媒体中に溶解して液体クロマトグラフィーにより上記の含有量を測定することができる。
【0035】
また、本発明におけるもう1つの製造方法は、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う第一工程と、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液のpHを5未満として反応液中の残存単量体を低減する第二工程を含み、上記第二工程の後に得られるビニルラクタム系重合体は、ラクタム含有量が1.00重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量%以下であり、該製造方法によっても、残存モノマー及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時や使用時に着色等の問題のないビニルラクタム系重合体を製造することが可能となる。
【0036】
上記製造方法では、第一工程と第二工程とをこの順に行うが、第一工程により重合率が向上すると共に副生物の生成が抑制されることになり、第二工程により反応液中の残存単量体であるN−ビニルラクタムを低減することができることになる。また、ラクタム含有量とN−ビニルラクタム含有量を上記のように設定すると、本発明の作用効果を発揮することが可能となる。
【0037】
上記製造方法において、第一工程におけるビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う方法や第二工程におけるビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加して反応液中の残存単量体を低減する方法、また、これらの好ましい形態は、上述したのと同様である。例えば、第一工程では、上述したように水溶性アゾ系開始剤を用いることが好ましく、第二工程では、酸としては有機酸を用いることが好ましく、また、酸を添加した後、反応系を静置しておいても構わないが、効果的に残存単量体を除去するためには、上述したように反応系を攪拌することや、反応液の温度や残存単量体を除去する時間を適切に設定することが好ましい。また、上記工程以外の工程を含んでもよいことも同様であり、本発明によりビニルラクタム系重合体を含む溶液を製造する場合、該溶液のpHを、5〜10とすることが好ましく、6〜9とすることがより好ましい。
【0038】
上記第二工程において、反応液のpHを5未満とすることにより、残存単量体すなわち未反応物として反応液中に残存するビニルラクタム系単量体の含有量をより確実に低減することが可能となる。本発明では、第二工程における反応液のpHを1〜4.8とすることが好ましく、2〜4.5とすることがより好ましい。
【0039】
本発明により製造されるビニルラクタム系重合体は、下記一般式(6);
【0040】
【化3】
Figure 0004881518
【0041】
(式中、R及びmは、上記と同じ。)で表されるN−ビニルラクタム構造の1種又は2種以上を必須の構成単位(繰り返し単位)として有する重合体である。このようなビニルラクタム系重合体としては、例えば、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン)、ポリ(N−ビニル−2−ピペリドン)、ポリ(N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン)、ポリ(N−ビニル−ε−カプロラクタム)、ポリ(N−ビニル−7−メチル−ε−カプロラクタム)等のビニルラクタム系単量体の1種を重合して得られるホモポリマーや、ビニルラクタム系単量体の2種以上を共重合して得られるコポリマー、ビニルラクタム系単量体の1種又は2種以上とその他の単量体を共重合して得られるコポリマーが挙げられる。
【0042】
本発明により製造されるビニルラクタム系重合体は、溶液の形態や乾燥した固形物の形態とすることができる。溶液の形態とする場合には、灰分を含まない水系溶液の形態とすることが好ましい。このようなビニルラクタム系重合体のフィッケンチャー法によるK値としては、例えば、10〜150となるように設定することが好ましく、20〜100とすることがより好ましい。
【0043】
上記ビニルラクタム系重合体は、残存単量体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時に着色等の問題のないものであることから、生体適合性、安全性、親水性等の特性が向上されて、医薬品や化粧品、食品等の添加剤、粘接着剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品等の製造原料として好適に用いることができるものである。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
実施例及び比較例で得られたビニルラクタム系重合体は、以下の方法で分析した。
(ビニルラクタム系重合体のK値)
ビニルラクタム系重合体の1重量%水溶液を25℃で、毛細管粘度計により相対粘度を測定した結果を、次のフィッケンチャーの式に当てはめて計算した。
(logηrel)/C=[(75KO 2)/(1+1.5KOC)]+KO
K=1000KO
ここで、Cは、溶液100mL中のビニルラクタム系重合体のg数を示し、ηrelは、溶媒に対する溶液の相対粘度を示す。
【0046】
(ビニルラクタム系重合体中の未反応ビニルラクタム系単量体濃度及びラクタム濃度)
以下の条件の液体クロマトグラフィーにて未反応ビニルラクタム系単量体(N−ビニルラクタム)濃度を測定し、ビニルラクタム系重合体に対する濃度で表した。
カラム:資生堂社製「CAPCELL PAC C18 UG12(商品名)」
溶媒:20mmol 1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム水溶液/メタノール(体積比95/5)溶液
温度:20℃
流量:0.1mL/分
【0047】
実施例1
攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.04gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは8〜9であった。上記原料供給終了1時間後より、水80gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.2であった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.0、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量は2ppm(0.0002重量%)、2−ピロリドン含有量は2000ppm(0.2重量%)であった。また、K値は90であった。
【0048】
実施例2
攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.08gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは7〜8であった。上記原料供給終了1時間後より、水80gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.0であった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは6.9、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量は1ppm、2−ピロリドン含有量は2500ppmであった。また、K値は91であった。
【0049】
実施例3
攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物0.16g、しゅう酸2水和物0.04gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは7〜8であった。上記原料供給終了1時間後より、水80gに2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物0.8g、しゅう酸2水和物0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.1であった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.0、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量は1ppm、2−ピロリドン含有量は2500ppmであった。また、K値は90であった。
【0050】
実施例4
攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)0.16g、コハク酸0.10gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは8〜9であった。上記原料供給終了1時間後より、水80gに2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)0.8g、コハク酸0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確認した後、水198gにコハク酸2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.5であった。更に、水145gにトリエタノールアミン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.4、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量は6ppm、2−ピロリドン含有量は3000ppmであった。また、K値は92であった。
【0051】
比較例1
実施例1において、初期に原料供給機Bに仕込む水溶液中のしゅう酸2水和物量を0.48gとしたこと以外は、実施例1と同様にしてN−ビニルピロリドンの重合を行った。重合中の反応液のpHは3〜4であった。最終的に得られたポリビニルピロリドンのpHは6.3、未反応のN−ビニルピロリドン残存量は1ppm、K値は83であったが、2−ピロリドン含有量は16000ppm(1.6重量%)と多かった。
【0052】
比較例2
実施例1において、しゅう酸2水和物を用いずに重合を行ったこと以外は、実施例1と同様にして重合を行った。重合中の反応液のpHは10.2であった。供給終了1時間後の時点で、未反応のN−ビニルピロリドン残存量は、供給した全N−ビニルピロリドン量に対して6重量%と多かった。更に3時間加熱を続け、N−ビニルピロリドン残存量が2重量%以下になったことを確認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.9であった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.8、K値は95であったが、未反応のN−ビニルピロリドン残存量は80ppm、2−ピロリドン含有量は12000ppmと多かった。
【0053】
比較例3
攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.04gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同時に、60分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは8〜9であった。上記原料供給終了30分後より、水80gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了30分後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロリドン量に対して5重量%となった時点で、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.3であった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.0、未反応のN−ビニルピロリドン残存量は3ppm、K値は89であったが、2−ピロリドン含有量は28000ppmと多かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明のビニルラクタム系重合体の製造方法は、上述の構成よりなるので、これにより、残存単量体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時に着色等の問題がなく、医薬品や化粧品、食品等の添加剤、粘接着剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品等の製造原料として好適に用いることができるビニルラクタム系重合体を製造することができる。

Claims (5)

  1. ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、
    該ビニルラクタム系重合体の製造方法は、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う第一工程と、
    ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液のpHを5未満として反応液中の残存単量体を低減する第二工程を含み、
    該第二工程の後に得られるビニルラクタム系重合体は、ラクタム含有量が1.00重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量%以下である
    ことを特徴とするビニルラクタム系重合体の製造方法。
  2. 前記第一工程は、水溶性アゾ系開始剤を用いて重合を行う
    ことを特徴とする請求項に記載のビニルラクタム系重合体の製造方法。
  3. 前記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、第二工程の後に、塩基を添加して、反応液のpHを5〜10とする中和工程を含む
    ことを特徴とする請求項又はに記載のビニルラクタム系重合体の製造方法。
  4. 前記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、第二工程の後に得られるビニルラクタム系重合体のN−ビニルラクタム含有量が0.0006重量%以下である
    ことを特徴とする請求項のいずれかに記載のビニルラクタム系重合体の製造方法。
  5. 前記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、第二工程の後に得られるビニルラクタム系重合体のフィッケンチャー法によるK値が90以上である
    ことを特徴とする請求項のいずれかに記載のビニルラクタム系重合体の製造方法。
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