JP4880285B2 - 紙用塗工剤 - Google Patents

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Description

この発明は、紙用塗工剤に関する。
紙の中でも、主に段ボール等の包装材料に使われる板紙は、高い圧縮強度が求められる。高い圧縮強度を実現するためには、バージンパルプを大量に使うという方法があるが、バージンパルプの使用はコストを上昇させてしまうために、低価格に抑えられがちな包装材料用に採用することは難しい。また、紙の主な原料である古紙は安価ではあるが、最近の資源再利用の進展から、含まれるパルプ繊維の繊維長が短くなってきており、古紙を使った紙の圧縮強度は低下の傾向にある。
この問題を解決し、安価でかつ高い圧縮強度を有する板紙を得る方法として、圧縮強度を向上させる塗工剤を塗工する方法があり、これに用いる塗工剤として、高分子多糖類が一般的に用いられている。この高分子多糖類を紙に塗工するためには、加熱して糊化する必要がある。しかし、この糊化物は分子量が30万〜200万と高いため、高濃度にすると粘度が高くなりすぎてしまう。そのため、塗工可能な粘度にするためにはかなり低濃度にする必要があり、それだけでは十分な圧縮強度を得ることが困難な場合が多かった。
この点を改良するために、平均重合度が2〜15である重合度が低くて粘度が低い糖をベースにし、珪酸アルカリ金属塩と併用した、紙用塗工剤が、特許文献1に記載されている。この紙用塗工剤は粘度の低い糖を用いているため、高濃度で塗工可能で、十分な圧縮強度を得るために必要な量を塗工することができる。
特開2005−9000号公報
しかしながら、塗工液を塗工する際には、60℃以上に加熱することで、塗工液の粘度を低下させ、さらに、塗工液の乾燥エネルギーを減少させることにより、乾燥効率を高め、生産性を向上させることが行われるが、特許文献1に記載の塗工液では、一般的な糖の多くが還元性末端基を有しているため、60℃以上の加熱により、カルボキシル基が大量に生成する。これにより、塗工液のpHはアルカリ性から中性側に低下し、本来アルカリ性で安定である珪酸アルカリ金属塩が、60℃以上の高温で塗工する際にゲル化を起こし、塗工することができなくなる。また、塗工しても塗工液が紙の内部に浸透せず強度向上効果が不十分となる。
そこでこの発明は、特許文献1の紙用塗工剤を60℃以上で用いた場合に、含まれる糖の反応によりカルボキシル基が大量に生成することにより、併用する珪酸アルカリ金属塩がゲル化を起こすことを防ぎ、60℃以上でも安定な紙用塗工剤を製造することを目的とする。
この発明は、珪酸アルカリ金属塩とともに特許文献1の紙用塗工剤を構成する平均重合度が2〜15である糖の代わりに、還元性末端基を有する糖を還元した化合物、上記糖を酸化して中和した化合物、及び、還元性末端基を有さない環状糖から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることによって、上記の課題を解決したのである。
すなわち、還元性末端基を有する糖を酸化又は還元させて、還元性末端基の残量を十分に減少させた化合物を用いると、還元性末端基を有する糖の反応により生成するカルボキシル基がほとんど生じなくなり、同時に用いる珪酸アルカリ金属塩のゲル化を防ぎ、60℃以上でも紙用塗工剤として用いることができる。また、環状糖を用いると、そもそも還元性末端基を有さないため、カルボキシル基を生じ得ないので、同様に、珪酸アルカリ金属塩のゲル化を防ぎ、60℃以上でも紙用塗工剤として用いることができる。
この発明にかかる紙用塗工剤を用いると、塗工剤を構成する化合物が還元性末端基を有する糖の反応によるカルボキシル基を生じる可能性がほとんど、又は全くないので、塗工液のpHがアルカリ性から中性側に低下することにより、化合物と併用する珪酸アルカリ金属塩がゲル化するおそれがなく、塗工した強化紙がごわつきを生じたり、紙やけが生じたりすることを抑えて、有用な紙用塗工剤として紙力増強効果を発揮することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。この発明に係る紙用塗工剤は、還元性末端基を有する糖を還元した化合物、前記糖を酸化して中和した化合物、及び、還元性末端基を有さない環状糖から選ばれる少なくとも1種の化合物と、珪酸アルカリ金属塩とを含有し、上記化合物の平均重合度が2〜15である紙用塗工剤である。
ここで還元性末端基を有するとは、アルデヒド基を有するだけでなく、環状構造の開裂によりアルデヒド基を生じうるヘミアセタール構造を有するものや、転移してアルデヒド基を生じ得るヒドロキシケトン基を有するものも含む。このような還元性末端基を有する糖を還元した化合物は、還元性末端基が水酸基となって糖アルコールとなる。また、上記糖を酸化して中和した化合物は、酸化により還元性末端基がカルボキシル基となってカルボン酸になり、これを中和することでカルボン酸塩となる。なお、この中和は酸化の後に順番に行うだけでなく、酸化と同時に行ってもよい。ここでカルボン酸塩とするのは、酸性を示すカルボン酸の状態のまま紙用塗工剤に用いると、ともに紙用塗工剤に用いる珪酸アルカリ金属塩がゲル化を起こしてしまい、カルボン酸が生じるのを防ぐために還元性末端基を減少させた意味がないからである。これらの反応を行うことで、還元性末端基を有する糖に含まれる還元性末端基を減少させることができる。
このような、還元性末端基を有する糖とは、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、リボース、エリスロース、グリセロースなどの単糖類が縮合した多糖類の中でも、ヘミアセタール構造を有するもの、又はヘミアセタール構造に転移しうる構造を有するものが挙げられる。例えば重合度が2の二糖類ではマルトース(麦芽糖)、セロビオース、ラクトース(乳糖)などが挙げられ、さらに重合度の高い多糖類では、セルロース分解物、キトサン分解物、澱粉糖等が挙げられ、これらの中でも澱粉糖がより好ましい。この澱粉糖とは、澱粉を酸や酵素で加水分解して得られる低重合度の糖をいい、例えば水飴などが挙げられる。また、前記澱粉としては、例えば、コーン、タピオカ、小麦、サゴ、馬鈴薯澱粉などが挙げられる。
上記の還元性末端基を有する糖を酸化して中和する方法としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を、水酸化ナトリウム水溶液などの塩基性水溶液と併用して酸化と中和を同時に行う方法が挙げられる。アルデヒド基の酸化により生じるカルボキシル基が酸として作用すると、この発明にかかる紙用塗工剤がゲル化するおそれがあるため、塩基性を維持する必要があるためである。
上記の糖アルコールを得るために還元性末端基を還元する方法としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウムのような水素化還元剤を加えて還元する方法が挙げられる。
上記の還元性末端基を有する糖の還元性末端基を還元又は酸化して中和して、含まれる還元性末端基を減少させる率は、それらの反応後のデキストロース当量が0.5%以下となるまで反応させると好ましく、0.2%以下となるまで反応させるとより好ましく、0%以下となるまで反応させるとさらに好ましい。このデキストロース当量とは、還元性末端基を有する糖をグルコースに換算して測定し、全固形分に対して還元性末端基を有する糖単位の割合を百分率で表した値であり、グルコースが最大値である100%を示すものである。具体的には、Somogyi−Nelson法などにより求めた、還元性末端基を有する糖単位の量を、溶液中の固形分重量で割った値を100倍して求める。このデキストロース当量が0.5%より高いと、酸化又は還元が不十分で、混合する珪酸アルカリ金属塩を酸性にし得る還元性末端基が多く残りすぎており、ゲル化するおそれが高くなる。0.5%以下であると、還元性末端基がほとんど無いため、珪酸アルカリ金属塩と混合した紙用塗工剤がゲル化するおそれは少なくて済む。なお、デキストロース当量は、理論上は0%より小さくなることは無いが、値が十分に小さい場合に測定される実測値は測定誤差として0%を下回ることがある。
上記環状糖とは、例えば、α、β、γ−シクロデキストリンのように、上記の単糖類が縮合して環状に連なったものをいう。これらは還元性末端基になり得る水酸基部分が全て縮合されているために、還元性末端基を有さないものである。
上記のような還元した化合物、酸化して中和した化合物、環状糖、又はそれらの混合物を用いることにより、この発明にかかる紙用塗工剤は、還元性末端基を有する糖の反応によるカルボキシル基の生成を防ぐことができる。もし還元性末端基が大量に存在してカルボキシル基が大量に生成すると、紙用塗工剤のpHがアルカリ性から中性側へ低下し、アルカリ性で安定である併用する上記珪酸アルカリ金属塩がゲル化を起こし、紙に塗工することが不可能となることがあるが、このような化合物を用いることにより、これらの問題を回避できる。
上記の化合物は、平均重合度が2〜15である必要がある。平均重合度が2未満であると、単糖類そのままである分子が多くなり、圧縮強度の向上等の塗工剤としての紙力増強効果が十分に発揮できない可能性が高くなる。一方で、平均重合度が15を超えると、上記の化合物を溶かした水溶液の粘度が高くなりやすい。そのように粘度が高いものは紙用塗工剤としても紙への浸透性が悪く、圧縮強度等を向上する効果が十分に発揮できなくなってしまうおそれがある。そのため、使用するには塗工濃度を下げて粘度を低下させる必要があるが、それでは塗工可能な量に限界があり、結果として紙力増強効果も限定的なものとなるだけでなく、濃度が低い分多くなる水を乾燥させるための乾燥負荷が多くなりすぎてしまう。
この発明にかかる紙用塗工剤中の上記化合物の濃度は、10重量%以上であると好ましく、20重量%以上であるとより好ましい。10重量%未満であると、濃度が薄すぎて上記水性媒体の量が多くなりすぎ、塗工後に乾燥する際の負荷が大きく、また、必要な量を塗工するのが難しくなってしまう。一方で75重量%以下であると好ましく、50重量%以下であるとより好ましい。75重量%を超えると、得られる紙用塗工剤の粘度が高くなりすぎてしまい、塗工が難しくなる場合がある。
上記の珪酸アルカリ金属塩とは、下記式(1)で示される化合物である。
O・nSiO (1)
ここで式(1)中のMは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示している。また、nは0.5以上、4以下の実数範囲であるものが現存しており、一般に市販されている。この中でも、上記紙用塗工剤に用いる化合物としては、Mがナトリウムである珪酸ナトリウムが入手容易であるので好ましい。また、珪酸ナトリウムの中でも、nが2以上、4以下の範囲にあるものが入手しやすく好ましい。
上記化合物と、上記珪酸アルカリ金属塩との混合比率は、重量比で95:5〜40:60であると好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。95:5よりも上記珪酸アルカリ金属塩の量が少ないと、珪酸アルカリ金属塩を含有することによる効果がほとんど得られなくなってしまう。一方で、40:60よりも上記珪酸アルカリ金属塩が増加すると、上記紙用塗工剤のpHが高くなり、紙焼けや紙のごわつきなどといった、上記珪酸アルカリ金属塩による弊害が強く表れたりすることがある。
上記の化合物と上記珪酸アルカリ金属塩とを混合して、水性媒体中に溶解又は混合させることで、この発明にかかる紙用塗工剤を得ることができる。ここで、水性媒体としては、水又は水とアルコールとの混合物が挙げられ、水がより好ましい。このようにして得られるこの発明に係る紙用塗工剤は、紙に塗工することで、紙の圧縮強度を向上させることができる。ここで紙に塗工する方法としては、例えば、刷毛やコーティング機等による塗布、浸漬、スプレー等の方法が挙げられる。上記紙としては、例えば、ライナーや中芯等のダンボール用板紙、洋紙、あるいは、白板紙、チップボール等の紙器用板紙や、紙管原紙等が挙げられる。これらの中でも、特に強度を要求される板紙に用いると効果的な強化板紙を得ることができる。
また、この発明にかかる紙用塗工剤を紙に塗工する際の温度は、60℃以上であってもゲル化を起こすことなく塗工させることができる。60℃以上にして塗工することで、塗工液の粘度を低下させ、さらに、塗工液の乾燥エネルギーを減少させることにより、乾燥効率を高め、生産性を向上させることができる。還元性末端基を有する糖と上記珪酸アルカリ金属塩とを含む紙用塗工剤では、60℃以上で塗工しようとすると還元性末端基を有する糖の反応によりカルボキシル基が大量に生成し、併用する上記珪酸アルカリ金属塩とともにゲル化を起こしてしまい、塗工することが難しくなったが、この発明にかかる紙用塗工剤は、還元性末端基を有する糖の還元性末端基を十分に減少させた化合物、又は還元性末端基を有していない環状糖を使用しているので、カルボン酸をほとんど又は全く生じず、60℃以上でもゲル化を起こさずに塗工できる。一方で、塗工する際の温度は95℃以下であるのが好ましい。95℃を超えると塗工液からの水の蒸発が激しくなり塗工が均一にできない。なお、この発明にかかる紙用塗工剤は60℃未満であっても使用することができるが、上記水性媒体が凍結しないように、少なくとも0℃以上で使用することが好ましい。
この発明にかかる紙用塗工剤は、上記の化合物及び上記珪酸アルカリ金属塩とともに、その他の金属塩を含有してもよい。ただし、珪酸アルカリ金属塩のゲル化を促進するものでない必要がある。
さらにこの発明にかかる紙用塗工剤には、裂断長等の、圧縮強度以外の紙力を増強させるために、上記の化合物及び珪酸アルカリ金属塩、その他の金属塩以外に、紙添加用薬剤を添加したり、増量剤として填料を添加したりしてもよい。
上記の紙用塗工剤に加える紙添加用薬剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、スチレン・アクリル共重合系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン系樹脂、エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂等の合成樹脂や、アセチル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉等の変性澱粉、グアーガム、カルボキシメチルセルロース等の天然高分子、ジルコニウム化合物、グリオキサール、多価アルコール付加物、多価カルボニル付加物、環状アミド化合物等の架橋剤等が挙げられる。
上記填料としては、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
この発明による紙用塗工剤を用いると、含有する化合物がカルボン酸を生じにくいために、紙への塗工の際に温度が60℃以上となっても、ゲル化することなく紙の内部まで浸透でき、紙力増強効果を得ることができる。また、平均重合度が低く、かつ弱塩基性であるため、紙への浸透性は良好である。
この紙用塗工剤により得られる強化紙は、紙の表面だけではなく、紙の内部にまで上記紙用塗工剤が存在することとなるため、紙力が増強され、特に圧縮強度がより増強される。この発明にかかる紙用塗工剤を用いた際の、圧縮強度の好ましい増強の度合いとしては、例えば、坪量115g/mの中芯原紙に10g/m塗工した時に、圧縮強度が30%以上増強されるものであると、現実的な塗工量で必要な紙力増強効果が得られるので好ましい。
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明する。まず、測定方法及び評価方法について示す。なお、以下の文中で%とは重量%を示す。
[塗工量測定方法]
得られた紙用塗工剤を塗工した紙を絶乾して坪量(g/m)を測定し、使用した原紙の絶乾坪量との差を求め、塗工量(g/m)を算出した。
[圧縮強度・比圧縮強度測定方法]
JIS P 8126の方法に従って圧縮強度(N)を測定し、さらに、得られた圧縮強度を坪量(g/m)で割り、比圧縮強度(N・m/g)を算出した。
[引張強度・裂断長測定方法]
JIS P 8113に記載の方法に従って、引張強度(kN/m)を測定し、坪量の影響を除去するため、引張強度(kN/m)を(坪量×9.81÷1000)で割り、裂断長(km)を算出した。
[pH測定方法]
東亜ディーケーケー(株)製、pHメータHM−30Vを用いて測定した。
[還元糖量測定方法]
Somogyi−Nelson法に従って、還元性末端基の定量を行って還元糖量を得た。その具体的手順は以下の通りである。
まずA液として、酒石酸カリウムナトリウム4水和物:90g、NaPO・12HO:225g、CuSO・5HO:30g、ヨウ素酸カリウム:3.5gを含有する1リットルの水溶液を調製した。次にB液として、シュウ酸カリウム1水和物:30g、ヨウ化カリウム:40gを含有する1リットルの水溶液を調製した。またC液として、濃硫酸56mlを希釈して1リットルの希硫酸を調製した。さらに、D液として、0.05Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液を調製した。
操作は以下の通りである。まず、100ml三角フラスコにA液を10ml、サンプル1ml、水19ml及び沸騰石を入れる。この三角フラスコをホットプレート上で加熱して2分以内に沸騰させ、その後正確に3分間沸騰を持続させてから加熱を終了する。ここで起こる反応は下記化学式(2)の通りであり、生成した酸化第一銅(CuO)の沈殿を空気に触れさせないように、静かに水冷させる。
Cu2++還元糖 → CuO+カルボキシル基が生成した糖 (2)
冷却後、B液10mlをフラスコの内壁に沿わせて添加し、C液10mlをすばやく添加して攪拌して、下記化学式(3)及び(4)の反応を起こさせる。これにより、還元糖によって生じた酸化第一銅由来の銅イオンの量に応じて、ヨウ素の残留量が減少する。
KIO+5KI+3HSO → 3I+3KSO+3HO (3)
2Cu+I → 2Cu2++2I (4)
D液によって下記化学式(5)の反応を起こして液中の残留ヨウ素量を滴定し、青色が消失した時を終点とする。このD液の量をa(ml)とする。
2Na+I →Na+2NaI (5)
またこれとは別に、以上の操作のうち、サンプル1mlを水1mlに置き換えた空試験を行い、その場合のD液による滴定量をb(ml)とする。この値a及びbを、下記数式(1)に代入して還元糖量を求める。ここで式中の定数1.449とは、D液1mlに相当するグルコースのmgである。
Figure 0004880285
[平均重合度測定方法]
また、フェノール硫酸法により全糖量の定量を行った。さらに、使用する糖について、(全糖量/還元糖量)を算出して、平均重合度を算出した。
[デキストロース当量測定方法]
Somogyi−Nelson法に従って求めた還元糖量を固形分の容量で割った後で100倍して、100gあたりの還元糖量であるデキストロース当量(以下、「DE」と略記する。)を算出した。
[吸水性測定方法]
JAPAN TAPPI No.32−2に記載の方法に従って、10μlの蒸留水を吸収する時間を測定した。
[ごわつき評価方法]
手触りによりごわつきを下記の基準で評価した。
極めて良い:◎
良い:○
普通:△
悪い:×
[紙焼け評価方法]
目視により、原紙に比して紙の色がどれほど濃くなっているかを下記の基準で評価した。
原紙と同じ色:◎
原紙よりわずかに濃い色:○
原紙よりやや濃い色:△
原紙に比べて非常に濃い色:×
次に、用いる薬剤について説明する。
[還元性末端基を有する糖]
・マルトース一水和物……(ナカライテスク(株)製:試薬、平均重合度2)
・澱粉糖……(日本コーンスターチ(株):K.D.L−N75、平均重合度4.31、以下、「KDL」と略記する。)
・未変性澱粉……(日本コーンスターチ(株)製:コーンスターチ、平均重合度376)
・酵素分解澱粉……未変性澱粉を、α−アミラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製:BAN240L)で酵素分解し、平均重合度を14.6とした。
[環状糖]
・β−シクロデキストリン……(塩水港精糖(株)製:デキシーパール高純度品、β−シクロデキストリン98%以上含有、平均重合度7)
[環状でなく、還元性末端基を有さない糖]
・還元水飴……日研化成(株)製:エスイー600、平均重合度1.5
・ショ糖……(ナカライテスク(株)製:試薬、平均重合度2)
[珪酸アルカリ金属塩]
・珪酸ナトリウム……(東曹産業(株)製:3号珪酸ソーダ、n=3.15)
[還元剤]
・水素化ホウ素ナトリウム……(ナカライテスク(株)製:試薬、NaBH
[酸化剤]
・次亜塩素酸ナトリウム……(ナカライテスク(株)製:試薬、NaClO)
[pH調整剤]
・水酸化ナトリウム……(ナカライテスク(株)製:NaOH)
・硫酸……(ナカライテスク(株)製:HSO
[酵素]
・α−アミラーゼ……(ノボザイムジャパン(株)製:BAN240L)
[還元性末端基を有する糖を還元した糖類化合物]
<第1還元KDL溶液の調製と測定>
(実施例1)
KDLの48.7%水溶液(濃度は(株)ケツト科学研究所製水分計による実測値。)150g(澱粉糖83.3mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム10%溶液30g(水素化ホウ素ナトリウム79.3mmolに相当する。)を、攪拌しつつ30分かけて添加した。添加中の温度は40〜50℃に保持し、添加終了後も攪拌を続け、30℃まで冷却し、糖類化合物溶液を調製した。以下、この糖類化合物溶液を「第1還元KDL溶液」と表記する。
第1還元KDL溶液に珪酸ナトリウムを添加して、糖類化合物と珪酸ナトリウムとの重量混合比が8:2である、20%溶液を作成した。これを80℃の水浴中で加熱したところ褐色の溶液となり、8時間経過してもゲル化しなかった。この第1還元KDL溶液について、DEを測定したところ0.5%であった。
<第2還元KDL溶液の調製と測定>
(比較例1)
第1還元KDL溶液の調製において、添加する水素化ホウ素ナトリウムの量を15g(水素化ホウ素ナトリウム39.7mmolに相当する。)に変更する以外は同様の手順により糖類化合物溶液を調製した。以下、この糖類化合物溶液を「第2還元KDL溶液」と表記する。
第2還元KDL溶液に珪酸ナトリウムを添加して、糖類化合物と珪酸ナトリウムとの重量混合物が8:2である、20%溶液を作成した。これを80℃の水浴中で加熱したところ、36分経過後に褐色のゲルとなり、還元性末端基の還元が不十分で酸を生じたことがわかった。この第2還元KDL溶液について、DEを測定したところ、6.8%であった。
<非還元非酸化KDL溶液の測定>
(比較例2)
KDL水溶液に珪酸ナトリウムを添加して、澱粉糖と珪酸ナトリウムとの重量混合物が8:2である、20%溶液を作成した。これを80℃の水浴中で加熱したところ、17分経過後に褐色のゲルとなり、澱粉糖の還元性末端基が酸を生じたことがわかった。
<紙用塗工剤の紙力増強効果の測定>
(実施例1、比較例1〜3)
段ボール用中芯(レンゴー(株)製:坪量115g/m)を、常温又は60℃の環境で、表1に記載の溶液、ゲル又は水に30秒間浸漬して、塗工量が表1となる強化紙を得て、それぞれの強化紙について上記の測定を行った。その結果を表1に示す。ここで、それぞれのKDLを8%及び珪酸ナトリウムを2%含有する溶液とともに、珪酸ナトリウムを含有しない10%溶液についての測定結果を、それぞれの実施例及び比較例に用いる糖又は澱粉の物性を示す参考例として記載し、以下の例でも同様に記載する。
なお、表1中、「ブランク」とは、紙力増強剤を含まない水を用いたことを示し(比較例3)、「8%KDL+2%珪酸Na」とは、水溶液中に8%のKDLと2%の珪酸ナトリウムを有する溶液を示し、「8%第1還元KDL+2%珪酸Na」とは、第1還元KDL溶液の成分が8%であり、珪酸ナトリウムが2%である溶液を示し、「8%第2還元KDL+2%珪酸Na」もこれに準ずる。また、「比圧縮」とは比圧縮強度を示し、「引張」とは引張強度を示す。
Figure 0004880285
(結果)
常温では、還元していないKDLを用いても、還元したKDLを用いても、いずれも圧縮強度及び引張強度の向上が見られた。また、それらに珪酸ナトリウムを加えることでさらに圧縮強度が向上した。それらを60℃に加熱して塗工を行ったところ、十分に還元してDEが0.5%である第1還元KDL(実施例1)を用いた場合には、溶液がゲル化することなく十分な量を塗工することができ、圧縮強度や引張強度を向上させる紙力増強効果を十分に発揮させることができたが、還元していないKDL(比較例2)を用いた場合と、DEが6.8%で還元が不十分な第2還元KDL(比較例1)を用いた場合は、ゲル化してしまってほとんど塗工することができず、結果として圧縮強度や引張強度も低いままであった。
[還元性末端基を有する糖を酸化した糖類化合物]
<第1酸化KDLの調製と測定>
(実施例2)
50%KDL溶液40mlに10%NaOH水溶液を添加してpHを11とし、13%NaClO溶液を1ml添加する。徐々にpHが低下するのに対して、10%NaOH水溶液を滴下して、氷水で冷却して30℃以下になるように調整しつつpHを11に保ち、pHの低下が収まるまで攪拌を続ける。その後、同様に13%NaClO溶液を1ml添加して、同様にpHを11に保ちつつ攪拌する。これを、13%NaClO溶液が20mlになるまで続ける。最終的に使用した薬剤の量を表2に示す。
Figure 0004880285
得られた溶液を1リットルのメタノール中に添加し、沈殿物をグラスフィルターによりろ過し、メタノールで3回洗浄する。その後40℃、400Paの環境で減圧乾燥させ、生成物を得た。以下、この生成物を「第1酸化KDL」と表記する。
第1酸化KDLの20重量%水溶液を20g作成した。この溶液は淡黄色透明であり、pHは11.26であった。この溶液を2%硫酸を用いて、pHを6〜8に調整した。これに、20%珪酸ナトリウム水溶液を5g添加して、80℃の湯浴中で加熱したところ、褐色の溶液となり、8時間経過後もゲル化しなかった。また、第1酸化KDLのDEを測定したところ、0.0%であった。
<第2酸化KDLの調製と測定>
(比較例4)
第1酸化KDLの生成において、用いる13%NaClO溶液の量を15mlとした以外は同様の手順により、第2酸化KDLを得た。なお、調整前のpHは10.81であった。同様に珪酸ナトリウム水溶液を添加して湯浴中で加熱したところ、褐色溶液となり、59分後にゲル化した。また、第2酸化KDLのDEを測定したところ、0.7%であった。
<第3酸化KDLの調製と測定>
(比較例5)
第1酸化KDLの生成において、用いる13%NaClO溶液の量を10mlとした以外は同様の手順により、第3酸化KDLを得た。同様に珪酸ナトリウム水溶液を添加して湯浴中で加熱したところ、16分後に褐色のゲルとなった。また、第3酸化KDLのDEを測定したところ、4.0%であった。
<第4酸化KDLの調製と測定>
(比較例6)
第1酸化KDLの生成において、用いる13%NaClO溶液の量を5mlとした以外は同様の手順により、第4酸化KDLを得た。同様に珪酸ナトリウム水溶液を添加して湯浴中で加熱したところ、12分後に褐色のゲルとなった。また、第4酸化KDLのDEを測定したところ、10.0%であった。
<紙用塗工剤の紙力増強効果の測定>
(実施例2、比較例2、4〜6)
実施例1と同様に、段ボール用中芯(レンゴー(株)製:坪量115g/m)を、常温又は60℃の環境で、第1酸化KDL(実施例2)、及び第2〜4酸化KDL(比較例4〜6)を用いて、常温でそれぞれの10%溶液(参考例)、及びそれぞれのKDLを8%含有し珪酸ナトリウムを2%含有する溶液を得た。また、それぞれのKDLを8%含有し珪酸ナトリウムを2%含有する溶液を60℃に加熱し、溶液又はゲルを得た。これら表3に記載の溶液、ゲル又は水に30秒間浸漬して、塗工量がそれぞれ表3のようになる強化紙を得て、それぞれの強化紙について上記の測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0004880285
(結果)
常温では、酸化していないKDLを用いても、酸化したKDLを用いても、いずれも圧縮強度及び引張強度が向上し、またいずれのKDLについても、珪酸ナトリウムを加えることで、圧縮強度及び引張強度がさらに向上した。それらを60℃に加熱して塗工を行った場合は、十分に酸化してDEが0.0%となった実施例2では、ゲル化することなく、常温の場合とほぼ同じ、十分な紙力増強効果を得ることができた。一方で、DEが高く酸化が不十分であった比較例4〜6では、ゲル化してしまったためにほとんど塗工することができず、紙力増強効果を得ることができなかった。
[環状糖を用いた紙用塗工剤]
(実施例3)
環状糖としてβ−シクロデキストリンを用い、β−シクロデキストリンのみを10%含有する水溶液(参考例)、及びβ−シクロデキストリンを8%、珪酸ナトリウムを2%含有する水溶液を調製した。なお、β−シクロデキストリンは70〜75℃で完全に溶解した。このうち、β−シクロデキストリンと珪酸ナトリウムとの溶液を湯浴に漬け、80℃の状態を維持させていたが、5時間経過後も褐色透明溶液の状態で、ゲル化は見られなかった。この溶液のpHを測定したところ、11.11であった。また、実施例1と同様の手順によりこの溶液を常温及び60℃の環境で段ボール用中芯に塗工して紙力の測定を行った。その結果を表4に示す。なお、表中「β−CD」とはβ−シクロデキストリンを示す。
Figure 0004880285
(結果)
β−シクロデキストリンのみを用いるよりも、珪酸ナトリウムを加えることでより高い紙力増強効果が発揮され、圧縮強度は30%以上増強された。また、還元性末端基を有さない環状糖であるβ−シクロデキストリンはカルボキシル基を生じないので、珪酸ナトリウムと混合しても十分にアルカリ性であり、60℃の環境でゲル化することなく、常温とほぼ同じ程度に高い紙力増強効果を発揮することができた。
[平均重合度が2である化合物を用いた紙用塗工剤]
(実施例4)
還元性末端基を有する糖として50%マルトース水溶液を50ml(マルトース含有量69.4mmolに相当する。)用い、これに還元剤として10%水素化ホウ素ナトリウム水溶液(NaBH含有量52.9mmolに相当する。)を、攪拌しつつ30分かけて添加した。添加中の温度は40〜50℃に保持し、添加終了後も攪拌を続け、30℃まで冷却し、還元マルトース溶液を調製した。この還元マルトース溶液は無色透明であった。また、この還元マルトースのDEを測定したところ、0.0%であった。
上記のように得られた還元マルトースを10%含有する水溶液(参考例)と、還元マルトースを8%、及び2%の珪酸ナトリウムを含有する水溶液とを調製し、これらの水溶液に、実施例1と同様の段ボール用中芯を常温で30秒間浸漬して、塗工量が表5のようになる強化紙を得て、それぞれの強化紙について上記の測定を行った。その結果を表5に示す。また、還元マルトースを8%、珪酸ナトリウムを2%含有する水溶液を60℃に加熱して、同様に強化紙を作製し、測定を行った。
Figure 0004880285
(比較例7)
還元していないマルトースを用い、上記の実施例4と同様に強化紙を作製し、測定を行った。その結果を表5に示す。
(結果)
還元の有無にかかわらず、マルトースを塗工することにより紙力増強効果が発揮された。また、珪酸ナトリウムを添加することにより、常温ではマルトースの還元の有無にかかわらず、さらに高い紙力増強効果が発揮された。珪酸ナトリウムを添加したものを60℃に加熱した場合には、十分に還元された還元マルトースを用いた実施例4では、ゲル化することなく十分な量を塗工でき、常温とほぼ同じ紙力増強効果を発揮したが、還元性末端基を残したマルトースを用いた比較例7ではゲル化してしまい、十分な量が塗工できず、紙力増強効果を発揮できなかった。
[平均重合度が14.6である化合物を用いた紙用塗工剤]
(実施例5)
未変性澱粉(日本コーンスターチ(株)製)をα−アミラーゼ(ノボザイムジャパン(株)製:BAN240L)で酵素分解し、平均重合度を14.6とした酵素分解澱粉を、水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元を行い、還元酵素分解澱粉を得た。この還元酵素分解澱粉のDEを測定したところ、0.1%であった。
この還元酵素分解澱粉を10%含有する水溶液(参考例)、及び還元酵素分解澱粉を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する水溶液を調製して、これらの水溶液に、実施例1と同様の段ボール用中芯を常温で30秒浸漬して、塗工量が表6のようになる強化紙を得て、それぞれの強化紙について上記の測定を行った。その結果を表6に示す。また、還元酵素分解澱粉を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する水溶液を60℃に加熱して、同様に強化紙を作製し、測定を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0004880285
10%還元酵素分解澱粉を含有する水溶液を塗工した強化紙は、紙力増強効果が発揮され、還元酵素分解澱粉を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する溶液は、常温でさらに高い紙力増強効果を発揮した。この還元酵素分解澱粉を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する溶液を60℃の環境で塗工しても、還元性末端基が十分に還元されているために、ゲル化することなく十分な量を塗工することができ、ほぼ同様の紙力増強効果を得ることができた。
[平均重合度が2未満である化合物を用いた紙用塗工剤]
(比較例8)
平均重合度が1.5である還元水飴を、実施例1と同様に塗工した強化紙の測定結果を表7に示す。10%溶液(参考例)を常温で塗工したところ、紙力増強効果はわずかしか発揮されず、還元水飴を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する溶液を常温で塗工しても、ブランクに対する圧縮強度の増強は30%未満であり、紙力増強効果は不十分であった。この還元水飴を8%、珪酸ナトリウムを2%含有する溶液を60℃の環境で塗工すると、ある程度の紙力増強効果は発揮されたが、その効果は平均重合度が2以上の還元糖を用いた場合よりも低く、圧縮強度の増強は30%を下回るものとなった。
Figure 0004880285
[平均重合度が15を超える化合物を用いた紙用塗工剤]
(比較例9)
平均重合度が376である生澱粉を用いて、実施例1と同様の手順により紙用塗工剤を得ようとしたところ、加熱により糊化したときの粘度が高すぎて、均一な溶液にならず、酸化や還元を十分に行うことができず、紙用塗工剤を得ることができなかった。
[重量混合比による紙用塗工剤の挙動]
(実施例10〜17、比較例10,11)
実施例1で用いた第1還元KDLと、珪酸ナトリウムとを、重量比で98:2(実施例10)、95:5(実施例11)、90:10(実施例12)、80:20(実施例13)、70:30(実施例14)、60:40(実施例15)、40:60(実施例16)、20:80(実施例17)で混合した、合計の濃度が10%である水溶液を調製し、これに、実施例1と同じ段ボール用中芯を30秒間浸漬させて、塗工量が表8となる強化紙を得た。この強化紙について、実施例1と同様の測定とともに、ごわつきと紙焼けの評価を行った。その結果を表8に示す。また、混合せずに還元KDLのみ(比較例10)、珪酸ナトリウムのみ(比較例11)を用いて濃度10%である水溶液を用いた強化紙についても、同様に測定と評価を行った。その結果を表8に示す。
Figure 0004880285
(結果)
第1還元KDLと珪酸ナトリウムとを混合して用いた実施例10〜17はいずれも圧縮強度と引張強度が大きく向上し、ごわつきや紙焼けを抑えることができた。特に40:60よりも第1還元KDLが多いと、ごわつきはほとんど見られず、60:40よりも第1還元KDLが多いと、ごわつきはまったく見られなかった。また、ごわつきと同様に、紙が変色する紙焼けも、40:60よりも第1還元KDLが多いとほとんど見られず、70:30より第1還元KDLが多いとまったく見られなかった。ただし、95:5(実施例11)よりも第1還元KDLが多くなった98:2である実施例10では、紙力増強効果が95:5の場合よりもやや低下し、吸水性はやや低下した。また、第1還元KDLのみを用いた比較例10は珪酸ナトリウムを混合したものよりも紙力増強効果が低く、また、吸水性が著しく悪化した。一方で珪酸ナトリウムのみを用いた比較例11では、紙のごわつきと紙焼けがひどく、強化紙としては不適格なものになってしまった。
[ショ糖と珪酸アルカリ金属塩による紙用塗工剤の挙動]
(比較例12)
実施例1の第1還元KDLの代わりにショ糖を用いて、同様の手順により強化紙を得た。その強化紙についての測定結果を表9に示す。常温で、10%のショ糖溶液を用いても、8%のショ糖と2%の珪酸ナトリウムとを含有する溶液を用いても、圧縮強度の増強は30%に届かず、紙力増強効果は不十分であった。また、8%のショ糖と2%の珪酸ナトリウムとを含有する溶液を60℃で塗工すると、還元性末端基を有さないためにゲル化を起こすことはなく、十分な量を塗工することができたが、紙力増強効果は同様に不十分なままであった。
Figure 0004880285

Claims (6)

  1. 還元性末端基を有する糖を還元した化合物、前記糖を酸化して中和した化合物、及び、還元性末端基を有さない環状糖から選ばれる少なくとも1種の化合物と、珪酸アルカリ金属塩とを含有し、前記化合物の平均重合度が2〜15であり、前記化合物が、前記の還元した化合物又は前記の酸化して中和した化合物の少なくとも何れかを含むものであり、その前記化合物のデキストロース当量が0.5%以下である紙用塗工剤。
  2. 上記珪酸アルカリ金属塩が下記式(1)で示される化合物である請求項に記載の紙用塗工剤。
    O・nSiO (1)
    (式中、「M」はアルカリ金属元素を示し、nは0.5以上4以下の実数を示す。)
  3. 上記化合物と、上記珪酸アルカリ金属塩との重量混合比が、95:5〜40:60である、請求項1又は2に記載の紙用塗工剤。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の紙用塗工剤を紙に塗工した強化紙。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の紙用塗工剤を、60℃以上、95℃以下で紙に塗工した強化紙。
  6. 上記紙が板紙である、請求項又はに記載の強化紙。

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