JP4875517B2 - 化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法 - Google Patents

化学物質センシング素子、化学物質センシング装置、及び化学物質センシング素子の製造方法 Download PDF

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この発明は、雰囲気中の特定物質をセンシングする素子の製造技術に関し、特にカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを含むナノ構造よりなる炭素同位体(以下「カーボンナノ構造体」と呼ぶ。)を利用したセンシング素子のセンシング対象ガス選択性と感度とを改善する技術に関する。
化学物質センシングは、その応用分野が幅広いことと、それぞれの分野における社会的ニーズが高いこととにより、近年注目を集めている。一例として、環境モニタリングへの応用を挙げる。シックハウス症候群(Sick Building Syndrome)と呼ばれる、建物に起因する体調不良を居住者が感じることが社会問題となっている。シックハウス症候群の主原因は、建物に含まれる建材や家具から放出される、トルエンやキシレンのようなVOCs(揮発性有機化合物、Volatile Organic Compounds)ガスと言われており、例えば、日本を含む世界各国において、環境中でのVOCsガス濃度の指針を定めている。このような動向から、化学物質センシングの高度な手段が求められている。
化学物質センシング素子としては、白金線条を包埋した燃焼触媒ビーズによる接触燃焼式や、固体電解質を用いた定電位電界方式等が知られている。しかし、これらの性能は、応答特性数十秒、検出下限濃度数ppmであり、社会的ニーズを満足させるためには、さらなる高性能化が必要である。
この問題を解決するための一方法として、後述する非特許文献1には、近年発見されたカーボンナノチューブ(CNT、Carbon Nano Tube)からなる化学物質センシング素子が提案されている。
CNTは直径がナノオーダーのチューブ状炭素材料である。グラファイト構造と言われる、6つの炭素原子が正六角形の板状構造を形成して結合した結晶構造が、二次元に連続するとグラフェンシートと呼ばれ、このグラフェンシートを円筒状に丸めた構造によりCNTはなる。CNTは非常に安定な構造で、その内部ではΠ電子結合に基づく高速な電子移動を許容する導電性を示し、構造によっては金属線よりも優れた導体となる。
非特許文献1によれば、CNTに化学物質分子が付着すると、電子移動が起こり起電力が発生する。言い換えれば、CNTの2点間に、電位差、または、電気抵抗の変化が生じる。この電気抵抗の変化を検出すれば、化学物質のセンシングが可能となる。さらに、CNTの形状がナノオーダーの微細構造であることから、応答性及び検出下限に大幅な改善が期待できる。すなわち、当該センシング対象ガスがCNT表面に吸着してからCNTの電気抵抗変化が発生するまでの時間は、CNTの導電性及びナノ構造に起因して、前述した従来のセンシング素子に比べて非常に短い。さらに、CNTは、その表面積が大きいことと、すべての原子が表面を構成する、その構造により、物質吸着の影響が電気抵抗変化へ反映される際の電子散乱などによる損失が少ないこととにより、従来のセンシング素子では困難な、微量のセンシング対象ガスの吸着と、その存在確認とを可能にする。
齋藤理一郎、「カーボンナノチューブの概要と課題」、機能材料、vol.21、No.5、p6−14、2001年5月号 特開2003−64002号公報
しかし、非特許文献1に示されたセンシング技術は、主に以下2点の問題を含む。
はじめに、本文献は、一本のCNTを化学物質センシング素子として用いることを前提としており、このような化学物質センシング素子の製造は、現在のCNTに関する技術レベルにおいては非常に困難である。
次に、センシング対象物質に対する選択性がないと考えられる。すなわち、本願発明者は、後述の比較例に示すように、実験により、自然界に存在するN2ガスと、VOCsガスの一つであるトルエンガスとを、それぞれ非特許文献1に示された技術による化学物質センシング素子に吸着させ、その電気抵抗変化を測定した。その結果、いずれも、吸着ガスの無い場合と比べて差異が認められ、何らかの物質の存在を確認することができたが、N2ガスとトルエンガスとの間に明確な差異は認められなかった。
非特許文献1に開示の技術を利用した化学物質センシング素子は、実際に製造することが困難である。また、センシング対象物質に対する選択性がないため、雰囲気中の物質の存在を確認することは可能であるが、「存在する物質が何か」を知るための定性分析ができないため、その利用価値がない。
したがって本発明の目的は、実際にその製造が可能であり、ガス選択性と、高い性能とを有する、ナノ構造よりなる炭素同位体を含む化学物質センシング素子を提供することである。
本発明の第1の局面に係る化学物質センシング素子は、雰囲気中の特定物質を検出するための、アルキル(CH)基により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む。
この化学物質センシング素子においては、ガスを吸着させる部分として、CNTに比べ簡易に製造可能なカーボンナノ構造体を含む。本願発明者は、非特許文献1に記載の技術を、カーボンナノ構造であればCNTに限定せず、そのいずれにも適用できると考える。なぜなら、前述した技術は、カーボンナノ構造の特徴である、導電性及びナノ構造を利用しているためである。加えて、このカーボンナノ構造体は、その表面をCH基により修飾されており、以下の理由によりガス選択性を有すると考える。すなわち、修飾のないカーボンナノ構造体は非常に安定な結合状態で電気的に分極していないが、CH基修飾のあるカーボンナノ構造体は、CH基の電子供与性により電子密度が上がり、その電気的挙動を異にする。ガスが吸着した際、ガスの種類に起因する結合状態や電荷の状態の違いを、修飾ありの場合は、なしの場合より大きく反映した挙動を示し、これがカーボンナノ構造体の電気抵抗の変化に影響し、ガス選択性を持ち得る。CH基修飾のあるカーボンナノ構造体のガス選択性について、本願発明者は、後述する実施例に示されるように、実験によりこれを見出した。さらに、CH基修飾により、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子は、その感度を向上する。なぜなら、その立体構造を考えると、修飾ありのものは前述のグラフェンシートを変形したカーボンナノ構造体のそれぞれに、側鎖的にCH基が付与されていると考えられ、CH基周辺にはガス吸着を許容する空間があるが、修飾なしのものはその構造により制約をうけるためである。
なお、特許文献1には、カーボンナノ構造体を、CH基を含む有機置換基により修飾する技術が開示されており、有機置換基の付与により、カーボンナノ構造体の誘導体は電荷移動等の特徴的な性質を示し、その電気特性、磁性及び化学的性質等を、様様に制御及び設計することが可能であると記載されている。
本化学物質センシング素子は、従来技術では困難であった、実際に製造することと、定性分析と、高感度とを可能にする。このため、本素子により実際に、カーボンナノ構造体からなる素子による、化学物質センシングを行なうことが可能になる。
好ましくは、本化学物質センシング素子に含まれるカーボンナノ構造体は、実質的に、グラファイト構造を有するナノ構造炭素同位体からなることを特徴とする。
この化学物質センシング素子においては、ガスを吸着させる部分として、グラファイト構造を有するナノ構造炭素同位体からなるカーボンナノ構造体を含む。このような構造は、前述したように、高速応答性及び高感度を可能にする。本素子によれば、さらに、高い応答性と、高い感度を実現することができる。
好ましくは、本化学物質センシング素子に含まれるカーボンナノ構造体は、さらに、金属フタロシアニンにより表面修飾されていることを特徴とする。
この化学物質センシング素子においては、ガスを吸着させる部分として、その表面を、さらに、金属フタロシアニンにより修飾されているカーボンナノ構造体を含む。金属フタロシアニンは、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物フタロシアニン(PhthalocyanineまたはTetrabenzoazaporphyrine, C32N8H16)と、その中央部分に配置された金属との錯体である。CH基により表面修飾されたカーボンナノ構造体において、金属フタロシアニンによりその表面をさらに修飾すると、以下の理由でそのセンシング感度を向上させることができる。化学物質センシング素子によりセンシングを行なう場合、後述するように、その電気抵抗変化を測定するために電界をかける。これにより、カーボンナノ構造体の内部では電子の移動が起こる。修飾により、カーボンナノ構造体の表面に付与された金属フタロシアニンへも電子が移動し注入されると、励起状態となり、金属は酸化され正電荷を、フタロシアニンは負電荷をさらに帯び、これにより物質吸着に対してより活性となる。当該物質と反応した場合その電気的特性の変化は、金属フタロシアニン及びカーボンナノ構造体がそれぞれの分子構造全体に共通に有するΠ電子結合により高速にカーボンナノ構造体へ伝わり、電気抵抗変化を迅速に発生させる。
本素子によれば、さらに、従来のものよりも高い感度の化学物質センシングを実現することが可能である。
好ましくは、本化学物質センシング素子により測定される特定物質は、トルエン、及びキシレンである。
この化学物質センシング素子に、大気を構成するN2ガスと、トルエンガスと、キシレンガスとを吸着させ、その電気抵抗変化を比較すると、それぞれの物質により異なる変化量を示す。このことから、本素子は、この2つの化学物質を、大気とは区別して検出することができ、さらに、そのガスが、トルエンか、キシレンか、の区別をする性能を有するといえる。
本素子によれば、トルエン、及びキシレンについてのセンシングを行なうことが可能である。
本発明の第2の局面に係る化学物質センシング装置は、アルキル基により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む化学物質センシング素子と、化学物質センシング素子に電気的に結合され、化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段とを含む。
この化学物質センシング装置は化学物質センシング素子の電気抵抗を測定するものであり、物質吸着がない状態とある状態での電気抵抗変化により、当該物質の存在の有無を確認する。化学物質センシング素子を構成するカーボンナノ構造体においては一本一本のナノ構造体が互いに接触しあっている。したがって、全体として導電性の集合体となっており、この集合体の全体の電気抵抗は、ナノ構造体の表面に何らかの物質が付着することにより変化する。したがって、化学物質センシング素子全体の電気抵抗の変化を見ることにより、これに含まれるカーボンナノ構造体に何らかの物質が付着したこと、すなわち、何らかの物質が雰囲気中に存在することが分かる。加えて、カーボンナノ構造体はCH基により表面修飾されていることから、前述のようにガス選択性を有する。
本装置によれば、従来困難であった、定性分析を行なうことが可能である。
好ましくは、本化学物質センシング装置に含まれるカーボンナノ構造体は、実質的に、グラファイト構造を有するナノ構造炭素同位体からなることを特徴とする。
この化学物質センシング装置は、その化学物質センシング部として、グラファイト構造を有するナノ構造炭素同位体からなるカーボンナノ構造体を含む。このような構造は、前述したように、高速応答性及び高感度を可能にする。
本装置によれば、さらに、高い応答性と、高い感度とを実現することができる。
好ましくは、本化学物質センシング装置に含まれるカーボンナノ構造体は、さらに、金属フタロシアニンにより表面修飾されていることを特徴とする。
この化学物質センシング装置においては、その化学物質センシング部として、その表面を、さらに、金属フタロシアニンにより修飾されているカーボンナノ構造体を含む。前述の理由により、本装置は、金属フタロシアニン修飾のないものに比べそのセンシング感度は高い。
本装置によれば、従来のものより高感度の化学物質センシングを実現することが可能である。
本発明の第3の局面に係る雰囲気中の特定物質を検出する化学物質センシング素子の製造方法は、アルキル基を有するアルコール類からなる溶液中にカーボンナノ構造体が分散した分散液を作製するステップと、分散液中に分散したカーボンナノ構造体を凝集させることによりカーボンナノ構造体凝集体を作製するステップとを含み、それによって、カーボンナノ構造体がアルキル基により修飾される。
この化学物質センシング素子の製造方法において、前述した分散液を作製するステップにより、カーボンナノ構造体表面を、CH基供給源であるCH基を有するアルコール類に、偏り無く接触させ、CH基をカーボンナノ構造体表面に修飾させる。その後、前述したカーボンナノ構造体凝集体を作製するステップにより、表面修飾されたカーボンナノ構造体の回収を容易にする。CH基により表面修飾されたカーボンナノ構造体は、センシングにおけるガス選択性を有する。
本方法は、ガス選択性を有する化学物質センシング素子の製造を可能にする。
好ましくは、化学物質センシング素子の製造方法において、分散液を作製するステップは、溶液中にカーボンナノ構造体を投入して、アルコール類からなる溶液とカーボンナノ構造体との混合体を作製する第1のステップと、第1のステップにおいて作製された混合体に超音波を照射することにより、カーボンナノ構造体をアルコール類の溶液中に均一に分散させる第2のステップとを含む。
カーボンナノ構造体は一般的に、液体への溶解が困難とされており、このような湿式の修飾には別の外的作用が必要である。本発明においては、超音波照射により液体へのカーボンナノ構造体の分散を実現する。
本製造方法により、カーボンナノ構造体をアルコール類溶液中に均一に分散させることができ、良好なアルキル基修飾が可能となるため、ガス選択性を有する化学物質センシング素子を得ることができる。
好ましくは、化学物質センシング素子の製造方法は、カーボンナノ構造体凝集体に絶縁性繊維を挿入して当該絶縁性繊維にカーボンナノ構造体を付着させるステップをさらに含む。
カーボンナノ構造体及びその凝集体は、一本一本のナノ構造体が互いに接触しあったものであるため、これを化学物質センシング素子のガス吸着部として使用し、その全体の電気抵抗変化を測定するためには、形状保持のための芯を設けることが好ましい。カーボンナノ構造体凝集体に芯部として絶縁性繊維を挿入することにより、カーボンナノ構造体凝集体の両端に電極を付けることができ、カーボンナノ構造体凝集体全体の電気抵抗変化を容易に測定することが可能になる。
本製造方法により、化学物質センシング素子の電気抵抗変化を容易に測定できるため、当該物質の存在の有無を容易に検出することが可能になる。
好ましくは、化学物質センシング素子の製造方法は、カーボンナノ構造体凝集体を絶縁性繊維により形成されたシートに滴下して当該シートにカーボンナノ構造体を付着させるステップをさらに含む。
本製造方法では、前述と同様の理由で化学物質センシング素子の芯部として絶縁性繊維により形成されたシートを設け、シート状の化学物質センシング素子を実現する。その上、シート状の素子はフレキシブルであり、センシング空間を選ばない利点がある。
本製造方法により、化学物質センシング素子の電気抵抗変化を容易に測定できるため、当該物質の存在の有無を容易に検出することが可能になる。さらに、本方法により、製造された素子はフレキシブルであり、従来その測定が困難であったいびつな形の空間のガスセンシングも可能となる。
好ましくは、化学物質センシング素子の製造方法は、アルキル基を有するアルコール類からなる溶液中にカーボンナノ構造体が分散した分散液を作製するステップと、分散液を絶縁性繊維により形成されたシートに滴下して当該シートにカーボンナノ構造体を付着させるステップとを含む。
本方法においては、表面をアルキル基で修飾されたカーボンナノ構造体を、溶液に分散された状態で、化学物質センシングにかかわる部位として絶縁性繊維により形成されたシートに滴下することで化学物質センシング素子を製造する。
本製造方法により、化学物質センシング素子の電気抵抗変化を容易に測定できるため、当該物質の存在の有無を容易に検出することが可能になる。さらに、本方法により、製造された素子はフレキシブルであり、従来その測定が困難であったいびつな形の空間のガスセンシングも可能となる。
以上のように本発明によれば、従来技術では困難であったが、実際に製造可能であること、ガス選択性を有することと、高い感度であることを特徴とした、カーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子を得ることができる。この素子により、トルエン、キシレンを含むVOCsガスなどの有害化学物質ガスについて、ガス選択性を持つ化学物質センシングを行なうことができる。加えて、表面処理により高感度化が可能なことから、今までその検出が困難であった微量ガスについてもそのセンシングができるようになる。
さらに、シート状の化学物質センシング素子を導入することにより、フレキシブルガスセンサーを実現する。このため、従来その測定が困難であったいびつな形の空間のガスセンシングも可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面および説明においては、同一の部品または構成要素には同一の参照符号を付してある。それらの機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1の実施の形態]
―構成―
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子を採用した化学物質センシング装置20の構成図を示す。図1を参照して、装置20は、直流電源30と、直流電源30のプラス端子に一端が接続された、本実施の形態に係る化学物質センシング素子32と、化学物質センシング素子32の他端と直流電源30のマイナス端子との間に接続された負荷抵抗34と、化学物質センシング素子32及び負荷抵抗34の接点に入力が接続され、この接点の電位変化を増幅するための増幅器36とを含む。測定時、この電位変化を測定するために、増幅器36の他方の端子に図示しない直流電圧計が接続される。
図2に、化学物質センシング素子32の構成図を示す。図2を参照して、化学物質センシング素子32は、アルキル(CH)基により修飾されたカーボンナノ構造体からなる、細長い円柱状の化学物質センシング部42と、化学物質センシング部42の両端に配置された電極40a及び40bとを含む。
後述するように、アルキル基により修飾されたカーボンナノ構造体からなる化学物質センシング素子32に電流を通したときのその抵抗値の変化は、雰囲気中の特定の物質に対する選択性を有する。したがって、図1に示す装置により、雰囲気中の特定の物質を選択的に検出できる。
―化学物質センシング部42の製造方法―
図3に、化学物質センシング部42の製造方法の一部を説明するための模式図を示す。図3(A)を参照して、容器60に用意されたエタノール溶液62にカーボンナノ構造体64を投入する。
図3(A)に示される容器60に、図示しない超音波発生装置により超音波を照射する。図3(B)は超音波照射後のエタノール溶液の状態を示す。図3(B)を参照して、超音波照射後、容器60内において、カーボンナノ構造体64はエタノール溶液62中に均一に分離分散し、分散液66となる。この工程を経て、カーボンナノ構造体64が均一にCH基により修飾される。この後、時間の経過ととともに、分散液66内に均一に分離分散したカーボンナノ構造体64は、容器60内で再凝集する。
図3(C)は、図3(B)に示される状態の後、容器60内においてカーボンナノ構造体64が凝集した後の様子を示す。図3(C)を参照して、図3(B)に示す容器60内において、時間経過により分散液66はカーボンナノ構造体凝集体68とその残渣液70に分離する。凝集終了後、カーボンナノ構造体凝集体68の領域に、図4に示されるような絶縁性の細線(繊維)80を挿入して、カーボンナノ構造体凝集体68を細線80に付着又は吸着させる。この結果、カーボンナノ構造体凝集体82が得られる。このカーボンナノ構造体凝集体82と細線80とにより、化学物質センシング部42が構成される。
図5は、カーボンナノ構造体表面の赤外分光分析(IR)スペクトルを示す。図5を参照して、エタノール分散後のカーボンナノ構造体表面のIRスペクトル90と、エタノール分散前のカーボンナノ構造体表面のIRスペクトル92とを比較すると、IRスペクトル90には、CH基に由来する吸収100、102、及び104が存在する。一方、IRスペクトル92にはそのような吸収は存在しない。これから、超音波照射後、再凝集したカーボンナノ構造体表面がCH基により修飾されていることが分かる。
―動作―
図1、図2、及び図3を参照して、本実施の形態に係る装置20は以下のように動作する。直流電源30により、化学物質センシング素子32と負荷抵抗34とを直列接続したものの両端に一定電圧をかけながら、センシング対象ガスを化学物質センシング素子32表面に導入する。
化学物質センシング素子32に含まれる化学物質センシング部42のうち、カーボンナノ構造体凝集体82の表面にセンシング対象ガス中の化学物質が付着すると、電極40a、40b間の電気抵抗が変化する。その変化を増幅器36の出力電圧の変化として図示しない直流電圧計により検出する。この変化によって、化学物質の存在を確認することができる。
これは以下のような理由による。細線80に付着又は吸着したカーボンナノ構造体凝集体82は、カーボンナノ構造体より構成されている。図6にカーボンナノ構造体の二次電子像を示し、その形状の特徴を説明する。図6(A)はイメージ倍率60倍で、石英基板105上に作製されたカーボンナノ構造体106の様子を示し、図6(B)はイメージ倍率1,300倍で、石英基板107上のカーボンナノ構造体108の断面を撮影したものである。図6(B)から分かるように、カーボンナノ構造体においては一本一本のナノ構造体が互いに接触しあっている。したがって、化学物質センシング部42は全体として導電性の集合体となっている。前述したように、この集合体の両端の電気抵抗は、ナノ構造体の表面に何らかの物質が付着することにより変化する。したがって、化学物質センシング部42の両端の電気抵抗の変化を見ることにより、化学物質センシング部42に何らかの物質が付着したこと、すなわち、何らかの物質が雰囲気中に存在することが分かる。
したがって、化学物質センシング部42の全体の電気抵抗の変化量を知ることにより、雰囲気中に存在する化学物質の同定も可能である。カーボンナノ構造体に付着する物質により化学物質センシング部42の電気抵抗の変化量が異なることについては、後の実施例の項で説明する。
加えて、連続してセンシングを行なう際、先に測定したセンシング対象ガスの除去が必要である。この場合、化学物質センシング素子32の温度を上げることで、吸着したセンシング対象ガスを脱離させることができる。すなわち、装置20において、直流電源30の電圧の調整により化学物質センシング素子32の温度を200度程度に上昇させることで各種センシング対象ガスを取り除く。センシング対象ガスの脱離法はこれに限らず、光照射や真空引きによっても可能である。
なお、以下の実施の形態において、動作及び物質の検出原理は第1の実施の形態同様である。したがって、以後の実施の形態の説明において、動作についての詳細な説明は繰返さない。
[第2の実施の形態]
―構成―
第2の実施の形態に係る装置は、図1に示す装置20において、化学物質センシング素子32に代えて、図7に概要を示す、化学物質センシング素子32とは異なる化学物質センシング素子110を使用する。
図7を参照して、化学物質センシング素子110は、CH基により修飾されたカーボンナノ構造体からなる細長い平板状の化学物質センシング部122と、その両端に配置された電極120a及び120bとを含む。
―化学物質センシング部122の製造方法―
図7に示す化学物質センシング部122は以下の製造方法により製造される。図3(C)を参照して、カーボンナノ構造体凝集体68をピペット等で吸い上げた後、図8に示す絶縁性繊維シート130の上に滴下すると、シート状カーボンナノ構造体凝集体132が形成される。この時、カーボンナノ構造体凝集体68と共に残渣液70がピペット等に吸い上げられ、絶縁性繊維シート130の上に共に滴下されるが、残渣液70がその揮発性のため乾燥により除去され、シート状カーボンナノ構造体凝集体132は絶縁性繊維シート130の上に残存する。絶縁性繊維シート130を適切な大きさに切断することにより、化学物質センシング部122が得られる。
このような化学物質センシング素子110を用いても、図1に示す第1の実施の形態と同様の装置によって、化学物質を選択的に検知することができる。加えて、シート状の化学物質センシング素子を導入することにより、フレキシブルガスセンサーを実現する。このため、従来その測定が困難であったいびつな形の空間のガスセンシングも可能となる。
[第3の実施の形態]
―構成―
第3の実施に係る装置は、図1に示す装置20において、化学物質センシング素子32に代えて、図9に概要を示す、化学物質センシング素子32とは異なる化学物質センシング素子150を使用する。
図9を参照して、化学物質センシング素子150は、CH基により修飾された上に、Cuフタロシアニンが表面に付着したカーボンナノ構造体からなる平板状の化学物質センシング部160と、化学物質センシング部160の両端に配置された電極120a及び120bとを含む。
―化学物質センシング部160の製造方法―
図10に、図9に示す化学物質センシング部160の製造方法の一部を説明する模式図を示す。図10を参照して、はじめに、第2の実施の形態と同様の方法で、平板状のカーボンナノ構造体凝集体132を作成する。次に、平板状カーボンナノ構造体凝集体132の上に、予め溶剤に溶かしたCuフタロシアニン170を滴下し、平板状カーボンナノ構造体凝集体132の表面に付着させる。その後絶縁性繊維シート130を適切な大きさに切断することにより、化学物質センシング部160が得られる。
このような化学物質センシング素子150を用いても、図1に示す第1の実施の形態と同様の装置によって、化学物質を選択的に検知することができる。
―動作―
Cuフタロシアニンは表面を活性化する効果があるため、第3の実施に係る装置は、第1及び第2の実施に係る装置と比べ、電気抵抗の変化量、すなわち感度は、数倍向上する。電気抵抗の変化量については、後の実施例の項で説明する。
なお、第3の実施の形態と同様に、以下の実施の形態に係る装置の感度も、第1及び第2の実施の形態に係る装置と比べて数倍向上する。したがって、以後の実施の形態の説明において、感度についての説明は繰返さない。
[第4の実施の形態]
―構成―
第4の実施の形態に係る装置は、図1に示す装置20において、化学物質センシング素子32に代えて、化学物質センシング素子32とは異なる化学物質センシング素子200を使用する。
図11に、化学物質センシング素子200の構成図を示す。図11を参照して、化学物質センシング素子200は、CH基により修飾された上に、Cuフタロシアニンが表面に付着したカーボンナノチューブからなる、細長い円柱状の化学物質センシング部210と、化学物質センシング部210の両端に配置された電極40a及び40bとを含む。
―化学物質センシング部210の製造方法―
化学物質センシング部210は以下の製造方法により製造される。図12(A)を参照して、容器60に、図3(B)に示されたカーボンナノ構造体64が分散したエタノール分散液66、または、図3(C)に示す、凝集したカーボンナノ構造体凝集体68を保持する残渣液70を用意し、予め溶剤に溶かしたCuフタロシアニンを滴下する。その後、図示しない超音波発生器により超音波を照射し、分散液220が形成される。これにより、エタノール分散液66に含まれるカーボンナノ構造体、または、カーボンナノ構造体凝集体の表面がCuフタロシアニンに修飾される。
図12(B)は図12(A)に示される状態の後、カーボンナノ構造体が再凝集を開始した様子を示す。図12(B)を参照して、容器60内において、時間経過により分散液220から凝集体222が形成される。
図12(C)は図12(B)に示される状態の後、カーボンナノ構造体が凝集した後の様子を示す。図12(B)に示す凝集体222は、時間の経過とともに沈降し、沈降物224となり、残渣液226と分離する。凝集終了後、カーボンナノ構造体凝集体沈降物224の領域に、図13に示すような絶縁性の細線(繊維)80を挿入して、カーボンナノ構造体凝集体を細線80に付着又は吸着させる。この結果、図13に示すカーボンナノ構造体凝集体230が得られる。このカーボンナノ構造体凝集体230と細線80とにより、化学物質センシング部210が構成される。
[第5の実施の形態]
―構成―
第5の実施の形態に係る装置は、図1に示す装置20において、化学物質センシング素子32に代えて、図14に概要を示す、化学物質センシング素子32とは異なる化学物質センシング素子250を使用する。
図14を参照して、化学物質センシング素子250は、CH基により修飾された上に、Cuフタロシアニンが付着したカーボンナノ構造体からなる細長い平板状の化学物質センシング部260と、化学物質センシング部260の両端に配置された電極120a及び120bとを含む。
―化学物質センシング部260の製造方法―
図14に示す化学物質センシング部260は以下の製造方法により製造される。図15を参照して、絶縁性繊維シート130の上に、図12に示すカーボンナノ構造体凝集体224をピペット等で吸い上げた後、滴下すると、平板状カーボンナノ構造体凝集体270が形成される。その後絶縁性繊維シート130を適切な大きさに切断することにより、化学物質センシング部260が得られる。
以下、本発明に係る実施例1と、実施例2と、比較例と、それぞれを比較した化学物質センシング装置の評価結果とを記述する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下、第1の実施の形態に基づく実施例1について説明する。
−化学物質センシング素子32の製造方法−
図2を参照して、化学物質センシング素子32を以下の方法により製造した。はじめに、カーボンナノ構造体を、平行平板プラズマ化学気相合成(CVD)法により、触媒を用いて石英基板上に作製した。その作製条件は、基板温度800度、ガス流量;メタンガス50sccm、水素ガス50sccm、反応圧力15torr、高周波出力350W、成長時間15分とした。次に、カーボンナノ構造体をマニピュレータを用いて石英基板から擦り取った。その後、表面のアルキル基修飾を行なうために、このカーボンナノ構造体をビーカーに用意したエタノール溶液に投入した後、このビーカーを、10kHz、8Wの超音波洗浄器内に設置し、ビーカー内試料に対し超音波照射をカーボンナノ構造体が分散するまで行なった。その後、試料を30分放置し、カーボンナノ構造体の凝集を行なった。凝集終了後、ピンセットで絶縁性細線(アクリル繊維など)を残渣液に挿入して、約数十nm径の線状カーボンナノ構造体凝集体を絶縁性細線に付着または吸着させ、これを残渣液から取り出し、図4に示す化学物質センシング部42とした。さらに、その両端に銀ペーストで0.5mmφの銅線を接続し、これを図2に示す電極40a及び40bとし、化学センシング素子32の製造を終了した。製造した化学センシング素子32を化学物質センシング装置へ導入した。
−評価方法−
化学物質センシング装置20の特性評価方法を次に示す。図1を参照して、装置20を、雰囲気が制御できる約20リットルの真空容器に挿入し、一旦、化学物質センシング素子32の周辺雰囲気を0.1torr程度の真空とした。直流電源により電流200μAを流し、化学物質センシング素子32と負荷抵抗34との間の接点の電気抵抗変化を増幅器36において増幅し、増幅した電気抵抗変化を増幅器36の出力電圧変化として図示しない直流電圧計により測定した。なお、化学物質センシング素子の抵抗はRo=18kΩであり、測定頻度は1秒毎で、90秒間行なった。この測定値を初期値(0V)とした。次に、参照試料として、1リットルのテドラーバッグに充満させたN2ガス20リットルを一気に真空容器に導入し、その際の電位変化を基準値測定時と同様に行ない、基準値との差異を図16にプロットした。次に、真空ポンプによりN2ガスを排気し、化学物質センシング素子32に吸着したN2を脱離させた。その後、1リットルのテドラーバッグに封入したトルエン濃度200ppmのセンシング対象ガスを、N2ガス同様に一気に真空容器に導入し、同様の測定を行なった。キシレンはセンシング対象ガス濃度200ppmとし、同様の方法で測定を行なった。
なお、以下の実施例、及び比較例において、同様の方法で特性評価をおこなっているので、同一の部分については記述しない。
[実施例2]
以下、第3の実施の形態に基づく実施例2について説明する。
−化学物質センシング素子150の製造方法−
図9を参照して、以下に化学物質センシング素子150の製造方法を示す。実施例1と同様の要領で、約数十nm径の線状カーボンナノ構造体凝集体を得、ピペットにて残渣液から5マイクロリットルを取り出し、半透明の紙(以下「シート」と示す)の中央に滴下した。カーボンナノ構造体凝集体に含まれるエタノールを揮発させるため3時間放置し、アルキル基により修飾されたカーボンナノ構造体凝集体を得た。次に、Cuフタロシアニン(東京化成工業製)をテトラヒドロフラン(THF)で溶解し、0.1mMのCuフタロシアニン溶液を調製した。その後、Cuフタロシアニン溶液5マイクロリットルをピペットにより、シート上カーボンナノ構造体凝集体表面に滴下した。以上により得た平板状試料をサイズ10mm×30mmに切断し、化学物質センシング部160とした。その両端に銀ペーストで0.5mmφの金の細線を接続し、これを電極120a及び120bとし、化学物質センシング素子150の製造を終了した。製造した化学物質センシング素子150を化学物質センシング装置へ導入した。
[比較例]
−比較用化学物質センシング素子の製造方法−
図示しない比較用化学物質センシング素子の製造方法は実施例1と同様であるが、図3に示すカーボンナノ構造体表面へのCH基修飾を行なわず、図4に示す細線80も挿入しない。
−比較用化学物質センシング装置の評価方法−
また、比較用化学物質センシング装置の特性評価は、検出対象ガスとしてN2ガスと、トルエンとの2種類を用い、化学物質センシング素子の抵抗はRo=15kΩであり、実施例1と同様の測定により行なった。尚、初期抵抗値Roの違いは、修飾することによる抵抗増加或いは作製時のセンサー抵抗のばらつきである。
[実施例と比較例との比較]
図16に実施例1の測定結果グラフを示す。縦軸は、図1を参照して、化学物質センシング素子32と負荷抵抗34の接点での電気抵抗変化を増幅器36により増幅後、出力した電圧(単位:V ボルト)について、ガス吸着なしの場合を基準値(0V)としたときの、ガス吸着ありの場合での変化量を、横軸は測定開始からの測定時間(単位:秒)を示す。図16中280はN2ガス、282はトルエンガス、284はキシレンガスの電圧変化を示す。図17は実施例2の測定結果グラフであり、図16と同様のグラフ構成である。図17中、286はN2ガス、288はトルエンガス、290はキシレンガスの結果を示す。図18は比較例の測定結果グラフであり、図16と同様で、292はN2ガス、294はトルエンガス、296は、キシレンガスの結果を示す。なお、N2ガスは大気を構成するガスであり、参照データとして測定した。
図16、図17、及び図18を比較する。図18とは異なり、図16及び図17ではそれぞれ、N2ガス(280及び286)、トルエンガス(282及び288)、及びキシレンガス(284及び290)ともに、ガスの種類による電気抵抗変化の態様の違いが明らかであり、カーボンナノ構造体表面へのCH基修飾により、ガス選択性を付与されることがわかった。
また、図16と、図17とを比較すると、N2ガス(280及び286)、トルエンガス(282及び288)、キシレンガス(284及び290)のいずれについても図17の方がより大きい電位変化を示しており、Cuフタロシアニンをさらに表面に施すことにより、ガスセンシング感度を向上させることがわかった。
以上のとおり、本発明に係る化学物質センシング装置20によれば、トルエン、キシレンを含むVOCsガスなどの有害化学物質ガスについて、ガス選択性を持つセンシングを行なうことができる。これにより、従来困難であった、カーボンナノ構造体による化学物質センシングを行なうことが可能になる。また、シート状の化学物質センシング素子を導入することにより、フレキシブルガスセンサーを実現する。このため、従来その測定が困難であったいびつな形の空間のガスセンシングも可能となる。加えて、表面処理により高感度化が可能なことから、今までその検出が困難であった微量ガスについてもそのセンシングができるようになる。
[変形例]
カーボンナノ構造体64は、その製造方法を問わない。プラズマCVD法、熱CVD法、アーク法及びレーザーアブレーション等が知られているが、いずれでもよい。カーボンナノ構造体表面のCH基修飾を行なう溶液は、CH基を有するアルコール類であればその種類を限定しない。さらに、その溶液濃度も限定しない。
加えて、第3、第4、及び第5の実施の形態に係る化学物質センシング素子の製造過程において、表面活性化のためのフタロシアニン溶液は、金属フタロシアニンを含むものであればいずれでもよい。
さらに、第2、第3及び第5の実施の形態に係る化学物質センシング素子の製造過程において、平板状の化学物質センシング部を作製するための滴下物は、図3に示す分散液66、または、図12に示す分散液220でもよい。加えて、同製造過程において、平板状試料を切断して化学センシング部を作製する際、そのサイズを限定しない。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
化学物質センシング装置20の構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る化学物質センシング素子32の構成図である。 第1の実施の形態に係る化学物質センシング部42の製造方法の一部を説明するための模式図である。 化学物質センシング部42の構成図である。 カーボンナノ構造体表面のIRスペクトルを示すグラフである。 カーボンナノ構造体の二次電子像である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシング素子110の構成図である。 第2の実施の形態に係る化学物質センシング部122の製造方法の一部を説明するための模式図である。 第3の実施の形態に係る化学物質センシング素子150の構成図である。 第3の実施の形態に係る化学物質センシング部160の製造方法の一部を説明するための模式図である。 第4の実施の形態に係る化学物質センシング素子200の構成図である。 第4の実施の形態に係る化学物質センシング部210の製造方法の一部を説明するための模式図である。 化学物質センシング部210の構成図である。 第5の実施の形態に係る化学物質センシング素子250の構成図である。 第5の実施の形態に係る化学物質センシング部260の製造方法の一部を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に基づく実施例1の測定結果である。 第3の実施の形態に基づく実施例2の測定結果である。 比較例の測定結果である。
符号の説明
20 化学物質センシング装置
30 直流電源
32,110,150,200,250 化学物質センシング素子
34 負荷抵抗
36 増幅器
40a,40b,120a,120b 電極
42,122,160,210,260 化学物質センシング部
60 容器
62 エタノール溶液
64 カーボンナノ構造体
66 超音波照射によりカーボンナノ構造体64が分散したエタノール
68,222 カーボンナノ構造体凝集体
70,226 残渣液
80 細線(繊維)
82,230 細線(繊維)80に付着したカーボンナノ構造体凝集体
90 エタノール分散後のカーボンナノ構造体表面のIRスペクトル
92 エタノール分散前のカーボンナノ構造体表面のIRスペクトル
100,102,104 アルキル基の吸収
105,107 石英基板
106,108 カーボンナノ構造体
130 絶縁性繊維シート
132,270 シート状カーボンナノ構造体凝集体
170 滴下されたCuフタロシアニン溶液
220 分散液
224 沈降したCuフタロシアニン修飾後カーボンナノ構造体凝集体
280,286,292 N2ガスの反応特性
282,288,294 トルエンガスの反応特性
284,290,296 キシレンガスの反応特性

Claims (5)

  1. 雰囲気中の特定物質を検出するための、アルキル基により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含み、
    前記カーボンナノ構造体は、線状カーボンナノ構造体凝集体であって、さらに、金属フタロシアニンにより表面修飾されており、かつ、その両端に電極が接続される、化学物質センシング素子。
  2. 前記カーボンナノ構造体を支持する絶縁性支持材をさらに含む、請求項1に記載の化学物質センシング素子。
  3. 前記特定物質は、トルエン、及びキシレンである、請求項1又は請求項2に記載の化学物質センシング素子。
  4. 前記カーボンナノ構造体は平板状に形成されている、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化学物質センシング素子。
  5. アルキル基により表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む化学物質センシング素子と、
    前記化学物質センシング素子に電気的に結合され、前記化学物質センシング素子の電気抵抗の変化を検出するための検出手段とを含み、
    前記カーボンナノ構造体は、線状カーボンナノ構造体凝集体であって、さらに、金属フタロシアニンにより表面修飾されており、かつ、その両端に電極が接続される、化学物質センシング装置。

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