JP4873037B2 - 非耐圧性プラスチック容器 - Google Patents

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Description

本発明は、内外圧差により容易に変形を生じてしまう非耐圧性プラスチック容器に関するものである。
従来、各種基体の特性を改善するために、その表面にプラズマCVD法による蒸着膜を形成することが行われている。例えば、包装材料の分野では、所定の真空度に保持されたプラスチック容器内に反応ガスを供給しながら、容器内でグロー放電によってプラズマを発生させ、反応ガスを反応させることにより、容器内面に蒸着膜を形成させる成膜方法が知られており、このような蒸着膜の形成により、ガス遮断性を向上させることが公知である。上記のような成膜方法において、プラズマ状態を実現するためのグロー放電は、代表的には、マイクロ波や高周波を利用して発生される。特にマイクロ波を利用する場合には、高周波を利用する場合に比して、比較的真空度が低い状態でグロー放電を発生させることができ、格別の真空ポンプを使用せずに目的とする真空度を達成できるなどの利点がある。
ところで、上記のようなプラズマCVD法によってプラスチック容器の内面に蒸着膜を形成する成膜方法は、該容器が内外圧差によって容易に変形してしまう非耐圧性のプラスチック容器(例えば、マヨネーズなどに使用されているスクイズボトルなど)の場合に問題がある。即ち、プラスチック容器内をグロー放電が生じる程度の真空状態に保持する必要があるため、内外圧差によって容器自体が大きく変形してしまい、成膜が実質上できなくなってしまうからである。
上記のような問題が解決された成膜方法としては、例えば、マイクロ波導入チャンバー内にマイクロ波透過性材料からなるエンクロージャを配置し、このエンクロージャ内にプラスチック容器を収容し、エンクロージャ内及びプラスチック容器内を両者の圧力差がなくなるように所定の真空度に保持した状態で、プラスチック容器内に反応ガスを導入し且つチャンバー内にマイクロ波を導入することにより、プラスチック容器の内面に蒸着膜を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特表2002−509845号公報(請求項18、図4)
上記特許文献1で提案されている成膜方法は、マイクロ波によるグロー放電を発生するものであり、容器の内外圧差を生じさせないように考慮されているため、非耐圧性のプラスチック容器にも適用することができる。しかしながら、かかる成膜方法では、プラスチック容器の底壁内面に蒸着膜を形成することが困難であり、プラスチック容器の内面全体にわたって均一な蒸着膜を形成することができないという問題があった。
従って、本発明の目的は、内外圧差によって容易に変形が生じてしまう非耐圧性プラスチック容器であって、底部を含む内面の実質上全体にわたって蒸着膜が成形された非耐圧性プラスチック容器を提供することにある。
本発明によれば、下記式:
[(V−V)/V]×100
式中、
は、容器壁の内側と外側との圧力差が0のときの容器内容積を示し、
は、容器壁の内側と外側との圧力差が2kPaのときの容器内容積を示す、
で定義される容積変形率が、22℃で5%以上である容器の器壁内面の実質上全体に蒸着膜を有する非耐圧性プラスチック容器が提供される。
上記の非耐圧性プラスチック容器は、マイクロ波導入チャンバー内に非耐圧性プラスチック容器を配置し、該プラスチック容器内に反応ガスを導入しながら該チャンバー内にマイクロ波を導入することにより、マイクロ波プラズマCVD法によってプラスチック容器内面に蒸着膜を形成することにより製造されるが、特には、
(a)前記チャンバー内に配置されたプラスチック容器の外面の実質上全体にわたって、マイクロ波透過性材料からなる隔壁で覆い、この状態で該隔壁とプラスチック容器との間の空間及び/又はプラスチック容器内空間を、グロー放電が生じる程度の真空度に保持し、前記反応ガスをプラスチック容器内に供給しながら、チャンバー内に導入されたマイクロ波を前記隔壁を介してプラスチック容器内部に供給することにより、マイクロ波プラズマCVD法による蒸着膜をプラスチック容器内面に形成すること、
(b)マイクロ波の供給は、前記隔壁と前記プラスチック容器との間の空間と、該プラスチック容器内空間との圧力差が±2kPa以下に保持されている状態で行われること、
という手段が採用される。
本発明の非耐圧性プラスチック容器においては、
1.前記蒸着膜は、マイクロ波プラズマCVDにより形成され且つ胴部での厚みが30nm以下であること、
2.スクイズボトルであること、
が好ましい。
マイクロ波プラズマCVDによる成膜によって本発明の非耐圧性プラスチック容器を製造するにあたっては、マイクロ波導入チャンバー内に配置されているプラスチック容器の外面を、底部も含めて実質上全体にわたって、マイクロ波透過性の隔壁で覆った状態でマイクロ波を供給して該容器の内面に成膜することが重要な特徴である。
即ち、プラスチック容器を隔壁で覆っているため、隔壁とプラスチック容器との間の空間及びプラスチック容器内空間を、グロー放電が生じる程度の真空度に保持することにより、プラスチック容器の内部と外部との間の圧力差を生じさせることなくグロー放電を生じさせることができ、内外圧差により容易に変形が生じてしまう非耐圧性容器についても、その内面に蒸着膜を形成することが可能となる。
しかも、本発明では、上記隔壁は、プラスチック容器の底部をも覆うように配置されることから、底部の内面にも有効に蒸着膜を形成することが可能となる。即ち、前述した特許文献1の成膜方法は、マイクロ波透過性のエンクロージャでチャンバー内のプラスチック容器を覆うものではあるが、容器内面に成膜する場合には、エンクロージャ内を所定の真空度に保持するために、エンクロージャを両端開口の筒状形状とし、容器の底部は、エンクロージャで覆われていない。従って、容器内部及びエンクロージャ内部を所定の真空度に保持してマイクロ波を導入してグロー放電を生じさせると、容器の底部近傍では、その外面側に大きな放電空間が形成されているために、この外面側でグロー放電が優先的に生じてしまい、底部の内側(容器内部)ではグロー放電がほとんど生じない。この結果として、容器の底部内面には、成膜が有効に行われないものと考えられる。しかるに本発明では、容器の底部も隔壁で覆われているため、隔壁と容器底部との間の放電空間が極めて小さく、この結果として、容器の底部内面にも有効に成膜が行われるのである。
かくして本発明によれば、内外圧差により容易に変形が生じてしまう非耐圧性プラスチック容器についても、底部も含めて内面の全体にわたって均一に蒸着膜を形成することが可能であり、蒸着膜の形成により、ガス遮断性などの特性を向上させることができる。
本発明の非耐圧性プラスチック容器を製造するための成膜装置の構造の一例を示す図。
本発明のプラスチック容器を製造するための成膜装置の一例を示す図1において、全体として10で示すプラズマ処理チャンバーは、環状の基台12と、筒状側壁14と、筒状側壁14の上部を閉じている天蓋16とから構成されており、これらの部材は、何れも金属等の導体で形成されており、マイクロ波を遮断し、チャンバー10外へのマイクロ波の漏洩を防止するようになっている。
環状の基台12の中心部分には、排気孔20が形成され、基台12の排気孔20の上方部分には、倒立状態のプラスチック容器1(非耐圧性のプラスチック容器)の首部の上端を把持しているホルダー22が適当な間隔で設けられており、排気孔20は、倒立状態の容器1の内側空間及び外側空間の両方に連通している。また、倒立状態に保持されている容器1の内部には、排気孔20からガス供給管24が挿入されている。
また、上記の環状基台12の上側には、倒立状態に保持されているプラスチック容器1の外面全体を覆うように、隔壁26が設けられている。尚、この隔壁26の天井部分26aは、隔壁26内にプラスチック容器1を収容し得るように、着脱自在に設けられている。また、隔壁26は、マイクロ波透過性材料で形成されており、適当な強度(耐圧性)を有している限り、樹脂等の有機材料やセラミック等の無機材料など、種々の誘電体材料で形成されていてよい。
チャンバー10を形成している筒状側壁14には、マイクロ波導入口30が設けられており、導波管や同軸ケーブル等のマイクロ波伝送部材32がマイクロ波導入口30に接続されている。即ち、所定のマイクロ波発振器からマイクロ波伝送部材32を介してプラズマ処理チャンバー10内にマイクロ波が導入されるようになっている。また、マイクロ波導入口は筒状側壁部ではなく、天蓋16及び/又は基台12に設けられてもよい。
成膜に際しては、先ず、環状基台12に倒立状態にプラスチック容器1を倒立状態に保持し且つ隔壁26内に収容し、この状態で、環状基台12を適当な昇降動装置で上昇させ、筒状側壁14に密着させ、図1に示されているように、マイクロ波遮断性材料で形成されたプラズマ処理チャンバー10内にプラスチック容器1を配置する。
次いで、ガス供給管24を排気孔20から容器1の内部に挿入するとともに、真空ポンプを駆動し、排気孔20からの排気により、プラスチック容器1の内部及び隔壁26とプラスチック容器1との間の空間を真空状態に維持する。即ち、このような減圧により、プラスチック容器1の内圧と外圧(隔壁26とプラスチック容器1との間の空間の圧力)との圧力差はほとんどなく、具体的には、±2kPa以下、特には実質上ゼロとなるため、かかる容器1として、非耐圧性プラスチック容器が使用されているにもかかわらず、成膜に際して変形を生じることがなく、該容器の内部に有効に成膜することが可能となる。
尚、容器1の内部に反応ガスを供給するためのガス供給管24としては、反応ガスを均一に且つ安定に供給し得る限り、任意の材料で形成されていてもよいが、特に金属製であることが好ましい。即ち、金属製の供給管を用いた場合、この管はアンテナとして作用し、電子放出により著しく短時間のうちに安定的にグロー放電によるプラズマが発生するため、処理時間の短縮を図ることができるからである。また、ガス供給管24としては、反応ガスを均一に容器1の内面に供給するという点で多孔質管であることが好ましく、例えば公称ろ過精度によって規定される目開きが、1乃至300μmの範囲にあるものが好適である。公称ろ過精度とは、多孔質体をフィルターとして用いる場合に使用されている特性値の一つであり、例えば公称ろ過精度130μmとは、この多孔質体をフィルターに使用したとき、上記粒径の異物を捕獲できることを意味するものである。従って、本発明においては、ガス供給管24としては、金属製の多孔質管を用いることが最も好適であり、例えば、ブロンズ粉粒体或いはステンレススチール粉粒体などの多孔質金属から形成されているものを使用するのがよい。
排気孔20からの排気による減圧の程度は、ガス供給管24から反応ガスが導入され且つマイクロ波が導入されてグロー放電が発生するような真空度にプラスチック容器1の内部が保持される程度であり、例えば、プラスチック容器1内が10〜500Pa、特に好適には20〜200Paの範囲となるようにするのがよく、従って、隔壁26とプラスチック容器1との間の空間も、同程度の真空状態に保持される。
上記のようにして排気を行った後、ガス供給管26によりプラスチック容器1内に反応ガスを導入し、マイクロ波伝送部材32を通してプラズマ処理室チャンバー10内にマイクロ波を導入する。このマイクロ波は、隔壁26を介してプラスチック容器1内に導入され、隔壁26と容器1との間の空間及び容器1の内部には、グロー放電によるプラズマが発生する。このプラズマ中での電子温度は数万Kであり、ガス粒子の温度は数100Kであるのに比して約2桁ほど高く、熱的に非平衡の状態であり、低温のプラスチック容器1に対しても有効にプラズマ処理を行うことができ、容器1内に供給されている反応ガスの反応により、非耐圧性のプラスチック容器1の内面に緻密で且つ均質な蒸着膜が形成される。
ところで、本発明においては、図1に示しているように、隔壁26は、プラスチック容器1の外面に沿って形成されており、ホルダー22に把持されている首部の上端部分を除き、該容器1の実質上全体を隔壁26で覆っているが、該隔壁26と容器1の外面との間隔は、少なくとも15mm以下、特に10mm以下に設定されているのがよい。即ち、本発明においては、隔壁26と容器1との間の空間もグロー放電が発生し得る程度の減圧状態に排気されるため、上記間隔が必要以上に大きいと、隔壁26と容器1との間でグロー放電が優先的に発生してしまい、容器1の内部でグロー放電が有効に発生せず、従って、容器1の器壁内面に、蒸着膜を形成することが困難となるおそれがある。
プラズマ処理の時間は、処理すべき容器の内表面積、形成させる薄膜の厚さ及び処理用の反応ガスの種類等によっても相違し、一概に規定できないが、2リットルのプラスチック容器では、1個当たり、1秒以上がプラズマ処理の安定性から必要であり、コスト面から短時間化が要求されるが、必要であれば分のオーダーでも良い。
蒸着膜形成後は、反応ガスの供給を停止し、必要により、隔壁26と容器1との間及び容器1の内部に空気や窒素ガス等の冷却用ガスを導入し、プラスチック容器1を室温に冷却し、且つ容器1内等を大気圧に復帰させた後、プラズマ処理チャンバー10及び環状基台12から容器1を取り出して、成膜操作が完了する。
(処理すべきプラスチック容器1)
本発明において、蒸着膜を形成すべき非耐圧性のプラスチック容器1としては、種々のプラスチックから形成されているものを用いることができる。例えば、このようなプラスチックとしては、それ自体公知の熱可塑性樹脂、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等、ポリ乳酸等、生分解性ポリマー、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であってもよい。
また、本発明においては、上記の非耐圧性のプラスチック容器1としては、下記式
[(V−V)/V]×100
式中、
は、容器壁の内側と外側との圧力差が0のときの容器内容積を示し、
は、容器壁の内側と外側との圧力差が2kPaのときの容器内容積を示す、
で定義される容積変形率が、22℃で5%以上、特に10%以上のものが使用される。即ち、マヨネーズ等の粘稠な物質は、スクイズボトルの如き容器に充填され、該ボトルから絞り出される。このようなスクイズボトルは、非耐圧性容器の代表的なものであり、上記の容積変形率が著しく大きい。従来のマイクロ波プラズマ処理による成膜方法では、このような非耐圧性容器の内面に蒸着膜を形成する際に、プラズマ発生のための減圧により容器が変形してしまうという不都合を生じ、蒸着膜の形成が困難であったが、本発明では、蒸着膜の形成に際して、容器の内外圧差の発生が有効に抑制されているため、このような非耐圧性容器についても、その内面に有効に蒸着膜を形成することができる。勿論、上記のスクイズボトル以外にも、器壁が薄肉に形成され、容積変形率が上記のように高いものとなっている非耐圧容器についても、有効に蒸着膜の形成を行うことができる。
(反応ガス)
ガス供給管24から供給する反応ガスとしては、プラズマ処理の目的に応じて種々のそれ自体公知のガスが使用される。
例えば、薄膜を構成する原子、分子或いはイオンを含む化合物を気相状態にして、適当なキャリアーガスにのせたものが使用される。
原料化合物は、揮発性の高いものである必要があり、炭素膜や炭化物膜の形成には、メタン、エタン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素類が使用される。また、シリコン膜の形成には四塩化ケイ素、シラン、有機シラン化合物、有機シロキサン化合物等が使用される。チタン、ジルコニウム、錫、アルミニウム、イットリウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、タンタル、ニオブ、鉄、ニッケル、クロム、ホウ素などのハロゲン化物(塩化物)や有機金属化合物が使用される。
更に、酸化物膜の形成には酸素ガス、窒化物膜の形成には窒素ガスやアンモニアガスが使用される。
これらの原料ガスは、形成させる薄膜の化学的組成に応じて、2種以上のものを適宜組み合わせて用いることができる。
一方、キャリアーガスとしては、アルゴン、ネオン、ヘリウム、キセノン、水素などが適している。
本発明において、プラスチック容器のガスバリヤー性を向上させるという点で、ヘキサメチルジシロキサンなどの有機シロキサン化合物と酸素ガスとの組合せが最も好適であり、かかる処理用ガスの使用により、容器内面にガスバリヤー性に優れたケイ素酸化膜を形成することができる。
反応ガスの導入量は、処理すべき容器の表面積や、ガスの種類によっても相違するが、一例として、2リットルのプラスチックボトルへの表面処理では、ボトル1個当たり、標準状態で1〜500cc/min、特に2〜200cc/minの流量で供給するのが望ましい。
複数の原料ガスの反応で薄膜形成を行う場合、一方の原料ガスを過剰に供給することができる。例えば、珪素酸化物膜の形成の場合、珪素源ガスに比して酸素ガスを過剰に供給することが好ましく、また窒化物形成の場合、金属源ガスに比して窒素或いはアンモニアを過剰に供給することができる。
(マイクロ波)
グロー放電を生じさせるマイクロ波としては、工業的に使用が許可されている周波数が2.45GHz、5.8GHz、22.125GHzのものを用いることが好ましい。
マイクロ波の出力は、処理すべき基体の表面積や、原料ガスの種類によっても相違するが、2リットルのプラスチックボトルへの表面処理では、ボトル1個当たり、50〜1500W、特に100〜1000Wの電力となるように供給するのが望ましい。
(処理容器)
上記のようにして成膜された処理容器、即ち、本発明の非耐圧性プラスチック容器は、その内面に均一で緻密な蒸着膜を有している。例えば、プラスチック容器の底部の内面から胴部の内面にわたって、ほぼ同一厚みの薄膜の蒸着膜を形成することが可能となる。
また、かかる蒸着膜は、マイクロ波によるグロー放電を利用して形成していることに関連して、
マイクロ波によるグロー放電はエネルギーが高く、緻密な膜が形成される。その結果、30nm以下の非常に薄い膜においても、ガス遮断性が高く、また非常に薄い事から膜の柔軟性も高いという特性を有している。一方、高周波によるグロー放電を利用して形成された蒸着膜も同様な膜は得られるが、膜密度が低く、ガス遮断性を得る為には、膜厚が70nm以上も必要であり、膜の柔軟性が低下し、上記のような特性を有していない。
以下の実験例により本発明を更に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものでは決してない。
(膜厚測定方法)
(蛍光X線法)理学電機工業(株)製の蛍光X線(ZSX100e)を用い、膜中のケイ素量を定量し、そのケイ素量をSiOに換算し、SiOx膜厚とした。
(マスキング法)水性樹脂でマスキングしたボトルに、SiOx膜を被覆し、水洗により水性樹脂を溶解し、SiOx膜の段差を作成し、AFMによりその段差を測定し、膜厚とした。
(水の接触角測定法)
SiOxを被覆したボトルを切り出し、協和界面科学(株)製のFACE自動接触角計CA−Z型により、膜の水の接触角を22℃で測定した。この方法による膜は反応が十分なSiOxの膜ほど水の接触角が小さく、反応が不十分な有機物を含むケイ素化合物膜は水の接触角が大きく、ガス遮断性が劣る。
(酸素透過量測定)
モダンコントロール社の酸素透過測定器(Oxtran)により、ボトルの酸素透過量を37℃100%RHの環境で測定した。
(膜密度測定法)
Philips社製のX’Pert MRDを用い、X線全反射法により膜の密度を測定した。
(実験例1):本発明例
周波数2.45GHz、最大出力1.2KWのマイクロ波電源、直径90mm、高さ500mmの金属型円筒形プラズマ処理室、処理室を真空にする油回転真空式ポンプ、マイクロ波を発振器からプラズマ処理室に導入する矩形導波管を有する装置を用いた。
また、ガス供給管として、外径10mm、長さ150mmのポーラス構造を有する焼結体ステンレス製ガス供給管を用い、処理室内は大気圧のまま、ボトルホルダーに、口径21mm、胴径42mm、高さ180(首下165mm)mmの円筒型ポリエチレン製のボトル(PEボトル)を用い、ボトルの外側に内径70mm、高さ185mmのアクリル樹脂製の底付き円筒形隔壁を設置し(隔壁との距離:14.0mm)、隔壁内、ボトル内の真空度を10Paとし、ヘキサメチルジシロキサン(以下HMDSOと記す)を3sccm、酸素を30sccm導入後、マイクロ波発振器より360Wのマイクロ波を発信させて隔壁及びPEボトル内にプラズマを発生させてプラズマ処理(5.0秒間)を行い、PEボトルの内側に蒸着膜を形成した。
尚、隔壁とボトルとの距離は、隔壁内面とボトル胴部外面との間隔で示したが、以下の実験例も同様である。
この蒸着膜の膜厚、堆積速度及び膜の水の接触角を測定し、結果を表1に示した。
尚、膜厚は、蛍光X線法により、胴部の中央部分4箇所及び底部の中心部分について測定し、胴部厚み(平均値)及び底部厚みとして、表1に示した。また、膜の堆積速度は、胴部厚み(平均値)とプラズマ処理時間から算出した。
(実験例2):本発明例
胴径が50mmのPEボトルを使用し、隔壁との距離を10.0mmとした以外は、実験例1と全く同様に蒸着膜を形成し、その評価を行い、結果を表1に示した。
(実験例3):本発明例
胴径が70mmのPEボトルを使用し、隔壁との距離を0mmとした以外は、実験例1と全く同様に蒸着膜を形成し、その評価を行い、結果を表1に示した。
(実験例4):本発明例
胴径が36mmのPEボトルを使用し、隔壁との距離を17.0mmとした以外は、実験例1と全く同様に蒸着膜を形成し、その評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 0004873037
所定の隔壁を用いて蒸着膜の形成を行った実験例1〜4は、何れの場合も、ボトルの潰れがなく、底部も含めてボトル内面の全体にわたって蒸着膜を形成することができた。ただ、隔壁とボトルとの間隔を15mmよりも大きく設定した実験例では、膜の堆積速度が遅く、生産性が低下し、また得られた膜の水に対する接触角が大きく、ガスバリヤー性も、他の実験例のものに比して低い。従って、隔壁とボトルとの間隔は15mm以下にすることが、高い堆積速度を確保し、反応を迅速且つ十分に進行させ、ガスバリヤー性に十分な厚みの蒸着膜を得る上で効果的であることが判る。
(実験例5):比較実験例
アクリル樹脂製隔壁を使用せず、胴径が70mmのPEボトルを用いた事以外は実施例1と同様にPEボトルの内側に蒸着膜を形成した。その結果、ボトル内を10Paにする工程で、ボトルが潰れ、プラズマは発生せず、製膜不可能であった。
(実験例6):本発明例
胴部が65mm、高さが200mm、口径が28mmのポリエテレンテレフタレート(PET)ボトルの外側に内径70mm、高さ205mmのアクリル樹脂製の底付き円筒形隔壁(ボトルとの間隔5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にPETボトルの内側に蒸着膜を形成し、この蒸着膜被覆PETボトルの酸素透過量を測定し、蒸着膜形成前のPETボトルの酸素透過量と比較した。蒸着膜被覆ボトルの酸素透過量は未被覆の1/30と非常に優れた酸素遮断性を示していた。
また上記と同一形状のPETボトルを用い、ボトルの底から105mmの位置の胴部内面に10mm角のシリコンウエハーを取り付け、同様に蒸着膜を被覆し、シリコンウエハー上の蒸着膜の密度をX線全反射法により測定した。その結果、膜の密度は2.0g/cmと高い密度を示した。また、このボトルについては、マスキング法を用いて段差から膜厚を測定した。その結果、膜厚は25nmと非常に薄かった。
この実験例の結果から、本発明では、高密度の蒸着膜が形成され、膜厚が薄いにもかかわらず、ガスバリヤー性を著しく向上させ得ることが理解される。

Claims (3)

  1. 下記式:
    [(V−V)/V]×100
    式中、
    は、容器壁の内側と外側との圧力差が0のときの容器内容積を示し、
    は、容器壁の内側と外側との圧力差が2kPaのときの容器内容積を示す、
    で定義される容積変形率が、22℃で5%以上である容器の器壁内面の実質上全体に蒸着膜を有する非耐圧性プラスチック容器。
  2. 前記蒸着膜は、マイクロ波プラズマCVDにより形成され且つ胴部での厚みが30nm以下である請求項1に記載の非耐圧性プラスチック容器。
  3. スクイズボトルである請求項1または2に記載の非耐圧性プラスチック容器。
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