JP4871197B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。より詳しくは、本発明は、特定の電子写真感光体と特定のトナーと特定のクリーニング手段を備えた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電手段によって所定の電位に一様に帯電させる。次いで、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光等の光によって露光し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給して、感光体の表面に現像剤の成分であるトナー(乾式トナー)と呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙等の転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。
転写手段による転写動作の際、感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行するのではなく、一部が感光体表面に残留する。また転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナー及び付着紙粉等の異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング手段によって除去される。感光体表面をクリーニングした後、除電手段によって感光層表面を除電し、静電潜像を消失させる。
このような電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体は、導電性材料からなる導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成される。
電子写真感光体としては、従来から、無機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、無機系感光体と称する)が用いられている。無機系感光体の代表的なものとしては、アモルファスセレン(a−Se)又はアモルファスセレンひ素(a−AsSe)等からなる層を感光層に用いたセレン系感光体、酸化亜鉛(ZnO)又は硫化カドミウム(CdS)を色素等の増感剤とともに樹脂中に分散したものを感光層に用いた酸化亜鉛系又は硫化カドミウム系感光体、及びアモルファスシリコン(a−Si)からなる層を感光層に用いたアモルファスシリコン系感光体(以下、a−Si感光体と称する)等がある。
しかしながら、無機系感光体には以下のような欠点がある。
セレン系感光体及び硫化カドミウム系感光体は、耐熱性及び保存安定性に問題がある。またセレン及びカドミウムは、人体及び環境に対する毒性を有するので、これらを用いた感光体は、使用後に回収され、適切に廃棄される必要がある。
酸化亜鉛系感光体は、低感度であって、かつ耐久性が低いという欠点があり、現在ではほとんど使用されていない。
無公害性の無機系感光体として注目されるa−Si感光体は、高感度及び高耐久性等の長所を有する反面、プラズマ化学気相成長法を用いて製造されるので、感光層を均一に成膜することが難しく、画像欠陥が発生しやすい等の短所を有する。a−Si感光体はまた、生産性が低く、製造原価が高いという短所も有する。
このように無機系感光体には多くの欠点があることから、電子写真感光体に用いられる光導電性材料の開発が進み、従来から用いられている無機系の光導電性材料に代えて、有機系の光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)が多用されるようになっている。
有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以下、有機系感光体と称する)は、感度、耐久性及び環境に対する安定性等に若干の問題を有するが、毒性、製造原価及び材料設計の自由度等の点において、無機系感光体に比べ、多くの利点を有する。また有機系感光体は、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成することが可能であるという利点も有する。
このように多くの利点を有することから、有機系感光体は次第に電子写真感光体の主流を占めてきている。また近年の研究開発によって、有機系感光体の感度及び耐久性は向上されており、現在では、特別な場合を除き、電子写真感光体としては、有機系感光体が用いられるようになってきている。
特に、有機系感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前述の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
機能分離型感光体には積層型と単層型とがある。積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて構成される積層型の感光層が設けられる。電荷発生層及び電荷輸送層は、通常、電荷発生物質及び電荷輸送物質がそれぞれ結着剤である結着樹脂中に分散された形で形成される。一方、単層型の機能分散型感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とが結着樹脂中に共に分散されて成る単層型の感光層が設けられる。
電子写真装置では、感光体に対して、前述の帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電の動作が種々の環境下で繰返し実行されるので、感光体には、感度が高いこと及び光応答性に優れることに加えて、環境安定性、電気的安定性、及び機械的外力に対する耐久性(耐刷性)に優れることが求められる。具体的には、感光体の表面層が、クリーニング手段等による摺擦によって磨耗しにくいことが求められる。
また、近年、印字画像の高画質化を図るために、トナーとして小粒径でかつ円形度の高いものが採用されてきている。従来のトナーに比べて明らかに転写性がよくなるため、画質は良くなるものの、クリーニング性が悪くなる。その理由は、トナーが丸くなりすぎると感光体とクリーニング手段との間をすり抜けてしまうからである。その対応としては、クリーニング手段の感光体に対する当接圧を大きくすれば良いが、大きな当接圧は感光体に傷を発生させてしまうことになる。したがって、感光体自体の耐刷性向上がより望まれている。
感光層の耐刷性向上に向けた取り組みとして、感光体の最表面に保護層を設ける技術、保護層に潤滑性を付与する技術、保護層を硬化させる技術、保護層にフィラー粒子を含有させる技術が知られている。
これら保護層は、感光層の基本機能を阻害しないという観点から可能な限り薄層化することが基本的には望まれる。また、保護層を設けることにより、さまざまな弊害が発生する。例えば、感光層と保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により保護層が剥離することがあり、また長期の繰り返し使用により露光部電位が上昇する。逆に保護層と感光層が連続的な層構成、すなわち感光層が引き続き塗布される保護層塗布液により溶解される場合には、その溶解状況により感光層の画像特性が悪化する。
中でもフィラー粒子を含有させる技術の使用は、フィラー粒子の分散性制御という新たな感光体の特性への影響因子を加えることとなる。すなわち、単純なフィラー粒子の添加量のみによって感光体の特性は規定されない。特許文献1には、最表面層の全固形分に対して0.1〜10重量%程度までのフィラー粒子を添加することによって耐刷性が向上することが開示されている。しかし、最表面層中でのフィラー粒子の分散状態の違いによって感光体の画像特性/電気特性/耐刷性が影響を受けることは容易に推測される。また、最表面層の誘電率が不均一になると、黒ベタ画像出力時のエッジ部の画像太り及びトナー飛散が発生する場合があり、このことからも最表面層内部でのフィラー粒子の分散状態が感光体の特性に大きく影響することがわかる。にもかかわらず、特許文献1は、これらの点に関して何ら言及していない。
機能分離型感光体において、その最表面に耐磨耗効果を付与することができれば、生産プロセスに余分な工程を含むことがないため、保護層を付与する場合と比較して大きなコスト上のメリットがある。また、感光層と保護層を積層して設けることによっておこる上記の弊害を回避することも可能となる。
一方、耐刷性を向上させると、その弊害として、ドラム(感光体)表面上に付着する帯電生成物等の影響による画像ボケ、画像流れが、特に高温高湿下にて発生する。これら弊害を排除するために、クリーニング手段に工夫を施した画像形成装置が開示されている(特許文献2)。しかしながら、この装置では、クリーニングブレードの先端部をV字形状やナイフエッジとしており、そのようなクリーニングブレードの作製には機械的精度が要求されるので、製造コストが上昇するという問題がある。
特許文献3は、少なくとも電荷輸送物質と窒素原子不含結着樹脂とを含有する特定の表面層を有する電子写真感光体と、線圧0.78N/cm以上の当接圧で感光体表面に当接された弾性ブレードからなるクリーニング手段とを組み合せることで、クリーニング不良を改善し、良好な電子写真特性を達成する技術を開示してはいる。しかしながら、この感光体の感度は劣っている。
特開平1−205171号公報 特開2004−61560号公報 特開2006−343658号公報
本発明の課題は、長期間の繰り返し使用に対しても機械的/電気的耐久性に優れ、異常画像の発生がない高品位な画像出力が可能な電子写真方式の画像形成装置を提供することである。
本発明によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体に形成された静電潜像を現像して可視化するための乾式トナーと、該乾式トナーにより可視化された画像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも備え、
前記電子写真感光体の最表面層がフィラー粒子を含有し、前記最表面層中のフィラー粒子は下記式(1):
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であり、
前記乾式トナーが0.95以上0.98以下の範囲の平均円形度を有し、
前記クリーニング手段が前記電子写真感光体に対して当接する当接部材を有し、該当接部材の前記電子写真感光体に対する当接圧が0.13〜0.25N/cmの範囲であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、耐刷性に優れ、長期の使用にわたって電気的安定性を保持し、異常画像の発生等の不良がなく、鮮鋭性が良好な画像を形成可能な画像形成装置を提供できる。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、該電子写真感光体に形成された静電潜像を現像して可視化するための乾式トナーと、該乾式トナーにより可視化された画像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも備えて構成される。前記構成要素(すなわち、電子写真感光体、乾式トナー及びクリーニング手段)及びその他の構成要素は、前記構成要素が下記の特徴を有すること以外は何ら限定されない。
本発明の画像形成装置において、電子写真感光体は、その最表面層がフィラー粒子を含有し、前記最表面層中のフィラー粒子は下記式(1):
1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足する均一な分散状態であることを特徴とする。
本発明において、最表面層とは、電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層の全部又は電荷輸送層の表面を含む一部(厚さ方向)の層である。製造の簡便さの観点から、好ましくは、最表面層は電荷輸送層の全部である。
本発明の画像形成装置において、乾式トナーは0.95以上0.98以下の範囲の平均円形度を有することを特徴とする。ここで、トナー粒子の円形度は、(トナー粒子の投影面積と同面積の円の周囲)/(トナー粒子の投影像の周囲長)で表される。
本発明の画像形成装置において、クリーニング手段は、前記電子写真感光体に対して当接する当接部材を有し、該当接部材の前記電子写真感光体に対する当接圧が0.13〜0.25N/cmの範囲であることを特徴とする。当接部材(下記で詳しく説明するが、例えばクリーニングブレード)が、電子写真感光体の回転につれて感光体表面を摺擦して残留トナーを除去する。
上記構成を採用することにより、本発明の画像形成装置は、印字画像の高画質化を達成しつつ良好なクリーニング特性を長期間にわたって維持することが可能となって高品位画像を長期間維持でき、その結果、低コスト化及びメンテナンスフリーが実現できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の1つの実施形態の構成を簡略化して示す部分断面図である。感光体1は、導電性材料からなる円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上に更に積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とを含む。電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
本発明の画像形成装置に用いられる感光体はまた、図3に示すように、導電性基体11と電荷発生層12との間に中間層15が設けられた積層型感光体(感光体2)であってもよい。
(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12、13の支持部材としても機能する。導電性基体11の形状は、図1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン等の金属単体、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の合金を用いることができる。またこれら金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン若しくはポリスチレン等の高分子材料、硬質紙又はガラス等の表面に、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)箔をラミネートしたもの、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)材料を蒸着したもの、又は導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着若しくは塗布したもの等を用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品若しくは熱水等による表面処理、着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っている。そのため、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性基体11の表面に前述のような処理を施すことによって、レーザ光の干渉による画像欠陥を防止できる。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。ここで、主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。電荷発生物質として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ系顔料、ペリレンイミド又はペリレン酸無水物等のペリレン系顔料、アントラキノン又はピレンキノン等の多環キノン系顔料、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表されるアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーン等に代表されるチアジン系色素、カプリブルー又はメルドラブルー等に代表されるオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料、ならびにセレン及び非晶質シリコン等の無機光導電性材料等を挙げることができる。これらの電荷発生物質は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組合わせて使用してもよい。
上記の電荷発生物質の中でも、下記一般式(A):
Figure 0004871197
(式中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、r、s、y及びzは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
上記一般式(A)における、X1、X2、X3及びX4が示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
また、上記X1、X2、X3及びX4が示すアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル基のようなC1〜C4のアルキル基が挙げられる。
更に、上記X1、X2、X3及びX4が示すアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ基のようなC1〜C4のアルコキシ基が挙げられる。
前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、高い電荷発生効率と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であるので、該化合物を用いた電荷発生層12は、光を吸収することによって多量の電荷を発生するとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく、電荷輸送層13に含有される電荷輸送物質に効率よく注入でき、感光層14表面に円滑に輸送される。
前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、例えばMoser, Frank H及びArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法等の公知の製造方法によって製造することができる。
例えば、前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物のうち、r、s、y及びzが0である無置換のオキソチタニウムフタロシアニンの場合は、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するか又はα−クロロナフタレン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基又は水で加水分解することによって得られる。
またイソインドリンとテトラブトキシチタン等のチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造することができる。
主成分として含まれる電荷発生物質以外の任意成分としては、増感染料、結着樹脂、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤等が挙げられる。
増感染料としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料又はチオピリリウム塩染料等が挙げられる。増感染料は、電荷発生物質100重量部に対して、10重量部以下の割合で使用することが好ましい、0.5〜2重量部の割合で使用することがより好ましい。
電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、又は前述の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルホルマール樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる。結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用できる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばテトラクロロプロパン又はジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタン又はジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した溶剤を用いることもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、10/100以上、200/100以下であることが好ましい。前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。比率W1/W2が100分の200を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。比率W1/W2は、50/100以上、150/100以下であることがより好ましい。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されていてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機等を挙げることができる。
電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが好ましい。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性及び生産性等を考慮に入れて最適な方法を選択できる。これらの塗布方法の中で、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法である。このように浸漬塗布法は、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、感光体の耐久性を向上させるフィラー粒子とを主成分とし、任意に電荷輸送物質及びフィラー粒子を結着させる結着樹脂を含んで構成できる。
結着樹脂は、電荷輸送層全体に対して30〜80重量%の範囲で含まれていることが好ましい。電荷輸送物質、フィラー粒子、結着樹脂以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、可塑剤等が含まれていてもよい。
電荷輸送物質には、ホール輸送物質及び電子輸送物質を用いることができる。
ホール輸送物質としては、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体等を挙げることができる。また、これらの化合物から生じる基を主鎖又は側鎖に有するポリマー、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセン等又はポリシラン等も挙げられる。
電子輸送物質としては、例えばベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタル酸誘導体、ジフェノキノン誘導体等の有機化合物が挙げられる。
電荷輸送物質は、ここに挙げたものに限定されるものではなく、その使用に際しては単独又は2種以上を混合して用いることができる。
特に、電荷輸送物質として、電子写真プロセス中で発生するオゾン、NOx等のガスに対する耐性のある下記一般式(1)
Figure 0004871197
(式中、R1とR2は、互いに同一か又は異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基を表すか、又はR1とR2は互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成してもよく、nは1〜4の整数を表し、Arはブタジエン基を有する芳香環基を表す)で示される化合物を用いることにより、繰り返し使用後においても、画像劣化の少ない安定した感光体を形成することが可能となる。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用できる。特に、有機溶剤に対する可溶性向上、塗膜の透明性向上等の理由から、ポリカーボネートを主成分とする樹脂が好ましい。ここで、主成分とは、結着樹脂の50重量%以上を占めることを意味し、より好ましくは60〜100重量%の範囲である。
ポリカーボネート以外の樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上の混合物を使用してもよい。
電荷輸送層13が最表面層である場合、電荷輸送層がフィラー粒子を含有する。
最表面層を構成するフィラー粒子には、大別して、有機系フィラーと金属酸化物を中心とする無機系フィラーがある。一般に、感光体表面の濡れ性を制御し、異物等の付着を抑制する目的にはフッ素系材料を中心とする有機系フィラーが用いられ、耐刷性向上を目的とした用途には無機系フィラーが主に用いられる。本発明では、無機系フィラーを使用することが好ましい。無機系フィラーとしては、材料としての硬度が高いものが好ましく、最表面層が結着樹脂を含んで構成される場合には、結着樹脂に分散しやすいものがより好ましい。無機系フィラーの例には、酸化珪素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)等の酸化物、あるいは、窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化化合物が挙げられる。特に、酸化珪素は、電荷輸送層中での光散乱を考慮した結果、フィラー粒子以外の成分の屈折率との差の小さく好適である。
フィラー粒子は、その分散状態が耐摩耗性、電気安定性に大きく影響を及ぼすため、単純な添加ではなく、その分散状態を加味した下記式(1):
1.0×10-3 ≦ (df×b3)/(dm×a3) ≦ 2.5×10-2 (1)
(式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)
で規定される範囲の量で添加される。この範囲の量であれば、良好な耐刷性を示す感光体が得られる。
各パラメータの値は以下の方法により決定できる。
aは、例えばTEMによる断面観察により直接測定することが好ましいが、均一な分散状態が確認できている場合には、フィラー粒子の添加量と媒体である塗膜の体積とから計算値として間接的に求めてもよい。
bは、例えばSEMによる断面観察により直接測定することができるが、市販品をフィラー粒子として用いる場合にはカタログ値を引用してもよい。
dfは、使用する粒子の体積と重量から計算により求めてもよいし、市販品を用いる場合にはカタログ値を引用してもよい。
dmは、塗膜サンプルの体積と重量を測定して計算して求めることができる。
ここで最表面層の固形分とは、塗布液を塗布し溶媒を乾燥して固化した最表面層の塗膜のことである。
均一な分散状態とは、塗布液中の図2中◆のような一次粒子径に近い状態が塗膜として固化した後も固定化され、塗膜中の粒子の平均粒子径が作製前の原材料の粒子の一次粒子径にほぼ等しい状態をいう。式(1)においては、均質な固形媒質中に、真球かつ粒度分布のないフィラー粒子を仮定し、この粒子が上記媒質中に均一分散されていることとする。フィラー粒子の添加量・粒子径・密度、及び媒質の密度(正確にはフィラー粒子を含む固形分全体の密度)が決まれば、平均フィラー粒子間距離aが決まる。得られた値aを、式(1)に代入することで、フィラー粒子が式(1)満たすか否か判定できる。
言い換えると、式(1)は、フィラー粒子が均一に"分布"していることが前提となる。そのため、本発明では、塗液/塗膜中でのフィラー粒子の分散が均一であり、かつ、式(1)を満たすように、フィラー粒子の添加濃度が規定されている。
ここで、aは、光散乱及び系中での電気的キャリア(電子及び/又は正孔)への弊害をできるだけ少なくするために小さいことが好ましい。具体的には、400nm以下が好適である。より好ましくは、aの範囲は20〜200nmである。
bは、電荷輸送層を透過した光(レーザー光)が電荷発生層で正孔と電子を発生するので、電荷輸送層での光散乱や光吸収をできるだけ避けるために小さいことが望ましく、具体的には例えば100nm以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、取り扱い性や費用の観点から例えば5nm程度であり得る。よって、bの範囲は、より好ましくは5〜100nmであり、更に好ましくは5〜20nmである。
dfの範囲は1.5〜7g/cm3であることが好ましく、1.5〜3g/cm3であることがより好ましい。
dmの範囲は1〜2g/cm3であることが好ましく、1〜1.5g/cm3であることがより好ましい。
フィラー粒子の添加にあたっては、均一な粒子分散状態を形成するため、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等さまざまな分散手法を用いることができる。そして、電子写真感光体の優れた特性を引き出すために、電子写真感光体の最表面の塗膜を形成するための分散液中あるいは塗膜形成後の分散状態を把握することが望まれる。
図2では、同一塗布液処方(ポリカーボネート樹脂PCZ−400(出光興産製)とPCZ−800(帝人化成製)をそれぞれ1.55g及びシリカTS−610(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製;一次粒子径17nm)3.1gをテトラヒドロフラン55.9gに混合)にて2種類の分散を実施した場合、分散処理後の塗布液中での粒度分布状態の違いが比較されている。図2中◆はボールミルにて5時間分散処理して得られた上記塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を、□はペイントシェーカにて5時間分散処理して得られた上記塗布液中のシリカ粒子の粒度分布を示す。◆から、シリカ粒子は当該塗布液中で一次粒子径に近い状態まで安定に分散されていることが分かり、他方□からは、シリカ粒子は当該塗布液中でミクロンオーダーの凝集体を形成していることが分かる。□は再凝集による凝集体が形成されていることを示していることは確かであるが、この状態が得られる詳細な原因は解明されていない。図2のような凝集状態の変化は、最終塗膜の電気特性や表面の均一性等に直接対応し、分散液中での均一かつ一次粒子径に近い分散体の形成が、塗膜中でも反映される。そのため、◆の分散手法は、結果として耐久性に優れた最表面層が形成できるため好ましい。
上記では未凝集のフィラー粒子の好適な例を挙げたが、式(1)を満たすならば、フィラー粒子の凝集体を使用してもよい。凝集体の場合、式(1)のa、b、dfにおいて、「フィラー粒子」は「凝集体」と読み替えるものとする。
また、上記ではペイントシェーカによる分散処理は、凝集体が形成される条件で行っているが、条件を変更することにより、一次粒子径に近い状態に分散させることも可能である。
なお、上記塗布液中のフィラー粒子の分散状態は、例えば光散乱式粒度分布測定装置等を用いて評価できる。
電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を電荷輸送層13に添加してもよい。可塑剤としては、例えばビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル(例えば、フタル酸エステル)、脂肪酸エステル、リン酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤等を挙げることができる。表面改質剤としては、シリコーンオイルのようなシリコーン系レベリング剤、フッ素樹脂系レベリング剤等が挙げられる。
電荷輸送層13は、前述の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶剤中に、電荷輸送物質、結着樹脂、フィラー粒子(電荷輸送層が最表面層である場合)、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解又は分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジベンジルエーテル及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン類、安息香酸メチル又は酢酸エチル等のエステル類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、ならびにN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前述の溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶剤を更に加えて使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。
電荷輸送層13の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下することがあるので好ましくない。電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下することがあるので好ましくない。
(感光層)
感光層14の各層には、感度の向上を図り、更に繰返し使用による残留電位の上昇及び疲労等を抑えるために、電子受容物質及び色素等の増感剤を1種又は2種以上添加してもよい。
電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等の多環若しくは複素環ニトロ化合物、又はジフェノキノン化合物等の電子吸引性材料等を用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したものを用いることもできる。
色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また、感光層14の各層には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。これによって、オゾン、窒素酸化物等の酸化性のガスに対しての劣化を少なくすることができる。また各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。
また、フィラー粒子を含有する最表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。フィラー粒子を含有する最表面層は、感光体の帯電時の活性ガス、例えばオゾンやNOx等、で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすい。そのため酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止できる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が用いられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体若しくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。これらの酸化防止剤の使用量は、合計で、電荷輸送物質100重量部当たり、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない場合があるので避けることが好ましい。また、50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがあるので避けることが好ましい。
(他の感光体構成例)
図3は、本発明に用いられる感光体の別の1つの実施形態の構成を簡略化して示す部分断面図である。感光体2は、感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
感光体2において注目すべきは、導電性基体11と感光層14との間に、中間層(下引き層)15が設けられていることである。
(中間層)
導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11から感光層14に電荷が注入されることがある。この電荷は、感光層14の帯電性を低下させることで、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷を減少させ、その結果、画像にかぶり等の欠陥を発生させることがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成される場合がある。そのため、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、その結果、画質の著しい劣化が生じることがある。すなわち、導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11又は感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽち等の画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥となることがある。
感光体2では、前述のように導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止できる。従って、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止できる。
また、中間層15を設けることによって、導電性基体11表面の凹凸を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
中間層15には、各種樹脂材料からなる樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。
樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びエチルセルロース等も挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロン及び12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂等を挙げることができる。
中間層15は、金属酸化物粒子を含有してもよい。中間層15にこの粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節できるので、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができる。加えて、各種の環境下において感光体の電気特性を維持できる。粒子径は、0.02〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化スズ等の粒子を挙げることができる。
中間層15は、例えば前述の樹脂を適当な溶剤中に溶解又は分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。中間層15に前述の金属酸化物粒子等を含有させる場合には、例えば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製する。次いで、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって中間層15を形成できる。
中間層用塗布液の溶剤には、水若しくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が用いられる。例えば、水、メタノール、エタノール若しくはブタノール等の単独溶剤、又は水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトン若しくはジオキソラン等とアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはトリクロロエタン等の塩素系溶剤とアルコール類等の混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等を用いる一般的な方法を使用できる。
中間層用塗布液中において、樹脂及び金属酸化物の合計重量Cと、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂の重量Eと金属酸化物の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層16を形成する場合にも多く利用されている。
中間層15の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。中間層16の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能し難くなり、導電性基体11の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることが困難となる。その結果、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することが困難となり、感光層14の帯電性の低下が生じることがあるため好ましくない。膜厚を20μmよりも厚くすることは、中間層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、中間層15の形成が困難であるとともに、中間層15上に感光層14を均一に形成することができないため、感光体の感度が低下する場合があるので好ましくない。
(感光体の製造方法)
感光体の製造に際しては、電荷発生層12、電荷輸送層13、中間層15等、各層の形成毎に乾燥工程が含まれることが好ましい。感光体の乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。感光体の乾燥温度が約50℃未満では乾燥時間が長くなり、又は溶剤が充分に蒸発せず感光層中に残ることがあるため好ましくない。乾燥温度が約140℃を越えると、繰返し使用時の電気的特性が悪くなり、感光体を使用して得られる画像が劣化することがあるため好ましくない。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、少なくとも、前述の本発明に係る感光体と、0.95以上0.98以下の範囲の平均円形度を有するトナーと、該感光体に0.13〜0.25N/cmの範囲の当接圧で当接する当接部材を有するクリーニング手段とを備えている限り、他の構成は限定されず、公知の構成のいずれもが採用できる。
図4は、本発明の画像形成装置の1つの実施形態の構成を簡略化して示す配置側面図である。図4に示す画像形成装置30は、感光体1を搭載するレーザプリンタである。以下、図4を参照してレーザプリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお、図4に記載のレーザプリンタ30は、本発明の画像形成装置の単なる例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45、及びクリーニング手段であるクリーナ46を備えて構成される。
半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。半導体レーザに代えて発光ダイオードを用いてもよい。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前述のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
非接触式の帯電手段であるコロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前述の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。本発明の画像形成装置において使用され得るトナーの詳細は下記で説明する。
転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。
分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって除去される。
クリーナ46は少なくとも当接部材を備え、この当接部材が感光体へ0.13〜0.25N/cmの当接圧で当接される。当接部材は、例えばクリーニングブレード、クリーニングブラシであり、感光体に対して逆回転(カウンター)方向又は順回転(リーディング)方向(好ましくは逆回転方向)に設置される。クリーニングブレードの形状は特に限定されず、電子写真感光体(有機感光体)に対して用いることができる限り種々の任意の形状であり得、例えば板状である。ブレードの厚さは例えば0.5〜5mm、好ましくは1.5〜3mmである。ブレードは、電子写真感光体(有機感光体)に対して用いることができる限り種々の材料からなり得、例えばゴム弾性材料、発泡樹脂、好ましくはゴム弾性材料(例えば、NBR)、より好ましくはウレタンゴムからなる。ブレードの硬度は例えばJIS−A硬度で50〜90であり、好ましくは60〜80である。反発弾性率(%)は例えば30〜70であり、好ましくは40〜60ある。当接部材は、ゴム弾性材料からなる場合、鉄やアルミニウムのような支持体の端部に取り付けられていてもよい。
感光体表面への当接部材の当接圧は、例えば、以下のようにして計測できる。
長さ300mm、幅10mmの長方形状に形成した厚み0.1mmのPET(polyethylene terephthalate)フィルム(商品名:マイラー、帝人デュポンフィルム株式会社製)を2枚重ねて感光体とクリーニングブレードとの間に挟む。この2枚の長方形状PETフィルムの間に、長さ300mm、幅20mmの短冊状に形成した上記と同様のPETフィルムF2の長手方向一端部を挟み、もう一方の一端部にテンションゲージG(商品名:2N、株式会社テックジャム製)を取り付ける。このとき、2枚の長方形状PETフィルムおよび感光体は、短冊状PETフィルムF2に力を加えた際に移動しない程度に固定される。そして感光体およびクリーニングブレードの接線方向に力を加えて短冊状PETフィルムを引っ張り、この短冊状PETフィルムが2枚の長方形状PETフィルムの間を滑り出すときにテンションゲージGが示す値を測定する。
クリーナ46は除去したトナーを回収容器に回収する機能を有していてもよい。
表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電器(例えば除電ランプ)によって除電された後、更に回転され、前述の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
本発明の画像形成装置はまた、感光体を複数設けることで複数の異なるトナーを用いて重ね併せ画像を形成可能な構成も採用できる。この構成はタンデム方式と称される。
上記では、レーザプリンタを例に説明したが、本発明の画像形成装置は、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などであり得る。
(トナー)
本発明に使用可能なトナーは、少なくともバインダ樹脂と着色剤とを含む着色粒子であり、平均円形度が0.95以上0.98以下の範囲にあるものである。
平均円形度は、例えばフロー式粒子像分析装置FTIA−3000(シスメックス株式会社製、測定条件:高倍率撮像ユニット、HPF測定モードにより計測することができる。
バインダ樹脂は、トナー用として使用され得る全てのものを使用することができ、例えばスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂及びアクリル樹脂等の付加重合型樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂及びポリエチレン樹脂等の縮合重合型樹脂、エポキシ樹脂であり得る。これらの中でも、ポリエステル樹脂は、樹脂の透明性が高くトナーとして鮮明な色目を確保できるので好ましい。
ポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。該アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA及びポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体を挙げることができる。
前記カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸との2量体、その他の2価の有機酸単量体を挙げることができる。
上記アルコールとカルボン酸の好ましい組み合わせは、2,2−ビス(3,5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及びイソフタル酸とテレフタル酸の混合物である。
上記ポリエステル樹脂は、上記2価の単量体だけでなく、3価以上の多官能性単量体に由来する樹脂であってもよい。3価以上の多官能性単量体としては、アルコールは、グリセリン等が、カルボン酸は、トリメリット酸等が挙げられる。
また、スチレン−アクリル樹脂は、例えばスチレン類、アクリル酸類、メタクリル酸類及びその誘導体から選ばれる1種以上のモノマーを重合して得られる。使用できるモノマーの例としては、スチレン類としてスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン及びクロルスチレン等が挙げられる。
アクリル酸類及びその誘導体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−テトラデシル、アクリル酸n−ヘキサデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジエチルアミノエチル及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル類が挙げられる。
メタクリル酸類及びその誘導体としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル及びメタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステル類が挙げられる。
前述のモノマー以外に、スチレン−アクリル樹脂の効果を損なわない範囲で、少量の他のモノマー、例えばアクリロニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルメチルエーテル、ブタジエン、イソプレン、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル類、マレイン酸ジエステル類及び酢酸ビニル等が用いられてもよい。
スチレン−アクリル樹脂の重合に用いられる架橋剤として、2官能及び多官能の架橋剤がある。2官能の架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200,#400及び#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬製)等が挙げられる。また、上記架橋剤において、アクリレート成分をメタクリレート成分に置き換えてもよい。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ならびに、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
着色剤は、トナー用として使用され得る全てのものを使用することができる。黒色の着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック及びランプブラック等を使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等を使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチレングレッド、ローズベンガル、ローダミンB及びアリザリンレーキ等を使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー及びタートラジン等を使用できる。
トナーは、帯電制御剤、離型剤、その他の添加剤を含有してもよい。
トナーは、例えば、バインダ樹脂中に着色剤を20重量%以下混合し、得られた混合物に、所望の場合には荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を加え、溶融、混練、冷却、粉砕及び分級の各工程を経た後、熱処理又は機械的処理を施して円形度を調整することにより得ることができる。円形度の調整は熱処理により行うのが比較的簡単であり好ましい。熱処理は、トナーに使用したバインダ樹脂の軟化点以上に昇温させることにより行う。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
まず、直径:30mm、長さ:340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に種々の条件にて感光層を形成した感光体の作製例(下記の表1では「製造例」と表記する)について説明する。
なお、作製例5、7および12〜16は参考例である。
[感光体の作製例1]
酸化チタン(TTO−MI−1;石原産業製)3g、アルコール可溶性ナイロン樹脂(CM−8000;東レ製)3g、メタノール60g、1,3−ジオキソラン40gをペイントシェーカにて10時間分散処理することで、下引き層用塗布液を調製した。調製した下引き層用塗布液を、直径30mm、長さ340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に膜厚1.0μmとなるように浸漬塗布法によって成膜することで、下引き層を形成した。
次に、ブチラール樹脂(エスレックBM−2;積水化学製)10g、1,3−ジオキソラン1400g、構造式(A−1)で示されるチタニルフタロシアニン(例えば、特許第3569422号明細書に記載された方法により製造)15gをボールミルにより72時間分散することで、電荷発生層用塗布液を調製した。この塗布液を、前記下引き層を設けたアルミニウム製円筒状支持体上に浸漬塗布法により膜厚が0.3μmとなるように成膜することで、電荷発生層を形成した。
Figure 0004871197
次に、下記構造式(B)で示されるポリカーボネート樹脂(PCZ−400;三菱瓦斯化学製)1.8g及びシリカ(TS−610;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.8gをテトラヒドロフラン32.4gに混合した。得られた混合物を、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いてボールミルにて7時間分散処理することで、電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。この段階で、シリカ(フィラー粒子)が均一に分散し、一次粒子径(約17nm)に対応する分散状態が保持されていることを、光散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA−150;日機装)を用いて確認した。
Figure 0004871197
(式中、R5〜R12は水素原子、ハロゲン原子、又は置換若しくは末置換の脂肪族基若しくは炭素環基を表し、Zは置換又は未置換の炭素環又は複素環を形成するのに必要な原子群を表し、nは10〜1000の数を表す。
次に、電荷輸送物質として下記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)100g、ポリカーボネート樹脂(PCZ−400)1g、酸化防止剤(K−NOX BHT;デグサ社製)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。この溶解液に前記電荷輸送層用一次分散塗布液3.6gを混合し、15時間攪拌処理することで、電荷輸送層用二次分散塗布液を調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前述の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して層厚25μmの電荷輸送層を形成して本発明に係る感光体を作製した。
Figure 0004871197
(感光体の作製例2)
作製例1と同様に電荷発生層まで形成した後、構造式が同じで重量平均分子量の異なる2種類のポリカーボネート樹脂PCZ−400とPCZ−800をそれぞれ0.62gずつ及びシリカ(TS−610)1.25gをテトラヒドロフラン22.5gに混合して、ボールミルにて7時間分散処理することで電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物100g、前記ポリカーボネート樹脂PCZ−400とPCZ−800をそれぞれ69.9gずつ及び酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、製造例1と同様にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例3)
作製例1と同様に電荷発生層まで形成した後、2種類のポリカーボネート樹脂PCZ−400とPCZ−800をそれぞれ2.0g、1.1g及びシリカ(TS−610)3.1gをテトラヒドロフラン55.9gに混合して、ボールミルにて7時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物100g、前記ポリカーボネート樹脂PCZ−400とPCZ−800をそれぞれ88.4g、48.6g及び酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン992gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、製造例1と同様にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例4)
作製例1と同様に電荷発生層まで形成した後、ポリカーボネート樹脂(PCZ−400)4.66g及びシリカ(TS−610)4.65gをテトラヒドロフラン83.7gに混合して、ボールミルにて7時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物100g、ポリカーボネート樹脂(PCZ−400)135.4g、酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン998gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、作製例1と同様にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例5)
フィラー粒子の種類をアルミナ(スミコランダムAA−04;住友化学工業製)に変更したこと以外は、作製例3と同じ含有量にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例6)
フィラー粒子の種類をシリカ(X−24−9163A;信越化学工業製)に変更したこと以外は、作製例3と同じ含有量にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例7)
フィラー粒子の種類をシリカ(SO−E5;アドマテックス製)に変更したこと以外は、作製例3と同じ含有量にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例8)
電荷輸送物質を下記構造式(II)で示されるトリアリールアミン化合物(日本蒸溜工業社製)90gと下記構造式(III)に示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)10gに変更したこと以外は、作製例3と同様にして本発明に係る感光体を作成した。
Figure 0004871197
Figure 0004871197
(感光体の作製例9)
電荷輸送物質を上記構造式(II)で示されるトリアリールアミン化合物(日本蒸溜工業社製)100gに変更したこと以外は、作製例3と同様にして感光体を作製した。
(感光体の作製例10)
電荷輸送物質を下記構造式(IV)で示されるスチリル系化合物(保土谷化学工業社製)100gに変更したこと以外は、作製例3と同様にして本発明に係る感光体を作製した。
Figure 0004871197
(感光体の作製例11)
電荷輸送層用一次分散塗布液に酸化防止剤を添加しないこと以外は、作製例3と同様にして本発明に係る感光体を作製した。
(感光体の作製例12)
ポリカーボネート樹脂(PCZ−800)3.1g及びシリカ(TS−610)3.1gをテトラヒドロフラン55.8gに混合して、ペイントシェーカにて7時間分散処理することで電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。その後、塗布液中のシリカの粒度分布を測定したところ、明らかに一次粒子径より極めて大きな粗大凝集体が形成されていることを確認した。この一次分散塗布液を使用すること以外は、作製例3と同様にして感光体を作製した。
(感光体の作製例13)
ポリカーボネート樹脂(PCZ−800)0.12g及びシリカ(TS−610)0.12gをテトラヒドロフラン2.16gに混合して、ボールミルにて7時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)100g、ポリカーボネート樹脂PCZ−400及びPCZ−800をそれぞれ69.9gずつ、酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、作製例1と同様にして、感光体を作製した。
(感光体の作製例14)
ポリカーボネート樹脂PCZ−400及びPCZ−800をそれぞれ2.5gずつ、シリカ(TS−610)5.0gをテトラヒドロフラン90gに混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)100g、ポリカーボネート樹脂PCZ−400及びPCZ−800をそれぞれ67.5gずつ、酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン1005.6gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、作製例1と同様にして、感光体を作製した。
(感光体作製例15)
電荷輸送層用一次分散塗布液を調製した後、電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)100g、ポリカーボネート樹脂(PCZ−400)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE:ルブロンL−2;日進化成製)をそれぞれ123.3g及び13.7g、酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン984gに混合した。得られた溶液を電荷輸送層用二次分散塗布液に使用すること以外は、作製例1と同様にして、感光体を作製した。
(感光体作製例16)
電荷輸送物質として上記構造式(I)で示されるブタジエン系化合物(高砂香料社製)100g、ポリカーボネート樹脂PCZ−400及びPCZ−800をそれぞれ63gずつ、酸化防止剤(K−NOX BHT)5gをテトラヒドロフラン980gに混合して溶解した。得られた溶液を電荷輸送層形成用の塗布液に使用すること以外は、作製例1と同様にして、感光体を作製した。
感光体作製例1〜15のフィラー粒子の種類、組成、平均フィラー粒子間距離a(nm)、平均フィラー粒子径b(nm)、フィラー粒子の密度df(g/cm3)、最表面層の固形分の平均密度dm(g/cm3)、Rf値(df×b3)/(dm×a3)及び電荷輸送層中の含有量(重量%)を表1に示す。なお、a、b、df及びdmの測定方法を下記する。また、電荷輸送物質(CTM)の種類、酸化防止剤の種類を表1に示す。
[a、b、df及びdmの測定方法]
aは、均一な分散状態が確認できた製造例1〜11及び13〜15では、フィラー粒子の添加量と媒体である塗膜の体積より計算値として求めた。
bは、市販のフィラー粒子なのでカタログ値より引用した。
dfは、市販品のフィラー粒子なのでカタログ値を引用した。
dmは、塗膜の体積と重量を測定して計算して求めた。
Figure 0004871197
(本発明の画像装置の実施例)
製造例1、3、4、11の各感光体を、試験用に現像器を表面電位測定器に交換できるよう改造したカラーデジタル複合機MX−4500N(シャープ製)に装着し、ISO19752で規定された文字テストチャートを10万枚画像形成させた。感度、耐刷性及び画像を下記の方法により評価した。
評価に際しては、円形度の異なるトナーとクリーニングブレードの感光体への当接圧(ブレード線圧)とを各々組み合わせて行った。
[トナーの作製]
バインダ樹脂としてのポリエステル樹脂(商品名:タフトン、花王株式会社製、ガラス転移温度70℃、軟化温度130℃)を85部、着色剤として銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)を5部、離型剤(カルナバワックス 融点82℃)8部、帯電制御剤(ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社)2部をヘンシェルミキサーにて3分間混合分散し、原料を得た。得られた原料を、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて溶融混練分散し、通常の粉砕法により中心粒径6.7μmのトナーを作製し、これに熱風による表面改質処理を施して平均円形度0.94、0.95、0.98又は0.99のトナーを得た。熱処理条件は、平均円形度0.94、0.95、0.98及び0.99についてそれぞれ250℃で2分間、250℃で3分間、250℃で4分間、及び250℃で5分間であった。平均円形度は、FPIA−3000(シスメックス製)を用いて計測した。
[クリーニング手段]
クリーニング手段であるクリーニングブレードは、カラーデジタル複合機MX−4500N(シャープ製)に備わるもの(厚さ2mmのウレタンゴムブレード)を使用した。ブレードの当接圧の調節は、ブレードの食い込み角度を変化させることにより行った。当接圧は、テンションゲージG(商品名:2N、株式会社テックジャム製)を用いて測定した。
次に、各性能の評価方法について説明する。
[感度(電気特性)評価]
複写機から現像器を取外し、代わりに表面電位計(model 344;トレック・ジャパン製)を取り付けた。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−650Vに調整した。その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm2)し、感光体の初期の表面電位を露光電位VL1(−V)とし、上記テストチャートを用いた10万枚画像形成後の表面電位を露光電位VL2(−V)として測定した。得られたVLから以下の基準で感度を評価した。なお、露光電位VLの絶対値が小さい程、感光体が高感度であることを意味する。
<判定基準>
○:|VL|<90(V)
△:90(V)≦|VL|<130(V)
×:130(V)≦|VL|
[クリーニング性評価]
前述の文字テストチャートとA4サイズの記録紙を用い、画像形成初期(≒0k)及び10万枚画像形成後に、形成された画像を目視することによって、黒白2色の境界部の鮮明度、感光体回転方向へのトナー漏れによる黒すじの有無を試験した。更に、後述の測定器によってかぶり量Wkを求めて、クリーニング性を評価した。形成画像のかぶり量Wkは、Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM(日本電色工業製)を用いて反射濃度を測定することで求めた。具体的には、まず画像形成前の記録紙の反射平均濃度Wrを測定した。次にその記録紙に対して画像形成し、画像形成後、記録紙の白地部分各所の反射濃度を測定した。最もかぶりの多いと判断された部分、すなわち白地部でありながら濃度の最も濃い部分の反射濃度Wsを測定した。WrとWsとから式{100×(Wr−Ws)/Wr}で求められるWkをかぶり量と定義した。得られたWkから以下の基準でクリーニング性を評価した。
○:良好。鮮明度よく黒すじなし。かぶり量Wkが5%未満。
△:実用上問題なし。鮮明度は実用上問題のないレベルであり、黒すじの長さが2.0mm以下かつ5個以下。かぶり量Wkが5%以上10%未満。
×:実用不可。鮮明度に実用上問題あり。黒すじの上記△の範囲を超えるもの。かぶり量Wkが10%以上。
[画像劣化評価]
耐刷試験後の画質の低下レベルを、半導体レーザのパルス幅を変調させて255階調分の80階調としたハーフトーン画像を出力することで、以下の判断基準で濃度ムラを評価した。濃度ムラが多いほど、画像が劣化していることを意味する。
○:目視にて、画像に濃度ムラなし。良好な画像。
△:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題となるレベル。
[総合評価]
上記3項目の判定結果を基に、下記のとおり判定する。
◎:3項目すべて○
○:3項目のうち○或いは△のみで1項目以上△
×:3項目のうち少なくとも1つ以上×
評価結果を表3及び表4に示す。
Figure 0004871197
Figure 0004871197
表2及び3より、1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2を満たすように最表面層にフィラー粒子を含有する感光体と、円形度が0.95以上0.98以下の乾式トナーと、当接部材の当接圧が0.13〜0.25N/cmであるクリーニング手段とを備える画像形成装置においては、10万枚実写時の感度安定性、クリーニング性及び画像劣化評価で、実使用上問題がないことが確認された。
他方、最表面層中のフィラー粒子が1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2の範囲を満足する感光体であっても、円形度が0.95以上0.98以下の範囲外の乾式トナー及び/又は当接部材の当接圧が0.13〜0.25N/cmの範囲外であるクリーニング手段と組み合わせた画像形成装置では、クリーニング性又は画像劣化の点で実使用上問題がみられた。
本発明に使用できる電子写真感光体の概略部分断面図である。 フィラー粒子の分散条件による凝集粒子径の差異を示すグラフである。 本発明に使用できる電子写真感光体の概略部分断面図である。 本発明の画像形成装置の概略側面図である。
符号の説明
1、2 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 中間層
30 レーザプリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段

Claims (6)

  1. 導電性基体上に電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層された電子写真感光体と、該電子写真感光体に形成された静電潜像を現像して可視化するための乾式トナーと、該乾式トナーにより可視化された画像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも備え、
    前記電子写真感光体の最表面層が、酸化珪素からなりかつ100nm以下の平均粒子径を有するフィラー粒子を含有し、
    前記最表面層を形成するための前記電荷輸送層の形成用の一次分散塗布液中のフィラー粒子が、光錯乱式粒度分布測定装置による測定の結果、一次粒子径に対応する分散状態が保持されており
    前記最表面層中のフィラー粒子が、下記式(1):
    1.0×10-3≦(df×b3)/(dm×a3)≦2.5×10-2 (1)
    (式中、aは平均フィラー粒子間距離(nm)を意味し、bは平均フィラー粒子径(nm)を意味し、dfはフィラー粒子の密度(g/cm3)を意味し、dmは最表面層の固形分の平均密度(g/cm3)を意味する)を満足し
    前記乾式トナーが0.95以上0.98以下の範囲の平均円形度を有し、
    前記クリーニング手段が前記電子写真感光体に対して当接する当接部材を有し、該当接部材の前記電子写真感光体に対する当接圧が0.13〜0.25N/cmの範囲であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記電子写真感光体が、電荷輸送物質として、下記一般式(1):
    Figure 0004871197
    (式中、R1とR2は、互いに同一か又は異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基を表すか、又はR1とR2は互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成してもよく、nは1〜4の整数を表し、Arはブタジエン基を有する芳香環基を表す)
    で示されるアミン系化合物を含有する請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記最表面層が酸化防止剤を更に含有する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記乾式トナーがポリエステル樹脂からなる請求項1〜のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  5. 前記乾式トナーが熱処理により表面改質されている請求項1〜のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  6. 前記当接部材がウレタンゴムからなる請求項1〜のいずれか1つに記載の画像形成装置。
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