JP4867702B2 - 電子写真用トナー、電子写真用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

電子写真用トナー、電子写真用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真用トナー、電子写真用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
電子写真法としては、既に多数の方法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に静電潜像を形成し、形成された潜像を、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ということがある。)を用いて現像しトナー像を形成した後、潜像保持体表面のトナー像を、中間転写体を介してまたは介さずに、紙等の被転写体(記録媒体)表面に転写し、この転写トナー像を加熱、加圧、加熱加圧または溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。潜像保持体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法により除去(クリーニング)され、再び上記の複数の工程に供される。
被転写体表面に転写された転写トナー像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し定着する熱ロール定着法が一般的である。また、同種の技術として、ロールの一方または両方をベルトに代えて構成されたものも知られている。
一方、画像形成装置のエネルギー使用量を少なくするため、より低エネルギーでトナーを定着する技術が望まれており、そのためより低温で定着し得る電子写真用トナーの要求が強い。より低温で定着する方法としては、結晶性樹脂を利用する技術が知られており、また更にトナー強度を持たせる観点から、結晶性樹脂と共に非結晶性樹脂を混合して用いることが試されている(例えば、特許文献1参照)。
また最近では、高画質化の観点から、画像の表面の傷つきやすさが大事な品質の1つとして挙げられている。結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを混合してなり、耐傷性が良好なトナーとして、(1)特定の化学構造を有する結晶性の化合物を特定の割合で含有し、当該化合物を含有することに起因して、結晶の融解および結晶化する際に特有の熱的挙動を有するトナーが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、(2)結着樹脂のガラス転移点(Tg)付近に特有の発熱ピークを有するトナーが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、ますます高まる高画質化要求達成のためには、耐傷性の更なる向上が望まれていた。
特開2004−191623号公報 特開2001−318484号公報 特開2004−184561号公報
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、耐傷性に優れた画像が得られる電子写真用トナーおよび電子写真用現像剤、該電子写真用現像剤を用いたトナーカートリッジおよびプロセスカートリッジ、耐傷性に優れた画像が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち請求項1に係る発明は、少なくとも、着色剤と、下記式1で表されるエステル濃度Mが0.07≦M≦0.09である結晶性ポリエステルと、アルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いた非結晶性ポリエステルと、を含み、前記非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が75:25〜98:2である電子写真用トナーである。
(式1) エステル濃度(M)=K/A
(式1中、Kはポリエステル中のエステル基数を、Aはポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のアルコール成分のうちの、前記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の量が60モル%以上85モル%以下である電子写真用トナーである。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のアルコール成分のうちの、前記直鎖脂肪族ジオールの量が15モル%以上25モル%以下である電子写真用トナーである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真用トナーが、結晶性ポリエステル粒子、非結晶性ポリエステル粒子および着色剤粒子を凝集させ、合一させて作製される電子写真用トナーである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子写真用トナーを含有する電子写真用現像剤である。
請求項6に係る発明は、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、前記現像手段に供給するための現像剤として請求項5に記載の電子写真用現像剤を収納するトナーカートリッジである。
請求項7に係る発明は、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項5に記載の電子写真用現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
請求項8に係る発明は、潜像保持体と、該潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項5に記載の電子写真用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像をより好適に得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像をより好適に得ることができると共に、樹脂のガラス転移点を好ましい領域により容易に制御することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、粒径のそろった電子写真用トナーを提供することができ、より画質の高い画像を得ることができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる電子写真用トナーの供給を容易にし、上記特性の維持性を高めることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる電子写真用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高めることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂としての結晶性ポリエステルおよび非結晶性ポリエステルと、着色剤と、を少なくとも含み、前記結晶性ポリエステルの下記式1で表されるエステル濃度Mが0.07≦M≦0.09であり、前記非結晶性ポリエステルがアルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いると共に、前記非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が75:25〜98:2であることを特徴とする。
(式1) エステル濃度(M)=K/A
(式1中、Kはポリエステル中のエステル基数を、Aはポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
効果の発現については明確に分かっているわけではないが、前記エステル濃度Mが0.07≦M≦0.09である特定の結晶性ポリエステルと、炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールをアルコール成分のうち10モル%以上30モル%以下含有する特定の非結晶性ポリエステルと、を用いることにより両者の長鎖アルキル基が絡まり合い、適度に相溶し、定着後の画像においても相分離が進行せず、また、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物をアルコール成分のうち50モル%以上90モル%以下含有する特定の非結晶性ポリエステルを用いることにより、優れた剛直性により樹脂の強度を確保することができ、これらの作用により優れた耐傷性が得られるものと推定している。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず電子写真用トナーの組成について説明する。
<結晶性ポリエステル>
本発明の電子写真用トナーは結晶性ポリエステルを含有することを必須の要件とする。
ここで、本発明において「結晶性ポリエステル」の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに40〜50℃の幅を有するピークを示す場合がある。
本発明に用いる結晶性ポリエステルは、下記式1で表されるエステル濃度Mが、0.07≦M≦0.09であることを要する。
(式1) エステル濃度(M)=K/A
(式1中、Kは樹脂中のエステル基数を、Aは樹脂の高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
尚、前記「エステル濃度M」とは、結晶性ポリエステルの高分子化合物におけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。前記式1中のKで表される「結晶性ポリエステルに含まれるエステル基の数」は、言い換えれば結晶性ポリエステル全体に含まれるエステル結合の数を指す。
前記式1中のAで表される「ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数」は、結晶性ポリエステルの高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。即ち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つとの計10個の原子のうち、前記「ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、前記「ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数」に含まれない。
結晶性ポリエステルが、1の繰り返し単位(例えば、高分子化合物がH−[OCORCOORO−]−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。R及びRは一価の基を、nは1以上の整数を表す。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(即ち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式1−1により、求めることができる。
(式1−1) エステル濃度M=2/A’
(式1−1中、A’は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を表す。)
また、本発明に係る結晶性ポリエステルが、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、前記式1に代入することで、求めることができる。例えば、共重合単位がXa、XbおよびXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただしa+b+c=1)である化合物[(Xa)(Xb)(Xc)]についてのエステル濃度Mは、下記式1−2により、求めることができる。
(式1−2) エステル濃度M={KXa×a+KXb×b+KXc×c}/
{AXa×a+AXb×b+AXc×c}
(式1−2中、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。)
本明細書に記載のエステル濃度Mは、以上の算出方法によって求めた値である。
尚、完成品である電子写真用トナーからのエステル濃度Mの算出は、まず、トナーよりトルエン可溶分を除去したのち、結晶性樹脂を分離し、NMR等の分析により、ポリマー構造を同定し、エステル濃度を算出することができる。
本発明に用いる結晶性ポリエステル(高分子量体および低分子量体を含む)においては、結晶性ポリエステルの主鎖に対して他成分を共重合した樹脂の場合、他成分の量が50質量%以下であれば、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
結晶性ポリエステルは、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成される特定の結晶性ポリエステルである。以降ポリエステルの樹脂中において、ポリエステル合成前には酸成分であった構成部位を「酸由来構成成分」と、ポリエステルの合成前にはアルコール成分であった構成部位を「アルコール由来構成成分」と、示す。
−酸由来構成成分−
前記酸成分(酸由来構成成分となるための酸)としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、特定の結晶性ポリエステルの合成に用いられる主たる酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が望ましく、特に脂肪族ジカルボン酸は直鎖型のカルボン酸が望ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、またはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらのうち、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させることができ、好適に用いることができる。このジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられるが、この限りではない。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、およびこれらのアルキルエステル類が好ましい。尚、芳香族ジカルボン酸の重合量としては10構成モル%が好ましい。
ここで、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステルにおける酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール成分(アルコール由来構成成分となるためのアルコール)としては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が7〜20の範囲である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。
また、芳香族ジカルボン酸と縮重合させてポリエステルを得る場合、前記鎖炭素数としては、奇数であるのが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘンキンサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
アルコール由来構成成分は、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分が含まれる。アルコール由来構成成分としては、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上であるのがより好ましい。
以上使用可能な成分(単量体)を列挙したが、工業用途として入手可能な単量体であって、且つ結晶性ポリエステルの前記エステル濃度Mを0.07≦M≦0.09に制御するためには、ジカルボン酸成分として、セバシン酸、ドデカン2酸およびテトラデカン2酸から選択される少なくとも一種を、ジオール成分として、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールから選択される少なくとも一種を、酸成分およびアルコール成分のそれぞれにおける主成分(10構成モル%以上)として用いることが好ましい。
−結晶性ポリエステルの製造方法−
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、単量体の種類によって使い分けて製造することができる。尚、酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため一概には言えないが、通常1/1程度である。
このようにして得られる結晶性ポリエステルの融点としては、60〜120℃の範囲であることが好ましく、70〜100℃の範囲であるのがより好ましい。尚、本発明において、結晶性ポリエステルの融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、150℃まで毎分10℃の昇温速度で昇温させて測定を行った時の吸熱ピークのトップの値を用いた。
また、結晶性ポリエステルのGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)としては、10000〜35000が好ましく、更には15000〜30000がより好ましい。
尚、前記重量平均分子量の測定は以下の方法によって行った。
ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)として「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
<非結晶性ポリエステル>
本発明の電子写真用トナーは、非結晶性ポリエステルを含有することを必須の要件とする。非結晶性ポリエステルはアルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いることを要する。
上記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、更にアルコール成分のうち、60モル%以上85モル%以下用いることが特に好ましい。
また、、上記直鎖脂肪族ジオールは、15モル%以上25モル%以下用いることが特に好ましい。
上記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物および炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールの量(非結晶性ポリエステルの合成に用いたアルコール成分のうち、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物および炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールのそれぞれが占める量)は、非結晶性ポリエステルの組成から算出することができ、本明細書に記載の量は当該方法によって求めた値である。
尚、完成品である電子写真用トナーからこれらの量を測定する場合には、まず、トナーのトルエン可溶分を抽出し、トルエンを留去したのち、NMR等により樹脂の構造を分析し、モノマー組成を測定することにより算出することができる。
−アルコール由来構成成分−
上記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、ビスフェノールAのエチレンオキシド、ビスフェノールAのプロピレンオキシドが挙げられる。エチレンオキシドやプロピレンオキシドといったアルキレンオキシドには2モル付加物や、3モル、4モル付加物が存在するが、特に制限されるものではない。これらの単量体は2種以上混合使用しても構わず、混合量を調整することもできる。
炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。これらのジオール成分は、2種以上混合使用しても構わない。
また、アルコール成分としてその他の単量体を用いることができる。例えば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されている単量体成分が挙げられ、従来公知の2価または3価以上のアルコールが挙げられる。
2価のアルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−酸由来構成成分−
非結晶性ポリエステルに用いる酸成分としては、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されている単量体成分が挙げられ、従来公知の2価または3価以上のカルボン酸が挙げられる。
2価のカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸、ドデセニルコハク酸、等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく用いられる。
なお、上述の2価または3価以上のカルボン酸および2価または3価以上のアルコール以外にも、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
前記非結晶性ポリエステルは、前記の単量体成分の中から組合せて、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重付加:共立出版)やポリエステルハンドブック(日刊工業新聞社編)等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、または、組み合せて用いることができる。
本発明に用いる非結晶性ポリエステルのGPCにより測定した重量平均分子量Mwとしては、8,000〜50,000の範囲のものが好ましく、また数平均分子量Mnが3,000〜15,000の範囲のものが好ましい。尚、ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)としては、前述の結晶性ポリエステルに用いた方法を適用することができる。
本発明の電子写真用トナー中における非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)は、75:25〜98:2であることを必須の要件とし、85:15〜96:4であることがより好ましい。
また、本発明の電子写真用トナーにおける、前記結晶性ポリエステルおよび非結晶性ポリエステルの含有量としては、75質量%以上95質量%以下であることが好ましく、更には、80質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
<着色剤>
本発明の電子写真用トナーに用いられる着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて選択することができる。着色剤は1種単独で用いてもよいし、同系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。さらに、これらの着色剤を表面処理して用いてもよい。
用いられる着色剤としては、各色の顔料および染料が用いられ、具体例としては以下に示すものを挙げることができる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウォッチングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、ピラゾロンレッド、ローダミンレーキB、レーキレッドC、ローズベンガル、エオシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどを挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー等があげられる。
これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。
また、本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、耐光性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。着色剤は、定着時の発色性を確保するために、トナーの固体分総質量に対して、4質量%以上15質量%以下の範囲で添加することが好ましく、4質量%以上10質量%以下の範囲で添加することがより好ましい。但し、黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、12質量%以上48質量%以下の範囲内で添加することが好ましく、15質量%以上40質量%以下の範囲で添加することがより好ましい。
また、トナー中に含有される着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100nm以上330nm以下の範囲内が好ましく、100nm以上200nm以下の範囲内であることがより好ましい。なお、着色剤粒子の中心径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
尚、前記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
<離型剤>
本発明のトナーには、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤は、一般に離型性を向上させる目的で使用される。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。本発明において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これを水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で直径1μm以下の粒子状に分散させることにより、離型剤分散液を得ることができる。なお、得られた離形剤分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定することができる。
これらの離型剤の添加量としては、本発明のトナー(トナー粒子)の全量に対して、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
<その他の成分>
本発明の電子写真用トナーに用いることができるその他の成分としては、特に制限はなく、例えば、無機粒子、有機粒子、帯電制御剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。
前記無機粒子は、一般にトナーの流動性を向上させる目的で使用される。該無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。
無機粒子の平均1次粒子径(数平均粒子径)としては、1nm以上1000nm以下の範囲が好ましく、その添加量(外添)としては、トナー100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下の範囲が好ましい。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性、または帯電性を向上させる目的で使用される。前記有機粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン−アクリル共重合体等の粒子が挙げられる。
帯電制御剤は、一般に帯電性を向上させる目的で使用される。帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシンや4級アンモニウム塩等が挙げられる。
<コアシェル構造>
本発明の電子写真用トナーは、その表面が表面層、即ちシェル部(シェル層)によって覆われていてもよい。表面層は、トナー全体の力学特性、溶融粘弾性特性に大きな影響を与えないことが望ましい。表面は樹脂被覆層、粒子被覆層、化学処理被覆層等があり、表面層の膜厚は薄いことが望ましく、樹脂被覆層を用いた場合、具体的には0.05μm以上0.5μm以下の範囲内であることが好ましい。また粒子被覆層の場合、粒子は0.5μm以下のものが望ましい。
前記範囲の薄い表面層を形成するためには、結着樹脂、その粒子、着色剤の他、必要に応じて添加される無機粒子、その他の材料を含む粒子を、トナーの表面に付着または吸着させ、必要に応じて粒子を平滑化して被覆する。また、樹脂の原料モノマーを吸着させてグラフト重合しながら樹脂被覆する、界面重合する、または化学的に処理する方法が好適に使用される。
表面層を構成する成分としては、シランカップリング剤、イソシアネート類、ビニル系単量体、樹脂、およびその粒子等が挙げられる。
シランカップリング剤は、カップリング剤そのものをトナー表面に処理し、被覆させる方法が好ましい。イソシアネート類は、ジアミンやジアルコールを樹脂中に含ませておき、トナー界面で、重合させる方法が好ましい。また、ポリエステル末端を利用してイソシアネート変性し、水中で界面をウレア化していくといった、表面層形成も利用できる。
ビニル系単量体を化学的に処理する方法としては、例えば、過酸化物等の強酸化物質、オゾン酸化、プラズマ酸化等により酸化する方法、極性基を含む重合性単量体をグラフト重合、シード重合により結合させる方法等が挙げられる。
本発明においては、乳化凝集合一法を用いて表面層を形成するのが好ましい。表面層の材料としては非結晶性樹脂を用いることが好ましく、コア部を形成する非結晶性ポリエステル(前述の非結晶性ポリエステル)と同じ材料群から選択することができる。材料群や材料組成はコア部と同一であっても異なっていてもよいが、結晶性樹脂をコア部にかたよらせることが望ましいため、異なっていること(即ち、異なる単量体からなること)が好ましい。
尚、材料組成等が異なっている場合、そのSP値の差が0.5以下であることが望ましい。また分子量やガラス転移点も同等な物性であることが好ましい。
ここで、樹脂のSP値は、下記(式2)のFedorsのパラメータを用いて計算により求めたものである。SP値は用いる単量体の組成比率から次式を用いて計算することができる。
SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi) (式2)
(式2中、Evは蒸発エネルギー(cal/mol)を、vはモル体積(cm/mol)を、Δeiはそれぞれの原子または原子団の蒸発エネルギーを、Δviはそれぞれの原子または原子団のモル体積を表す。)
トナーの粒子表面に、先の物質を化学的もしくは物理的に付着させて、表面層を設ける場合、例えば、樹脂粒子をトナーと共に機械力をもちいて、トナー母粒子の外側にコートさせることもできる。前記樹脂粒子としては、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステルなどが挙げられる。コートの際に使用されるミキサーとしては、サンプルミル、ヘンシェルミル、Vブレンダー、ハイブリダイザー等が挙げられる。
また、金属、金属酸化物、金属塩、セラミック、樹脂、樹脂粒子、カーボンブラック等の粒子を、さらに外添してもよい。
<トナーの製造方法>
次に、本発明の電子写真用トナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、特に制限はないが、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法など、水中でトナー粒子を作製する湿式製法が好ましい。特に凝集合一法が好ましい。
凝集合一法とは、樹脂粒子(前述の結晶性ポリエステルの粒子および非結晶性ポリエステルの粒子を含む)を分散した樹脂粒子分散液、および着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液(更に離型剤を添加する場合には、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液)を混合する混合工程と、前記樹脂粒子および前記着色剤粒子(上記の場合には更に離型剤粒子)の凝集粒子分散液を形成する凝集工程と、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合・合一する融合・合一工程と、を有する製法である。
具体的には、一般に乳化重合法などによりイオン性界面活性剤を含有する樹脂粒子分散液を調製し、着色剤粒子分散液(上記の場合には更に離型剤粒子分散液)を混合し、イオン性界面活性剤とは反対の極性を有する凝集剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥してトナーを得る。
尚、混合工程における樹脂粒子分散液としては、一般的に、結晶性樹脂分散液(前述の結晶性ポリエステルの粒子を含む)と非結晶性樹脂分散液(前述の非結晶性ポリエステルの粒子を含む)とをそれぞれ準備して行う。
また、凝集工程において、結晶および非結晶性樹脂微子分散液、および着色剤粒子分散液(上記の場合には更に離型剤粒子分散液)を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、ガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定した後、第2段階としてイオン的バランスのずれを補填する極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂粒子分散液を追添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂粒子と追添加された樹脂粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま合一させたものでもよい。更にこの凝集の段階的操作は複数回くり返し実施してもよい。また、この追添加された樹脂粒子は、凝集時の粒子と異なる材料を用いてもよい。この2段階法により、表面層が形成されてコアシェル構造となり、結晶性樹脂および着色剤(上記の場合には更に離型剤)の内包性が向上する。
特に、非結晶性樹脂粒子としてビニル系単量体を使用する場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を調製することができる。また、その他の樹脂の場合は、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かし、水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機で水中に粒子として分散させる、または転相乳化し水中に分散させる、その後加熱もしくは減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を調製することができる。
また結晶性樹脂は、樹脂粒子分散液に溶解混合する、または離型剤粒子分散液調製時に混合することができる。これによっても、結晶性樹脂をトナー中に配合することが可能となる。
離型剤は、例えば、体積平均粒径が150nm以上1500nm以下の範囲の粒子として、電子写真用トナー中に分散させ、5質量%以上25質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。尚、より好ましい範囲としては、体積平均粒径は160nm以上1400nm以下、含有量は7質量%以上20質量%以下である。
離型剤は、水中にイオン性界面活性剤、高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱しながら、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断を付与して微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子の分散液を調製することができる。離型剤分散液に用いる界面活性剤の濃度は、離型剤に対し4質量%以下であることが好ましい。
また、着色剤は、体積平均粒径が100nm以上330nm以下の範囲の粒子として、電子写真用トナー中に分散させ、4質量%以上15質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。尚、より好ましい範囲としては、体積平均粒径は120nm以上310nm以下、含有量は5質量%以上14質量%以下である。
着色剤は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター、コボールミル等のメディア式分散機、三本ロールミル等のロールミル、ナノマイザー等のキャビテーションミル、コロイドミル、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
本発明のトナーの製造方法において、樹脂粒子の乳化重合、着色剤の分散、樹脂粒子の添加分散、離型剤の分散、それらの凝集、またはその安定化などの目的で用いる界面活性剤を例示すると、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、およびアミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。これらの分散手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
また、極性樹脂粒子で被覆した着色剤粒子を用いる場合、樹脂と着色剤を溶剤(水、界面活性剤、アルコールなど)中に溶解分散した後、前記の適当な分散剤(活性剤を含む)と共に水中に分散させ、加熱、減圧して溶剤を除去して得る方法や、乳化重合により作製された樹脂粒子表面に機械的な剪断力、または電気的な吸着力で着色剤粒子を固定化する方法などを採用することができる。
また、融合・合一の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得ることができるが、洗浄工程は、イオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、吸引濾過、加圧濾過、遠心濾過、デカンター等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に制限はないが、通気乾燥装置、噴霧乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、流動層乾燥装置、伝熱加熱型乾燥装置、凍結乾燥装置などが好ましく用いられる。
さらに、一般的にトナーの製造に用いられる、炭酸カルシウムなどの金属塩、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物化合物、セラミック、カーボンブラックなどの無機粒子や、ビニル樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態で剪断力をかけてトナー表面に添加することができる。
これらの無機粒子は、カップリング材等で表面処理することが好ましく、カップリング材としては具体的にはメチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、N,N−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプリピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプリピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を挙げることができる。
粒子の添加方法としては、トナーの乾燥後、Vブレンダー、ヘンシエルミキサー等の混合機を用いて乾式でトナー表面に付着させてもよいし、粒子を水または水/アルコールのごとき水系の液体に分散させた後、スラリー状態のトナーに添加し乾燥させトナー表面に外添剤を付着させてもよい。また、乾燥粉体にスラリーをスプレーしながら乾燥してもよい。
<電子写真用現像剤>
次に、本発明の電子写真用現像剤(以下、単に「現像剤」ということがある。)について説明する。
本発明の現像剤は、前記本発明のトナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて如何なる成分組成であっても構わない。本発明の現像剤は、前記トナーを単独で用いると一成分系の現像剤となり、また、トナーとキャリアとを組み合わせて用いると二成分系の現像剤となる。
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、一般的に30μm以上200μm以下の範囲である。
また、樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、または2種類以上の単量体からなる共重合体、さらにメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいしまたは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲がより好ましい。
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
また、本発明の現像剤においては、トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真用現像剤を用いた本発明の画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、潜像保持体と、該潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備え、前記現像剤として本発明の電子写真用現像剤を用いるものである。複数種(複数色)の現像剤を用いる画像形成装置である場合には、少なくとも1種(1色)の現像剤として前述の本発明の電子写真用現像剤を用いることを要件とし、複数種のうち全種の現像剤として前述の本発明の電子写真用現像剤を用いることが好ましい。
尚、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して着脱可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本発明の電子写真用現像剤を収容する本発明のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本発明の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。尚、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図中における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20内面に接する駆動ローラ22および支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の潜像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
上述した第1〜第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、潜像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ(1次転写手段)5Y、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤と結晶性ポリエステルおよび非結晶性ポリエステルとを含む体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向かう静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性(+)の極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1〜第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性(−)の極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向かう静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
尚、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本発明の電子写真用現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。尚、300は記録紙である。
図2で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を備えているが、前述の本発明の電子写真用現像剤を収容することを必須の要件とする以外は、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本発明のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
次に、本発明のトナーカートリッジについて説明する。本発明のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための現像剤を収めるトナーカートリッジにおいて、前記現像剤が既述した本発明の電子写真用現像剤であることを特徴とする。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しない現像剤供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換することができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特に断わらない限り「部」はすべて「質量部」を示すものである。
≪結晶性ポリエステルの合成≫
合成例1<結晶性樹脂A1の合成>
ドデカン2酸230.3部、1,10−デカンジオール174.28部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌し、重量平均分子量Mw=16700、数平均分子量Mn=6500の結晶性樹脂(A1)を得た。エステル濃度は0.083、融点mpは86℃であった。
合成例2<結晶性樹脂A2の合成>
ドデカン2酸230.3部、1,9−ノナンジオール160.3部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌し、重量平均分子量Mw=24200、数平均分子量Mn=9900の結晶性樹脂(A2)を得た。エステル濃度は0.087、融点mpは77℃であった。
合成例3<結晶性樹脂A3の合成>
テトラデカン2酸248部、1,6−へキサンジオール118.17部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌し、重量平均分子量Mw=25500、数平均分子量Mn=10400の結晶性樹脂(A3)を得た。エステル濃度は0.091、融点mpは75℃であった。
≪非結晶性ポリエステルの合成≫
合成例1<非結晶性樹脂B1の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物241.01部、1,9−ノナンジオール48.09部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=30600、数平均分子量Mn=7100の非結晶性樹脂(B1)を得た。ガラス転移点は52℃であった。
合成例2<非結晶性樹脂B2の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物275.44部、1,9−ノナンジオール32.06部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=35300、数平均分子量Mn=6800の非結晶性樹脂(B2)を得た。ガラス転移点は59℃であった。
合成例3<非結晶性樹脂B3の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物309.87部、1,9−ノナンジオール16.03部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=33800、数平均分子量Mn=6400の非結晶性樹脂(B3)を得た。ガラス転移点は67℃であった。
合成例4<非結晶性樹脂B4の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物137.72部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物126.52部、1,10−デカンジオール34.856部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=36900、数平均分子量Mn=7200の非結晶性樹脂(B4)を得た。ガラス転移点は55℃であった。
合成例5<非結晶性樹脂B5の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物253.04部、1,9−ノナンジオール32.06部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=32300、数平均分子量Mn=6100の非結晶性樹脂(B5)を得た。ガラス転移点は59℃であった。
合成例6<非結晶性樹脂B6の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル58.254部、ドデカン2酸46.06部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物158.15部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物154.953部、1,9−ノナンジオール8.015部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=34700、数平均分子量Mn=6700の非結晶性樹脂(B6)を得た。ガラス転移点は67℃であった。
合成例7<非結晶性樹脂B7の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物94.89部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物103.29部、1,9−ノナンジオール64.12部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=33900、数平均分子量Mn=6200の非結晶性樹脂(B7)を得た。ガラス転移点は45℃であった。
合成例8<非結晶性樹脂B8の合成>
テレフタル酸ジメチル97.09部、イソフタル酸ジメチル97.09部、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物31.63部、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物34.43部、ネオペンチルグリコール62.49部、1,9−ノナンジオール32.06部、ジブチルスズオキシド0.12部を窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧にしながら4時間攪拌したのち、無水トリメリット酸8部を加えさらに1.5時間攪拌した。重量平均分子量Mw=36500、数平均分子量Mn=6400の非結晶性樹脂(B8)を得た。ガラス転移点は59℃であった。
以上の結晶性樹脂および非結晶性樹脂の組成、物性等を、表1、表2および表3に記載する。尚、表中において「ビスフェノールAのRO付加物含有率」はアルコール成分中におけるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有率を、「直鎖脂肪族ジオール含有率」はアルコール成分中における炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールの含有率を、「EO付加物」はエチレンオキシド付加物を、「PO付加物」はプロピレンオキシド付加物を表す。
Figure 0004867702
Figure 0004867702
Figure 0004867702
≪乳化液の作製≫
<乳化液作製例C1>
結晶性樹脂A1 50部を酢酸エチル250部に溶解し、アニオン界面活性剤ダウファックス2部をイオン交換水300部に溶解した液を加え、ウルトラタラックスを用い、8000回転で10分間攪拌した後、酢酸エチルを留去し、体積平均粒子径0.20μmの結晶性樹脂乳化液(C1)を得た。
<乳化液作製例C2〜C3>
結晶性樹脂A1を、結晶性樹脂A2およびA3に変えた以外は、乳化液作製例C1に記載の方法に従い、結晶性樹脂乳化液(C2)および(C3)を得た。結晶性樹脂乳化液(C2)の体積平均粒子径は0.19μm、結晶性樹脂乳化液(C3)の体積平均粒子径は0.20μmであった。
<乳化液作製例D1〜D8>
結晶性樹脂A1を、非結晶性樹脂B1〜B8に変えた以外は、乳化液作製例C1に記載の方法に従い、非結晶性樹脂乳化液(D1)〜(D8)を得た。
以上の乳化液については、表4および表5に記載する。
Figure 0004867702
Figure 0004867702
≪顔料分散液の調製≫
下記組成のものを混合溶解し、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)と超音波照射とにより分散し、体積平均粒径150nmの青顔料分散液を得た。
・サイアン顔料 C.I.Pigment Blue15:3
(銅フタロシアニン、大日本インク製) 50部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5部
・イオン交換水 200部
≪離型剤分散液の調製≫
下記組成のものを混合し、97℃に加熱した後、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)にて分散した。その後、ゴーリンホモジナイザー(盟和商事製)で分散処理し、105℃、550kg/cmの条件で20回処理して微粒子化することにより、体積平均粒径190nmの離型剤分散液を得た。
・ワックス(WEP−5、日本油脂社製) 50部
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC 5部
・イオン交換水 200部
≪トナーの作製≫
[実施例1]
−電子写真用トナー(1)の作製−
まず第1段階として、下記の組成のものを、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した後、フラスコ内の内容物を攪拌しながら45℃まで加熱攪拌し、45℃で30分間保持した。
・結晶性樹脂乳化液(C1) 100部
・非結晶性樹脂乳化液(D1) 600部
・イオン交換水 100部
・顔料分散液 25部
・離型剤分散液 40部
・10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液(浅田化学社製) 1.5部
その後、第2段階として追加の非結晶性樹脂乳化液(D1)300部を添加し、得られた内容物の温度を徐々に上げて55℃にした。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が6.5μmの凝集粒子が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを8に調整し、その後、温度を上げて90℃にしたのち1時間かけて凝集体を合一させ、冷却後、ろ過し、イオン交換水で充分洗浄後、乾燥して、電子写真用トナー(1)を得た。この電子写真用トナー(1)の粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)で測定すると、体積平均粒径は6.3μmであった。また、体積粒度分布の指標であるGSDvは1.23であった。
−現像剤(1)の作製−
このトナー(1)の粒子に外添剤として、ヘキサメチルジシラザン処理したシリカ(平均粒径40nm)0.5質量%、メタチタン酸にイソブチルトリメトキシシラン50質量%処理後焼成して得られたチタン化合物(平均粒径30nm)0.7質量%を加え(何れもトナーに対する比)、75Lヘンシェルミキサーにて10分間混合し、その後、風力篩分機ハイボルター300(新東京機械社製)にて篩分し、外添トナーを作製した。
平均粒径50μmのフェライトコア100部に対して、0.15部にあたる弗化ビニリデン、および1.35部にあたるメチルメタアクリレートとトリフロロエチレンとの共重合体(重合質量比80:20)樹脂をニーダー装置を用いコーティングし、キャリアを作製した。得られたキャリアと前記外添トナーとを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、現像剤(1)を作製した。
−画像耐傷性の評価−
作製した現像剤(1)は、富士ゼロックス製DCC500改造機(定着温度が可変な外部定着器にて定着を行うように改造したもの)を用いて富士ゼロックス社製ミラーコート紙(坪量157)に30×30mmで、トナー載り量15.0g/mに調整してソリッド画像の形成を行った。画出しした後、外部定着器を用い、温度150℃、接触領域(いわゆるNip)6.5mm、定着速度180mm/secにて定着した。
定着画像はHEIDON社製SURFACE PROPERTY TESTER(type:14DR)を用いて行った。直径0.4mmのサファイア針を装着し、移動速度1500mm/分、荷重1000gfで画像をこすった。同じ操作で3回画像をこすり、平均的な画像筋の状態を目視で確認し、以下のランク付けを行った。
グレード1:削り跡がはっきりと線状に観察される
グレード2:削り跡が断続的に、あるいはうっすら線状に観察される
グレード3:削り跡が点状に4〜10点観察される
グレード4:削り跡が点状に1〜3点観察される
グレード5:削り跡がまったく観察されない
[実施例2]
非結晶性樹脂乳化液D1を、非結晶性樹脂乳化液D2に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(2)および現像剤(2)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[実施例3]
非結晶性樹脂乳化液D1を、非結晶性樹脂乳化液D3に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(3)および現像剤(3)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[実施例4]
非結晶性樹脂乳化液D1を、非結晶性樹脂乳化液D4に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(4)および現像剤(4)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[実施例5]
非結晶性樹脂乳化液D1を、非結晶性樹脂乳化液D5に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(5)および現像剤(5)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[実施例6]
非結晶性樹脂乳化液D1を非結晶性樹脂乳化液D5に変え、且つ第1段階にて混合する乳化液量を下記の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(6)および現像剤(6)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
・結晶性樹脂乳化液(C1) 200部
・非結晶性樹脂乳化液(D5) 500部
[実施例7]
結晶性樹脂乳化液C1を結晶性樹脂乳化液C2に、非結晶性樹脂乳化液D1を非結晶性樹脂乳化液D5に変え、且つ第1段階にて混合する乳化液量を下記の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(7)および現像剤(7)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
・結晶性樹脂乳化液(C2) 150部
・非結晶性樹脂乳化液(D5) 550部
[実施例8]
結晶性樹脂乳化液C1を結晶性樹脂乳化液C2に、非結晶性樹脂乳化液D1を非結晶性樹脂乳化液D5に変え、且つ第1段階にて混合する乳化液量を下記の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(8)および現像剤(8)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
・結晶性樹脂乳化液(C2) 100部
・非結晶性樹脂乳化液(D5) 600部
[比較例1]
第1段階にて混合する乳化液量を下記の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(9)および現像剤(9)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
・結晶性樹脂乳化液(C1) 300部
・非結晶性樹脂乳化液(D1) 400部
[比較例2]
第1段階にて混合する乳化液量を下記の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(10)および現像剤(10)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
・結晶性樹脂乳化液(C1) 400部
・非結晶性樹脂乳化液(D1) 300部
[比較例3]
結晶性樹脂乳化液C1を結晶性樹脂乳化液C2に、非結晶性樹脂乳化液D1を非結晶性樹脂乳化液D6に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(11)および現像剤(11)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[比較例4]
結晶性樹脂乳化液C1を結晶性樹脂乳化液C3に、非結晶性樹脂乳化液D1を非結晶性樹脂乳化液D7に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(12)および現像剤(12)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
[比較例5]
非結晶性樹脂乳化液D1を、非結晶性樹脂乳化液D8に変えた以外は、実施例1に記載の方法に従い、電子写真用トナー(13)および現像剤(13)を得、画像耐傷性の評価試験を行った。
トナーの体積平均粒子径、GSDv、および画像耐傷性の評価試験の結果を、表6および表7に示す。
Figure 0004867702
Figure 0004867702
以下に、本発明の好ましい態様を示す。まず、本発明の電子写真用トナーは、
<1> 少なくとも着色剤と、下記式1で表されるエステル濃度Mが0.07≦M≦0.09である結晶性ポリエステルと、アルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いた非結晶性ポリエステルと、を含み、前記非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が75:25〜98:2であることを特徴とする。
(式1) エステル濃度(M)=K/A
(式1中、Kはポリエステル中のエステル基数を、Aはポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
<2> 前記<1>に記載のアルコール成分のうちの、前記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の量が60モル%以上85モル%以下であることが好ましい。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像をより好適に得ることができる。
<3> 前記<1>または<2>に記載のアルコール成分のうちの、前記直鎖脂肪族ジオールの量が15モル%以上25モル%以下であることが好ましい。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像をより好適に得ることができると共に、樹脂のガラス転移点を好ましい領域により容易に制御することができる。
<4> 前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が85:15〜98:2であることが好ましい。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、帯電量をより好適な範囲に制御することができると共に、より良好な低温定着性を得ることができる。
<5> 前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステル粒子、非結晶性ポリエステル粒子および着色剤粒子を凝集させ、合一させて作製されることが好ましい。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、粒径のそろった電子写真用トナーを提供することができ、より画質の高い画像を得ることができる。
また、本発明の電子写真用現像剤は、
<6> 前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の電子写真用トナーを含有することを特徴とする。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
また、本発明のトナーカートリッジは、
<7> 静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、前記現像手段に供給するための現像剤として前記<6>に記載の電子写真用現像剤を収納することを特徴とする。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、耐傷性に優れた画像を得ることができる電子写真用トナーの供給を容易にし、上記特性の維持性を高めることができる。
また、本発明のプロセスカートリッジは、
<8> 現像剤保持体を少なくとも備え、前記<6>に記載の電子写真用現像剤を収容することを特徴とする。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、、耐傷性に優れた画像を得ることができる電子写真用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高めることができる。
また、本発明の画像形成装置は、
<9> 潜像保持体と、該潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<6>に記載の電子写真用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする。該構成とすることにより、本構成を有しない場合に比べ、、耐傷性に優れた画像を得ることができる。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K,107 感光体(像保持体)
2Y,2M,2C,2K,108 帯電ローラ
3Y,3M,3C,3K レーザ光線
3 露光装置
4Y,4M,4C,4K,111 現像装置(現像手段)
5Y,5M,5C,5K 1次転写ローラ
6Y,6M,6C,6K,113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ
10Y,10M,10C,10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28,115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ,
P,300 記録紙(被転写体)

Claims (8)

  1. 少なくとも、着色剤と、
    下記式1で表されるエステル濃度Mが0.07≦M≦0.09である結晶性ポリエステルと、
    アルコール成分および酸成分を合成してなり、前記アルコール成分のうちビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を50モル%以上90モル%以下用い、且つ前記アルコール成分のうち炭素数8以上20以下の直鎖脂肪族ジオールを10モル%以上30モル%以下用いた非結晶性ポリエステルと、を含み、
    前記非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとの含有比(質量比)が75:25〜98:2であることを特徴とする電子写真用トナー。
    (式1) エステル濃度(M)=K/A
    (式1中、Kはポリエステル中のエステル基数を、Aはポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。)
  2. 前記アルコール成分のうちの、前記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の量が60モル%以上85モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記アルコール成分のうちの、前記直鎖脂肪族ジオールの量が15モル%以上25モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  4. 結晶性ポリエステル粒子、非結晶性ポリエステル粒子および着色剤粒子を凝集させ、合一させて作製されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の電子写真用トナーを含有することを特徴とする電子写真用現像剤。
  6. 静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、前記現像手段に供給するための現像剤として請求項5に記載の電子写真用現像剤を収納することを特徴とするトナーカートリッジ。
  7. 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項5に記載の電子写真用現像剤を収容することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 潜像保持体と、該潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項5に記載の電子写真用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
JP2007042808A 2007-02-22 2007-02-22 電子写真用トナー、電子写真用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Active JP4867702B2 (ja)

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