JP4867382B2 - 調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材 - Google Patents

調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材 Download PDF

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Description

本発明は、調質処理(以下、単に「調質」ともいう)後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材に関し、詳しくは、調質処理(定義:焼入れ処理、焼入れ‐焼戻し処理、ノルマ(焼ならし)処理のうちのいずれかの処理)を施された後に、ビッカース硬度で400以上(すなわちHv400以上)の高強度を有し、かつ耐遅れ破壊特性に優れるものとなる鋼材(調質処理前の鋼材)に関するものであり、特に、V添加によって、耐遅れ破壊特性の向上を図ろうとするものである。
高強度鋼を積極的に使っていく動きがある。ボルト鋼、PC鋼棒をはじめとして、自動車用材料においても、調質をもとに高強度化した材料を積極的に活用する動きがある。
高強度化の活用は、利用する鋼材の板厚、肉厚を減らし、軽量化を図れる等のメリットが享受できるものの、高強度化に伴い、遅れ破壊の危険性が増大する。
そこで、耐遅れ破壊特性を向上させるために、従来から、鋼成分を工夫したり、添加元素を活用したり、熱処理方法等の製造的な観点での作りこみ等によって、鋼の析出物等を制御することによって、耐遅れ破壊特性を向上させることを志向し、すでに開示されている方法も多い。
例えば、鋼成分を工夫することでは、高力ボルトの分野では、SCM鋼(Cr、Mo同時添加)の成分をベースに、様々な添加元素を加えて、耐遅れ破壊特性を向上させる考え方が、すでに開示されている。特許文献1、2等は、Mo添加を必須として、V添加、Mo/Mn比、Cr添加等を実施する方法である。特許文献3、4、5、6,7等では、SCM鋼をベースに、V添加を実施するものである。
また、非特許文献1では、SCM鋼種成分系に、V添加を行ない、V系析出物の作りこみが耐遅れ破壊特性の効果がある点がすでに公表されている。一方、非特許文献2、3では、SCM鋼ベースに、V単独添加、Ti単独添加、V&Ti複合添加を比較した場合に、V単独添加は耐遅れ破壊特性を劣化させるが、Ti単独添加は、耐遅れ破壊特性を向上させるとある。また、V&Ti複合添加は、Ti単独添加と同一レベルである点が公表されている。要は、Ti系析出物(TiN,TiC)が、V系析出物(VN,VC,VCN)よりも、水素をトラップして、たとえ水素侵入があっても、無害化できるという論旨が展開されている。一方、非特許文献4では、SCM系鋼種にV添加することによって、耐遅れ破壊特性が劣化する点が報告されている。
また、これらの析出物の結合するC、Nについては、C量の規定が、ここに挙げた特許文献および非特許文献の全てに記載されているものの、N量については、特許文献3、5には、記載が見られるだけである。特許文献3では、窒素は組織微細化の促進、耐遅れ破壊特性を高めるものの、0.01%で飽和すると説明されており、特許文献5では、窒化物形成に必須であり、多すぎた場合、N自体が粒界に偏析、及び、BN析出を伴い粒界脆化、耐遅れ破壊特性の劣化のため、0.0080%以下にするとよいことが説明されている。いずれにせよ、窒素添加は耐遅れ破壊特性を良好にするために行なわれているのが論旨である。
また、特許文献3、5以外の文献等に示されているボルト用鋼、ばね鋼、PC鋼棒等では、窒素は、従来から明記されていることが少ない。これらの鋼種については、窒素を意図的に低く調整していることは少なく、軟鋼、例えば、極低炭鋼のように、積極的な窒素低減を図るものではない。意図的に低くすることを目指す必要がないからで、積極的な調整成分とはされてこなかった。ここに明示しなかった文献も含めて、殆ど明示されない。このことは、特許文献の記載、これらの成分のJIS規定等から明白である。実際には、電炉出鋼であれば100〜200ppm(ppmは質量ppmである。以下同じ)程度であり、高炉・転炉系の真空脱ガスを使った場合には、窒素量を調整することは可能であるが、それとて、積極的な極低窒素化(35ppm以下)を図っているわけではない。ここで示した特許文献、非特許文献含めて、入っている窒素量、あるいは、多めに含有される窒素量を前提として、V添加を図り、耐遅れ破壊特性を向上させるという論旨であった。
様々な方法が明らかにされているようであるが、すでに開示されている特許文献1〜7の方法や、非特許文献1の手法を手本にして、SCM鋼、Mo単独添加系を含めて、あらゆる鋼種に、V添加を施しても、条件によっては、必ずしも、耐遅れ破壊特性が向上することがない。非特許文献4の例では劣化することが報告されており、また、実施例にも示したが、ばね鋼系(SUP系)の鋼種に、単に、V添加を施しても、耐遅れ破壊特性が著しく劣化する場合がある。SCM系鋼種においても、V添加が悪い影響を及ぼすことが、例えば、非特許文献2、3に示されている。逆に、非特許文献2、3に示されているように、Ti添加を行なうことによって耐遅れ破壊特性を向上させるという考え方を適用したところで、あらゆる鋼種において、Ti添加だけでは、耐遅れ破壊特性が向上するとは限らない。従来から、ばね鋼、ボルト鋼での知見から言われているように、V添加や、Ti添加、V&Ti添加等による耐遅れ破壊特性の向上は、鋼の化学成分のバランスによっては、必ずしも成り立たず、逆に、V添加が、鋼材の耐遅れ破壊特性を劣化させることがある。
よって、最近の高強度化に伴い、鋼が1200MPa以上で使われる状況が増えている実態では、耐遅れ破壊特性を向上するための指針を、明確に規定することが重要になっている。それにもかかわらず、高強度化した際に耐遅れ破壊特性を向上させる明確な指針は、未だ提示されていないのが現状の問題点である。
特開2002‐173739号公報 特開2001‐32044号公報 特開平9‐263911号公報 特開平9‐209045号公報 特開平8‐120408号公報 特開平7‐126799号公報 特開平1‐96354号公報 樽井ら: 材料とプロセス、vol.15、(2002)、pp.1045. 漆原ら: 材料とプロセス、vol.14、(2001)、pp.647. 漆原ら: 材料とプロセス、vol.16、(2003)、pp.562および563. 玉沖ら: 第5回超鉄鋼ワークショップ、(2001)、pp.282-283.
本発明は上述の問題点を解決し、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材を提供することを目的とする。ここで、鋼材とは、鋼板、鋼管、形鋼、棒鋼、鋼線材のいずれかを指す。
これまでの発明や開示情報においては、単に、V添加、Ti添加等の添加元素規定によって、耐遅れ破壊特性の向上を図ったものである。前述のように、これらの規定では、常に、耐遅れ破壊特性に優れた鋼が達成されるわけではない。
よって、本発明においては、V添加を基本として、窒素量、かつ、窒化物形成元素量、これらの元素の総合的なバランス、及び、Si量の規定によって、耐遅れ破壊特性の向上を図り、および、その製造方法を示す。SCM系ばかりではなく、CrやMoを含まない系にも適用できる手段を提供するものである。
SCM系で実現できている規定が、その他の鋼種系には、そのまま適用できなくなる場合が多いことを鑑み、耐遅れ破壊特性の向上する方策を検討した結果、発明者は、以下の項目を規定することが重要であることが明らかにした。すなわち、SCM系、もしくは、Mo含有系で開示されているように、単なるV添加をしたり、Ti添加を施すのではなくて、以下の項目につき、規定を加えるのである。
[1]窒素含有量
[2]V添加を含めた、窒化物形成元素の規定
[3]V系析出物を作る際に、結びつくN量(析出物として固定される分を除くように配慮)
[4]Si量に関する規定
更に、[5]B、Al、Mo量の規定等を実施し、また、[6]鋼管材料として、Si(%)/Mn(%)比を規定した。また、[7]成分系によっては、焼戻し温度を上げることを規定した。
上記の項目にしたがって、鋼材成分を選択すれば、耐遅れ破壊特性を向上されることができることを見出し、以下の本発明をなした。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
Ti:0.010〜0.1%、かつ、N−(14/48)Ti:0.002%以下としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
2. さらに、Ti:0.015〜0.03%、N:0.005%以下としたことを特徴とする、前項1に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
3. さらに、V:0.02〜0.15%としたことを特徴とする、前項2に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
4.質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.80〜2.5%としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
5. さらに、Cr:0.03%以下としたことを特徴とする、前項4に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
6.質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.01〜0.20%、Cr:0.7〜1.5%、N:0.005%以下としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
7. さらに、Si:0.05%以下としたことを特徴とする、前項6に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
8.質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.01〜0.25%、Cr:0.7〜1.5%とし、前記調質処理を焼入れ‐焼戻し処理とし該焼戻し処理の温度を550〜700℃としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
9. Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0030%以下、Mo:0.50%以下のうち1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする、前項1〜8のいずれかに記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材
10. さらに、N:0.005%以下としたことを特徴とする、前項1〜のいずれかに記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
本発明によれば、1200MPa以上の高強度で用いられる鋼材につき、耐遅れ破壊特性の向上を図ることができる。
まず、本発明でいう、「優れた耐遅れ破壊特性」あるいは「耐遅れ破壊特性に優れる、向上する」ということを定義したい。本発明では、V添加による耐遅れ破壊特性の向上を図ることを意図するが、第1義的に、V添加によって、V無添加(不純物レベル含有を含む)の場合と比べて向上することを意味する。具体的には、耐遅れ破壊評価手法において実測されうる「未破断応力(例えば、図2を参照)」の値が、V添加によって大きくなることを意味する。
第2義的には、水素をチャージさせた状態で耐遅れ破壊特性を評価した際の「未破断応力(実施例での定義を参照、図2参照)」が、試験片のビッカース硬度の1.5倍以上であることを意味する。この定義は、ビッカース硬度を3倍することによって、引張強度(TS)相当の強度を推定した上で、未破断応力が、そのTSの約0.5倍以上ということを意図している。特許文献2には、浸漬液の濃度等で違いはあるものの、同じ考え方に基づいた、遅れ破壊強度比(200時間未破断応力/引張強度)があり、1000MPa級ボルト鋼では、遅れ破壊強度比が0.5以上であることから、本発明でも、同一の思想に基づく判定条件とした。
耐遅れ破壊特性に優れるか否かの判断は、鋼の強度によって異なり、以下のような判断を行なう。ビッカース硬度がHv450未満では、第1義、第2義を同時に満たす必要があり、ビッカース硬度Hv450以上では、第2義を満たすことによって、耐遅れ破壊特性が優れていると判断する。
本発明の実施例では、実際にはありえない程度の、非常に厳しい水素チャージ条件として、5%塩酸に浸漬したまま、定荷重試験を実施し、100時間を満了条件として、未破断応力を用いて判断する。本判断手法で判断した結果(V添加による耐遅れ破壊特性の向上の有無)は、評価方法、水素チャージ条件に限らず、差こそあれ、普遍的に成立する。
本発明を利用すると、耐遅れ破壊特性が向上する効果が得られるが、金属学的説明は完全に証明(実証)できているわけではない。しかしながら、従来言われているような、V系析出物が良い効果をもたらしているわけではなさそうである。後述の実施例で示すように、V添加によって、悪化する例も多い。従来から開示されている方法は、普遍的に正しくない。それゆえ、本発明で明示する成分規定が必須となる。
様々なデータから類推するに、V系析出物の存在は、むしろ耐遅れ破壊特性を劣化させ、Vを析出物の状態ではなくて、固溶状態にするとよいと考えられる。推定の域を越えないが、悪い影響を及ぼすV系析出物とは、VN析出物を主体とする析出物と推定している。具体的には、VNか、V(CN)でもN-richの状態であろうと推定している。また、状況によっては、(Cr,V)N、(Cr,V)(C,N)、(Ti,V)N、(Ti,V)(C,N)等のV-richの窒化物、V-richかつN-richの炭窒化物であろうと推定している(以下では、括弧(「」)付きで、「V系析出物」と呼ぶ)。
そのため、焼入れ焼戻しによって高強度化した場合に、「V系析出物」量自体を少なくするアクション、および、固溶V量を確保することが重要になってくると推定している。また、すでに析出してしまった「V系析出物」を、N-richから、C-richへ推移させることが重要であろうと推定している。
それゆえ、窒素含有量自体の規定、V添加を含めた窒化物形成元素の規定、「V系析出物」を作る際に結びつくN量(析出物として固定される分を除いたN量)、および、焼入しやすい状態して「V系析出物」を作りにくい状態するためことが重要であり、Si量等の規定によって、焼入れ性を向上させることによって、整理できるものと考えられる。また、形成されてしまった「V系析出物」を、N-richから、C-richへ推移させるために、焼戻し温度を上げる等の整理ができると考えられる。
本発明の根幹を説明する。発明の根幹とは、下記[(1)〜(5)]×(6)であり、また[(1)〜(5)]×(7)であり、また[(1)〜(5)]×(8)であり、また[(1)〜(5)]×(9)である。
(1) N:0.015%以下(望ましくは0.005%以下)
(2) V:0.02%以上0.3%以下
(3) Ti:無添加を含めて0.1%以下、
(4) Cr:無添加を含めて1.5%以下
(5) Si:0.01%以上2.5%以下
更なる限定条件として、
(6) Ti添加の場合、N−(14/48)Ti:0.002%以下
(7) Ti無添加の場合(その1)、Si:0.80%以上2.5%以下、望ましくはCr:無添加を含めて0.30%以下
(8) Ti無添加の場合(その2)、Si:0.01%以上0.20%以下(望ましくは0.05%以下)、Cr:0.7%以上1.5%以下、N:0.005%以下
(9) Ti無添加の場合(その3)、Si:0.01%以上0.25%以下、Cr:0.7%以上1.5%以下、調質=焼入れ‐焼戻し、焼戻し温度=550℃以上700℃以下
以上のような項目毎の上下限値は、後述の実施例での実験結果に基づく。
本発明は、V添加による、耐遅れ破壊特性の改善であり、まずは、これを成立させるための発明の根幹につき、推定の域を出ないが、上述の論理「固溶Vの確保、および、「V系析出物」の抑制」を用いて上記規定の理由につき、定性的な推定を行なう。
固溶Vの確保、かつ、「V系析出物」が無いか少ない状況を実現するため、個々の元素の含有量、添加量のバランスが決まってくると推定される。
a)V添加量(添加量は鋼中含有量で表す。他の元素についても同じ)
固溶量として有効に機能するV量を確保する最低限量から、下限が決まってくると推定され、上限は、「V系析出物」を無しとするか、問題の無いレベルで少ないことを達成する観点から、上限が決まってくると推定される。
b)窒素量
V添加により固溶Vを確保し、「V系析出物」を形成しない、形成させても少なくすることが重要であることが推定される。窒素は、「V系析出物」を形成させない観点で、耐遅れ破壊特性を劣化させないため、重要であると推定される。
窒素量が多い場合には、「V系析出物」を形成しやすいため、耐遅れ破壊特性が劣化する傾向があり、窒素が少ない場合は、「V系析出物」量が少なくなるため、耐遅れ破壊特性は劣化しない。もしくは、劣化しにくいと推定される。
窒素は少ない方が良いが、下限は製鋼上の技術的限界から決定されうる。上限については、以下の3つの方向性によって異なる。推定の域を出ないものの、「V系析出物」をゼロにするか少なくすることによって、耐遅れ破壊特性を劣化させないことが可能であり、その状況に応じて、上限の設定は変わっていると推定される。
すなわち、(1)窒素に対して、窒化物形成元素(Ti、Cr)を添加して、TiNやCr-Nとして窒素を固定して、「V系析出物」を少なくする方向性と、(2)Si添加量(含有量)を多くした場合には、炭窒化物の形成を抑制したり、焼入れ性が向上することを利用して、「V系析出物」自体を形成させないか、形成しても少なくする方向性である。(3)次に、すでに形成されてしまった「V系析出物」を、焼戻し温度を高くすることによって、“改質”することである。
Ti添加がある場合には、V添加は、耐遅れ破壊特性の向上に貢献するが、多すぎる添加は悪影響を及ぼす。窒素がTiNになるために、添加したVは、そのまま固溶状態に置かれる可能性が高いため、Ti添加は良好な耐遅れ破壊特性を達成しうると推定できるものの、あまりに窒素量自体が多い場合や、V添加が多い場合には、固溶Vが存在するものの、「V系析出物(VNか(Ti,V)Nとなると推定)」が形成されてしまうと推定され、劣化すると見られる(参照:実施例、図5)。
同様に、Ti添加が無くても、Cr添加量が多くて窒素が少ない場合には、耐遅れ破壊特性が向上できる。Cr系の窒化物の形成によって、固溶Vが確保しやすくなるためであると推定される。その時には、Si量は少ない方が、耐遅れ破壊特性を向上できる。Si量を少なくしておけば、Cr系窒化物が形成しやすくなっているためであると推定される。逆に、窒素が多い場合には、焼戻し温度を上げることによって、耐遅れ破壊特性を改善できる。Cr系窒化物の形成の他、「V系析出物」の形成も抑えきれないため、焼戻し温度を上げることによって、「V系析出物」をN-richから、C-rich状態に改質されるからであると推定される。
Tiが添加されず、Cr添加量も多くない場合には、Si量を多くすることによって、耐遅れ破壊特性を改善できる。Si添加によって、焼入れ性を高め、かつ、炭・窒化物の形成を抑制して、「V系析出物」を形成させず、固溶V状態にすることによっても、耐遅れ破壊特性が向上されると推定される。
c)Ti量
上述のように、Ti添加により窒素を固定させることによって、固溶Vを確保することに影響を与えるため、重要な元素である。また、Ti無添加の場合でも、Cr添加や、Si量の制御、N量、焼戻し温度等によって、固溶Vの確保は達成されうるので、Ti無添加もありうる。
d)Cr量
窒素量の項で説明したように、Ti無添加系、微量添加系においては、Cr系の窒化物形成が見られ、固溶Vが確保しやすくなり、「V系析出物」を形成しにくいと推定されるため、重要な元素である。その場合には、Si含有量を低く、かつ、窒素量を少なくする必要がある。Si含有量を抑える理由は、焼入れ性を必要以上に上げず、Cr系析出物(窒化物系)の形成を促進できるためだと推定される。逆に、窒素量が多い場合には、耐遅れ破壊特性が必ずしも向上しない。窒素が多いことで、「V系析出物」の形成が起こるためであろうと推定される。その場合には、焼戻し温度を上げることによって、耐遅れ破壊特性を改善できる。「V系析出物」がN-richから、C-rich状態に改質されるからであると推定される。
Cr無添加やCr添加量が少ない場合でも、Ti添加、もしくはTi無添加&Si添加の増量のバランスによっては、固溶Vの確保はできる。
e)Si量
Ti無添加系、および、微量添加系では、耐遅れ破壊特性の向上につき、Si含有量を増すことよって、重要な役割を果たす。
添加(含有)量を増やすことによって、炭窒化物形成を抑え、焼入れ性を高める効果があるため、「V系析出物」を形成しにくく、固溶Vの状態を確保することができることに基づいて、耐遅れ破壊特性の向上を図ることができると推定される。
一方、逆の方向性もある。つまり、Si量を減らして、N量を減らし、Cr量を増やした場合でも、耐遅れ破壊特性を向上させることができる。Cr系窒化物を形成させることによって、結果として、「V系析出物」を少なくする方向性である。その状況で、N量を増やした場合には、必ずしも、耐遅れ破壊特性は向上できない場合がある。その際には、焼戻温度を上げて調質することによって、耐遅れ破壊特性を向上できる。Nが多い場合には、「V系析出物」が形成されてしまうために、耐遅れ破壊特性が向上できなくなると推定され、焼戻温度を高めることによって、「V系析出物」をN-richから、C-rich状態に“改質”されるからであると推定される。その際には、Si量の上限をやや増やしても(また、N量の上限を緩和しても)同様な効果が期待できる。
以下には、個々の元素の規定について説明を行なう。なお、成分元素含有量の単位は質量%であり、%と略記される。
[C:0.15〜0.65%]
Cは、調質により、マルテンサイトを生成させて、変態強化をさせて、高強度化するのに必須の元素である。下限は、所望の高強度を安定して得るために必要な量から決定される。上限は、焼入時の焼割れが見られるようになってしまうこと、及び、靭性の劣化の観点から決定され、0.15%以上0.65%以下と規定した。更なる靭性向上の観点や、電縫鋼管向けの材料(電縫溶接性の確保)を考えた場合には、望ましくは、0.45%以下とするとよい。
[Si:0.01〜2.5%]
Siは、焼入れ性の確保、固溶強化、脱酸剤として機能するに加えて、本発明では、耐遅れ破壊特性の向上のため、積極的な意味を持つ元素でもある。
下限は、本発明が意図している鋼において、工業的な製造を考えた場合の不可避レベルから決まってくる。上限は、固溶強化、焼入れ性確保の観点から決まってくる。過剰な添加は、酸化物系の介在物の生成を促進して、破壊の起点や、調質前の状態での表面の肌荒れ、表面欠陥を引き起こしたり、焼入れ時の粒界酸化等を引き起こすことがある。よって、Siは0.01%以上2.5%以下と規定した。
窒化物形成元素のTiが無添加時には、Si添加量(含有量)が、耐遅れ破壊特性の向上に、積極的な意味をもつ。Tiと同じく窒化物形成元素のCrとのバランスによって、その効果具合が異なる。
Ti添加系(Ti:0.010〜0.1%)では、Si量は、耐遅れ破壊特性の向上に積極的は意味を持たないため、上記の規定範囲であればよいが、望ましくは、0.50%以下に制御した方がよい。より一層、表面肌を美麗に保つためである。
Ti無添加系(Ti:0%〜0.010%未満)においては、Si添加は、耐遅れ破壊特性の向上に、重要な意味をもつ。
Tiが無添加の場合、Siを0.80%以上2.5%以下に規定するとよい。上限規定は上述の説明のとおりであるが、下限を、0.80%以上とした時に、耐遅れ破壊特性が向上できる。推定の域を出ないものの、「発明の根幹」の部分で推定したように、Si量アップによって、焼入れ性の向上効果及び、炭窒化物の形成の抑制効果があるため、添加されているVが、「V系析出物」を形成せずに、固溶V状態になっているためであると推定される。
同じく、Ti無添加系において、Crが0.7%以上1.5%以下の場合には、Siは、0.01%以上0.20%以下、かつ、Nが0.005%以下の時に、耐遅れ破壊特性を向上できる。望ましくは、Siは0.05%以下がよい。Siを低く抑えることによって、窒素をCr窒化物として固定することによって、「V系析出物」を少なく、かつ、固溶Vを確保するためと推定される。しかしながら、Nが0.015%以下で、Siが0.20%超の場合では、耐遅れ破壊特性は必ずしも改善させるわけではない。その時には、調質処理を焼入れ‐焼戻し処理として、焼戻し温度を550℃以上700℃以下で調質する必要がある(通常の焼戻し温度は200〜700℃の広範囲から適宜選択されるに対し、ここでは高温側の狭い範囲に限定する)。推定の域を出ないが、「V系析出物」が改質するのではないかと考えられ、N-richから、C-richへの変化等が起こっているのではないだろうか。その際には、Si量の上限は0.25%まで、及びN量の上限は0.015%まで許容される。更に、Si量が0.20%以下、N量が0.005%以下のものについても、上記焼戻し温度に調質しても、耐遅れ破壊特性は向上できる。
また、電縫鋼管向け材料(鋼板)を考えた場合には、Siは0.05%以上に規定した方がよい。電縫溶接時に、溶接部に形成される酸化物を、接合時に、管内外に押し出すように排出して、電縫溶接部の健全性を一層確保できるためである。
[Mn:0.20〜1.8%]
Mnは、焼入れ性の確保、固溶強化、および、SをMnSで固定して熱間脆性を確保するのに有効な元素である。下限の規定は、これらの特性を満足させるためである。上限は、それ以上の添加は、必要以上の固溶強化を引き起し、製造の際および加工時に問題を生じる可能性が高くなる。よって、Mnは0.20%以上1.8%以下と規定する。望ましくは、0.50%以上1.5%以下である。固溶強化、焼入れ性の確保と共に、一層なる靭性の確保を図るためである。
[Cr:無添加を含み1.5%以下]
Crは、焼入れ性の確保に有効な元素のひとつであり、耐食性の観点からも有効に機能する。また、本発明においては、耐遅れ破壊特性の向上に積極的な役割を果たすが、他の元素を使って、焼入性や、耐遅れ破壊特性が確保できるのであれば必ずしも添加しなくてもよい。なお、Crの無添加レベルとしては、おおよそ、0.01%程度は含有しうることがあることを考慮して、0.010%未満を無添加とみなす。Cr量の上限は、靭性の劣化や、熱間加工性の劣化等の悪影響があるので、1.5%とした。
本発明において、Cr添加が耐遅れ破壊特性に関わってくるのは、Ti無添加にて、Si量が少ない時に、Crを0.7%以上1.5%以下と規定すると同時に、Nを0.005%以下と規定する時である。この条件の時に、耐遅れ破壊特性は向上する。
Siの説明箇所で述べたように、Ti無添加系で、Crの下限を0.7%とした上で、Nを0.0050%以下かつSiを0.01%以上0.20%以下とするのが重要で、Crが0.7%未満であったり、Nが0.0050%を超えたり、Siが0.20%を超えた場合(0.80%未満)には、耐遅れ破壊特性は必ずしも向上しない。
その理由として、推測の域を出ないが、規定範囲であれば、Crは窒化物形成元素であるため窒素を固定でき、「V系析出物」をゼロにするか少なくできる点、それにより、固溶Vが確保することができるため、耐遅れ破壊特性が向上することが考えられる。Nが0.005%を超えたり、Crが0.7%未満の場合やSiが0.20%を超えた場合(0.80%未満)には、十分なるCr系窒化物による窒素固定等が起きないと推定される。
もっとも、Nが0.015%以下で、Siが0.20%超0.025%以下の場合には、焼戻し温度を550℃以上700℃以下で調質すると、耐遅れ破壊特性が改善できる。Siの説明箇所で推定したように、窒素が多いとどうしても「V系析出物」で形成される場合があるものの、焼戻し温度を高めることによって、「V系析出物」が改質して無害化するためと推定している。「V系析出物」においてN-richから、C-richへの変化等が起こっているのではないだろうか。
[N:0.015%以下、望ましくは0.005%以下、Ti添加系ではさらに、N−(14/48)Ti:0.002%以下]
本発明において、耐遅れ破壊特性を向上させる観点では、Nが多く含有されるのは好ましくないが、上限は、耐遅れ破壊特性を向上するために、含有して問題のない観点から限定される。少ないに越したことはないが、Nが多く含有されていても、本発明で規定されているように、Ti、Cr、Si等の含有量を調整することによって、耐遅れ破壊特性の調整は可能ゆえ、Nは0.015%以下と限定した。望ましくは、0.005%に上限を設定することである。耐遅れ破壊特性を向上させられるためである。更に望ましくは、0.0035%以下である。
また、窒素は、Ti添加系では、TiN化して固定されるため、実際には、TiN化して消費される分を除いて考える方が有効であって、Vと結合する可能性のある窒素が少ない方がよく、「N−(14/48)Ti」が0.002%以下であることが望ましい。
また、Ti無添加系、Si添加が少ない時には、Nを0.005%以下と規定し、併せて、Crを0.7%以上1.5%以下と規定することが重要である。その理由は上述した通りである。
Nの上限限定の理由は、推測の域を出ないものの、「V系析出物」を、ゼロにするか少なくする点、かつ、固溶Vの確保の点で説明されうる。
一方、N量の下限は限定していないが、N含有量は少ないほどよい。下限は、製鋼技術から決まりうる。高炉・転炉を使った真空脱ガス法を使えば、5ppmが下限であろう。電炉に見られるような大気製鋼法では0.006%程度であろうと推定される。
[Ti:無添加を含み0.1%以下]
Tiは、本発明において、耐遅れ破壊特性の向上に効果的に作用する重要な元素である。しかしながら、過剰添加は靭性の劣化をもたらすので、上限を0.1%に規定した。なお、無添加の定義として、ゼロから0.010%までの含有を無添加レベルとする。
望ましくは、下限を0.01%、上限を0.03%に設定するとよい。下限の理由は、無添加レベル以上にTiを添加した方が、V、Cr、Si、N量のバランス等のばらつきによって変動する可能性のある耐遅れ破壊特性につき、安定して確保できる可能性が高くなるからである。望ましい範囲として、上限を0.03%に設定するのは、一層なる靭性の確保のためであり、それと同時に、C、S、Cr等のバランスによっては、TiがTiSとか、TiCSの析出物を形成して、焼入れ性の低下をもらたす危険性もあるからである。すでに、Si,Cr,N量の項目説明にあるように、Ti無添加の場合でも、耐遅れ破壊特性の改善を図ることができるので、Ti無添加の場合もある。
[V:0.02〜0.3%]
Vは、本発明で、耐遅れ破壊特性の向上に有効な元素であるが、V以外の元素とのバランス関係で、劣化させる方向にも機能することがあるので、注意が必要である。単なるV添加だけでは、耐遅れ破壊特性の向上には効果がないことに注意が必要である。
上下限の規定は、耐遅れ破壊特性を向上させる条件で、V添加を利用した際の限界値から決まる。下限を0.02%としたのは、V添加の効果を活用できる最低量の観点から決まってくる。上限を0.3%としたのは、過剰なる添加は、耐遅れ破壊特性の劣化に加えて、靭性の劣化を引き起こすためである。更に望ましくは、上限を0.2%にするとよい。過剰なる添加による耐遅れ破壊特性の劣化分が小さいためである。
上述のように、N、Ti、Cr、Siのバランスによって、V添加が、耐遅れ破壊特性を向上させる方向に機能したり、劣化させる方向に機能したりする。
推定の域を出ないものの、V添加によって、固溶Vを確保しつつ、「V系析出物」をゼロまたは少なくなると、良好な耐遅れ破壊特性を実現できると推定される。V添加が多くなった場合、「V系析出物」の形成されてくる可能性が高くなる。TiまたはCrを添加した系においては、すでに析出した窒化物にVが固溶する形で、「V系析出物」の形成が進むと同時に、固溶Vが確保できなくなるゆえ、V添加の上限が決まってくると推定される。
上記C、Si、Mn、Cr、N、Ti、Vの成分限定が、本発明の根幹であり、その他の元素の限定は以下のとおりである。
[B:0.0030%以下、Al:0.01〜0.05%、Mo:0.50%以下のうち1種又は2種以上]
Bについては、添加することによって、焼入れ性を向上させ、粒界の強化にも有効に機能するので、添加してもよい。大量の添加は、靭性を劣化させてしまうので、0.0030%以下とする。
Alは、脱酸元素として、鋼中に含有しているものである。本発明の系では、耐遅れ破壊特性について積極的な役割を果たさないため、積極的には、添加・含有させなくてよい。含有しているレベルとしては、0.01%以上0.07%以下である。下限については、不可避混入の水準である。0.07%は靭性を劣化させない程度の上限のために決まってくる。
Moについては、焼入れ性の確保、および、焼戻し軟化抵抗を有するために、添加してもよい。多すぎる添加は靭性の劣化、および、コストアップを伴うので、0.50%を上限とした。なお、Moは、0.008%未満を無添加とみなす。
また、不可避的不純物のうち、とくにP,Sについては次の点に留意するのが望ましい。すなわち、Pが多く含有された場合には、粒界に偏析して靭性を劣化させると同時に、耐遅れ破壊特性も劣化させる可能性がある。少ないほど良いが、製鋼コストがかさむので、0.015%以下に調整するとよい。
Sについても、多く含有した場合には、耐遅れ破壊特性を劣化させる方向にはたらき、添加されているMnと結合してMnSを作り、割れの起点になることが僅かであるがないことはない。少ないほどよいが、製鋼コストとのバランスによって、0.01%以下とするとよい。少ないほど、耐遅れ破壊特性には有利であり、0.003%以下が望ましい。
PとSは、製鋼時に不可避的に含有される。それらの下限は、技術的限界とコストのバランスから決まり、Pでは0.005%程度、Sでは0.0005%程度である。
[Mn/Si:2.5〜9、鋼材=電縫溶接用鋼板または電縫鋼管]
電縫溶接による鋼管を考えた場合には、Mn/Si(すなわちMn(%)/Si(%)比)を2.5以上9以下にすることが望ましい。溶接部の健全性を図るために、上下限が決まってくる。この範囲を外れた時には、電縫鋼管を曲げ加工、扁平加工させた時などに、溶接部を開口させるような介在物(酸化物)が、電縫溶接部に残存しやすくなるため、溶接部が割れる危険性が高くなる。
本発明の鋼材を調質するにあたっては、調質処理後にHv400以上を達成しうる条件(予備実験で決定できる)で行なう。Hv400以上を達成するための調質処理としては、焼入れ処理、または焼入れ‐焼戻し処理を採用するのが好ましい。
[焼戻し温度:550〜700℃]
(ただし、Ti:無添加で、かつ、「Si:0.01〜0.25%、Cr:0.7〜1.5%」の場合)
すでに、SiやCrの説明箇所で触れたように、Ti:無添加で、かつ、「Si:0.20%超〜0.25%、Cr:0.7〜1.5%」の場合においては、調質処理を焼入れ‐焼戻し処理に限定し、かつ、焼戻し温度を550℃以上700℃以下に限定することにより、耐遅れ破壊特性が改善できる(Si:0.01〜0.20%の場合も同様に限定して支障はない)。理由の推定としては、この成分系では窒素が多いとどうしても「V系析出物」で形成される場合があるものの、焼戻温度を高めることによって、「V系析出物」が改質して無害化するためと推定している。N-richから、C-richへの変化等が起こっているのではないだろうか。また、その際には、N量は0.015%以下でよい。
本発明の鋼材は、通常の、製鋼‐鋳造‐熱間圧延プロセスにより製造することができる。製鋼段階で鋼組成を本発明範囲内に調整すること以外は、製造プロセスに特段の限定はない。また、熱間圧延後さらに、冷間圧延、造管、引抜き等々の加工を行なって所定の形状としたものであってもよい。
耐遅れ破壊特性の評価は、図1に示すような方法で、無負荷にて5%塩酸に30分間浸漬後、浸漬を継続しつつ荷重印加を行ない、定荷重試験を実施することによって行なう。図2に模式的に示すように、破断時間−印加応力のプロットをとって、未破断応力を求めて、判断に利用する。なお、印加応力は、25MPa単位で行ない(つまり、225MPaとか、375MPaとか、500MPaのように)、100時間満了できる最大の応力を、未破断応力とした。なお、印加応力は、900MPaを最大とした。また、試験片は、図3に示すような板状のものであって、平行部に、深さ1mm、切欠底R0.25mmの切欠を両側につけたものを使った(応力集中係数:約3.3程度)。
耐遅れ破壊特性に優れることを判断するに際して、第1基準として、V添加によって、V無添加(不純物レベルすなわち0.010%未満の含有を含む)の場合と比べて、未破断応力が、向上する(大きくなる)こと、第2基準として、「未破断応力/(Hv×3)」の値が、0.5以上であることを用いる。
鋼の強度によって、耐遅れ破壊特性に優れるという判断は異なり、以下のような判断を行なった。Hv400以上Hv450未満では、第1義、第2義を同時に満たすものを、耐遅れ破壊特性に優れると判断し、Hv450以上のものについては、第1義を満たすものを、耐遅れ破壊特性に優れていると判断する。
なお、本評価において、5%塩酸浸漬の意味は、実際の使用環境に比べて、想像できない程度に極めて過度に厳しい環境であって、その環境で評価すれば、実際の環境での耐遅れ破壊特性の評価に問題がないということである。満了の判断として、100時間を使ったのは、それ以上長い期間しても、切欠部分からは、実質破断しないからである。なお、定荷重試験は、無荷重で5%塩酸に30分浸漬させた後、荷重を印加し、その印加開始時間を起点に、最大100時間を満了として、定荷重試験を実施した。
表1に示す組成を有する鋼板を供試材とし、ビッカース硬度測定を実施すると共に、耐遅れ破壊特性の評価を実施した。
Figure 0004867382
表1のサンプルNo.1〜13を、焼入れ‐焼戻し処理して、様々な硬度に調質したものを用意して、耐遅れ破壊特性の評価を実施した結果から、未破断応力とビッカース硬度との対応をプロットし、図4に示す。図4中の破線は、「未破断応力/Hv」が1.5を示す判定線である。図4の中から、サンプルNo.1〜6の分(Hv約530に調質したもの)を取り出し、未破断応力−V添加量の対応でプロットしたものを、図5に示す。
サンプルNo.1は、V無添加の本発明の対象外の鋼種である。サンプルNo.2〜6は、サンプルNo.1の成分系に、V添加を施した例である。図4、図5より、V無添加、Ti添加系のNo.1と比べて、V添加を行なったNo.2〜5は、耐遅れ破壊特性に優れるが、0.30%を超えてV添加を行なったサンプルNo.6は、耐遅れ破壊特性が、No.1と同等レベルまで下がっている。
特徴は、耐遅れ破壊特性がV添加量に比例して向上するのではなく、No.2の未破断応力が最も高い値をもち、その値をピークにして、V添加量を増やすほど、未破断応力が低くなっていく点である。このことは、V添加自体が、単なる「V系析出物」の増量ではなく、固溶Vを含めて、それらのバランスの上で、耐遅れ破壊特性が決定されることを示唆する。V添加増量に伴い、耐遅れ破壊特性が劣化するのは、(Ti,V)N化しているためではないだろうか。
サンプルNo.7も、同じく、V無添加の本発明の対象外の鋼種である。これに対して、V添加を行ない、組成が本発明範囲内(以下、規定内という)のサンプルNo.8,No.10では、耐遅れ破壊特性は向上し、一方、組成が、例えばN−(14/48)Tiにつき、本発明範囲外(以下、規定外という)であるNo.9では、耐遅れ破壊特性が劣化した。
サンプルNo.11〜13は、Ti無添加系でSi量が規定外の比較例であり、V添加によって耐遅れ破壊特性が劣化する例である。V無添加のNo.11に対して、V添加、かつ、S含有量が多いものが、No.12であり、No.11の類似組成に、V添加のみを行なったものがNo.13である。No.11に対して、V添加を行なうことによって、No.12やNo.13は、耐遅れ破壊特性が劣化する。この両者を比較することによって、S含有量を少なくすることで耐遅れ破壊特性の向上を図れることは明らかであるが、規定外の組成では、V添加による悪影響が顕著であり、耐遅れ破壊特性を、S量の調整のみでは改善できないことを示している。
サンプルNo.1〜13の例から類推するに、単なるV添加だけでは、耐遅れ破壊特性の向上を図ることができず、本発明で明示されるように、その他の元素を併せて、規定することが重要であることがわかる。
もし、単に「V系析出物」だけが影響因子ならば、V添加量に比例する挙動になるはずであるが、No.11とNo.12,13の比較や、No.1とNo.2〜5の比較より、「V系析出物」だけが影響因子ではありえないことは明らかである。固溶Vが、耐遅れ破壊特性を向上することを示唆し、更に、「V系析出物」をゼロにするか、少なくすることが重要なことを示唆している。
また、表1のサンプルのうち、No.1,2,3,7,8について、φ89.1mm×t3.2mmの電縫鋼管を作製して、電縫溶接部の扁平試験(いわゆる0度扁平)を実施したところ、扁平高さが、外径の1/4以下になっても、電縫溶接部は破壊されなかった。Mn/Siが、2.5以上9以下であれば、電縫溶接用鋼材としても問題ないことが示された。
表2には、更に、実施例を追加し、一覧表にしたものを示す。それぞれの鋼種を、油焼入れもしくは水焼入れによって焼入れ、その後、焼戻しによって、記載した硬度に調整した。実施例1に示下のと同じ方法、試験片によって、5%塩酸浸漬下での100時間未破断応力を測定して、その結果をもとに判断した。ここに示したサンプルは、すべて、Hv450以上であるので、第1基準で、耐遅れ破壊特性につき判断した。
Figure 0004867382
サンプルNo.21は、V無添加かつTi無添加の比較例である。No.22〜24は、No.21を基本に成分調整された鋼板である。No.22、24は、V添加された例であって、Siが0.80%以上の場合には、耐遅れ破壊特性が向上していることを示している。一方、No.23は、Siが0.20%未満で、Crが0.70%に満たず、かつ、窒素が0.0050%を超えている場合の比較例であって、V添加だけでなく、SiやCrや窒素量を総合的に規定しないと、耐遅れ破壊特性を優れたものにできないことを示している。
サンプルNo.25は、V無添加かつTi無添加の比較例である。No.26〜29は、No.25を基本に成分調整された例である。No.26は、V添加されているものの、Siが0.20%を超えている比較例である。SiやCrや窒素量を総合的に規定しないと、耐遅れ破壊特性を優れたものにできない。No.27は、585℃で焼戻した発明例であり、Siが0.25%であっても、耐遅れ破壊特性が向上していることが示されている。No.28は、Ti添加を実施した発明例である。V添加かつTi添加を行なうと、耐遅れ破壊特性の向上が図れる。No.29は、Ti無添加で、Siが0.05%以下、Crが0.7%以上、かつ窒素が0.0050%以下の際、耐遅れ破壊特性が向上する発明例である。
サンプルNo.30は、V無添加かつTi無添加の比較例であり、サンプルNo.31と32は、No.30を基本にして成分調整した例である。No.31は、V添加かつTi添加を行なった発明例であり、耐遅れ破壊特性が向上している。No.32は、Ti無添加のままで、Siが0.20%超で、かつ、窒素が0.0050%超えの比較例であり、耐遅れ破壊特性が向上しない。
サンプルNo.33は、V無添加かつTi無添加の比較例である。サンプルNo.34は、No.33を基本に成分調整した発明例であって、V添加かつTi添加によって、耐遅れ破壊特性が向上することを示している。
耐遅れ破壊特性評価方法を示す模式図である。 未破断応力の求め方を示す模式図である。 耐遅れ破壊特性評価用試験片を示す平面形状模式図である。 5%塩酸浸漬下での100時間未破断応力と硬度の関係を示すグラフである。 5%塩酸浸漬下での100時間未破断応力とV添加量の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 耐遅れ破壊特性評価用試験片
2 試験片浸漬用保持容器
3 おもり

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
    Ti:0.010〜0.1%、かつ、N−(14/48)Ti:0.002%以下としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  2. さらに、Ti:0.015〜0.03%、N:0.005%以下としたことを特徴とする、請求項1に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  3. さらに、V:0.02〜0.15%としたことを特徴とする、請求項2に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  4. 質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
    Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.80〜2.5%してなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  5. さらに、Cr:0.03%以下としたことを特徴とする、請求項4に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  6. 質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
    Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.01〜0.20%、Cr:0.7〜1.5%、N:0.005%以下としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  7. さらに、Si:0.05%以下としたことを特徴とする、請求項6に記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  8. 質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.20〜1.8%、Cr:無添加を含み1.5%以下、N:0.015%以下、Ti:無添加を含み0.1%以下、V:0.02〜0.3%、Al:0.027〜0.07%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、調質処理される鋼材において、該鋼材がMn/Si=2.5〜9とされた、電縫溶接用鋼板又は電縫鋼管であり、
    Ti:0.004%以上0.010%未満、Si:0.01〜0.25%、Cr:0.7〜1.5%とし、前記調質処理を焼入れ‐焼戻し処理とし該焼戻し処理の温度を550〜700℃としてなることを特徴とする、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  9. Feの一部に代えて、質量%で、B:0.0030%以下、Mo:0.50%以下のうち1種又は2種を含有するとしたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
  10. さらに、N:0.005%以下としたことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の、調質処理後に高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する鋼材。
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