以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態にかかる遊技機は、パチンコ遊技機である。そして、遊技においては、遊技球(=パチンコ球)が遊技媒体として使用される。
図1は、本発明の実施形態にかかる遊技機1の正面図であって、前面枠3が機枠2に対して閉鎖状態にあり、下皿部材4およびガラス枠5が、前面枠3および機枠2に対して閉鎖状態にある構成を、前面側から見た平面図である。図2は、本発明の実施形態にかかる遊技機1の正面図であり、前面枠3が機枠2に対して閉鎖状態にあり、下皿部材4およびガラス枠5が、前面枠3および機枠2に対して開放状態にある構成を、前面側から見た平面図である。なお、図2においては、遊技盤61の遊技領域611に配設される各種の装置などは省略してある。
以下の説明において、本発明の実施形態にかかる遊技機1の「前面」とは、遊技者が遊技を行う側の面(=遊技者が遊技を行うに際して対向する側の面)をいうものとし、「背面」とは、前面の反対側の面をいうものとする。また、以下の説明において、本発明の実施形態にかかる遊技機1の「上」、「下」、「右」、「左」は、特に断りのない限り、常態において前面側から見た向きをいう。「水平方向」とは、上下方向に直角な方向をいう。すなわち、図1に表される向きを基準とする。なお、本発明の実施形態にかかる遊技機1を構成する各種の部品などや、本発明の実施形態にかかる遊技機1に組み付けられる各種の部品などの向きについても同様とする。
まず、本発明の実施形態にかかる遊技機1の全体的な構成について説明する。図1と図2のそれぞれに示すように、本発明の実施形態にかかる遊技機1は、機枠2(「基枠」、「本体枠」、「外枠」などと称することもある)と、前面枠3(「内枠」などと称することもある)と、第一の開閉部材としての下皿部材4と、第二の開閉部材としてのガラス枠5とを備える。そして、機枠2、前面枠3、下皿部材4およびガラス枠5に、所定の部品が組み付けられる。また、図1および図2においては省略してあるが、機枠2の一側(たとえば左側)の外面には、プリペイドカードユニットが取り付けられることがある。
前面枠3は、機枠2の前面側に配設され、機枠2に対して開閉可能でかつ着脱可能に取り付けられる。下皿部材4とガラス枠5は、図1および図2に示すように、機枠2および前面枠3の前面側に配設され、それぞれ、機枠2および前面枠3に対して開閉可能に構成される。
機枠2は、所定の奥行きを有し、開口した略四辺形の形状を有する額縁状の構造物である。
前面枠3は、機枠2の外形と略同じ外形(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては、略四辺形)に形成される枠体である。この前面枠3の上部には、所定の形状の開口部(たとえば、略四辺形に形成される開口部。この開口部は、前面側から背面側に通じる開口部である)が形成される。前面枠3の下部(=開口部の下方)には、所定の部品や所定の装置などが配置される配置面31が設けられる。この配置面31は、本発明の実施形態にかかる遊技機1の前面側および背面側を向く面である。さらに、前面枠3の右下部(=配置面31の右側)には、ハンドル固定部32が設けられる。たとえば、前面枠3は、機枠2の外形と略同じ外形を有し開口した額縁状の構造体と、略板状の部材とを有し、額縁状の構造体の下部(=下辺近傍)に板状の部材が取り付けられる構成を有する。そして、板状の部材の前面および背面が配置面31となり、板状の部材以外の部分が開口部となる。
前面枠3は、機枠2に対して開閉可能でかつ着脱可能に取り付けられる。図3は、機枠2に対する前面枠3の取付構造を、模式的に示した分解斜視図である。
図3に示すように、機枠2の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては左側縁)の上部と下部のそれぞれには、係合部材21,22が取り付けられる。これらの係合部材21,22には、上側に向かって突起する突起状で断面略円形の係合軸211,221が設けられる。
一方、前面枠3の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては左側縁)の上部と下部のそれぞれには、被係合部材33,34が取り付けられる。
前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34には、機枠2の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22の係合軸211が係合可能な(=挿入可能な)略丸孔状の係合孔341が形成される。すなわち、前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34を、機枠の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22に上方から接近させることにより、係合孔341に係合軸221を挿入して係合することができる。
前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33には、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211が係合可能な(=挿入可能な)係合切り欠き331が形成される。この係合切り欠き331は、被係合部材33の外周縁(=水平方向の外周縁)から内部に向かって形成されるスリット状の切り欠きであり、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211を略水平方向にスライドさせるようにして挿入して係合させることができる。さらに、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33には、係合保持機構(図略)が設けられる。この係合保持機構は、被係合部材33の係合切り欠き331に係合した係合部材21の係合軸211が、水平方向に移動することを規制する機構であり、これにより係合部材21の係合軸211が被係合部材33の係合切り欠き331から抜け出ること(=係合が解除されること)を防止する。なお、この係合保持機構を操作することにより、係合部材21の係合軸211を被係合部材34の係合切り欠き331から抜け出させることができる。
前面枠3を機枠2に取り付ける手順は、次のとおりである。まず、前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34を、機枠2の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22に上方から接近させる。そして前面枠3を落とし込むようにして、被係合部材34の係合孔341に、係合部材22の係合軸221を係合させる(=挿入する)。たとえば、前面枠3を機枠2に対して少し傾けた状態で、前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34の係合孔341に、機枠2の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22の係合軸221を係合させる。次いで、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33の係合切り欠き331に、機枠の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211を係合させる。たとえば、前面枠3を、傾いた姿勢から垂直に立った姿勢に変更しつつ、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33の係合切り欠きに、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211を、水平方向にスライドさせるように挿入して係合させる。前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33の係合切り欠き331に、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211が完全に係合すると、被係合部材33に設けられる係合保持機構により、係合部材21の係合軸211が被係合部材33の係合切り欠き331から抜け出ないように保持される。
前面枠3を機枠から取り外す手順は、上記手順と逆の手順となる。すなわち、まず、前面枠3の上部に取り付けられる被係合部材33の係合保持機構を操作して、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21の係合軸211が、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33の係合切り欠き331から抜け出ることができる状態にする。そして、前面枠3を、前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34の係合孔と機枠2の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22の係合軸221との係合箇所を中心に傾斜させることによって、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33を、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21に対して、略水平方向にスライドさせるように相対移動させる。この動作によって、係合部材21の係合軸211を被係合部材33の係合切り欠き331から抜け出させる。そうすると、前面枠3の一側縁の上部に取り付けられる被係合部材33と、機枠2の一側縁の上部に取り付けられる係合部材21との係合が解除されて物理的に分離する。その後、前面枠3を上方に持ち上げることによって、前面枠3の一側縁の下部に取り付けられる被係合部材34の係合孔341から、機枠2の一側縁の下部に取り付けられる係合部材22の係合軸221を抜く(=係合を解除する)。これによって、前面枠3と機枠2とが物理的に分離し、前面枠3が機枠2から取り外される。
機枠2の一側縁の上部および下部に取り付けられる係合部材21,22と、前面枠3の一側縁の上部および下部に取り付けられる被係合部材33,34とは、係合した状態においてヒンジとして機能する。具体的には、係合部材21,22の係合軸211,221と被係合部材33,34の係合孔341または係合切り欠き331とを回転中心として、相対的に回転することができる。このため、前面枠3は機枠2に対して開閉可能となる。具体的には、前面枠3の他の一側縁(被係合部材33,34が取り付けられる側とは反対側。本発明の実施形態にかかる遊技機1においては右側縁)を前面側に引き出すことによって、前面枠3の一側縁を回転中心として(厳密には、係合部材21,22の係合軸211,221と被係合部材33,34の係合孔341および係合切り欠き331を回転中心として)、いわゆる開き戸のように前面側に開放することができる。
なお、前面枠3の「閉鎖状態」とは、前面枠3の他の一側縁が、機枠2の他の一側縁に係合している状態(たとえば、接触している状態)をいい、「開放状態」とは、前面枠3の他の一側縁が、機枠2の他の一側縁から離脱している状態をいうものとする。
機枠2と前面枠3は、閉鎖状態保持機構(図略)を備えており、この閉鎖状態保持機構により、前面枠3の機枠2に対する閉鎖状態を維持することができる(すなわち、前面枠3を機枠に対してロックする)。具体的には、この閉鎖状態保持機構は、前面枠3の背面と機枠2の前面のいずれか一方に配設される可動式の鉤状の係止鉤と、この係止鉤が係止可能で前面枠3の背面と機枠2の前面のいずれか他の一方に配設される被係止部とを有する。そして、前面枠3が機枠2に対して開放状態から閉鎖状態に移動すると、自動的に係止鉤が被係止部に係止するように構成される。これによって前面枠3は機枠2に対して閉鎖状態に維持される。一方、係止鉤を操作することにより、係止鉤と被係止部の係止を解除でき、これにより、前面枠3を機枠2に対して閉鎖状態から開放状態に移動させることができる。
図1と図2に戻って説明する。前面枠3に形成される開口部には、図1と図2(特に図2参照)に示すように、遊技盤61が着脱可能に取り付けられる。遊技盤61は所定の形状(たとえば略四辺形)に形成される板状の部材であり、その前面側には、遊技球が移動可能な領域である遊技媒体移動領域としての遊技領域611が形成される。具体的には、遊技盤61の前面には、発射装置74(後述。図1と図2においては隠れて見えない)によって発射された遊技球をガイドするためのガイドレール(=内側ガイドレール612および外側ガイドレール613)が、略円形に形成される。そして、ガイドレール612,613に囲繞される領域(=略円形に形成される領域)が遊技領域611となる。遊技盤61に設けられる遊技領域611には、所定の装置や所定の部品が配設される(図2においては省略)。たとえば、普通図柄表示装置や特別図柄表示装置615などの各種の所定の図柄表示装置、特別入賞装置616や始動入賞装置617などの各種の所定の入賞装置、遊技球が衝突しうる釘や回転役物(=風車)などの各種の所定の部材(図略)が配設される。そして、遊技領域611の最下部には、遊技球を遊技領域611の外部に排出する経路に繋がるアウト口618が設けられる。
前面枠3の下部に設けられる配置面31には、発射装置74、球送りカセット71、戻り球排出部材72などの所定の装置や所定の部品が配置される。さらに配置面31には、下皿部材を前面枠に対して閉鎖状態に維持するための係合機構部311が設けられる(後述)。たとえば、特に図2に示すように、配置面31の左右方向の略中央に球送りカセット71が配設され、球送りカセット71の左側に戻り球排出部材72が配設され、球送りカセット71の右側に係合機構部311が設けられる。また、球送りカセット71の背面側には発射装置74が配設される(図2においては隠れて見えない)。
発射装置74は、遊技球を遊技領域に向けて発射するための装置である。この発射装置74は、遊技球に打ち当てることによって遊技球に所定の初速度を与える発射鎚741と、この発射鎚741を駆動する駆動源などが収納された本体部とを有する。そして、発射鎚741が配置面の前面側に配置され、本体部が配置面の背面に配置される。
球送りカセット71は、配置面31において他の部品や装置など(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては発射装置74)と係合し、連係して所定の動作を行うことができる位置(=関連動作が可能な位置)と、少なくとも一部が配置面31から離脱するなどして所定の動作を行わない位置(=関連動作が不可能となる位置)との間を、交互に移動可能に配設される。なお、配置面31において他の部品と係合し連係して所定の動作を行うことができる位置を「配置位置」と称し、すくなくとも一部が配置面31から離脱するなどして所定の動作を行わない位置を「配置解除位置」と称する。具体的な構成については後述する。
球送りカセット71は、配置位置に配設された状態おいて、ガラス枠5の上皿51(後述)に貯留される遊技球を、発射装置74が発射鎚741を打ちつけて遊技球を発射することができる位置(以下、「発射位置」と称する)、または、下皿部材4の下皿41(後述)のいずれかに選択的に導くことができる部品である。具体的には、この球送りカセット71は、所定の奥行き寸法を有する箱状に形成される部材であり、その内部には、遊技球を発射位置に導くための第一の遊技球経路と、遊技球を下皿に導くための第二の遊技球経路とが形成される。
球送りカセット71に形成される第一の遊技球経路は、起点から終点に向かってなだらかな下り勾配を有する経路である。球送りカセット71の前面の上部(=上端近傍)には遊技球の入口としての開口部711が形成され、この入口が、第一の遊技球経路の起点に連なる。このため遊技球は、球送りカセット71の前面側から、この開口部711を通じて第一の遊技球経路に進入することができる。そして第一の遊技球経路に進入した遊技球は、自重によって起点から終点に向かって進行(転動)する。第一の遊技球経路の終点には、第一の遊技球経路に連続的に進入してきた複数の遊技球を、一個ずつにバラして(=一個ずつ間歇的に)発射位置に導く球送り機構が設けられる。
球送り機構は、球送り部材と、この球送り部材を駆動する電磁石(ソレノイド)とを有する。球送り部材には、一個の遊技球を収納することができる略U字形状の切り欠きが形成される。そして、球送りカセット71の第一の遊技球経路の終点に、略上下方向に揺動可能に配設される。球送り部材が揺動して最も上側を向くと、略U字形状の切り欠きが第一の遊技球経路の終点に対向する。このため、第一の遊技球経路を進行してきた複数の遊技球のうちの一個が、球送り部材に形成される略U字形状の切り欠きに収まる。球送り部材が揺動して最も下側を向くと、球送り部材に形成される略U字形状が、球送りカセットの背面に形成される開口部に重なる。このため、球送り部材に形成される略U字形状に収まった遊技球は、自重によってこの開口部から球送りカセットの背面側に落下する。そして、落下した遊技球は、発射装置74の発射鎚741が配設される位置(すなわち発射位置)に導かれる。なお、球送り部材が最も下側を向いた状態においては、第一の遊技球経路を進行してきた遊技球は、球送り部材に形成される略U字形状の切り欠きに入り込むことはできない。
球送り部材には、鉄片などの強磁性体(磁石に吸い付く部材)が取り付けられる。そして、球送り部材の上方には電磁石が配設される。電磁石に電流を流すと磁力が発生し、強磁性体が吸い寄せられて球送り部材が上側に向かって揺動し、最も上側を向いた状態になる。電磁石への電流を停止すると、球送り部材は、その自重および遊技球の自重によって下側に向かって揺動し、最も下側を向いた状態となる。このような構成によれば、電磁石に間歇的に電流を流すことにより、球送り部材を上下方向に間歇的に揺動させることができる。したがって、第一の遊技球経路を連続的に進行してきた複数の遊技球を、一個ずつにバラして発射位置に導くことができる。
発射位置に導かれた遊技球は、発射装置74の発射鎚741によって、一個ずつ遊技盤61の遊技領域611に向けて発射される。すなわち、球送り部材が最も下側を向いて一個の遊技球が発射位置に導かれた後、発射装置74はこの遊技球を遊技領域611に向けて発射する。この間に、電磁石によって遊技球送り部材は最も上側を向く。これにより、第一の遊技球経路を進行してきた次の遊技球が、球送り部材に形成される略U字形状の切り欠きに収まる。発射装置が遊技球を発射した後、球送り部材が最も下側を向き、次の遊技球が発射位置に導かれる。そして、発射装置74は、当該次の遊技球を遊技領域611に向けて発射する。このように、球送りカセット71と発射装置74とは所定の位置関係を有するように係合しており、球送りカセット71の球送り機構と発射装置74とは連係して動作する。
球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路は、球送りカセット71に設けられる第一の遊技球経路の終点近傍(=球送り部材の直前)から下方に向かって分岐する経路である。球送りカセット71に設けられる第一の遊技球経路と第二の遊技球経路の分岐点(すなわち、第二の遊技球経路の起点)には、第二の遊技球経路を開閉する開閉機構が設けられる。この開閉機構は、第二の遊技球経路を開閉する開閉部材と、この開閉部材を付勢する付勢手段とを有する。開閉部材は、略板状の部材であり、略水平方向(たとえば略左右方向)にスライド式に往復動可能に配設される。また、開閉部材には、前面側に突起する操作腕713が形成される。球送りカセット71の前面には略左右方向に長い長孔状の開口部714が形成されており、開閉部材の操作腕713はこの長孔状の開口部714を通じて、球送りカセット71の前面側に突出している。
この開閉部材は、左右方向にスライド式に往復動することにより、球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路の起点を開閉することができる。すなわち、往復動の可動範囲の一端に位置すると、球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路の起点を閉鎖する。この位置においては、開閉部材の上面が球送りカセット71に設けられる第一の遊技球経路の底面となって遊技球を遊技球送り部材に導き、遊技球が球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路に落下することを防止する。一方、開閉部材が可動範囲の他の一端に位置すると、球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路の起点から退き、第二の遊技球経路が開放される。このため、球送りカセット71に設けられる第一の遊技球経路を進行してきた遊技球は、遊技球送り部材に到達せずに第二の遊技球経路に落下する。球送りカセットの前面の下部(たとえば下辺近傍)には遊技球の出口としての開口部712が形成されており、この開口部712は第二の遊技球経路の終点(すなわち下端)に連通する。このため、第二の遊技球経路に落下した遊技球は、この出口から球送りカセット71の前面側に排出される。
この開閉部材は、付勢手段によって、常態においては球送りカセット71に設けられる第二の遊技球経路を閉鎖する位置に付勢されて維持される。そして、付勢手段の付勢力に抗して操作腕713を操作することにより(=可動範囲の他の一端にスライドさせることにより)、第二の遊技球経路を開放することができる。
このように、球送りカセット71は、配置面31の配置位置にある状態において、配置面に配置される他の部材や装置(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては発射装置74)と所定の位置関係となるように係合し、連係して所定の動作を行うことができる。
戻り球排出部材72は、発射装置74により発射された遊技球のうち、初速度が小さくて遊技領域611に到達せずに戻ってきたものを、下皿部材4の下皿41に導く部材である。この戻り球排出部材72は、所定の奥行き寸法を有する略箱状の部材であり、その内部には、発射装置74により発射された遊技球が通過する発射経路と、この発射経路から下方に向かって分岐する排出経路とが形成される。排出経路の終点(=下端)には、前面側に連通する開口部721(=遊技球の出口)が形成される。このような構成によれば、発射装置により発射された遊技球は、戻り球排出部材に形成される発射経路や、遊技盤61に設けられるガイドレール612,613により形成される経路を通じて遊技領域611に到達する。ただし、初速度が小さいために遊技領域611に到達できなかった遊技球は、ガイドレール612,613により形成される経路、および戻り球排出部材72に形成される発射経路を戻る。そして、戻ってきた遊技球は、戻り球排出部材72に形成される排出経路に落下し、排出経路の終点に形成される開口部721を通じて、戻り球排出部材72の前面側に排出され、その後下皿部材4の下皿41に導かれる。
ハンドル固定部32は、配置面31の右側に配設される部材であり、配置面31よりも前面側に突出する。そして、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ハンドル固定部32の前面が、下皿部材4の前面と略一致する。すなわち、意匠的には、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、下皿部材4とハンドル固定部32とが一体的に見えるようになる。このハンドル固定部32には、発射装置74を操作する発射ハンドル321が配設される。さらにこのハンドル固定部321には、前面枠3と機枠2とに設けられる係合機構部を操作する係合機構部操作部322が設けられる。この係合機構部操作部322には、たとえばシリンダー錠が適用される。すなわち、シリンダー錠に所定の鍵を挿入して所定の方向に回転させることにより、前面枠3または機枠2に配設される可動式の係止鉤を操作して、係止爪鉤と被係止部との係止状態を解除することができる。係止鉤と被係止部との係止状態が解除されると、前面枠3の他の一側縁(右側縁)を前面側に引き出すことにより、前面枠3を機枠2に対して閉鎖状態から開放状態に移動させることができる。
前面枠3の前面側には、下皿部材4とガラス枠5とが、それぞれ機枠2および前面枠3に対して開閉可能に取り付けられる。図4と図5は、下皿部材4とガラス枠5との組み付け構造を模式的に示した図である。具体的には、図4は、前面枠3が機枠2に対して閉鎖状態にあり、下皿部材4が前面枠3および機枠2に対して閉鎖状態にあり、ガラス枠5が前面枠3および機枠2に対して開放状態にある構成を、模式的に示した外観斜視図である。図5は、前面枠3が機枠2に対して閉鎖状態にあり、下皿部材4およびガラス枠5が、前面枠3および機枠2に対して開放状態にある構成を、模式的に示した外観斜視図である。なお、図1、図2、図4、図5などに示すように、前面枠3の前面側の下部に下皿部材4が取り付けられ、下皿部材4の上側にガラス枠5が取り付けられる。
下皿部材4の一側縁およびガラス枠5の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては左側縁)は、前面枠3の一側縁(左側縁)に軸着される。たとえば、下皿部材4およびガラス枠5の一側縁の上部には、上側に向かって突起する断面略円形の係合軸が設けられ、下部には、下側に向かって突起する断面略円形の係合軸が設けられる。また、前面枠3の一側縁の所定の高さ方向位置には、前記係合軸を係合(=挿入)可能な係合孔が形成された被係合部材が取り付けられる。そして、下皿部材4およびガラス枠5の一側縁の上部と下部に設けられる係合軸が、前面枠3の一側縁の所定の高さ方向位置に取り付けられる被係合部材の係合孔に係合する。このような構成によれば、係合軸および係合部材がヒンジ機構として機能し、下皿部材4およびガラス枠5は、一側縁を回転中心として(厳密には、係合軸および係合部材に形成される係合孔を回転中心として)、回転することができる。したがって、下皿部材4およびガラス枠5は、それぞれ他の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては右側縁)を前面側に引き出すことにより、開き戸のような態様で、前面枠3および機枠2に対して閉鎖状態と開放状態との間を移動することができる。
なお、下皿部材4の前面枠3に対する「閉鎖状態」とは、下皿部材4の他の一側縁が前面枠3の他の一側縁に係合している状態をいう。下皿部材4の前面枠3に対する「開放状態」とは、前記「閉鎖状態」以外の状態であって、具体的にはたとえば、下皿部材4の他の一側縁が、前面枠3の他の一側縁から離脱している状態をいう。下皿部材4の機枠2に対する「閉鎖状態」とは、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態であり、かつ前面枠3が機枠2に対しても閉鎖状態にある状態をいう。下皿部材4の機枠2に対する「開放状態」とは、前記下皿部材4の機枠2に対する「閉鎖状態」以外の状態である。具体的にはたとえば、前面枠3が機枠2に対して開放状態にあるか閉鎖状態にあるかにかかわらず、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態にある状態をいう。したがって、『下皿部材4が前面枠3に対して「開放状態」にある』とは、下皿部材4が機枠2に対しても開放状態である状態が含まれる。
同様に、ガラス枠5の前面枠3に対する「閉鎖状態」とは、ガラス枠5の他の一側縁が前面枠3の他の一側縁に係合している状態をいう。ガラス枠5の前面枠3に対する「開放状態」とは、前記「閉鎖状態」以外の状態をいう。ガラス枠5の機枠2に対する「閉鎖状態」とは、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態であり、かつ前面枠3が機枠2に対しても閉鎖状態にある状態をいう。ガラス枠5の機枠2に対する「開放状態」とは、前記ガラス枠5の機枠2に対する「閉鎖状態」以外の状態である。下皿部材4と同様に、『ガラス枠5が前面枠3に対して「開放状態」にある』とは、ガラス枠5が機枠2に対しても開放状態である状態が含まれる。
下皿部材4が閉鎖状態にあると、下皿部材4の背面が前面枠3に設けられる配置面31の下部の所定の範囲に、所定の距離をおいて対向する。また、ガラス枠5が閉鎖状態にあると、ガラス枠5の背面の上部の所定の範囲が、前面枠3に形成される開口部(に配置される遊技盤61)に、所定の距離をおいて対向する。また、ガラス枠5の背面の下部の所定の範囲が、前面枠3に設けられる配置面31の上部の所定の範囲に、所定の距離をおいて対向する。
下皿部材4とガラス枠5とは、前面枠3の前面側にそれぞれ独立して取り付けられている。このため、下皿部材4とガラス枠5とは、独立的に閉鎖状態と開放状態との間を移動することができる。ただし、下皿部材4の上端には、上方に向かって突起する板状の部材である規制部材(図略)が取り付けられる。そして、この規制部材は、ガラス枠5の背面の下辺近傍に当接する。このため、下皿部材4を、ガラス枠5よりも前面側に移動させることはできない。同様の理由により、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、下皿部材4を閉鎖状態から開放状態に移動させることはできない。このように、下皿部材4は、ガラス枠5が開放状態にある場合に限り、閉鎖状態と開放状態との間を移動させることができる。
また、下皿部材4とガラス枠5の両方が前面枠3に対して開放状態ある状態から、ガラス枠5を閉鎖状態に移動させると、ガラス枠5の下辺が下皿部材4の上端に取り付けられる規制部材に当接して閉鎖状態に移動するように押し、下皿部材4とガラス枠5とが一体的に開放状態から閉鎖状態に移動する。このため、下皿部材4が閉鎖状態に移動できない状態にあると、ガラス枠5も開放状態から閉鎖状態に移動できない。
下皿部材4の背面には、係合機構部8が設けられる(特に図5参照)。この係合機構部8は前面枠3の配置面に設けられる係合機構部311に係合することにより、下皿部材4を前面枠3に対して閉鎖状態に維持するためのものである。そして、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態から閉鎖状態に移動すると、係合機構部8,311によって、自動的に下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態に維持される(=下皿部材4が前面枠3にロックされる)。係合機構部8は、これを操作することにより、下皿部材4と前面枠3との係合を解除することができ、係合を解除すると、下皿部材4を前面枠3に対して閉鎖状態から開放状態に移動させることができる。なお、下皿部材8の係合機構部8の詳細については後述する。
ガラス枠5と前面枠3にも、ガラス枠5を前面枠3に対して閉鎖状態に維持するための係合機構部(図略)が設けられる。具体的にはたとえば、ガラス枠5と前面枠3のいずれか一方に可動式の係止鉤が配設され、他の一方に係止鉤が係止可能な被係止部が配設される。そして、ガラス枠5を開放状態から閉鎖状態に移動させると、可動式の係止鉤が自動的に被係止部に係止し、これによってガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態に維持される(=ガラス枠5が前面枠3にロックされる)。ガラス枠5を閉鎖状態から開放状態移動するには、可動式の係止鉤を操作して可動式の係止鉤と被係止部の係止状態を解除する。これにより、ガラス枠5の他の一側縁を前面側に引き出すようにして開放状態に移動させることができる。なお、可動式の係止鉤と被係止部の係止状態を解除するための係合機構部操作部は、前面枠を機枠に対して閉鎖状態に維持するための係合機構部を操作する係合機構部操作部322が兼用する。すなわち、係合機構部操作部322に所定の鍵を挿入し、挿入した鍵を所定の向き(たとえば時計回り)に回転させると、前面枠3の機枠2に対する係止状態が解除され、他の所定の向き(たとえば反時計回り)に回転させると、ガラス枠5の前面枠3に対する係止状態が解除される。
下皿部材4は、図4、図5などに示すように、遊技球を貯留できる下皿41が設けられる部材である。具体的には、下皿部材4には前面側に向かって突起する下皿41が設けられる。そして下皿41の上面には凹部42が形成され、この凹部42に遊技球を貯留することができる。また、凹部42の周縁部(=下皿の上面のうち凹部42に近接する部分)には、凹部42に向かって下り勾配の傾斜面である遊技媒体誘導部43が形成される。このため、遊技球が遊技媒体誘導部43上に落下すると、落下した遊技球は、遊技媒体誘導部43の傾斜によって転動し、下皿41の凹部42に導かれる。このように、下皿41に遊技媒体誘導部43が形成されることによって、遊技球が本発明の実施形態にかかる遊技機1から落下することを防止または抑制できる。この遊技媒体誘導部43は、特に図4に示すように、少なくとも係合機構部8の前面側に設けられる。
下皿部材4には、下皿41の凹部42の底面の最深部と下皿41の下面とを連通する遊技球落下孔44が形成される。そして下皿41の下面には、球抜き機構45が設けられる。球抜き機構45は、遊技球落下孔44に対して閉鎖状態と開放状態の間を移動できる開閉部材451と、この開閉部材451を付勢する付勢手段とを備える。開閉部材451は略板状の部材であり、下皿41の下面に略水平方向(たとえば左右方向)にスライド式に往復動可能に配設される。そして、開閉部材451が往復動の可動範囲の一端に位置すると、遊技球落下孔44を塞ぎ、可動範囲の他の一端に位置すると、遊技球落下孔から退いて遊技球落下孔44を開放する。この開閉部材451は、付勢手段(図略。たとえばコイルバネや板バネなどの弾性部材)などによって可動範囲の前記一端に位置するように付勢されており、常態においては遊技球落下孔44を閉鎖した状態に維持する。そして開閉部材451には、前面側に突起する操作腕452が形成されており、遊技者などは、この操作腕452を操作することにより(=付勢手段の付勢力に抗してスライド式に移動させることにより)、遊技球落下孔44を開放することができる。そして、遊技球落下孔44を開放することにより、下皿41に貯留される遊技球を、下皿41の下方に置かれた遊技球容器などに落下させることができる。
また、下皿部材4には、下皿41の凹部42の内壁面と下皿部材4の背面との間を連通する貫通孔状の第一の遊技球経路46と第二の遊技球経路47とが形成される。下皿部材4に形成される第一の遊技球経路と第二の遊技球経路の入口(=下皿部材4の背面に設けられる開口部)は別個独立してそれぞれ所定の位置に形成される。ただし、下皿部材4の内部で合流しており、出口(=下皿41の凹部42の内壁面に形成される開口部)は共通である。
下皿部材4が閉鎖状態にあると、下皿部材4の背面の所定の領域が、前面枠3の配置面の配置位置に配置される球送りカセット71の前面の所定の部分(具体的には、前面の下部)に近接して対向する。そして、下皿部材4に形成される第一の遊技球経路46の背面側の開口部(すなわち、遊技球の入口)が、球送りカセット71の前面の下部に形成される開口部712(=球送りカセット71の第二の遊技球経路の終点に形成される遊技球の出口)に対向して連通する。このため、球送りカセット71の第二の遊技球経路の落下した遊技球は、球送りカセット71の前面の下部に形成される開口部712から前面側に排出され、下皿部材4に形成される第一の遊技球経路46を通じて下皿41の凹部42に導かれる。
また、下皿部材4が閉鎖状態にあると、下皿部材4の背面の所定の領域が、前面枠3の配置面に配置される戻り球排出部材72の所定の部分に近接して対向する。そして、下皿部材4に形成される第二の遊技球経路47の入口は、戻り球排出部材72の前面の下部に形成される開口部721(=戻り球排出部材72の排出経路の終点に形成される遊技球の出口)に対向して連通する。このため、発射装置74により発射された遊技球のうち、初速度が不足して遊技領域611に到達できずに戻ったものは、戻り球排出部材72の前面側に排出され、下皿部材4に形成される第二の遊技球経路47を通じて下皿41の凹部42に導かれる。
図1、図2、図4、図5を参照して説明する。ガラス枠5は、下皿部材4の上側に配設される部材である。ガラス枠5には、所定の寸法および形状を有する開口部(この開口部は、前面側から背面側に向かって貫通する開口部である)が形成される。この開口部には、略透明なガラス板52が取り付けられる。そして、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5に取り付けられるガラス板52が、前面枠3の開口部に取り付けられる遊技盤61の遊技領域611に、所定の距離をおいて対向する。このため、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5に取り付けられるガラス板52を通じて、本発明の実施形態にかかる遊技機1の前面側から、遊技盤61に設けられる遊技盤611が視認可能となる。また、遊技盤61に形成される遊技領域611は、ガラス枠5に取り付けられるガラス板51によって保護される(=前面側から直接的に触れることができない状態に維持される)。さらに、遊技領域611を移動する遊技球が、ガラス板52によって、本発明の実施形態にかかる遊技機1の前面側に落下しないようにガイドされる。
ガラス枠5の右上部と左上部のそれぞれには、拡声手段としてのスピーカ53が配設される(特に図1参照)。このスピーカ53は、遊戯中に遊技者にむかって、所定の音楽や音声を発することができる。また、ガラス枠5には、開口部を囲繞するように、各種の装飾ランプ(図略)が設けられる。これらの各種の装飾ランプは、遊戯中において、所定の態様で点灯や点滅することができる。
ガラス枠5の開口部の下側であってガラス枠5の下辺の直上には、上皿51が設けられる(特に図1参照)。この上皿51は、ガラス枠5に一体に形成される構造物であり、前面側に向かって突起する。上皿51の上面の所定の位置には、所定の形状と所定の深さを有する凹部が形成され、この凹部に遊技球を貯留することができる。そしてこのガラス枠5には、凹部の内壁面とガラス枠5の背面とを連通する第一の遊技球経路56と、凹部の底部とガラス枠5の背面とを連通する第二の遊技球経路57が形成される(特に図4、図5参照)。
ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5の背面の下部(=下辺近傍)の所定の部分が、前面枠3の配置面31に所定の距離をおいて対向する。このため、ガラス枠5の背面の所定の部分が、前面枠3の配置面31に配置される戻り球排出部材72の前面の上部の所定の部分に近接して対向する。同様に、前面枠3の配置面31の配置位置に配置される球送りカセット71の前面の上部に近接して対向する。
ガラス枠5に形成される第一の遊技球経路56は、上皿51に貯留される遊技球を、前面枠3の配置面31の配置位置に配置される球送りカセット71に送りこむための経路である。すなわち、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5に形成される第一の遊技球経路56の出口(すなわち、ガラス枠5の背面に現れる開口部)が、球送りカセット71の前面の上部に形成される開口部711(=球送りカセット71の第一の遊技球経路の起点に形成される入口)に対向して連通する。このため、上皿51に貯留される遊技球を、ガラス枠5に形成される第一の遊技球経路56を通じて、球送りカセット71に送りこむことができる。なお、第一の遊技球経路56の出口には、この出口を開閉する開閉機構58が設けられる。
ガラス枠5に形成される第二の遊技球経路57は、ガラス枠5の下辺近傍に位置しており、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5に形成される第二の遊技球経路57の入口(=ガラス枠5の背面に現れる開口部)が、前面枠3の配置面31に設けられる遊技球供給経路92の終点に対向する。この遊技球供給経路92は、本発明の実施形態にかかる遊技機1の背面の上部に設けられる遊技球貯留タンク91に連通する経路であり、遊技球貯留タンク91と前面枠3の配置面31とを遊技球を通過(=落下)可能に連通する経路である(図6参照)。このため、遊技球貯留タンク91に貯留される遊技球は、この遊技球供給経路92とガラス枠5に形成される第二の遊技球経路57を通じて上皿51に供給される。
このほか、上皿51の上面には、各種の所定の遊技ボタン、球貸しボタン、返却ボタン、球抜きボタンなどが配設される(いずれも図略)。
遊技ボタンは、遊技者が遊戯中において、遊技の内容や状況に応じて操作するボタンである。球貸しボタンおよび返却ボタンは、プリペイドカードユニットを操作するためのボタンである。
球抜きボタンは、上皿51に貯留される遊技球を下皿41に流下させるためのボタンである。ガラス枠5の背面の所定の位置には、この球抜きボタンの押下操作に連動して左右方向にスライド式に往復動可能なスライド部材(図略)が配設される。このスライド部材は、前面枠3の配置面31の配置位置に配置された球送りカセット71の開閉部材の操作腕を操作する部材である。すなわち、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、このスライド部材が球送りカセット71に配設される開閉部材の操作腕713に係合することができる。そして、球抜き操作ボタンが押下されてスライド部材が左右方向に移動すると、球送りカセット71に配設される開閉部材の操作腕713は、このスライド部材に押されて左右方向にスライド式に移動し、開閉部材も一体的に移動する。この結果、球送りカセット71に形成される第二の遊技球経路が開放される。このように、上皿51に配設される球抜きボタン515を押下することにより、球送りカセット71に形成される第二の遊技球経路が開放される。そして、上皿51に貯留される遊技球は、ガラス枠5に形成される第二の遊技球経路と、前面枠3の配置面31の配置位置に配置される球送りカセット71に形成される第一の遊技球経路および第二の遊技球経路と、下皿部材4に形成される第一の遊技球経路を通じて下皿41に流下する。
このように、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5に形成される第一の遊技球経路56の出口(=背面側の開口部)と、球送りカセット71の前面の上部に形成される開口部711(=球送りカセット71の第一の遊技球経路の起点に形成される遊技球の入口)とが近接して対向する。さらに、ガラス枠5の背面に配設されるスライド部材と、球送りカセット71の前面に突出する操作腕とが係合する。また、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、下皿部材4に形成される第一の遊技球経路と、球送りカセット71に形成される遊技球の出口(=球送りカセットの第二の遊技球経路の終点に形成される開口部)と対向して連通する。このように、球送りカセット71が配置面31の配置位置に配置され、下皿部材4およびガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、球送りカセット71と下皿部材4およびガラス枠5とは、所定の位置関係を有するように係合し、所定の遊技球の経路を形成するとともに、本発明の実施形態にかかる遊技機1の前面側から、球送りカセット71の開閉部材を操作できるようになる。このように、球送りカセット71は、下皿部材4およびガラス枠5と連係して所定の機能を有するようになる。
図6は、本発明の実施形態にかかる遊技機1を背面側から見た平面図である。図6に示すように、本発明の実施形態にかかる遊技機の機枠の背面側には、枠用外部端子基板、図柄制御基板、主制御基板、音声制御基板、ランプ制御基板、払出制御基板、発射装置制御基板、電源基板などの各種基板、カードインターフェース接続部、球寄せ、遊技球貯留タンク91、遊技球供給経路92、払出装置、発射装置74などが設けられる。
このような構成を有する本発明の実施形態にかかる遊技機1の遊技における動作の概要は次のとおりである。遊技者が発射ハンドル321を操作すると、発射装置74が遊技球を遊技盤61に設けられる遊技領域611に向けて発射する。遊技領域611に到達した遊技球は、遊技領域611の最上部から下方に向けて、釘や回転役物に衝突しながら落下していく。そして、遊技球が特別入賞装置616や始動入賞装置617に入賞した場合には、所定の数の遊技球が賞品球として払い出されるとともに、遊技内容や遊技状況が変化する。そして、普通図柄表示装置や特別図柄表示装置615は、遊技内容や遊技状況に応じて、所定の図柄を表示する。始動入賞装置616や特別入賞装置617に入賞せずに遊技領域611の最下部に到達した遊技球は、アウト口618を通じて遊技領域の外部に排出される。
次に、球送りカセット71の配置面31に対する組み付け構造について説明する。
前記のとおり、球送りカセット71は、配置位置と配置解除位置との間を移動可能に取り付けられる。図7は、球送りカセット71が配置解除位置にある状態を、模式的に示した外観斜視図である。図8は、球送りカセット71が、配置解除位置にある状態を、上方から見た図である。
図7、図8に示すように、球送りカセット71の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては、右側縁)が、前面枠3の配置面31に軸着される。たとえば、球送りカセット71の一側縁が、前面枠3の配置面31に、ヒンジ機構などによって組み付けられる。そして、球送りカセット71が配置位置にある状態においては、球送りカセット71の他の一側縁(左側縁)が配置面31に近接する(図4、図5参照)。この状態においては、球送りカセット71と発射装置74の発射鎚741とが所定の位置関係にあり、球送りカセット71により、遊技球を発射位置に導くことができる。また、球送りカセット71が配置位置にあり、下皿部材4およびガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、球送りカセット71と下皿部材4およびガラス枠5とが所定の位置関係を有し、球送りカセット71と下皿部材4およびガラス枠5との間に遊技球が通過可能な所定の経路が構築される。
一方、図7、図8に示すように、配置解除位置においては、球送りカセット71の他の一側縁が配置面31から離脱している。この状態においては、球送りカセット71と発射装置74の発射鎚741とが所定の位置関係にはなく、遊技球を発射位置に導くことはできない。
そして、図7、図8に示すように、球送りカセット71が配置位置から配置解除位置に移動すると、球送りカセット71の一側縁(右側縁)が、球送りカセット71の右側と係合機構部311との間に形成されて、前方および/または上方に開放された空間S(=配置面31の前面側に形成される空間。特に図8参照)に侵入する。換言すると、球送りカセット71の一側縁(右側縁)の右側に所定の空間Sが形成されないと、球送りカセット71を配置位置から配置解除位置に移動させることができない。すなわち、球送りカセット71の一側縁の直近に他の部品や構造物が配設されると、球送りカセット71は、この他の部品や構造物に物理的に干渉し、配置位置から配置解除位置に移動させることができない。このように、球送りカセット71を配置位置から配置解除位置に移動させるには、球送りカセット71の一部が他の部品や構造物などと物理的に干渉することなく侵入できる空間が必要となる。
本発明の実施形態においては、この空間Sを「移動可能化スペース」と称する。すなわち、この移動可能化スペースSは、下皿部材4およびガラス枠5が前面枠3に対して開放状態にあり、球送りカセット71が前面枠3の配置面31の配置位置に配置されている場合には、前面側に向かって開放した空隙(=前面側に臨む開口)となる。一方、皿部材4およびガラス枠5が前面枠3に対して開放状態にあり、球送りカセット71が前面枠3の配置面31の配置解除位置にある状態においては、球送りカセット71の一部が侵入してその空隙(=前面側に臨む開口)が縮小または少なくとも一部が閉塞される。このように、「移動可能化スペース」は、球送りカセット71が配置位置にある状態から配置解除位置にある状態に移動する際に不可欠なスペースである。
図2、図5、図7などに示すように、前面枠3の配置面31の左右方向の略中央には球送りカセット71が配置され、球送りカセット71の左側に戻り球排出部材72が配置され、球送りカセット71の右側に係合機構部311が設けられる。本発明の実施形態にかかる遊技機1においては、球送りカセット71の右側に移動可能化スペースSが必要となるから、球送りカセット71と係合機構部311とは所定の距離だけ離間して配置される。そして、球送りカセット71と係合機構部311との間の空隙が移動可能化スペースとなる。一方、球送りカセット71の左側には移動可能化スペースは必要ではない。このため、図2、図5、図7などに示すように、球送りカセット71と戻り球排出部材72とが近接して(=ほとんど隙間なく)配設される構成であってよい。
なお、図8に示すように、球送りカセット71が配置解除位置にあると、下皿部材4およびガラス枠5は、球送りカセット71に干渉するため、前面枠3に対して開放状態から閉鎖状態に移動することができない。具体的には、球送りカセット71が配置解除位置にある状態においては、下皿部材4およびガラス枠5を開放状態から閉鎖状態に移動させようとすると、下皿部材4およびガラス枠5の背面が、球送りカセット71の他の一側縁近傍などに当接し、それ以上は下皿部材4およびガラス枠5を前面枠3に接近させることができない。このため、係合機構部8も移動可能化スペースに進入することができない。
次に、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8について説明する。図9は、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8を、背面側の斜め左下方から見た外観斜視図である。図10は、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8を、前面側(=下皿部材4の背面に取り付けられる側)の斜め右上方から見た外観斜視図である。図9と図10は、いずれも、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の構成を、模式的に示した外観斜視図である。
下皿部材4の背面に配設される係合機構部8は、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、前面枠3の配置面31に設けられる係合機構部311と係合して、閉鎖状態を維持する(=下皿部材4を前面枠3にロックする)機能を有する。また、この係合機構部8は、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、移動可能化スペースの前面側に位置するように配設される。そして、ガラス枠5が前面枠3に対して開放状態において、移動可能化スペースに遊技球が侵入することを防止または抑制する機能を有する。
図9と図10に示すように、下皿部材4の背面に設けられる係合機構部8は、枠体81と、係合部材82と、付勢手段83とを有する。
枠体81は、本体部811と、侵入抑制部812と、係合部材支持部813とを有する。枠体81は、金属の板材などをプレス加工または鈑金加工などして形成される部材である。本体部811は、略平板状に形成される部分である。本体部811の所定の位置には、下皿部材4の背面にネジ止めするための貫通孔(=ネジを通す孔)が形成される。侵入抑制部812は、本体部811の上端から背面側に向かって突起する部分であり、背面側に向かって曲げ起こされるような構成を有する。この侵入抑制部812は、略水平方向に広がる略平板状の部分であり、本体部811が下皿部材4の背面に取り付けられた状態において、その上面が背面側から前面側に向かって緩やかな下り勾配となる。侵入抑制部812の寸法および形状は、前面枠3の配置面31に形成される移動可能化スペースの寸法および形状に応じて設定される。好ましい寸法および形状については後述する。係合部材支持部813は、本体部811の一側縁(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては右側縁)から背面側に向かって起立する平板状の部分であり、下皿部材4の背面に配設された状態において、上下方向および前後方向(=奥行き方向)に広がる面を有する。この係合部材支持部813には、係合部材82をガイドするガイドピン8131が立設される。さらに、係合部材支持部813の上端近傍には、付勢手段を係止するための係止鉤8132が形成される。
係合部材82は、枠体81の係合部材支持部813の表面上に略上下方向にスライド式に往復動可能に配設される部材であり、前面枠3の配置面31に設けられる被係合部311に係合することができる部材である。この係合部材82は、金属の板材などを、プレス加工や鈑金加工などして形成される部材である。図9と図10に示すように、係合部材82は、本体部821と、所定の数(図9と図10においては二つ)の係合鉤822と、操作部823とを有する。本体部821は、略平板状に形成される部分であり、枠体81の係合部材支持部813に立設されるガイドピン8131に係合するためのガイド孔8211が形成される。ガイド孔8211は、上下方向に所定の長さを有する長孔である。係合鉤822は、本体部821から背面側に突起する構造物であり、その背面側の先端部が上側に向かって鉤状に屈曲するような形状を有する(換言すると、略「L」字形状に形成される)。そして、この屈曲している部分が、前面枠3の配置面31に設けられる被係合部311に係合することができる。操作部823は、本体部821の上端から一側(枠体に組み付けられた状態において、枠体の81本体部811が形成される側とは反対側)に突起するように形成される部分であり、たとえば略板状に形成される部分である。さらに係合部材82の下端近傍には、付勢手段83を係止するための係止鉤824が形成される。
このような部材を有する係合機構部8の組み付け構造は、次のとおりである。係合部材82が、枠体81の係合部材支持部813の表面に配設される。そして、枠体81の係合部材支持部813に立設されるガイドピン8131が、係合部材82の本体部821に形成されるガイド孔8211に係合する。このため、係合部材82は、枠体81の係合部材支持部813の表面上を、ガイド孔の長手方向(=上下方向)に沿って、スライド式に往復動することができる。さらに、枠体81の係合部材支持部813に形成される係止鉤8132と、係合部材82に形成される係止鉤824との間には、付勢手段83が架設される。この付勢手段83には引っ張りコイルバネが適用できる。そしてこの付勢手段83は、枠体81の係合部材支持部813に形成される係止鉤8132と、係合部材83に形成される係止鉤824との間の距離を小さくする向きに力を加える。このため、係合部材82は、付勢手段83によって、枠体81の係合部材支持部813の表面上において、上側に向かって引っ張り上げられるような力が加えられ、係合部材82の上下方向の往復動の可動範囲の上端位置に位置するように維持される。そしてこの状態において、枠体81の侵入抑制部812の上面の高さ方向位置と、係合部材82の操作部823の上面の高さ方向位置とが略一致する。
次に、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の動作および機能について説明する。図11は、係合機構部8と前面枠3の配置面31に配置される球送りカセット71や配置面31に形成される移動可能化スペースなどとの関係を、模式的に示した図であり、上から見た図である。それぞれ、図11(a)は、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあり、図11(b)は、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態にある状態を示す。
下皿部材4が、前面枠3に対して開放状態から閉鎖状態に移動すると、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の少なくとも一部が、前面枠3の配置面31に形成される移動可能化スペースSに入り込む。そして、係合機構部8の係合部材82の係合鉤822が、前面枠3の配置面31に設けられる係合機構部311に係合する。これにより、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態に維持される(下皿部材4が前面枠3にロックされる)。
なお、前面枠3の配置面31に設けられる係合機構部311は、下皿部材4の配設される係合機構部8の係合部材82が係合できる構成であればよく、構成は限定されない。たとえば、前面枠3の配置面31に設けられる係合機構部311には、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の係合部材82の係合鉤822が侵入可能でかつ係合可能な開口部が形成された板状の部材が配設される構成が適用できる。このような構成によれば、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態から閉鎖状態に移動すると、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の係合部材82の係合鉤822が、前記板状の部材の開口部に侵入し、鉤状に屈曲している部分が、その開口部の周縁部に係合する。これにより、下皿部材4は前面枠3に対して閉鎖状態に維持される。
そして、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態から閉鎖状態に移動すると、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823とが、移動可能化スペースに入り込んで覆う。このため、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823とによって、下皿部材4上に落下した遊技球や、その他ピアノ線やゴミなどといった異物が移動可能化スペースに入り込むことや、移動可能化スペースを通じて下皿部材4の背面と前面枠3の配置面31との間に入り込むことが防止される。このように、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812が、遊技球が移動可能化スペースに入り込むことなどを防止するとともに、係合部材82の操作部823の少なくとも一部(本発明の実施形態にかかる遊技機1においては略全部)が、侵入抑制部として機能する。このように、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823とが、略一体となって、遊技球が移動可能化スペースに入り込むことなどを防止する。
したがって、たとえば、遊技球、ピアノ線、ゴミなどの異物が開口から侵入すると、発射装置や球送りカセットの正常な動作を阻害したり誤作動を招いたりするおそれがあるが、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812や係合部材82の操作部823により、ピアノ線やゴミなどの異物の侵入を防止または抑制でき、異物の侵入に起因する誤作動などの発生を防止または抑制できる。
なお、球送りカセット71が配置解除位置にある場合には、前記のとおり球送りカセット71が下皿部材4に干渉し、下皿部材4を開放状態から閉鎖状態に移動させることができない。したがってこの状態では、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812および係合部材82の操作部823は移動可能化スペースに侵入できず、移動可能化スペースを覆うことができない。
図12は、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態であって、ガラス枠5が前面枠3に対して開放状態にある状態を模式的示した外観斜視図であり、係合機構部8近傍を抜き出して示した拡大図である。また、この図12は、遊技盤61の遊技領域611から落下した遊技球Pの落下態様を模式的に示す。この図12は、図4の部分拡大図である。図12に示すように、遊技球Pが、遊技盤61の遊技領域611などから下皿部材4上に落下することがある。そして、落下した遊技球Pが、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812上に載ることがある。係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812の上面は、前面側に向かって下り勾配となっている。そして、侵入抑制部812の前面側には、遊技媒体誘導部43が形成される。このため、侵入抑制部812上に載った遊技球Pは、勾配によって前面側に向かって転動し、遊技媒体誘導部43に達する。そして遊技媒体誘導部43上を転動し、下皿41の凹部42に落下する。このため、遊技球Pが遊技領域611から落下した場合であっても、本発明の実施形態にかかる遊技機1の外部に落下することを防止または抑制できる。
そして、係合機構部8の枠体81に侵入抑制部812が形成されるとともに、係合部材82の操作部823が侵入抑制部として機能する構成であるから、下皿部材4に係合機構部8を取り付けることによって、下皿部材4が侵入抑制部を備えることになる。このような構成によれば、部品点数を削減することができるとともに、部品の組付けの作業工数の削減を図ることができる。
このような作用効果を奏するため、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823とを組み合わせた全体の寸法および形状(ここでは、上方または下方から見た寸法および形状)は、移動可能化スペースの寸法および形状に応じて設定される。すなわち、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態において、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812および係合部材82の操作部823の外周縁と、移動可能化スペースを画成する所定の部品や所定の構造物や配置面31などとの間の隙間が、遊技球、ピアノ線、ゴミなどといった異物が侵入できない寸法および形状となるように設定される。
たとえば、特に遊技球の侵入を防止または抑制する場合には、隙間の寸法が、遊技球の直径よりも小さくなるように設定される。特に好ましくは、前記隙間の寸法が、遊技球の半径よりも小さくなるように設定される。前記隙間の寸法が、遊技球の半径よりも小さくなるように設定されれば、遊技球が前記隙間に嵌り込むことがなくなり、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812や係合部材82の操作部823の上面に落下した遊技球を、速やかに除去することができる。
なお、侵入の防止または抑制の対象となる異物は、遊技球に限られるものではなく、前記のように、ピアノ線やその他の種々のゴミなども対象となる。このため、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823とを組み合わせた全体の寸法および形状は、これらの異物のサイズなどを考慮して設定される。したがって、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と、係合部材82の操作部823と、侵入スペースSを構成する要素(球送りカセット71、係合機構部311、配置面31)との隙間をできる限り小さくすることが好ましく、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と係合部材82の操作部823とを組み合わせた外形形状が、侵入スペースSの形状に略相似形状であるか整合する形状が適用できる。
また、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812と係合部材82の操作部823とを組み合わせた寸法および形状は、前記寸法および形状に設定されるものであればよく、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812や係合部材82の操作部823の構成は特に限定されるものではない。たとえば、係合機構部8の枠体81の侵入抑制部812や係合部材82の操作部823が、板状ではなく、棒状などに形成される構成であってもよい。
下皿部材4を前面枠3に対して閉鎖状態から開放状態に移動させるには、まず、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の係合部材82の操作部823を下方に向けて押下する。そうすると、係合部材82が、枠体81の係合部材支持部813の表面上をスライド式に下方に移動する。そして、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の係合部材82の係合鉤822と、前面枠3の配置面31に設けられる係合機構部311(の前記板状の部材)との係合が解除される。これにより、下皿部材4の他の一側縁を前面側に引き出すようにして、前面枠3に対して開放状態に移動させることができる。
遊戯中などにおいて、遊技領域611で遊技球が球詰まりを起こすなどした場合には、当該遊技球を遊技領域から除去する必要がある。このため、ガラス枠5を前面枠3に対して開放状態として遊技盤61の遊技領域に前面側からアクセスすることができる状態にすることがある。遊技領域611に存在する遊技球は、ガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、ガラス枠5のガラス板52によって、本発明の実施形態にかかる遊技機1の前面側に落下しないようにガイドされる。しかしながら、ガラス枠5が前面枠3に対して開放状態に移動すると、ガラス枠5のガラス板が前面枠3に配設される遊技盤61から離れ、遊技球を落下しないようにガイドできなくなる。このため、遊技領域611に存在する遊技球が、遊技領域611から前面側に落下する可能性がある。遊技領域611は下皿部材4の上方に位置するため、遊技領域に存在する遊技球は、下皿部材4上に落下することがある。
ところで、前記のとおり、下皿部材4およびガラス枠5が前面枠3に対して閉鎖状態にある場合には、前面枠3の配置面31に配置される球送りカセット71は、下皿部材4と、下皿部材4の上側に配設されるガラス枠5とのそれぞれと所定の位置関係を有する。すなわち、図4に示すように、下皿部材4の上辺は、前面枠3の配置面31の上辺よりも低い位置にあり、ガラス枠5の下辺は、前面枠3の配置面31の上辺よりも高い位置にある。そして、球送りカセット71は、下皿部材4の上辺とガラス枠5の下辺とを跨る位置に配設される。
このため、下皿部材4およびガラス枠51が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、下皿部材4の背面の上辺近傍の所定の部分が、球送りカセット71の前面の下部に対向し、ガラス枠5の背面の下辺近傍の所定の部分が、球送りカセット71の前面の上部に対向する。このような構成であると、図4や図12などに示すように、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあり、ガラス枠5が前面枠3に対して開放状態にあると、球送りカセット71の上部が、下皿部材4の上辺よりも上側に位置して露出する。したがって、球送りカセット71の側方に形成される移動可能化スペースも、下皿部材4の上辺から露出することになる。
すなわち、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあり、ガラス枠51が前面枠3に対して開放状態にあると、移動可能化スペースSの上部が露出し、この結果、移動可能化スペースSは上方に臨む開口となる。すなわち、移動可能化スペースSおよび開口は、前面枠に設けられた配置面に配置状態に配置される球送りカセット71や係合機構部311と、閉鎖状態にある下皿部材4の背面の少なくとも一部などといった所定の空間形成要素の間に形成される。また、球送りカセット71の移動方向側(本発明の実施形態においては開放側)には所定の間隔をおいて係合機構部311などの他の部品が設けられており、この場合には、他の部品も空間形成要素に含まれる。なお、空間形成要素としての他の部品は無くてもよく、空間形成要素はすべてでなくてもよく一部であってもよい。また、開口は、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態あると、上方に臨むが、侵入抑制部が設けられない構成では、開口が上方に向かって開放されることになる。一方、移動可能化スペースSのうち、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態に移動することにより開放される部分がある場合には、当該部分も開口となる。
すなわち、移動可能化スペースおよび開口は、所定の部材に設けられた配置面の配置位置にある所定の部品に対して閉鎖状態にある第一の開閉部材の背面の少なくとも一部と、所定の部材の配置面の少なくとも一部と、所定の配置面に配置される所定の部品の周囲の一部(特に、所定の部品が配置位置から配置解除位置に移動する際に移動する側の部分。ただし、この部分に限定されるものではない)といった空間形成要素の間に形成される。また、所定の部品が配置位置から配置解除位置に移動する際に移動する側には、所定の間隔をおいて他の所定の部品が設けられており、このような構成においては、他の所定の部品も空間形成要素に含まれる。なお、空研形成要素としての他の所定の部品は無くてもよい。また、空間形成要素はすべてでなくてもよく一部でもよい。また、開口は、第一の開閉部材が所定の部材に対して閉鎖状態にあると上方に臨み、侵入抑制部が存在しないとこの開口が上方に向かって開放される。一方、第一の開閉部材が所定の部材に対して閉鎖状態から開放状態に移動することによって開放される部分が移動可能化スペースに含まれる場合には、当該した場合も開口となる。
このため、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の枠体81が侵入抑制部812を有しない構成であったり、係合部材82の操作部823が侵入抑制部として機能しない構成であると、下皿部材4上に落下した遊技球は、移動可能化スペース(または移動可能化スペースの開口)に落下したり、移動可能化スペース(または移動可能化スペースの開口)を通じて下皿部材と配置面との間に入り込んだりすることがある。また、ガラス枠5が前面枠3に対して開放状態に移動したことにより形成される侵入スペースの開口は、上方に向かって開放するため、遊技盤61の遊技領域611から落下した遊技球のみならず、他の異物も滲入するおそれがある。したがって、遊技球、ピアノ線、ゴミなどといった異物が移動可能化スペースに落下した場合や、移動可能化スペースを通じて下皿部材4と前面枠3の配置面31との間に入り込んだ場合には、下皿部材4を前面枠3に対して開放状態に移動させて、当該遊技球、ピアノ線、ゴミなどといった異物を除去しなければならない。
本発明の実施形態にかかる遊技機1においては、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8の少なくとも一部が、前面枠3の配置面31に形成される移動可能化スペースの前面側に侵入する位置に配設される。そして、この係合機構部8の枠体81に形成される侵入抑制部812および係合部材82の操作部823が、下皿部材4が前面枠3に対して閉鎖状態にあると、前面枠3の配置面31に形成される移動可能化スペースを覆う。このため、遊技球、ピアノ線、ゴミなどといった異物が移動可能化スペースに入り込むことや、移動可能化スペースを通じて下皿部材4と前面枠3の配置面31との間に入り込むことを防止する。
一方、下皿部材4の背面に配設される係合機構部8に侵入抑制部812が設けられるとともに、係合部材82の操作部823が侵入抑制部として機能する構成であるから、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態に移動すると、侵入抑制部812および係合部材82の操作部823は、移動可能化スペースから抜け出る。このため、下皿部材4が前面枠3に対して開放状態に移動すると、球送りカセット71を配置位置から配置解除位置に移動させる際に、障碍となるものがない。したがって、球送りカセット71の少なくとも一部を移動可能化スペースに侵入させながら、配置位置から配置解除位置に移動させることができる。
なお、本発明の実施形態においては、遊技機が上皿と下皿の二つの皿部材を有し、それらが各々別々の開閉部材に設けられる構成を示したが、本発明はそのような構成に限定されるものではなく、一つまたは三つ以上の皿部材を有し、一つの枠体(開閉部材)に一つ以上の皿部材が設けられる構成であってもよい。
また、本発明の実施形態においては、遊技媒体移動領域として、遊技領域を挙げたが、本発明はそれに限定されるものではない。たとえば、枠体を開放した際に、上皿、下皿などに連通している誘導樋から落下する遊技媒体や、遊技機背面において払出装置や誘導樋、タンクなどを取り外した場合に落下する遊技媒体などを、制御基板ケースに取り付けた侵入抑制部で制御基板ケース間などに侵入することを抑制するなど、遊技機の背面側に設けられる機構などにおいても利用できるものである。