前述のような、外部より印加される電源電圧より低い負電圧を発生する負電圧昇圧回路と、電源電圧より大きい正電圧を発生する正電圧昇圧回路を共に内蔵する半導体集積回路装置においては、発生した負電圧を半導体集積回路の基板へと接続し半導体集積回路の基板へ負電圧昇圧回路から発生した電圧を供給する構成が取られる。
特に液晶パネルを表示させるための液晶駆動用半導体集積回路装置においては電源電圧を整数倍する負電圧昇圧回路を内蔵し、電源電圧を整数倍して極性を反転させた負電圧を発生させ基板へと供給している。また正電圧昇圧回路は、負電圧昇圧回路から発生した負電圧と電源電圧との間で任意に発生した電圧と接地電位を基準として電源電圧より高い正電圧を発生している。
正電圧昇圧回路が昇圧を開始する課程において、昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加され、その過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題がある。
また正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始する際に、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流が、負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題がある。
図7を用いて、従来技術である、外部より印加させる電源電圧より低い負電圧を発生する負電圧昇圧回路と、電源電圧より高い正電圧を発生する正電圧昇圧回路の構成及び動作について説明する。
図7において、GNDは接地電位、VDDは外部から印加される電源電圧である。負電圧昇圧回路11はこの図の例では電源電圧VDDを2倍して極性反転した電圧VSUBを発生する回路である。
負電圧昇圧回路11は、電源電圧VDD、接地電位GNDとの間で構成されたインバータ111とインバータ112、及びMOSトランジスタQ1、Q2、Q3、昇圧用容量C1、C2、C3により構成される。昇圧動作を制御するクロック信号CLK1、CLK2、CLK3、CLK4、CLK5は半導体集積回路装置に内蔵された図示しない回路により生成され、それぞれインバータ111の入力端子、インバータ112の入力端子、MOSトランジスタQ1のゲート電極、Q2のゲート電極、Q3のゲート電極へと入力される。MOSトランジスタのソース電極は接地電位GNDに接続されている。インバータ111の出力端子は昇圧用容量C1の片側電極(ノードn1)へ接続されC1の他方の電極(ノードn2)はトランジスタQ1のドレイン電極とトランジスタQ2のソース電極へと接続される。インバータ112の出力端子は昇圧用容量C2の片側電極(ノードn3)へ接続され昇圧用容量C2の他方の電極(ノードn4)はトランジスタQ2のドレイン電極とトランジスタQ3のドレイン電極へと接続される。トランジスタQ3のソース電極(ノードn5)は昇圧用容量C3の片側電極へと接続され、昇圧用容量C3の他方の電極は接地電位GNDへと接続されている。ノードn5は負電圧昇圧回路の昇圧出力信号であり、これは図示はしていないが負電圧昇圧回路を内蔵する半導体集積回路装置の基板(ここではP基板)へと接続されている。
また、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12は、電源電圧VDDと負電圧昇圧回路の昇圧出力信号(ノードn5)の電圧VSUBとの間に配置された回路であり接地電位GNDを基準とした基準電圧信号(ノードn6)を発生する。
正電圧昇圧回路13は、基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを接地電位GNDを基準として電圧の極性を反転した昇圧出力信号(ノードn9)を発生させる。
正電圧昇圧回路13は、MOSトランジスタQ4、Q5、Q6、Q7と昇圧用容量C4、C5により構成される。昇圧動作を制御するクロック信号CLK6、CLK7、CLK8、CLK9は半導体集積回路装置に内蔵された図示しない回路により生成され、それぞれMOSトランジスタQ4のゲート電極、Q5のゲート電極、Q6のゲート電極、Q7のゲート電極へと入力される。
昇圧容量C4の片側電極(ノードn7)はMOSトランジスタQ4のドレイン電極とMOSトランジスタQ5のソース電極へ接続され、C4の他方の電極(ノードn8)はMOSトランジスタQ6のドレイン電極とMOSトランジスタQ7のドレイン電極へと接続されている。MOSトランジスタQ5のドレイン電極およびMOSトランジスタQ6のソース電極は接地電位GNDへと接続される。MOSトランジスタQ4のソース電極(ノードn9)は昇圧用容量C5の片側電極へと接続される。昇圧容量C5の他方の電極は接地電位GNDへ接続されている。MOSトランジスタQ7のドレイン電極は、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12で生成された基準電圧信号(ノードn6)へと接続される。ノードn9は正電圧昇圧回路の昇圧出力信号であり電圧VCHが出力される。
ここで図8のタイミング図を用いて、負電圧昇圧回路11と正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12、及び正電圧昇圧回路13が動作を開始する時の動きについて説明する。図8に示すタイミングt1でクロック信号CLK1〜CLK5が動作を開始すると負電圧昇圧回路11は昇圧動作を開始する。図8ではクロック信号CLK1〜CLK5の中で代表的な信号CLK1を図示してある。
負電圧昇圧回路11はクロック信号CLK1〜CLK5により、インバータ111の出力(ノードn1)の論理がH(ハイ)で、かつインバータ112の出力(ノードn3)の論理がL(ロー)、かつMOSトランジスタQ1、Q3がオン、かつMOSトランジスタQ2がオフとなる位相と、インバータ111の出力(ノードn1)の論理がL(ロー)で、かつインバータ112の出力(ノードn3)の論理がH(ハイ)、かつMOSトランジスタQ1、Q3がオフ、かつMOSトランジスタQ2がオンとなる位相を交互に繰り返すことで昇圧動作を開始し負電圧昇圧出力信号(ノードn6)には電圧VSUBが発生する。ここで負電圧昇圧出力信号(ノードn6)は図示していないが負電圧昇圧回路を内蔵する半導体集積回路装置の基板(ここではP基板)へと接続されているため基板電位は電圧VSUBへとバイアスされる。負電圧昇圧出力信号(ノードn6)が電圧VSUBを発生すると電源電圧VDDと電圧VSUBとの間で構成された正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12は接地電位GNDを基準とした基準電圧信号(ノードn6)を発生しノードn6には電圧VREFが発生する。
図8に示すタイミングt2でクロック信号CLK6〜CLK9が動作を開始すると正電圧昇圧回路13は昇圧動作を開始する。図8ではクロック信号CLK6〜CLK9中で代表的な信号CLK6を図示してある。
正電圧昇圧回路13はクロック信号CLK6〜CLK9により、MOSトランジスタQ5、Q7がオンとなる位相と、MOSトランジスタQ4、Q6がオンとなる位相とを交互に繰り返すことで昇圧動作を開始し正電圧昇圧出力信号(ノードn9)は電圧VCHを発生する。電圧VCHが定常値になるまで、電圧VREF、VSUBは一時的に変動してしまう。
ここで図9及び図10を用いて図8に示したタイミングt2において正電圧昇圧回路13が動作を開始したときに半導体集積回路装置内に寄生的に存在するバイポーラトランジスタがONしてしまうことにより正電圧昇圧回路13および電圧昇圧回路11が正常に起動できなくなる課題について説明する。
図9は、タイミングt2において正昇圧昇圧回路13が動作をスタートしたときのタイミング図である。図10は、MOSトランジスタQ6のデバイス構造を表す図である。
図9に示す期間T1は、MOSトランジスタQ5、Q7がオンした状態であり、ノードn7と接地電位GNDは電気的にショートされ、かつノードn8とノードn6は電気的にショートされている。従って昇圧用容量C4のそれぞれの電極の電圧はGNDと電圧VREFに設定され昇圧用容量C4には容量値と電圧VREFで決定される電荷がチャージされている。
図9に示す期間T2は、MOSトランジスタQ4、Q6がオンした状態であり、ノードn7とノードn9は電気的にショートされ、かつノードn8とGNDは電気的にショートされる。従って昇圧用容量C4のそれぞれの電極の電圧は電圧VCHとGNDに設定され期間T1で昇圧用容量C4にチャージされた電荷の一部は容量C5へと受け渡され正電圧昇圧回路13の出力信号電圧VCHは上昇する。
図9に示す期間T3では、期間T1と同様の状態へと設定され、期間T2において昇圧用容量C4が容量C5へと受け渡した電荷を補充する動作を行う。
図9に示す期間T4においては、期間T2と同様の状態へと設定され、期間T3において昇圧用容量C4にチャージされた電荷の一部を容量C5へと受け渡す動作を行う。
前述の動作を順次繰り返すことで正電圧昇圧動作が実現され理想的には、基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを極性反転した電圧を出力して安定する。
期間T1、期間T3では、昇圧用容量C4のそれぞれの電極の電圧はGNDと電圧VREFに設定され、昇圧用容量C4には電荷がチャージされるがこのチャージ電流はノードn6を介して負電圧昇圧回路11の昇圧出力信号ノードn5から供給される。
期間T3から期間T4へ切り換わったタイミングでは、MOSトランジスタQ6のON抵抗と容量C4からC5への電荷の移動によって発生する電流によりMOSトランジスタQ6のソース電極(GND)とドレイン電極(ノードn8)との間には電圧が発生し、ノードn8はGND電位より高い電圧となってしまう。
このときの動作を図10に示したPチャンネルMOSトランジスタQ6のデバイス構造図を用いて説明する。PチャンネルMOSトランジスタQ6のドレイン電極(ノードn8)はP+拡散へと接続され、PチャンネルMOSトランジスタQ6のバルク電極Nウェル201はPチャンネルMOSトランジスタQ6のソース電極とショートされGND電圧が印加されている。Nウェル201は半導体集積回路装置のP基板上に製造されているためPチャンネルMOSトランジスタQ6のドレイン電極(ノードn8)とNウェル201とP基板とでP−N−P接続のトランジスタが寄生的に構成されている。
前述の動作においてPチャンネルMOSトランジスタQ6のドレイン電極(ノードn8)がGND電位より高くなってしまうと、このP−N−P接続の寄生トランジスタがオンしてしまいノードn8からP基板へ過大な電流が流れる現象が発生する。
半導体集積回路装置のP基板は負電圧昇圧回路11の昇圧出力信号(ノードn5)に接続され、電圧VSUBにバイアスされているがP基板への過大な電流が発生することでP基板の電圧VSUBは大きく変動し、条件によっては接地電位GNDより高くなってしまい負電圧昇圧回路11、正電圧昇圧回路13が正常に起動しない事態に至ってしまう課題があった。
また、正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始したときに、容量C4を介して負電圧昇圧回路11により昇圧用容量C3へチャージされた電荷を容量C5へ受け渡す動作を順次繰り返すが、このとき正電圧昇圧回路13により大きな電圧をノードn9へ発生しようとした場合、チャージのための過大電流が発生し負電圧昇圧回路11の出力信号ノードn5の電圧VSUBが大きく変動し条件によっては接地電位GNDより高くなってしまい、負電圧昇圧回路11、正電圧昇圧回路13が正常に起動しない事態に至ってしまう課題があった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、電源電圧をもとに電源電圧より低い負電圧を基板またはウェル領域に発生させる負電圧昇圧回路を有しており、さらに電源電圧をもとに電源電圧より高い正電圧をウェル領域に発生させる正電圧昇圧回路を有している半導体集積回路において、負電圧昇圧回路あるいは正電圧昇圧回路を安定的に起動させることを目的とする。
上述目的を達成するため、本発明の半導体集積回路装置は、電源電圧をもとに電源電圧より低い負電圧を基板またはウェル領域に発生させる負電圧昇圧回路と、正電圧昇圧回路に供給する基準電圧を発生する正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路と、電源電圧をもとに電源電圧より高い正電圧をウェル領域に発生させる正電圧昇圧回路とを備えた半導体集積回路装置であって、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路は回路を初期化するためのリセット信号と内部に設けたnビットのカウンター回路(1または複数ビットのカウンター回路)をカウントアップするクロック信号が入力され、前記正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始した後、前記リセット信号と前記クロック信号を制御し前記カウンター回路をカウントアップすることで、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および前記正電圧昇圧回路の出力電圧を段階的に絶対値として大きくしていき、前記nビットのカウンター回路の出力信号の論理が回路的に設定された論理となることを検出し、前記カウンター回路のカウントアップを停止し、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および前記正電圧昇圧回路の出力電圧を安定させるようにした。
また、前記nビットのカウンター回路をカウントアップするクロック信号は、前記正電圧昇圧回路を動作させるクロック信号を分周した信号から作成するようにした。
上記に示した手段によれば、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路へクロック信号を入力し前記入力信号をあるタイミングでパルス駆動させ正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および前記正電圧昇圧回路の出力電圧を絶対値として段階的に大きくしていく機能を備えたことで、正電圧昇圧回路が昇圧を開始する時に昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を未然に防ぐことが可能となる。さらには正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始する際に、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を未然に防ぐことが可能となる。
上述の目的を達成するため、本発明の半導体集積回路装置は電源電圧をもとに電源電圧より低い負電圧を基板またはウェル領域に発生させる負電圧昇圧回路と、正電圧昇圧回路に供給する基準電圧を発生する正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路と、電源電圧をもとに電源電圧より高い正電圧をウェル領域に発生させる正電圧昇圧回路とを備えた半導体集積回路装置であって、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路は回路を初期化するためのリセット信号と内部に設けたnビットのカウンター回路(1または複数ビットのカウンター回路)をカウントアップするクロック信号と正電圧昇圧回路の出力電圧を所定の電圧へと設定するnビットの選択信号が入力され、前記正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始した後、前記リセット信号と前記クロック信号を制御し、前記カウンター回路をカウントアップすることで前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および前記正電圧昇圧回路の出力電圧を段階的に絶対値として大きくしていき、前記nビットのカウンター回路の出力信号の論理が前記nビットの選択信号の論理と一致することを検出し前記カウンター回路のカウントアップを停止し、前記正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および前記正電圧昇圧回路の出力電圧を安定させるようにした。
前記nビットのカウンター回路をカウントアップするクロック信号は、前記正電圧昇圧回路を動作させるクロック信号を分周した信号から作成するようにした。
また、本発明の半導体集積回路装置は、電源電圧を入力して昇圧し、出力する第一の昇圧回路と、前記第一の昇圧回路の出力に基づいて前記第一の昇圧回路の出力とは基準電圧に対して逆の極性の出力をする第二の昇圧回路と、を有する半導体集積回路装置であって、前記第一の昇圧回路の昇圧電圧を入力し、接地電位から前記昇圧電圧までの範囲において段階的に順次出力電圧を制御しながら前記第二の昇圧回路へ出力する基準電圧発生回路を有することをを特徴とする半導体集積回路装置である。
さらに、前記基準電圧発生回路は、クロックをカウントしカウント値を出力するカウンタと、複数の基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記カウント値に対応して前記複数の基準電圧から前記カウント値に対応する基準電圧を選択する選択回路と、を有し、前記選択回路で選択された基準電圧に基づく電圧を出力する構成とすることができる。
さらに、前記選択回路は、予め設定した値をセットすることにより、所定のカウント値とそれに対応する所定の基準電圧を選択し、前記基準電圧発生回路は前記基準電圧に基づく出力をする構成とすることができる。
上述の半導体集積回路装置を有する表示装置を構成することができる。
上述の表示装置を有する電子機器を構成することができる。
本発明によれば、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路へクロック信号を入力し、入力信号をあるタイミングでパルス駆動させ正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路の出力電圧および正電圧昇圧回路の出力電圧を絶対値として段階的に大きくしていく機能を備えたことで、正電圧昇圧回路が昇圧を開始するときに昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止することが可能となる。さらには正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始するときに、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力の電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止することが可能となる。
また、本願の半導体集積回路装置を、例えば薄膜トランジスタThin Film Transistor(TFT)を用いた液晶パネルを駆動する液晶駆動表示用LSIへ適用した場合には、正電圧昇圧回路の出力電圧を所定の電圧へと設定する選択信号を、使用するパネルのTFTの特性に合わせて所定の値に設定することが可能であり、かつTFTの特性に合わせて昇圧出力VCHを高電圧に設定することが必要とされる場合でも、正電圧昇圧回路は絶対値として比較的小さな電圧をまず昇圧出力し、その後、段階的に昇圧電圧が大きくなっていく動作をとるため安定して昇圧動作を起動させることができる。また、この表示装置を搭載した電子機器においても電子機器の動作が安定する。
また、本発明において得られる効果は以下のものもある。本発明にかかる半導体集積回路装置は電源電圧をもとに電源電圧より低い負電圧を基板またはウェル領域に発生させる負電圧昇圧回路と、電源電圧をもとに電源電圧より高い正電圧をウェル領域に発生させる正電圧昇圧回路と正電圧昇圧回路に供給する基準電圧を発生する正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路とを備えた半導体集積回路装置であって、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路は正電圧昇圧回路が動作を開始した後、段階的に正電圧昇圧回路用基準電圧信号の電圧を変化させる機能を有するようにしたものであるので、正電圧昇圧回路が昇圧を開始するときに昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流や正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始する際に、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流によって負電圧昇圧回路の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止できる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置の概略ブロック図である。
GNDは接地電位、VDDは外部から印加される電源電圧である。負電圧昇圧回路11はこの図の例では電源電圧VDDを2倍して極性反転した電圧VSUBを発生する回路である。
正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12は、電源電圧VDDと負電圧昇圧回路の昇圧出力信号(ノードn5)の電圧VSUBとの間で構成された回路であり、図示していないが本半導体集積回路装置に内蔵された定電圧発生回路によって発生した定電圧信号Vconstが入力され、また、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の内部を初期化する信号RESETと内部のカウンター回路をカウントアップするクロック信号CLK10が入力される。
定電圧信号Vconstと、リセット信号RESET、クロック信号CLK10を入力とした論理回路により接地電位GNDを基準とした基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFが設定される。
正電圧昇圧回路13は基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを接地電位GNDを基準として電圧の極性を反転した昇圧出力信号(ノードn9)に電圧VCHを発生させる。
図2は図1に示した正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の具体的な回路例を示している。正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12はブリーダー抵抗13、オペアンプAMP1で構成されるインピーダンス変換器、オペアンプAMP2と抵抗R101、R102で構成される反転増幅回路、nビットカウンター回路16、任意データ検出回路17、デコーダー回路20から構成される。
以下に本発明の実施の形態1による正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の構成と動作について説明する。
図2において、抵抗R1〜R(m)は接地電位GNDと定電圧信号Vconstとの間に構成されたブリーダー抵抗13を構成している。定電圧信号Vconst及びブリーダー抵抗13により分圧された各信号は各々MOSスイッチSW1〜SW(m)の片側電極へと接続されている。MOSスイッチSW1〜SW(m)の他方の電極は全てノードn10に接続される。ノードn10を入力とするAMP1はノードn10の信号をインピーダンス変換する機能を持ちノードn10をインピーダンス変換した信号(ノードn11)を出力する。AMP2と抵抗R101、R102は反転増幅回路を構成しAMP2の入力信号(ノードn11)の電圧VOUT1を接地電位GNDを基準に抵抗R101、R102の比で決まる係数倍し、かつ極性反転した信号をノードn6へと出力する。このときノードn6の電圧VREFは、VREF=−(R102/R101)×(VOUT1)の電圧値となる。
基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを制御するカウンター回路16は、カウンターリセット信号RESETとカウントアップするためのクロック信号CLK10が入力され、クロック信号CLK10が変化するとカウントアップ動作を行いnビットの出力信号CNT1〜CNT(n)を出力する。
データ一致検出回路17は、nビットのカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)を入力とするNAND回路18およびNAND回路18の出力信号n12を入力とする2入力のAND回路19から構成される。AND回路19の他方の入力にはクロック信号CLK10が入力されている。
本発明の実施の形態1の具体的な回路例を表す図2では、カウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)の論理が全てH(ハイ)となることを検出する回路を例として取り上げている。データ一致検出回路17はカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)を入力とする論理回路で設定された所定の入力値となることを検出する回路でありこの所定の論理値を変更することは、NAND回路18で示した論理回路を変更することで実現することができる。
カウンター回路16は、クロック信号CLK10が変化するとカウントアップ動作を行い、nビットの出力信号CNT1〜CNT(n)のカウンタト値を出力する。出力信号CNT1〜CNT(n)が論理回路で設定された所定の値と一致するとNAND回路18の出力信号ノードn12の論理はL(ロー)となり、AND回路19の出力信号n13はクロック信号CLK10の変化に関係なくローレベルに固定されカウンター回路16はカウントアップ動作を停止する。
デコーダー回路20は、カウンター回路16のnビットの出力信号CNT1〜CNT(n)が入力され、信号CNT1〜CNT(n)をデコードしたmビットの信号DEC1〜DEC(m)を出力する。
デコーダー回路20のmビットの出力信号DEC1〜DEC(m)はMOSスイッチSW1〜SW(m)へと各々接続され、カウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)を入力し、mビットの出力信号DEC1〜DEC(m)の値が変化しMOSスイッチSW1〜SW(m)の内1つだけをオンさせる。
図3は本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置の動作タイミングを表すタイミングチャート図である。図3においては正電圧昇圧回路用基準電圧の電圧VREFを制御するnビットのカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)はn=2、デコーダー回路20のmビットの信号DEC1〜DEC(m)はm=4の場合の動作について表している。
図3に示すタイミングt1において、負電圧昇圧回路11を動作させるクロック信号CLK1〜CLK5が動作を開始すると負電圧昇圧回路11は昇圧動作を開始し、ある期間経過後、接地電位GNDより電圧レベルとして低い安定した電圧VSUBをノードn5へと出力する。図3ではクロック信号CLK1〜CLK5の中で代表的な信号CLK1を図示してある。タイミングt1ではリセット信号RESETの論理はH(ハイ)に設定されておりカウンター回路16は初期化され、2ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=L(ロー)、CNT2=L(ロー)に設定されデコーダー回路20の4ビットの出力信号DEC1〜DEC4はMOSスイッチSW1のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFは絶対値として比較的小さな電圧が発生される。
図3に示すタイミングt2において、正電圧昇圧回路13を動作させるクロック信号CLK6〜CLK9が動作を開始すると正電圧昇圧回路13は昇圧動作を開始する。図3ではクロック信号CLK6〜CLK9の中で代表的な信号CLK6を図示してある。またタイミングt2においてリセット信号RESETの論理はH(ハイ)からL(ロー)へと変化するが、クロック信号CLK10が動作を開始するまではノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFは絶対値として比較的小さな電圧が発生されている。正電圧昇圧回路13はノードn6の絶対値として比較的小さな電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後に絶対値として比較的小さな安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。
図3に示すタイミングt3において、クロック信号CLK10が動作をするとカウンター回路16がカウントアップ動作をして2ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=H(ハイ)、CNT2=L(ロー)に設定されデコーダー回路20の4ビットの出力信号DEC1〜DEC4はMOSスイッチSW2のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFにはタイミングt2での電圧に対して絶対値として大きくなる電圧が発生されるようになり、正電圧昇圧回路13は絶対値として大きくなったノードn6の電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後にタイミングt2での電圧に対して絶対値として大きくなった安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。
またこのとき、任意データ検出回路17は出力信号CNT1〜CNT2と回路的に設定された所定の論理値とが一致していないためカウンター回路16のカウントアップ動作を停止する信号ノードn12をH(ハイ)に設定しているためカウントアップ動作は停止しない。
図3に示すタイミングt4における動作は、タイミングt3における動作と同様である。
図3に示すタイミングt5においては、クロック信号CLK10が動作をするとカウンター回路16がカウントアップ動作をして2ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=H(ハイ)、CNT2=H(ハイ)に設定されデコーダー回路20の4ビットの出力信号DEC1〜DEC4はMOSスイッチSW4のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFにはタイミングt4での電圧に対して絶対値として大きくなる電圧が発生されるようになり、正電圧昇圧回路13は絶対値として大きくなったノードn6の電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後に、タイミングt4での電圧に対して絶対値として大きくなった安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。
ただしこのとき任意データ検出回路17は出力信号CNT1〜CNT2と回路的に設定された値(図2の回路例ではCNT1=H(ハイ)かつCNT2=H(ハイ))となったことを検出してカウンター回路16のカウントアップ動作を停止する信号ノードn12をL(ロー)に変化させる。
従って、図3に示すタイミングt6においては、クロック信号CLK10が動作をしてもデータ一致回路17のカウントアップ動作を停止する信号ノードn12がL(ロー)に設定されているためカウンター回路16はカウントアップ動作をせずに、リセット信号RESETがH(ハイ)となるまで出力信号CNT1〜CNT2は回路的に設定された値で固定される。
上述したように、正電圧昇圧回路13は、絶対値として比較的小さな電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始しその条件で昇圧出力VCHが安定し、その後、ある時間経過する毎に電圧VREFが段階的に絶対値として大きくなる動作をとり、電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を再度開始することを繰り返す。
本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置においては、回路的に設定された値にカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)が等しくなったところで電圧VREFは安定し、電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作をする正電圧昇圧回路13の出力VCHも安定する。
また、本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置において、正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12へと入力されるカウントアップ用のクロック信号CLK10は、正電圧昇圧回路13へと入力される昇圧動作用のクロック信号CLK6〜9を図示しない分周回路によって分周した信号で構成しても良い。
このように本実施の形態1による半導体集積回路装置は正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路へ正電圧昇圧回路用基準電圧の電圧VREFを制御するためのクロック信号CLK10を入力し、入力信号をあるタイミングでパルス駆動させ正電圧昇圧回路用基準電圧を絶対値として段階的に大きくしていく機能を備えたことで、正電圧昇圧回路が昇圧を開始する時に昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止することが可能となる。さらには正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始する際に、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防ぐことが可能となる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置を図面に基づいて説明する。図4は本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置の概略ブロック図である。
GNDは接地電位、VDDは外部から印加される電源電圧である。負電圧昇圧回路11はこの図の例では電源電圧VDDを2倍して極性反転した電圧VSUBを発生する回路である。
正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12は、電源電圧VDDと負電圧昇圧回路の昇圧出力信号(ノードn5)の電圧VSUBとの間で構成された回路であり、図示していないが本半導体集積回路装置に内蔵された定電圧発生回路によって発生した定電圧信号Vconstが入力され、またVconstを抵抗分圧した複数の電圧のうちいずれかの電圧を選択するnビットの選択信号ASEL1〜ASEL(n)が入力される。また正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の内部を初期化する信号RESETと内部のカウンター回路をカウントアップするクロック信号CLK10が入力される。
電圧Vconstと選択信号ASEL1〜ASEL(n)、リセット信号RESET、クロック信号CLK10の論理により接地電位GNDを基準とした基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFが設定される。正電圧昇圧回路13は基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを接地電位GNDを基準として電圧の極性を反転した昇圧出力信号(ノードn9)に電圧VCHを発生させる。
図5は図4に示した正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の具体的な回路例を示している。正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12はブリーダー抵抗13、オペアンプAMP1で構成されるインピーダンス変換器、オペアンプAMP2と抵抗R101、R102で構成される反転増幅回路、nビットカウンター回路16、データ一致検出回路17、デコーダー回路20から構成される。
以下に本発明の実施の形態2による正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12の構成と動作について説明する。
図5において、抵抗R1〜R(m)は接地電位GNDと電圧Vconstとの間に直列に接続されたブリーダー抵抗13を構成している。ブリーダー抵抗13により分圧された各信号は各々MOSスイッチSW1〜SW(m)の片側電極へと接続されている。MOSスイッチSW1〜SW(m)の他方の電極は全てノードn10に接続されノードn10を入力とするオペアンプAMP1はノードn10の信号をインピーダンス変換する機能を持ちノードn10の信号をインピーダンス変換した信号(ノードn11)に電圧VOUT1を出力する。オペアンプAMP2と抵抗R101、R102は反転増幅回路を構成しノードn11の電圧VOUT1を接地電位GNDを基準に抵抗R101、R102の比で決まる係数倍し、かつ極性反転した信号をノードn6へと出力する。ノードn6の電圧VREFは、VREF=−(R102/R101)×VOUT1の電圧値となる。
基準電圧信号(ノードn6)の電圧VREFを制御するカウンター回路16は、カウンターリセット信号RESETと、カウントアップするためのクロック信号CLK10が入力され、クロック信号CLK10が変化するとカウントアップ動作を行いnビットの出力信号CNT1〜CNT(n)を出力する。出力信号CNT1〜CNT(n)の取る組み合わせが電圧Vconstを抵抗分圧した複数の電圧のうちいずれかの電圧を選択するnビットの選択信号ASEL1〜ASEL(n)の組み合わせと一致することを検出するデータ一致検出回路17はn個のEXNOR回路と、nビットのEXNOR回路の出力信号COMP1〜COMP(n)を入力とするNAND回路18およびNAND回路18の出力信号n12を入力とする2入力のAND回路19から構成される。AND回路19の他方の入力にはクロック信号CLK10が入力されている。
クロック信号CLK10が変化すると、カウンター回路16は、カウントアップ動作を行いnビットの出力信号CNT1〜CNT(n)のカウント値を出力する。出力信号CNT1〜CNT(n)と選択信号ASEL1〜ASEL(n)の組み合わせが一致するとEXNOR回路の出力信号COMP1〜COMP(n)は全てH(ハイ)となりAND回路19の出力信号n13はクロック信号CLK10の変化に関係なくローレベルに固定されカウンター回路16はカウントアップ動作を停止する。デコーダー回路20はカウンター回路16のnビットの出力信号CNT1〜CNT(n)が入力され、信号CNT1〜CNT(n)をデコードしたmビットの信号DEC1〜DEC(m)を出力する。
デコーダー回路20のmビットの出力信号DEC1〜DEC(m)はMOSスイッチSW1〜SW(m)へと各々接続され、カウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)の組み合わせにより、mビットの出力信号DEC1〜DEC(m)の組み合わせが変化し、MOSスイッチSW1〜SW(m)の内1つだけをオンさせる。
図6は本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置の動作タイミングを表すタイミングチャート図である。図6においては正電圧昇圧回路用基準電圧の電圧VREFを制御するnビットのカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)はn=3、デコーダー回路20のmビットの信号DEC1〜DEC(m)はm=8の場合の動作について表している。
また、図6においてはnビットの選択信号ASEL1〜ASEL(n)は、ASEL1=H(ハイ)、ASEL2=H(ハイ)、ASEL3=L(ロー)に固定されている場合の動作について表している。図6に示すタイミングt1で負電圧昇圧回路11を動作させるクロック信号CLK1〜CLK5が動作を開始すると負電圧昇圧回路11は昇圧動作を開始し、ある期間経過後、接地電位GNDより電圧レベルとして低い安定した電圧VSUBをノードn5へと出力する。
図6ではクロック信号CLK1〜CLK5の中で代表的な信号CLK1を図示してある。タイミングt1ではリセット信号RESETの論理はH(ハイ)に設定されておりカウンター回路16は初期化され、3ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=L(ロー)、CNT2=L(ロー)、CNT3=L(ロー)に設定されデコーダー回路20の8ビットの出力信号DEC1〜DEC8はMOSスイッチSW1のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFは絶対値として比較的小さな電圧が発生される。
図6に示すタイミングt2で正電圧昇圧回路13を動作させるクロック信号CLK6〜CLK9が動作を開始すると正電圧昇圧回路13は昇圧動作を開始する。図6ではクロック信号CLK6〜CLK9の中で代表的な信号CLK6を図示してある。またタイミングt2においてリセット信号RESETの論理はH(ハイ)からL(ロー)へと変化するがクロック信号CLK10が動作を開始するまでは、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFは絶対値として比較的小さな電圧が発生されている。
正電圧昇圧回路13はノードn6の絶対値として比較的小さな電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後、絶対値として比較的小さな安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。
図6に示すタイミングt3においてクロック信号CLK10が動作をするとカウンター回路16がカウントアップ動作をして3ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=H(ハイ)、CNT2=L(ロー)、CNT3=L(ロー)に設定されデコーダー回路20の8ビットの出力信号DEC1〜DEC8はMOSスイッチSW2のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFにはタイミングt2での電圧に対して絶対値として大きくなる電圧が発生されるようになり、正電圧昇圧回路13は絶対値として大きくなったノードn6の電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後、タイミングt2での電圧に対して絶対値として大きくなった安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。また、このときデータ一致検出回路17は出力信号CNT1〜CNT3と選択信号ASEL1〜ASEL3の組み合わせがが一致していないためカウンター回路16のカウントアップ動作を停止する信号はノードn12をH(ハイ)に設定しているためカウントアップ動作は停止しない。
図6に示すタイミングt4における動作はタイミングt3における動作と同様である。図6に示すタイミングt5においてはクロック信号CLK10が動作をするとカウンター回路16がカウントアップ動作をして3ビットのカウンター回路16の出力信号はCNT1=H(ハイ)、CNT2=H(ハイ)、CNT3=L(ロー)に設定されデコーダー回路20の8ビットの出力信号DEC1〜DEC8はMOSスイッチSW4のみをオンさせ、ノードn11の電圧VOUT1及びノードn6の電圧VREFにはタイミングt4での電圧に対して絶対値として大きくなる電圧が発生されるようになり、正電圧昇圧回路13は絶対値として大きくなったノードn6の電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始し、ある期間経過後、タイミングt4での電圧に対して絶対値として大きくなった安定した電圧VCHをノードn9へと出力する。ただし、このときデータ一致検出回路17は出力信号CNT1〜CNT3と選択信号ASEL1〜ASEL3の組み合わせ一致したことを検出してカウンター回路16のカウントアップ動作を停止する信号をノードn12をL(ロー)に変化させる。従って図6に示すタイミングt6においてはクロック信号CLK10が動作をしてもデータ一致検出回路17のカウントアップ動作を停止する信号ノードn12がL(ロー)に設定されているためカウンター回路16はカウントアップ動作をせずに、リセット信号RESETがH(ハイ)となるまで出力信号CNT1〜CNT3は、選択信号ASEL1〜ASEL3と同じ値で固定される。
上述したように、正電圧昇圧回路13は、絶対値として比較的小さな電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を開始しその条件で昇圧出力VCHが安定し、その後ある時間経過する毎に電圧VREFが段階的に絶対値として大きくなる動作をとり、電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作を再度開始することを繰り返す。本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置においては、入力される抵抗分圧した複数の電圧のうちいずれかの電圧を選択するnビットの選択信号ASEL1〜ASEL(n)にカウンター回路16の出力信号CNT1〜CNT(n)が等しくなったところで電圧VREFは安定し、電圧VREFをもとに接地電位GNDを基準として昇圧動作をする正電圧昇圧回路13の出力VCHも安定する。
また本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置において正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路12へと入力されるカウントアップ用のクロック信号CLK10は、正電圧昇圧回路13へと入力される昇圧動作用のクロック信号CLK6〜9を図示しない分周回路によって分周した信号で構成しても良い。
本実施の形態2による半導体集積回路装置を例えば薄膜トランジスタThin Film Transistor(TFT)を用いた液晶パネルを駆動する液晶駆動表示用LSIへ適用した場合について以下に説明する。正電圧昇圧回路13の昇圧出力VCHをTFTパネルのTFTのゲート電圧とした場合、電圧VCHは、使用されるTFTの特性に合わせた電圧に設定することが必要となる。電圧VCHとして例えば+15Vという高電圧を必要とする場合、従来の技術では、正電圧昇圧回路13が昇圧動作を開始するときに過大電流が発生し負電圧昇圧回路11の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路11および正電圧昇圧回路13が正常に起動できない課題があった。しかし本実施の形態2による半導体集積回路装置を用いれば選択信号ASEL1〜ASEL(n)を使用するパネルのTFTの特性に合わせた所定の値に設定することが可能であり、かつTFTの特性に合わせて昇圧出力VCHを高電圧に設定することが必要とされる場合でも正電圧昇圧回路13は絶対値として比較的小さな電圧をまず昇圧出力し、その後、段階的に昇圧電圧が大きくなっていく動作をとるため安定して昇圧動作を起動させることができる。
このように本実施の形態2による半導体集積回路装置は正電圧昇圧回路用基準電圧発生回路へ正電圧昇圧回路用基準電圧の電圧VREFを制御するためのクロック信号CLK10を入力し入力信号をあるタイミングでパルス駆動させ正電圧昇圧回路用基準電圧を絶対値として段階的に大きくしていく機能を備えたことで、正電圧昇圧回路が昇圧を開始するときに昇圧用容量に電荷を蓄積するために発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止可能となる。さらには正電圧昇圧回路が昇圧動作を開始する際に、寄生的に存在する寄生バイポーラトランジスタがオンしてしまうことにより発生する過大電流が負電圧昇圧回路の昇圧出力に瞬間的に印加されその過大電流の発生により負電圧昇圧回路の昇圧出力電圧が変動し、負電圧昇圧回路および正電圧昇圧回路が正常に起動できない課題を防止可能となる。