JP4864552B2 - 鋼構造物の補強方法および補強構造 - Google Patents

鋼構造物の補強方法および補強構造 Download PDF

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Description

請求項に係る発明は、たとえば交通量の増加に対応するため等の目的で橋梁や高架道路等の鋼構造物を補強する方法、および補強された鋼構造物に関するものである。
橋梁などの鋼構造物を補強する手段として、既設の鋼部材上の必要な箇所に溶接やボルトにより鋼材を添接する工法がよく知られている。しかし、そのような工法によると、既設の鋼部材に熱影響を及ぼしたりボルト孔をあけたりする必要があるため、その分の強度低下がともなわざるを得ない。また、鋼構造物のうち圧縮部材に対しては、この方法による補強の効果は薄いのが一般的である。
そのような点から、鋼構造物のうち圧縮力を受け得る棒状部材に対する補強として、従来、コンクリート等を使用する図4のような方法が採用されている。すなわち、棒状部材が図4(a)のようにたとえば中空角形のボックス状の鉄骨母材2である場合、それを補強するために、図4(b)のように母材2の外側にコンクリート4’を巻いたり、図4(c)のようにコンクリート4’のさらに外側を補強用の鋼板(コンクリート用型枠)3’で覆ったりする。
図4(b)の方法による補強は「SRC構造」などと呼ばれて広く採用されるもので、母材2の周囲に通常の型枠(図示省略)を使用してコンクリート4’を巻き立てる(施工後に型枠を取り外す)。また図4(c)の補強は、「SRC+S構造」などと呼ばれるもので、母材2の周囲に、補強部材を兼ねた鋼板製の筒形の型枠3’を取り付けたうえ、母材2と型枠3’との間にコンクリート4’を充填する(型枠3’は取り外さない)。母材2のみの場合の耐力が1.0とすると、一般的には、SRC構造によって耐力は1.2程度になり、SRC+S構造によって耐力は1.7程度に高まるとされている。
そのほか、下記の特許文献1では、角形鋼管等の鉄骨母材を炭素繊維強化プラスチックの被覆層で覆った複合鉄骨材が提案されている。図5はその概要を示すもので、図中の符号2が鉄骨母材、符号6が炭素繊維強化プラスチックの被覆層である。
特開2000−64505号公報
鋼構造物の棒状部材について高い補強効果を得ようとする場合、鉄骨母材のみの場合に比べて耐力の増加割合が大きい図4(c)の補強(SRC+S)が適している。しかし、図4(c)の補強方法にはつぎの点で課題がある。すなわち、型枠には、内側にコンクリートを充填するための開口を設ける必要があるが、その開口に起因して、補強効果が弱まったりコンクリートが十分な耐用寿命を発揮できなくなったりする場合があり得る。たとえば、開口があるとそれをはさんだ型枠間の壁面間隔が広がりやすく、型枠とコンクリートとが剥離することがある。そうして剥離が起こると、型枠とコンクリートとの双方が複合して強度を発揮することができなくなり補強効果が弱まる可能性がある。また、棒状部材に引張や曲げの荷重が作用するとき、開口の部分ではひずみが大きくなりがちであるため、コンクリートにひび割れが生じやすくなることが考えられる。さらには、開口を通して型枠とコンクリートとの間に水が浸透しやすいため、型枠が錆びたりコンクリートが劣化したりしやすくなることもある。一方、そのような開口を小さくすると、型枠と母材との間へのコンクリートの充填具合が観察できなくなり、施工が難しくなる。
そのほか、上記特許文献1に記載された複合鉄骨材は、新たに鋼構造物を構築するとき使用するにはよいが、既設の鋼構造物を補強する場合には、採用することが難しい。鋼構造物中に組み込まれた棒状部材に対し、その全表面を覆うように炭素繊維強化プラスチックの被覆層を一体化させるのは困難だからである。また、そのような複合鉄骨材には、かなりのコストがともなうという不都合もある。
請求項に係る発明は、以上の点を考慮し、既設鋼構造物の補強を、比較的低コストで円滑に、しかも高い補強効果が得られるように実現すべく構成したものである。
請求項に記載した鋼構造物の補強方法は、
1) 鋼構造物における棒状部材の外側を、側面(周面)の一部に開口を有する鋼板製の筒形の型枠(補強部材を兼ねたもの)にて囲み、
2) 棒状部材を巻くように上記型枠内(つまり棒状部材との間)にコンクリートを充填し、そのコンクリートが固化したのちに、
3) 上記開口を塞ぐFRPシートを、上記開口におけるコンクリートの表面および開口縁部の型枠表面(開口の周囲の部分)に対して隙間がないように接着する
ことを特徴とする。
この補強方法は、図4(c)に示したものと同様、補強部材を兼ねた鋼板製の筒形の型枠を母材の周囲に取り付けたうえ、母材と型枠との間にコンクリートを充填し型枠をそのまま取り付けておくものである。したがって、上記と同じく、圧縮力を受け得る棒状部材を効果的に補強することができ、母材のみの場合に比べて耐力を1.7倍程度に高められると試算される。
しかし、この補強方法はさらに、上記2)のコンクリートの充填に使用する上記1)の型枠の開口を、上記3)にしたがってFRPシートで塞ぐという特徴を有している。上記3)のように、開口から露出するコンクリートの表面と開口縁部の型枠表面とに対し隙間がないようFRPシートを接着すると、つぎのような好ましい作用がもたらされる。
a) FRPシートの機械的強度(とくに、棒状部材の幅の方向への引張強さ)に基づいて上記開口の広がることが防止され、したがって、開口をはさむ型枠間の間隔が広がることが防止される。そのため、鋼板製の型枠とコンクリートとが剥離することがなく、両者が一体の複合材として好ましい強度を発揮する。
b) 棒状部材に引張や曲げの荷重が作用するときも、FRPの機械的強度(とくに、棒状部材の長さの方向への引張強さ)に基づいて、開口部またはその付近においてもひずみが抑制され、したがってコンクリートにひび割れが発生することが防止される。
c) FRPは上記のとおり隙間がないように接着するため、開口を通して型枠やコンクリートの中に水が浸透することが防止される。こうして水の浸透が防止されると、型枠が錆びたりコンクリートが劣化したりすることが防止され、補強効果が長期間持続することとなる。
d) 以上のように、開口に起因する補強効果の低下や耐用寿命の短縮が防止されることから、開口を大きく形成しておくことが可能である。開口を大きくできると、それを通して行う型枠内へのコンクリートの充填の状況が観察されやすく、したがって当該充填作業を含む施工の容易性・確実性が向上する。
e) コンクリートや鋼板製の型枠を主に使用して補強する方法であって、特許文献1の手段に比べると特殊な材料(炭素繊維強化プラスチックやその他のFRPシート)の使用量が少ないため、補強に要するコストが低い。
上記1)に示した筒形の型枠として、とくに、横断面が四辺形状であってその一辺に相当する部分を開口とした(したがって棒状部材の長さ方向に連続的にその開口がある)コの字形断面のものを使用するのが好ましい。図1はそのような型枠を使用する場合の一例である。
そのような型枠であれば、開口が大きいため、型枠と棒状部材との間へのコンクリートの充填を、充填状況を観察しながら円滑かつ確実に行うことができる。
上記のFRPシートとしては、強化繊維が2方向(すなわちシートの面内において縦向きおよび横向きの2方向)に配列されたものを使用するのが有利である。
そのようなFRPシートを、強化繊維の方向が棒状部材の幅の方向および長さの方向と一致するように使用すると、各方向の強化繊維が効果的に、上記開口の広がりを抑えて型枠とコンクリートとの剥離を防止し、かつ、棒状部材に作用する引張や曲げに抗してコンクリートのひび割れ発生を防止する。また、FRPシートの樹脂にひび割れが発生することを防止して水の浸透防止の効果を長続きさせる、という利点もある。
FRPシートの接着は、コンクリートおよび型枠の表面に含浸接着剤(エポキシ樹脂など)を塗り、それが固化する前に、強化繊維のシート(カーボンファイバー等の強化繊維を布状の薄いシートにしたもので、樹脂が未含浸のもの)を重ねるとともにその上に含浸接着剤を塗る(このとき、たとえばローラ等を用いて繊維間に含浸接着剤を浸透させる)ことによって行うのがよい。強度を増すために複数の強化繊維シートを積層する場合にはこうした手順を繰り返すとよい。
このようにしてFRPシートを接着すると、あらかじめ固化したFRPシートを用いるよりも、上記開口におけるコンクリートの表面および開口縁部の型枠表面に対して隙間なく接着することが容易であり確実である。また、型枠における開口の位置によってはFRPシートの一部を折り曲げる必要が生じる場合(たとえば図1の例)もあるが、こうして接着するならそのような場合の対処も容易である。このような点から、型枠やコンクリートの内部への水の浸透が確実に防止されることにもなる。
上記FRPシートの強化繊維として、炭素繊維(PAN系あるいはピッチ系の炭素繊維)、金属繊維(ボロン繊維、チタン繊維あるいはスチール繊維など)、ガラス繊維(グラスファイバー繊維)もしくは有機繊維(アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレートあるいはポリエステルなど)が単独で、または複数種混入して配列されたものを使用するとよい。
これらの強化繊維は、高い強度やヤング係数を有し、FRPシートとしてコンクリートの表面や開口縁部の型枠表面に接着されることによって効果的な補強作用をもたらす。なお、いずれの強化繊維を使用する場合にも、FRPシートの樹脂の部分には、常温硬化型もしくは熱硬化型のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはフェノール樹脂などを、繊維間に含浸させることにより使用することができる。
コンクリートを充填する前の上記の型枠は、棒状部材の外部に取り付けられた支持部材(型枠の内部を不連続に分割することない大きさのものがよい)によって、棒状部材の表面各部との間に間隔(たとえば50〜200mm程度の間隔)をおいた位置に保持するこのがよい。図2は、そのように型枠を保持する場合の一例である。
棒状部材の表面各部と型枠との間は、コンクリートを隅々まで充填させる都合上、50mm程度以上の間隔があることが望ましい。棒状部材の周囲全域にこのような間隔を持たせるためには、型枠は、棒状部材に直接に接触しないよう、いわば浮かせた状態で支持する必要がある。上記のように支持部材を使用して型枠を保持するなら、コンクリートを適切に充填するうえで必要な型枠支持が可能になる。
請求項に係る鋼構造物の補強構造は、鋼構造物における棒状部材の外側がコンクリートにて包まれ、その外側が、側面の一部に開口を有する鋼板製の筒形の型枠にて囲まれていて、当該開口におけるコンクリートの表面および開口縁部の型枠表面が、当該開口を塞ぐよう接着されたFRPシートによって隙間なく被覆されていることを特徴とする。
こうした補強構造では、母材である棒状部材がコンクリートと鋼板製の型枠、および一般的には鋼以上の機械的強度(引張強さ等)を有するFRPシートによって補強されるため、図4(c)に示すSRC+S構造と同様、母材のみの場合に比べて耐力は1.7倍程度に高まるものと考えられる。
しかもこの補強構造によれば、開口部分等がFRPシートにて被覆されるため、その開口の広がることが防止されるほか、ひずみの発生が抑制され、水の浸透が防止される。そのため、前記a)〜e)の作用的メリットがもたらされることになる。
請求項に係る発明の補強方法および補強構造によれば、鋼構造物の棒状部材に対する補強を、高い補強効果があって補強効果が長期間持続し、しかも施工が容易で低コストであるという利点をともなって行うことができる。発明の補強方法および補強構造には、a)鋼板製の型枠とコンクリートとが剥離することなく一体の複合材として好ましい強度を発揮する、b)コンクリートにおけるひび割れの発生が防止される、c)水の浸透によって型枠が錆びたりコンクリートが劣化したりすることがない、d)型枠内へのコンクリートの充填を容易かつ確実に行える、e)特殊な材料の使用が少ないので補強に要するコストが低い----といった作用的特徴があるからである。
図1〜図3に、発明の実施に関する形態を示す。図1は、鋼構造物中の棒状部材である母材2に施した補強構造1を概念的に示す横断面図である。また図2は、その補強構造1の施工過程で母材2に型枠3を取り付けた状態(コンクリートは未充填)を示すもので、図2(a)は全体の横断面図、同(b)は同(a)におけるb部詳細図、同(c)は同(a)におけるc部詳細図である。そして図3(a)・(b)は、補強の対象となる鋼構造物を例示した図である。
図1に示す補強構造1は、中空角形(四辺形)のボックス状に形成された鉄骨製の母材2に対してつぎのような補強を施したものである。すなわち、
・ 母材2の外側をコンクリート4で包んでいる。コンクリートの厚さは50〜200mm程度がよいが、この例では140〜160mmとしている。
・ コンクリート4の外側は、それに密着する鋼板製の筒形の型枠3にて囲んでいる。この型枠3は、上記のコンクリート4を充填し母材2に巻き立てるための型として使用するが、コンクリート4の施工後も取り除かず、補強用部材としてそのまま使用する。筒形とはいえ、型枠3は、母材2と同じく四辺形状の横断面をもち、うち一辺の部分を開口3Xとした「コ」の字形の横断面を有するものである。各面(横断面図における各辺)が母材2の各面(横断面図上の各辺)と平行(ないしほぼ平行)になるように配置し、鉛直上方に開口3Xを位置させている。
・ 開口3Xから露出するコンクリート4の表面から、型枠3のうち開口3Xの両側縁部の表面にかけて、両者にまたがる寸法のFRPシート5を接着している。FRPシート5は、炭素繊維等の強化繊維が縦横の2方向に配置された、厚さ1.0mm以下の薄いものを使用する。また同シート5は、コンクリート4の表面と型枠3の縁部表面とに対して隙間なく接着することとし、またシート5の幅は型枠3の上面の幅よりも広くすることにより、その両端部が折り曲げられて型枠3の両側面の上端付近にも接着されるようにしている。
この補強構造1は、既設の種々の鋼構造物に適用できる。たとえば図3のように、トラス橋に適用してその上弦材、下弦材もしくは斜材の補強をし、またはアーチ橋に適用してそのアーチリブや鉛直材を補強するなど、圧縮力を受け得る棒状部材を効果的に補強できる。鋼板製の型枠3やFRPシート5が引張力に抗するとともに、コンクリート4が圧縮力に強く抗し得るからである。
しかも、図1の補強構造1では、型枠3に大きな開口3Xがあること、およびその部分等をFRPシート5で被覆することに基づき、つぎのような効果がともなう。すなわち、
・ 開口3Xが大きいので、それを通して行う型枠3内へのコンクリート4の充填状況をよく観察でき、したがってコンクリート4の巻き立てを円滑かつ確実に施工できる。
・ FRPシート5の機械的強度(主として母材2の幅方向への引張強さ)に基づき、開口3Xをはさんで型枠3が幅方向に広がることが防止されるため、型枠3とコンクリート4とが剥離せず、一体の複合材として好ましい強度を発揮する。
・ FRPシート5の機械的強度(主として母材2の長さ方向への引張強さ)に基づいて、母材2の長さ方向へのひずみが抑制され、したがってコンクリート5のひび割れの発生が防止される。
・ コンクリート4と型枠3とに対して隙間なくFRPシート5を接着することから、開口3Xを通しての雨水等の浸透が防止され、型枠3の錆びやコンクリートの劣化が防止される。
以下、図1の補強構造1につき、図2(a)〜(c)等を用いながらその施工手順を説明する。
i) まず、鉄骨母材2の表面全域にコンクリート用の支持金物2aを取り付ける。支持金物2aは母材2の表面にコンクリート4を固着させるための部材で、隣り合うものとの間に100〜200mm程度の間隔をおき、多数の支持金物2aについてそれぞれの軸部の端を母材2の表面に溶接する。
また、母材2の表面には取付部材2b・2cをも取り付ける。取付部材2b・2cは、コンクリート4を充填すべく母材2との間に間隔をおいた状態で型枠3を保持するための部材で、アングル材等によって形成し、母材2に溶接したスタッドボルト2d等を利用して取り付ける。図2の例では、母材2の下部に下方へ突出するように取付部材2bを取り付け(図2(c)参照)、母材2の上部に側方へ突出するように取付部材2cを取り付け(図2(b)参照)ている。
ii) 母材2の外側に鋼板製の筒形の型枠3を取り付ける。型枠3は前述のとおり横断面が四辺形状的であり、うち一辺の部分を開口3Xとした「コ」の字形の三辺を有するものである(ただし三辺のほか、開口3Xの両側に小幅の縁部3Yを有している)。各面の厚さは4〜12mm程度とし、形状を保つため、アングル材でできた補強材3aを内面の複数箇所に溶接にて取り付けている。
型枠3は、一体として取り付ける際には底部付近を母材2に連結することができない(たとえば取付部材2bとの結合が不可能である)ため、底部3Aと側部3B(縁部3Yを含む)とに分け、それらを連結分離可能なように構成している。したがって、型枠3の取り付けはつぎの手順で行う。すなわち、まず図2(c)のように、型枠3の底部3Aを、内側面に設けた取付部材3bと母材2上の前記取付部材2bとを連結具3dでつなぐことにより母材2に連結する。そのうえで、両側に設ける側部3Bを母材2と底部3Aとに対して連結する。側部3Bと母材2との連結は、図2(b)のように、側部3Bの内側面に設けた取付部材3cを母材2上の前記取付部材2cに対して連結具3gでつなぐことにより行い、側部3Bと底部3Aとの連結は、図2(c)のように、底部3Aの一部に溶接にて固定しておいたナット3eに外側からボルト3fをはめ付けることにより行う。
iii) 母材2と型枠3との間に、上方の開口3Xからコンクリート4を充填する。充填は、型枠3の底部3Aの付近への充填具合などを観察しながら、コンクリート4が型枠3内の隅々に行き渡るように行う。
開口3Xに達するまでコンクリート4が十分に充填されると、図2(b)のように、開口3X内のコンクリート4の表面4aを平坦にするとともに、型枠3の縁部3Yとの間に段差やみぞがないように仕上げて、コンクリート4が固化するのを待つ。
iv) コンクリート4が固まると、型枠3の開口3Xから露出するコンクリート4とその周囲に、図1のとおりFRPシート5を接着する。FRPシート5は、たとえば、カーボンファイバーからなる強化繊維シートにエポキシ樹脂を現場で含浸させることにより構成することとし、その接着は、コンクリート4や縁部3Yとの間に隙間ができないよう、つぎの手順で行う。
まず、コンクリート4の表面および型枠3の表面(コンクリート4の表面に沿った縁部3Yとそれらに直角な側部の上方部分と)にエポキシ樹脂からなる含浸接着剤を塗り、その接着剤が固化する前に、樹脂が未含浸の強化繊維シート(厚さ0.1〜0.3mm程度の布状のもの)を重ねる。図1にしたがい、強化繊維シートは両側の2カ所で折り曲げて重ねる。そして、やはり上記の接着剤が固化する前に、強化繊維シートの上に同様の含浸接着剤を塗り、ローラ等を用いて繊維間にその着剤を浸透させる。接着剤が固化すると、先に述べた補強構造1が完成することとなる。
なお、この発明は、以上に紹介した形態に限ることなく実施することができ、たとえば母材の断面形状(したがって型枠の断面形状も)やコンクリートの厚さ、FRPシートの(強化繊維や樹脂の)種類等について変更することが可能である。
発明の実施形態を示す図で、鋼構造物中の母材2に施した補強構造1を概念的に示す横断面図である。 図1の補強構造1の施工過程(コンクリートの充填前)を示すもので、図2(a)は全体の横断面図、同(b)は同(a)におけるb部詳細図、同(c)は同(a)におけるc部詳細図である。 図3(a)・(b)は、発明による補強の対象となる鋼構造物を例示した概略図である。 図4(a)・(b)・(c)は、鉄骨母材とそれに対する従来の一般的な補強構造とを示す概略の横断面図である。 特許文献1に記載された、母材を補強した複合鉄骨材を示す斜視図(図5(a))および横断面図(同(b))である。
符号の説明
1 鋼構造物
2 母材(棒状部材)
3 型枠
3X 開口
4 コンクリート
5 FRPシート

Claims (6)

  1. 鋼構造物における棒状部材の外側を、横断面が四辺形状であってその一辺に相当する上方部分を開口としたコの字形断面をなす鋼板製の筒形の型枠にて囲み、
    上記開口から観察しながら、棒状部材を巻くように上記型枠内に上記開口を通してコンクリートを充填し、そのコンクリートが固化したのちに、
    上記開口を塞ぐFRPシートを、上記開口におけるコンクリートの表面および開口縁部の型枠表面に対して隙間がないように接着する
    ことを特徴とする鋼構造物の補強方法。
  2. 上記FRPシートとして、強化繊維が2方向に配列されたものを使用することを特徴とする請求項1に記載した鋼構造物の補強方法。
  3. 上記FRPシートの接着は、コンクリートおよび型枠の表面に含浸接着剤を塗り、それが固化する前に、強化繊維のシートを重ねるとともにその上に含浸接着剤を塗ることによって行うことを特徴とする請求項1または2に記載した鋼構造物の補強方法。
  4. 上記FRPシートの強化繊維として、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維もしくは有機繊維が単独で、または複数種混入して配列されたものを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した鋼構造物の補強方法。
  5. コンクリートを充填する前の上記の型枠は、棒状部材の外部に取り付けられた取付部材によって、棒状部材の表面各部との間に間隔をおいた位置に保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した鋼構造物の補強方法。
  6. 鋼構造物における棒状部材の外側がコンクリートで包まれ、その外側が、横断面が四辺形状であってその一辺に相当する上方部分を上記コンクリートの充填およびその観察用経路としての開口としたコの字形断面をなす鋼板製の筒形の型枠にて囲まれていて、当該開口におけるコンクリートの表面および開口縁部の型枠表面が、当該開口を塞ぐよう接着されたFRPシートによって隙間なく被覆されていることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
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