JP4864235B2 - 熱融着フィルム及びそれからなる包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・ビニルエステル共重合体とプロピレン重合体との樹脂組成物からなる熱融着層を備えた易開封性、開封時のソフト感、耐ブロッキング性、衛生性、製膜加工性、ラミネート加工性に優れた熱融着フィルム、かかる熱融着フィルムからなる容器蓋材及びそれを用いた包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
せんべい、ポテトチップス等のスナック菓子包装、あるいはゼリー、ミルク、ヨーグルト、プリン、とうふ、乳酸飲料等の食品包装や、ブリスター包装、その他日用品や雑貨等の包装として、ボトル、カップ、ないしトレー状のプラスチック容器をプラスチックラミネートフィルムないしアルミ箔ラミネートフィルムからなる蓋材でシールした包装が広く採用されている。このような包装に要求されることは、流通経路に耐える機械的な強度、衛生性の保持ができるシール強度および使用時における開封性の良さである。
【0003】
そのような包装に使われる資材の一つとして、一方を易開封性(イージーピール性)フィルムと呼ばれる範疇のフィルムを、最内層である熱融着層とした袋に、あるいは蓋材に用いた包装体が広く利用されている。しかし、これまで提案されている各種の熱融着層は、密封するためのヒートシール強度は高いが、開封時のイージーピール性は必ずしも十分ではなく、両者の間に適度なバランスをとることが求められている。ここでイージーピール性に求められている特性は、単に開封性の容易さのみならず、開封後に開封部に糸引き現象等による樹脂断片の付着残留物がなく、開封部の外観の良さをも含めた総合評価であり、それによってその良否が判定されている。
【0004】
かかる欠点を解決する手段として、例えばエチレン−ビニルエステル共重合体、低結晶性または非晶性のエチレン共重合体と粘着付与剤とからなるヒートシール性樹脂組成物(特公昭63−29894号公報)、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体及び低密度ポリエチレンからなる易開封性ヒートシール用樹脂組成物(特開平2−185547号公報)が提案されている。
【0005】
しかしながら、低密度ポリエチレンをラミネートした紙容器に、かかる構成のシール材を用いた場合は、低密度ポリエチレン層と完全シ−ルとなり、開封した際に低密度ポリエチレンが剥離して紙剥けし紙くず等が内容物に落下したり、容器が変形して内容物がこぼれてしまう虞がある。又、かかる組成物層を有するフィルムはブロッキングし易くロール状に巻き取ったフィルムを巻き出し難い場合あり、又、ブロッキング跡により外観が劣る虞がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐ブロッキング性、ソフトな開封性、衛生性、加工性に優れ、エチレン重合体層あるいはプロピレン重合体層からなる熱シール層と熱融着した際の熱融着強度の温度依存性が小さく、輸送時等には被包装物が漏れ出る虞がない熱融着強度を有しながら被包装物を取出す際には、容易に開封でき、開封時にソフトで紙容器表面にコ−ト・押出しされたエチレン重合体との間で糸引き等が無く、綺麗な界面剥離あるいは凝集剥離で開封できるフィルム及び包装体を得るべく、又、夏場の気候のような場合に気温が30℃以上の時、あるいは流通時・倉庫保管時で50〜60℃程度の高温時における保管時においてもシ−ル部、特に容器の段差と蓋材シ−ルの部分でのエアリ−ク・パンクしない耐熱性があり、つまり容器としての封緘性に優れている易開封性可能な熱融着フィルム及び包装体を得るべく、種々検討した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)99〜20重量%とプロピレン重合体(B)1〜80重量%との樹脂組成物(C)からなる熱融着層を有することを特徴とする熱融着フィルム、それを用いた易開封性包装材料及び容器蓋材、相対する面が、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)99〜40重量%とプロピレン重合体(B)1〜60重量%との樹脂組成物(D)からなる熱融着層と、エチレン重合体層からなる熱シール層からなることを特徴とする包装体及び相対する面が、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)95〜20重量%と、プロピレン重合体(B)5〜80重量%との樹脂組成物(E)からなる熱融着層と、プロピレン重合体層からなる熱シール層からなることを特徴とする包装体に関する。
【0008】
【発明の具体的説明】
エチレン・ビニルエステル共重合体(A)
本発明に係わるエチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、エチレンと、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合体であって、共重合体中に存在するビニルエステル含量が3〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲にある。ビニルエステル含量がこの範囲内にあると、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスを良好に保ち、かつ食品充填時に必要な耐熱性を有しているので好適である。また、この共重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS 6730に準拠して測定した値が、通常1〜40、好ましくは1.5〜30(g/10分)の範囲にある共重合体が良好な押出性を有し、包装フィルムとしての十分な機械的強度を有する。このエチレン・ビニルエステル共重合体(A)は熱融着層として用いる場合に低温ヒートシール性を付与する効果がある。
【0009】
プロピレン重合体(B)
本発明に係わるプロピレン重合体(B)は、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されている樹脂でフィルム用途に適するものであり、通常、密度が0.890〜0.930g/cm3、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)が0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分のプロピレンの単独重合体若しくはプロピレンと他の少量のα−オレフィン、例えばエチレン、ブテン、ヘキセン−1等とのランダムあるいはブロック共重合体である。
【0010】
樹脂組成物(C)
本発明に係わる樹脂組成物(C)は、前記、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が99〜20重量%、好ましくは98〜40重量%とプロピレン重合体(B)が1〜80重量%、好ましくは2〜60重量%とからなり、通常、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)が0.1〜40g/10分、好ましくは1〜30g/10分の範囲にある。プロピレン重合体(B)の量が1重量%未満では樹脂組成物(C)面どうしを熱融着した際に、ヒートシール強度が強くなり過ぎて易開封性に劣る傾向にあり、一方80重量%を越えると低温ヒートシール性、開封強度・実用上での封緘性・密封性(耐熱性)に劣る傾向にある。
【0011】
樹脂組成物(D)
本発明に係わる樹脂組成物(D)は、前記、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が99〜40重量%、好ましくは98〜60重量%とプロピレン重合体(B)が1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%とからなり、通常、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)が0.1〜40g/10分、好ましくは1〜30g/10分の範囲にある。プロピレン重合体(B)の量が1重量%未満ではエチレン重合体層と熱融着した際に、ヒートシール強度が強くなり過ぎて易開封性に劣る傾向にあり、一方60重量%を越えると低温ヒートシール性、開封強度・実用上での封緘性・密封性(耐熱性)に劣る傾向にある。
【0012】
樹脂組成物(E)
本発明に係わる樹脂組成物(E)は、前記、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が95〜20重量%、好ましくは80〜40重量%とプロピレン重合体(B)が5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%とからなり、通常、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)が0.1〜40g/10分、好ましくは1〜30g/10分の範囲にある。プロピレン重合体(B)の量が5重量%未満ではプロピレン重合体層と熱融着した際に、ヒートシール強度が低く、開封強度・実用上での封緘性・密封性に劣る傾向にあり、一方80重量%を越えるとヒートシール強度が強くなり過ぎて易開封性に劣る傾向にある。
【0013】
本発明に係わるエチレン・ビニルエステル共重合体(A)、プロピレン重合体(B)あるいはその樹脂組成物(C)、(D)及び(E)には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤等の添加剤を必要に応じて配合することができる。特に、アンチブロッキング剤、スリップ剤を配合することによって、フィルム成形時、ラミネート加工時、包装作業時等における加工性や作業性を向上させることができる。
【0014】
熱融着フィルム
本発明に係わる熱融着フィルムは前記エチレン・ビニルエステル共重合体(A)、プロピレン重合体(B)との樹脂組成物(C)を熱融着層としたフィルムである。かかる熱融着フィルムは種々公知の方法で製造できる。例えば、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)とプロピレン重合体(B)とを所定の量で混合した後、直接フィルム成形機に投入してT−ダイ、環状ダイ等を用いてフィルムにする方法、予めエチレン・ビニルエステル共重合体(A)、プロピレン重合体(B)とを所定の量で混合して押出機等で溶融混練して樹脂組成物(C)を得た後、T−ダイ、環状ダイ等を用いてフィルム成形する方法が例示できる。
【0015】
熱融着フィルムは単層でも用いられるが、補強層として高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン等のエチレン重合体、ポリブテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系重合体層との積層フィルムであってもよい。これらの中でも、密度が0.905〜0.935g/cm3、好ましくは0.910〜0.935g/cm3、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度190℃)が0.5〜30g/10分、好ましくは1〜10g/10分の高圧下で重合されるエチレンの単独重合体、若しくは5重量%以下の、他のα−オレフィンあるいは酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体で、通常高圧法低密度ポリエチレンと呼ばれている低密度ポリエチレン、及びエチレンと炭素数が3〜10のα−オレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1とのランダム共重合体で、分子量分布(重量平均分子量:Mw、と数平均分子量:Mn、との比:Mw/Mnで表示)が通常1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5の範囲にある、通常、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と呼ばれているエチレン・α―オレフィンランダム共重合体等から得られるフィルムとの積層フィルムが好ましく、特に、線状低密度ポリエチレンを補強層に用いた場合に、低温シ−ル性に優れ、しかも熱融着面を開封した際に、凝集剥離を起こし、且つ剥離面(開封面)での糸引きが生ぜず綺麗な開封面が得られる。
【0016】
かかる積層フィルムを得る場合には、熱融着層となる樹脂組成物と補強層に用いるオレフィン系重合体とを多層ダイを用いて共押出しし熱融着フィルムとし得る。又、予め得られた補強層に樹脂組成物を押出しラミネートあるいは押出しコーティングして熱融着層を有する積層体としても良いし、あるいは夫々別個に得たフィルムを貼り合せて熱融着層を有する積層体としても良い。又、蓋材として用いる場合は、前記製法で得た熱融着層を備えた単層あるいは積層フィルム若しくはシート状の積層体をそのまま蓋材として用いても良いし、印刷して用いても良い。更に印刷されたあるいはされていない紙、アルミ箔等と貼り合せて蓋材にしても良い。又、用途によっては予め容器形状に合わせてカットして蓋材にしても良い。
【0017】
熱融着フィルムの厚さは、用途に応じて適宜決め得るが、通常、通常1〜1000μm、好ましくは2〜100μmの範囲にある。熱融着フィルムを単層フィルムとして用いる場合は、成形加工上、5μm以上の厚さが必要であるが、熱融着フィルムを補強層との積層体として用い得る場合は、熱融着層を1μmと薄くしても優れたシール特性を発揮できる。
【0018】
基材層
本発明に係わる熱融着層に積層される基材層としては特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の熱可塑性樹脂製フィルム、アルミニューム箔、紙等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂製フィルムからなる補強材は無延伸であっても一軸あるいは二軸延伸フィルムあるいはシ−ト等の基材であっても良い。勿論、基材層は1層でも2層以上としても良い。
【0019】
熱シール層
本発明に係わる熱シール層は、被包装材料に合わせてエチレン重合体若しくはプロピレン重合体を種々公知の方法でフィルム、シート、トレー、カップ、ボトル等の種々の形状としたものである。フィルム若しくはシートの場合は、上記熱融着フィルムと同様な方法で製造し得る。トレー若しくはカップの場合は、一旦上記方法でシートを製造した後、真空成形、圧空成形等の熱成形によりトレー、カップ等の容器とすることにより製造し得る。又、カップあるいはボトルの場合は射出成形、射出中空成形(インジェクションブロー)、中空成形等により容器として成形し得る。更に用途によっては紙等の上記基材層にエチレン重合体若しくはプロピレン重合体を押出しラミネートあるいは押出しコーティング等により積層した積層体を上記種々の形状に加工したものでもよい。かかるエチレン重合体は、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン等であり、プロピレン重合体は、熱融着フィルムに用いるプロピレン重合体(B)と同一の範疇のものであるが、個々の物性は同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
容器蓋材
本発明の易開封性包装材料に係わる容器蓋材は、前記熱融着フィルムを最内層としてなる。容器蓋材とする場合には、通常前記熱融着フィルムに基材層として例示される種々材料が積層される。
【0021】
包装体
本発明の包装体の1つは、相対する面が、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)99〜40重量%、好ましくは98〜60重量%とプロピレン重合体(B)が1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%との樹脂組成物(D)からなる熱融着層と、エチレン重合体層からなる熱シール層とからなることを特徴とする包装体である。相対する面を樹脂組成物(D)からなる熱融着層とエチレン重合体層からなる熱シール層にすることにより、低温ヒートシール性に優れ、且つヒートシール(熱融着)面が完全シールにならず、1〜20N/15mmと適度なヒートシール強度(剥離強度)を有しているので、輸送時あるいは取扱い時に被包装物が漏れ出す虞もなく、且つ被包装物を取出す際に容易に開封でき、しかも開封する際には凝集剥離し開封時に熱融着面が糸引きを発生しない。
【0022】
本発明の包装体の、他の1つは、相対する面が、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)95〜20重量%、好ましくは80〜40重量%とプロピレン重合体(B)が5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%との樹脂組成物(E)からなる熱融着層と、プロピレン重合体層からなる熱シール層とからなることを特徴とする包装体である。相対する面を樹脂組成物(E)からなる熱融着層と、プロピレン重合体層からなる熱シール層にすることにより、低温ヒートシール性に優れ、且つヒートシール(熱融着)面が完全シールにならず、1〜20N/15mmと適度なヒートシール強度(剥離強度)を有しているので、輸送時あるいは取扱い時に被包装物が漏れ出す虞もなく、且つ被包装物を取出す際に容易に開封でき、しかも開封する際には界面剥離あるいは凝集剥離するので、開封時に熱融着面が糸引きを発生しない。
【0023】
本発明の包装体を構成する熱シール層を有する部材の形状は、フィルム状物あるいはシート状物に限らず、トレー、カップ、ボトル等の形状が例示できるがそれらに限定はされない。熱シール層の裏面には種々用途に応じて熱融着層に積層される前記基材層と同一あるいは異なる層が積層し得る。
【0024】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
【0025】
実施例及び比較例で使用した原料は次の通りである。
(1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
三井デュポンポリケミカル製(商品名;エバフレックス、銘柄名;P−1405C):酢酸ビニル含有14重量%、密度0.93g/cm3、MFR3.5g/10分、融点90℃
(2)プロピレン重合体−1(PP−1)
エチレン含量3モル%、ブテン含量1.6モル%のプロピレンランダム共重合体:
密度0.90g/cm3、MFR7.0g/10分、融点138℃
(3)プロピレン重合体−2(PP−2)
プロピレン単独重合体:
密度0.90g/cm3、MFR2.0g/10分、融点160℃
(4)エチレン重合体−1(シングルサイト触媒重合直鎖状低密度ポリエチレン)
三井化学社製(商品名;エボリュー、銘柄名;SP2540)
密度0.925g/cm3、MFR4g/10分、融点120℃
(5)エチレン重合体−2(直鎖状低密度ポリエチレン)
三井化学社製(商品名;ウルトゼックス、銘柄名;UZ3523L)
密度0.935g/cm3、MFR2.1g/10分、融点123℃
【0026】
実施例1
熱融着層となるEVA:97重量%とPP―1:3重量%をドライブレンドした樹脂組成物と、補強層となるエチレン重合体組成物(エチレン重合体−1:エチレン重合体−2=30重量%:70重量%を混合したもの)を別々の押出機に供給し、Tダイ法によって熱融着層/補強層なる構成の2層共押出フイルムからなる熱融着フィルムを得た。フィルムの総厚は30μmで、各層の厚みは熱融着層:補強層=4:26μmであった。
【0027】
実施例2
実施例1で用いたEVA:97重量%とPP―1:3重量%をドライブレンドした樹脂組成物に代えて、EVA:95重量%とPP―1:5重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0028】
実施例3
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:90重量%とPP―1:10重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0029】
実施例4
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:70重量%とPP―1:30重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0030】
実施例5
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:50重量%とPP―1:50重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0031】
比較例1
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVAを用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0032】
比較例2
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、PP−1を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0033】
実施例6
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:97重量%とPP―2:3重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0034】
実施例7
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:95重量%とPP―2:5重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0035】
実施例8
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:90重量%とPP―2:10重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0036】
実施例9
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:70重量%とPP―2:30重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0037】
実施例10
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、EVA:50重量%とPP―2:50重量%をドライブレンドした樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0038】
比較例3
実施例1で用いた樹脂組成物に代えて、PP−2を用いる以外は実施例1と同様に行い、熱融着層:補強層=4:26μmの熱融着フィルムを得た。
【0039】
(1)ヒ−トシ−ル性の評価:
▲1▼積層フィルム:
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)に、上記各実施例および比較例で得られた熱融着フィルムの補強層をウレタン系接着剤を用いてドライラミネ−ションにより積層して、積層フィルムとした。
▲2▼被着体:
前記積層フィルムと熱融着(ヒートシール)する被着体は、以下の種類の被着体を用いた。
a.厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)に被着層(熱シール層)として、厚さ20μmの高圧法低密度ポリエチレン(HP−LDPE、密度:0.923g/cm3)を押出ラミネ−トした積層フィルム。
b.厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(O−NY)に被着層(熱シール層)として、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE、密度:0.915g/cm3)を押出ラミネ−トした積層フィルム。
c.厚さ300μmのポリプロピレンシ−ト(PPS、熱シール層)。
d.上記熱融着フィルム。
▲3▼ヒートシール試験:
1) 上記積層フィルムの熱融着層面と上記各被着体の被着層面を重ね合せ、所定の温度で、幅5mmのシールバーを用い、0.2MPaの圧力で1秒間シールした後放冷した。これから15mm幅の試験片を切り取りクロスヘッド速度500mm/minでヒートシール部を剥離し、その強度をヒートシール強度(N/15mm)とした。
2) 被着体a.との評価は、凝集剥離糸引きなしを○、界面剥離を△、完全ヒ−トシ−ルされているものを×、糸引きがあり層間剥離傾向のあるものを□とした。。
3) 被着体b.との評価は、凝集剥離を○、界面剥離を△、完全ヒ−トシ−ルされているものを×とした。
4) 被着体c.との評価は、凝集剥離を◎、界面剥離を○、完全ヒ−トシ−ルされているものを×とした。
5) 被着体d.との評価は、凝集剥離糸引きなしを○とした。
【0040】
(2)容器との封緘性及び開封性の評価
▲1▼包装体の調整:
内面に高圧法低密度ポリエチレンがラミネートされた紙基材製容器〔東罐興業株式会社製:タイプAC−430EP(無地)〕と上記各実施例及び比較例で得た熱融着フィルムとを、エ−シンパック工業株式会社製のエ−シンパックシ−ラ半自動O型タイプを用いて、温度180℃、1容器に対してのヒ−トシ−ル実圧力900N、シ−ル時間1秒で口部を熱融着(カップシ−ル)した。
▲2▼封緘性の評価:
株式会社サン科学製のシ−ルテスタ−FKTタイプを用い、上記調整法で得た包装体の破裂強度を測定した。尚、破裂強度試験は熱処理しない容器及び60℃のオ−ブンで24時間熱処理した後、23℃・相対湿度65%の雰囲気下で24時間放置後の熱処理した容器で行った。
封緘性の評価は、熱処理しない容器と熱処理した容器との破裂強度の変化が少なく、且つ熱処理後の破裂強度が10MPaを越えるものを○、破裂強度が10MPa前後のものを○〜△、10未満のものを×とした。
▲3▼開封性の評価:
破裂強度を測定したサンプルを用いて、手で熱融着フィルムを剥離し、以下の基準で開封性を評価した。
a.開封強度:
ホットメルト材でシールされたスナック容器(市販品)の開封強度と比較して、同程度のもの:◎、少し弱めのもの:○、弱めなもの:△、弱いもの:×、強いもの:××とした。
b.開封時の糸引き:
糸引きなし:◎、微量あり:○、少しあり:△、多数あり:×
c.紙剥け:
熱融着フィルムを紙基材製容器から剥離した際に、紙の内面にラミネートされた高圧法低密度ポリエチレンと紙とが剥離する現象を紙剥けと称し、それぞれ、紙剥けなし:◎、微量あり:○、容器開封部の1/4未満に紙剥けあり:△、容器開封部の1/4以上の紙剥けあり:×として評価した。
【0041】
各実施例、比較例及び参考例で得られたフィルムの特性値を表1及び表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
本発明の熱融着フィルムは、エチレン・酢酸ビニル共重合体とプロピレン重合体との組成物とが特定の割合で混合された熱融着層を有する熱融着フィルムである。かかる熱融着フィルムを用いて当該フィルムを熱融着層とした包装袋等の包装材、あるいは熱シール層としてエチレン重合体、プロピレン重合体を有する被着材からなる包装材は、被包装物を包装する際に、低温ヒ−トシ−ル性(低温熱融着性)があり、ヒ−トシ−ル温度幅も広く、又、得られた包装体は、適度なヒートシール強度を有しているので、開封時にはソフトに容易に開封できるという特性を有している。又、本発明の熱融着フィルムはブロキング性にも優れている。
【0045】
本発明の容器蓋材を用いた紙容器は、熱融着強度の温度依存性が小さく、輸送時等には被包装物が漏れ出る虞がない熱融着強度を有しながら、被包装物を取出す際には容易に開封でき、開封時にソフトで紙容器表面のエチレン重合体層との間で糸引き等が無く、且つ紙剥けの発生がなく、綺麗な凝集剥離で開封できる。又、夏場の気候のような場合に気温が30℃以上、あるいは流通時・倉庫保管時での50〜60℃程度の高温下における保管時にもシ−ル部、特に容器の段差と蓋材シ−ルの部分での空気漏れ、あるいはパンクしない耐熱性、つまり容器としての封緘性に優れているという特徴を有している。
【0046】
かかる特徴を活かして、本発明の熱融着フィルム、易開封性包装材料、容器蓋材あるいはこれら材料を用いた容器等の包装体は、広く各種のヨ−グルト、プリン、ゼリ−、スナック、麺などの紙ポリ容器の食品包装やブリスタ−包装、その他日用品や雑貨等の袋物包装、ボトル、カップ、ないしトレ−のプラスチックス容器などのシ−ル材等の包装体として好適に利用することができる。
Claims (2)
- 相対する面が、ビニルエステル含量が3〜30重量%のエチレン・ビニルエステル共重合体(A)80〜40重量%とプロピレン重合体(B)20〜60重量%との樹脂組成物(E)からなる熱融着層と、プロピレン重合体層からなる熱シール層からなり、樹脂組成物(E)からなる熱融着層の片面に線状低密度ポリエチレンからなる補強層が積層されてなることを特徴とする包装体。
- 前記包装体が、樹脂組成物(E)からなる熱融着層を有する容器蓋材及びプロピレン重合体層からなる熱シール層を有する容器である請求項1記載の包装体。
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-
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