この発明に係る医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理システムの好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[医用画像処理システムの全体構成]
図1は、この発明に係る医用画像処理システムの全体構成の一例を表している。同図に示す医用画像処理システム1は、コンソール10、寝台装置20、ガントリ30、胸部画像用ワークステーション40A及び腹部画像用ワークステーション40Bを含んで構成される。
コンソール10、寝台装置20及びガントリ30は、X線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置を構成している(この実施形態においては、医用画像診断装置がX線CT装置である場合について説明する。)。寝台装置20とガントリ30は、それぞれ、たとえば専用の通信線を介してコンソール10に接続されている。
胸部画像用ワークステーション40Aは、被検体の胸部を撮影した画像(たとえば肺や心臓の状態の読影などに供される画像)に関する処理を実行するコンピュータを含んで構成されている。
また、腹部画像用ワークステーション40Bは、被検体の腹部を撮影した画像(たとえば胃や腸の状態の読影などに供される画像)に関する処理を実行するコンピュータを含んで構成されている。
各ワークステーション40A、40Bは、たとえばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介してコンソール10に接続されている。各ワークステーション40A、40Bには、このネットワークに対応したネットワークアドレスや装置名、ないしは属性(たとえば「胸部検査用」、「腹部検査用」等の用途)など、各ワークステーション40A、40Bを識別するための識別情報が割り当てられている。コンソール10は、この識別情報によりデータの送信先や送信元を特定するようになっている。
各ワークステーション40A、40Bは、この発明の「コンピュータ」、「外部コンピュータ」の一例に相当するものである。なお、この実施形態では、2台の(外部)コンピュータを設けているが、この発明に係る医用画像処理システムにおいては、任意の台数の(外部)コンピュータを設けることが可能である。
以下、医用画像処理システム1を構成する装置10、20、30(X線CT装置)について、図2〜図9を更に参照しつつ具体的に説明する。図2は、コンソール10、寝台装置20及びガントリ30の外観構成の一例を表している。図3は、被検体Pのスキャンを行うための寝台装置20及びガントリ30の構成の一例を表している。図4は、寝台装置20の情報指定部23の構成の一例を表している。図5は、この情報指定部23の詳細構成の一例を表している。図6及び図7は、この情報指定部23の使用形態の一例を表している。図8は、情報指定部23等による指定結果の表示態様の一例を表している。図9は、コンソール10の詳細構成の一例を表している。
[寝台装置]
寝台装置20は、図2に示すように、被検体Pが載置される天板21と、この天板21を支持する寝台基部20aとを備えている。
寝台基部20aには、天板21を前後方向(図2中の矢印方向;水平方向)、左右方向(前後方向に直交する水平方向)、上下方向(垂直方向)にそれぞれ移動させる天板駆動部22(図1、図3参照)が設けられている。なお、上記の前後方向は、天板21上の被検体Pの体軸方向である。
〔情報指定部について〕
また、寝台装置20には、図1に示すように情報指定部23が設けられている。この情報指定部23は、天板21に載置された被検体Pの所望の部位の範囲と、その部位の名称を指定するために用いられ、この発明の「指定手段」の一例に相当するものである。
ここで、被検体Pの部位とは、頭部、胸部、腹部、骨盤、足部など、被検体Pの身体部位を意味している。また、部位の範囲とは、その部位に相当する被検体Pの身体の範囲を意味している。
情報指定部23は、図4に示すように、天板21の長手方向(被検体Pの体軸方向)に沿って天板21に配設されたレール23Aと、このレール23A上を被検体Pの体軸方向に沿って移動可能に設けられた複数の身体部位指定部23a、23b、23c、23dとを含んで構成される。これらの身体部位指定部23a、23b、23c、23dは、この順序で、被検体Pの頭部方向から足部方向に向かって(天板21のガントリ30に近い側から遠い側に向かって)配置されている。なお、身体部位指定部の設置個数は、四つに限定されるものではなく、任意個数の身体部位指定部を設けることが可能である。
情報指定部23には、各身体部位指定部23a〜23dのレール23A上における位置(天板21の長手方向における位置)を検出するように作用する、たとえばポテンショメータ等の位置検出手段(図示せず)が設けられている。
レール23Aと、各身体部位指定部23a〜23dとの接続態様は、任意の構成を採用することが可能である。たとえば、天板21の長手方向に沿って上方に突出した凸部を有するレール23Aを用いるとともに、この凸部に係合する凹部を各身体部位指定部23a〜23dに設け、各身体部位指定部23a〜23dがレール23A上を摺動するように構成することができる。
図5に、身体部位指定部23b、23cの詳細構成を示す。ここで、各身体部位指定部23a、23dは、全て同様の構成を備えているので、身体部位指定部23bについてのみ説明することにする。
身体部位指定部23bは、上方から見ると、図4に示すように被検体Pの方向を指し示すように、天板21の短手方向(被検体Pの体軸方向に直交する方向)を向いた矢印形状を有している。
この身体部位指定部23bには、天板21の長手方向を指し示す三角形の像を呈示する方向呈示部231と、この方向呈示部231により呈示される三角形の像が指し示す方向を変更するためのボタンやダイアルなどからなる方向変更操作部232とが設けられている。方向変更部231と方向変更操作部232は、被検体Pの体軸方向に沿った天板21の範囲を指定するためのもので、本発明の「天板範囲指定手段」の一例に相当するものである。
方向呈示部231は、たとえば、三角形の画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)等のフラットパネルディスプレイによって構成される。また、方向変更操作部232に対する操作に対応して呈示内容(三角形の像の向き)を切り替える機構を備えるように構成された方向呈示部231を採用することも可能である。また、タッチパネル方式のLCDなどを用いることにより、方向呈示部231と方向変更操作部232とを一体的に構成することも可能である。
図5や図6(A)に示すように、被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像が方向呈示部231に呈示されているときに方向変更操作部232を操作すると、方向呈示部231は、図6(B)に示すように、被検体Pの足部方向を指し示す三角形の像を呈示するように動作する。逆に、被検体Pの足部方向を指し示す三角形の像が方向呈示部231に呈示されているときに方向変更操作部232を操作すると、方向呈示部231は、被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像を呈示するように動作する。
また、身体部位指定部23bには、身体部位の名称を呈示する部位名呈示部233と、この部位名呈示部233により呈示される身体部位の名称を変更するためのボタンやダイアルなどからなる部位名変更操作部234とが設けられている。部位名変更部233と部位名変更操作部234は、方向変更部231及び方向変更操作部232によって指定された天板21の範囲に対応する身体部位の名称を指定するためのもので、本発明の「名称指定手段」の一例に相当するものである。
部位名呈示部233は、たとえば、身体部位の名称を示す文字(文字列)を表示するLCD等のフラットパネルディスプレイによって構成される。また、部位名変更操作部234に対する操作に対応して呈示内容(身体部位の名称)を切り替える機構を備えるように構成された部位名呈示部233を採用することも可能である。また、タッチパネル方式のLCDなどを用いることにより、部位名呈示部233と部位名変更操作部234とを一体的に構成することも可能である。同様に、方向変更部231、方向変更操作部232、部位名呈示部233及び部位名変更操作部234を一体的に構成することも可能である。
部位名変更操作部234を操作する度毎に、部位名呈示部233に呈示される身体部位の名称が図7に示すように順次(巡回的に)切り替えられる。すなわち、図7(A)に示すように文字「胸」が呈示されているときに部位名変更操作部234を操作すると、部位名呈示部233は、図7(B)に示すように文字「腹」を呈示するように動作する。また、図7(B)に示すように文字「腹」が呈示されているときに部位名変更操作部234を操作すると、部位名呈示部233は、図7(C)に示すように文字列「骨盤」を呈示するように動作する。また、図7(C)に示すように文字列「骨盤」が呈示されているときに部位名変更操作部234を操作すると、部位名呈示部233は、図7(D)に示すように文字「足」を呈示するように動作する。また、図7(D)に示すように文字「足」が呈示されているときに部位名変更操作部234を操作すると、部位名呈示部233は、図7(E)に示すように文字「頭」を呈示するように動作する。また、図7(E)に示すように文字「頭」が呈示されているときに部位名変更操作部234を操作すると、部位名呈示部233は、図7(A)に示すように文字列「胸」を呈示するように動作する。
なお、たとえば或る身体部位指定部を使用しない場合のために、「指定なし」等の文字列や「−」等の記号などを部位名呈示部233に呈示させるようにしてもよい。このような文字列や記号が呈示されている場合、その身体部位指定部による天板21上の指定位置の検出(前述の位置検出手段の作用)も行う必要はない。
情報指定部23は、身体部位指定部23a〜23dによる被検体Pの部位の範囲の指定と、その部位の名称の指定とがなされると、前述の位置検出手段によって各身体部位指定部23a〜23dのレール23A上における位置(座標値)を検出する。その検出位置は、たとえば、矢印形状の各身体部位指定部23a〜23dの先端の位置とされる。
このような情報指定部23によって指定される被検体Pの部位の範囲及び部位名の指定態様の一例を図5に示す。同図の身体部位指定部23bにおいては、被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像が方向呈示部231に呈示され、文字「胸」が部位名呈示部233に呈示されている。また、同図の身体部位指定部23cにおいては、同じく被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像が方向呈示部231に呈示されているとともに、文字「腹」が部位名呈示部233に呈示されている。
なお、図示は省略するが、身体部位指定部23a、23dの方向呈示部231には、同じく被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像が方向呈示部231に呈示されており、身体部位指定部23aの部位名呈示部233には文字「頭」が呈示されており、身体部位指定部23dの部位名呈示部233には文字列「骨盤」が呈示されているものとする。
この場合、被検体Pの部位の範囲及び部位名が次のように指定されたことを意味する:(1)身体部位指定部23aよりも被検体Pの頭部方向の範囲A(図示せず)は、被検体Pの「頭部」の範囲として指定され、この範囲Aは、身体部位指定部23aの位置(座標値)よりも被検体Pの頭部方向の範囲として取得される;(2)身体部位指定部23aと身体部位指定部23bとの間の範囲Bは、被検体Pの「胸部」の範囲として指定され、この範囲Bは、身体部位指定部23aの位置(座標値)と身体部位指定部23bの位置(座標値)との間の範囲として取得される;(3)身体部位指定部23bと身体部位指定部23cとの間の範囲Cは、被検体Pの「腹部」の範囲として指定され、この範囲Cは、身体部位指定部23bの位置(座標値)と身体部位指定部23cの位置(座標値)との間の範囲として取得される;(4)身体部位指定部23cと身体部位指定部23dとの間の範囲Dは、被検体Pの「骨盤」の範囲として指定され、この範囲Dは、身体部位指定部23cの位置(座標値)と身体部位指定部23dの位置(座標値)との間の範囲として取得される。
なお、各身体部位指定部23a〜23dの方向呈示部231が呈示する三角形の像が被検体Pの足部方向を指し示している場合についても同様である。
情報指定部23は、以上のような被検体Pの部位の範囲(座標値で示す範囲)及び部位名の指定結果を、コンソール10に送信する。コンソール10は、受信した指定結果をガントリ30に送信するようになっている。なお、寝台装置20とガントリ30とが直接に通信可能に接続されている場合、情報指定部23は、ガントリ30に向けても指定結果を送信するようにしてもよい。
[ガントリ]
ガントリ30は、図3に示すように回動可能な支持体30aを内蔵している。この支持体30aには、X線管30bとX線検出器30cとが支持されている。X線管30bは、高電圧発生部30dによって印加される所定の管電圧と管電流に基づいてX線を発生し、ガントリ30の開口部30A(図2参照)内に位置する被検体Pに向けてX線のファンビームやコーンビームを照射する。X線検出器30cは、X線管30bに対向する位置に支持されており、被検体Pを透過したX線ビームの線量を検出する複数のX線検出素子をアレイ状に配列した構成を有している。
支持体30aは、支持体駆動部30eにより開口部30A周りに回転される。X線管30bとX線検出器30cは、支持体30aの回転に伴って回転されて被検体Pをスキャンし、それにより、被検体Pを透過したX線ビームのX線量を様々な方向から検出するようになっている。X線検出器30cによって検出された透過X線量のデータ(検出信号)は、データ収集部31に送られる。
データ収集部31は、いわゆるDAS(Data Acquisition System)と呼ばれる装置を含んで構成され、X線検出器30cの各X線検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有しており、X線検出器30cが検出した透過X線量のデータを収集するように動作する。
データ収集部31は、このようにして収集された被検体Pの内部形態を反映するデータに対し、増幅処理やA/D変換処理などを施してコンソール10に伝送する。このとき、データ収集部31は、検出信号に対して、X線管30b及びX線検出器30cによる被検体Pのスキャン位置(後述のz座標値にて表される。)を示す情報を付加してコンソールに伝送するようになっている。ここで、スキャン位置を示す情報は、図23のステップS1001にて行うスキャン位置合わせの結果を示す情報であり、たとえば、DICOMにおいて定義される情報付加用の記憶領域(DICOMタグなどと呼ばれる。)内の所定の記憶領域に記憶されるようになっている。このデータ収集部31(ガントリ30)は、この発明の「収集手段」の一例に相当するものである。
支持体駆動部30eは、上述のように支持体30aを回転させるだけでなく、支持体30aを被検体Pに対して傾斜(チルト)させるようにも動作するようになっている。なお、支持体30aを回転させるための構成と、支持体30eをチルトさせるための構成とを個別に設けることも可能である。
ガントリ30には、更に、情報表示部32が設けられている。この情報表示部32は、寝台装置20の情報指定部23やコンソール10のユーザインターフェイス15(後述)を用いて指定された被検体Pの部位の範囲と部位の名称(部位名)とを表示するためのものであり、この発明の「指定情報表示手段」の一例に相当するものである。この情報表示部32は、たとえばLCD等の任意の表示デバイスによって構成されている。また、情報表示部32は、たとえば、ガントリ30の寝台装置20側の筐体側面に配設されている。
情報表示部32による部位の範囲及び部位名の表示態様の一例を図8に示す。同図に示すように、情報表示部32には、被検体Pの部位の指定範囲として、各指定範囲に対応する(X線)スキャンの範囲の開始位置を示す「範囲開始位置」の欄と、スキャンの範囲の終了位置を示す「範囲終了位置」の欄とが設けられている。これらの欄には、被検体Pの体軸方向(天板21の長手方向;z方向)にあらかじめ設定された座標値(z座標値)による各指定範囲に対応するスキャン範囲(開始位置、終了位置)が表示される。また、情報表示部32には、各指定範囲について、その部位の名称を示す「部位名」の欄が設けられている。
図8に示す表示態様においては、被検体Pの部位名の指定結果として、「胸」、「腹」及び「骨盤」が表示されている(「部位名」の欄)。これは、情報指定部23(又はユーザインターフェイス15)を用いて、胸部、腹部及び骨盤が検査部位として指定されたことを意味する。
また、図8の情報表示部32には、部位名「胸」について、そのスキャンの範囲の開始位置に指定されたz座標値「100」と、終了位置に指定されたz座標値「120」とが表示されている(「範囲開始位置」の欄、「範囲終了位置」の欄)。このスキャン範囲が「胸」に対応するスキャン範囲であることは、身体部位指定部23bの部位名呈示部233に「胸」が呈示され、かつ、方向呈示部231に被検体Pの頭部方向(身体部位指定部23aの方向)を指し示す三角形の像が呈示されていることにより特定される。
また、この「胸」のスキャン範囲の開始位置のz座標値「100」は、図4に示す身体部位指定部23aの位置に対応する座標値を、情報指定部23の位置検出手段(前述)が検出することにより得られたものである。同様に、スキャン範囲の終了位置のz座標値「125」は、図4、図5に示す身体部位指定部23bの位置に対応する座標値を、上記位置検出手段が検出することにより得られたものである。
部位名「腹」、「骨盤」や、それのスキャン範囲の開始位置や終了位置の表示処理も同様にして実行される。なお、図8に示すスキャンの範囲の設定情報に示すz座標値は、データ収集部31から得られる被検体Pのスキャン位置と同じz座標における座標値とされている。
なお、情報表示部32による上述の表示処理の制御は、たとえばコンソール10の制御部11によって行われる。また、前述のように寝台装置20からガントリ30に指定結果が直接に送信される場合などには、情報表示部32による表示制御を司るCPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを、たとえばガントリ30に設けるようにしてもよい。
[コンソール]
コンソール10は、この実施形態の医用画像処理システム1の中枢を為すもので、システム各部の制御や各種のデータ処理を行ったり、ユーザによる各種の操作入力を受け付けたりする装置である。このコンソール10は、この発明の「医用画像処理装置」の一例に相当するものである。
コンソール10は、たとえば汎用のコンピュータを含んで構成される。このコンソール10には、図示は省略するが、CPU等のマイクロプロセッサ、RAMやROM等のメモリ、ハードディスクドライブ等の大容量記憶装置、ユーザインターフェイス(マンマシンインターフェイス)、通信インターフェイス、ドライブ装置などを備えている。また、コンソール10は、ガントリ30によって収集されたデータに対する前処理や再構成処理(後述)を実行する専用の回路基板などを備えている。また、再構成された画像データ等を保管するための大容量記憶装置を、マイクロプロセッサがアクセスできるように外付けすることも可能である。
コンソール10には、図1に示すように、制御部11、前処理部12、再構成部13、情報処理部14、ユーザインターフェイス(User Interface;UI)15、情報記録部18及び通信部19が設けられている。以下、図9のブロック図を更に参照しつつ、コンソール10の各部について詳細に説明する。
〔制御部について〕
制御部11は、医用画像処理システム1の各部の制御を行うとともに、各種のデータ処理を実行するものである。制御部11は、マイクロプロセッサ、メモリ、ハードディスクドライブ(大容量記憶装置)等を含んで構成される。
ハードディスクドライブには、この実施形態に特徴的な動作をマイクロプロセッサが実行するためのコンピュータプログラムがあらかじめ記憶されている。なお、LAN等のネットワーク上のサーバに当該コンピュータプログラムを記憶させておき、コンソール10がクライアントとして動作するように構成することも可能である。このコンピュータプログラムに基づく医用画像処理システム1の動作については逐次に後述することにする。
また、ハードディスクドライブ(及び/又は、上述した外付けの大容量記憶装置)には、ガントリ30により収集されたデータ(純生データ)や、後述の前処理部12により生成される投影データ(生データ)や、後述の再構成部13により生成された画像データや、後述の情報処理部14により情報が付与された画像データなどの各種のデータが記憶されるようになっている。
また、ハードディスクドライブには、各ワークステーション40A、40Bのネットワークアドレスや装置名や属性など識別情報(前述)があらかじめ記憶されている。制御部11は、この識別情報に基づいてデータの送信先となるワークステーション40A、40Bを特定するように動作する。
〔前処理部について〕
前処理部12は、画像の再構成処理に供される投影データ(生データ)の生成処理を行うものである。具体的に説明すると、この前処理部12は、ガントリ30のデータ収集部31により収集されたデータ(純生データ)に対して、データの対数計算、リファレンス補正、水補正、ビームハードニング補正、体動補正などの前処理と呼ばれる一連の処理を施す。この前処理部12は、前述のマイクロプロセッサや専用の回路基板を含んで構成される。
〔再構成部について〕
再構成部13は、前処理部12により生成された投影データに対して所定の画像再構成法に基づく処理を施して、被検体Pの断層画像の画像データを生成するもので、この発明の「再構成手段」の一例に相当するものである。
この再構成部13は、公知になっている任意の画像再構成法、たとえば、コンボリューション・バックプロジェクション法、ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法、2次元フーリエ変換法などを用いて、投影データから断層画像の画像データを再構成する。このような処理は、図9に示す画像再構成処理部131によって実行される。この画像再構成処理部131は、前述のマイクロプロセッサや専用の回路基板(再構成基板などと呼ばれる。)を含んで構成されている。
更に、この実施形態における再構成部13には、再構成関数選択部132と再構成関数記憶部133が設けられている。
ここで、再構成関数とは、前述の画像再構成法に基づく処理を実行するために使用される関数であり、その一例として、コンボリューション・バックプロジェクション法において用いられる関数hや、ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法において用いられる関数hdなどがある。
また、再構成関数は、様々な身体部位の特性に応じて、身体部位ごとに個別に設けられることがある。たとえば、頭部の画像(の画像データ)の再構成処理に用いられる再構成関数(「頭部用再構成関数FC01」と呼ぶことにする。)や、胸部の画像の再構成処理に用いられる再構成関数(「胸部用再構成関数FC02」と呼ぶことにする。)や、腹部の画像の再構成処理に用いられる再構成関数(「腹部用再構成関数FC03」と呼ぶことにする。)や、骨盤の画像の再構成処理に用いられる再構成関数(「骨盤用再構成関数FC04」と呼ぶことにする。)や、足部の画像の再構成処理に用いられる再構成関数(「足部用再構成関数FC05」と呼ぶことにする。)などが設けられている。
再構成関数記憶部133には、以上に説明したような各種の再構成関数があらかじめ記憶されている。この再構成関数記憶部133は、たとえば前述のハードディスクドライブにより構成される。この再構成関数記憶部133は、この発明の「再構成関数記憶手段」の一例に相当するものである。
再構成関数選択部132は、寝台装置20の情報指定部23(或いはユーザインターフェイス15)による指定結果に基づいて、再構成関数記憶部133に記憶された複数の再構成関数のうちの一つを選択する処理を行う。
より具体的に説明すると、再構成関数選択部132は、被検体Pの各スライス位置(断層画像の作成位置;前述のスキャン位置と同じz座標にて表される。)について、指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名に基づいて、当該スライス位置が属する身体部位を特定し、この特定された身体部位に対応する再構成関数を再構成関数記憶部133から選択する。
このような処理を行う再構成関数選択部132は、この発明の「再構成関数選択手段」の一例に相当するものであり、たとえば前述のマイクロプロセッサを含んで構成されている。
なお、画像再構成処理にて使用される再構成関数の種類に応じて、前処理の処理方法や画像フィルタの種類などを変更することがある。その場合には、再構成関数記憶部133に記憶された各再構成関数と、前処理の処理方法や画像フィルタとをあらかじめ対応付けておき、選択された再構成関数に対応する前処理の処理方法や画像フィルタを選択的に適用するように構成することが可能である。ここで、前処理の処理方法や画像フィルタに関わる関数等の情報は、たとえば前述のハードディスクドライブにあらかじめ記憶されることになる。
〔情報処理部について〕
情報処理部14は、画像再構成処理部131により再構成された医用画像の画像データに対して各種の処理を施すもので、この発明の「情報処理手段」の一例に相当するものである。
この情報処理部14には、身体部位特定処理部141、情報付与処理部142及び画像データ分類処理部143が設けられている。
身体部位特定処理部141は、画像再構成処理部131により再構成された医用画像の画像データについて、その基になった純生データがデータ収集部31によって収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択し、その部位の範囲に対して指定された部位名を特定することにより、当該医用画像の画像データが示す身体部位を特定する処理を行う。
再構成された医用画像(断層画像)の画像データの基になった純生データが収集されたときのスキャン位置と、指定された部位の範囲とは、前述のように、それぞれ同じz座標に基づく座標値によって表されている。身体部位特定処理部141は、指定された部位の範囲(z座標値の範囲)のうちから、当該スキャン位置が示すz座標値を含む部位の範囲を選択し、この選択された部位の範囲に対応する部位名(図8参照)を参照することにより、当該医用画像の画像データに対応する身体部位を特定する。
情報付与処理部142は、身体部位特定処理部141により特定された身体部位を示す情報(身体部位情報)を、再構成された医用画像の画像データに付与する処理を行う。なお、身体部位情報は、たとえば、当該医用画像の画像データのDICOMタグの所定の記憶領域に記憶されるようになっている。
画像データ分類処理部143は、寝台装置20の情報指定部23(或いはユーザインターフェイス15)による指定結果に基づいて、再構成部13により再構成された複数の医用画像(断層画像)の画像データを分類する処理を行うもので、この発明の「画像データ分類手段」の一例に相当するものである。
より具体的に説明すると、画像データ分類処理部143は、身体部位特定処理部141と同様に、再構成された複数の医用画像の画像データのそれぞれについて、その画像データの基になった純生データがデータ収集部31によって収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択する。
それにより、再構成された複数の医用画像の画像データは、指定された部位の範囲のいずれかに対応付けられる。(なお、指定された部位の範囲のいずれにも対応付けられない画像データが存在する場合には、たとえば「指定外」に対応付けることが可能である。)。
更に、画像データ分類処理部143は、各医用画像の画像データについて特定された身体部位に基づいて、複数の医用画像の画像データを身体部位ごとに分類する。
ここで、図8に示す指定結果を用いる場合における画像データ分類処理部143による処理内容の一例を説明する。画像データ分類処理部143は、N個の医用画像の画像データ(n=1〜N)のそれぞれについて、そのスキャン位置(z座標値)が含まれる部位の範囲を特定する。その結果として、画像データn=1〜n1のそれぞれのスキャン位置が100≦z≦120に含まれ、画像データn=n1+1〜n1+n2のそれぞれのスキャン位置が120.1≦z≦150に含まれ、画像データn=n2+1〜n2+n3のそれぞれのスキャン位置が150.1≦z≦175に含まれているとする(N=n1+n2+n3)。
この場合、画像データ分類処理部143は、図8に示す指定結果を参照し、n1個の医用画像の画像データn=1〜n1を「胸」を撮影したもの(胸部に指定された範囲にスライス位置を有する画像)とし、n2個の医用画像の画像データn=n1+1〜n1+n2を「腹」を撮影したもの(腹部に指定された範囲にスライス位置を有する画像)とし、n3個の医用画像の画像データn=n2+1〜n2+n3を「骨盤」を撮影したもの(骨盤に指定された範囲にスライス位置を有する画像)とする。
このような分類結果は、たとえば表形式で記憶される。また、同じ群に分類された画像データに同じ識別情報(分類結果を示す識別情報)を付与して関連付けるようにしてもよい。
〔ユーザインターフェイスについて〕
ユーザインターフェイス15は、各種情報(画面、画像等)を表示する表示部16と、被検体Pの部位の範囲や部位名を指定するための情報指定操作部17とを含んで構成される。このユーザインターフェイス15は、この発明の「指定手段」、「画像範囲指定手段」、「名称指定手段」、「情報修正手段」のそれぞれの一例に相当するものである。
表示部16は、被検体Pの一定方向からの画像(たとえばスキャノ像)などを表示するもので、この発明の「表示手段」の一例に相当するものである。なお、この実施形態では、指定手段に表示手段が含まれているが、指定手段とは別個に表示手段を設けるようにしてもよい。また、表示部16には、被検体Pの部位の範囲や部位名を指定するための画面(情報指定画面;後述)などが表示される。この表示部16は、LCDやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。
情報指定操作部17は、表示部16に表示された情報指定画面に基づいて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定するために用いられるもので、たとえばマウス、キーボード、トラックボール、コントロールパネル等の任意の操作デバイスによって構成される。なお、この情報指定操作部17は、このような情報の指定だけではなく、その他の操作にも用いられるものである(当該情報指定操作に専用としてもよい。)。
なお、この実施形態では、表示部16と情報指定操作部17とを別個に設けているが、たとえばタッチパネル式のLCDを用いるなどして、表示機能と操作機能とを一体的に構成したユーザインターフェイス15を適用することも可能である。
〔情報記録部18について〕
情報記録部18は、寝台装置20の情報指定部23(或いはユーザインターフェイス15)による指定結果に基づいて、情報付与処理部142によって身体部位情報が付与された医用画像の画像データをメディア(情報記録媒体)18aに記録させるように動作するもので、この発明の「記録手段」の一例として動作するものである。なお、情報記録部18は、医用画像の画像データとともに、それに付与された身体部位情報も記録するようにしてもよい(DICOMタグに記録された情報など、その他の情報についても記録するように構成することも可能である。)。
この情報記録部18により医用画像の画像データ等が記録されるメディア18aとしては、たとえば、DVD−R、DVD−RAM、CD−R(W)、フロッピー(登録商標)ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリなど、光学的方法や電気的方法や磁気的方法などの任意の物理的な方法によって情報が記録される任意のメディアを適用することが可能である。また、情報記録部18としては、使用するメディア18aに対してデータを書き込むことが可能なドライブ装置等の任意の情報記憶装置を適用することができる。
〔通信部について〕
通信部19は、寝台装置20、ガントリ30、ワークステーション40A、40Bのそれぞれに対して信号や情報を送信する処理を行うとともに、これらの装置から送信された信号や情報を受信する処理を行うもので、この発明の「送信手段」及び「指定結果送信手段」の一例として動作するものである。
この通信部19は、たとえば、LANカード等のネットワークアダプタや、専用の通信線のアダプタ、更にはインターネット等の広域ネットワーク(WAN;Wide Area Network)を介してデータ通信を行うためのモデム(MODEM;Modulator−Demodulator)などの通信機器を含んで構成されている。
[動作]
以上のような構成を有する医用画像処理システム1の動作について説明する。図10〜図13に示すフローチャートは、この医用画像処理システム1の動作の一例を表すものである。
ここで、図10に示すフローチャートは、寝台装置20の情報指定部23を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する場合における医用画像処理システム1の動作の一例を表している。また、図11に示すフローチャートは、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する場合における医用画像処理システム1の動作の一例を表している。また、図12に示すフローチャートは、寝台装置20の情報指定部23とコンソール10のユーザインターフェイス15の双方を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する場合における医用画像処理システム1の動作の一例を表している。また、図13に示すフローチャートは、事前に取得された被検体Pの医用画像(の画像データ)に対し、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を後付けで指定する場合における医用画像処理システム1の動作の一例を表している。
〔第1の動作例:図10〕
まず、図10を参照しつつ、寝台装置20の情報指定部23を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名の指定を行う場合における医用画像処理システム1の動作について説明する。
最初に、被検体Pを寝台装置20の天板21上に載置する。そして、前述の要領で情報指定部23を操作することにより、被検体Pの部位の範囲及び部位名を指定する(S1)。この指定結果は、たとえば、寝台装置20の記憶装置(メモリやハードディスクドライブ等;図示せず)や、コンソール10の制御部11のメモリやハードディスクドライブ等の記憶装置(前述)に記憶される。
また、ステップS1において指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名の情報は、ガントリ30に(寝台装置20から直接に、又はコンソール10を介して)送信され、情報表示部32に表示される(S2)。ユーザは、この情報表示部32に表示された情報を参照して指定内容を確認することができ、必要に応じて指定内容を変更することが可能である。
情報の指定が完了したら、被検体P(の少なくとも指定された全ての部位の範囲)のスキャノ像を取得する(S3)。そのために、まず、ユーザは、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて、スキャノ像を取得するためのX線スキャンの開始要求を入力する。この開始要求を示す信号は、寝台装置20とガントリ30に送信される。寝台装置20とガントリ30は、この信号に対応して、被検体Pのスキャノ像を取得するためのX線スキャンを実行する。このX線スキャンは、ガントリ30のX線管30bとX線検出器30cとを所定位置(たとえば被検体Pの正面位置にX線管30bを配置させ、背面位置にX線検出器30cを配置される。)に固定した状態で、天板21を被検体Pの体軸方向に移動させて行う。この過程においてX線検出器20により検出されたデータは、データ収集部31によって収集されてコンソール10に送られる。コンソール10(のたとえばマイクロプロセッサ)は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、データ収集部31にて収集されたデータに基づいて被検体Pのスキャノ像の画像データを生成する。
制御部11は、取得されたスキャノ像を表示部16に表示させる。ユーザは、情報指定操作部17を操作して、スキャン範囲(X線スキャンの開始位置や終了位置)、X線管30bの管電流値や管電圧値、スライス厚等のスキャン条件を設定する(S4)。このスキャン条件の設定内容は、寝台装置20とガントリ30に送信される。
寝台装置20とガントリ30は、設定されたスキャン条件に基づいて、被検体PのX線スキャン(たとえばヘリカルスキャン)を実行する(S5)。このX線スキャンの過程においてデータ収集部31により収集された純生データは、スキャン位置の情報、及び、ステップS1にて指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名の指定結果とともにコンソール10に送信される。なお、ステップS2において、指定結果をコンソール10を介してガントリ30に送信した場合には、純生データとスキャン位置の情報のみをコンソール10に送信するようにしてもよい。
コンソール10の前処理部12は、この純生データに対して所定の前処理を施すことにより生データ(投影データ)を生成する(S6)。再構成部13は、次のような画像再構成処理を実行する。
まず、再構成関数選択部132は、ステップS1における指定結果に基づいて、再構成関数記憶部133に記憶された複数の再構成関数のうちの一つを選択する(S7)。それにより、各スライス位置について、そのスライス位置が属する身体部位に対応する再構成関数が選択される。
画像再構成処理部131は、前処理部12により生成された生データに基づいて、各スライス位置について、選択された再構成関数を用いて断層画像の画像データを生成する(S8)。それにより、複数のスライス位置のそれぞれにおける被検体Pの断層画像の画像データが得られる。
続いて、情報処理部14の身体部位特定処理部141は、各断層画像の画像データについて、その基になった純生データがデータ収集部31によって収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択し、当該断層画像の画像データが示す身体部位を特定する(S9)。そして、情報付与処理部142は、各断層画像の画像データに対し、特定された身体部位を示す身体部位情報を付与する(S10)。
更に、情報処理部14の画像データ分類処理部143は、ステップS1における指定結果に基づいて、再構成部13により得られた複数の断層画像の画像データを身体部位ごとに分類する(S11)。
制御部11は、この分類結果に基づいて、断層画像の画像データの基になった生データを分類する(S12)。すなわち、各断層画像の画像データについて、その断層画像の画像データと、当該断層画像の画像データの基になった生データとを対応付けする。
そして、制御部11は、(たとえばワークステーション40A、40Bからの要求に応じ、)ステップS11、S12における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとに通信部19に送る。通信部19は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを身体部位ごとにワークステーション40A、40Bに送信する(S13)。
より具体的に説明すると、制御部11は、たとえば、部位名が「胸」とされた断層画像の画像データ及び/又は生データを胸部画像用ワークステーション40Aに送信し、部位名が「腹」とされた断層画像の画像データ及び/又は生データを腹部画像用ワークステーション40Bに送信する。このとき、送信先となるワークステーション40A、40Bは、前述の識別情報によって特定するようになっている。なお、断層画像の画像データ等とともに、情報付与処理部142によって付与された身体部位情報をワークステーション40A、40Bに送信するようにしてもよい。
また、制御部11は、(たとえばユーザからの要求に応じ、)ステップS11、S12における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとに情報記録部18に送る。情報記録部18は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを身体部位ごとにメディア18aに記録する(S14)。それにより、胸部や腹部など、被検体Pの部位ごとの断層画像の画像データや生データをメディア18aに記録することが可能になる。
ここで、断層画像の画像データ等とともに、情報付与処理部142によって付与された身体部位情報をメディア18aに記録することが望ましい。それにより、このメディア18aに記録された断層画像の画像データ等を読み出すときに、身体部位情報を読み出して表示等することにより、そのデータがどの身体部位に関するものであるかをユーザは容易に把握することができる。
なお、制御部11は、図23に示したようなPACS等のファイリングシステム(図示せず)に対し、ステップS11、S12における分類結果に基づく断層画像の画像データ及び/又は生データを送信するように構成することができる。
その場合、ファイリングシステムのユーザは、たとえば、断層画像の整理(DICOMにおけるデータ管理の階層「検査」、「シリーズ」、「画像」の整理など)、他装置(たとえばワークステーション40A、40B、その他のコンピュータ等)に対するデータの転送、各種メディアへのデータの保存(バックアップ)などの各種のファイル操作を行うことができる。
〔第2の動作例:図11〕
次に、図11を参照しつつ、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する場合における医用画像処理システム1の動作について説明する。なお、第1の動作例と同様の処理については、詳しい説明は省略することにする。
まず、被検体Pを寝台装置20の天板21上に載置するとともに、第1の動作例と同様にして、被検体Pのスキャノ像を取得する(S21)。
制御部11は、取得されたスキャノ像を表示部16に表示させる(S22)。このスキャノ像は、たとえば、図14に示す情報指定画面500内の画像表示部510に表示される。ユーザは、たとえば以下に説明する要領で、被検体Pの部位の範囲や部位名の指定を行う(S23)。この指定結果は、たとえばコンソール10の制御部11のメモリやハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶される。
情報指定画面500に関わる以下の処理は、制御部11によって実行される。
情報指定画面500の画像表示部510の一例を図15に示す。この画像表示部510には、寝台装置20の情報指定部23と同様の情報指定部512が設けられている。この情報指定部512は、複数の身体部位指定部512a、512b、512cを備えている。
各身体部位指定部512a、512b、512cは、たとえばユーザインターフェイス15のマウスを用いたドラッグ操作により、天板21の長手方向に沿って表示されたスケール画像511上を移動させることができる。それにより、ユーザは、指定する部位の範囲の境界位置を決定することができる。
また、各身体部位指定部512a、512b、512cには、情報指定部23の身体部位指定部23a等と同様の方向呈示部と部位名呈示部とが設けられている。
方向呈示部には、天板21の長手方向(被検体Pの体軸方向)を指し示す三角形の像が呈示される。ユーザは、この方向呈示部をたとえばマウスでクリックすることにより、被検体Pの頭部方向を指し示す三角形の像と、足部方向を指し示す三角形の像とを切り替えて呈示させられるようになっている。
また、部位名呈示部には、身体部位指定部23a等と同様に、身体部位の名称が呈示される。たとえば、ユーザが部位名呈示部をクリックすると、身体部位の名称の選択肢を列挙したプルダウンメニューが表示される。ユーザは、マウス等を操作して所望の身体部位の名称を選択すると、この選択された身体部位の名称(部位名)が部位名呈示部に表示される。以上により、画像表示部510に表示されたスキャノ像を用いた、被検体Pの部位の範囲及び部位名の指定は完了する。
更に、ユーザは、情報指定画面500上に設けられた各種のボタン等のソフトキーを操作することにより、スキャン条件の設定を行う(S24)。このスキャン条件の設定内容は、寝台装置20とガントリ30に送信される。
なお、被検体Pの部位の範囲等の指定と、スキャン条件の設定とは、どちらを先に行ってもよい。また、被検体Pの部位の範囲等の指定とスキャン条件の設定とを並行して行うこともできる。
ステップS23において指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名の情報は、コンソール10からガントリ30に送信されて情報表示部32に表示される(S25)。なお、当該動作例においては、このステップS25の処理を省略することもできる。
寝台装置20とガントリ30は、設定されたスキャン条件に基づいて、被検体PのX線スキャンを実行する(S26)。このX線スキャンの過程においてデータ収集部31により収集された純生データは、スキャン位置の情報とともにコンソール10に送信される。
コンソール10の前処理部12は、この純生データに対して所定の前処理を施すことにより生データを生成する(S27)。
再構成関数選択部132は、ステップS23における指定結果に基づいて、再構成関数記憶部133に記憶された複数の再構成関数のうちの一つを選択する(S28)。画像再構成処理部131は、前処理部12により生成された生データに基づいて、各スライス位置について、選択された再構成関数を用いて断層画像の画像データを生成する(S29)。
続いて、情報処理部14の身体部位特定処理部141は、各断層画像の画像データについて、その基になった純生データがデータ収集部31によって収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択し、当該断層画像の画像データが示す身体部位を特定する(S30)。そして、情報付与処理部142は、各断層画像の画像データに対し、特定された身体部位を示す身体部位情報を付与する(S31)。
更に、情報処理部14の画像データ分類処理部143は、ステップS23における指定結果に基づいて、再構成部13により得られた複数の断層画像の画像データを身体部位ごとに分類する(S32)。
制御部11は、この分類結果に基づいて、断層画像の画像データの基になった生データを分類する(S33)。
そして、制御部11は、ステップS32、S33における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを通信部19に送る。通信部19は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとにワークステーション40A、40Bに送信する(S34)。
また、制御部11は、ステップS32、S33における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとに情報記録部18に送る。情報記録部18は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを、身体部位ごとにメディア18aに記録する(S35)。ここで、断層画像の画像データ等とともに、情報付与処理部142によって付与された身体部位情報をメディア18aに記録することが望ましい。
なお、制御部11は、第1の動作例と同様に、図23に示したようなPACS等のファイリングシステムに対し、ステップS32、S33における分類結果に基づく断層画像の画像データ及び/又は生データを身体部位ごとに送信するように構成することができる。ファイリングシステムのユーザは、前述のような各種のファイル操作を行うことができる。
〔第3の動作例:図12〕
次に、図12を参照しつつ、寝台装置20の情報指定部23とコンソール10のユーザインターフェイス15の双方を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する場合における医用画像処理システム1の動作について説明する。なお、第1の動作例と同様の処理については、詳しい説明は省略することにする。
最初に、被検体Pを寝台装置20の天板21上に載置し、前述の要領で情報指定部23を操作することにより、被検体Pの部位の範囲及び部位名を指定する(S41)。この指定結果は、コンソール10に送信される。
また、指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名の情報は、ガントリ30に送信されて情報表示部32に表示される(S42)。
情報指定部23による情報の指定が完了したら、被検体Pのスキャノ像を取得する(S43)。制御部11は、取得されたスキャノ像を表示部16に表示させる(S44)。このスキャノ像は、第2の動作例と同様に、図14、図15に示す情報指定画面500内の画像表示部510に表示される。
また、制御部11は、ステップ41において情報指定部23を用いて指定された被検体Pの部位の範囲及び部位名の情報を、情報指定画面500の身体部位指定部512a、512b、512cに反映させる(S45)。すなわち、ステップS41における指定結果を身体部位指定部512a、512b、512cに表示させる。
たとえば、情報指定部23の身体部位指定部23aの方向呈示部231に呈示されている三角形の像と同じ画像を、情報指定画面500の身体部位指定部512aの方向呈示部に表示させるとともに、この身体部位指定部23aの部位名呈示部233に呈示されている部位名を身体部位指定部512aの部位名呈示部に表示させる。同様に、身体部位指定部23bの呈示内容を身体部位指定部512bに表示させ、身体部位指定部23cの呈示内容を身体部位指定部512cに表示させる。
なお、身体部位指定部23d(及びそれ以降の身体部位指定部23e、23f、・・・:図示せず)が使用された場合、制御部11は、これらに対応する身体部位指定部512d、512e、512f、・・・(図示せず)を情報指定画面500にそれぞれ表示させるとともに、各身体部位指定部23d等による指定結果を身体部位指定部512d等にそれぞれ反映させる。
ユーザは、必要に応じて、情報指定操作部17を用いて身体部位指定部512a、512b、512cを操作することにより、被検体Pの部位の範囲や部位名の指定結果を補正する(S46)。この補正結果は、たとえばコンソール10の制御部11のメモリやハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶される。
更に、ユーザは、情報指定画面500上に設けられた各種のボタン等のソフトキーを操作することにより、スキャン条件の設定を行う(S47)。このスキャン条件の設定内容は、寝台装置20とガントリ30に送信される。
ここで、ステップS46において補正された被検体Pの部位の範囲及び部位名の情報を、ガントリ30の情報表示部32に表示させるようにしてもよい。
寝台装置20とガントリ30は、設定されたスキャン条件に基づいて、被検体PのX線スキャンを実行する(S48)。このX線スキャンの過程においてデータ収集部31により収集された純生データは、スキャン位置の情報とともにコンソール10に送信される。
コンソール10の前処理部12は、この純生データに対して所定の前処理を施すことにより生データを生成する(S49)。
再構成関数選択部132は、ステップS41における指定結果又はステップS46における補正結果に基づいて、再構成関数記憶部133に記憶された複数の再構成関数のうちの一つを選択する(S50)。画像再構成処理部131は、前処理部12により生成された生データに基づいて、各スライス位置について、選択された再構成関数を用いて断層画像の画像データを生成する(S51)。
続いて、情報処理部14の身体部位特定処理部141は、各断層画像の画像データについて、その基になった純生データがデータ収集部31によって収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択し、当該断層画像の画像データが示す身体部位を特定する(S52)。そして、情報付与処理部142は、各断層画像の画像データに対し、特定された身体部位を示す身体部位情報を付与する(S53)。
更に、情報処理部14の画像データ分類処理部143は、ステップS41における指定結果又はステップS46における補正結果に基づいて、再構成部13により得られた複数の断層画像の画像データを身体部位ごとに分類する(S54)。
制御部11は、この分類結果に基づいて、断層画像の画像データの基になった生データを分類する(S55)。
そして、制御部11は、ステップS54、S55における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを通信部19に送る。通信部19は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとにワークステーション40A、40Bに送信する(S56)。
また、制御部11は、ステップS54、S55における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ及び/又は生データを、分類された身体部位ごとに情報記録部18に送る。情報記録部18は、制御部11から受けた断層画像の画像データ及び/又は生データを、身体部位ごとにメディア18aに記録する(S57)。ここで、断層画像の画像データ等とともに、情報付与処理部142によって付与された身体部位情報をメディア18aに記録することが望ましい。
なお、制御部11は、第1の動作例と同様に、図23に示したようなPACS等のファイリングシステムに対し、ステップS54、S55における分類結果に基づく断層画像の画像データ及び/又は生データを身体部位ごとに送信するように構成することができる。ファイリングシステムのユーザは、前述のような各種のファイル操作を行うことができる。
〔第4の動作例:図13〕
次に、図13を参照しつつ、事前に取得された被検体Pの医用画像の画像データに対し、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名を後付けで指定する場合における医用画像処理システム1の動作について説明する。なお、第1の動作例と同様の処理については、詳しい説明は省略することにする。
まず、コンソール10(或いは、図23に示したようなファイリングシステムのコンピュータ;以下同様)は、たとえば医用画像のデータベース(図示せず)から、被検体Pの複数の身体部位に亘って形成された複数の断層画像の画像データを取得する(S61)。この断層画像の画像データには、身体部位情報は付与されていないものとする。
また、コンソール10は、被検体Pのスキャノ像の画像データを取得する(S62)。このとき、過去に取得されたスキャノ像の画像データが上記データベース等に保管されている場合には、このスキャノ像の画像データを取得する。また、過去のスキャノ像の画像データが保管されていない場合には、被検体Pを天板21上に載置してスキャノ像の取得を行う。なお、過去のスキャノ像の画像データの有無は、上記データベース等にアクセスして検索を行った結果によって判断される。コンソール10は、この判断結果(特に過去のスキャノ像の画像データが保管されていない場合)を表示部16に表示させることが望ましい。
制御部11は、取得されたスキャノ像を表示部16に表示させる(S63)。このスキャノ像は、図14、図15に示す情報指定画面500内の画像表示部510に表示される。ユーザは、ユーザインターフェイス15を用いて被検体Pの部位の範囲や部位名の指定を行う(S64)。この指定結果は、たとえばコンソール10の制御部11のメモリやハードディスクドライブ等の記憶装置に記憶される。
制御部11は、ステップS61にて取得された断層画像の画像データと、ステップS64における指定結果を情報処理部14に送る。身体部位特定処理部141は、ステップS64における指定結果に基づき、各断層画像の画像データについて、指定された被検体Pの部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択し、当該断層画像の画像データが示す身体部位を特定する(S65)。そして、情報付与処理部142は、各断層画像の画像データに対し、特定された身体部位を示す身体部位情報を付与する(S66)。
更に、情報処理部14の画像データ分類処理部143は、ステップS64における指定結果に基づいて、複数の断層画像の画像データを身体部位ごとに分類する(S67)。
ここで、上記データベースから、断層画像の画像データの基になった生データも取得した場合には、制御部11は、ステップS67における分類結果に基づいて生データの分類を行う。
制御部11は、ステップS67における分類結果に基づいて、断層画像の画像データ(及び/又は生データ)を通信部19に送る。通信部19は、制御部11から受けた断層画像の画像データを、分類された身体部位ごとにワークステーション40A、40Bに送信する(S68)。
また、制御部11は、ステップS67における分類結果に基づいて、断層画像の画像データを、分類された身体部位ごとに情報記録部18に送る。情報記録部18は、制御部11から受けた断層画像の画像データを身体部位ごとにメディア18aに記録する(S69)。ここで、断層画像の画像データ等とともに、情報付与処理部142によって付与された身体部位情報をメディア18aに記録することが望ましい。
なお、制御部11は、第1の動作例と同様に、図23に示したようなPACS等のファイリングシステムに対し、ステップS67における分類結果に基づく断層画像の画像データを身体部位ごとに送信するように構成することができる。ファイリングシステムのユーザは、前述のような各種のファイル操作を行うことができる。
[作用・効果]
以上のようなこの実施形態に係る医用画像処理システム1(並びに医用画像診断装置(コンソール10、寝台装置20、ガントリ30)及び医用画像処理装置(コンソール10))の作用及び効果について説明する。
この医用画像処理システム1(及び医用画像診断装置;以下同様)は、寝台装置20に載置された被検体Pの二以上の部位のそれぞれについて、その部位の範囲を指定するための情報指定部23及びユーザインターフェイス15と、寝台装置20に載置された被検体Pをスキャンして、被検体Pの内部形態を反映するデータを収集するガントリ30(データ収集部31)と、この収集されたデータに基づいて、被検体Pの複数の医用画像(断層画像)の画像データを再構成する再構成部13と、この再構成された複数の医用画像の画像データのそれぞれについて、その画像データの基になったデータが収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された二以上の部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択するとともに、選択された一の部位の範囲に対応する身体部位を示す身体部位情報を当該画像データに付与する情報処理部14とを備えている。
また、この医用画像処理システム1は、情報指定部23やユーザインターフェイス15を用いて、指定された二以上の部位の範囲のそれぞれについて、その部位の範囲に対応する身体部位の名称(部位名)を指定できるように構成されている。そして、情報処理部14は、選択された一の部位の範囲に対応して指定された身体部位の名称を身体部位情報として付与するようになっている。
それにより、複数の部位の医用画像を一度に撮影した場合であっても、各医用画像の画像データに対して、その撮影部位を示す身体部位情報を付与することができるので、各医用画像の撮影部位を特定することが可能になる。
また、この医用画像処理システム1は、被検体Pの部位の範囲や部位名の指定結果に基づいて、身体部位情報が付与された画像データを、指定された身体部位ごとにワークステーション40A、40Bに送信するように構成されている。ここで、ワークステーション40A、40Bは、それぞれ特定の用途(胸部や腹部の読影用)に供されるようになっている。
それにより、各ワークステーション40A、40Bに対して、その用途に応じて必要な医用画像の画像データのみを選択的に送信することができ、不要な身体部位の医用画像の画像データを送信しなくて済むため、ワークステーション40A、40Bに対するデータの送信処理や保存処理に掛かる時間の短縮を図ることができる。また、データを保存するための保存容量(ハードディスクドライブ等の記憶装置の記憶容量)を少なくすることが可能になる。
また、この医用画像処理システム1は、被検体Pの部位の範囲や部位名の指定結果に基づいて、身体部位情報が付与された画像データを、指定された身体部位ごとにメディア18aに記録するように構成されている。
それにより、必要な身体部位に関わる医用画像の画像データを選択的にメディア18aに記録することが可能となり、利便性の向上を図ることができ、メディア18aの消費個数の抑制を図ることができる。また、メディア18aへの記録処理に掛かる時間の短縮を図ることも可能になる。
また、この医用画像処理システム1は、寝台装置20の情報指定部23を用いた被検体Pの部位の範囲や部位名の指定結果を、ガントリ30の情報表示部32に表示するように構成されている。それにより、ユーザは、情報指定部23を用いた指定結果を容易に把握することができ、適宜に修正を施すことができる。
これに加えて、医用画像処理システム1は、寝台装置20の情報指定部23を用いた指定結果を、コンソール10のユーザインターフェイス15を用いて補正することができる。この補正は、被検体Pのスキャノ像等の画像(被検体Pを一定方向から見たときの画像)を表示させて行うように構成されている。したがって、寝台装置20側での指定結果を容易に補正できる。また、スキャノ像等の表示画像を参照することにより、部位の範囲等の指定をより正確に行うことが可能になる。
また、この医用画像処理システム1は、再構成関数記憶部133に記憶された複数の再構成関数のうちから、情報指定部23やユーザインターフェイス15による指定結果に応じた再構成関数を選択するとともに、この選択された再構成関数を用いて各医用画像の画像データの再構成処理を行うように構成されているので、各身体部位ごとに好適な再構成画像を取得することができる。
また、この医用画像処理システム1は、情報指定部23やユーザインターフェイス15による指定結果に基づいて、再構成された複数の医用画像の画像データを身体部位ごとに分類するように構成されている。
それにより、二以上の身体部位に亘って一度に取得された複数の医用画像の画像データを、各身体部位ごとに容易に処理することができる。たとえば、前述したワークステーション40A、40Bへのデータ転送処理やメディア18aへのデータ記録処理に加えて、複数の医用画像の画像データを身体部位ごとに保管し、身体部位ごとに容易に読み出すことなどが可能になる。
この実施形態のコンソール10(医用画像処理装置)は、被検体Pの二以上の部位をスキャンして収集された被検体Pの内部形態を反映するデータに基づいて再構成された、複数の医用画像の画像データの処理を行う装置であって、被検体Pの二以上の部位のそれぞれについて、その部位の範囲を指定するためのユーザインターフェイス15と、複数の医用画像の画像データのそれぞれについて、その画像データの基になったデータが収集されたときのスキャン位置に基づいて、指定された二以上の部位の範囲のうちから一の部位の範囲を選択するとともに、この選択された一の部位の範囲に対応する身体部位を示す身体部位情報を当該画像データに付与する情報処理部14とを備えている。
また、指定された二以上の部位の範囲のそれぞれについて、その部位の範囲に対応する身体部位の名称(部位名)を指定するように構成されている。そして、情報処理部14は、選択された一の部位の範囲に対応して指定された身体部位の名称を身体部位情報として付与するようになっている。
このようなコンソール10(医用画像処理装置)によれば、複数の部位の医用画像を一度に撮影した場合であっても、各医用画像の画像データに対して、その撮影部位を示す身体部位情報を付与することができるので、各医用画像の撮影部位を特定することが可能である。
[変形例]
以上において詳述した実施形態は、この発明を好適に実施するための具体的構成の一例に過ぎない。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
〔被検体の部位の範囲のみを指定する変形例〕
上記の実施形態においては、被検体Pの部位の範囲とともに部位名も指定するように構成されているが、常に同じ二以上の部位を指定する場合(たとえば、常に胸部と腹部とを指定する場合など)には、部位名の指定を行う必要はない。この場合、指定される部位の名称をあらかじめ記憶しておくとともに、指定された二以上の部位の範囲のそれぞれに、対応する部位名を自動的に付与するように構成することができる。このとき、たとえば寝台装置20に載置される被検体Pの向きを常に同じするようにすれば、指定された各部位の範囲と部位名とを容易に対応付けることが可能である。
また、指定された部位の範囲について、その範囲を表すz座標値に基づいて部位名を対応付けるように構成することも可能である。この場合、たとえば被検体Pの患者情報(電子カルテ等に記載されたものを参照することができる。)に含まれる身長や年齢や性別等の情報に基づいて、各部位の範囲に対応する部位名を特定するように構成できる。
〔ファイル操作について〕
上記の実施形態のコンソール10のような医用画像処理装置を用いて行うファイル操作の一例について説明する。ファイル操作は、たとえば図16に示すファイル操作画面600を表示部16に表示させて行う。
ファイル操作画面600には、DICOMにおけるファイルの階層「検査(Study)」に属するファイル(検査ファイル)のリストを表示する検査ファイル表示部610と、各検査ファイルに含まれる階層「シリーズ(Series)」に属するファイル(シリーズファイル)のリストを表示するシリーズファイル表示部620と、各シリーズファイルに含まれる階層「画像(Image)」に属するファイル(画像ファイル)のリストを表示する画像ファイル表示部630とが設けられている。
検査ファイル表示部610には、各検査ファイルの作成日時、患者ID、患者名、ファイル内の画像の枚数(つまり画像データの個数)、ファイル内のシリーズファイルの個数などが表示される。シリーズファイル表示部620には、各シリーズファイルに含まれる画像の枚数、画像再構成処理時に用いられた再構成関数の種類を示す情報、使用されたフィルタの種類を示す情報などが表示される。画像ファイル表示部630には、各画像ファイルに含まれる画像の枚数、スキャンを行った時刻、スキャンの開始位置及び終了位置のz座標値、スライス厚などが表示される。
ユーザが、検査ファイル表示部610にリスト表示された検査ファイルの一つをマウス等を用いて指定すると、この指定された検査ファイルに属するシリーズファイルのリストがシリーズファイル表示部620に表示される。
また、シリーズファイル表示部620にリスト表示されたシリーズファイルの一つをマウス等を用いて指定すると、この指定されたシリーズファイルに属する画像ファイルのリストが画像ファイル表示部630に表示される。
更に、画像ファイル表示部630にリスト表示された画像ファイルの一つをマウス等を用いて指定すると、この指定された画像ファイルに属する(複数の)画像の一つが画像表示部640に表示されるようになっている。
ファイル操作画面600には、ファイル操作に用いる各種のボタンやスクロールバー等のソフトキーが設けられている。特に、ファイル操作画面600の下端部に配列されたボタンには、画像データの転送を行うための転送(Transfer)ボタン650が含まれている。
図16においては、指定された検査ファイルに二つのシリーズファイルが含まれている。そして、指定されたシリーズファイルには、一つの画像ファイルが含まれている。この画像ファイルには1761枚の画像が保管されている。そして、この1761枚の画像のうちの一つが画像表示部640に表示されている。
図17に示すファイルF1は、当該画像ファイルに保管されている1761枚の保管態様を表している。この画像ファイルF1には、被検体Pの胸部を撮影した複数の断層画像の画像データ(胸部画像)と、腹部を撮影した複数の断層画像の画像データ(腹部画像)と、骨盤を撮影した複数の断層画像の画像データ(骨盤画像)とが格納されている。
図17の各断層画像の画像データには、「部位:胸」等で示す身体部位情報が付与されている。また、各断層画像の画像データには、画像再構成時に使用された再構成関数の種類を示す情報(「再構成関数:FC02」等)も付与されている。この付与処理は、たとえば情報付与処理部142により実行される。
ユーザは、マウス等を用いてファイル操作画面600を操作することにより、ファイルの保管態様を適宜に変更することができる。
図18のファイル操作画面600には、図16、図17とは異なるファイルの保管態様が示されている。同図のファイル操作画面600においては、指定された検査ファイルに四つのシリーズファイルが含まれている。第一番目のシリーズファイルには、一枚の画像(たとえばスキャノ像)の画像データが格納されている。第二番目のシリーズファイルには、胸部(Chest)を撮影した297枚の断層画像の画像データが格納されている。第三番目のシリーズファイルには、腹部(Abdomen)を撮影した401枚の断層画像の画像データが格納されている。第四番目のシリーズファイルには、骨盤(Pelvis)を撮影した186枚の断層画像の画像データが格納されている。
図19は、第二番目〜第四番目のシリーズファイルの保管態様を表している。すなわち、図19に示すファイルF2は、図18の検査ファイル表示部610にて指定された検査ファイルであり、ファイルF21は第二番目のシリーズファイルを、ファイルF22は第三番目のシリーズファイルを、ファイルF23は第四番目のシリーズファイルを、それぞれ示している。各断層画像の画像データには、図17の場合と同様に、身体部位情報と、再構成関数の種類を示す情報とが付与されている。
〔データの転送、メディアへの記録について〕
断層画像の画像データ等の転送処理及びメディアへの記録処理について説明する。データの転送処理や記録処理は、一般に、上述したようなファイル処理の後に実施される。ここでは、図18、図19に示したデータの保管態様における処理を説明する。
上記の実施形態においては、ワークステーション40A、40Bからの要求に応じて、断層画像の画像データ等をワークステーション40A、40Bに送信する場合を説明したが、ここでは、コンソール10側において送信先を決定してデータを転送する構成について説明する。
図20に示す医用画像処理システム1’は、この変形例に係る医用画像処理システムの一例を表している。なお、寝台装置20及びガントリ30については図示を省略した。また、コンソール10′は、たとえば前述の実施形態と同様の前処理部、再構成部及び情報処理部を有しているが、これらの図示は省略した。
コンソール10′には、3つのワークステーション40A、40B、40Cがネットワーク経由で接続されている。前述の実施形態と同様に、ワークステーション40Aは、胸部画像用ワークステーションであり、ワークステーション40Bは、腹部画像用ワークステーションである。また、ワークステーション40Cは、骨盤の状態の読影等に供される骨盤画像用ワークステーションである。
図20の医用画像処理システム1’のコンソール10′は、複数(ここでは二つ)の情報記録部18A、18Bを備えている。各情報記録部18A、18Bは、前述の実施形態の情報記録部18と同様の構成を有する。また、情報記録部18A、18Bは、それぞれ異なる種類のメディアに対してデータを書き込むものであってもよいし、同じメディアに対してデータを書き込むものであってもよい。
制御部11のハードディスクドライブ等の記憶装置には、図21に示すようなデータ送信先/保存先情報50があらかじめ記憶されている。このデータ送信先/保存先情報50には、胸部画像用ワークステーション40Aの識別情報「ChestWS」と、腹部画像用ワークステーション40Bの識別情報「AbdoWS」と、骨盤画像用ワークステーション40Cの識別情報「PelvWS」とが記録されている。更に、各ワークステーション40A、40B、40Cの識別情報には、対応する身体部位「胸部」、「腹部」、「骨盤」が関連付けられている。
また、データ送信先/保存先情報50には、情報記録部18Aの識別情報「ドライブA」と、情報記録部18Bの識別情報「ドライブB」とが記録されている。そして、各識別情報「ドライブA」、「ドライブB」には、各情報記録部18A、18Bによってメディアに記録される断層画像の画像データ等の身体部位が関連付けられている。なお、図21の識別情報「ドライブA」に関連付けられた身体部位を示す「*」は、全ての身体部位の断層画像の画像データ等をメディアに記録することを表すものとする。
まず、ワークステーション40A〜40Cに対するデータ転送処理について説明する。なお、断層画像の画像データ(及び生データ)を分類するまでの処理は、前述の実施形態と同様である。ここでは、図18、図19に示すように、胸部、腹部、骨盤を撮影した断層画像の画像データは、それぞれ、シリーズファイルF21、F22、F23に格納されている。
転送ボタン650をクリックすると、図22に示すような転送操作画面660がポップアップ表示される。ユーザは、この転送操作画面660を用いて、ワークステーション40A〜40Cのうちから、データを転送するワークステーションを選択的に指定する。ここでは、3つのワークステーション40A〜40Cの全てが指定されたものとする。
データを転送する3つのワークステーション40A〜40Cが指定されたことを受けて、制御部11(のマイクロプロセッサ)は、データ送信先/保存先情報50を参照し、シリーズファイルF21に格納された胸部を撮影した断層画像の画像データの送信先の識別情報「ChestWS」を取得し、シリーズファイルF22に格納された腹部を撮影した断層画像の画像データの送信先の識別情報「AbdoWS」を取得し、シリーズファイルF23に格納された骨盤を撮影した断層画像の画像データの送信先の識別情報「PelvWS」を取得する。
制御部11は、通信部19を制御して、シリーズファイルF21に格納された断層画像の画像データを、識別情報「ChestWS」に対応するワークステーション40Aに向けて送信させる。同様に、シリーズファイルF22に格納された断層画像の画像データを、識別情報「AbdomWS」に対応するワークステーション40Bに向けて送信させるとともに、シリーズファイルF23に格納された断層画像の画像データを、識別情報「PelvWS」に対応するワークステーション40Cに向けて送信させる。
各ワークステーション40A〜40Cは、コンソール10′から送信された画像データを受信して、ハードディスクドライブ等の記憶装置に保管する。この画像データは、各ワークステーション40A〜40Cのユーザによって適宜に読み出されて読影等に供される。
このようなデータ転送処理によれば、特定の用途に供されるワークステーションに対し、その用途に応じた断層画像の画像データや生データのみを選択的に送信することが可能となり、転送処理に係る時間を短縮できるとともに、ワークステーションのハードディスクドライブ等の記憶装置の記憶領域を無駄に消費することがない。
すなわち、従来においては、各ワークステーション40A〜40Cに対し、胸部、腹部及び骨盤の全ての断層画像の画像データを送信していたため転送処理に長時間を要していた上、各ワークステーション40A〜40Cの記憶装置に全ての身体部位の断層画像の画像データを記憶していたために大きな記憶領域が必要であったが、この変形例によれば、これらの問題は解消される。
また、ワークステーション40A〜40Cのユーザは、従来、全ての身体部位の断層画像から所望の部位の画像を探す必要があったが、この変形例によれば、各ワークステーション40A〜40Cを用いた読影等に供される画像の画像データのみが選択的に転送されるので、従来のような手間が不要となる。
次に、メディアへの記録処理について説明する。制御部11は、データ送信先/保存先情報50を参照し、シリーズファイルF21に格納された胸部を撮影した断層画像の画像データをメディアに記録する情報記録部18A、18Bの識別情報「ドライブA」、「ドライブB」を取得し、シリーズファイルF22に格納された腹部を撮影した断層画像の画像データをメディアに記録する情報記録部18Aの識別情報「ドライブA」を取得し、シリーズファイルF23に格納された骨盤を撮影した断層画像の画像データをメディアに記録する情報記録部18Aの識別情報「ドライブA」を取得する。
そして、制御部11は、識別情報の取得結果に基づいて、シリーズファイルF21、F22、F23に格納された画像データを情報記録部18Aに送るとともに、シリーズファイルF21に格納された画像データを情報記録部18Bに送る。各情報記録部18A、18Bは、制御部11から受けた画像データをそれぞれメディアに記録する。
このようなデータ記録処理によれば、情報記録部が複数設けられている場合であっても、所望の身体部位の画像の画像データを所望の情報記録部にてメディアに記録することが可能である。
なお、情報記録部は、コンソール10′に設けられている必要はなく、LAN等のネットワークを介してコンソール10′に接続されていてもよい(前述の実施形態においても同様)。その場合、情報記録部のネットワークアドレス等の識別情報がデータ送信先/保存先情報50に記録されることになる。制御部11は、通信部19を制御して、所定の身体部位の画像の画像データを、ネットワークアドレス等の識別情報を参照して情報記録部に送信するように動作する。
〔情報指定処理について〕
次に、被検体Pの部位の範囲や部位名を指定する処理の変形例を説明する。上記の実施形態においては、身体部位指定部23a〜23dや、身体部位指定部512a〜512cのそれぞれを用いて、部位の範囲と部位名とを指定するようになっている。この変形例は、この処理の一部を自動化するものである。
まず、寝台装置20の身体部位指定部23a〜23dを用いて情報を指定する場合について説明する。この変形例は、身体部位指定部23a〜23dのうちの一つの部位名が指定されたことに対応し、他の身体部位指定部23a〜23dの部位名を自動的に指定するように作用するものである。
たとえば身体部位指定部23aの部位名呈示部233に「頭」が呈示された場合、頭部の足部方向に隣接する身体部位は胸部であるので、身体部位指定部23bの部位名呈示部233に「胸」を自動的に呈示させる。同様に、身体部位指定部23cの部位名呈示部233に「腹」を呈示させ、身体部位指定部23dの部位名呈示部233に「骨盤」を呈示させる。
この自動呈示処理は、たとえばコンソール10の制御部11が実行する。その場合、制御部11のハードディスクドライブ等の記憶装置には、身体部位の配列(たとえば、頭部→胸部→腹部→骨盤→足部)を定義する情報(身体部位配列情報)があらかじめ記憶される。
或る身体部位指定部23a〜23dの一つにより部位名が指定されると、この身体部位指定部23a〜23dからコンソール10に、指定された部位名が送信される。制御部11のマイクロプロセッサは、この指定された部位名と身体部位配列情報とに基づいて、他の身体部位指定部23a〜23dのそれぞれに呈示させる身体部位を特定し、その特定結果を当該他の身体部位指定部23a〜23dに送信する。当該他の身体部位指定部23a〜23dは、それぞれ、特定された身体部位の名称を部位名呈示部233に呈示させる。
次に、コンソール10の表示部16に表示される情報指定画面500を用いて情報を指定する場合について説明する。この場合においても、制御部11の記憶装置には、上述の身体部位配列情報があらかじめ記憶されている。制御部11は、情報指定画面500の身体部位指定部512a〜512cの一つにより部位名が指定されると、この指定された部位名と身体部位配列情報とに基づいて、他の身体部位指定部512a〜512cのそれぞれに呈示させる身体部位を特定する。そして、当該他の身体部位指定部512a〜512cのそれぞれに、特定された身体部位の名称を表示させる。
この変形例によれば、身体部位の名称を指定する手間が軽減されるとともに、情報の指定に掛かる時間の短縮を図ることができる。