JP4860025B2 - 高純度カチオン系重合体の製造方法 - Google Patents

高純度カチオン系重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4860025B2
JP4860025B2 JP2000037015A JP2000037015A JP4860025B2 JP 4860025 B2 JP4860025 B2 JP 4860025B2 JP 2000037015 A JP2000037015 A JP 2000037015A JP 2000037015 A JP2000037015 A JP 2000037015A JP 4860025 B2 JP4860025 B2 JP 4860025B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization initiator
acid
radical polymerization
azobis
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000037015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001226421A (ja
Inventor
加藤  正
忠雄 遠藤
郁夫 林
哲也 宇留賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Boseki Co Ltd
Original Assignee
Nitto Boseki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Boseki Co Ltd filed Critical Nitto Boseki Co Ltd
Priority to JP2000037015A priority Critical patent/JP4860025B2/ja
Publication of JP2001226421A publication Critical patent/JP2001226421A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4860025B2 publication Critical patent/JP4860025B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高純度カチオン系重合体の製造方法、さらに詳しくは、高純度で保存安定性に優れるカチオン系重合体を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カチオン系重合体は水溶性であって、様々な分野において幅広く用いられている。例えば凝集剤や汚泥脱水剤を始め、接着剤、製紙用薬剤、帯電防止剤、塗料、アンカーコート剤、染料固着剤、インクジェット式印刷用薬剤などに利用されている。
その製造方法としては、例えばカチオン系重合体の1種であるポリジメチルアリルアミンを製造する場合、通常水媒体中において、重合開始剤として2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジンの無機酸塩または有機酸塩を用い、ジメチルアリルアミン付加塩を重合させる方法が用いられている。
【0003】
しかしながら、上記のような重合開始剤を用いた場合、反応終了後の重合体水溶液中には、該重合開始剤の分解物が不純物として残存する。このような不純物を含む重合体を原料とし、各種の機能性材料を製造する場合、該機能性材料の性能を低下させる要因となるため、上記不純物をできる限り除去した高純度の重合体が要求される。
【0004】
このような重合開始剤の分解に由来する不純物を除去する方法としては、従来、該不純物を結晶として析出させたのち、ろ過して除去する方法が知られている。しかしながら、この方法においては、重合体溶液から、不純物を短時間で完全若しくはそれに近い状態まで析出させることは困難であって、不純物の析出とろ過の繰り返しが必要となるため、操作の長期化および煩雑化を免れないという欠点がある。
【0005】
また、別の方法として、重合反応液中の重合体のみを沈殿させる再沈殿溶媒を用いて重合体を沈殿させ、溶媒中に溶解している重合開始剤の分解に由来する不純物を分離する方法も知られているが、この方法においては、溶媒の再回収や沈殿のろ過などの操作が煩雑となる上、多大の運転経費を要するなどの欠点がある。
【0006】
一方近年、重合体の精製にイオン交換膜による電気透析法が有効であることが判り実用化されているが、重合開始剤の分解が不完全で数種類の不純物が存在する場合においては、操作に長時間が必要となる上、イオン交換膜の耐久性を大きく低下させるという問題が生じる。
さらに、不純物を結晶化法や電気透析法により除去した重合体を長期間保存しておくと、残存する不純物が結晶化し、析出するという好ましくない事態を招来する。そのため、出荷時に改めてろ過などの精製処理が必要となり、生産性や経済性を低下させる要因となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
カチオン系重合体は水溶性であって、前述のように様々な用途に用いられており、該カチオン系重合体を含む水溶液から、水不溶性の不純物が生成してくることは、該カチオン系重合体を用いた製品の品質を低下させると共に、その使用に際して、種々のトラブルを引き起こす要因となる。したがって、重合反応終了後の重合体水溶液から、重合体の所望性状を損なうことなく、重合開始剤および/またはその由来の変性物(不純物)を低コストで効率よく除去することは、工業的に極めて重要なことである。
【0008】
本発明は、このような事情のもとで、カチオン系重合体の重合反応液から、重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物を、重合体の所望性状を損なうことなく、簡単な操作で効率よく除去し、長期間保存しても不純物の結晶析出が起こることのない高純度のカチオン系重合体を製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水系溶媒中において、2,2′−アゾビス−2−アルキルプロピオンアミジン付加塩などのアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤の存在下にカチオン系単量体を重合させて得られた重合反応液に、酸処理やアルカリ処理などを施すことにより、その中に含まれるラジカル重合開始剤および/またはそれ由来の変性物をサクシンイミド誘導体に容易に変換しうること、そしてこの変換されたサクシンイミド誘導体を除去することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、水系溶媒中において、一般式(I)
【0011】
【化2】
Figure 0004860025
【0012】
(式中、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤の存在下、カチオン系単量体を重合させたのち、反応液中の上記ラジカル重合開始剤および/またはそれ由来の変性物をサクシンイミド誘導体に変換し、次いでそれを除去することを特徴とする高純度カチオン系重合体の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の高純度カチオン系重合体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と略称することがある。)においては、水系溶媒中において、アゾ系ラジカル重合開始剤を用い、カチオン系単量体を重合させる。
【0014】
ここで、水系溶媒としては、例えば水を始め、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸などの無機酸またはその水溶液、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸またはその水溶液、アルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、さらには塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機酸塩の水溶液などが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、アゾ系ラジカル重合開始剤としては、本発明においては、一般式(I)
【0015】
【化3】
Figure 0004860025
【0016】
で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩が用いられる。
【0017】
上記一般式(I)におけるR1およびR2はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基を示す。R1およびR2は、たがいに同一でも異なっていてもよい。
【0018】
この一般式(I)表されるアゾビス(アミジノアルカン)の具体例としては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)(別名2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノブタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノペンタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−3−メチルブタン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノペンタン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノヘキサン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノ−4−メチルペンタン)、4,4′−アゾビス(4−アミジノヘプタン)などが挙げられる。本発明においては、ラジカル重合開始剤として、これらの化合物の付加塩が用いられるが、特に2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン付加塩が好適である。
【0019】
付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、アルキル硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩などの無機酸付加塩または有機酸付加塩を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、上記アゾビス(アミジノアルカン)付加塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明の製造方法において用いられるカチオン系単量体としては、特に制限はなく、水系溶媒中において、前記一般式(I)で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤の存在下に重合しうる化合物であればよく、特に制限はない。このようなカチオン系単量体としては、例えば、モノアリルアミン、N−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−シクロヘキシルアリルアミン、N,N−(メチル)シクロヘキシルアリルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアリルアミン、ジアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−ベンジルジアリルアミンなどのアリルアミン類の付加塩、さらには塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、ヨウ化ジアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、臭化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、ヨウ化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアリルジベンジルアンモニウム、臭化ジアリルジベンジルアンモニウム、ヨウ化ジアリルジベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジベンジルアンモニウムなどのジアリルアミンの四級アンモニウム塩などが挙げられる。上記付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。これらのカチオン系単量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
重合に際して、前記のカチオン系単量体の付加塩は、単離された結晶の形で使用されるのが普通であるが、上記の単量体またはその水溶液と酸とを混合させて、仕込み系中でその付加塩を生成させてもよい。言うまでもなく、酸の水溶液を重合媒体として使用する場合には、所定量のカチオン系単量体と酸の水溶液とを混合し、そのまま重合させることができる。
【0022】
重合反応における前記ラジカル重合開始剤の添加量は、使用するカチオン系単量体の種類により異なるが、通常カチオン系単量体に対して、0.1〜100モル%の範囲で選ばれる。この量が0.1モル%未満では重合体の重合率が低く、実用的でないし、100モル%を超えると所望の分子量の重合体が得られにくい上、経済的に不利となる。好ましい添加量は0.2〜100モル%の範囲であり、より好ましくは0.7〜50モル%、さらに好ましくは1〜40モル%の範囲である。このラジカル重合開始剤は、時間をおいて、複数回に分けて添加してもよい。
【0023】
重合温度は、使用するカチオン系単量体の種類や水系溶媒の種類などにより異なるが、通常50℃〜還流温度、好ましくは60〜100℃の範囲である。また、重合時間は、使用するカチオン系単量体の種類、重合温度、ラジカル重合開始剤の量などに左右され、一概に定めることはできないが、通常200時間以内で十分である。
カチオン系単量体の濃度は、その溶解度の範囲で高いほうが望ましいが、通常30重量%以上、好ましくは50〜90重量%である。
【0024】
本発明の製造方法においては、このようにして得られた重合反応終了後のカチオン系重合体水系溶液中に存在するラジカル重合開始剤および/またはその由来の変性物を、一般式(II)
【0025】
【化4】
Figure 0004860025
【0026】
(式中、R1およびR2は前記と同じである。)
で表されるサクシンイミド誘導体に変換する。
【0027】
この場合、変換方法としては、酸処理またはアルカリ処理方法が好ましく用いられる。
上記酸処理においては、酸として、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸を好ましく用いることができるが、これらの中で、特に塩酸が好適である。
【0028】
この酸の使用量は、多いほど処理に要する時間を短縮することができ、重合に使用したラジカル重合開始剤に対し、0.05当量以上が好ましく、特に0.05〜3当量の範囲が好適である。この量が0.05当量未満では処理に長時間を要し、実用上好ましくないし、一方3当量を超えると量の割には処理効果の向上はあまり認められず、むしろ後工程での中和に多量のアルカリ剤を必要とし、経済的に不利となり、好ましくない。
【0029】
処理温度は高いほど処理に要する時間が短くなるが、重合体の品質などを考慮すると、通常30℃〜還流温度、好ましくは40〜80℃の範囲で選定される。処理時間は、酸の使用量および処理温度に左右され、一概に定めることはできないが、通常1〜30時間程度である。
【0030】
処理前の重合体水系溶液中には、ラジカル重合開始剤および/またはその分解に由来する複数の変性物が存在していることが、高速液体クロマトグラフィー分析により確認されるが、この処理により、ラジカル重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物のほとんどが、実質上前記一般式(II)で表されるサクシンイミド誘導体に変換される。なお、この酸処理により、カチオン系重合体の所望性状が損なわれることはない。
【0031】
一方、アルカリ処理においては、アルカリとして、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが好ましく用いられる。このアルカリの使用量は、カチオン系重合体の付加塩を中和するのに必要な量と、それに加えて、前記酸処理の場合と同様に、重合に使用したラジカル重合開始剤に対して0.05当量以上、好ましくは0.05〜3当量の範囲の量が適当である。また、処理温度も、酸処理の場合と同様に、通常30℃〜還流温度、好ましくは40〜80℃の範囲で選定される。処理時間は、アルカリの使用量および処理温度に左右され、一概に定めることはできないが、通常1〜30時間程度である。
【0032】
このアルカリ処理においても、酸処理の場合と同様に、ラジカル重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物のほとんどが、実質上前記一般式(II)で表されるサクシンイミド誘導体に変換される。このアルカリ処理と前記酸処理を比較した場合、得られる重合体の性状の点から、酸処理の方が好ましい。
【0033】
このように酸処理またはアルカリ処理を施すことにより、生成したサクシンイミド誘導体は、処理された重合体水系溶液を冷却することにより、結晶化して析出するので、この析出物は常法に従ってろ過などの手段により固液分離することにより、除去することができる。また、析出せずに溶存しているサクシンイミド誘導体は、例えばイオン交換膜電気透析に付すことにより、除去することができる。このイオン交換膜電気透析に付す場合、カチオン系重合体水系溶液は中性であるのが好ましいので、酸処理が施された重合体水系溶液はアルカリにより中和したのち、またアルカリ処理が施された重合体水系溶液は酸により中和したのち、イオン交換膜電気透析に付すのが有利である。
【0034】
カチオン系重合体の付加塩を所望する場合は、このようにして精製され遊離のカチオン系重合体を、所望の付加塩を構成する酸で処理すればよい。
このようにして、高純度のカチオン系重合体またはその付加塩が容易に得られる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0036】
実施例1
2リットルセパラブルフラスコに、35重量%塩酸1100gを仕込み、これに氷冷下でジメチルアリルアミン852g(10モル)を滴下した。1晩撹拌したのち、真空ポンプで減圧し、60℃で水および過剰の塩化水素を留去することにより得られたジメチルアリルアミン塩酸塩に蒸留水を加え、60重量%濃度の水溶液を調製した。
【0037】
次いで、上記水溶液を60〜65℃に加熱し、撹拌しながら、ラジカル重合開始剤として2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩339g(1.25モル)を5回に分けて添加した。全てのラジカル重合開始剤を添加したのち、65〜70℃に昇温し、160時間撹拌を続け、重合反応を行うことにより、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平均分子量850のポリジメチルアリルアミン塩酸塩60重量%を含む水溶液が得られた。なお、重量平均分子量は遊離の重合体についての値である。
【0038】
このポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液中に存在する2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩に由来する変性物を、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムによる高速液体クロマトグラフィーによって測定したところ、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩の使用量に対するテトラメチルサクシンイミドの含有量は、27モル%であった。
【0039】
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管を備えた2リットルセパラブルフラスコに、前記の60重量%ポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液1000g(5モル)を仕込み、温浴で80℃に加熱しながら、濃塩酸156g(1.5モル)を滴下し、撹拌を行った。前述の高速液体クロマトグラフィーによって、ラジカル重合開始剤の分解に由来する変性物を測定し、全てテトラメチルサクシンイミドに変換するまで撹拌を続けたところ、20時間で終了した。この際、ポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液中に存在するテトラメチルサクシンイミドは、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩の使用量に対して85モル%であった。
【0040】
このように酸処理を施したポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液は、室温まで放冷すると、テトラメチルサクシンイミドが結晶化して析出するので、一夜放置後ガラスフィルターにより吸引ろ過した。ここで、溶存するテトラメチルサクシンイミドは、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩の使用量に対して14モル%であった。なお、ろ液の少量を室温で1ケ月間放置しても新たな結晶の析出は認められなかった。すなわち、重合終了後のカチオン重合体水溶液中に含まれるラジカル重合開始剤および/またはそれ由来の変性物をテトラメチルサクシンイミドに変換処理し、次いで該テトラメチルサクシンイミドを除去すると、得られるカチオン系重合体水溶液からは、水不溶物が生成しにくいことが判明した。
【0041】
一方、テトラメチルサクシンイミドを除去したポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液に、水冷下で少過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して中和することにより、ポリジメチルアリルアミン水溶液が得られた。
【0042】
次に、ポリジメチルアリルアミン水溶液を、イオン交換膜電気透析に付し、該水溶液中に残存しているテトラメチルサクシンイミドを除去することにより、高純度ポリジメチルアリルアミン水溶液が得られた。最終的に残存するテトラメチルサクシンイミドの量は、使用した2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩に対して、2.8×10-3モル%であった。また、ラジカル重合開始剤に由来するその他の変性物は検出されなかった。さらに、ポリジメチルアリルアミンの重量平均分子量は850であり、処理前とほとんど変化がなかった。なお、このポリジメチルアリルアミン水溶液を室温で1ケ月放置したが、水不溶物は生成しなかった。
処理条件および結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1において、テトラメチルサクシンイミド変換のための酸処理の代わりに、アルカリ処理を行った
このアルカリ処理は、濃塩酸の代わりに、50重量%水酸化ナトリウム水溶液を、ポリジメチルアリルアミン塩酸塩を中和するのに必要な量と、さらに1.5モル添加した以外は、実施例1と同様にして行った。
その結果、重合体の重量平均分子量が、処理前の850から処理後は950に増加した以外は、良好であった。
処理条件および結果を表1に示す。
【0044】
比較例
実施例1と同様にして重合反応を行い、GPC法による重量平均分子量850のポリジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液を得た。なお、重量平均分子量は、遊離の重合体についての値である。この水溶液には、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩の使用量に対して27モル%のテトラメチルサクシンイミドが存在していた。
実施例1のような酸処理を施さずに、上記水溶液を冷却し、析出した結晶をろ別した。なお、ろ液の一部を採り、1ケ月間放置したところ、結晶の析出が認められた。
【0045】
ろ別終了後、ただちにろ液を実施例1のように、水酸化ナトリウム水溶液で中和したのち、イオン交換膜電気透析に付して精製処理した。その結果、最終的に残存するテトラメチルサクシンイミドの量は、使用した2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン・二塩酸塩に対して8.3モル%であった。なお、得られたポリジメチルアリルアミンの分子量は850であった。
処理条件および結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004860025
【0047】
(注)
1)TMSIに変換のためのHClは35重量%の濃塩酸を、NaOHは50重量%の水溶液を使用した。
2)処理に用いた試薬の量およびTMSI量は、使用したラジカル重合開始剤に対する値である。
3)TMSI:テトラメチルサクシンイミド
4)重量平均分子量:GPC法による値である。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、カチオン系単量体を重合して得られるカチオン系重合体水系溶液に酸またはアルカリを添加し加熱処理を施すことによって、ラジカル重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物の除去が容易となり、極めて高純度なカチオン系重合体を得ることができる。これにより、従来法で得られた重合体のように、長期間の保存によって不純物の結晶が析出するという問題点も解消でき、重合体の長期保存性も大きく改善される。また、特に酸処理においては、カチオン系重合体の所望性状がほとんど損なわれることがない。

Claims (4)

  1. 水系溶媒中において、一般式(I)
    Figure 0004860025
    (式中、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤の存在下、カチオン系単量体を重合させたのち、反応液中の上記ラジカル重合開始剤および/またはそれ由来の変性物を酸処理によりサクシンイミド誘導体に変換し、次いでそれを除去することを特徴とする高純度カチオン系重合体の製造方法。
  2. ラジカル重合開始剤が2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン付加塩である請求項1に記載の方法。
  3. 反応液の酸処理を、ラジカル重合開始剤に対し、0.05当量以上の酸を添加し、30℃〜還流温度で加熱することにより行う請求項またはに記載の方法。
  4. 反応液の酸処理を、ラジカル重合開始剤に対して0.05〜3当量の酸を添加し、40〜80℃の温度で加熱することにより行う請求項に記載の方法。
JP2000037015A 2000-02-15 2000-02-15 高純度カチオン系重合体の製造方法 Expired - Lifetime JP4860025B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000037015A JP4860025B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 高純度カチオン系重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000037015A JP4860025B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 高純度カチオン系重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001226421A JP2001226421A (ja) 2001-08-21
JP4860025B2 true JP4860025B2 (ja) 2012-01-25

Family

ID=18560971

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000037015A Expired - Lifetime JP4860025B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 高純度カチオン系重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4860025B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5228690B2 (ja) * 2008-08-12 2013-07-03 日東紡績株式会社 高純度カチオン系重合体の製造方法
JP7510595B2 (ja) * 2020-03-30 2024-07-04 日東紡績株式会社 高純度カチオン系重合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001226421A (ja) 2001-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4151202A (en) Preparation of diallyl dimethyl ammonium chloride and polydiallyl dimethyl ammonium chloride
US5401808A (en) Poly(vinylammonium formate) and process for making amidine-containing polymers
JP4860025B2 (ja) 高純度カチオン系重合体の製造方法
JP4345182B2 (ja) 高純度のカチオン系重合体の製造方法
JP2812792B2 (ja) 色彩的に改善された純粋なグアニンの製造方法
JP3455994B2 (ja) 粉末状ポリビニルアミンの製造方法
US4684718A (en) Process for the preparation of diazocyano acids by reacting keto-acids with cyanogen compounds
JP5228690B2 (ja) 高純度カチオン系重合体の製造方法
JP4737788B2 (ja) ポリビニルアミン塩とその用途
JP7510595B2 (ja) 高純度カチオン系重合体の製造方法
JPH0495053A (ja) 不飽和第4級アンモニウム塩水溶液の製造方法
JP3945833B2 (ja) N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの製造方法
JP3365430B2 (ja) N−ビニルホルムアミド重合体の製造方法
JPH0427243B2 (ja)
JP3945834B2 (ja) 高純度n−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの製造方法
JPH0597782A (ja) 塩酸ベバントロールの製造方法
JPH06298836A (ja) 改良された純度を持つアミン官能性ポリマーの製造
JPH09278721A (ja) ジアリルジアルキルアンモニウム化合物の処理方法
JP2697093B2 (ja) ジアルキルアミノアルキルアクリレートの中和塩の製造法
EP1250320A1 (en) Novel process for the preparation of alpha-(2-4-disulfophenyl)-n-tert-butylnitrone and pharmaceutically acceptable salts thereof
JP4375943B2 (ja) 粉末n−長鎖アシルイミノ二塩基酸塩の製造方法
CA1261100A (en) Process for producing poly(allylamine) derivatives
JPH10218936A (ja) 新規高分子化合物およびその製造方法
JPH03135945A (ja) 第四級アンモニウム塩の製造方法
JP2000264887A (ja) グリコールウリルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080611

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080922

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081021

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090204

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4860025

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141111

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term