JP4856184B2 - オリゴペプチドアミドからオリゴペプチドアルキルエステルへの酵素転化 - Google Patents

オリゴペプチドアミドからオリゴペプチドアルキルエステルへの酵素転化 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルの調製方法に関する。また本発明は、オリゴペプチドの調製方法にも関する。
オリゴペプチドは、例えば、医薬品、食品または飼料成分もしくは農薬として多くの用途を有する。
本発明のために、ペプチドは2つ以上のアミノ酸の鎖を意味する。本発明のために、オリゴペプチドは2〜100のアミノ酸の直鎖を意味する。
酵素カップリング反応によってペプチド結合が形成されるオリゴペプチド合成として本発明のために定義される酵素オリゴペプチド合成は、化学的なオリゴペプチド合成よりも優れたいくつかの利点を有する。例えば、アミノ酸側鎖の保護が全くまたは少ししか必要とされないという事実のために大規模製造の場合の費用−価格が低い。また、追加の活性化剤が必要とされず、そしてより少量の有機溶媒が必要とされるので、該方法は環境にあまり悪くない。さらに、酵素触媒されたカップリングはラセミ化が起こらず(「ペプチド:化学および生物学」、第1版再版、ウィリー−VCH出版社(Wiley−VCH Verlag GmbH)、ワインハイム 2002年、4.6.2セクション、250頁において、N.セワルド(Sewald)およびH.−D.ヤクブケ(Jakubke)による)、より純粋な生成物および/またはより簡単な単離が導かれる。
酵素カップリング法に関して、ペプチド結合を生じるために2つの選択肢がある。いわゆる熱力学的な(または平衡制御された)アプローチでは、カルボキシ成分は遊離カルボン酸官能性を有するが、動力学的に制御されたアプローチでは、好ましくはアルキルエステルの形態、例えばメチルエステルの形態の活性化されたカルボキシ成分が使用される。熱力学的アプローチは、i)通常、ペプチド結合の切断側に平衡があるのでカップリングの歩留まりが低い、ii)通常、大量の酵素が必要とされる、iii)通常、反応速度が非常に遅いという3つの主な不都合を有する。動力学的に制御されたアプローチでは、出発材料としてアルキルエステルが必要とされるが、遥かに少ない酵素が必要とされ、反応時間が著しく短く、そして何よりも、得られる最大歩留まりが通常かなり高い。従って、産業用途のためには、動力学的アプローチに基づく酵素オリゴペプチド合成の概念、すなわち活性化されたカルボキシ成分用いることが、最も魅力的である(「ペプチド:化学および生物学」、第1版再版、ウィリー−VCH出版社、ワインハイム 2002年、4.6.2セクションにおいて、N.セワルド(Sewald)およびH.−D.ヤクブケ(Jakubke)による)。
酵素ペプチド結合合成は、C→N末端方向またはN→C末端方向に実施することができる。
C→N末端方向の酵素オリゴペプチド合成の一例は、スキーム1において提供される。スキーム1はトリペプチドを得るための一例として使用され、決して本発明を制限することは意図されない。
Figure 0004856184
スキーム1において、PはN−末端保護基を表す。R、RおよびRはアミノ酸側鎖を表す。スキーム1によって示されるように、C→N末端方向の酵素合成は、式IIのC−保護されたアミノ酸の式IaのN−保護されたアミノ酸への酵素カップリングから開始され、後者は、この場合にはメチルエステルによってC−活性化されている。形成された式IIIのジペプチドは次にN−脱保護され、そして得られた式IVの遊離アミノ官能基を有するジペプチドは、次に、式Ibの別のN−保護された(そしてC−活性化された)アミノ酸構成要素へ酵素的にカップリングされて、式Vのトリペプチドの形成がもたらされ得る。このN−脱保護およびカップリングサイクルは、所望のオリゴペプチド配列が得られるまで繰り返すことができ、その後N−およびC−保護基が除去されて、所望の(無保護の)オリゴペプチドが得られる。また、式IaのN−保護されたアミノ酸を、式IIのC−末端保護されたアミノ酸の代わりにC−末端保護されたオリゴペプチドとカップリングさせることも可能である。
C→N方向のオリゴペプチドの合成の主な欠点は、各サイクルの後にN−保護基が除去されて、さらなるN−保護アミノ酸残基の付加が可能になることである。アミノ酸(エステル)における(高価な)N−保護基の導入と、ペプチドカップリング後のこの同じ(高価な)N−保護基の除去および(通常は)廃棄とによって、C→N方向のオリゴペプチドの合成は、実用的および経済的な観点から魅力的でないとされる。
N→C末端方向の酵素オリゴペプチド合成の一例は、スキーム2において提供される。スキーム2はトリペプチドを得るための一例として使用され、決して本発明を制限することは意図されない。
Figure 0004856184
スキーム2において、PはN−末端保護基を表す。R、RおよびRはアミノ酸側鎖を表す。スキーム2に示されるように、N→C末端方向の酵素合成も、式IIaのC−保護されたアミノ酸と式IのN−保護されたアミノ酸との酵素カップリングから開始され、後者の化合物は、この場合にはメチルエステルによってC−活性化されている。形成された式IIIのジペプチドは次にC−脱保護され得る。得られた式VIの遊離カルボン酸官能基を有するジペプチドは、次に、「再活性化」されて、式VIIのN−保護されたオリゴペプチドアルキルエステル(スキーム2の場合には、メチルエステル)が形成される。このエステル化は通常、アルコール(例えば、メタノール)および硫酸または塩化チオニルなどの試薬を用いる化学変化によって実行される。続いて、式VIIのN−保護されたオリゴペプチドアルキルエステルは、式IIbの別のC−保護アミノ酸とカップリングされて、式VIIIのトリペプチドの形成がもたらされ得る。このC−脱保護およびカップリングサイクルは、所望のアミノ酸配列が得られるまで繰り返すことができ、その後N−およびC−保護基が除去されて、所望の(無保護の)オリゴペプチドが得られる。また、式IのN−保護されたアミノ酸を、式IIaのC−末端保護されたアミノ酸の代わりにC−末端保護されたオリゴペプチドとカップリングさせることも可能である。
N→C方向のオリゴペプチドの合成は、(高価な)N−保護基の繰り返される付加および除去を必要としない。しかしながら、さらなるアミノ酸残基の付加を可能にするために2つの反応ステップが必要であり、C−末端部は脱保護される必要があり、その後、例えば、形成されたカルボン酸基のエステル化によって活性化されなければならない。従って、N→C方向のオリゴペプチド合成の場合、N−保護されたオリゴペプチドに1つのアミノ酸残基を付加するために全部で3つの反応ステップ(脱保護、活性化およびカップリング)が必要とされる。
N→C方向のオリゴペプチドの合成のために適切なC−保護基は当業者に知られている。適切なC−保護基の一例としてはtert−ブチルがあり、これは、例えば、強酸性の非水性条件(例えば、トリフルオロ酢酸による)を用いて切断することができる。C−末端保護基(スキーム2では、X=NH)としてカルボキシアミドを使用することは有利である。保護基としてカルボキシアミドを用いると、式IIaのアミノ酸構成要素は、例えば、アミノ酸のメチルエステル化の後、アンモニアによるアミド化を1ポット法で行うことによって調製することができ、この調製は簡単で費用効果的である。強鉱酸の水溶液を用いる従来の手段によるカルボキシアミドの切断は、ペプチド結合の同時的な部分切断を引き起こす。しかしながら、ペプチド結合を切断することなくオリゴペプチドのカルボキシアミド保護されたC−末端部の選択的な脱保護を酵素的に行うことができる。EP0456138号明細書およびEP0759066号明細書は、それぞれ、オレンジのフラベド(「PAF」と呼ばれる)から、またはキサントモナス(Xanthomonas)(ステノトロホモナス(Stenotrophomonas))マルトフィリア(maltophilia)(「PAM」と呼ばれる)からのペプチドアミダーゼを用いる酵素的な方法を開示しており、N−(無)保護ジペプチドC−末端カルボキシアミドのカルボキシアミド基が加水分解されて、対応するC−末端カルボン酸が形成され、これによりジペプチドのペプチド結合はそのまま残される。
しかしながら、EP0456138号明細書およびEP0759066号明細書に記載されるような方法の不都合は、アミノ酸によるオリゴペプチド鎖のさらなる伸長ごとに、形成された対応するカルボン酸の別個のエステル化(カルボン酸基を活性化するため)が必要とされることである。もう1つの不都合は、硫酸または塩化チオニルなどの試薬を用いるカルボン酸のこのエステル化は本質的に非水性条件を必要とするが、C−末端カルボキシアミドの酵素脱保護反応は水溶液中で実施されることである。従って、多大な抽出および乾燥操作が必要とされる。
従って、本発明の目的は、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのカルボキシアミド基をアルキルエステル官能基に活性化するためのより容易な方法を提供することであり、これは次に、ペプチドカップリング反応において使用することができる。
この目的は、任意でN−保護されたオリゴペプチドアルキルエステルを、対応する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドから直接得ることができる方法によって達成される。
従って、第1の態様では、本発明は、任意でN−保護されたオリゴペプチドアルキルエステルの調製方法であって、b)ペプチドアミダーゼの存在下で、対応する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップを含む方法に関する。従って、本発明の方法は、N−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのカルボキシアミド基をアルキルエステル官能基に活性化するための一段階の方法を提供し、該方法は簡単で費用効果的である。
本発明は、驚くことに、このようなペプチドアミダーゼが任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドから任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルへの直接転化を触媒できることを示す。これは、セロブスキ(Cerovsky)、V.およびM.−R.クラ(Kula)、1998年、Angew.Chem.Int.Ed.、1885−1887頁(ペプチドアミダーゼにはエステラーゼ活性が欠けていると書かれている)を考慮すると驚くべきことであり、つまり驚くことに、酵素がエステルを産生できることを意味する。
任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドは、本発明の説明全体を通してペプチドアミダーゼと呼ばれるペプチドアミダーゼ活性を示す酵素と反応させられる。ペプチドアミダーゼは、オリゴペプチドのペプチド結合の1つまたはいくつかを加水分解することなく任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのC−末端カルボキシアミド基を加水分解するその能力について、例えば、EP0456138号明細書およびEP0759066号明細書に記載されている。好ましくは、柑橘果実(のフラベド)から、より好ましくはオレンジ(のフラベド)からのペプチドアミダーゼが使用される。
ペプチドアミダーゼは任意の形態で使用することができる。例えば、ペプチドアミダーゼは、自然にまたは遺伝子改変によってペプチドアミダーゼ活性を有する細胞全体(任意で、透過処理および/または固定化される)において、あるいはこのような活性を有する細胞のライセートにおいて、粗酵素として、市販の酵素として、市販の調製物からさらに精製される酵素として、既知の精製方法の組み合わせによってその原料から得られる酵素として(例えば、分散液、エマルジョン、溶液または固定化型の形態で)使用することができる。
本発明に従う方法において、ペプチドアミダーゼ活性を有する天然に存在する(野生型)酵素の変異体の使用も可能であることは、当業者には明らかであろう。野生型酵素の変異体は、例えば、当業者に既知の変異誘発技法(ランダム変異誘発、部位特異的変異誘発、定向進化、遺伝子シャフリングなど)を用いて、DNAが野生型酵素とは少なくとも1つのアミノ酸だけ異なる酵素をコードするように、あるいはDNAが野生型と比較してより短いまたはより長い酵素をコードするように野生型酵素をコードするDNAを改変し、そして適切な(宿主)細胞においてこのように改変されたDNAの発現をもたらすことによって作成され得る。ペプチドアミダーゼの変異体は、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルに対する選択性および/または活性および/または安定性および/または耐溶剤性および/またはpHプロファイルおよび/または温度プロファイルおよび/または基質プロファイルに関して改善された特性を有し得る。
ペプチドアミダーゼが純粋な形態で使用されない場合、好ましくは、ペプチド結合切断活性を有する他の酵素は、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドの99%よりも多くが転化されるときに1%以下、より好ましくは0.1%以下のペプチド結合が切断されるように除去される。好ましくは、酵素は純粋な形態、例えば市販されるような形態で使用される。
あるいは、ペプチドアミダーゼが純粋な形態で使用されない場合には、ペプチド結合切断活性を阻止する化合物を使用して、ペプチド結合の切断を防止することもできる。
本発明の方法では、ペプチドアミダーゼの加水分解活性(任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドから、対応するC−末端アルキルエステルの代わりに対応するC−末端カルボン酸への転化)は、好ましくは、できるだけ低く保たれる。このために、ペプチドアミダーゼとの反応は実質的に水を含有しない媒体中で行われる。当業者には、実質的に水を含有しないということは、酵素がその触媒活性を適切に実施できるようにするような量の水だけが反応媒体中に存在することを意味することが理解されるであろう。好ましくは、反応媒体は、50体積%未満の水、より好ましくは30体積%未満の水、最も好ましくは20体積%未満の水を含有する。好ましくは、反応媒体は、少なくとも0.1体積%、より好ましくは少なくとも0.3体積%、より好ましくは少なくとも0.5体積%、より好ましくは少なくとも1体積%、最も好ましくは少なくとも5体積%の水を含有する。反応媒体中の好ましい水濃度は、0.5〜50体積%の間、より好ましくは1〜30体積%の間、最も好ましくは5〜20体積%の間である。
本発明の1つの実施形態では、アルキルエステル化中に遊離されるNHの少なくとも一部は反応混合物から除去される。好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは実質的に全ての遊離NHは反応混合物から除去される。例えば、反応混合物からのNHの除去は、NHと錯体を形成する化合物、例えばNHと錯体を形成した後に沈殿する化合物(その例には、MgHPO、AlおよびKSOが含まれる)の添加によって行うことができる。あるいは例えば、NHの除去は、吸着剤、例えばゼオライトを反応混合物に添加することによって実施することもできる。またNHの除去は、例えば、酸塩基反応を適用することによりNHをプロトン化することによって、あるいは、例えば低圧力の印加および/または加熱により反応中に反応混合物からNHを蒸発させることによって実施されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、錯体形成後に沈殿するNH錯化剤が使用され、より具体的には、MgHPO、AlまたはKSOが使用される。
任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは、例えば、式X
Figure 0004856184

の化合物によって表すことができ、式中、PはHまたはN−末端保護基を表し、nは少なくとも2の整数であり、mは少なくとも1の全ての整数を表すがn以下であり、RmAおよびRmBはそれぞれ独立してHまたはアミノ酸側鎖を表し、Rは任意で置換されたアルキル基を表す。
任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルが式Xの化合物であれば、対応する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドは、式IX
Figure 0004856184

の化合物で表され、式中、PはHまたはN−末端保護基を表し、nは少なくとも2の整数であり、mは少なくとも1の全ての整数を表すがn以下であり、RmAおよびRmBはそれぞれ独立してHまたはアミノ酸側鎖を表す。
Rは、好ましくは、1〜6個のC原子を有する任意で置換されたアルキル基を表し、より好ましくは、1〜3個のC原子を有する任意で置換されたアルキル基を表し、最も好ましくは、Rはメチルを表す。非置換アルキル基の例は、メチル、エチル、イソブチルおよびn−オクチルである。置換アルキル基の例は、カルバモイルメチル、N−メチル−カルバモイルメチル、ベンジル、p−ニトロベンジル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチルおよび4−ピリジルメチルである。
本発明の方法においてどのアルキルアルコールを使用するかは、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルのどれが所望されるかに左右される。例えば、メタノールが使用される場合、形成される任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端メチルエステルである。例えば、エタノールが使用される場合には、形成される任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端エチルエステルである、というようにいろいろである。好ましくは、アルキルアルコールはメタノールである。
最適なアルキルアルコール濃度は、所定の実験を通して当業者によって決定することができる。本発明の好ましい実施形態において、使用されるアルキルアルコールはメタノールである。
しかしながら、アルキルアルコールに加えて1つまたは複数の他の溶媒の存在も可能であり、いくつかの場合には、例えば、式IXの任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを可溶化するために、1つまたは複数の他の溶媒の存在が有利なこともある。
本発明の方法の驚くべき態様は、高メタノール濃度においても(これは、酵素が通常ごくわずかな活性を示す条件であるにもかかわらず)、ペプチドアミダーゼ活性が現れることである。(K.ドロウツ(Drauz)およびH.ワルトマン(Waldmann)の「有機合成における酵素触媒」、第1巻、第2版、ウィリー−VCH出版社、ワインハイム 2002年、1.6および8.6セクション、M.ポゴレブク(Pogorevc)、H.ステッチャー(Stecher)およびK.フェーバー(Faber)のBiotechnology Letters 2002年、24巻、857−860頁)。
好ましくは、ペプチドアミダーゼは、工程の最初に一回で全部が添加される代わりに、2回以上に分けて時間をかけて反応媒体に添加される。
ペプチドカップリング反応中にオリゴペプチドC−末端アルキルエステルの遊離N−末端アミノ官能基の反応を防止するために、好ましくは、適切な保護基によってこのアミノ官能基が保護され得る。適切なN−保護基は、(オリゴ)ペプチドの合成のために使用することができるN−保護基であり、当業者には知られている。適切なN−保護基の例としては、Z(ベンジルオキシカルボニル)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)およびPhAc(フェナセチル(phenacetyl))があげられ、後者は、酵素PenGアシラーゼを用いて酵素的に導入および切断することができる。
本発明との関連では、「アミノ酸側鎖」とは、タンパク新生または非タンパク新生アミノ酸側鎖を意味する。アミノ酸側鎖の反応基はアミノ酸側鎖保護基によって保護されてもよいし、あるいは保護されなくてもよい。タンパク新生アミノ酸の例としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、トリプトファン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アルギニン、およびフェニルアラニンがあげられる。非タンパク新生アミノ酸の例としては、フェニルグリシンおよび4−フルオロ−フェニルアラニンがあげられる。
nは少なくとも2の整数を表すので、2、3、4、5、6、7、8、9、10などを表す。mは少なくとも1である全ての整数を表すが、n以下である。言い換えれば、mは、オリゴペプチド鎖(側基RおよびRはその一部である)中のアミノ酸残基の位置を表す。従って、RmAは、n個のR基の完全な集合を表し、各基は潜在的に異なる側基(すなわち、Hまたはアミノ酸側鎖)を表し、RmBは、n個のR基の完全な集合を表し、各基は潜在的に異なる側基(すなわち、Hまたはアミノ酸側鎖)を表す。
原則として、使用されるpHは重要ではなく、例えば5〜11の間、好ましくは6〜9の間で選択され得る。pHは反応の間に変化し得るが、例えば10mM〜500mMの間の緩衝液濃度を用いる緩衝水溶液を使用することによって一定に保持することもできる。あるいは、反応のpHは、自動pH−スタットシステムを用いることによって一定に保持されてもよい。最適なpH条件は、所定の実験を通して当業者によって容易に確認することができる。
原則として、使用される温度は重要ではなく、好ましくは0〜45℃の間、より好ましくは15〜40℃の間の温度を使用することができる。あるいは、好熱性ペプチドアミダーゼが使用される場合には、温度は、より高温(例えば、40〜90℃の間)を選択することができる。最適な温度条件は、所定の実験を通して当業者によって容易に確認することができる。
任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステル、例えば、式Xのオリゴペプチドを十分に純粋な形態で単離するために、対応する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミド、例えば式IXのC−末端カルボキシアミドを、式XのC−末端アルキルエステルにほとんど完全にまたは完全に転化し、そして対応するC−末端カルボン酸に部分的に転化することが有利であることもある。C−末端カルボン酸は、ペプチドアミダーゼ活性に必要とされる水の存在による加水分解副反応の結果である。通常、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは、対応するC−末端カルボン酸よりも、対応するC−末端カルボキシアミドから分離するのが困難なので、対応するC−末端カルボキシアミドの一部だけの転化のときよりも完全な転化のときに任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルの総量が少ない場合には、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドこの(ほとんど)完全な転化は実に有利であり得る。任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは、例えば、C−末端カルボン酸の遊離カルボキシル官能基のpKa値(通常、約3.5よりも高い)よりも高いpH値を有する2相系(水と混合しない有機溶媒および水相)を用いて、対応するC−末端カルボン酸から分離することができる。この場合、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルは有機相中に残存し、対応するC−末端カルボン酸は、1回または複数回の抽出で水相へ除去される。
第2の態様では、本発明は、本発明に従う方法を含む、オリゴペプチドの調製方法を提供する。
特に本発明は、以下のステップ:
b)本発明の第1の態様に従って、ペプチドアミダーゼの存在下で、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップと、
c)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルをアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させて、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを形成するステップと
を含む、オリゴペプチドの調製方法を提供する。
従って、本発明は、酵素的な手段によってC−末端部が脱保護されると同時に活性化されるので、これまでよりも少ない反応ステップを用いるN→C方向のオリゴペプチド合成を可能にする、オリゴペプチドの合成方法も提供する。さらに、C−末端カルボン酸中間体のために、多大な抽出および脱水手順は必要とされない。オリゴペプチド鎖伸長ならびにN−末端アミノ官能基の保護および脱保護はいずれも完全に酵素的に実施され得るので、これは、有利なことに、N→C方向のペプチドの合成のための完全に酵素的な方法を可能にする。従って、本発明の方法は、例えば、経済的および/または環境的な観点から、これまで既知の方法よりも魅力的である。
ステップc)に関して、ペプチド結合の形成を触媒することができる酵素はどれも使用することができる。このような酵素は当業者には公知であり、例としては、プロテアーゼ、アシラーゼ(例えば、penGアシラーゼ)およびアミノ酸エステルヒドロラーゼがあげられる。
ステップb)およびc)は、所望のアミノ酸配列を有する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが得られるまで繰り返すことができる。
従って、本発明は、以下のステップ:
b)本発明の第1の態様に従って、ペプチドアミダーゼの存在下で、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップと、
c)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルをアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させて、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを形成するステップと
を含むオリゴペプチドの合成方法であって、
所望のアミノ酸配列を有する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが得られるまでステップb)およびc)が繰り返される方法にも関する。
ステップb)で出発材料として使用される任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドは、a)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、任意でN−末端保護されたアミノ酸C−末端アルキルエステルまたは任意でN−末端保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルを、アミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させることによって調製することができる。
従って、本発明は、以下のステップ:
a)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、任意でN−末端保護されたアミノ酸C−末端アルキルエステルまたは任意でN−末端保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルをアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させるステップと、
b)本発明の第1の態様に従って、ペプチドアミダーゼの存在下で、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップと、
c)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルをアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させて、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを形成するステップと、
を含むオリゴペプチドの調製方法であって、
所望のアミノ酸配列を有する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが得られるまでステップb)およびc)が繰り返され得る方法にも関する。
所望される場合には、所望のアミノ酸配列を有する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドは、C−末端部および/またはN−末端部において脱保護されてもよく、そして/あるいは少なくとも1つのアミノ酸側鎖保護基が存在すれば、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドは、アミノ酸側鎖の少なくとも1つにおいて脱保護されてもよく、その後、保護されたまたは無保護のオリゴペプチドが回収され得る。
形成されたN−保護オリゴペプチドC−末端カルボキシアミドまたはN−保護C−末端脱保護オリゴペプチドのN−末端保護基の脱保護は、当業者に既知の方法によって実施することができる。好ましくは、N−末端保護基は酵素的に除去され、より好ましくは、N−末端保護基は酵素的に導入および除去される。
N−保護基の酵素的な導入および/または除去は、方法をより費用効果的にすると共に、環境により優しくするので、特に有利である。i)酵素的に導入可能および切断可能なN−保護基、およびii)アミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを用いるペプチド鎖の酵素的な段階的伸長、およびiii)成長するオリゴペプチド鎖の繰り返される酵素的なC−末端カルボキシアミド脱保護、およびC−末端アルキルエステルへの同時的な活性化、というこの新規の組み合わせによって、これまでに記載されたことがないオリゴペプチドの完全に酵素的な合成の概念が可能になる。
オリゴペプチドC−末端カルボキシアミドまたはアルキルエステルのN−末端保護基を導入および除去することができる酵素は当業者には公知であり、このような酵素の例としては、penGアシラーゼがある。
強鉱酸水溶液を用いてC−末端カルボキシアミド官能基を除去するための従来の手段は、同時にペプチド結合の部分的な切断を引き起こす。従って、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのC−末端部の脱保護は、好ましくは、対応するC−末端アルキルエステルが限られた程度で形成されるかあるいは全く形成されない条件下、例えば、40重量%以下のアルキルアルコール、より好ましくは10重量%以下のアルキルアルコール、最も好ましくは3重量%以下のアルキルアルコールを含有する水溶液中で、ペプチドアミダーゼを用いることによって実施され得る。
最後のペプチドカップリングステップの後に得られるような1つまたはいくつかのアミノ酸側鎖保護基を有さないまたは有するN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが所望の最終生成物であれば、例えば、当業者に既知の抽出または結晶化方法を用いてこれを直接回収することができる。部分的に保護されたオリゴペプチドが所望される最終生成物である場合には、C−および/またはN−および/または(最後のペプチドカップリングステップ後に1つまたはいくつかのアミノ酸側鎖保護基が存在する場合には)アミノ酸側鎖の脱保護反応を実行することができ、任意で仕上げ手順の後に、所望の部分的に保護された最終生成物を回収することができる。しかしながら通常、完全に脱保護されたオリゴペプチドが所望の最終生成物であり、連続したN−、C−および(最後のペプチドカップリングステップ後に1つまたはいくつかのアミノ酸側鎖保護基が存在する場合には)アミノ酸側鎖の脱保護ステップによって得ることができる。完全に脱保護されたオリゴペプチドを最終的に回収するための手段(例えば、抽出および結晶化を含む)は、当業者によって確認され得る。
好ましくは、反応混合物は、ステップa)および/またはc)のカップリング反応の後に仕上げられて、残存する出発化合物および形成されたかもしれない副生成物が除去される。特に有用な実施形態は、任意でN−保護されたアミノ酸C−末端アルキルエステルまたは任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルを(わずかに)過剰のアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させて、エステル化合物の完全またはほとんど完全な転化を達成し、続いて、水と混合しない有機溶媒と、アミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのpKaよりも低いpH値を有する水相とからなる2相系に反応混合物を分配することである。このような場合、過剰のアミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドはプロトン化形態で水相中に抽出され、所望のカップリング生成物は有機相中に残存し得る。N−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドカップリング生成物の収率および/または純度を最適にするために、水による抽出または有機溶媒による水相の逆抽出を多数回適用するのが有利なこともある。最も適切な条件は、当業者によって容易に決定することができる。
本発明の方法を用いて調製することができるオリゴペプチドの例は、トリペプチドH−Gly−Tyr−Phe−OHおよびH−Arg−Gly−Asp−OH、ならびにテトラペプチドH−Tyr−D−Ala−パラフルオロ−Phe−Phe−NHである。本発明の方法によって生成されるオリゴペプチドは、好ましくは、2〜50のアミノ酸の直鎖、より好ましくは2〜20のアミノ酸の直鎖、最も好ましくは2〜10のアミノ酸の直鎖である。
本発明はここで以下の実施例によって説明されるがこれらに限定されない。
[実施例]
[材料]
フラベドからのペプチドアミダーゼ(「PAF」と呼ばれる)は、フルカ(Fluka)から入手し、そのまま使用した(Z−Gly−Tyr−NHからZ−Gly−Tyr−OHへの脱アミドにおける活性:2.4U/mL)。凍結乾燥PAFを使用する場合には、セントリー・フリーズ−モバイル(Sentry Freeze−Mobile)125(G−25)を用いて5mLの市販のPAF溶液を凍結乾燥し、30U/gの活性を有し、カール−フィッシャー滴定で決定した2.5重量%の水を含有する0.40gの固体PAFを得た。ステノトロホモナス(以前は「キサントモナス」として知られる)マルトフィリアからの微生物ペプチドアミダーゼ(「PAM」と呼ばれる)は、Juelich Fine Chemicals(独国ユーリッヒ)から入手し、そのまま使用した(Z−Gly−Tyr−NHからZ−Gly−Tyr−OHへの脱アミドにおける活性:2.87U/mL)。PAFおよびPAMの酵素活性は、実施例1Aに記載されるようにHPLC法を用いてZ−Gly−Tyr−OHへの転化を監視することによって、5体積%のDMFを含有する50mMのTris/HCl緩衝水溶液(pH=7.5)中でZ−Gly−Tyr−NHの加水分解により30℃で検定した。
アルカラーゼ(alcalase)はノボザイムズ(Novozymes)(バッチPLN04810)から入手し、使用の前に乾燥させた。乾燥は、8.0mLのアルカラーゼ溶液を60mLのエタノール中に懸濁させ、懸濁液を3000G、4℃で遠心分離することによって行った。上澄みをデカントし、固体を60mLのエタノール中に3倍以上に懸濁させ、遠心分離した。得られた残渣をそのまま使用した。assemblaseは、DSM Anti−infectives(オランダ、デルフト)から入手し、国際公開第97/04086号パンフレットによるとポリマー支持体上に共有結合で固定化された大腸菌からのpenGアシラーゼに相当する。セパラーゼ(separase)は、DSM Anti−infectivesから入手し、国際公開第97/04086号パンフレットによるとポリマー支持体上に共有結合で固定化されたおよびA.フェカリス(faecalis)からのpenGアシラーゼに相当する。
Z−Gly−Tyr−NHおよびZ−Gly−Tyr−OH(バッケム(Bachem))、メタノール(フルカ)、フェニル酢酸およびMgHPO(アクロス(Acros))およびクロロスルホン酸(メルク(Merck))は、受け取った状態で使用した。t−ブタノール(メルク)は使用の前に蒸留により乾燥させた。
Z−Gly−Tyr−OMe基準材料は、EP977726号明細書(1998年、P.J.L.M.クエドフリーグ(Quaedflieg)およびW.H.J.ボーステン(Boesten))に記載される方法に従ってZ−Gly−Tyr−OHから調製した。クロロスルホン酸(0.55g、4.72mmol、1.1当量)を窒素下で激しく攪拌しながら0〜5℃でZ−Gly−Tyr−OH(1.60g、4.30mmol)のメタノール(14mL)溶液に液滴状で添加した。50℃で2時間攪拌した後、溶液を20℃まで冷却し、50mLの激しく攪拌した7重量%のKHCO水に液滴状で添加し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮し、Z−Gly−Tyr−OHを基準として85%の収率で、99重量%よりも高純度のZ−Gly−Tyr−OCHが得られた。
ブルッカー(Bruker)300MHzウルトラシールド(UltrashieldTM)NMRスペクトロメータにおいてDMSO−d中300MHzでHNMRスペクトルを記録した。
本発明との関連では、1Uは、Z−Gly−Tyr−NHを基質として用いて、pH7.5および30℃の水溶液中で、1分あたり1マイクロモルのZ−Gly−Tyr−OHの形成を触媒する酵素の量に相当する。
[実施例1:Z−Gly−Tyr−NH(1)からZ−Gly−Tyr−OMe(2)への酵素転化]
Figure 0004856184
[実施例1A:PAFの繰り返しの添加を用いるZ−Gly−Tyr−NH(1)の転化]
3.2gのMeOH中の1(15mg、0.04mmol)の溶液に、250μLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)およびMgHPO(35mg、0.2mmol、5当量)を30℃で添加した。この温度で186時間反応混合物を攪拌し、24時間の間隔で新たな量のPAF(250μL)を添加しながら、HPLCで監視した(以下を参照)。転化の経過は表1に示される。66時間後、アミド1からエステル2への転化は最大であった(41%)。その時点で、10%の酸3も形成されている。
[HPLC分析:]
0.1%のHCOOH水およびアセトニトリル(1.0mL/分、40℃)のグラジエントを用いて、オルテック(Alltech)からのプリベイル(Prevail)カラム(250×内径4.6mm、5μm)における逆相HPLCにより1から2および3への転化を監視した。t=0において15体積%のアセトニトリルを用い、8分間で74.5体積%まで増大させ、7分間74.5体積%に維持した。15.1分の時点で、グラジエントプロファイルは開始条件に戻った。総分析時間は22分であった。注入体積は5μLであり、検出は分光光度計を用いてUV254および270nmで実施した。1、3および2の保持時間は、それぞれ5.9、9.8および25.4分であった。
Figure 0004856184
[実施例1B:開始時に全てのPAFを添加したときのZ−Gly−Tyr−NH(1)の転化]
3.2gのMeOH中の1(15mg、0.04mmol)の溶液に、830μLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)およびMgHPO(35mg、0.2mmol、5当量)を30℃で添加した。反応をHPLC(実施例1Aに記載したものと同じ方法を用いる)で監視し、24時間および40時間の両方の時点の1からエステル2への転化は14%、酸3への転化は0.2%であることが示された。
[実施例1C:繰り返しのPAF添加を用いるZ−Gly−Tyr−NH(1)の完全転化]
3.2gのMeOH中の1(15mg、0.04mmol)の溶液に、250μLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)およびMgHPO(35mg、0.2mmol、5当量)を30℃で添加した。反応混合物をこの温度で15日間攪拌し、1日の間隔で新たな量のPAF(250μL)を添加しながら、HPLC(実施例1Aを参照)で監視した。転化の経過は表2に示される。明らかに、15日後に、1はほとんど完全に2(30%)および3(60%)に転化した。
Figure 0004856184
[実施例2:添加剤の影響]
Figure 0004856184

3.16gのMeOH中の1(15mg、0.04mmol)の溶液に、249μLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)および特定の量の添加剤(表3を参照)を添加した。反応混合物を30℃で24時間攪拌した後、一定分量を取り出し、実施例1Aに記載したものと同じHPLC法を用いてHPLCで分析した。形成されたエステル2の量は表3で与えられる。
Figure 0004856184
[実施例3:水の量の影響]
Figure 0004856184

溶液の総体積が4mLであるMeOHおよび特定の量の脱塩水またはTris/HCl緩衝液(pH=7.5、5重量%のDMFを含有)中の1(15mg、0.04mmol)の溶液(以下の表を参照)に、特定の量(以下の表を参照)の凍結乾燥したフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、30U/g)を添加し、場合によっては(表4を参照)、続いて34.9mg(0.2mmol、5当量)のMgHPOを添加した。得られた反応混合物を30℃で24時間攪拌し、一定分量を取り出し、実施例1Aに記載したものと同じHPLC法を用いてHPLCで分析した。形成されたエステル2および酸3の量は表4で与えられる。
Figure 0004856184
[実施例4:PAFによるN→Cアプローチを用いるトリペプチドH−Gly−Tyr−Phe−OH(14)の完全酵素合成]
14の合成のために、以下の合成スキームが追従される。
Figure 0004856184
[4A.GlyOMe.HCl(4)からPhAc−Gly−OMe(6)への酵素N−保護]
100.0gのGlyOMe.HCl(4、0.796mol)および108.4gのフェニル酢酸(5、0.796mol)を500mLの水中に懸濁させた。83.3mLの32重量%のNaOHの添加によりpHを6.3に調整した。得られた溶液に、48gの固定化assemblaseを添加し、反応混合物を20℃で16時間攪拌した。得られたスラリーを0℃まで冷却し、その温度で1時間攪拌し、生成物PhAc−GlyOMe(6)および固定化assemblaseをろ過により単離した。固体材料をEtOAc(500mL)中でスラリー状にし、固定化assemblaseをろ過して除去した。EtOAc層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮し、100.0g(0.483mol)の6(4に基づいて61%)を得た。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):3.63(3H,s,OCH)、3.69(2H,s,CHPhAc)、3.87(2H,s,CHGly)、7.27−7.34(5H,m,PhAc)、8.5(1H,bs,NH)。
[4B.PhAc−Gly−Tyr−NH(8)への酵素カップリング]
640gのt−ブタノール中の54.6g(0.264mol)のPhAc−GIy−OMe(6)の溶液に、61.8g(0.343mol、1.30当量)のL−Tyr−NH(7)を添加した。得られたスラリーに、8mLのアルカラーゼ溶液に基づいた乾燥アルカラーゼを添加し、24時間の間隔で同量のアルカラーゼを添加しながら反応混合物を35℃で160時間攪拌した。160時間後、反応混合物から一定分量を取り出し、HPLCにより分析した(以下を参照)。6からPhAc−Gly−Tyr−NH(8)への転化は60%であり、副産物PhAc−GIy−OHへの加水分解は10%であった。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を100mLのEtOAcおよび100mLの水の間で分配し、水相のpHを3.0に調整した(12NのHCl水を用いて)。激しく攪拌した後、8が結晶化し、ろ過により単離した。得られた母液の相分離の後、EtOAc層をpH3.0の別の100mLの水と共に攪拌した。この結果、8の別の部分の結晶化が起こり、これをろ過により単離した。得られた母液のうち、EtOAc層をpH7.5(1NのNaOH水で調整)の別の100mLの水と共に攪拌した。8の別の部分の結晶化がもたらされ、これもろ過により単離した。全部で30.0g(0.084mol)の8(6を基準として32%の収率)が得られた。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.6(1H,dd,CHTyr)、2.9(1H,dd,CHTyr)、3.4(2H,s,CHPhAc)、3.6(1H,dd,CHGly)、3.8(1H,dd,CHGly)、4.35(1H,m,α−HTyr)、6.6(2H,d,CHTyr)、6.9(2H,d,CHTyr)、7.1(1H,s,NH)、7.25−7.35(5H,m,PhAc)、7.4(1H,s,NH)、8.0(1H,d,NHTyr)、8.25(1H,t,NHGly)、9.3(1H,s,OHTyr)。
[HPLC分析:]
40℃で100mMのHClO水(pH1.0)およびアセトニトリル(1.0ml/分)のグラジエントを用いて、オルテックからのプリベイルカラム(250×内径4.6mm、5μm)における逆相HPLCによって6および7の8へのカップリングを監視した。t=0分において、25体積%のアセトニトリルを用い、8分間で70体積%まで増大させ、2分間70体積%に維持した。10.1分の時点で、グラジエントプロファイルは開始条件に戻った。総分析時間は16分であった。注入体積は5μlであり、検出は分光光度計を用いてUV220nmで実施した。7、PhAc−GIy−OH、8および6の保持時間は、それぞれ2.9、4.9、5.3および5.9分であった。
[4C−1.PhAc−Gly−Tyr−NH(8)からPhAc−Gly−Tyr−OMe(10)への酵素転化]
1050gのMeOH中の5g(14mmol)のPhAc−Gly−Tyr−NH(8)の溶液に、30℃の83mLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)および11.7g(67mmol)のMgHPOを添加した。24時間ごとに83mLの新しい酵素を添加した。反応の経過をHPLCで監視した(以下を参照)。攪拌の140時間後、8から10への転化は40%であり、加水分解による8からPhAc−Gly−Tyr−OH(9)への転化は60%であった。メタノールを蒸発させ、pH=7で残渣を50mLのEtOAcおよび50mLの水の間で分配し、pH=7でEtOAc層を別の50mLの水で洗浄し、続いて、乾燥(NaSO)させてEtOAc層を真空中で濃縮することにより所望のエステル10が単離され得る。これにより、1.9gの10(5.14mmol、8を基準として37%の収率)が得られた。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.6(1H,dd,CHTyr)、2.9(1H,dd,CHTyr)、3.5(2H,s,CHPhAc)、3.6(3H,s,CH)、3.7(1H,dd,CHGly)、3.9(1H,dd,CHGly)、4.4(1H,m,α−HTyr)、6.7(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.28(5H,m,PhAc)、8.3(1H,d,NHTyr)、8.3(1H,t,NHGly)、9.3(1H,s,OHTyr)。
[HPLC分析:]
実施例1Aに記載されるものと同じ逆相HPLC法によって8から10への転化を監視した。8、9および10の保持時間は、それぞれ6.9、7.8および8.9分であった。
[4C−2.比較例:PhAc−Gly−Tyr−NH(8)からPhAc−Gly−Tyr−OH(9)への酵素加水分解の後、PhAc−Gly−Tyr−OMe(10)を得るための化学的なエステル化]
5体積%のDMFを含有する4.2Lの50mMのTris/HCl緩衝水溶液(pH=7.5)中の15g(42mmol)のPhAc−Gly−Tyr−NH(8)の懸濁液に、87.6mLのフラベドからのペプチドアミダーゼ(PAF、2.4U/mL)を添加し、反応混合物を30℃で24時間攪拌した。反応混合物から一定分量を取り出し、HPLCによって分析し(以下を参照)、8から9への転化は100%であると示された。反応混合物を真空中で500mLまで濃縮し、pHを1.0にした(32重量%のHCl水を用いて)。酢酸エチルによる抽出(3×300mL)の後、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮して、10.8g(30mmol)の9(8を基準として72%)および8.8g(0.12mol)のDMFを含有する残渣を得た。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.6(1H,dd,CHTyr)、2.9(1H,dd,CHTyr)、3.4(2H,s,CHPhAc)、3.7(1H,dd,CHGly)、3.9(1H,dd,CHGly)、4.4(1H,m,α−HTyr)、6.7(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.31−7.33(5H,m,PhAc)、8.1(1H,d,NHTyr)、8.3(1H,t,NHGly)、9.2(1H,s,OHTyr)、12(1H,bs,COOH)。
[HPLC分析:]
実施例1Aに記載されるものと同じ逆相HPLC法によって8から9への転化を監視した。8および9の保持時間は、それぞれ6.9および7.8分であった。
111gのメタノール中に10.8gの9を含有する残渣の冷却(0℃)溶液に、3.84g(33mmol)のクロロスルホン酸(ClSOH)を液滴状で添加し、反応混合物を45℃で2時間加熱した。TLC分析(溶離液n−ブタノール/HCOOH/水75/15/10v/v/v)は、9から10への転化が完了したことを示した。反応混合物を周囲温度に冷却し、50mLの0.2MのKHCO水および100mLの水の攪拌した混合物中に注ぎ、酢酸エチルで抽出(2×200mL)した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)させ、真空中で濃縮して、無色のオイルが得られた。オイルをCHCl(100mL)中に溶解し、水(100mL)で洗浄し、CHCl層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮して、9.2gの10が無色のオイルとして得られた(24.9mmol、9を基準として83%の収率)。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.6(1H,dd,CHTyr)、2.9(1H,dd,CHTyr)、3.5(2H,s,CHPhAc)、3.6(3H,s,CH)、3.65(1H,dd,CHGly)、3.9(1H,dd,CHGly)、4.4(1H,m,α−HTyr)、6.7(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.28(5H,m,PhAc)、8.3(1H,d,NHTyr)、8.3(1H,t,NHGly)、9.3(1H,s,OHTyr)。
[4D.PhAc−Gly−Tyr−Phe−NH(12)への酵素カップリング]
15.6gのt−BuOH中の3.5g(9.5mmol)のPhAc−Gly−Tyr−OMe(10)および4.65g(28.3mmol)のL−Phe−NH(11)の溶液に、3mLのアルカラーゼ溶液に基づく乾燥アルカラーゼを添加し、反応混合物を35℃で攪拌した。24時間後、8gのt−BuOHを添加して、攪拌性(stirrability)を増大させた。40時間後、反応混合物から一定分量を取り出し、HPLCで分析し(以下を参照)、10の62%がPhAc−Gly−Tyr−Phe−NH(12)に転化し、38%が加水分解生成物PhAc−Gly−Tyr−OHに転化したことが示された。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を30gの水および45gのEtOAcの間で分配した。EtOAc層をpH3の10gの水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)真空中で濃縮されて、2.5g(5.0mmol)の純粋な12(10を基準として53%)が得られた。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.6(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.7(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.9(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.0(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.45(2H,s,CHPhAc)、3.6(1H,dd,CHGly)、3.8(1H,dd,CHGly)、4.45(1H,m,α−HTyr)、4.45(1H,m,α−HPhe)、6.6(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.1(1H,s,NH)、7.2−7.3(10H,m,PhAc、Phe)、7.4(1H,s,NH)、8.1(1H,d,NHTyrまたはPhe)、8.1(1H,d,NHTyrまたはPhe)、8.3(1H,t,NHGly)、9.3(1H,s,OHTyr)。
[HPLC分析:]
実施例1Aに記載されるものと同じ逆相HPLC法によって、12を形成するための10と11とのカップリングを監視した。11、PhAc−Gly−Tyr−OH、10および12の保持時間は、それぞれ3.4、7.8、8.9および9.1分であった。
[4E.PhAc−Gly−Tyr−Phe−OH(13)を与えるためのPhAc−Gly−Tyr−Phe−NH(12)の酵素脱保護]
5体積%のDMFを含有する200mLの50mMのTris/HCl緩衝水溶液(pH=7.5)中の1.0g(2.0mmol)のPhAc−Gly−Tyr−Phe−NH(12)の懸濁液に、1mLのステノトロホモナス・マルトフィリアからのペプチドアミダーゼ(PAM、2.87U/mL)を添加し、反応混合物を30℃で攪拌した。24時間後、反応混合物から一定分量を取り出し、HPLCで分析し(以下を参照)、PhAc−Gly−Tyr−Phe−OH(13)への転化が100%であることが示された。混合物を真空中で濃縮し、pH1.0において残渣を23gのEtOAcおよび25gの水の間で分配した。激しく攪拌した後、13が結晶化し、これをろ過により単離した。水層を20gのEtOAcでもう一度抽出し、合わせたEtOAc相を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮して、無色のオイルが得られた。pH1.0においてオイルを25gのCHClおよび25gの水の間で分配した。CHCl層をpH1.0で25gの水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮して、13の別の収穫物が白色固体として得られた。13の総収量は0.6g(1.2mmol、12を基準として60%)であった。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.5(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.6(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.9(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.0(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.45(2H,s,CHPhAc)、3.55(1H,dd,CHGly)、3.8(1H,dd,CHGly)、4.5(1H,m,α−HTyr)、4.5(1H,m,α−HPhe)、6.6(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.2−7.3(10H,m,PhAc、Phe)、7.9(1H,d,NHTyrまたはPhe)、8.2(1H,t,NHGly)、8.3(1H,d,NHTyrまたはPhe)、9.2(1H,s,OHTyr)。
[HPLC分析:]
実施例1Aに記載されるものと同じ逆相HPLC法によって12から13への加水分解を監視した。12および13の保持時間は、それぞれ9.1および9.3分であった。
[4F.H−Gly−Tyr−Phe−OH(14)を得るためのPhAc−Gly−Tyr−Phe−OH(13)の酵素脱保護およびH−Gly−Tyr−Phe−OH(14)の回収]
pH9.0の10mLの0.1MのTAPS(トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝水溶液中の50mg(0.1mmol)のPhAc−Gly−Tyr−Phe−OH(13)の溶液に、50mgの固定化セパラーゼを添加した。30分後、反応混合物から一定分量を取り出し、HPLCにより分析し(以下を参照)、13から14への転化が100%であることが示された。酵素をろ過して除去し、反応混合物を真空中で完全に乾燥するまで濃縮した。残渣は、所望のトリペプチド14をそのフェニル酢酸5との塩として含有した。
MS(質量分析)によって、14の正確な分子量(408[M+Na]、384[M−H])を確認した。
H−NMR(DMSO−d)、δ(ppm):2.5(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.6(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、2.9(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.0(1H,dd,CHTyrまたはPhe)、3.45(2H,s,CHPhAc)、3.55(2H,s,CHGly)、4.0(1H,m,α−HTyr)、4.5(1H,m,α−HPhe)、6.6(2H,d,CHTyr)、7.0(2H,d,CHTyr)、7.2−7.3(5H,m,Phe)。
[HPLC分析:]
実施例1Aに記載されるものと同じ逆相HPLC法によって13から14への加水分解を監視した。14および13の保持時間は、それぞれ6.6および9.3分であった。

Claims (16)

  1. 任意でN−保護されたオリゴペプチドアルキルエステルの調製方法であって、
    b)ペプチドアミダーゼの存在下で、対応する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップを含む方法。
  2. 前記ペプチドアミダーゼが、柑橘果実のフラベドに由来する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ペプチドアミダーゼが、オレンジのフラベドに由来する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記アルキルアルコールがメタノールである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 0.5〜50体積%の間の水濃度を有する反応媒体中で実施される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記反応媒体から、遊離NHの少なくとも50%が除去される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記NHが、NHと錯体を形成する化合物の添加によって除去される、請求項に記載の方法。
  8. NHと錯体を形成する前記化合物が、MgHPO、AlまたはKSOである、請求項に記載の方法。
  9. 前記ペプチドアミダーゼが、2回以上に分けて時間をかけて前記反応媒体に添加される、請求項〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を含むオリゴペプチドの調製方法。
  11. 以下のステップ:
    b)請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って、ペプチドアミダーゼの存在下で、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドをアルキルアルコールと反応させるステップと、
    c)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、形成された任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルを、アミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させて、任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを形成するステップと、
    を含む、オリゴペプチドの調製方法。
  12. 所望のアミノ酸配列を有する任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが得られるまで、前記ステップb)およびc)が繰り返される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ステップb)で使用される前記任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドが、a)ペプチド結合の形成を触媒する酵素の存在下で、任意でN−末端保護されたアミノ酸C−末端アルキルエステルまたは任意でN−末端保護されたオリゴペプチドC−末端アルキルエステルを、アミノ酸C−末端カルボキシアミドまたはオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドと反応させるステップによって調製される、請求項11または12に記載の方法。
  14. d)C−末端部において、および/またはN−末端部において、および/または(少なくとも1つのアミノ酸側鎖の保護基が存在する場合には)アミノ酸側鎖の少なくとも1つにおいて、所望のアミノ酸配列を有する前記任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドを脱保護するステップ、および/または
    e)前記保護されたまたは無保護のオリゴペプチドを回収するステップ
    をさらに含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. N−末端保護基が酵素的に導入および/または除去される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドのC−末端部が、ペプチドアミダーゼの存在下、40重量%以下のアルキルアルコールを含有する水溶液中で、前記任意でN−保護されたオリゴペプチドC−末端カルボキシアミドから対応するC−末端カルボン酸への転化によって脱保護される、請求項14に記載の方法。
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