JP4855640B2 - インシュリン前駆体及びその調製方法 - Google Patents

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Description

酵母菌は、細胞外で機能する多数のタンパク質を産生する。このようなタンパク質を分泌タンパク質と称する。これらの分泌タンパク質は、まず、前駆体すなわち小胞体(ER)の膜を横切って発現産物を確実に効果的に誘導(トランスロケーション)するプレペプチド配列を含むプレ体(pre−form)として細胞の内部で発現する。このプレペプチドは、通常シグナルペプチドと称し、一般に、トランスロケーション中に所望の産物から切り離される。このタンパク質は、分泌経路に入ったのちゴルジ装置に輸送される。ゴルジから、このタンパク質は細胞の空胞又は細胞膜などの区画に通じる様々なルートを通ることができ、あるいは細胞外のルートを通って外部の媒体に分泌される(Pfeffer等(1987)Ann.Rev.Biochem.56:829〜852)。
インシュリンは、膵臓のβ細胞によって分泌されるポリペプチドホルモンであり、2本のポリペプチド鎖A及びBからなり、2本の鎖間ジスルフィド架橋で連結されている。また、A鎖は、1本の鎖内ジスルフィド架橋を特徴としている。
このホルモンは、24アミノ酸のプレペプチドからなる単鎖前駆体プロインシュリン(プレプロインシュリン)、次いで86アミノ酸を含むプロインシュリンとして合成され、プレペプチド−B−Arg Arg−C−Lys Arg−A(式中、Cは31アミノ酸の連結ペプチドである)の構造を有する。Arg−Arg及びLys−Argは、A鎖及びB鎖から連結ペプチドが切断される切断部位である。
微生物でヒトインシュリンを産生するため、主に3通りの方法が使用されてきた。2つの方法はEscherichia coliによるものであり、細胞質中で大きな融合タンパク質を発現し(Frank等(1981)、Peptides:Proceedings of the 7th American Peptide Chemistry Symposium(Rich&Gross編)、Pierce Chemical Co.、Rockford、IL.中のpp729〜739)、あるいはシグナルペプチドを使用して細胞膜周辺腔への分泌を可能にする(Chan等(1981)PNAS 78:5401〜5404)。3番目の方法では、Saccharomyces cerevisiaeを利用してインシュリン前駆体を媒体中に分泌させる(Thim等(1986)PNAS 83:6766〜6770)。従来技術は、E.coli又はSaccharomyces cerevisiaeのいずれかで発現する限られた数のインシュリン前駆体を開示している(米国特許第5,962,267号、国際公開第95/16708号、欧州特許第0055945号、欧州特許第0163529号、欧州特許第0347845号及び欧州特許第0741188号参照)。
本発明は、トランスフォームした微生物、特に酵母中で発現すると、インシュリン前駆体分子の産生収率を増加させる新規な連結ペプチド(C−ペプチド)を特徴とする。次いで、このようなインシュリン前駆体を、1以上の適切で周知の転化ステップによって、ヒトインシュリン、desB30ヒトインシュリン又は特定のアシル化されたヒトインシュリンに転化することができる。
本発明の連結ペプチドは、少なくとも1つのProを含み、一般に比較的短く、通常は長さが10アミノ酸残基以下で、好ましくは6〜4アミノ酸残基以下である。
この連結ペプチドは、A鎖から連結ペプチドをインビトロで切断できるようにする切断部位をそのC末端に含む。このような切断部位は、当分野で既知の任意の好都合な切断部位とすることができ、例えば臭化シアンで切断可能なMet、トリプシン又はトリプシン様プロテアーゼ、すなわちAcromobactor lyticusプロテアーゼ又はカルボキシペプチダーゼプロテアーゼによって切断可能な単一の塩基性アミノ酸残基又は一対の塩基性アミノ酸残基(Lys又はArg)とすることができる。A鎖からの連結ペプチドの切断を可能にするこの切断部位は、好ましくは単一の塩基性アミノ酸残基Lys又はArg、好ましくはLysである。
連結ペプチドのB鎖からの切断は、desB30インシュリン前駆体を生じる、B鎖中の天然LysB29アミノ酸残基での切断によって可能になる。このインシュリン前駆体をヒトインシュリンに転化しようとする場合、B30 Thrアミノ酸残基(Thr)を、周知のインビトロでの酵素学的手順によって付加することができる。desB30インシュリンは、米国特許第5,750,497号及び同5,905,140号に記載されているように、アシル化インシュリンに転化することもできる。
一実施態様では、この連結ペプチドは、2つの隣接する塩基性アミノ酸残基(Lys、Arg)を含まない。この実施態様では、A鎖からの切断は、A鎖のN末端に位置する単一のLys又はArgで好ましくは行われる。
本発明の別の実施態様では、A鎖に隣接する切断部位のN末端の直近にProが位置する。この連結ペプチドは、1を超えるProを含むことができるが、好ましくは3以下のPro残基を含むことができる。
したがって、一側面では本発明は、A鎖及びB鎖から切断可能な連結ペプチド(C−ペプチド)を含み、少なくとも1つのPro及びA鎖と連結ペプチドの間のペプチド結合の切断を可能にする切断部位を含み、1つのProが前記切断部位のN末端の直近に位置するインシュリン前駆体に関する。
別の側面では、本発明は、A鎖及びB鎖から切断可能な連結ペプチド(C−ペプチド)を含み、少なくとも1つがProである最高6つのアミノ酸残基からなるインシュリン前駆体に関する。
別の側面では、本発明は、以下の式を有するインシュリン前駆体に関する。
B(1−29)−X−Y−A(1−21)
式中、
は少なくとも1つのProを含む1〜5アミノ酸残基のペプチド配列であり、
Yは切断部位である。
一実施態様では、Xのアミノ酸残基の総数は1〜4、1〜3又は1〜2アミノ酸残基である。Xのアミノ酸残基は、任意のコード可能なアミノ酸残基とすることができ、少なくとも1つがProであることを唯一の条件として同じでも異なっていてもよい。
別の実施態様では、YはMet又は二塩基性アミノ酸配列LysLys、ArgArg、ArgLys又はLysArgである。さらに別の実施態様では、Yは単一の塩基性アミノ酸残基Lys又はArgである。
別の実施態様では、配列X−Yは、2つの隣接する塩基性アミノ酸残基(Lys、Arg)を含まず、さらに別の実施態様では、Xは遊離のCOOH基を有するアミノ酸残基(Glu、Asp)又は遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基(Gln、Asn、His)を含む。
−Y配列の例はGlnProLys、ThrProLys、GluProLys、GlyProLys、MetProLys、SerProLys、AspProLys、AlaAspProLys(配列番号8)、AsnAspProLys(配列番号9)、GluAspProLys(配列番号10)及びAlaAspProLys(配列番号11)である。
本発明は、特許請求の範囲に記載されているインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列にも関する。別の側面では、本発明は、このようなポリヌクレオチド配列を含むベクター及びこのようなポリヌクレオチド配列又はベクターを含む宿主細胞に関する。
別の側面では、本発明は宿主細胞内でインシュリン前駆体を産生する方法に関し、この方法は、(i)本発明のインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞を前記インシュリン前駆体の発現に適した条件下で培養すること、及び(ii)インシュリン前駆体を培地から単離することを含む。
さらに別の側面では、本発明はdesB30ヒトインシュリン又はヒトインシュリンを産生する方法に関し、この方法は、(i)本発明のインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞を培養すること、(ii)インシュリン前駆体を培地から単離すること、及び(iii)インビトロでの酵素による転化によってインシュリン前駆体をdesB30ヒトインシュリン又はヒトインシュリンに転化することを含む。
さらに別の側面では、本発明はアシル化desB30ヒトインシュリンを産生する方法に関し、この方法は、(i)本発明のインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞を培養すること、(ii)インシュリン前駆体を培地から単離すること、(iii)インシュリン前駆体をdesB30ヒトインシュリンに転化すること、及び(iv)都合の良いアシル化方法を用いてdesB30ヒトインシュリンをアシル化誘導体に転化することを含む。
本発明の一実施態様では、宿主細胞は酵母宿主細胞であり、別の実施態様では酵母宿主細胞をSaccharomyces属から選択する。別の実施態様では、酵母宿主細胞をSaccharomyces cerevisiae種から選択する。
略語及び命名法
「連結ペプチド」又は「C−ペプチド」は、単鎖プレプロインシュリン様分子のB−C−Aポリペプチド配列の連結部分「C」を意味する。具体的には、天然インシュリン鎖では、C−ペプチドはB鎖の30位とA鎖の1位を連結する。本明細書に記載したものなどの「ミニC−ペプチド」又は「連結ペプチド」はB29をA1に連結し、天然C−ペプチドのそれとは配列及び長さが異なる。
「IP」は、desB30鎖がインシュリンのA鎖に連結ペプチドを介して連結された単鎖インシュリン前駆体を意味する。単鎖インシュリン前駆体は、ヒトインシュリンのように、正確に配置されたジスルフィド架橋(3)を含む。
「desB30」又は「B(1−29)」は、B30アミノ酸残基を欠いた天然インシュリンB鎖を意味し、「A(1−21)」は、天然インシュリンA鎖を意味する。ミニC−ペプチド及びそのアミノ酸配列を、3文字のアミノ酸コードで示す。
「インシュリン前駆体」は、1以上の後続の化学及び/又は酵素プロセスによってヒトインシュリン又はdesB30ヒトインシュリンに転化可能な単鎖ポリペプチドを意味する。
「N末端の直近に」という語は、アミノ酸残基又はペプチド配列がC末端で別のアミノ酸残基又はアミノ酸配列のN末端にペプチド結合によって直接連結している状況を示すものである。
本発明は、インシュリンB鎖の29位とインシュリンA鎖の1位を連結し、酵母宿主細胞の産生収率を著しく増加させた新規なミニC−ペプチドを特徴とする。「産生の著しい増加」「発酵収率の増加」などの語は、本発明によるCペプチドとは異なるCペプチドを含むインシュリン前駆体の収率に比べて、培養上清中に存在するインシュリン前駆体分子の分泌量が増加することを意味する。「増加した」発酵収率は、対照よりも大きな無名数であり、好ましくは、増加は対照よりも50%以上大きく、より好ましくは、増加は対照レベルよりも100%以上大きい。
「POT」はSchizosaccharomyces pombeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子であり、「TPI1」はS.cerevisiaeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子である。
「リーダー」は、プレペプチド(シグナルペプチド)及びプロペプチドからなるアミノ酸配列を意味する。
「シグナルペプチド」という語は、タンパク質の前駆体上にN末端配列として存在するプレペプチドを意味すると理解される。シグナルペプチドの機能は、異種タンパク質が小胞体中へ容易にトランスロケーションできるようにすることである。シグナルペプチドは、通常このプロセス中に切り離される。シグナルペプチドは、タンパク質を産生する酵母菌と異種でも同種でもよい。本発明のDNA構築物とともに使用できる多数のシグナルペプチドには、酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド又は任意の機能的な類縁体(Egel−Mitani等(1990)YEAST 6:127〜137及び米国特許第5,726,038号)及びMFα1遺伝子のα因子シグナル(Thorner(1981)、“The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae”、Strathern等編、Cold Spring Harbor Laboratory、NY中のpp143〜180及び米国特許第4,870,00号)が含まれる。
「プロペプチド」という語は、発現されたポリペプチドが小胞体からゴルジ装置、さらには培地中に分泌するための分泌小胞に誘導(すなわち、細胞壁を横切って又は少なくとも細胞膜を通って酵母細胞の細胞膜周辺腔内へポリペプチドが移出)されるようにする機能を有するポリペプチド配列を意味する。プロペプチドは、酵母α因子プロペプチドとすることができる(米国特許第4,546,082号及び同4,870,008号参照)。あるいは、プロペプチドを合成プロペプチド、すなわち天然には見られないプロペプチドとすることができる。適切な合成プロペプチドは、米国特許第5,395,922号、同5,795,746号、同5,162,498号及び国際公開第98/32867号に開示されたものである。プロペプチドは、好ましくは、Lys−Arg配列又はその機能的な任意の類縁体などのエンドペプチダーゼ処理部位をC末端に含む。
本発明のポリヌクレオチド配列は、確立された標準法、例えばBeaucage等(1981)Tetrahedron Letters 22:1859〜1869に記載された亜リン酸アミダイト法、又はMatthes等(1984)EMBO Journal 3:801〜805に記載された方法によって合成して調製することができる。亜リン酸アミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドが例えば自動DNA合成装置で合成され、精製され、二重鎖にされ、連結されて合成DNA構築物が形成される。DNA構築物を調製する現時点で好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である。
本発明のポリヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA及び合成由来のものの混合物でもよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノム又はcDNA配列を、A鎖及びB鎖をコードするゲノム又はcDNA配列に結合させ、その後所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドをこのDNA配列のある部位に挿入して改変し、周知の手順に従って相同組換えすることができ、又は好ましくは適切なオリゴヌクレオチドを用いたPCRによって所望の配列を生成することができる。
本発明は、選択した微生物又は宿主細胞中で複製可能であり、且つ本発明のインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を担持するベクターを包含する。組換えベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の存在物(entity)として存在するベクターとすることができ、その複製は染色体の複製とは無関係であり、例えば、プラスミド、細胞外エレメント、微小染色体又は人工染色体などである。ベクターは、自己複製を確実にするあらゆる手段を備えることができる。あるいは、ベクターを、宿主細胞に導入されたときに、ゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製されるベクターとすることができる。また、単一のベクター若しくはプラスミド、又はともに宿主細胞のゲノム中に導入しようとする全DNAを含む2つ以上のベクター若しくはプラスミド、又はトランスポゾンを使用することができる。ベクターは、線状プラスミドでも閉環状プラスミドでもよく、好ましくは、宿主細胞のゲノム中へのベクターの安定な組み込み、又は、ゲノムとは無関係な細胞内でのベクターの自己複製を可能とするエレメントを含む。
好ましい実施態様では、組換え発現ベクターは酵母中で複製可能である。酵母中でのベクターの複製を可能にする配列の例は、酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1〜3及び複製起点である。
本発明のベクターは、好ましくは、トランスフォームされた細胞を容易に選択できるようにする1以上の選択マーカーを含む。選択マーカーは、殺生物剤又はウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に原栄養性などをその産物が与える遺伝子である。細菌選択マーカーの例は、Bacillus subtilis又はBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、又はアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を付与するマーカーである。糸状菌宿主細胞中で使用される選択マーカーは、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)などである。酵母宿主細胞に適切なマーカーはADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1及びURA3である。酵母の好ましい選択マーカーは、Schizosaccharomyces pompe TPI遺伝子(Russell(1985)Gene 40:125〜130)である。
ベクターでは、ポリヌクレオチド配列が適切なプロモーター配列に作用可能に連結されている。プロモーターは、突然変異体、短縮されたプロモーター及びハイブリッドプロモーターを含めて最適な宿主細胞中で転写活性を示す任意の核酸配列とすることができ、宿主細胞に対して同種又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
細菌宿主細胞中で転写を誘導する適切なプロモーターの例は、E.coli lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファアミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファアミラーゼ遺伝子(amyQ)及びBacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)から得られるプロモーターである。糸状菌宿主細胞中で転写を誘導する適切なプロモーターの例は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファアミラーゼ及びAspergillus niger酸安定型アルファアミラーゼに対する遺伝子から得られるプロモーターである。酵母宿主では、有用なプロモーターは、Saccharomyces cerevisiae Ma1、TPI、ADH又はPGKプロモーターである。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、通常、適切なターミネーターにも作用可能に連結されている。酵母では、適切なターミネーターは、TPIターミネーター(Alber等(1982)J.Mol.Appl.Genet.1:419〜434)である。
本発明のポリヌクレオチド配列、プロモーター及びターミネーターそれぞれを連結し、選択した宿主中で複製するのに必要な情報を含む適切なベクター中にそれらを挿入するのに使用する手順は、当業者には周知である。ベクターは、本発明のインシュリン前駆体をコードするDNA配列全体を含むDNA構築物をまず調製し、続いてこの断片を適切な発現ベクター中に挿入するか、(シグナル、プロペプチド、ミニC−ペプチド、A鎖及びB鎖などの)個々のエレメントに対する遺伝情報を含むDNA断片を順次挿入してその後連結するかして構築することができることを理解されたい。
本発明は、本発明のインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞にも関する。このようなポリヌクレオチド配列を含むベクターを、このベクターが前述した染色体構成要素又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように宿主細胞中に導入する。「宿主細胞」という語は、複製中に起こる突然変異のために親細胞とは同一でない、親細胞のあらゆる子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞微生物、例えば、原核生物又は非単細胞微生物、例えば、真核生物とすることができる。有用な単細胞は、Bacillus細胞、Streptomyces細胞を含むグラム陽性細菌又はE.coli及びPseudomonas種などのグラム陰性細菌などの細菌細胞であるが、これらに限定されない。真核生物細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞又は真菌細胞とすることができる。好ましい実施態様では、宿主細胞は酵母細胞である。本発明の方法に使用する酵母菌は、培養によって多量の本発明のインシュリン前駆体及びインシュリン前駆体類縁体を産生する任意の適切な酵母菌とすることができる。適切な酵母菌の例は、酵母種Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Sacchoromyces uvarum、Kluyveromyces lactis、Hansenula polymorpha、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、Yarrowia lipolytica、Candida種、Candida utilis、Candida cacaoi、Geotrichum種及びGeotrichum fermentansから選択される菌株である。
酵母細胞のトランスフォーメーションは、例えば、それ自体公知の方法でプロトプラストを形成した後にトランスフォーメーションすることによって実施することができる。細菌を培養するのに使用する培地は、酵母菌を増殖させるのに適切な任意の慣用培地とすることができる。本発明の分泌インシュリン前駆体は、そのかなりの部分が培地中に正確に処理された形で存在し、遠心分離、ろ過によって酵母細胞を培地から分離し、又はイオン交換マトリックス若しくは逆相吸収マトリックスによってインシュリン前駆体を補足し、上清のタンパク質成分を沈殿させ又は塩、例えば硫酸アンモニウムを用いてろ過し、その後様々なクロマトグラフィ操作、例えばイオン交換クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィなどによって精製することを含めて、従来の手順によって培地から回収することができる。
本発明のインシュリン前駆体は、米国特許第5,395,922号及び欧州特許第765,395A号(両方の特許を参照により本明細書に組み込む)に記載されているように、N末端アミノ酸残基伸長部分とともに発現させることができる。この伸長部分は発酵中本発明のインシュリン前駆体に安定に結合し、インシュリン前駆体又はインシュリン前駆体類縁体のN末端をDPAPなどの酵母プロテアーゼのタンパク質分解活性から保護することが判明している。インシュリン前駆体にN末端伸長部分が存在することで、タンパク質の化学処理中にN末端アミノ基の保護として働くこともでき、すなわちBOC(t−ブチル−オキシカルボニル)の置換基又は類似の保護基として働くことができる。N末端伸長部分は、塩基性アミノ酸(例えば、Lys)に特異的なタンパク質分解酵素によって末端伸長部分をLys残基で切り離して、回収したインシュリン前駆体から除去することができる。このようなタンパク質分解酵素の例は、トリプシン又はAchromobacter lyticusプロテアーゼである。
培地への分泌及び回収後に、本発明のインシュリン前駆体を様々なインビトロでの操作にかけて存在し得るN末端伸長配列及びミニC−ペプチドを除去してdesB30インシュリンを生成する。次いで、B30位にThrを付加してDesB30インシュリンをヒトインシュリンに転化することができる。米国特許第4,343,898号又は同4,916,212号又はResearch Disclosure、1994年9月/487(これらの開示物を参照により本明細書に組み込む)に記載されたように、インシュリン前駆体のヒトインシュリンへの転化は、L−トレオニンエステルの存在下でトリプシン又はAchromobacter lyticusプロテアーゼを用いて適切な酵素転化を行い、その後塩基又は酸加水分解によってインシュリンのトレオニンエステルをインシュリンに転化して行う。米国特許第5,750、497号及び米国特許第5,905,140号(これらの開示物を参照により本明細書に組み込む)に開示されたように、DesB30インシュリンはアシル化誘導体にも転化することができる。
以下に記述するように、少なくとも1つのProを特徴とし、合成C−ペプチドを含むインシュリン前駆体を構築した。特許請求の範囲に記載したインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含むSaccharomyces cerevisiae発現プラスミドをPCRで構築し、それを使用してS.cerevisiae宿主細胞をトランスフォームした。発現産物の量を、発現した対照の量に対する百分率として測定した。本発明の新規なC−ペプチドは、最高100%まで収率を増加させた。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらは特許請求した本発明の範囲を決して限定するものではない。添付の図は、本発明の明細書及び記載の一部分とみなすべきものである。引用したすべての参考文献のそこに記載されているすべてを参照により本明細書に組み込む。
一般的な手順
発現プラスミドはすべて欧州特許第171,142号に記載のものに類似したC−POTタイプであり、S.cerevisiae中でのプラスミドの選択及び安定化のためにSchizosaccharomyces pombeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含むことを特徴とする。このプラスミドは、S.cerevisiaeトリオースリン酸イソメラーゼプロモーター及びターミネーターも含む。これらの配列は、リーダーとインシュリン前駆体産物の融合タンパク質をコードするEcoRI−XbaI断片の配列以外のすべての配列が(国際公開第90/100075号に記載の)プラスミドpKFN1003の対応する配列に類似している。異なる融合タンパク質を発現するために、対象となるリーダー−インシュリン前駆体融合物をコードするEcoRI−XbaI断片でpKFN1003のEcoRI−XbaI断片を単純に置き換える。このようなEcoRI−XbaI断片を、標準技術に従い合成オリゴヌクレオチド及びPCRを用いて合成することができる。
宿主菌株S.cerevisiae菌株MT663(MATa/MATα pep4−3/pep4−3 HIS4/his4 tpi::LEU2/tpi::LEU2 Cir)のトランスフォーメーションによって酵母の形質転換体を調製した。国際公開第92/11378号の出願に関連して酵母菌株MT663をDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託し寄託番号DSM6278を受けた。
MT663は、YPGaL(1%Bacto酵母エキス、2%Bactoペプトン、2%ガラクトース、1%ラクテート)上で増殖して600nmでのO.D.が0.6になった。培養物100mlを遠心分離により収集し、水10mlで洗浄し、再び遠心分離し、1.2Mソルビトール、pH=8.0の25mMNaEDTA及びジチオスレイトール6.7mg/mlを含有する溶液10mlに再懸濁した。この懸濁液を30℃で15分間インキュベートし、遠心分離し、細胞を1.2Mソルビトール、10mMNaEDTA、0.1Mクエン酸ナトリウム、pH05.8及びNovozym(登録商標)234 2mgを含有する溶液10mlに再懸濁した。この懸濁液を30℃で30分間インキュベートし、細胞を遠心分離により回収し、1.2Mソルビトール10ml及びCAS(1.2Mソルビトール、10mMCaCl、10mMトリスHCl(トリス=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)pH=7.5)10mlで洗浄し、CAS2mlに再懸濁した。トランスフォーメーションするために、CASに懸濁した細胞1mlをプラスミドDNA約0.1mgと混合し、室温で15分間放置した。(20%ポリエチレングリコール4000、10mMCaCl、10mMトリスHCl、pH=7.5)1mlを添加し、この混合物をさらに30分間室温で放置した。この混合物を遠心分離し、固形物をSOS(1.2Mソルビトール、33%v/vYPD、6.7mMCaCl)0.1mlに再懸濁し、30℃で2時間インキュベートした。次いで懸濁液を遠心分離し、固形物を1.2Mソルビトール0.5mlに再懸濁した。次いで、1.2Mソルビトールと2.5%寒天を含有する52℃の上層寒天(Sherman等(1982)“Methods in Yeast Genetics”、Cold Spring Harbor LaboratoryのSC培地)6mlを添加し、同じ寒天で凝固したソルビトール含有培地を含むプレート上にこの懸濁液を注いだ。
発現プラスミドでトランスフォームしたS.cerevisiae菌株MT663を、YPD中72時間30℃で増殖させた。培養上清中のインシュリン前駆体収率を、外部標準としてヒトインシュリンを用いて逆相HPLC分析により定量した(Snel&Damgaard(1988)Proinsulin heterogenity in pigs.Horm.Metabol.Res.20:476〜488)。
プレペプチド(シグナルペプチド)及びプロペプチドからなるリーダー配列を伴うインシュリン前駆体からなる融合タンパク質をコードする合成遺伝子を、標準条件下のPCR(Sambrook等(1989)Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratory Press)及びE.H.F.ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim GmbH、Sandhoefer Strasse 116、Mannheim、Germany)を用いて作製した。得られたDNA断片を単離し、エンドヌクレアーゼで消化し、Gene Cleanキット(Bio101 Inc.、La Jolla、CA、USA)を用いて精製した。標準方法を用いてDNAを連結し、E.coli細胞のトランスフォーメーションをCaCl法によって実施した(Sambrook等(1989)同上)。QIAGENカラム(QIAGEN、Hilden、Germany)を用いて、トランスフォームしたE.coli細胞からプラスミドを精製した。ALF Pharmacia Biotech DNA配列決定システムを使用しテンプレートとして精製した二本鎖プラスミドDNAを用いてヌクレオチド配列を決定した。PCR用のオリゴヌクレオチドプライマーをDNA technology(Arhus、Denmark)から入手した。
インシュリン前駆体の分泌は、TA57リーダー又はTA39リーダーによって促進されたが(Kjeldsen等、1998.Protein Expression Purif.14、309〜316)、様々な既知の酵母リーダー配列を使用することができる。
図1及び2に示すように、TA57リーダー−EEGEDK(配列番号1)−インシュリン前駆体融合タンパク質を発現するpAK855 S.cerevisiae発現プラスミドを、S.cerevisiae−E.coliシャトルPOTプラスミドに基づいて作製した(米国特許第5,871,957号)。図1で、L−IPはリーダー−インシュリン前駆体融合タンパク質をコードする融合タンパク質発現カセットを示し、TPI−PROMOTORはS.cerevisiaeTP/1プロモーターであり、TPI−TERMINATORはS.cerevisiaeTP/1ターミネーターであり、TPI−POMBEはS.cerevisiaeにおける選択に使用されるS.pombePOT遺伝子を示し、ORIGINは2μmプラスミドから誘導されるS.cerevisiae複製起点を示し、AMP−Rはアンピシリン耐性を付与しE.coliにおける選択を容易にするβ−ラクタマーゼ遺伝子を示し、ORIGIN−PBR322はE.coli複製起点を示す。
異なるミニC−ペプチドとともにリーダー配列とインシュリン前駆体の多数の融合タンパク質をコードするDNAを、プライマーとして適切なオリゴヌクレオチドを用いてPCRにより下記のようにして作製した。標準法を用いて、リーダー−インシュリン前駆体−融合タンパク質をコードするDNA断片を、以下の構造、すなわち、リーダー−Lys−Arg−スペーサー−インシュリン前駆体(Lys−Argは、二塩基性エンドプロテアーゼ処理候補部位及びスペーサーはN末端伸長部分である)で、CPOT発現ベクター中にサブクローニングした。S.cerevisiae Kex2エンドプロテアーゼによる融合タンパク質の処理を最適にするため、スペーサーペプチド(N末端伸長部分)、例えばEEGEPK(配列番号1)をコードするDNAを、リーダーとインシュリン前駆体をコードするDNAの間に挿入した(Kjeldsen等 1999b.J.Biotechnology、75,195〜208)。しかし、スペーサーペプチドは必ずしも存在する必要はない。インシュリン前駆体は、LysB29とGlyA1を連結するミニC−ペプチドを含むN末端が伸長された単鎖インシュリン前駆体として分泌された。インシュリン前駆体を精製しN末端伸長部分及びミニC−ペプチドをタンパク質分解により除去した後、酵素によって媒介されたペプチド転移によってアミノ酸ThrB30をLysB29に付加して、ヒトインシュリンを生成することができる(Markussen等(1987)、「Peptides 1986」(Theodoropoulos、D.編)、Walter de Gruyter&Co.、Berlin中のpp.189〜194)。
ミニC−ペプチド中のアミノ酸をコードする1以上のコドンをランダム化して合成ミニC−ペプチドの開発を行った。合成ミニC−ペプチドは、一般に、合成ミニC−ペプチドの酵素による除去を可能にするC末端の酵素処理部位(Lys)を特徴とする。合成ミニC−ペプチドの1以上の位置のコドンを変化させたドープ化オリゴヌクレオチド(doped oligonucleotides)を用いてランダム化を実施した。通常、PCRに用いた2つのプライマー(オリゴヌクレオチド)のうち1つがドープされた。一般式Xaa−Pro−Lys(XPK)を有する合成ミニC−ペプチドを生成するために使用したランダム化合成ミニC−ペプチドを含むリーダー−インシュリン前駆体のPCR生成に使用するオリゴヌクレオチドペアの例は、以下の通りである。
プライマーA:
5’−TTGCTTAAATCTATAACTAC−3’(配列番号4)
プライマーB:
5’−TTAGTTTCTAGACTAGTTGCAGTAGTTTTCCAATTGGTACAAGGAGCAGATGGAGGTACAGCATTGTTCGACAATACCCTTTGGMNNCTTAGGAGTGTAGAAGAA−3’(配列番号5)
N=ACTG
M=AC
ポリメラーゼ連鎖反応法。PCRを一般に以下に示すように実施した。プライマーA(20pmol)5μl、プライマーB(20pmol)5μl、10×PCR緩衝液10μl、dNTP混合物8μl、E.H.F.酵素0.75μl、テンプレートとしてpAK855プラスミド1μl(DNA約0.2μg)及び蒸留水70.25μl。
通常10〜15サイクルを実施し、1サイクルは通常95℃45秒、55℃1分、72℃1.5分であった。続いてPCR混合物を2%アガロースゲル上に載せ、標準技術により電気泳動を実施した。得られたDNA断片をアガロースゲルから切り出し、Gene Cleanキットで単離した。
図2に、PCR用テンプレートとして使用したpAK855DNA発現カセットのヌクレオチド配列及びコードされた融合タンパク質(TA57−リーダー−EEGEPK(配列番号1)−pAK855のインシュリン前駆体(配列番号2及び3))の推測されるアミノ酸を示す。
融合タンパク質TA39リーダー−EEGEEPK(配列番号1)−インシュリン前駆体をコードする同様の発現カセット
標準技術に従って、精製したPCR DNA断片を水と制限エンドヌクレアーゼ緩衝液に溶解し、適切な制限エンドヌクレアーゼ(例えばBgl II及びXba I)で消化した。BglII−XbaI DNA断片をアガロース電気泳動にかけ、The Gene Clean Kitを用いて精製した。
消化され単離されたDNA断片を、T4 DNAリガーゼ及び標準条件を用いて適切な(例えば、CPOTタイプの)ベクターとともに連結した。続いて連結混合物をコンピテントなE.coli菌株にトランスフォームし、その後アンピシリン耐性を用いて選択した。得られたE.coli菌株からQIAGENカラムを用いてプラスミドを単離した。
次いで、このプラスミドを用いて適切なS.cerevisiae宿主菌株、例えば、MT663(MATa/MATα pep4−3/pep4−3 HIS4/his4 tpi::LEU2/tpi::LEU2 Cir)をトランスフォーメーションした。個々のトランスフォームされたS.cerevisiaeクローンを液体培養で増殖させ、培養上清に分泌されたインシュリン前駆体の量をRP−HPLCで測定した。次いで、量の増したインシュリン前駆体を分泌するS.cerevisiaeクローン由来の発現プラスミドの合成ミニC−ペプチドをコードするDNA配列を決定した。続いて、同定した合成ミニC−ペプチド配列を別の一連のランダム化による最適化にかけることもできる。
表1は、上記方法により生成されたインシュリン前駆体及び対照に対する百分率で表した産生収率を示す。YPD5ml中で30℃72時間発酵を行った。インシュリン前駆体の収率を培養上清のRP−HPLCにより測定し、ミニC−ペプチド Ala−Ala−LysによってB29残基がA1残基に連結されたリーダー−インシュリン前駆体融合タンパク質を発現する対照菌株の収率に対して表示した。YAP3はYAP3シグナル配列である。配列EEGEPK(配列番号1)はB鎖へのN末端伸長部分であり、TA57は合成プロ配列
QPIDDTESQTTSVNLMADDTESAFATQTNSGGLDVVGLISMAKR(配列番号6)である。
Figure 0004855640
実施例1に記載した手順と類似した手順によって、合成リーダーTA37 QPIDDTESNTTSVNLMADDTESRFATNTTLAGGLDVVNLI−SMAKR(配列番号7)及びYAP3シグナル配列の制御下にありミニC−ペプチド中にProを含むインシュリン前駆体を酵母宿主MT663中で発現させた。前駆体はすべてN−末端伸長部分EEGEPK(配列番号1)を含んでいた。対照と比較した発現収率の増加を表2に示す。
Figure 0004855640
実施例1に記載した手順と類似した手順によって、α因子リーダー配列の制御下にありミニC−ペプチド中にProを含むインシュリン前駆体を酵母宿主MT663中で発現させた。N−末端伸長部分EEAEAEAPK(配列番号12)を含むインシュリン前駆体と含まないインシュリン前駆体が発現した。対照と比較した発現収率の増加を表3に示す。
Figure 0004855640
TA57リーダー−EEGEPK(配列番号1)−B(1−29)−AlaAlaLys−A(1−21)前駆体を発現するpAK855 S.cerevisiae発現プラスミドを示す図である。 pAK855酵母発現プラスミドの発現カセットのヌクレオチド配列及び推測されるアミノ酸配列(配列番号2及び3)を示す図である。

Claims (4)

  1. desB30ヒトインシュリン又はヒトインシュリンを作製するための方法であって:
    (i)以下の式を有するインシュリン前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を含む酵母細胞を、前記インシュリン前駆体の発現に適した培養条件下で培養すること;
    B(1−29)−X−Y−A(1−21)
    ここで、
    B(1−29)は、B30アミノ酸残基を欠失したヒトインスリンのB鎖であり、
    は、GlnPro、ThrPro、GluPro、GlyPro、MetPro、SerPro、AspPro、SerAspPro、AsnAspPro、GluAspPro、およびAlaAspProからなる群より選択されるペプチド配列であり、
    Yは、Lysであり、
    A(1−21)は、ヒトインスリンのA鎖である
    (ii)前記インシュリン前駆体を培地から単離すること;及び
    (iii)インビトロでの化学的転化又は酵素による転化によって、前記インシュリン前駆体をdesB30ヒトインシュリン又はヒトインシュリンに転化すること
    を含む方法。
  2. がGluProである、請求項1に記載の方法。
  3. がAspProである、請求項1に記載の方法。
  4. がGlnProである、請求項1に記載の方法。
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