JP4853972B2 - 分子インプリント微粒子を用いた試料中の標的分子検出方法 - Google Patents

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本発明は、分子インプリント微粒子を用いた試料中の標的分子検出方法に関するものであり、詳しくは、分子インプリント微粒子と、標的分子またはその誘導体の単分子層を有する分子集積体との相互作用の検出により試料中の標的分子を検出する方法に関するものである。
標的分子を特異的に認識できる人工レセプター合成法の1つとして、モレキュラーインプリント法(MI法)が知られている。MI法とは、認識対象である分子(標的分子)を鋳型として、その標的分子に選択性のある結合部位(標的分子認識部位)を人工的に材料中に構築する方法である。
MI法を用いて合成されるポリマーはモレキュラーインプリントポリマー(MIP)と呼ばれる。MIPは、鋳型分子(標的分子あるいはその誘導体)と機能性モノマー(鋳型分子に対して特異的に相互作用する部位とビニル基などの重合可能な官能基とを持つ分子)とを架橋剤とともにラジカル重合させ、鋳型分子をポリマー内から除去することによって構築される(非特許文献1参照)。
MIPによって認識される標的分子としては、除草剤、薬物、殺虫剤、タンパク質やペプチド、コレステロール、染料、炭水化物などが報告されており、MIPは標的分子認識技術として有用であることが示されている。
また、MIPは、種々の検出手段と組合わせてセンサーとして適用できることが報告されている。例えば、水晶振動子化学計測装置(非特許文献2参照)、表面プラズモン共鳴計測装置(非特許文献3参照)、電極(非特許文献4参照)などが挙げられる。
一方、近年のポリマー微粒子合成技術の革新により、ポリマー微粒子は、より高度かつ精密に、粒子径・形態・粒子組成・粒子表面の制御が可能となっており、MIPについても微粒子化が試みられている(非特許文献5参照)。
蒲池幹治、遠藤剛監修者、『ラジカル重合ハンドブック』(1999)エヌティーエス Kugimiya, A.,Yoneyama, H., Takeuchi, T. Sialic Acid Imprinted Polymer-Coated Quartz CrystalMicrobalance, Electroanalysis 2000, 12, 1322-1326. Matsunaga, T.,Hishiya, T., Takeuchi, T., Surface Plasmon Resonance Sensor for Lysozyme Basedon Molecularly Imprinted Thin Films, Anal. Chim. Acta 2007, 591, 63-67. Shoji, R.,Takeuchi, T., Kubo, I. Atrazine Sensor Based on Molecularly Imprinted PolymerModified Gold Electrode, Anal. Chem. 2003, 75, 4882-4886. Silvestri, D.,Borrelli, C., Giusti, P., Cristallini, C., Ciardelli, G., Polymeric devicescontaining imprinted nanospheres: a novel approach to improve recognition inwater for clinical uses, Anal. Chim. Acta 2005, 542, 3-13.
上述のように、ポリマー微粒子合成技術の進歩により、粒子径の揃ったナノサイズ(平均粒子計が1μm未満)の分子インプリント微粒子を、簡便かつ安価に合成できるようになっている。このような分子インプリント微粒子は、従来のMIPポリマーを機械的に粉砕して得られる微粒子と比較して比表面積が増大しているので、効果的に標的分子と相互作用することができると考えられる。したがって、これらの特徴を十分に活かすことにより、ナノサイズ(平均粒子計が1μm未満)の分子インプリント微粒子を用いた新規なセンシングシステム(検出系)の構築が期待できる。すなわち、ナノサイズ(平均粒子計が1μm未満)の分子インプリント微粒子を用いた新規なセンシングシステム(検出系)を構築することが、本研究分野の課題となっている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ナノサイズ(平均粒子計が1μm未満)の分子インプリント微粒子を利用した新規な標的分子の検出方法を提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサー基板表面に標的分子誘導体を集積させ、分子インプリント微粒子を送液すれば、分子インプリント微粒子が標的分子誘導体集積基板と相互作用し、これによりSPRスペクトルが変化することを利用して試料中の標的分子を検出できることを見出した。さらに、本発明者は蛍光性の分子インプリント微粒子が、表面に標的分子誘導体を集積させた金微粒子と相互作用することにより、分子インプリント微粒子と標的分子誘導体集積金微粒子間の光エネルギーの吸収と放出挙動を利用して試料中の標的分子を検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る試料中の標的分子検出方法は、試料中の標的分子を検出する方法であって、以下の(A)と(B)との相互作用を検出することを特徴とする。
(A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子
(B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、単分子層に分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体
本発明に係る試料中の標的分子検出方法において、分子集積体は、基板の表面に単分子層が形成されていることが好ましい。また、分子集積体は、溶媒に分散可能な微粒子の表面に単分子層が形成されていることが好ましい。
また、分子集積体は、光エネルギーを吸収または放出することが好ましい。一方、分子インプリント微粒子は、分子集積体が光エネルギーを吸収するときは光エネルギーを放出し、分子集積体が光エネルギーを放出するときは光エネルギーを吸収することが好ましい。より好ましい組み合せは、分子インプリント微粒子は蛍光を発光し、分子集積体は分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子の蛍光を消光する、または分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積体自身がさらに蛍光を発光することである。逆に、分子集積体は蛍光を発光し、分子インプリント微粒子は分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積体の蛍光を消光する、または分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子自身がさらに蛍光を発光するものでもよい。
本発明に係る試料中の標的分子検出方法は、試料と前記分子インプリント微粒子と前記分子集積体とを接触させる試料接触工程を包含することを特徴とする。
本発明に係る試料中の標的分子検出キットは、試料中の標的分子を検出するための試薬キットであって、以下の(A)および(B)を備えることを特徴とする。
(A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子
(B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、単分子層に分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体
本発明によれば、ナノサイズ(平均粒子計が1μm未満)の分子インプリント微粒子と、標的分子またはその誘導体の単分子層を有する分子集積体とを利用した新規な標的分子の検出方法を提供することができる。本発明に係る試料中の標的分子検出方法は、種々の検出手段に適用することができ、応用範囲が広いという効果を奏する。
まず、本発明の完成に至る背景を簡単に説明する。
本発明者は、生体分子の機能を人工的に模倣するバイオミメティック技術を開発すべく、モレキュラーインプリント法により構築した標的分子認識構造体を用いたセンシングについて鋭意研究を行っている。今回、本発明者は、女性ホルモン様作用を示す内分泌攪乱物質として知られているビスフェノールA(以下「BPA」と記す)を標的分子とする分子インプリント微粒子を合成し、この分子インプリント微粒子と標的分子であるBPAとの相互作用を表面プラズモン共鳴(以下「SPR」と記する)スペクトルの変化として検出することを試みた。
最初に、本発明者は、SPRガラス基板表面にBPA認識分子インプリント微粒子を自己集積させた基板を作製し、これをSPR測定基板としてSPR測定装置にセットし、BPA溶液を送液してSPRスペクトルの変化を観察した。しかしながら、SPRスペクトルの変化はほとんど観察されなかった。また、BPAと非特異的に吸着することが知られている物質を基板に用いた場合も同様にSPRスペクトルの変化が観察されなかった。これらの結果から、基板表面のBPA認識分子インプリント微粒子にBPAが吸着しないのではなく、BPA吸着による基板表面の質量変化(密度変化)が小さすぎるため、SPRスペクトルの変化として捕らえることができないことが明らかとなった。この結果は、基板表面の密度変化による誘電率変化が共鳴波長に影響するというSPRの原理上妥当であり、今回のターゲットであるBPA(Mw=228)は分子量が小さすぎるため、SPRによる検出対象として不適当であるものと考えられた。
そこで、本発明者は、基板表面にBPA誘導体を集積させたSPR測定基板を作製してこれをSPR測定装置にセットし、BPA認識分子インプリント微粒子溶液を送液することを試みた。その結果、基板への分子インプリント微粒子の吸着をSPRスペクトルの変化として検出できることを見出した。また、BPA認識分子インプリント微粒子を、BPAを含む試料に加えて放置した後に送液したときのSPRスペクトルの変化は、BPA認識分子インプリント微粒子のみを送液した場合と異なることを見出した。これにより、低分子量のBPAをSPRスペクトルの変化として検出できる、新たな標的分子の検出方法を完成させた(後段の実施例2参照)。
さらに、上述の分子インプリント微粒子と標的分子またはその誘導体の単分子層を有する分子集積体とを用いる検出系において、SPR測定装置等の高価な装置を使用しなくても標的分子を検出できる方法を開発すべく研究を行った。なぜなら、SPR測定装置のような高価な装置を保有する施設は限られており、誰もが容易に実施できるものではないからである。
そこで、本発明者は、蛍光性のBPA認識分子インプリント微粒子と表面にBPA誘導体を集積させた金微粒子を用いることを試みた。金微粒子は、蛍光消光剤として、蛍光色素近傍に存在したとき消光反応を示すことが知られているからである(例えば、以下の参考文献を参照のこと。O.Yen-Yu, H.Michael, J.Phys.Chem ,2006,110,2031. C.Fabio,
C.Giuseppe, B.Anna, C.Salvatore, J.Phys.Chem ,2006,110,16491. N.Kato, F.Caruso,
J.Phys.Chem ,2005,109,19604. H.Cheng, D.Silvester, G.Wang, G.Kalyuzhny,
A.Douglas, R.Murry,J.Phys.Chem ,2006,110,4637.)。その結果、蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子溶液にBPA集積金微粒子を添加することによりBPA集積金微粒子が蛍光性分子インプリント微粒子に吸着し、蛍光性分子インプリント微粒子の蛍光が消光することを見出した。これにより、分子インプリント微粒子と標的分子またはその誘導体の単分子層を有する分子集積体とを用いる検出系において、高価な測定機器を使用しないでも、光エネルギーの放出と吸収を利用することで標的分子の検出が可能であることが示された(後段の実施例3参照)。
以下、本発明に係る試料中の標的分子検出方法ついて詳細に説明する。
〔標的分子の検出方法〕
本発明に係る試料中の標的分子検出方法(以下「本発明に係る検出方法」と記す)は、試料中の標的分子を検出する方法であって、(A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子と、(B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、当該単分子層に前記分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体との相互作用を検出するものである。
本発明に係る検出方法に用いられる分子インプリント微粒子は、分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満であればよい。したがって、その素材は、分子インプリント法を適用して標的分子認識部位が構築でき、かつ、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の微粒子を形成し得るものであればよく、具体的には、例えば、有機ポリマー、無機ポリマー、金属酸化物などが挙げられる。なお、「分子インプリント法」は、認識対象である分子(標的分子)を鋳型として、その標的分子に選択性のある結合部位(標的分子認識部位)を人工的に材料中に構築する方法を意味する。
有機ポリマーを素材としたものは、標的分子あるいはその誘導体や類似化合物を鋳型分子としてラジカル重合反応時に共存させることにより得ることができる。無機ポリマーを素材にしたものは、標的分子あるいはその誘導体や類似化合物を鋳型分子としてゾル-ゲル反応時に共存させることにより得ることができる。(Lee, S.W.,
Ichinose, I., Kunitake, T., Enantioselective binding of amino acid
derivatives onto imprinted TiO2 ultrathin films. Chem. Lett. 2002, 678-679.)金属酸化物を素材としたものは、標的分子あるいはその誘導体や類似化合物を鋳型分子として、金属酸化物膜の製膜法の1種である液相析出法を用いることで得ることができる(Feng, L., Liu, Y., Hu, J., Langmuir 2004, 20, 1786.)。これらの方法は、重合反応時に鋳型分子に対して相補的に相互作用する分子認識部位を、ポリマー合成と同時に構築する方法である。より詳細には、まず、標的分子あるいはその誘導体や類似化合物と結合可能な官能基および重合可能な官能基を併せ持つ機能性モノマーを標的分子と結合させて、標的分子/機能性モノマー複合体を形成させる。なお、この複合体を形成するための結合は、切断可能であれば共有結合でも非共有結合でもかまわない。次に、この標的分子/機能性モノマー複合体に架橋剤および重合開始剤を加え、重合反応を行なう。これにより鋳型分子の形状ならびに相互作用点の配置を記憶した有機高分子が得られる。最後に、得られた高分子より鋳型分子を切断除去することにより、鋳型分子と基質特異的に相互作用する分子認識部位を有する高分子(分子インプリントポリマー)が得られる。なお、分子インプリントポリマーの合成方法については、例えば、参考文献「Komiyama, M., Takeuchi, T., Mukawa, T., Asanuma, H. "Molecular
Imprinting", WILEY-VCH, Weinheim, 2002.」の記載を参照すればよい。
分子インプリント微粒子を得る方法としては、機械的に粉砕して微粒子を得る方法と、核を成長させて微粒子を得る方法の2つに大別される。機械的に粉砕する場合、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機、ジェット気流式粉砕機などの公知の粉砕機が使用できる。得られた粉砕物(微粒子)は、必要により篩別して粒度調製することができる。
分子インプリントポリマーの微粒子を得る方法としては、例えば、沈殿重合法、分散重合法、乳化重合法、シード乳化重合法などを挙げることができる(参考文献:蒲池幹治、遠藤剛監修者、『ラジカル重合ハンドブック』(1999)エヌティーエス、G. Schmid Ed. Nanoparticles,
Wiley-VCH (2004)を参照)。本発明者は、ポリスチレン粒子をシード(種)とするシード乳化重合法により、BPA認識分子インプリントポリマー微粒子を合成している(後段の実施例1参照)。
本発明に係る検出方法に用いられる分子インプリント微粒子は、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満である。ここで、「動的光散乱法」とは、粒子が分散している溶液にレーザー光を当て、その散乱光変化を測定したときに検出される粒子のブラウン運動に依存した散乱光度の揺らぎに基づいて、粒子の大きさ(粒子径)を導き出す方法である。動的光散乱法に基づく粒子径測定装置は各社から市販されており(大塚電子、シスメックス、ベックマン・コールターなど)、本発明に係る検出方法に用いられる分子インプリント微粒子の平均粒子径測定に好適に用いることができる。
平均粒子径が1μm未満であれば、分子インプリント微粒子は、溶媒(液体の分散媒)中で均一に分散することができる。平均粒子径の下限は特に限定されず、凝集が生じない限りにおいて小さいほうが好ましい。分散性と取り扱いの容易さの観点から、分子インプリント微粒子の平均粒子径は100nm〜500nmが好ましい。
本発明に係る検出方法の検出対象である標的分子は特に限定されず、薬剤等の低分子化合物からタンパク質などの高分子化合物まで広範囲の分子を標的分子とすることができる。好ましい標的分子としては、生体分子が挙げられる。生体分子は生物中に存在する分子であればよい。生体分子を標的とすることにより、病気の診断、臨床検査、生物学の基礎研究などに利用可能な標的分子の検出方法を提供することができる。
本発明に係る検出方法を適用する試料は、標的分子を含み得るものであればよい。試料の形態は特に限定されず、液体、個体、粒状体、粉状体、流動体、組織切片などの形態を挙げることができる。生体分子を標的とする場合は、動物および植物の生体構成成分を好適に用いることができる。ヒトを含む動物由来の試料としては、例えば血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、膿、粘液、鼻水、喀痰、尿、糞便、腹水等の体液類、皮膚、肺、腎、粘膜、各種臓器、骨等の組織、鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨等を洗浄した後の洗浄液、透析排液などを挙げることができる。
本発明に係る検出方法に用いられる分子集積体は、標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、当該単分子層に(A)の分子インプリント微粒子が結合可能であるものであればよい。標的分子またはその誘導体の単分子層は、基板の表面、または溶媒に分散可能な微粒子の表面に形成されていることが好ましい。基板および溶媒に分散可能な微粒子については後述する。この単分子層は分子集積体の表面の全部に形成されていてもよく、表面の一部に形成されていてもよい。なお、「標的分子またはその誘導体の単分子層」とは、標的分子またはその誘導体が基板表面や微粒子表面に自己組織化膜やラングミュアーブロジェット膜のように単分子の層を作って固定化されていることを意味する。
本発明に係る検出方法において、上述の分子インプリント微粒子と標的分子またはその誘導体の単分子層を有する分子集積体(以下「分子集積体」と記す)との相互作用とは、分子インプリント微粒子が有する標的分子認識部位が分子集積体表面の標的分子またはその誘導体を特異的に認識し、分子インプリント微粒子と分子集積体とが物理的化学的に相互作用可能なほど近接する状態になることを意味する。
(1) 表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成された基板を用いる方法(第1実施形態)
本発明に係る検出方法の一実施形態において、分子集積体は表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成された基板(以下「分子集積基板」と記す)であることが好ましい。基板は、その表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成できるものであればよい。好適な基板としては、例えば、金属基板、ガラス基板、シリコン基板、光導波路基板などが挙げられる。また、分子インプリント微粒子と基板表面の標的分子またはその誘導体との相互作用の検出に用いる検出手段に応じて、適宜基板の材質を選択することが好ましい。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法に適用する場合はSPR用の金基板を用いることが好ましく、局在プラズモン共鳴(LSPR)法に適用する場合は光導波路基板を用いることが好ましく、水晶振動子センサーに適用する場合は水晶振動子をセンシングチップとすることが好ましく、電気化学的方法による検出に適用する場合は電極となる金属基板(例えば、金基板)を用いることが好ましい。また、発光や発色による検出に適用する場合はガラスや石英基板、光ファイバー、光導波路基板を用いることが好ましい。
基板表面に標的分子の単分子層を形成させる方法としては、例えば本発明者は、金−チオール結合を利用して、チオール基を導入したBPAの自己組織化単分子膜(SAM:Self−Assembled Monolayer)を形成させることにより、BPAインプリント微粒子が結合可能なBPA誘導体の分子集積基板を作製している(後段の実施例2参照)。
図1は、分子インプリント微粒子が分子集積基板に吸着している状態を示す模式図である。図1に示したように、本実施形態では、分子集積基板表面の標的分子またはその誘導体と分子インプリント微粒子とが接触すると、分子インプリント微粒子が有する標的分子認識部位が標的分子またはその誘導体を特異的に認識し、両者の相互作用により分子インプリント微粒子が分子集積基板に吸着する。この相互作用を検出することにより、試料中の標的分子を検出することができる。分子インプリント微粒子と分子集積基板表面の標的分子またはその誘導体との相互作用の検出手段には、表面プラズモン共鳴(SPR)法、局在プラズモン共鳴(LSPR)法、水晶振動子センサー、電気化学的方法、発光法、発色法、光導波路分光法などの公知の方法を好適に適用することができる。なお、いずれの手段を用いる場合も、通常とは逆に、標的分子を捕捉するための標的分子認識部位を有する分子インプリント微粒子を固定化せずに、バッチ式検出系の場合は試料溶液に分散させ、フロー式検出系の場合はキャリア溶液に混合して流すこととし、表面に標的分子またはその誘導体が単分子層を形成して集積している基板を用いることになる。この点が、本発明に係る検出方法の特徴であり、分子インプリント微粒子との相互作用が非常に小さい低分子の標的分子をも検出することが可能となる。
試料中の標的分子を検出する際には、分子インプリント微粒子と分子集積基板との2者を接触させたときの相互作用の強さと、標的分子を含み得る試料と分子インプリント微粒子と分子集積基板との3者を接触させたときの相互作用の強さとを比較する。つまり、3者を接触させたときに試料中に標的分子が存在すれば、この試料中の標的分子が、基板表面に集積された標的分子またはその誘導体と競合して分子インプリント微粒子の標的分子認識部位に吸着する。その結果、2者を接触させたときと比較して、分子インプリント微粒子と分子集積基板との相互作用が小さくなるので、試料中に標的分子が存在していることがわかる。この際、検量線を作成することにより、試料中の標的分子を定量することが可能となる。
試料と分子インプリント微粒子と分子集積基板との3者を接触させる場合、分子インプリント微粒子と分子集積基板と接触させる前に、分子インプリント微粒子を試料と接触させてもよく、分子インプリント微粒子を分子集積基板と接触させた後に、分子インプリント微粒子を試料と接触させてもよく、3者を同時に接触させてもよい。検出対象の標的分子や用いる検出手段等に応じて最適な順序を選択することが好ましい。
(2) 表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成された微粒子を用いる方法(第2実施形態)
本発明に係る検出方法の他の実施形態において、分子集積体は表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成され、溶媒に分散可能な微粒子(以下「分子集積微粒子」と記す)であることが好ましい。溶媒に分散可能とは、溶媒(液体の分散媒)中において均一な分散状態が維持され、凝集や沈殿が生じない状態を意味する。したがって、微粒子を構成する物質、標的分子、使用する溶媒などの条件により好適な微粒子の大きさが選択される。通常、平均粒子径は数十nm〜数百nmの範囲で選択される。
微粒子はその表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成できるものであればよい。好適な微粒子としては、有機ポリマー微粒子(ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなど)、無機ポリマー微粒子(シリカ、アルミナなど)、金属微粒子(金、銀、白金、チタンなど)が挙げられる。
表面に標的分子またはその誘導体の単分子層が形成された微粒子は、有機ポリマー微粒子や無機ポリマー微粒子の場合は、標的分子またはその誘導体が化学結合可能な官能基をあらかじめ導入することでポリマー表層に標的分子またはその誘導体を結合することにより取得することができる。金属微粒子の場合は、標的分子またはその誘導体にチオール基を導入して、金属微粒子表面上に自己組織化膜を形成させることで取得することができる。本発明者は、塩化金酸溶液とチオール基を導入したBPAから、表面にBPAの単分子層が形成された金微粒子を合成している(後段の実施例3参照)。
本実施形態において、分子集積微粒子は光エネルギーを吸収または放出することが好ましい。「光エネルギーを吸収する」とは、分子が光エネルギーを吸収して基底状態から励起状態になることを意味し、「光エネルギーを放出する」とは、分子が励起状態から基底状態へ戻る際にエネルギーを光として放出することを意味する。
光エネルギーを放出する分子インプリント微粒子を用いる場合、分子インプリント微粒子が発する光エネルギーを吸収する分子集積微粒子を用いることで、分子インプリント微粒子と分子集積微粒子が相互作用した際に起こる消光現象を利用するセンシングが可能となる。また、光エネルギーを放出する分子インプリント微粒子を用いる場合、分子インプリント微粒子が発する光エネルギーを吸収することが可能で、かつその吸収した光エネルギーで励起状態になり、基底状態に戻る際に分子インプリント微粒子が発する光の波長とは異なる長波長側の新たな光を発する光の共鳴エネルギー移動が生じる分子集積微粒子を用いることで、分子インプリント微粒子と分子集積微粒子が相互作用した際に起こる光の共鳴エネルギー移動現象を利用するセンシングが可能となる。
また、上記とは逆に、光エネルギーを放出する分子集積微粒子と分子集積微粒子が発する光エネルギーを吸収する分子インプリント微粒子とを用いた場合も同様のセンシングが可能となり、光エネルギーを放出する分子集積微粒子と分子集積微粒子が発する光エネルギーを吸収することが可能で、かつその吸収した光エネルギーで励起状態になり、基底状態に戻る際に分子集積微粒子が発する光の波長とは異なる長波長側の新たな光を発する光の共鳴エネルギー移動が生じる分子インプリント微粒子とを用いた場合も、同様のセンシングが可能となる。
光エネルギーを吸収する物質としては、特定の化合物の指定はなく、用いる発光物質の発光波長付近に吸収極大のある化合物であればよい。光の共鳴エネルギー移動現象を利用する場合は、用いる発光物質の発光波長付近に吸収極大のある化合物で、その吸収した光エネルギーを用いて新たな発光現象を生じる化合物であればよい。光エネルギーを放出する物質としては、ピレン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、ダンシル、Cy3,Cy5などの蛍光物質やCdSe微粒子など量子ドットと呼ばれる無機発光物質を挙げることができる。
したがって、光エネルギーを吸収する分子集積微粒子は、用いる発光物質の発光波長付近に吸収極大のある化合物を微粒子合成の際に混入させてドープさせたり、微粒子表面に官能基を導入し共有結合や非共有結合で化学的に結合させれば取得することができる。光エネルギーを放出する分子集積微粒子も同様に、上記例示した物質から適宜選択した物質を微粒子合成の際に混入させてドープさせたり、微粒子表面に官能基を導入し共有結合や非共有結合で化学的に結合させれば取得することができる。
また、光エネルギーを吸収する分子インプリント微粒子は、用いる発光物質の発光波長付近に吸収極大のある化合物を分子インプリント微粒子合成の際に混入させてドープさせたり、共重合させたり、微粒子表面に官能基を導入し共有結合や非共有結合で化学的に結合させれば取得することができる。光エネルギーを放出する分子インプリント微粒も同様に、上記例示した物質から適宜選択した物質を分子インプリント微粒子合成の際に混入させてドープさせたり、共重合させたり、微粒子表面に官能基を導入し共有結合や非共有結合で化学的に結合させれば取得することができる。
本実施形態において、蛍光を発光する分子インプリント微粒子と、当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子の蛍光を消光させる分子集積微粒子を用いることが好ましい。これにより、分子インプリント微粒子と分子集積微粒子との相互作用を、蛍光強度を指標に検出することが可能となる。
また、蛍光を発光する分子インプリント微粒子と、当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して自身がさらに蛍光を発光する蛍光共鳴エネルギー移動現象を生じる分子集積微粒子を用いてもよい。同様に、分子インプリント微粒子と分子集積微粒子との相互作用を、蛍光共鳴エネルギー移動現象に基づく蛍光強度を指標に検出することが可能となる。
蛍光を発光する分子インプリント微粒子は、有機ポリマー素材の分子インプリント微粒子を合成する際に、蛍光性モノマーを添加することにより取得することができる。蛍光性モノマーとしては、例えばピレン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、ダンシル、Cy3,Cy5などを用いることができる。
蛍光エネルギーを吸収して消光させる分子集積微粒子は、金属(金、銀、白金、チタンなど)や有機化合物(蛍光物質の蛍光波長のところに吸収波長を持つ有機化合物)などを
用いて上記と同様の方法で取得することができる。また、蛍光エネルギーを吸収して自身がさらに蛍光を発光する分子集積微粒子は、はじめに発光する蛍光物質の発光波長付近の波長で励起できる蛍光物質を用いて上記と同様の方法で取得することができる。
逆に、蛍光を発光する分子集積微粒子と、当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積微粒子の蛍光を消光させる分子インプリント微粒子を用いることも可能である。同様に、蛍光を発光する分子集積微粒子と、当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して自身がさらに蛍光を発光する分子インプリント微粒子を用いることも可能である。これらの分子集積微粒子、分子インプリント微粒子も上記と同様の方法で取得することができる。
分子インプリント微粒子と分子集積微粒子との相互作用を、蛍光強度を指標に検出する場合、蛍光性分子インプリント微粒子および分子集積微粒子の粒子径はいずれも蛍光の励起波長以下であることが好ましい。励起光を照射しても分散液中の微粒子が見えないからである。
以下、蛍光を発光する分子インプリント微粒子と当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子の蛍光を消光させる分子集積微粒子との相互作用により、蛍光強度を指標として標的分子を検出する方法について説明する。
図2は、蛍光を発光する分子インプリント微粒子(蛍光性分子インプリント微粒子)と分子集積金微粒子との相互作用を示す模式図である。図2に示したように、蛍光性分子インプリント微粒子のみが系内に存在している場合は、励起により強い蛍光発光が観測される。そこに蛍光エネルギーを吸収する金微粒子の表面に標的分子誘導体の単分子層を形成させた分子集積金微粒子を添加すると、蛍光性分子インプリント微粒子表面の標的分子認識部位に分子集積金微粒子が吸着し、これが消光剤として作用するため消光反応が進行する。さらに、標的分子、標的化合物誘導体、もしくは粒子間相互作用を阻害する化合物を添加すると蛍光が回復すると考えられる。
試料中の標的分子を検出する際には、蛍光性分子インプリント微粒子と消光剤として作用する分子集積微粒子との2者を接触させたときの蛍光強度と、標的分子を含み得る試料と蛍光性分子インプリント微粒子と分子集積微粒子(消光剤)との3者を接触させたときの蛍光強度とを比較する。つまり、3者を接触させたときに試料中に標的分子が存在すれば、この試料中の標的分子が、分子集積微粒子表面の標的分子またはその誘導体と競合して蛍光性分子インプリント微粒子の標的分子認識部位に吸着する。その結果、2者を接触させたときと比較して、蛍光性分子インプリント微粒子と分子集積微粒子との相互作用が小さくなるので消光の程度も小さくなる。つまり、蛍光強度が大きくなり、試料中に標的分子が存在していることがわかる。この際、検量線を作成することにより、試料中の標的分子を定量することが可能となる。
試料と分子インプリント微粒子と分子集積微粒子との3者を接触させる場合、分子インプリント微粒子と分子集積微粒子と接触させる前に、分子インプリント微粒子を試料と接触させてもよく、分子インプリント微粒子を分子集積微粒子と接触させた後に、分子インプリント微粒子を試料と接触させてもよく、3者を同時に接触させてもよい。検出対象の標的分子等に応じて最適な順序を選択することが好ましい。
なお、本実施形態では蛍光を発光する分子インプリント微粒子と消光剤として作用する分子集積微粒子とを用いる液相の検出系について説明したが、蛍光を発光する分子インプリント微粒子を基板上に固定化して基板上の蛍光強度を指標とする検出系とすることもできる。
また、分子集積微粒子に代えて分子集積基板を用いても実施することができる。具体的には、例えば、分子集積基板に分子インプリント微粒子のみを滴下したときの基板上の蛍光強度と、分子集積基板に標的分子を含み得る試料および分子インプリント微粒子を滴下したときの基板上の蛍光強度とを比較することにより、試料中の標的分子を検出することが可能である。
〔標的分子の検出キット〕
本名発明に係る試料中の標的分子検出キットは、以下の(A)および(B)を備えるものであればよい。
(A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子
(B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、当該単分子層に前記分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体
これ以外の具体的なキットの構成については特に限定されるものではなく、必要な試薬や器具等を適宜選択してキットの構成とすればよい。本発明に係るキットを用いることにより、本発明に係る検出方法を簡便かつ迅速に実施することができる。
(B)は表面に標的分子もしくはその誘導体の単分子層が形成された基板(分子集積基板)、または、表面に標的分子もしくはその誘導体の単分子層が形成され、溶媒に分散可能な微粒子(分子集積微粒子)であることが好ましく、表面に標的分子もしくはその誘導体の単分子層が形成され、溶媒に分散可能な微粒子(分子集積微粒子)がより好ましい。
(A)と(B)の好適な組み合せとしては、上述の第2実施形態で説明したように、(A)光エネルギーを吸収する分子集積微粒子と(B)光エネルギーを放出する分子インプリント微粒子の組み合せ、または、(A)光エネルギーを放出する分子集積微粒子と(B)光エネルギーを吸収する分子インプリント微粒子の組み合せが挙げられる。
より具体的には、(1)蛍光を発光する分子インプリント微粒子と当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子の蛍光を消光させる分子集積微粒子との組み合せ、(2)蛍光を発光する分子インプリント微粒子と当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して自身がさらに蛍光を発光する分子集積微粒子との組み合せ、(3)蛍光を発光する分子集積微粒子と当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積微粒子の蛍光を消光させる分子インプリント微粒子との組み合せ、(4)蛍光を発光する分子集積微粒子と当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して自身がさらに蛍光を発光する分子インプリント微粒子との組み合せ、が挙げられる。これらの詳細については、上述の第2実施形態で説明したので、ここでは説明を省略する。
また、本キットは、上述の本発明に係る検出方法の実施手順に準じて使用することができる。
本明細書において「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは当該材料を使用するための使用説明書を備える。使用説明書は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。
〔実施例1:ビスフェノールA認識分子インプリント微粒子の合成と評価〕
ビスフェノールA(BPA)認識分子インプリント微粒子を合成し、その評価を行った。本実施例に使用した試薬は、いずれも市販品を購入した。また、分析機器としては、以下のものを使用した。すなわち、合成した分子インプリント微粒子の評価には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。HPLCはオートサンプルインジェクター(AUTOINJECTOR234)、ポンプ(322pump)、UV検出器(UV/VIS−152)からなる計器(GILSON)にパソコンをつなぎ、計測プログラムにはUnipoint V.3.00を使用した。ポリマーの洗浄にはトミー精工株式会社の遠心分離器SRX−201を使用した。粒子径分布と平均粒子径の測定には大塚電子株式会社のダイナミック光散乱光度計(DL−6500)を使用した。遠心エバポレータは東京理科器械株式会社のCVE−2000型を用いた。インキュベーションにはエッペンドルフ社製サーモミキサーコンフォートを使用した。走査型分析電子顕微鏡(SEM)は日本電子株式会社(JEOL)のJSM−5610LVSを使用した。
(1−1)BPA認識分子インプリント微粒子の合成
シード(種粒子)として用いるためのスチレン粒子の合成を行った。スチレンモノマーはインヒビターリムーバーにより重合禁止剤を除去したものを使用した。500mlセパラブルフラスコに表1のレシピに従ってモノマーと蒸留水を仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下で重合温度80℃まで加温した。開始剤V−50を5ml蒸留水に溶解させ、その水溶液を加温後のセパラブルフラスコに加えた。窒素雰囲気下、80℃でメカニカルスターラーを用いて150rpmで12時間攪拌重合を行った。重合終了後、遠心分離洗浄を3回行い未反応のモノマー、開始剤を除去し、エマルション固形分濃度を0.74%に調整した。重合率は100%で、ダイナミック光散乱光度計(DLS)による平均粒子径は381nmであった。
Figure 0004853972
上記で得られたシードを用いてBPA認識分子インプリント微粒子の合成を行った。50mlバイアル瓶にポリスチレンシード溶液(0.997wt%)30gをはかりとり、表2のレシピに従って所定量のモノマーを添加し、室温で6時間攪拌して膨潤させた。モノマー相の消失を確認した後、窒素雰囲気下で重合温度80℃まで加温し、開始剤V―50を5ml蒸留水に溶解させた水溶液を加温後のバイアル瓶に加えた。窒素雰囲気下、80℃、スターラー200rpmで12時間攪拌重合を行った。重合終了後、遠心分離洗浄を3回行い未反応のモノマー、開始剤を除去した。重合率は88.5%で、DLSによる平均粒子径は438.5nmであった。BPA認識分子インプリント微粒子(表2中「INP」)と同様の条件でBPAジメタクリレートモノマーを用いずにブランク微粒子(表2中「BNP」)も合成した。
Figure 0004853972
BPA認識分子インプリント微粒子からBPAを除去するため、加水分解反応を行った。100mlナスフラスコに、得られた分子インプリント微粒子固形分濃度0.7wt%を80ml加え、水酸化ナトリウムを添加し1Mに調整した。それを還流下、24時間攪拌し加水分解を行った。24時間後攪拌を止め、室温まで冷ました後、遠心分離により上澄みを除去した。そこへHCl水溶液(1M)を加え、10分間超音波照射し、遠心分離により溶媒を除去した。酸による洗浄を3回繰り返した後、最後に蒸留水で2回洗浄し、エマルションとして保管した。
(1−2)BPA認識分子インプリント微粒子の評価
得られたポリマー(BPA認識分子インプリント微粒子)の分子認識能の評価としてHPLCによる再結合実験を行った。合成したBPA認識分子インプリント微粒子を5mgずつ1.5mlバイアル瓶にはかりとり、そこへ標的分子であるBPAを含む4種類(BPA、ビスフェノールB(BPB)、1−ナフトール、17β−エストラジオール(図3参照))のサンプル溶液(各3本 1.1mM乾燥トルエン溶液)を1.5mlずつ加えサーモミキサーで25℃、24時間インキュベーションを行った。その後シリンジフィルター(0.2μm)で溶液をろ過し、ろ液1mlをマイクロピペットで採取した。そこへ内部標準試料(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン 6.28mMトルエン溶液)を100μl加えた後、遠心エバポレータで溶媒を留去した。留去後、アセトニトリルに再溶解させその濃度をHPLCを用いて定量し、BPA認識分子インプリント微粒子への結合量を算出した(HPLC測定条件;溶離液:MeCN/HO=4/6、流速:0.8ml/min、注入量:10μl、検出波長:278nm、カラム:SUPELCO LC−8−DB)。
(1−3)結果
図4に、合成したBPA認識分子インプリント微粒子のSEM画像を示した。図4から、比較的単分散な粒子径450nm程度の粒子が形成されていることが確認できた。
図5に、合成したBPA認識分子インプリント微粒子への各サンプルの吸着量を算出した結果を示した。図5から明らかなように、標的分子であるBPAの吸着量は、ポリマー1gあたり13.8μmolであり、1−ナフトール(1.42μmol/gポリマー)、17β−エストラジオール(1.03μmol/gポリマー)と比較して吸着量が多かった。1−ナフトールは構造、官能基ともにBPAとの差異が多いが、17β−エストラジオールについては同じジオール化合物でありながら、吸着が抑えられた。また、ほぼ同じ構造を有するBPBの吸着量は11.0μmol/gポリマーであり、標的分子であるBPAと同程度の吸着性が見られた。この結果から、BPAとほぼ同じ構造であるBPBを識別することは困難なものの、今回合成した分子インプリント微粒子には、BPA特異的な認識部位が構築されていることが示された。
〔実施例2:BPA−SAM基板とBPA認識分子インプリント微粒子を用いたSPRセンシング〕
BPA−SAM基板とBPA認識分子インプリント微粒子を用いて、SPRセンシングを試みた。本実施例に使用した試薬は、いずれも市販品を購入した。また、分析機器としては、以下のものを使用した。すなわち、誘導体合成に使用したシリカゲルクロマトグラフィーは和光純薬工業のシリカゲル(Wakogel C−300HG)を用いた。NMRスペクトルは日本電子(株)製NMR測定装置(JNM−LA300)を用いて測定した。質量分析にはApplied Biosystems(株)製ESI−MS(API2000)およびMALDI−TOF−MS(Voyager−2000[accelerating voltage 20kV])を用いた。IRスペクトル測定にはDIGILAB EXCULIBUR SERIES FT 3000を使用した。分子インプリント微粒子の評価には、システムインスツルメンツ株式会社製のプラズモン光導波路分光装置(S−SPR6000)を使用した。走査型分析電子顕微鏡(SEM)は日本電子株式会社(JEOL)のJSM−5610LVSを使用した。
(2−1)BPA−SAM基板の作製
SPR基板上にBPAを集積させるための手段としてBPA−SAM(Self−Assembled Monolayer、自己組織化単分子膜)を形成させるため、まずBPAにチオール基の導入を行った。
(i) 4,4−Bis−(4−hydroxy−phenyl)−Pentanoic acid (11−mercapto−undecyl)−amideの合成(下記反応式(1)参照)
200mL二口ナスフラスコにdiphenolic acid(3.43g)、KCO(4.15g)、AcO(4.51ml)を入れ、アセトニトリル(150ml)を加え、60℃で12時間攪拌した。TLCにより原料がなくなり2スポットになったことを確認してから反応をとめ、エバポレータで溶媒を留去した。HO:CHClにて抽出を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(CHCl:MeOH=20:1)にて精製し白色の粉末を得た。H−NMR、MALDI−TOF−MSで目的物1を確認した(収量3.05g、収率68.7%)。
Figure 0004853972
(ii) アルキルチオール誘導体2の合成(下記反応式(2)参照)
11−amino−1−undecanethiol hydrochlorideの抽出(NaHCO水溶液:CHCl)をし、脱塩酸処理を行った。11−amino−1−undecanethiol(53.8mg)と化合物1(98mg)を20ml CHClに溶解させた。そこへ、WSC(75.1mg)と、NHS(45.7mg)、DIEA(138.4μl)を加え室温で24時間攪拌した。TLCにより3スポットが確認された。そこで(AcOEt:4%NaHCO水溶液,10%クエン酸水溶液,飽和食塩水)抽出を行った。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−にてCHCl:MeOH=100:1とCHCl:MeOH=100:3で精製を2回行い、3スポットを分離したところ、2番目のスポットの精製物から目的物2のH−NMR、MALDI−TOF−MSが確認できた(収量25mg、収率17%)。
Figure 0004853972
(iii) BPA−チオール誘導体3の合成(下記反応式(3)参照)
THF6mlに化合物2 10mgを溶解させ、NaOH水溶液(0.25M)を1ml加え、室温で6時間攪拌した。TLCにより原料のスポットが消え、極性の高いスポットが現れたことを確認し、反応を止め、中和後、エバポレータにて溶媒を留去した。その後、抽出(AcOEt:10%クエン酸水溶液)を行い、H−NMRおよびMALDI−TOF−MSにより化合物3を確認した。また桐山ろうとを用いて得られた化合物3を、HxとCHClで洗浄し回収したものについて、H−NMRを確認した(収量8mg、収率93%)。
Figure 0004853972
(iv) BPA−チオール誘導体3を用いたBPA−SAM膜の合成
SPR測定基板として用いるため、高屈折ガラス基板上の金薄膜にピランハ溶液(濃硫酸:30%過酸化水素水=3:1)を滴下し5分間静置し、その後蒸留水で洗浄した。そこに、上記BPA−チオール誘導体3溶液(1mMエタノール溶液)を滴下し、カバーガラスをかぶせ窒素雰囲気一晩静置した。その後、基板をEtOHで洗浄し乾燥させた。また、BPA−SAM膜の形成を確認するため、別の金基板に同様の手順でSAM膜を作成したものを高感度反射赤外分光測定器(IR−RAS)により観察した。
(2−2)BPA認識分子インプリント微粒子の合成
メカニカルスターラーの回転を200rpmに変更した以外、実施例1と同様の方法でシードとして用いるためのスチレン粒子の合成を行った。遠心分離洗浄後のエマルション固形分濃度を1.44%に調整した。重合率は100%で、DLSによる平均粒子径は270nm(dw/dn=1.14)であった。
得られたシードを用いてBPA認識分子インプリント微粒子の合成を行った。100mlバイアル瓶にポリスチレンシード粒子溶液(1.44wt%)50gをはかりとり、表3のレシピに従って所定量のモノマーを添加し、室温で6時間攪拌して膨潤させた。モノマー相の消失を確認した後、窒素雰囲気下で重合温度80℃まで加温し、開始剤V―50を5ml蒸留水に溶解させた水溶液を加温後のバイアル瓶に加えた。窒素雰囲気下、80℃、スターラー200rpmで12時間攪拌重合を行った。重合終了後、遠心分離洗浄を3回行い未反応のモノマー、開始剤を除去した。重合率は91%で、DLSによる平均粒子径は292.9nm(dw/dn=1.11)であった。BPA認識分子インプリント微粒子(表3中「INP」)と同様の条件でBPAジメタクリレートモノマーを用いずにブランク微粒子(表3中「BNP」)も合成した。
Figure 0004853972
BPA認識分子インプリント微粒子からBPAを除去するため、実施例1と同じ方法で加水分解を行い、酸による洗浄および蒸留水による洗浄を行った。さらに本実施例では、クロロホルム溶媒を用いてSPR測定を行うため、メタノールに置換した後クロロホルムによる置換を行った。なお、以後の実験においては、鋳型分子(BPA)の切り出し処理を行った分子インプリント微粒子を「INP」、鋳型分子(BPA)の切り出し処理を行っていない分子インプリント微粒子を「RNP」、鋳型分子(BPA)を添加せずに合成した微粒子を「BNP」と表記する。
(2−3)SPRによるBPA−SAM基板とBPA認識分子インプリント微粒子との相互作用のセンシング
BPA−SAM基板をステージに設置し、セルと流路を装着し、アナライトとしてINP溶液、RNP溶液およびBNP溶液(0〜3wt%水溶液)を送液し、平衡に達した5分後のSPRスペクトルを測定した。また、微粒子を含まない(0wt%)時のSPRスペクトルからの長波長側へのシフトの値をΔλ[nm]とし、各微粒子とBPA−SAM基板との吸着等温線をグラフ化し評価した。
さらに、競合実験としてINP溶液中に標的分子であるBPAを添加してBPAを吸着させた後、その溶液を流路に送液しスペクトル変化を測定した。具体的には、INP3wt%溶液にBPAを所定量添加し50mMになるように調整した。その溶液を25℃で12時間インキュベーションした後送液し、SPRのスペクトルの経時変化を観察した。比較として、BPAを添加していないINP溶液についても同様に実験を行った。
次に、INPのBPA−SAM基板からの解離を目的とし、標的分子であるBPA、またBPA類似体である4,4’−diaminodiphenylmethane(DADPM、下記式(4)参照)、極性溶媒で水素結合を弱めるメタノールを送液しその変化を観察した。最初に5分間INP溶液(3wt%クロロホルム溶液)を流しINPを吸着させ、その経時変化を追った。そこへ溶媒であるクロロホルム(CHCl)をさらに5分間送液し、濃度平衡によるINPの解離の経時変化を追った。そして最後に阻害剤としてBPA溶液(50mM)、またはDADPM(25mM)、またはメタノールをそれぞれ5分間送液しINPの解離の経時変化を追跡した。メタノールについては、メタノール送液後に溶媒であるクロロホルムに戻して測定を行った。
SPR測定条件は以下の通りである。
入射角 28.1°
検出角 28.6°
積算時間 10ms
加算平均 5回
スムージング 5点
P偏光入射
流速 20μl/min
Figure 0004853972
(2−4)結果
(i) SEMによる分子インプリント微粒子同定
合成した各分子インプリント微粒子のSEM画像を図6〜図8に示した。図6はINPのSEM画像であり、図7はRNPのSEM画像であり、図8はBNPのSEM画像である。図6〜図8から明らかなように、得られた各分子インプリント微粒子は、いずれも直径300nm程度の粒子径の揃ったポリマー(INP:dw/dn=1.1、RNP:dw/dn=1.11)であることが確認された。このことから、それぞれの表面積は同程度であると仮定でき、SPRスペクトルの変化は結合挙動を反映するとものと考えられる。
(ii)IRによるBPA−SAM基板の同定
図9にBPA−SAM基板のIR−RASスペクトルを示した。図9より、以下の通り基板上にBPA−SAM膜が形成されていることが確認された。
3500〜3700cm−1:フェノールOH 一置換アミドN−H 伸縮振動
1600cm−1付近 :芳香族C=CおよびC−H伸縮振動
1700cm−1付近 :一置換アミドC=O伸縮振動
1200〜1350cm−1:C10の長鎖アルキルのひねりおよび横揺れ振動
(iii) BPA−SAM基板とBPA認識分子インプリント微粒子を用いたSPR測定
図10に、3種類の微粒子(INP、RNP、BNP)の各濃度における波長のシフト値(Δλnm)をプロットした吸着等温線を示した。図10から明らかなように、いずれの微粒子を送液した場合でも、濃度の上昇とともにSPRスペクトルの長波長側へのシフトが観察されたが、3種類の微粒子のなかで、INPのシフト値が最も大きいことが確認された。この結果から、BPA−SAM基板と各微粒子との相互作用(吸着)の差をSPRスペクトルの波長シフト量によってセンシングすることが可能であることが示された。
(iv) BPA存在下での競合実験
競合実験としてINP溶液中に標的分子であるBPAを添加してINPにBPAを吸着させた後、その溶液を流路に送液し、0分〜5分まで経時的にスペクトル変化を測定した。対照として、BPAを添加していないINP溶液を流路に送液し、同様にスペクトル変化を測定した。
図11に、送液開始からの各時間における波長のシフト値(Δλnm)をプロットした吸着等温線を示した。図11から明らかなように、BPAを添加した場合と添加しない場合のいずれも1分後に平衡に達している挙動は同様であるものの、その変化量は圧倒的にBPAを添加した場合の方が小さかった。この結果は、BPAとINPを共存させインキュベーションすることにより、INP表面のBPA認識部位にBPAが予め吸着するため、INPとBPA−SAM基板間の相互作用が阻害されることを示すものであると考えられた。したがって、BPAの競合によりINPとBPA−SAM基板間の相互作用(吸着)に変化が生じ、この変化を検出することにより、サンプル中のBPAを検出可能であることが示された。
(v) INPのBPA−SAM基板からの解離
図12に、BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にBPAを送液したときのSPRスペクトルの変化を示した。図12に示したように、まず、INP溶液を5分間送液するとINPがBPA−SAM基板に吸着し、SPRスペクトルが大きく長波長側にシフトした。次に、溶媒であるクロロホルムを送液するとその濃度平衡が崩れ、基板上に弱く結合していたINPが若干解離するため、SPRスペクトルは短波長側にシフトした。しかし、それでは完全にINPを解離することはできないので、さらに標的分子であるBPAを用いて解離を試みたところ、BPA飽和濃度50mMの溶液を送液してもSPRスペクトルの変化が見られなかった。
図13は、BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にDADPMを送液したときのSPRスペクトルの変化を示した。DADPMは、上記式(4)に示したように、INP表面のBPA認識部位に存在するカルボン酸残基と強く水素結合を形成すると考えられるアミノ基を有し、かつBPA類似骨格を持つ化合物である。図13に示したように、DADPM溶液を送液すると、SPRスペクトルはクロロホルム送液時よりさらに短波長側にシフトし、INPのさらなる解離が観測された。
図14は、BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にメタノールを送液したときのSPRスペクトルの変化を示した。図14に示したように、極性溶媒であるメタノールを送液すると、長波長シフトの値(Δλ[nm])がほぼ「0」となり、INPがBPA−SAM基板からほぼ完全に解離されたことが示された。
以上のように、アミンおよび極性溶媒によってINPのBPA−SAM基板への吸着を解離できたことから、INPとSAM基板間の相互作用は水素結合ベースの特異的な結合であることが示唆された。
〔実施例3:BPA認識分子インプリント微粒子を用いた蛍光消光センシング〕
上述のように、金微粒子は蛍光消光剤として、蛍光色素近傍に存在したとき消光反応を示すことが知られている。そこで、標的分子であるBPAを金微粒子表面に集積したBPA集積金微粒子と、BPAを標的分子とした蛍光性分子インプリント微粒子(蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子)とを用いて、蛍光消光センシングを試みた(図2参照)。
本実施例に使用した試薬は、いずれも市販品を購入した。また、分析機器としては、以下のものを使用した。すなわち、誘導体合成に使用したシリカゲルクロマトグラフィーは和光純薬工業のシリカゲル(Wakogel C−300HG)を用いた。NMRスペクトルは日本電子(株)製NMR測定装置(JNM−LA300)を用いて測定した。質量分析にはApplied Biosystems(株)製ESI−MS(API2000)およびMALDI−TOF−MS(Voyager−2000[accelerating voltage 20kV])を用いた。ポリマーの洗浄にはトミー精工株式会社の遠心分離器SRX−201を使用した。粒子径分布と平均粒子径の測定には大塚電子株式会社のダイナミック光散乱光度計(DL−6500)を使用した。透過型電子顕微鏡(TEM)は、日立社の透過型電子顕微鏡H−7500を使用した。紫外・可視分光光度分析には紫外・可視分光光度計(JASCO V−560)を使用し、システム制御およびデータ処理には専用ソフトウェアSpectra Manager(JASCO)を使用、また測定には1cm角石英セルを用いた。蛍光スペクトル測定にはHitachi F−2500を使用、また測定には1cm角石英セルを用いた。
(3−1)蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子の合成
(i) ピレンモノマーの合成(下記反応式(5)参照)
50mLナスフラスコに1−pyrenemethylamine500mg(2mmol)を10mlの乾燥ジクロロメタン(CHCl)に溶かし、窒素雰囲気下でmethacryroyl chloride(377mg、4mmol)、TEA(0.36ml、4mmol)を加え、還流下で16時間攪拌した。抽出(CHCl:NaHCO水溶液、HCl水溶液、NaCl水溶液)した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(CHCl)により精製し、白色の目的物を得た。H−NMR、MALDI−TOF−MSで確認した(収量300mg、収率50%)。
Figure 0004853972
(ii) 蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子の合成
得られたピレンモノマーおよび実施例2で合成した粒子径270nm(DLS測定)のスチレンシードを用いて、蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子の合成を行った。25mlバイアル瓶にポリスチレンシード溶液(1.4wt%)10gをはかりとり、表4のレシピに従って所定量のモノマーを添加し、室温で6時間攪拌して膨潤させた。ピレン含有分子インプリント微粒子については、モノマーの溶解性のためアセトンを微量添加しピレンモノマーを溶解させた。モノマー層の消失を確認した後、窒素雰囲気下で重合温度80℃まで加温し、開始剤V−50を5ml蒸留水に溶解させた水溶液を加温後のバイアル瓶に加えた。窒素雰囲気下、80℃、スターラー200rpmで24時間攪拌重合を行った。重合終了後、遠心分離洗浄を3回行い未反応のモノマー、開始剤を除去した。ピレン含有分子インプリント微粒子の重合率は95%であった。
Figure 0004853972
蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子からBPAを除去するため、実施例1と同じ方法で加水分解を行い、酸による洗浄および蒸留水による洗浄を行った。さらに本実施例では、蛍光測定をメタノール/トルエン=7/13溶液で行うため、メタノールで1回洗浄した後、メタノール/トルエン=7/13溶液に置換した。
(3−2)BPA集積金微粒子の合成
標的分子であるBPAを金微粒子表面に集積させるため、実施例2で合成したBPA−チオール誘導体を保護剤として金微粒子の合成を行った(参考文献:M.Brust, M.Walker, D.Bethell, D.Schiffrin,R.Whyman, Chem.Commun.,1994,801.
M.Brust, J.Fink, D.Bethell, D.Schiffrin,C.Kiely, Chem.Commun.,1995,1655.)。
予め、合成に使用する器具のシリコンコートを行った。2%ジメチルジクロロシラン(溶媒:トルエン)を調製し、10mlバイアル瓶に注ぎ、容器を回しながら液を行き渡らせた。液を戻し、そのまま溶液を蒸発させ、蒸留水ですすぎ乾燥させたものを使用した。
表5に示すように、2mlのBPA−チオール誘導体溶液(5.8mM in MeOH)と2mlの塩化金酸溶液(5.8mMメタノール溶液)をバイアルにとり、酢酸80μlを加えた。この液をスターラーで攪拌しながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を100μlずつ5回に分けてゆっくり滴下した。瞬時に溶液の色が赤紫色に変化したので、それから30分後に攪拌をとめた。この反応溶液をエバポレータにかけ、溶媒を留去した。その後エーテルを加え、生じた沈殿物を桐山ろうとを用いてろ過し、さらに酢酸エチル、蒸留水の順に洗浄した。得られた金微粒子をメタノール/トルエン=7/13溶液で再溶解させた(収量:4.3mg)。
Figure 0004853972
(3−3)蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子およびBPA集積金微粒子を用いた蛍光消光センシング
系内に蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子(蛍光INP)のみ存在する場合について、蛍光発光が飽和する濃度を検討するため滴定実験を行った。具体的には、1cm角石英セルにメタノール/トルエン=7/13溶液を3ml加え、そこへBPA蛍光分子インプリント微粒子溶液(1.2wt%メタノール/トルエン=7/13)を5μlずつ滴下することにより、蛍光が飽和し、濃度消光による消光が起こる濃度を確認した。鋳型分子の切り出し処理をしていない蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子(蛍光RNP)についても同様の手順で測定を行った。
次に、蛍光消光反応を検出するため蛍光INP溶液または蛍光RNP溶液へのBPA集積金微粒子の滴定実験を行った。蛍光スペクトル測定は、蛍光INPまたは蛍光RNPの濃度を共に2.4×10−3wt%(メタノール/トルエン=7/13)に調整し、それぞれ3mlを1cm角石英セルに加えた。そこにBPA集積金微粒子3mg/ml溶液(メタノール/トルエン=7/13)を10μlずつ滴下し1分間攪拌した後、蛍光スペクトルを測定し消光を観察した。なお、BPA集積金微粒子添加に伴い蛍光INPの濃度を補正した。
消光状態からの蛍光回復を測定するため、BPA集積金微粒子を添加されて消光状態となっている蛍光INP溶液または蛍光RNP溶液に、蛍光INPへのBPA集積金微粒子の吸着を阻害する阻害剤溶液を添加する滴定実験を行った。蛍光INP溶液または蛍光RNP溶液3.2×10−3wt%(メタノール/トルエン=7/13)3mlを1cm角石英セルに加え、BPA集積金微粒子溶液を0.02mg/mlまで添加し消光状態を形成した。そこへ阻害剤として標的分子であるBPA溶液、あるいはカルボン酸である酢酸溶液を添加し一分間攪拌したのち蛍光測定を行った。BPA溶液は濃度400mM(メタノール/トルエン=7/13)、酢酸溶液は濃度100mM(メタノール/トルエン=7/13)に調製したものを滴定に使用した。なお、酢酸溶液添加に伴い蛍光INPの濃度を補正した。
以上の実験において、蛍光測定は以下の条件で行った。
Exitation wavelength 347nm
温度 25℃,
photomal電圧 400V
(3−4)結果
(i) 蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子およびBPA集積金微粒子の同定
図15に、ピレンモノマーを含んだ蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子のSEM画像を示した。図15から明らかなように、きれいに形状を保った平均粒子径368nmの微粒子であることが確認された。
図16に、可視紫外吸収光度計で測定したBPA集積金微粒子溶液の吸収スペクトルを示した。図16に示したように、金粒子のプラズモン由来の吸収が520nm付近に、BPA由来の吸収が279nm付近に観測された。また、図17に、BPA集積金微粒子のTEM画像を示した。図17に示したように、大きさにばらつきはみられるものの、粒子径30nm程度の粒子が形成されていることが明らかとなった。
(ii) 蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子における蛍光強度の濃度依存性
図18および図19に、それぞれ蛍光INPの濃度と蛍光強度の関係、および蛍光RNPの濃度と蛍光強度の関係を示した。図18および図19から明らかなように、蛍光INPおよび蛍光RNPともに0.02wt%付近で蛍光強度が飽和に達しており、濃度をそれ以上高くした場合、濃度消光が引き起こされることが確認された。この結果を踏まえて、以後の実験においては蛍光INP(蛍光RNP)の濃度として、濃度消光の起こらない低濃度(2〜3×10−3wt%)を用いることにした。
(iii) 蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子およびBPA集積金微粒子の相互作用に基づく蛍光消光
図20に、蛍光INP溶液および蛍光RNP溶液に、それぞれBPA集積金微粒子溶液を添加したときの蛍光強度の変化率を示した。蛍光強度の変化率は、波長397nmにおけるBPA集積金微粒子添加前の蛍光強度(F)に対する、BPA集積金微粒子添加後の蛍光強度(F)の比(F/F)で示した。図20に示したように、蛍光RNPの消光の程度より、蛍光INP溶液の消光程度のほうが大きいこと確認された。この結果から、蛍光INP表面に形成されたBPA認識部位にBPA集積金微粒子が吸着することにより、効率よく蛍光が消光することが明らかとなった。
(iv)BPAおよび極性溶媒による蛍光回復
図21に、集積金微粒子を加えて消光状態となっている蛍光INP溶液にBPA溶液を滴下したときの蛍光スペクトルの変化を示した。図中、右上に波長397nm付近の蛍光スペクトルを拡大して示した。BPAは、セル中のBPA濃度が20mMになるまで滴下した。図21から明らかなように、大きなスペクトルの変化は見られなかった。この結果は、実施例2の結果と一致するものであった。
図22に、集積金微粒子を加えて消光状態となっている蛍光INP溶液および蛍光RNP溶液に、それぞれ酢酸溶液を滴下したときの蛍光強度の回復率を示した。蛍光強度の回復率は、集積金微粒子添加前の蛍光INP溶液および蛍光RNP溶液の蛍光強度(波長397nm)を100%とし、集積金微粒子添加後、蛍光が消光したときの蛍光強度を0%として算出した。図22から明らかなように、酢酸の添加により蛍光INPの蛍光回復が観測され、その蛍光回復率は15.5%であった。一方、蛍光RNPでは蛍光の回復はほとんど観測されず、蛍光回復率は2%であった。この結果は、実施例2の結果と一致するものであり、蛍光INPと集積金微粒子との解離がカルボン酸によって促進されたことから、蛍光INPと集積金微粒子間の相互作用は水素結合による特異的な結合であることが示唆された。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明は、公衆衛生、環境衛生、医療などの分野に利用することができる。また、試薬産業に利用することができる。
分子インプリント微粒子が分子集積基板に吸着している状態を示す模式図である。 蛍光性分子インプリント微粒子と分子集積金微粒子との相互作用を示す模式図である。 BPA認識分子インプリント微粒子の評価に用いた4種類の化合物の化学構造式を示す図である。 合成したBPA認識分子インプリント微粒子のSEM画像である。 合成したBPA認識分子インプリント微粒子への各サンプルの吸着量を算出した結果を示す図である。 INPのSEM画像である。 RNPのSEM画像である。 BNPのSEM画像である。 BPA−SAM基板のIR−RASスペクトルを示す図である。 3種類の微粒子(INP、RNP、BNP)の各濃度における波長のシフト値(Δλnm)をプロットした吸着等温線を示す図である。 送液開始からの各時間における波長のシフト値(Δλnm)をプロットした吸着等温線を示す図である。 BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にBPAを送液したときのSPRスペクトルの変化を示す図である。 BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にDADPMを送液したときのSPRスペクトルの変化を示す図である。 BPA−SAM基板にINP溶液を送液後、溶媒(クロロホルム)を送液し、最後にメタノールを送液したときのSPRスペクトルの変化を示す図である。 ピレンモノマーを含んだ蛍光性BPA認識分子インプリント微粒子のSEM画像である。 可視紫外吸収光度計で測定したBPA集積金微粒子溶液の吸収スペクトルを示す図である。 BPA集積金微粒子のTEM画像である。 蛍光INPの濃度と蛍光強度の関係を示す図である。 蛍光RNPの濃度と蛍光強度の関係を示す図である。 蛍光INP溶液および蛍光RNP溶液に、それぞれBPA集積金微粒子溶液を添加したときの蛍光強度の変化率を示す図である。 集積金微粒子を加えて消光状態となっている蛍光INP溶液にBPA溶液を滴下したときの蛍光スペクトルの変化を示す図である。 集積金微粒子を加えて消光状態となっている蛍光INP溶液および蛍光RNP溶液に、それぞれ酢酸溶液を滴下したときの蛍光強度の回復率を示す図である。

Claims (9)

  1. 試料中の標的分子を検出する方法であって、以下の(A)と(B)との相互作用を検出することを特徴とする試料中の標的分子検出方法。
    (A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子
    (B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、当該単分子層が自己組織化膜またはラングミュアーブロジェット膜であり、当該単分子層に前記分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体
  2. 前記分子集積体は、基板の表面に前記単分子層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の試料中の標的分子検出方法。
  3. 前記分子集積体は、溶媒に分散可能な微粒子の表面に前記単分子層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の試料中の標的分子検出方法。
  4. 前記分子集積体は、光エネルギーを吸収または放出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料中の標的分子検出方法。
  5. 前記分子インプリント微粒子は、前記分子集積体が光エネルギーを吸収するときは光エネルギーを放出し、前記分子集積体が光エネルギーを放出するときは光エネルギーを吸収することを特徴とする請求項4に記載の試料中の標的分子検出方法。
  6. 前記分子インプリント微粒子は蛍光を発光し、前記分子集積体は当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子の蛍光を消光する、または当該分子インプリント微粒子が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積体自身がさらに蛍光を発光することを特徴とする請求項5に記載の試料中の標的分子検出方法。
  7. 前記分子集積体は蛍光を発光し、前記分子インプリント微粒子は当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子集積体の蛍光を消光する、または当該分子集積体が発する蛍光エネルギーを吸収して分子インプリント微粒子自身がさらに蛍光を発光することを特徴とする請求項5に記載の試料中の標的分子検出方法。
  8. 試料と前記分子インプリント微粒子と前記分子集積体とを接触させる試料接触工程を包含することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料中の標的分子の検出方法。
  9. 試料中の標的分子を検出するための試薬キットであって、以下の(A)および(B)を備えることを特徴とする試料中の標的分子検出キット。
    (A)分子インプリント法により構築された標的分子認識部位を有し、動的光散乱法により測定される平均粒子径が1μm未満の分子インプリント微粒子
    (B)標的分子またはその誘導体の単分子層を有し、当該単分子層が自己組織化膜またはラングミュアーブロジェット膜であり、当該単分子層に前記分子インプリント微粒子が結合可能な分子集積体
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