JP4852573B2 - フローセル - Google Patents
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Description
このような全反射光学系の中では、全反射によって励起されたエバネッセント波が基板表面に形成された金属薄膜の表面の表面プラズモンに共鳴して吸収されるのを利用する表面プラズモン共鳴(SPR)測定法が特によく用いられている。
ところが、このような構成の場合、2つの基板の接合面に間隙が生じると、当該間隙の毛細管力によって試料液体が接合面における流路以外の領域に流出してしまうという問題があった。また、毛細管力は間隙の幅が小さいほど大きくなるため、基板間の密着を完全にすることができない以上、ほんの僅かな間隙が生じれば試料液体は流路外に流出してしまう。
また、上記接合面における間隙をなくすために、一方の基板を軟質材料で形成し当該基板の弾性変形を利用することで基板同士を密着させる方法も考えられるが、これでは、材料選択上の制約を受けることになり生産性の低下を招いてしまう。
即ち、本発明に係るフローセルは、第1基板と、該第1基板の上に配設される第2基板と、該第2基板に形成された試料液体が導入される導入口と、前記第1基板の上面及び前記第2基板の下面の間に形成され、前記導入口に一端側が接続されるとともに途中位置に検出部が設置された流路とを備えるフローセルにおいて、該流路は、前記第1基板の上面と前記第2基板の下面とのいずれか一方の面から他方の面側に向かって突出する突条と他方の面との間の微小間隙であって、該微小間隙の毛細管力によって該微小間隙外の領域に流出しないように前記試料液体が流通されることを特徴としている。
また、微小間隙とそれ以外の領域との間には急激な(階段上の)構造変化を設けることで、流路材料と液体の特性によって一義的に決定される液体の接触角も急激な変化が必要となる。その接触角の急激な変化は、液体の進行に対して抵抗として働き、液体が微小間隙から流出するのを防ぐことになり、外部へ流出することはない。
また、ポンプ部による毛細管力は上記流路と同様に、ポンプ形成部と第2基板の対向する面との間の微小間隙により生じる構成とされているため、当該ポンプ部に到達した試料液体が、ポンプ部以外の領域に流出するのを防ぐことができる。
ピラーによってポンプ部における表面積が増大し、これにともなって毛細管力が大きくなるため、より確実かつ円滑に流路の試料液体をポンプ部へと吸い上げることが可能となる。
この流路15は、詳しくは、一端が導入部13に接続されるとともに外部装置により測定光等が照射される測定流路16と、一端が測定流路16に接続されるとともに2つに分岐した他端がそれぞれポンプ部14、14に接続された接続流路17とから構成されている。
なお、金属薄膜20は、上記測定流路16に対応する部分のみに形成するようにしてもよい。
図3に示すように、この第2基板12の下面(第1基板に対向する面)12aの外周縁部12bは第1基板11側に一段***しており、第1基板11及び第2基板12を接合した際には、この外周縁部12bが第1基板11の上面11aと密着するようになっている。なお、以下では第2基板12の下面12aと言う場合には、外周縁部12bの内側にあたる当該外周縁部12bよりも一段凹んだ平面を指すものとする。
これら直線突条22、蛇行突条23及接続突条24は上記下面12aを基準として環状段部21と同一の高さまでそれぞれ等しく第1基板11側に突出している。
具体的には、第1基板11の上面11aに第2基板12の下面12aが対向するようにして積層させるとともに、第1基板11を上面側から押圧する。この際、第2基板12の外周縁部12bの表面に粘着剤、接着剤又は両面シール等を介在させておくことにより、第1基板11の上面11aと第2基板12の外周縁部12bとが接合されて、第1基板11と第2基板12とが固定一体化される。
本実施形態のフローセル1においては、このようにして形成された微小間隙が、それぞれ図2に示す導入部13、測定流路16、接続流路17及びポンプ部14とされて、試料液体Sを流通させるフローセル1が構成されている。
導入口12cに試料液体Sが注入されると、当該試料液体Sは、第2基板12の環状突条21と第1基板11の上面11aとの微小間隙、即ち導入部13に毛細管現象により入り込む。すると、試料液体Sは同じく微小間隙である測定流路16、接続流路17の順に毛細管現象により進んでいく(図4参照)。
そして、試料液体Sが空気孔26に到達すると、当該試料液体Sと第2基板12のポンプ形成部25との接触角が大きく変化し、これが液体の進行に対して抵抗として作用するため、試料液体Sの進行が停止される。これにより、ポンプ部14による試料液体Sの吸入動作は終了する。
表面プラズモン共鳴現象を利用した測定は、測定対象の検体が接触した金属(本実施形態においては金属薄膜20)の表面における、エバネッセント波と表面プラズモン波との共鳴を用いるものである。
このようにして照射された光は、第1基板11と金属薄膜20との界面で反射し、いわゆるCCDイメージセンサ等の撮像素子よりなる光検出部106で光強度が測定され、上記共鳴が起こる角度で反射率が低くなる谷が観測される。
ところが、本実施形態のフローセル1においては、間隙を意図的に形成して流路15として利用するため、両基板11、12の接触面の密着性が確実でなく当該接触面に多少の間隙が生じたとしても、流路15及びポンプ部14に影響を与えることはない。従って、製造を容易として生産コストを低下させることが可能となる。
これによって、ポンプ部14の奥に行くほど微小間隙が大きくなることから、より多くの試料液体Sのポンプ部14内に留めることが可能となり、ポンプ部14の容量を増大させることが可能となる。
即ち、本実施形態においては、第2基板12のポンプ形成部25と第1基板11の上面11aとをフローセル30の厚さ方向に連結する略円柱状のピラー32が等間隔で複数配設されている。これによって、当該ピラー32がない場合に比べてポンプ部31の単位体積あたりの表面積が大きくなる。したがって、ピラー32間を通過する試料液体Sにはより大きな毛細管力が作用することになり、より円滑かつ確実に試料液体Sを吸引することが可能となる。
なお、ピラー32の形状は円柱状に限定されることはなく、多角形状のものやその他の形状のものであってもよい。
さらにまた、このピラー32の代わりに、もしくはピラー32とともに、第1基板11と第2基板12とを接続する複数の突条を設け、該突条によってポンプ部31内に複数の細い流路が集積して形成された構造をなすものであってもよい。
例えば、本実施形態においては2つのポンプ部14、31が形成されたものを示したが、これに限定されることはなく、単一又は3つ以上のポンプ部14、31を備えたものであってもよい。また、流路15についても、本実施形態の態様に限定されず、設計に応じて適宜形状を変更することも可能である。
即ち、本実施形態に係るフローセル1、30は、2つの基板11、12間に意図的に形成した微小間隙を流路15として用いることが本質であり、このような技術的内容が具現化されている以上、いかなる実施態様をも包含する。
11 第1基板
12 第2基板
12c 導入口
15 流路
16 測定流路
17 接続流路
14 ポンプ部
22 直線突条(突条)
23 蛇行突条(突条)
24 接続突条(突条)
25 ポンプ形成部
20 金属薄膜(検出部)
30 フローセル
31 ポンプ部
32 ピラー
33 ポンプ形成部
Claims (4)
- 第1基板と、
該第1基板の上に配設される第2基板と、
該第2基板に形成された試料液体が導入される導入口と、
前記第1基板の上面及び前記第2基板の下面の間に形成され、前記導入口に一端側が接続されるとともに途中位置に検出部が設置された流路とを備えるフローセルにおいて、
該流路は、前記第1基板の上面と前記第2基板の下面とのいずれか一方の面から他方の面側に向かって突出する突条と他方の面との間の微小間隙であって、該微小間隙の毛細管力によって該微小間隙外の領域に流出しないように前記試料液体が流通されることを特徴とするフローセル。 - 前記第1基板の上面と前記第2基板の下面との間に形成されるとともに前記流路の他端側が接続されたポンプ部が備えられ、
該ポンプ部は、前記第1基板の上面と前記第2基板の下面とのいずれか一方の面から他方の面に向かって一段***したポンプ形成部を備え、
該ポンプ形成部と前記他方の面との間の微小間隙による毛細管力によって、前記導入口から前記流路を経て到達した前記試料液体を吸引することを特徴とする請求項1に記載のフローセル。 - 前記ポンプ部における微小間隙が、該ポンプ部における前記流路との接続箇所から離間する方向に向かうに従って漸次大きくなることを特徴とする請求項2に記載のフローセル。
- 前記ポンプ形成部と前記他方の面とを接続する複数のピラーが設けられたことを特徴とする請求項2又は3に記載のフローセル。
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