しかしながら、従来例においては、音響再生装置は、入力した音響信号に対する、音楽か音声かの判別結果のみに基づき、出力する音響の周波数特性を決定していた。言い換えれば、従来例の音響再生装置は、一つの音響の種類対して、一つの周波数特性によって音響を制御することになる。
したがって、従来例の音響再生装置は、出力する音響のボリュームが大きい場合においても、音響の種類に応じて、出力する音響の周波数特性を制御するため、出力する人間の音声の音質が変わるという問題がある。
さらに、出力する音響のボリュームが非常に小さい場合のような、通常あまり使用されないようなボリューム値の場合において、従来例の音響再生装置による周波数特性は、十分な効果を得ることができないという問題がある。結果、出力する音響のボリュームが非常に小さい場合においては、出力する音響である、人間の音声が明瞭とならず、聞き取り難いという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、音響の種類に応じて音響の周波数特性を制御するにあたり、一つの音響の種類に対応する周波数特性を、さらに最適な周波数特性に制御できる、音響再生装置および音響再生方法を提供することにある。
本発明に係る音響再生装置は、上記の課題を解決するために、
入力された音響信号を、当該音響信号の周波数ごとに所定の増幅率によって増幅する増幅手段と、上記周波数ごとの上記増幅率を制御する制御手段と、を備えた音響再生装置であって、上記制御手段は、外部から指定されたボリューム値と、上記音響信号の種類を識別する情報とに基づき、上記増幅率を上記周波数ごとに制御することを特徴としている。
上記ボリューム値は、音響再生装置より出力する音響を視聴するユーザによって指定された値であり、ユーザは、このボリューム値を調整することによって、音響再生装置より出力する音響の大きさを調整する。
上記の構成によれば、ボリューム値と、音響信号の種類とに基づいて、増幅手段における増幅率を音響信号の周波数ごとに制御できる。このように、音響信号の種類だけでなく、ユーザが指定したボリューム値にも基づいて、増幅手段における増幅率を音響信号の周波数ごとに制御することにより、増幅手段により増幅された音響信号の周波数特性は、音響信号の種類と、ユーザが指定したボリュームに基づいた周波数特性となる。
たとえば、音響信号が音声の信号であった場合に、ボリューム値が小さいときは、人間の音声帯域を強調するように、増幅率を制御できる。このように、人間の音声帯域を強調するように、増幅率を制御することにより、増幅手段より出力する音響信号の周波数特性は、人間の音声帯域が強調されたものとなる。その結果、ユーザが音響のボリュームを小さくした場合でも、人間の音声が明瞭な音響を出力できる。
一方、同じように、音響信号が音声の信号であった場合でも、ボリューム値が大きいときは、人間の音声が聞き取り難いということはないため、音響信号の周波数における、低域から高域までの増幅率を一定にすることにより、出力する人間の音声の音質が変わることを防止できる。
以上のように、本発明の音響再生装置は、音響の種類に応じて音響の周波数特性を制御するにあたり、一つの音響の種類に対応する周波数特性を、さらに最適な周波数特性に制御できる。
本発明に係る音響再生方法は、上記の課題を解決するために、
入力された音響信号を、当該音響信号の周波数ごとに所定の増幅率によって増幅する増幅ステップと、上記周波数ごとの上記増幅率を制御する制御ステップと、を備えた音響再生方法であって、上記制御ステップにおいて、外部から指定されたボリューム値と、上記音響信号の種類を識別する情報とに基づき、上記増幅率を上記周波数ごとに制御することを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る音響再生装置と同様の作用効果を奏する。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記音響信号の種類を判定する判定手段を有し、
上記判定手段は、上記音響信号が、音声の信号であるかの判定、および、音楽の信号であるかの判定の、少なくとも一方を、上記音響信号より判定することが好ましい。
上記構成によれば、上記判定手段によって、音響信号が音声の信号か、音楽の信号かを、音響信号より判定することができる。
本発明に係る音響再生方法は、さらに、
上記音響信号の種類を判定する判定ステップを有し、上記判定ステップにおいて、上記音響信号が、音声の信号であるかの判定、および、音楽の信号であるかの判定の、少なくとも一方を、上記音響信号より判定することが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係る音響再生装置と同様の作用効果を奏する。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段は、上記音響信号が、音声の信号であるかを判定する音声判定手段と、上記音響信号が、音楽の信号であるかを判定する音楽判定手段と、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、音響再生装置に入力された音響信号自体より、音響信号が音声の信号かどうかを音声判定手段によって判定し、音響信号が音楽の信号かどうかを音楽判定手段によって判定できる。したがって、判定手段は、入力された音響信号が、音声の信号か音楽の信号かを、より正確に判定できる。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記音声判定手段によって、上記音響信号が音声の信号と判定され、かつ、上記音楽判定手段によって、上記音響信号が音楽の信号と判定された場合、または、上記音声判定手段によって、上記音響信号が音声の信号でないと判定され、かつ、上記音楽判定手段によって、上記音響信号が音楽の信号でないと判定された場合、上記判定手段は、上記音響信号が、音楽の信号でも音声の信号でもないその他の信号であると判定することが好ましい。
上記の構成によれば、音響再生装置に入力された音響信号が、音声の信号でも音楽の信号でもない、その他の信号であることを判定できる。結果、入力された音響信号が、音声と音楽とを含む信号であった場合、両者の状況にあった増幅率に、制御手段は制御できる。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号を音声の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記中域の増幅率を上記低域および上記高域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域および上記高域の増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
まず、人間の音声の主な帯域は、音響信号の周波数における中域の帯域に相当する。上記構成によれば、判定手段によって音響信号が音声の信号であると判定された場合に、音響信号の中域の帯域を、低域および高域の帯域より強調することになる。さらに、ボリューム値が小さければ小さいほど、中域の帯域を強調することになる。したがって、ボリューム値が小さい場合であっても、中域の帯域を強調する、言い換えれば、人間の音声の主な帯域を強調することになり、結果、聞き取り易い音響信号を出力できるという効果を奏する。
さらに、上記構成によれば、ボリューム値が大きい場合、つまり、十分に人間の声が聞き取り易いボリューム値となる場合には、中域の帯域に対する強調を小さくすることになる。結果、中域の帯域を強調することにより発生する、人間の音声における音質の変化を、低減できるという効果を奏する。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号を音楽の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の増幅率を、上記中域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の大きくした増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号が音楽の信号と判定された場合、ボリューム値が小さければ小さいほど、低域および高域の少なくとも一方の増幅率を強調することになる。一般的に、音楽は人間の音声に比べ、低域および高域の帯域を多く使用している。さらに、ボリューム値が小さくなればなるほど、出力する音楽の臨場感が低下することになる。
ここで、本発明の音響再生装置は、上記の構成を備えることにより、ボリューム値が小さい場合には、低域および高域の帯域を強調することになる。結果、ボリューム値が小さくなり、音楽の臨場感が低下することを、抑える効果を奏する。
また、本発明に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域、上記中域、および上記高域の増幅率が一定となるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号が、音声の信号および音楽の信号のどちらでもない、言い換えれば、その他不明な信号と判定された場合には、低域から高域までの帯域に対する増幅率を一定にすることになる。これにより、特定の帯域を強調することによって発生する、音響の音質の変化を防止できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記音響信号は、放送電波に含まれるものであり、上記音響再生装置には、上記放送電波に含まれる、放送番組のジャンルを示す情報が入力され、上記制御手段は、上記音響信号の種類を識別する情報として、上記ジャンルを示す情報を用いて、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号の種類を識別する情報として、放送番組のジャンルを示す情報を用いて、増幅率を音響信号の周波数ごとに制御できる。この放送番組のジャンルを示す情報は、放送電波に含まれる情報であるため、容易に取得できる。結果、音響信号の種類を識別する情報を取得するための、複雑な回路を備える必要がないという効果を奏する。
本発明の参考に係る音響再生方法は、さらに、
上記音響信号は、放送電波に含まれるものであり、上記音響再生方法においては、上記放送電波に含まれる、放送番組のジャンルを示す情報を入力し、上記制御ステップにおいて、上記音響信号の種類を識別する情報として、上記ジャンルを示す情報を用いて、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係る音響再生装置と同様の作用効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段は、上記音響信号が、音声の信号、音楽の信号、またはその他の信号のうち、いずれかの信号であるかを、上記ジャンルを示す情報より判定し、自身が判定した結果を用いて、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記構成を備えたことにより、制御手段は、ジャンルを示す情報より、音響信号が音声の信号か、音楽の信号か、その他の信号かを判定できる。結果、音響信号の種類を3つの種類に分類することができ、増幅手段における増幅率を音響信号の周波数ごとに制御を簡略化できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段が、上記音響信号を音声の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記中域の増幅率を上記低域および上記高域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域および上記高域の増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記構成によれば、音響信号が音声の信号であると判定された場合に、音響信号の中域の帯域を、低域および高域の帯域より強調することになる。さらに、ボリューム値が小さければ小さいほど、中域の帯域を強調することになる。したがって、ボリューム値が小さい場合であっても、中域の帯域を強調する、言い換えれば、人間の音声の主な帯域を強調することになり、結果、聞き取り易い音響信号を出力できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段が、上記音響信号を音楽の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の増幅率を、上記中域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の大きくした増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号が音楽の信号と判定された場合、ボリューム値が小さければ小さいほど、低域および高域の少なくとも一方の増幅率を強調することになる。このように、ボリューム値が小さい場合において、低域および高域の帯域を強調することにより、ボリューム値が小さい場合での、音楽の臨場感が低下することを、抑える効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域、上記中域、および上記高域の増幅率が一定となるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号が、音声の信号および音楽の信号のどちらでもない、言い換えれば、その他不明な信号と判定された場合には、低域から高域までの帯域に対する増幅率を一定にすることになる。これによる効果は上述したとおりである。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記音響信号は、放送電波に含まれるものであり、上記音響再生装置には、上記放送電波に含まれる、放送番組のジャンルを示す情報が入力され、上記音響信号が音声の信号であるかの判定、もしくは、音楽の信号であるかの判定の、少なくとも一方の判定を行う判定手段を有し、上記制御手段は、上記音響信号の種類を識別する情報として、上記判定手段の判定結果および上記ジャンルを示す情報を用いて、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響再生装置は、判定手段の判定結果およびジャンルを示す情報の2つの情報を用いて、増幅率を音響信号の周波数ごとに制御する。結果、音響信号の種類に、より正確に応じた、増幅率を音響信号の周波数ごとに制御できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生方法では、さらに、
上記音響信号は、放送電波に含まれるものであり、上記音響再生方法においては、上記放送電波に含まれる、放送番組のジャンルを示す情報を入力し、上記音響信号が音声の信号であるかの判定、もしくは、音楽の信号であるかの判定の、少なくとも一方の判定を行う判定ステップを有し、上記制御ステップは、上記音響信号の種類を識別する情報として、上記判定手段の判定結果および上記ジャンルを示す情報を用いて、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、本発明に係る音響再生装置と同様の作用効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段は、上記音響信号が、音声の信号であるかを判定する音声判定手段と、上記音響信号が、音楽の信号であるかを判定する音楽判定手段と、を備え、上記制御手段は、上記音響信号が、音声の信号、音楽の信号、またはその他の信号のうち、いずれかの信号であるかを、上記ジャンルを示す情報より判定することが好ましい。
上記の構成によれば、音響再生装置は、判定手段の判定結果、および制御手段の判定結果の両方を用いて、音響信号が、音声の信号、音楽の信号、またはその他の信号のうち、いずれかの信号であるかを判定する。
ここで、制御手段は、放送番組のジャンルを示す情報より、音響の種類を判定しており、判定手段は、入力された音響信号より、音響の種類を判定しており、この2つの判定結果を用いて、本発明の参考に係る音響再生装置は、増幅手段における増幅率を制御することもできる。例えば、放送番組のジャンルを示す情報が、音楽系のジャンルを示す情報であり、制御手段が、音響信号を音楽の信号であると判定し、さらに、判定手段が、音響信号を音声の信号と判定した場合、判定手段の判定結果を優先し、音響信号の周波数における、中域の帯域を強調するが、制御手段における判定結果を考慮して、この中域の帯域対する強調の度合いを小さくする。このように、制御手段からの判定結果と、判定手段からの判定結果との、2つの判定結果を用いることにより、増幅手段における増幅率を、より最適に制御できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記音声判定手段によって、上記音響信号が音声の信号と判定され、かつ、上記音楽判定手段によって、上記音響信号が音楽の信号と判定された場合、または、上記音声判定手段によって、上記音響信号が音声の信号でないと判定され、かつ、上記音楽判定手段によって、上記音響信号が音楽の信号でないと判定された場合、上記判定手段は、上記音響信号が、音楽でも音声でもないその他の信号であると判定することが好ましい。
上記の構成によれば、音響再生装置に入力された音響信号が、音声の信号でも音楽の信号でもない、その他の信号であることを判定できる。結果、入力された音響信号が、音声と音楽とを含む信号であった場合、両者の状況にあった増幅率に、制御手段は制御できる。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定した場合、上記制御手段は、自身の判定結果に基づき、上記増幅率を制御することが好ましい。
このように、判定手段によって、音響信号がその他の信号と判定されたとしても、言い換えれば、不明な信号と判定されたとしても、制御手段による判定結果に基づき、増幅率を音響信号の周波数ごとに適切に制御できるという効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号を音声の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記中域の増幅率を上記低域および上記高域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域および上記高域の増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記構成によれば、音響信号が音声の信号であると判定された場合に、音響信号の中域の帯域を、低域および高域の帯域より強調することになる。このときの効果についてはすでに上述したとおりである。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段は、上記音響信号を音楽の信号またはその他の信号であると判定した場合、自身の判定結果が、上記音響信号を音声の信号と判定した場合よりも、上記中域の増幅率と、上記低域および高域の増幅率との差を、小さくするように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、判定手段が音響信号を音声の信号と判定した場合において、制御手段による判定結果に基づいて、中域の帯域に対する、強調の度合いを制御できる。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号を音楽の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の増幅率を、上記中域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の大きくした増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、音響信号が音楽の信号と判定された場合、ボリューム値が小さければ小さいほど、低域および高域の少なくとも一方の増幅率を強調することになる。このときの効果については、すでに上述したとおりである。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記制御手段は、上記音響信号を音声の信号またはその他の信号であると判定した場合、自身の判定結果が、上記音響信号を音楽の信号と判定した場合よりも、上記中域の増幅率と、上記低域および高域の増幅率との差を、小さくするように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、判定手段が音響信号を音楽の信号と判定した場合において、制御手段からの判定結果に基づいて、低域および高域の少なくとも一方に対する、強調の度合いを制御できる。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定し、かつ、上記制御手段が、上記音響信号を音声の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記中域の増幅率を、上記低域および上記高域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域および上記高域の増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、判定手段において、上記音響信号がその他の信号、言い換えれば、音声か音楽か不明な信号と判定されたとしても、制御手段における、音響信号が音声の信号であるという判定結果に基づいて、音声信号の周波数における、中域の帯域を強調できる。さらに、ボリューム値が小さければ小さいほど、人間の音声における主な帯域である、中域の帯域を強調しているため、ボリューム値が小さい場合でも、人間の音声を明瞭にし、聞き取り易い音響を出力できる。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定し、かつ、上記制御手段が、上記音響信号を音楽の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の増幅率を、上記中域の増幅率よりも大きくし、上記ボリューム値が小さければ小さいほど、上記低域または上記高域の少なくともどちらか一方の大きくした増幅率と、上記中域の増幅率との差が大きくなるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、判定手段において、上記音響信号がその他の信号、言い換えれば、音声か音楽か不明な信号と判定されたとしても、制御手段における、音響信号が音楽の信号であるという判定結果に基づいて、音声信号の周波数における、低域および高域の少なくとも一方の帯域を強調できる。さらに、ボリューム値が小さければ小さいほど、低域および高域の少なくとも一方の帯域を強調しているため、ボリューム値が小さい場合での、音楽の臨場感が低下することを、抑える効果を奏する。
また、本発明の参考に係る音響再生装置では、さらに、
上記判定手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定し、かつ、上記制御手段が、上記音響信号をその他の信号であると判定した場合で、上記音響信号の周波数の帯域を低い順に低域、中域、および高域の3つの帯域に分けた場合、上記制御手段は、上記低域、上記中域、および上記高域の増幅率が一定となるように、上記増幅率を制御することが好ましい。
上記構成によれば、判定手段および制御手段の2つの判定結果が共に、音響信号がその他の信号、言い換えれば、不明な信号であると判定された場合、低域から高域までの帯域に対する増幅率を一定にすることになる。これにより、特定の帯域を強調することによって発生する、音響の音質の変化を防止できるという効果を奏する。
本発明の音響再生装置および音響再生方法は、以上のように、ボリューム値と、音響信号の種類を識別する情報とに基づき、増幅率を音響信号ごとに制御する。したがって、音響の種類に応じて音響の周波数特性を制御するにあたり、一つの音響の種類に対応する周波数特性を、さらに最適な周波数特性に制御できる。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1〜図5を参照して以下に説明する。
(テレビジョン放送受信再生機器10の構成)
まず、図2を参照して、本発明のオーディオ出力変換装置100を備えるテレビジョン放送受信再生機器10の構成について説明する。図2は、オーディオ出力変換装置100を備えるテレビジョン放送受信再生機器10の構成を示すブロック図である。なお、同図は、テレビジョン方法受信再生機器10の主要な構成部分だけを抽出して示したものである。
同図に示すように、テレビジョン放送受信再生機器(以下、テレビとする)10は、アンテナより受信したアナログ放送信号を入力するアナログチューナー部20と、アンテナより受信したデジタル放送信号を入力するデジタルチューナー部30と、アナログ放送信号を、ビデオデータとオーディオデータに分割するAVスイッチ部21と、デジタル放送信号を復調するデジタル復調部31と、復調したデジタル放送信号を、デジタルビデオデータとデジタルオーディオデータに分割する分離部32と、デジタルビデオデータを復号するビデオデコード部33と、デジタルオーディオデータを復号するオーディオデコード部34と、ビデオセレクタ部40と、オーディオセレクタ部41と、ビデオ出力変換部42と、オーディオ出力変換装置100(音響再生装置)とを備えている。
(テレビジョン放送受信装置10の動作)
テレビ10は、アンテナにより受信した放送番組であるアナログ放送信号を、アナログチューナー部20を介して、AVスイッチ部21に入力する。AVスイッチ部21は、入力したアナログ放送信号を、放送番組における映像の情報であるビデオデータと、音響の情報であるオーディオデータとに分割する。ビデオセレクタ部40は、AVスイッチ部21で分割されたビデオデータを入力する。さらに、オーディオセレクタ部41は、AVスイッチ部21で分割されたオーディオデータを入力する。
一方、デジタルチューナー部30を介して、アンテナより受信したデジタル放送信号を、デジタル復調部31は入力し、入力したデジタル放送信号を復調する。次に、分離部32は、デジタル復調部31において復調されたデジタル放送信号を出力する。ここで、分離部32は、デジタル復調部31により復調されたデジタル放送信号を、映像の情報であるデジタルビデオデータと、音響の情報であるデジタルオーディオデータとに分割する。分離部32によって分割されたデジタルビデオデータは、符号化されたデータであるため、ビデオデコード部33がデジタルビデオデータを復号し、ビデオデータとしてビデオセレクタ部40に出力する。同様に、デジタルオーディオデータも、符号化されたデータであるため、オーディオデコード部34がデジタルオーディオデータを復号し、オーディオセレクタ部41に出力する。
次に、AVスイッチ部21からのビデオデータと、ビデオデコード部33からのビデオデータとを入力したビデオセレクタ部40は、入力した2つのビデオデータのうち、再生する放送番組に対応するビデオデータを選択し、ビデオ出力変換部42に出力する。ビデオ出力変換部42は、入力したビデオデータを、液晶表示パネル50において再生可能なデータ形式に変換する。ビデオ出力変換装置42において変換されたビデオデータは、液晶表示パネル50によって表示される。
一方、AVスイッチ部21からのオーディオデータと、オーディオデコード部34からのオーディオデータとを入力したオーディオセレクタ部41は、入力した2つのオーディオデータのうち、再生する放送番組に対応するオーディオデータを選択し、オーディオ出力変換装置100(音響再生装置)に出力する。オーディオ出力変換装置100は、入力したオーディオデータを、スピーカ60において再生可能なデータ形式に変換する。オーディオ出力変換装置100において、変換されたオーディオデータは、スピーカ60によって再生される。
(オーディオ出力変換装置100の構成)
次に、本発明の実施の一形態である、オーディオ出力変換装置100の構成について、図1を参照して説明する。図1は、オーディオ出力変換装置100の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置100は、音響増幅部110(増幅手段)と、音声音楽判定部120(判定手段)と、コントロール部130(制御手段)とを備えている。
(オーディオ出力変換装置100の動作)
オーディオ出力変換装置100は、オーディオセレクタ部41からのオーディオデータ(音響信号)を音響増幅部110および音声音楽判定部120に入力する。オーディオデータを入力した音声音楽判定部120は、入力したオーディオデータが、音声を含むデータか、音楽を含むデータか、それ以外のデータかを判定する。次に、音声音楽判定部120は、判定結果を、オーディオデータが、音声のデータかどうかを示す音声フラグと、オーディオデータが、音楽のデータかどうかを示す音楽フラグとの、2つの2値信号によってコントロール部130に出力する。ここで、音声音楽判定部120は、オーディオデータが音声のデータであると判定した場合は、音声フラグを1とし、音声以外のデータと判定した場合は音声フラグを0として、コントロール部130に出力する。さらに、音声音楽判定部120は、オーディオデータが音楽のデータであると判定した場合は、音楽フラグを1とし、音楽以外のデータと判定した場合は音楽フラグを0として、コントロール部130に出力する。
ここで、音声音楽判定部120は、入力したオーディオデータが、音声を含むデータかどうかを判定する音声判定部(音声判定手段)と、音楽を含むデータかどうかを判定する音楽判定部とを備えている。さらに、この音声判定部(音楽判定手段)が音声フラグを出力し、音楽判定部が音楽フラグを出力する。
なお、本実施の形態において、音声音楽判定部120における、判定方法は、特許文献1に記載された方法を用いるものとするが、本発明のオーディオ出力変換装置100は、これに限るものではなく、入力されたオーディオデータより、オーディオデータが音声か音楽かそれ以外かを判定できるものであればよい。
さらに、本実施形態において、音声音楽判定部120からの判定結果は、音声フラグと、音楽フラグの2つの信号によってとして、コントロール部130に入力されるが、本発明は、これに限るものではなく、音声フラグまたは音楽フラグのどちらか一方のみ、コントロール部130に入力されてもよい。一例として、音声音楽判定部120からの信号が、音声フラグのみであった場合、音声フラグが1となるときは、オーディオ出力変換装置100に入力したオーディオデータが、音声であると判定し、一方、音声フラグが0となるときは、オーディオデータが、音楽であると判定するようにしてもよい。もしくは、音声フラグが0となるときは、オーディオデータが、その他であると判定するようにしてもよい。逆に、音声音楽判定部120からの信号が、音楽フラグのみであった場合、音楽フラグが1となるときは、オーディオ出力変換装置100に入力したオーディオデータが、音楽であると判定し、一方、音楽フラグが0となるときは、オーディオデータが、音声であると判定するようにしてもよい。もしくは、音楽フラグが0となるときは、オーディオデータが、その他であると判定するようにしてもよい。
次に、コントロール部130は、音声フラグが1であり、かつ、音楽フラグが0であった場合に、音声音楽判定部120において、入力されたオーディオデータが音声のデータと判定されたものと認識する。さらに、コントロール部130は、音声フラグが0であり、かつ、音楽フラグが1であった場合に、音声音楽判定部120において、入力されたオーディオデータが音楽のデータであると判定されたと認識する。また、音声フラグおよび音楽フラグが共に0であった場合、または、音声フラグおよび音楽フラグが共に1であった場合、コントロール部130は、音声音楽判定部120において、入力されたオーディオデータが、音声のデータでも音楽のデータでもないオーディオデータと判定されたものと認識する。もしくは、音声フラグを優先して、音声フラグおよび音楽フラグが共に1であった場合、オーディオデータが、音声であると判定するようにしてもよい。もしくは、音楽フラグを優先して、音声フラグおよび音楽フラグが共に1であった場合、オーディオデータが、音楽であると判定するようにしてもよい。
また、テレビ10を視聴するユーザが選択した、出力音量を指定するためのボリューム値を、オーディオ出力変換装置100は、コントロール部130に入力する。
ここで、コントロール部130は、音声音楽判定部120からの判定結果の情報である音声フラグおよび音楽フラグと、ボリューム値とに基づき、音響増幅部110における、オーディオデータに含まれる音響の周波数ごとの増幅率を設定するための制御パラメータを生成する。コントロール部130は、生成した制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。コントロール部130からの制御パラメータを入力した音響増幅部110は、入力した制御パラメータに基づき、自身の内部に備えるパラメトリックイコライザ(以下、PEQとする)を調整する。ここで、音響増幅部110は、制御パラメータを入力することにより、オーディオデータに含まれる音響の周波数ごとに増幅率を制御することができる。つまり、音響の周波数領域全体に対する増幅率でみると、音響増幅部110における増幅率は周波数特性を有することになる。なお、このPEQと、制御パラメータとの詳細な説明については後述とする。
(判定結果およびボリューム値に基づく状態遷移)
次に、音声音楽判定部120からの判定結果およびボリューム値と、音響増幅部における周波数特性を有する増幅率との関係を、図3を参照して説明する。図3は、コントロール部130が入力する、音声音楽判定部120からの判定結果、および外部より入力したボリューム値と、音響増幅部110における周波数特性を有する増幅率と、の関係を示す説明図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置100を備えるテレビ10に電源が入ると、オーディオ出力変換装置100は、まず音響増幅部110における増幅率の状態を、初期状態である状態131Bに設定する。この状態131Bは、音響増幅部110が入力するオーディオデータに対して、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域から高域までの増幅率を一定の周波数特性にしている状態である。
なお、オーディオデータに含まれる音響の周波数を3つの帯域に分け、周波数が低い順に、低域、中域、高域としている。さらに本実施の形態においては、音響の周波数における中域を、200Hz以上から5kHz未満とし、高域を5kHz以上とし、低域を200Hz未満とする。
次に、状態131Bに対応する、増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ140Bまたは141Bとなる。なお、以下に説明する特性グラフは、横軸を周波数、縦軸を増幅率とし、3種類のボリューム値に対応する周波数特性を示すグラフである。特性グラフ140Bまたは141Bは、オーディオデータが含む音響の周波数における、低域から高域の増幅率を一定にしており、さらに、3種類のボリューム値である、Vol大,Vol中,Vol小に対応する増幅率が、それぞれ一定となることを示している。つまり、コントロール部130は、オーディオデータが含む音響の周波数における、低域から高域の増幅率を一定にし、かつ、入力したボリューム値に対応する増幅率となるように、音響増幅部110における増幅率を制御する。なお、本実施の形態におけるボリューム値は、3つ以上の種類の値を持つものであるが、本願明細書においては、説明の便宜上、外部より入力するボリューム値を、スピーカより出力する音響が大きくなるVol大と、Vol大よりも小さい音響の大きさとなるVol中と、さらにVol中よりも小さい音響の大きさとなるVol小との3種類のボリューム値に簡略化して説明する。
次に、オーディオ出力変換装置100は、オーディオセレクタ部41(図2参照)からのオーディオデータを音声音楽判定部120に入力し、入力したオーディオデータが含む音響が、音楽か、音声か、それ以外かを判定する。音声音楽判定部120は、上述したように、判定結果を音声フラグおよび音楽フラグによって、コントロール部130に出力する。コントロール部130は、入力した音声フラグが1であり、かつ、音楽フラグが0であった場合、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態131Aになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態131Aに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、特性グラフ140Aまたは141Aとなる。特性グラフ140Aおよび141Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、オーディオデータの周波数における中域の増幅率が、低域および高域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部130によって制御されている。さらに、特性グラフ140Aおよび141Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、中域の増幅率と、低域および高域の増幅率との差が大きくなるように、コントロール部130によって制御されている。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、中域の音響を、低域および高域の音響よりも強調するように、コントロール部130が音響増幅部110を制御する。
以上のように、音声音楽判定部120からの音声フラグが1であり、音楽フラグが0であった場合、言い換えれば、入力されたオーディオデータが含む音響が、音声と判定された場合に、ボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータの周波数における200Hz〜5kHzの音響を強調することにより、人間の音声における主な周波数帯域を強調することになる。結果、スピーカ60より出力する音響のボリュームを小さくしても、出力する音響である人間の音声が聞き取り易くなるという効果を奏することになる。
さらに、特性グラフ140Aおよび141Aに示すように、ボリューム値が大きい値の場合には、中域の音響を、低域および高域の音響より強調することなく、低域から高域まで一定の増幅率となる周波数特性に、コントロール部130は音響増幅部110を制御している。このように、ボリューム値が大きい場合に、低域から高域までの増幅率が一定となる周波数特性とすることにより、中域の音響を強調した場合に発生する、人の声の音質が変わるという問題を防止できる。
次に、コントロール部130が、音声音楽判定部120より音声フラグが0となり、音楽フラグが1となる判定結果を入力した場合の、音響増幅部110における増幅率の周波数特性について説明する。
コントロール部130が、音声音楽判定部120より、音声フラグが0となり、音楽フラグが1となる判定結果を入力した場合、コントロール部130は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態131Cになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態131Cに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、特性グラフ140Cまたは141Cとなる。特性グラフ140Cおよび141Cにおいて示す増幅率の周波数特性は、オーディオデータが含む音響の周波数における、低域および高域の増幅率が、中域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部130によって制御されている。さらに、特性グラフ140Cおよび141Cにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータが含む音響の周波数における、低域および高域の増幅率と、中域の増幅率との差が大きくなるように、コントロール部130によって制御されている。
一般的に、音楽は、人間の音声と比べ、音響の周波数における、低域および高域の帯域の音量が大きい。この低域および高域の帯域の音量により、音楽の臨場感が左右されることになる。また、低域から高域までの音の音圧の周波数特性、言い換えれば、低域から高域における音圧を示すカーブの形状が同じであった場合、音の音圧が小さいほど、人間は、その聴覚特性上、低域および高域の帯域が、中域の帯域に比べ、音の大きさを小さく感じると言われている。したがって、ボリュームが小さい場合に、ユーザが音楽を聴く際、低域および高域の帯域の音量を大きくすることにより、音楽の臨場感を増加させることになる。
ここで、音声音楽判定部120からの音声フラグが0であり、音楽フラグが1であった場合、言い換えれば、入力されたオーディオデータが含む音響が、音楽と判定された場合に、オーディオ出力変換装置100は、オーディオデータの周波数における低域および高域の音響を強調する。これにより、スピーカ60より出力する音響である音楽の低域および高域を強調することになる。結果、オーディオ出力変換装置100は、スピーカ60より出力する音響が小さい場合であっても、出力する音響である音楽を、臨場感溢れる音楽にできるという効果を奏する。
次に、コントロール部130が、音声音楽判定部120より、音声フラグおよび音楽フラグが共に0となる、または、音声フラグおよび音楽フラグが共に1となる判定結果を入力した場合の、音響増幅部110における増幅率の周波数特性について説明する。
コントロール部130が、音声音楽判定部120より音声フラグおよび音楽フラグが共に0となる、または、音声フラグおよび音楽フラグが共に1となる判定結果を入力した場合、コントロール部130は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態131Bになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。なお、状態131Bに対応する、特性グラフ140Bおよび141Bに記載された、増幅率の周波数特性ついては、すでに上述したとおりである。
以上のように、オーディオ出力変換装置100においては、入力したオーディオデータが含む音響を、音声音楽判定部120によって、音声か、音楽か、それ以外かを判定し、音声音楽判定部120からの判定結果と、入力したボリューム値とに基づき、コントロール部130が、音響増幅部110における増幅率を制御している。
なお、本実施の形態では、状態131Aに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフとして、特性グラフ140Aと141Aとの2つの特性グラフを記載している。この2つの特性グラフの違いは、オーディオデータにおける周波数の中域の強調を強くしたものと、弱くしたものとの違いである。特性グラフ140Aにおいては、ボリューム値が小さければ小さいほど、中域の音響を強く強調しており、スピーカ60より出力する音響である人の声を、より聞き易くできる。一方、特性グラフ141Aにおいて、中域の音響を強調するにあたり、特性グラフ140Aに比べて、中域の音響に対する強調の度合いを弱く設定している。ここで、音声音楽判定装置120における判定結果が、音声から音楽に切り替わった際に、音響増幅部110における増幅率の周波数特性も切り替わることになる。したがって、音響増幅部110における増幅率の周波数特性が切り替わった際に、スピーカ60より出力する音響を聞いているユーザが違和感を感じることがある。ここで、特性グラフ141Aのように、中域の音響に対する強調の度合いを弱く設定することにより、音響増幅部110における増幅率の周波数特性が切り替わった場合においても、ユーザが感じる違和感を低減させることができる。
また、状態131Cの場合も同様に、状態131Cに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフとして、特性グラフ140Cと141Cとの2つの特性グラフを記載している。この2つの特性グラフの違いは、オーディオデータにおける周波数の低域および高域に対する強調の度合いを強くしたものと、弱くしたものとの違いである。特性グラフ140Cにおいては、ボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の音響を強く強調しており、スピーカ60より出力する音響である音楽を、より臨場感溢れる音楽にできる。一方、特性グラフ141Cにおいては、低域および高域の音響を強調するにあたり、特性グラフ140Cに比べて、低域および高域の音響に対する強調の度合いを弱く設定している。ここで、前述したように、音声音楽判定装置120における判定結果が、音声から音楽に切り替わった際に、音響増幅部110における増幅率の周波数特性も切り替わることになる。
したがって、特性グラフ141Cのように、低域および高域の音響に対する強調の度合いを弱く設定することにより、音響増幅部110における増幅率の周波数特性が切り替わった場合においても、ユーザが感じる違和感を低減させることができる。
また、オーディオ出力変換装置100において、音響増幅部110における増幅率の周波数特性として、特性グラフ140A〜140Cに示した特性となるか、特性グラフ141A〜141Cに示した特性となるかについては、オーディオ出力変換装置100を搭載する、テレビ10の仕様等により決定されればよい。
(音響増幅部110の構成)
以下、音響増幅部とは、フィルタ設定による信号処理を行う信号処理部(イコライザ)と信号の増幅を行う信号増幅部(アンプ)を含んでいる。
次に、音響増幅部110の構成について、図4(a)および(b)を参照して説明する。図4(a)は、信号増幅部(固定アンプ)の増幅率が一定で、信号処理部(イコライザ)で周波数特性を含むボリュームを制御する場合の構成を示す説明図であり、図4(b)は、信号増幅部(可変アンプ)で全体の増幅率を制御し、信号処理部(イコライザ)で周波数特性を制御する場合の、音響増幅部110bの構成を示す説明図である。
なお、図4(a)の音響増幅部110a、図4(b)の音響増幅部110bは、図1に示した音響増幅部110に対応するものである。
同図(a)に示すように、音響増幅部110aは、音響増幅部110aに入力されたオーディオデータに対して、所定の周波数特性を有する増幅率によって増幅するイコライザ111と、イコライザ111からのオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換するD/A変換部113と、D/A変換部113からのアナログオーディオ信号を、固定の増幅率によって増幅する固定アンプ112aとを備えている。
なお、本実施の形態においては、イコライザ111を、DSP(Digital Signal Processor)によって構成しているが、本発明はこれに限るものではなく、DSP以外の半導体部品によって構成してもよい。
(音響増幅部110の動作、デジタルボリュームの場合)
以下に、コントロール部130aが入力するボリューム値が、デジタル信号によって入力された場合における、音響増幅部110aの動作を説明する。なお、以下の説明においては、入力するボリューム値が、デジタル信号によって入力された場合のコントロール部130をコントロール部130aとする。
音響増幅部110aは、オーディオセレクタ部41からのオーディオデータをイコライザ111に入力する。さらにイコライザ111は、入力したオーディオデータに対する、周波数特性を有する増幅率を決定するための、制御パラメータを、コントロール部130aより入力する。イコライザ111は、入力した制御パラメータに基づいて、増幅率の周波数特性、およびスピーカ60より出力する音響の大きさを決める増幅量を決定する。
具体的には、コントロール部130aが、音声音楽判定部120より、音声フラグが1および音楽フラグが0を入力し場合、コントロール部130aは、イコライザ111に対して、図4(a)に示す、周波数特性の状態をしめす特性グラフ142Aに記載したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の帯域を強調する増幅率となるように、制御パラメータを出力する。なお、特性グラフ142Aに示した3つの増幅率のうち、どの増幅率になるかは、コントロール部130aが入力するボリューム値に基づいて決定する。つまり、コントロール部130aは、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも、より強調する増幅率となるように、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。
また、コントロール部130aが、音声音楽判定部120より、音声フラグが0および音楽フラグが1を入力し場合、コントロール部130aは、イコライザ111に対して、図4(a)に示す、周波数特性の状態を示す特性グラフ142Bに記載したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を強調する増幅率となるように、制御パラメータを出力する。この場合いおいても、特性グラフ142Bに示した3つの増幅率のうち、どの周波数特性を有する増幅率になるかは、コントロール部130aが、入力するボリューム値に基づいて決定する。つまり、コントロール部130aは、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも、より強調する増幅率となるように、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。なお、本実施の形態においては、コントロール部130aが、音声音楽判定部120より、音声フラグが0および音楽フラグが1を入力し場合、コントロール部130aは、イコライザ111に対して、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を、中域の帯域より強調するように制御パラメータを出力しているが、低域または高域の帯域の一方のみを強調するように制御パラメータを出力してもよい。
さらに、コントロール部130aが、音声音楽判定部120より音声フラグおよび音楽フラグが共に0となる、または、音声フラグおよび音楽フラグが共に1となる判定結果を入力した場合、コントロール部130aは、イコライザ111に対して、図4(a)に示す、周波数特性の状態をしめす特性グラフ142Cに記載したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域から高域の全帯域において、増幅率が一定の周波数特性となるように、制御パラメータを出力する。この場合においては、コントロール部130aは、低域から高域までの全体帯域の増幅率の周波数特性が一定となるように、かつ、入力したボリューム値に基づいた増幅率となるように、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。
なお、イコライザ111における周波数特性を有する増幅率は、増幅率の周波数特性と、スピーカ60より出力する音響の大きさを決める増幅量とを加味した増幅率である。
イコライザ111によって増幅されたオーディオデータを、D/A変換部113が入力する。D/A変換部113は、イコライザ111より入力されたオーディオデータを、アナログオーディオ信号に変換し、固定アンプ112aに出力する。固定アンプ112aは、スピーカ60に出力するために、D/A変換部113より入力したアナログオーディオ信号の振幅を増幅する。さらに、固定アンプ112aは、増幅したアナログオーディオ信号を、スピーカ60に出力する。なお、固定アンプ112aにおける増幅率は、固定の増幅率であり、コントロール部130が入力するボリューム値、および音声音楽判定部からの判定結果には基づかない、独立した増幅率である。
(イコライザ111の動作)
ここで、コントロール部130aからの制御パラメータ、および、イコライザ111内部における動作のフィルタ設定について、図5(a)および(b)を参照して説明する。なお、音響増幅部110aの場合、フィルタ設定だけでなく、全体のゲインを設定する増幅量を制御するがこれについては省略する。図5(a)は、コントロール部からの制御パラメータを説明するための説明図であり、同図(b)は、イコライザ111内部における動作を示す説明図である。
まず、本実施の形態においては、イコライザ111は、DSPによって構成されたPEQである。よって、イコライザ111は、イコライザ111が扱う帯域の中心周波数(以下、f0とする)と、中心周波数からの帯域の幅を決定する帯域幅(以下、Qとする)と、帯域幅Qにおける増幅レベルを決定するゲインレベル(以下、dBgainとする)との、3つのパラメータを入力することにより、自身における、周波数特性を有する増幅率を決定できる。
同図(a)に示すように、コントロール部130は、外部より入力したボリューム値、および、音声音楽判定部120からの音声フラグおよび音楽フラグに基づき、制御パラメータを構成する3つのパラメータである、f0,Q,dBgainを生成する。コントロール部130は、生成したf0,Q,dBgainをイコライザ111に出力する。
次に、制御パラメータであるf0,Q,dBgainを入力したイコライザ111の動作について、図5(b)を参照して説明する。
イコライザ111は、自身の内部に、変換table114を備えている。コントロール部130aからの制御パラメータを入力したイコライザ111は、変換table114によって、入力したf0,Q,dBgainを5つのパラメータである、a1,a2,b0,b1,b2に変換する。ここで、イコライザ111は、複数階層の逆Z変換と、変換table114によって生成された5つのパラメータa1,a2,b0,b1,b2とによって、入力されたオーディオデータに含まれる音響に対する、周波数特性を有する増幅率を決定する。
なお、f0,Q,dBgainと、5つのパラメータa1,a2,b0,b1,b2との関係は、以下のとおりである。
a1=2×cos(w0)/(1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)
a2=(−1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)/(1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)
b0=(1+sin(w0)/(2×Q)×10dBgain/40)/(1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)
b1=−2×cos(w0)/(1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)
b2=(1−sin(w0)/(2×Q)×10dBgain/40)/(1+sin(w0)/(2×Q)/10dBgain/40)
(音響増幅部110の動作、アナログボリュームの場合)
次に、コントロール部130が入力するボリューム値が、アナログ信号の場合における、音響増幅部110の動作を、図4(b)を参照して以下に説明する。なお、以下の説明においては、入力するボリューム値が、アナログ信号の場合のコントロール部130をコントロール部130bとする。さらに、以下の説明においては、コントロール部130が入力するボリューム値が、デジタル信号の場合における、音響増幅部110の動作と、異なる箇所についてのみ説明し、重複する箇所についてはその説明を省略する。
同図に示すように、コントロール部130bが入力するボリューム値が、アナログ信号の場合には、図4(a)において示した固定アンプ112aが、可変アンプ112bとなる。これにより、スピーカ60より出力する音響の大きさを決定する増幅量は、可変アンプ112bにおける増幅率よって決まる。つまり、信号増幅部が固定増幅率の場合、コントロール部130bが入力するボリューム値がデジタル信号の場合には、オーディオデータに含まれる音響に対する増幅率の周波数特性と、スピーカ60より出力する音響の大きさを決定する増幅量とを制御するために、コントロール部130aは、イコライザ111に制御パラメータを出力する。一方、信号増幅部が可変増幅率の場合、コントロール部130bが入力するボリューム値が、アナログ信号の場合には、イコライザ111においては、オーディオデータに含まれる音響に対する増幅率の周波数特性のみを決定するように、コントロール部130bは、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。
具体的には、コントロール部130bが、音声音楽判定部120より、音声フラグが1および音楽フラグが0を入力した場合、コントロール部130bは、イコライザ111に対して、図4(a)に示す、周波数特性の状態をしめす特性グラフ143Aに示したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の帯域を強調するように、制御パラメータを出力する。なお、特性グラフ143Aに示した3つの増幅率のうち、どの増幅率になるかは、コントロール部130bが、入力するボリューム値に基づき決定する。つまり、コントロール部130bは、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも、より強調する周波数特性となるように、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。
さらに、コントロール部130bが、音声音楽判定部120より、音声フラグが0および音楽フラグが1を入力し場合、コントロール部130bは、イコライザ111に対して、図4(a)に示す、周波数特性の状態をしめす特性グラフ143Bに記載したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を強調するように、制御パラメータを出力する。なお、特性グラフ143Bに示した3つの増幅率のうち、どの増幅率になるかは、コントロール部130bが、入力するボリューム値に基づき決定する。つまり、コントロール部130bは、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも、より強調する周波数特性となるように、制御パラメータを、イコライザ111に出力する。
さらに、コントロール部130bが、音声音楽判定部120より音声フラグおよび音楽フラグが共に0となる、または、音声フラグおよび音楽フラグが共に1となる判定結果を入力した場合、コントロール部130bは、イコライザ111に対して、図4(b)に示す、周波数特性の状態をしめす特性グラフ143Cに記載したように、言い換えれば、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域から高域の全帯域において、増幅率が一定となる周波数特性となるように、制御パラメータを出力する。
以上のように、コントロール部130bが入力するボリューム値が、アナログ信号の場合、イコライザ111における目的は、オーディオデータに含まれる音響に対して、特定の帯域を強調するように、周波数特性を有する増幅率によって増幅することである。
一方、スピーカ60より出力する音響の大きさを決定する増幅量については、コントロール部130bは、入力したボリューム値に基づく増幅量を、可変アンプ112bに出力する。可変アンプ112bは、コントロール部130bより入力した増幅量に基づき、D/A変換機113からのアナログオーディオ信号の振幅を増幅する。ここで、スピーカ60より出力する音響の大きさを決定する増幅量に基づく、可変アンプ112bにおける増幅率は、スピーカ60より出力する音響の大きさを決定するものであり、図4(b)の特性グラフ145に示すように、音響に対する低域から高域において一定の増幅率である。なお、特性グラフ145における3つの増幅率を示すグラフは、コントロール部130bが入力する3つのボリューム値である、Vol大,Vol中,Vol小のそれぞれに対応している。
以上のように、コントロール部130bが入力するボリューム値が、アナログ信号の場合には、イコライザ111において、オーディオデータに含まれる音響に対して、特定の帯域を強調するように、周波数特性を有する増幅率によって増幅し、可変アンプ112bにおいて、スピーカ60より出力する音響の大きさ、つまり、音響のボリュームを決定する増幅を行っている。
以下、参考形態1および2に示す構成は、実施形態1の変形例となる。具体的には、コントロール部が入力する情報を、様々な情報に変化させたものである。
なお、参考形態1および2においては、上記の実施形態1と異なる箇所について説明し、重複する部材については、実施形態1と同様に部材番号を付して、その説明を省略する。
〔参考の形態1〕
本発明の参考の形態における、オーディオ出力変換装置200について、図6〜図8を参照して、以下に説明する。
(オーディオ出力変換装置200の構成)
まず、オーディオ出力変換装置200の構成を、図6を参照して、以下に説明する。図6は、オーディオ出力変換装置200の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置200(音響再生装置)は、音響増幅部110と、コントロール部230(制御手段、入力手段)とを備えている。ここで、オーディオ出力変換装置200は、テレビ10(図2を参照)に搭載され、さらに、オーディオ出力変換装置200は、テレビ10における、オーディオ出力変換装置100に置き換わるものである。
(オーディオ出力変換装置200の動作)
オーディオ出力変換装置200は、オーディオセレクタ部41(図2を参照)からのオーディオデータを、音響増幅部110に入力する。さらに、テレビ10を視聴するユーザが選択した、スピーカ60より出力する音響のボリューム値を、オーディオ出力変換装置200は、コントロール部230に入力する。ここで、分離部32(図2を参照)においては、デジタル復調部31(図2を参照)において復調されたデジタル放送信号より、PSI/SI情報データを取得しているものとする。さらに分離部32は、PSI/SI情報データから、現在受信している放送番組のジャンルを示す情報(以下、ジャンル情報とする)を抽出し、オーディオ出力変換装置200に出力する。オーディオ出力変換装置200は、分離部32からのジャンル情報を、コントロール部230に入力する。
次に、ジャンル情報を入力したコントロール部230は、入力したジャンル情報が、音声系のグループか、音楽系のグループか、それ以外のグループかの、3つのグループうちのどのグループとなるかを判別する。具体的には、コントロール部230は、PSI/SI情報データに含まれる全ての種類のジャンルに対して、各ジャンルが、音声系のグループ、音楽系のグループ、それ以外のグループの、3つのグループうちのどのグループとなるかを決定する対応テーブルを記録している。コントロール部230は、この対応テーブルに基づいて、分離部32より入力したジャンル情報が、どのグループとなるかを判別している。
ここで、図7を参照して、コントロール部230における、放送番組のジャンルと、グループとの関係を示す、対応テーブルの一例を説明する。図7は、コントロール部230における対応テーブルの一例を示す説明図である。
同図に示すように、コントロール部230における対応テーブルにおいては、放送番組のジャンルが、音楽または劇場/公演であれば、音楽系のジャンルのグループとなる。さらに、コントロール部230における対応テーブルにおいては、放送番組のジャンルが、ニュース/報道、スポーツ、情報/ワイドショー、ドラマ、バラエティ、映画、アニメ/特撮、ドキュメンタリー/教養、趣味/教育、福祉であれば、音声系のジャンルのグループとなる。さらに、コントロール部230における対応テーブルにおいては、放送番組のジャンルが、その他であれば、不明なジャンルのグループとなる。ここで、放送番組のジャンル情報が、PSI/SI情報データより抽出されることを踏まえると、コントロール部230は、デジタル放送信号を受信した場合のみ、ジャンル情報を入力することになる。したがって、本参考の形態においては、アナログ放送信号を受信した場合、言い換えれば、分離部32よりジャンル情報が入力されない場合には、コントロール部230は、現在受信の放送番組が、不明なジャンルのグループであると判別する。
なお、上記対応テーブルに示した、放送番組のジャンルと、ジャンルのグループ分けは、あくまでも一例であり、オーディオ出力変換装置200の仕様等に基づき、異なるグループ分けとなってもよいことは言うまでもない。また、分類も音声系、音楽系だけでなく、さらに多くの分類を行ってもいいし、すべてのジャンル毎に増幅率を決定してもよい。
次に、コントロール部230は、入力したボリューム値と、ジャンル情報より判別したジャンルのグループとに基づき、制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。制御パラメータを入力した、音響増幅部110における動作については、実施形態1において説明したとおりである。
(ジャンル情報およびボリューム値に基づく状態遷移)
以下に、コントロール部230からの制御パラメータによる、それぞれのジャンルのグループおよびボリューム値と、音響増幅部110における周波数特性を有する増幅率との関係を、図8を参照して説明する。図8は、コントロール部230が入力するボリューム値、およびジャンル情報より判別したジャンルのグループと、音響増幅部110における周波数特性を有する増幅率と、の関係を示す説明図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置200を搭載するテレビ10に電源が入ると、オーディオ出力変換装置200は、受信した放送番組のジャンル情報を、分離部32より入力する。オーディオ出力装置200は、内部に備えるコントロール部230において、入力したジャンル情報に対応する、ジャンルのグループを判別する。ここで、判別したジャンルのグループが、音声系のジャンルのグループであった場合、コントロール部230は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態231Aになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態231Aに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ240Aまたは241Aとなる。特性グラフ240Aおよび241Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の増幅率が、低域および高域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部230によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも強調するように、コントロール部230が音響増幅部110を制御する。
以上のように、オーディオ出力変換装置200は、コントロール部230に入力したジャンル情報が、音声系のジャンルであった場合、コントロール部230によって、入力したオーディオデータは、音声のデータであると判定する。このように、オーディオデータが音声のデータであると判定された場合、オーディオ出力変換装置200は、スピーカ60より出力する音響のボリュームが小さくなればなるほど、人間の音声の周波数帯域である、音響の中域を強調することになる。結果、スピーカ60より出力する音響が小さくなっても、スピーカ60からの人間の音声を聞き取り易くするという効果を奏する。
次に、コントロール部230において、入力したジャンル情報に対応する、ジャンルのグループが、音楽系のジャンルのグループであると判別された場合、コントロール部230は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態231Bになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態231Bに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ240Bまたは241Bとなる。特性グラフ240Bおよび241Bにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の増幅率が、中域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部230によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも強調するように、コントロール部230が音響増幅部110を制御する。
以上のように、オーディオ出力変換装置200は、コントロール部230に入力したジャンル情報が、音楽系のジャンルであった場合、入力したオーディオデータは、音楽のデータであると判定する。このように、オーディオデータが音声のデータであると判定された場合、スピーカ60より出力する音響のボリュームが小さくなればなるほど、音響の低域および高域を強調することになる。これにより、スピーカ60より出力する音響のボリュームが小さい場合において、オーディオ出力変換装置200は、スピーカ60より出力される音楽の臨場感が低下すること抑えている。
なお、本参考の形態においては、コントロール部230が、オーディオデータを音楽のデータと判別した場合、コントロール部230は、音響増幅部110に対して、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を、中域の帯域より強調するように制御パラメータを出力しているが、低域または高域の帯域の一方のみを強調するように制御パラメータを出力してもよい。
次に、コントロール部230において、入力したジャンル情報に対応する、ジャンルのグループが、その他のジャンルのグループであると判別された場合、コントロール部230は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態231Cになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態231Cに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、特性グラフ240Cまたは241Cとなる。特性グラフ240Cおよび241Cにおいて示す増幅率の周波数特性は、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域から高域までの増幅率が一定となるように、コントロール部230によって制御される。
以上のように、オーディオ出力変換装置200においては、入力したジャンル情報を、コントロール部230においてジャンルのグループに判別し、判別したジャンルのグループと、入力したボリューム値とに基づいて、音響増幅部110における、周波数特性を有する増幅率を制御している。さらに、オーディ出力変換装置200は、オーディオセレクタ部41からのオーディオデータに含まれる音響に対して、周波数特性を有する増幅率を掛けることにより、スピーカ60より出力する音響のボリュームが小さい場合であっても、出力する音響である人間の音声を聞き取り易くし、また、出力される音響である音楽の臨場感が低下することを抑えている。
なお、本参考の形態では、状態231Aに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフとして、特性グラフ240Aと241Aとの2つの特性グラフを記載している。この2つの特性グラフの違いは、オーディオデータにおける周波数の中域の強調を強くしたものと、弱くしたものとの違いである。特性グラフ240Aにおいては、ボリューム値が小さければ小さいほど、中域の音響を強く強調しており、スピーカ60より出力する音響である人の声を、より聞き易くできる。一方、特性グラフ241Aにおいて、中域の音響を強調するにあたり、特性グラフ240Aに比べて、中域の音響に対する強調の度合いを弱く設定している。ここで、放送のジャンル情報は番組毎に設定されており、例えば、ジャンルがドラマである番組内に音楽がある場合でも、ジャンル情報はドラマのままである。よって、あまり強調を強くすると音楽が流れている場合に音楽の臨場感が非常に乏しいものとなってしまう。ここで、特性グラフ241Aのように、中域の音響に対する強調の度合いを弱く設定することにより、ジャンルが音声であるグループの番組内で音楽が流れているときの臨場感の乏しさを低減させることができる。
また、状態231Bに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフとして、特性グラフ240Bと241Bとの2つの特性グラフを記載している。この2つの特性グラフの違いは、オーディオデータにおける周波数の低域および高域に対する強調の度合いを強くしたものと、弱くしたものとの違いである。特性グラフ240Bにおいては、ボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の音響を強く強調しており、スピーカ60より出力する音響である音楽を、より臨場感溢れる音楽にできる。一方、特性グラフ241Bにおいては、低域および高域の音響を強調するにあたり、特性グラフ240Bに比べて、低域および高域の音響に対する強調の度合いを弱く設定している。ここで、放送のジャンル情報は番組毎に設定されており、例えば、ジャンルが音楽である番組内にトークがある場合でも、ジャンル情報は音楽のままである。よって、あまり強調を強くするとトークの場合に人の声が非常に聞き取りにくくなってしまう。ここで、特性グラフ241Bのように、低域および高域の音響に対する強調の度合いを弱く設定することにより、ジャンルが音楽であるグループの番組内でトークがあるときの人の声の聞き取りにくさを低減させることができる。
さらに、コントロール部230が音響増幅部110に出力する制御パラメータは、実施形態1に記載した、コントロール部130が出力する制御パラメータと同じ構成であるため、ここではその説明を省略する。
〔参考形態2〕
本発明の第2の参考形態における、オーディオ出力変換装置300について、図9〜図10を参照して、以下に説明する。
(オーディオ出力変換装置300の構成)
まず、オーディオ出力変換装置300の構成を、図9を参照して、以下に説明する。図9は、オーディオ出力変換装置300の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置300(音響再生装置)は、音響増幅部110と、音声音楽判定部120と、コントロール部330とを備えている。ここで、オーディオ出力変換装置300は、テレビ10(図2を参照)に搭載され、さらに、オーディオ出力変換装置300は、テレビ10における、オーディオ出力変換装置100に置き換わるものである。
(オーディオ出力変換装置300の動作)
オーディオ出力変換装置300は、オーディオセレクタ部41(図2を参照)からのオーディオデータを、音響増幅部110と音声音楽判定部120とに入力する。ここで、音声音楽判定部120は、入力したオーディオデータが、音声を含むデータか、音楽を含むデータか、それ以外のデータかを判定し、判定結果を、音声フラグおよび音楽フラグの2つの信号よって、コントロール部330に出力する。なお、音声音楽判定部120については、すでに実施形態1において説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
さらに、テレビ10を視聴するユーザが選択した、出力音量のボリューム値を、オーディオ出力変換装置300は、コントロール部330に入力する。また、上述した参考形態1と同様に、分離部32より、現在受信している放送番組のジャンル情報を、オーディオ出力変換装置300は、コントロール部330に入力する。ここで、コントロール部330は、入力したジャンル情報が、音声系のグループか、音楽系のグループか、それ以外のグループかの、3つのグループうちのどのグループとなるかを判別する。このジャンル情報に対する判別の動作および方法は、参考形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
次に、コントロール部330は、入力したボリューム値と、音声音楽判定部120からの判定結果と、ジャンル情報を判別したジャンルのグループとに基づき、制御パラメータを生成し、この制御パラメータを音響増幅部110に出力する。制御パラメータを入力した、音響増幅部110における動作については、実施形態1において説明したとおりである。
(ボリューム値、ジャンル情報、および判定結果に基づく状態遷移)
以下に、コントロール部330からの制御パラメータによる、音響増幅部110における増幅率について、図10を参照して説明する。図10は、コントロール部330が入力するボリューム値、ジャンル情報のグループ、音声音楽判定部120からの判定結果と、音響増幅部110における周波数特性を有する増幅率と、の関係を示す説明図である。
同図に示すように、オーディオ出力変換装置300を搭載するテレビ10に電源が入ると、オーディオ出力変換装置300は、受信した放送番組のジャンル情報を、分離部32より入力する。オーディオ出力装置300は、内部に備えるコントロール部330において、入力したジャンル情報に対応する、ジャンルのグループを判別する。
(ジャンル情報が音声系のジャンルである場合)
ここで、判別したジャンルのグループが、音声系のジャンルのグループであった場合、コントロール部330は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態331Aになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態331Aに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ340Aとなる。特性グラフ340Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の増幅率が、低域および高域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部330によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
ここで、コントロール部330が、音声音楽判定部120より、音声フラグが0となり、音楽フラグが1となる判定結果を入力した場合、コントロール部330は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態332Bになるように、制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。この状態332Bに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフは、特性グラフ341Bとなる。特性グラフ341Bにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の増幅率が、中域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部330によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
なお、コントロール部330によって、入力したジャンル情報が、音声系のジャンルのグループであると判別された場合において、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが0および音楽フラグが1となる際は、音響増幅部110における増幅率の状態は状態332Bとなり、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが0および音楽フラグが1以外のときには、音響増幅部110における増幅率の状態は状態331Aとなる。
(ジャンル情報が音楽系のジャンルである場合)
次に、コントロール部330において、入力したジャンル情報が、音楽系のジャンルのグループであった場合の、音響増幅部110における増幅率の状態を説明する。
コントロール部330は、入力したジャンル情報が、音楽系のジャンルのグループであると判別した場合、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態331Bになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態331Bに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ340Bとなる。特性グラフ340Bにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の増幅率を、中域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部330によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
ここで、コントロール部330が、音声音楽判定部120より、音声フラグが1となり、音楽フラグが0となる判定結果を入力した場合、コントロール部330は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態332Aとなるように、制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。この状態332Aに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフは、特性グラフ341Aとなる。特性グラフ341Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の増幅率を、低域および高域の増幅率よりも高くするように、コントロール部330によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
なお、コントロール部330によって、入力したジャンル情報が、音楽系のジャンルのグループであると判別された場合において、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが1および音楽フラグが0となる際は、音響増幅部110における増幅率の状態は状態332Aとなり、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが1および音楽フラグが0以外のときには、音響増幅部110における増幅率の状態は状態331Bとなる。
(ジャンル情報が音声系でも音楽系でもないジャンルであった場合)
次に、コントロール部330において、入力したジャンル情報が、音声系でも音楽系でもないジャンルのグループであった場合の、音響増幅部110における増幅率の状態を説明する。
コントロール部330は、入力したジャンル情報が、音声系でも音楽系でもないジャンルのグループであると判別した場合、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態331Cになるように、制御パラメータを音響増幅部110に出力する。この状態331Cに対応する、音響増幅部110における増幅率の周波数特性をグラフに示すと、同図に示す特性グラフ340Cとなる。特性グラフ340Cにおいて示す増幅率の周波数特性は、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域から高域の増幅率が一定となるように、コントロール部330によって制御される。つまり、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、特定の帯域を強調しない周波数特性になるように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
ここで、コントロール部330が、音声音楽判定部120より、音声フラグが1となり、音楽フラグが0となる判定結果を入力した場合、コントロール部330は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態333Aとなるように、制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。この状態333Aに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフは、特性グラフ342Aとなる。特性グラフ342Aにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、中域の増幅率を、低域および高域の増幅率よりも高くするように、コントロール部330によって制御される。言い換えれば、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、中域の帯域を、低域および高域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
一方、コントロール部330が、音声音楽判定部120より、音声フラグが0となり、音楽フラグが1となる判定結果を入力した場合、コントロール部330は、音響増幅部110における増幅率の状態を、状態333Bとなるように、制御パラメータを、音響増幅部110に出力する。この状態333Bに対応する増幅率の周波数特性を示すグラフは、特性グラフ342Bとなる。特性グラフ342Bにおいて示す増幅率の周波数特性は、入力したボリューム値が小さければ小さいほど、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の増幅率を、中域の増幅率よりも高くなるように、コントロール部330によって制御される。つまり、入力したボリューム値が小さくなればなるほど、低域および高域の帯域を、中域の帯域よりも強調するように、コントロール部330が音響増幅部110を制御する。
なお、コントロール部330によって、入力したジャンル情報が、音声系でも音楽系でもないジャンルのグループであると判別された場合において、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが1および音楽フラグが0となる際は、音響増幅部110における増幅率の状態は状態333Aとなり、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグが0および音楽フラグが1となる際は、音響増幅率110における増幅率の状態は状態333Bとなり、音声音楽判定部120からの判定結果が、音声フラグおよび音楽フラグが共に0、または音声フラグおよび音楽フラグが共に1となる際は、音響増幅部110における増幅率の状態は、状態331Cとなる。
また、特性グラフ341Bおよび342Bと、特性グラフ340Bとにおける、同じボリューム値を入力した場合の増幅率の周波数特性を比較すると、特性グラフ340Bにおける増幅率の周波数特性の方が、低域および高域の帯域を、より強調したものとなっている。
さらに、特性グラフ341Aおよび342Aと、特性グラフ340Aとにおける、同じボリューム値を入力した場合の増幅率の周波数特性を比較すると、特性グラフ340Aにおける増幅率の周波数特性の方が、中域の帯域を、より強調したものとなっている。
以上のように、オーディオ出力変換装置300においては、ボリューム値と、音声音楽判定部120と、ジャンル情報とに基づいて、音響増幅部110における、増幅率の周波数特性を制御しているため、スピーカ60より出力する音響のボリュームが小さい場合であっても、出力する音響である人間の音声を聞き取り易くし、また、出力する音響である音楽の臨場感が低下することを抑えることができる。
なお、本参考の形態においては、コントロール部330が、音声音楽判定部120より、音声フラグが0および音楽フラグが1を入力し場合、コントロール部330は、音響増幅部110に対して、オーディオデータに含まれる音響の周波数における、低域および高域の帯域を、中域の帯域より強調するように制御パラメータを出力しているが、低域または高域の帯域の一方のみを強調するように制御パラメータを出力してもよい。
なお、コントロール部330が音響増幅部110に出力する制御パラメータは、実施形態1に記載した、コントロール部130が出力する制御パラメータと同じ構成であるため、参考形態2においては、その説明を省略する。
図10では省略したが、上記の各状態にいるとき、番組の切り替り時やチャンネル変更などで、番組が変わる場合には、電源が入った場合と同様にジャンル判定の動作から行う。また、入力される音声フラグ、音楽フラグに対して、リアルタイムに動作を行う。ここで、状態の切り替り時の違和感を低減させるため、周波数特性の増減を徐々に行ってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。