1.第1の実施形態
(1−1:実施形態の構成)
図1は、発明を利用した画像形成装置の構成を示す概念図である。図1には、画像形成装置の一例であるカラープリンタ100が示されている。カラープリンタ100は、1ドラム方式のロータリー現像装置101を備えている。ロータリー現像装置101は、図示しない駆動機構により回転可能とされ、またYMCKの各基本色に対応する4つの現像器を備えている。
この例では、現像器として、Yellowの基本色画像を現像するY現像器11、Magentaの基本色画像を現像するM現像器12、Cyanの基本色画像を現像するC現像器13、blackの基本色画像を現像するK現像器14が用意されている。各現像器は、基本的に同じ構造を備え、例えばY現像器11は、トナーボトル11aとトナー供給機構11bを備えている。4つのトナーボトルのそれぞれには、各現像器11〜14に対応したYMCKのいずれかのトナーが収められている。また、各トナー供給機構は、トナーを感光体ドラム103に供給するためのドラム状の部材(例えば符号11cで図示)を備えている。このドラム状の部材が回転することで、感光体ドラム103へのトナーの供給が行われる。また、ロータリー現像装置101は、各トナー供給機構と感光体ドラム103との間に現像バイアスであるDC電圧を加える現像バイアス電位印可手段(図示省略)を備えている。
ロータリー現像装置101に接して、図示しない駆動機構により回転可能な感光体ドラム103が配置され、感光体ドラム103に近接して除電器111が配置されている。除電気111は、感光体ドラム103上に帯電している電荷を除去し、帯電器112による帯電が均一に、また所定の電荷密度で行われるようにする。帯電器112は、導電材料からなるローラ型を有しており、感光ドラム103に接触した状態でDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印可し、感光体ドラム103の表面を帯電させる。感光体ドラム103に対する帯電量の制御は、DC電圧の値を制御することで行われる。
感光体ドラム103は、ROS(raster optical scanner)113から照射される走査光により部分的に感光されてその表面に潜像が形成される。ROS113は、書き込み露光用走査装置であり、レーザ照射装置113aとレーザ光を案内する光学系113bを備えている。帯電器112によって帯電させられた感光体ドラム103が図1の反時計回り方向に回転し、その際にROS113から感光体ドラム103に走査光が照射されることで露光パターンに応じて電荷が捕獲され、感光体ドラム103の表面に潜像が形成される。
この際、ロータリー現像装置101に配置された所定の現像器のトナー供給機構(例えば符号11c)が感光体ドラム103に対向した位置に位置制御され、YMCKのいずれかのトナーが感光体ドラム103上の潜像の電界に引かれて選択的に供給される。この結果、YMCKのいずれかのトナー画像が感光体ドラム103上に形成される。こうして、感光体ドラム103に形成された潜像の現像が行われる。
感光体ドラム103に近接してクリーニング手段であるクリーニングブレード118が配置されている。クリーニングブレード118は、感光体ドラム103の表面に接触し、そこに残存したトナーを掻き落とす。なお、掻き落とされたトナーは、図示しないトナー回収手段に回収される。また、クリーニングブレード118の感光体ドラム103に対する接触または離間を自在に行うための駆動を行う接離手段(図示省略)が配置されている。
感光体ドラム103に接触する状態で中間転写体114が配置されている。中間転写体114は、閉じたベルト形状を有している。また、中間転写体114を間に挟んで、感光体ドラム103に対向した位置に1次転写ローラ115が配置されている。感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間には、トナー画像の転写時に必要な転写電界を作り出すためのバイアス電圧が印可可能となっている。中間転写体114は、駆動ローラ116によって、感光体ドラム103の回転に同期した速さで巡回する。この際、中間転写体114が、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間に挟まれ、その時に感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間にバイアス電圧が印可されることで、中間転写体114への感光体ドラム103からのトナー画像の転写(1次転写)が行われる。例えば、形成される画像がYMCKの各色からなるカラー画像であれば、YMCKの各色に対する1次転写が4回行われて4色の画像が重ねられ、中間転写体114上にカラーのトナー画像が形成れる。
中間転写体114に近接して、クリーニングローラ117が配置されている。クリーニングローラ117は、中間転写体114に対してDC電圧を印可し、2次転写後に中間転写体114上に残存しているトナーを正に帯電させる。正に帯電したトナーは、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間に印可されるDC電圧の電界の作用によって、感光体ドラム103に付着し回収される。感光体ドラム103に回収されたトナーは、クリーニングブレード118によって除去され、図示しないトナー回収手段に回収される。
カラープリンタ100の底部には、印刷用紙122を収納した用紙カセット123が格納されている。印刷用紙122は、符号124によって代表的に示される用紙搬送系によって用紙搬送経路125を搬送される。この用紙搬送経路125の途中に、2次転写ローラ126aと126bが配置されている。2次転写ローラ126aおよび126bの間に、用紙搬送経路125を搬送されてきた図示省略した印刷用紙と中間転写体114とが挟まれることで、中間転写体114の表面に1次転写されているトナー画像が、印刷用紙に更に2次転写される。
トナー画像が転写された印刷用紙は、用紙搬送経路125に沿って動き、定着ローラ127aおよび127bとの間を搬送される。定着ローラ127bは、加熱ヒータを内蔵しており、上記の搬送時に印刷用紙上のトナー画像を構成するトナー材料を加熱する。この加熱により、トナーが定着し、印刷用紙上に画像が形成される(つまり印刷が行われる)。印刷が行われた印刷用紙は、排出機構128から排出面129上に排出される。なお符号130は、両面印刷が行われる場合の用紙搬送経路である。
図2は、図1に示すカラープリンタ100の制御系の構成を示すブロック図である。制御手段200は、図示省略したCPU、ROM、RAM、および各種インターフェース回路を備えている。CPUは、ROMに記憶された動作プログラムに従って後述する動作の実行を統括する。ROMには、上記の動作プログラム以外に、各種設定条件や制御に必要なデータが記憶されている。RAMは、動作中に一時的に各種データ等を記憶するワーキングエリアとして利用される。各種インターフェースは、制御手段200が制御する装置との間で信号をやり取りする機能を有する。
以下、制御手段200によって制御される装置を説明する。感光体ドラム駆動手段201は、図1の感光体ドラム103を回転させるためのモータおよびその制御回路を備えている。中間転写体駆動手段202は、図1の中間転写体114の巡回移動を制御するためのもので、駆動ローラ116を駆動するモータとその制御回路を備えている。帯電器112は、図1に関連して説明した機能を有し、制御手段200によって感光体ドラム103に印可する電圧が制御されることで、感光体ドラム103の帯電量が調節される。クリーニングブレード接離手段203は、図1のクリーニングブレード118の感光体ドラム103への接触、接触状態、およびクリーニングブレード118の感光体ドラム103からの離間を行うための駆動手段である。高圧電源204は、帯電器112に供給する高圧電圧を生成する電源である。
ROS113は、制御手段200によって制御され、感光体ドラム103に対して、走査光を照射し、光学的な描画を行う。転写バイアス制御装置206は、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間で印可されるバイアス電圧を制御する。Y現像器11、M現像器12、C現像器13、およびK現像器14は、制御手段200によって、そのトナー供給機構および現像バイアス電位印可手段が制御される。現像装置駆動手段207は、ロータリー現像装置101を回転させるためのモータおよびその制御回路を備えている。
画像判定手段208は、印刷する画像を色分解した画像イメージのデータを解析し、その画素数の有無を判定する。画素数の有無を判定することで、当該画像イメージ(YMCKいずれかの画像)の有無を判定することができる。画像処理装置209は、端末等から送られてきたカラー画像のデータ(カラープリンタ100に送られてきたカラー画像の印刷データ)を受け取り、それをYMCKの各基本色の画像イメージに色分解する。この色分解された画像イメージのデータが上述した画像判定手段208に送られる。また、画像処理装置209は、RGBからMYCKへの色変換処理、階調を調整するための画像処理、解像度を決めるための画像処理といった画像データに対する処理を行う。また、画像処理装置209で処理された画像データは、画像記憶装置210に記憶させることができる。なお、画像記憶装置210に記憶する画像データは、画像処理装置210で処理する前の段階のデータであっても良いし、一部の処理が終了した段階のデータであってもよい。画像記憶装置210は、ハードディスク装置によって構成されている。また、カラープリンタ100は、操作手段211を備えている。操作手段211は、ユーザによって操作されて各種の操作や各種条件の設定等が行われる。
(1−2:実施形態の動作)
図3は、図1および図2に示すカラープリンタ100の動作の一例を説明するフローチャートである。印刷が開始されると(ステップS301)、端末(例えば、パーソナル・コンピュータ)等から送られてきた画像データが画像処理装置209に取り込まれる。画像処理装置209に取り込まれた画像データは、YMCKの各基本色の画像イメージのデータに色分解され、色分解された各画像イメージは、図示しないバッファメモリに蓄積される。色分解した画像イメージを得たら、ステップS302に進み、まずY(Yellow)の基本色画像(Y画像)の画像イメージの画像判定手段208への取り込みを行う。次にステップS303に進み、取り込んだY画像の画素数が0か否か、の判定を行う。
ステップS303の判定において、Y画像の画像イメージの画素数が0でなければ(つまりYの画像イメージが存在すれば)、ステップS304に進み、通常印刷時の設定条件である通常画像形成モードに設定する。この例では、通常画像形成モードとして、帯電器112の帯電出力を通常印刷時の出力とし、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間で印可される転写バイアス電圧を通常印刷時の値に設定し、クリーニングブレード118を感光体ドラム103に接触させ、さらにY現像器11のトナー供給機構11bが感光体ドラム103に対向する条件が設定される。
この際、図2の制御手段200からクリーニングブレード接離手段202に、クリーニングブレード118を感光体ドラム103に接触させるための制御信号が出力される。この制御信号に基づいてクリーニングブレード接離手段202は、クリーニングブレード118の位置を制御し、クリーニングブレード118が感光体ドラム103に接触し、感光体ドラム103の表面に付着したトナーを掻き落とすことができる状態とする。また、制御手段200から現像装置駆動手段207に、Y現像器11のトナー供給機構11bを感光ドラム103に対向する位置に停止させるための制御信号が出力される。この制御信号に基づいて現像装置駆動手段207は、Y現像器11のトナー供給機構11bが感光体ドラム103に対向するようにロータリー現像装置101を回転させ、感光体ドラム103にY色のトナーが供給できる状態とする。
ステップS303の判定において、Y画像の画像イメージの画素数が0であれば、ステップS305に進み、感光体ドラム103に加わる各種のストレスを通常印刷時よりも低減した低負担モードの設定を行う。この例では、低負担モードとして、帯電器112の帯電出力を「出力なし」に設定し、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間で印可される転写バイアス電圧を0Vに設定し、クリーニングブレード118を感光体ドラム103から離間させた設定とし、さらにY現像器11のトナー供給機構11bを感光体ドラム103と対向しない位置にずらして停止させる設定とする。
ステップS304の通常画像形成モードの設定処理の後、トナー画像の形成処理(この場合は、Y色のトナー画像の形成)を行う(ステップS306)。トナー画像の形成工程には、感光体ドラム103上へのトナー画像の形成、およびこのトナー画像の中間転写体への1次転写が含まれる。
感光体ドラム103上へのトナー画像の形成は、以下のようにして行われる。まず、Y現像器11のトナー供給機構11bを感光体ドラム103に対向させた状態において、感光体ドラム103を図1における反時計回りの方向に回転させる。感光体ドラム103が回転することでクリーニングブレード118によって、感光体ドラム103表面に残存するトナーが掻き落とされ、次いでその部分が除電器111によって除電される。この除電された部分が、帯電器112によって帯電させられ、更にその部分にROS113によってレーザ光による描画が行われ、潜像(Y色画像の潜像)が形成される。この潜像が形成された部分は、感光体ドラム103の回転に従ってY現像器11のトナー供給機構11bに対向する位置を通過する。この際、トナー供給機構11bからY色のトナーが感光体ドラム103に供給され、潜像に応じてトナーが捕捉され、感光体ドラム103上にトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間で中間転写体114に1次転写される。この転写後に感光体ドラム103の表面に残存トナーは、クリーニングブレード118によって掻き落とされる。そして上述したサイクルが繰り返されることで、回転する感光体ドラム103の表面に連続的にトナー画像が形成され、それが中間転写体114に転写される。そして、感光体ドラム103が所定の回数回転することで、中間転写体114上に所定の基本色(この場合はY)のトナー画像が形成される。以上がステップS306において行われる処理の概要である。
そして、Y色のトナー画像の中間転写体114への転写作業の終了後、色分解画像(すなわち、YMCKの各画像)の全てを形成したか否か、が判定される(ステップS308)。また、ステップS305の処理が行われた場合もステップS307の判定が行われる。
この場合、Y色の画像に関する処理が終了した段階であるので、ステップS307の判定は、NOとなり、ステップS302の前に戻る。そして、ステップS302において、次のM色の画像が取り込まれ、ステップS303以下の処理が繰り返される。
以上の処理が繰り返されることで、YMCKの各トナー画像の複数が中間転写体114上で重ねられ、中間転写体114上にカラーのトナー画像が形成される。次にステップS308に進み、このカラーのトナー画像を印刷用紙に2次転写する。この際、印刷用紙122が用紙カセット123から用紙搬送経路125に沿って2次転写ローラ126aおよび126bの場所まで搬送される。そして、2次転写ローラ126aおよび126bの働きにより印刷用紙に対して中間転写体114からトナー画像の2次転写が行われ、さらに定着ローラ127aおよび127bを利用してのトナーの定着が行われる。こうして、印刷用紙へのカラー画像の印刷が行われる。なお、2次転写後に中間転写体114の表面に残存しているトナーは、クリーニングローラ117の作用によって正に帯電され、感光体ドラム103に回収される。
印刷用紙122に画像が形成されると(つまり印刷がされると)、端末等から送られてきた印刷ジョブに基づくプリントは終了したか否か、が判定され(ステップS309)、指示されたプリントが終了していれば、印刷処理を終了し(ステップS310)、そうでなければ、ステップS302に戻り、次の画像(n+1枚目の画像)の色分解画像を取り込み、同様な処理を繰り返す。そして、全て印刷が終了した段階でステップS309の判定がYESとなり、処理が終了する(ステップS310)。
(1−3:実施形態の優位性)
本実施形態によれば、カラー画像の印刷において、YMCKの基本色画像に欠落したものがあれば、その画像の形成タイミングにおいて、帯電器112の帯電出力が0に設定される。このため、当該画像の形成タイミングにおいて感光体ドラム103への帯電器112からの帯電処理が行われない。帯電器112からの帯電は、帯電器112と感光体ドラム103との間の微少隙間に高電界を発生させることで行われる。このため、帯電処理は、感光体ドラム103の表面を傷める要因となる。したがって、帯電器112の帯電出力を0にすることで、感光体ドラム103の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態によれば、カラー画像の印刷において、YMCKの基本色画像に欠落したものがあれば、その画像の形成タイミングにおいて、感光体ドラム103と1次転写ローラ115との間で印可される転写バイアス電圧が0Vに設定される。転写のためのバイアス電圧も感光体ドラム103に対する負担となるので、その値を0にすることで感光体ドラムの傷みを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、カラー画像の印刷において、YMCKの基本色画像に欠落したものがあれば、その画像の形成タイミングにおいて、クリーニングブレード118を感光体ドラム103から離間させた設定とされる。クリーニングブレード118は、クリーニング状態において感光体ドラム103の表面に物理的に接触するので、感光体ドラム103表面に物理的なストレスを与える。したがって、クリーニングブレード118を感光体ドラムから物理的に離すことによって、感光体ドラム103に加わる物理的ストレスが軽減され、感光体ドラム103の傷みを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、カラー画像の印刷において、YMCKの基本色画像に欠落したものがあれば、その画像の形成タイミングにおいて、対応する現像器のトナー供給機構が感光体ドラム103に対向しない位置とされる。こうすることで、当該基本色画像の形成タイミングにおいて、トナー供給機構に感光体ドラム103が接触しないようにすることができるので、感光体ドラム103に加わるストレスを低減することができる。
(1―4:実施形態の変形)
低ストレス条件における帯電器112の帯電出力および転写バイアス電圧の値は、0に限定されず、通常印刷時の値に比較して小さければよい。これら値の適切な値は、実験的に求めたものを利用することができる。
低負担モードにおいて、クリーニングブレード118は、感光体ドラム103から完全に離間しなくてもよい。例えば、低負担モードにおいて、クリーニングブレード118が通常印刷時時よりも軽く感光体ドラム103に接触し、ある程度のクリーニング機能が発揮されるようにしてもよい。
低負担モードにおいて、対応する現像器のトナー供給機構を感光体ドラム103に対向しない位置に退避させる代わりに、トナー供給機構を感光体ドラム103に対向させた状態において、現像バイアス電圧を通常印刷時に比較して下げる、あるいは0Vにしてもよい。また、現像器の機能を停止させ、ロータリー現像器101から感光体ドラム103にストレスが加わらないようにしてもよい。
本実施形態では、カラー画像を構成する基本色としてYMCK(Yellow,Magenta,Cyan,black)の4色を採用する例を説明したが、基本色の選択は、これに限定されない。また以上の説明では、感光体ドラム103に加わる負担を軽減できる点を主に説明したが、同様なことは、ロータリー現像器101、帯電器112、中間転写体114、1次転写ローラ115、駆動ローラ116、クリーニングローラ117、クリーニングブレード118、用紙搬送系124、定着ローラ126aおよび126bや、その構成部材についてもいえる。また、低負担モードは、低消費電力モードでもあるので、本実施形態を採用することで、消費電力を軽減することができる。
2.第2の実施形態
本実施形態は、低負担モードを3種類設定し、色分解された画像の画素数に関する情報および画像の類型に基づいて3種類の低負担モードを適宜使い分ける例である。
(2−1:実施形態の構成)
ハードウェアの構成は、図1および図2に示す構成が利用される。ただし、後述する図4の手順を実行する動作プログラムが採用される。またこの例では、画像判定手段208において、画素数の有無、画素数が所定の値以下か否か、画像が線画のみで構成されているか否か、の3種類の判定が行われる。
(2―2:実施形態の動作)
図4は、本実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。この例においても第1の実施形態の場合と同様に、YMCKの4色の基本色画像のそれぞれについて、以下の処理が逐次実行される。
印刷が開始されると(ステップ301)、色分解された画像として、まずY色の基本画像の取り込みが行われる(ステップS402)。ステップS402の内容は、図3のステップS302と同じである。色分解された画像を取り込んだら、ステップS402で取り込んだ画像が線画のみによって構成されているか否か、を判定する(ステップS403)。ステップS402において取り込んだ基本色の画像が線画のみによって構成されていれば、ステップS406に進み、そうでなければステップS404に進む。
ステップS406では、低負担モード1に設定が行われる。低負担モード1では、帯電器112の帯電出力、ロータリー現像器101と感光体ドラム103との間に印可される現像バイアス電圧、および感光体ドラム103と1次転写ローラ115転写との間に印可される転写バイアス電圧が、通常画像の形成条件に比較して、小さな値に設定される。これは、描画する内容が線画のみである場合、感光体上へのトナー画像の形成条件および感光体から中間転写体への1次転写の条件を緩くできることを利用したものである。低負担モード1を採用することで、感光体ドラム103への負担を軽減することができる。なお、低負担モード1の各要素の具体的な値は、実験的に適切な値を求めておくことが望ましい。
ステップS404では、ステップS402において取り込んだ基本色画像(この場合は、Y画像)の画素数が所定の値以下か否か、を判定する。ステップS402において取り込んだ基本色画像の画素数が所定の値以下であれば、ステップS405に進み、そうでなければステップS407に進む。
ステップS407では、通常画像形成モードに設定がおこなわれる。通常画像形成モードでは、基本色画像の画素数や画像の類型に関係なく、所定の画像品質を得ることができる条件に帯電出力、現像バイアス、転写バイアス等が設定される。
ステップS405では、ステップS402において取り込んだ画像の画素数が0か否か、が判定される。取り込んだ画像の画素数が0であれば、ステップS409に進み、そうでなければステップS408に進む。ステップS409では、低負担モード3に設定がおこなわれる。低負担モード3の設定内容は、図3のステップS305と同じである。ステップS409の設定が行われた場合、ステップS411に進む。
ステップS408では、低負担モード2に設定が行われる。低負担モード2では、帯電器112の帯電出力、ロータリー現像器101と感光体ドラム103との間に印可される現像バイアス電圧、および感光体ドラム103と1次転写ローラ115転写との間に印可される転写バイアス電圧が、通常画像の形成条件に比較して、小さな値に設定される。これは、描画する画像の画素数が少ない場合、感光体上へのトナー画像の形成条件および感光体から中間転写体への1次転写の条件を緩くできることを利用したものである。低負担モード2を採用することで、感光体ドラム103への負担を軽減することができる。なお、低負担モード2の各要素の具体的な値は、実験的に適切な値を求めておくことが望ましい。
ステップS406、ステップS407およびステップS408の処理の終了後、ステップS410に進み、感光体ドラム103上へのトナー画像(この場合は、Y画像)の形成処理およびそのトナー画像の中間転写体114への転写を行う。この際、形成する画像の画素数および画像の類型に対応して低負担モード1、低負担モード2および通常画像形成モードのいずれかに従って、トナー画像の形成が行われる。ステップS410の内容は、設定条件を除いて図3のステップS306と同じである。ステップS410の後、ステップS411に進む。
ステップ411では、色分解画像はすべて形成したか否か、が判定され、色分解画像の形成が全て終了していればステップS412に進み、そうでなければステップS402の前段階に戻る。この説明では、Y画像を形成する場合であるので、ステップS411の判定はNOとなり、ステップS402に戻り、次の基本色画像であるM画像の取り込みが行われ、ステップS403以下の手順が繰り返される。
ステップS412では、中間転写体114から印刷用紙への2次転写処理が行われ、その後、端末等から送られてきた印刷ジョブに基づくプリントは終了したか否か、が判定され(ステップS413)、端末等から指示された印刷が終了した状態であれば、処理を終了し(ステップS414)、そうでなければ次のページの画像形成を行うためにステップS402以下の処理が繰り返される。
(2−3::実施形態の優位性)
本実施形態によれば、印刷する画像の有無、画素数および画像の類型に基づいて、画像形成に支障が出ない範囲で感光体ドラム103に加わる負担を軽減させた4種類の条件が適宜設定される。このため、カラー印刷において、画像に応じてきめ細かく低負担モードが選択され、画像の品質を落とさずに感光体ドラム103の長寿命化を計ることができる。なお、ここでは感光体ドラム103の長寿命化について説明したが、他の部材においても同様に長寿命化の効果を得ることができる。また、低負担モードは、低消費電力モードでもあるので、本実施形態を採用することで、消費電力を軽減することができる。
3.第3の実施形態
本実施形態は、低負担モードにおいて、現像手段の周速を通常画像形成モードに比較して低く設定する。図1の例において、各トナー供給機構は、トナーを感光体ドラム103に供給するためのドラム状の部材(例えば符号11cで図示)を備えている。このドラム状の部材が回転することで、感光体ドラム103へのトナーの供給が行われる。本実施形態においては、低負担モードにおけるこのドラム状の部材の回転速度を通常画像モードに比較して小さくし、感光体ドラム103に対するこのドラム状の部材の周速(感光体ドラム103の表面に対するトナー供給機構側のドラム状の部材表面の相対速度)を小さくする。こうすることで、感光体ドラム103およびロータリー現像器101への負担を軽減し、またトナーの消費を抑えることができる。なお、現像手段の感光体ドラム103への周速を低くすることで、感光体ドラム103に供給されるトナーの供給量は減少するが、線画や画素数の少ない画像を形成する場合であれば、一定の品質の画質を確保することができる。
4.第4の実施形態
本実施形態では、通常画像形成モードにおいて、感光体ドラム103の帯電が帯電器112から感光体ドラム103にAC電圧とDC電圧とを重畳した電圧が加えられることで行われる。また、低負担モードでは、上記通常画像形成モードにおけるAC電圧を低下させた条件が採用される。なお、低負担モードにおけるAC電圧をゼロにすることもできる。
5.第5の実施形態
本実施形態では、通常画像形成モードにおいて、現像時に感光体ドラム103とロータリー現像器101との間で加えられる現像バイアスをAC電圧とDC電圧とを重畳した電圧とする。また、低負担モードでは、上記通常画像形成モードにおけるAC電圧を低下させた条件が採用される。なお、低負担モードにおけるAC電圧をゼロにすることもできる。
6.第6の実施形態
本実施形態では、低負担モードにおいて、図1に示す定着ローラ127bから用紙に加えられる加熱温度を通常画像形成モードに比較して低い温度にし、同時に用紙が定着ローラ127aと127bとの間で搬送される速度を通常画像形成モードに比較して遅くする。なお、ここでは低負担モードの条件として、低温と低速搬送の2条件を同時に採用する例を示したが、いずれか一方の条件のみを採用することもできる。
7.第7の実施形態
通常画像形成モードと低負担モードとをユーザの指示により切り換えることもできる。また、低負担モードの条件をユーザが設定することもできる。これらの操作は、図2に示す操作手段211をユーザが操作することで行われる。
8.第8の実施形態
本実施形態では、直ぐに印刷する必要のない書類等の場合に、印刷データを蓄積して印刷を一旦保留し、所定の条件が満たされた段階で蓄積していた画像データに基づいて印刷を行う。
本実施形態では、図2に示す構成において、印刷データ蓄積モードが設定可能とされる。印刷データ蓄積モードは、カラープリンタ100に接続された端末(例えば、パーソナル・コンピュータ)から印刷実行の指示を出しても、当該印刷データは、カラープリンタ100内の画像記憶装置210に一旦蓄積され、印刷は実行されない。そして、蓄積された画像データの印刷枚数が所定の枚数(例えば100枚)になった段階で、蓄積された画像データに基づいて印刷が行われる。
印刷開始の契機となる条件としては、前回の印刷からの経過時間、所定の時間(例えば、昼12時と夕方6時に印刷開始)、データ量、ジョブ数、手動による操作等を挙げることができる。
9.第9の実施形態
(9−1:実施形態の構成)
図5は、FAX機能、印刷機能および複写機能の3機能を備えた複合機の構成を示す概念図である。複合機501は、カラー画像の印刷を行う機能を有する。FAX機能は、電話回線を介して送られてきたFAX画像データに基づいて印刷を行う機能と、FAX画像を送信する機能を有する。印刷機能というのは、端末(例えば、パーソナル・コンピュータ)で用意した印刷データに基づいて印刷を行う機能である。この印刷機能は、通常のプリンタとして利用される。この印刷機能を利用しての印刷には、端末で用意した画像データに基づく印刷、適当な記憶媒体に記憶された画像データに基づく印刷、電話回線以外の適当な回線を介して伝送されてきた画像データに基づく印刷等を挙げることができる。複写機能は、所謂コピー機能であり、複写対象となる書類を光学的に読み取り、それを電子データ化し、この電子データに基づいて、読み取った画像を印刷する機能である。
複合機501は、YMCKの各基本色の画像を専用の感光体ドラム501〜504によって行うタンデム型の構成を有している。各感光体ドラム501〜504には、ROS505から走査光が照射され、潜像が形成される。ROS505は、走査光を感光体ドラム501〜504に照射するためのレーザ発振装置(図示省略)と光学系(図示省略)を備えている。
感光体ドラム501〜504には、現像手段506〜509から対応する各色のトナーが供給され、潜像に応じたトナー画像が形成される。現像手段506〜509に供給されるトナーは、それぞれトナーボトル51〜54に収納されている。感光体ドラム501〜504に形成されたトナー画像は、転写ベルト510上に転写され、そこで重ねられてカラーのトナー画像が形成される。転写ベルト510に形成されたカラーのトナー画像は、搬送経路511を搬送されてきた印刷用紙に2次転写され、さらに定着手段512で加熱されてトナーの定着が行われて画像の形成(印刷)が行われる。画像の形成が行われた印刷用紙は、用紙排出トレイ513に排出される。なお、両面印刷の場合は、搬送経路514が利用される。
印刷用紙は、用紙カセット516〜518または用紙供給用トレイ519から用紙搬送経路511に供給される。用紙カセット516〜518は、それぞれ用紙サイズ等によって使い分けられる。
転写ベルト510に近接して、形成されたトナー像におけるトナー濃度を光学的に検出するトナー濃度センサ520が配置されている。トナー濃度センサ520によって、転写ベルト510上に形成された試験トナー画像における各色トナーの濃度が検出される。
FAX送信を行う場合は、送信原稿が原稿置き面521の上に置かれ、光学系522を介してCCDカメラ523によって送信原稿の記載内容(表示画像)が光学的に読み取られる。そしてCCDカメラ523の出力に基づいて画像データが生成され、この画像データがデータ圧縮されてFAX送信データが生成される。このFAX送信データが、所定の相手側FAX通信装置に送信される。また、複写を行う場合は、被複写原稿が原稿置き面521の上に置かれ、光学系522を介してCCDカメラ523によって被複写原稿の像が光学的に読み取られる。そして、CCDカメラ523の出力に基づいて画像データが生成され、この画像データに基づいて複写画像の印刷処理が行われる。
図6は、図5に示す複合機501の制御ブロック図である。図6に示すように複合機501は、FAX機能部601、印刷機能部602、複写機能部603、画像形成部604、パターン形成部605、トナー濃度センサ520、セットアップ実施判定部607、セットアップ処理判定部608、画像形成条件制御部609、およびこれらの各装置の動作を制御して後述する処理を実行するコントローラ610を備えている。
FAX機能部601は、光学的な原稿の読み取り機能(ここにはCCDカメラ523が含まれる)、そこで読み取った画像の電子データ(画像データ)を生成する機能、画像データをコード化(データ圧縮)して送信先に送信する機能、また受信した画像データをデコード(データ伸張)し、それを画像形成部604に送る機能を備えている。印刷機能部602は、図1の感光体ドラム501〜504、現像手段506〜509、転写ベルト510、およびその他画像を形成するために必要な機能を備え、これら機能により画像形成部604で生成された画像データに基づいて画像の形成(印刷)を行う。
複写機能部603は、光学的な原稿の読み取り機構(ここにはCCDカメラ523が含まれる)、そこで読み取った画像の電子データを画像形成部604に送る機能を備えている。なお、FAX機能部601と複写機能部603において、共通に利用される構成(例えば原稿読み取り機構)は、両者で共有されている。
画像形成部604は、画像変換処理を行うASICを備え、色変換、階調調整、解像度変換、ノイズ除去やその影響を低減するスクリーン処理、印刷機能部602が解釈できるデータへの変換等の画像処理を行う。パターン形成部605は、セットアップに利用する試験トナー画像の画像データを生成する機能を有する。セットアップ実施判定部607は、セットアップを行うか否かの判定、およびセットアップの内容を決定する機能を有する。セットアップ処理判定部608は、トナー濃度センサ520が読み取った試験トナー画像の状態(トナー濃度の状態)に基づいて画質の判定を行い、その結果をコントローラ610に出力する。画像形成条件制御部609は、セットアップ処理判定部608の判定結果に基づいて画像形成部604および印刷機能部602における各種設定条件を調整する。
(9−2:実施形態の動作)
本実施形態においては、複合機501において、以下に説明する各種のセットアップに関係する処理が実行される。以下の処理は、その一つが実行されるようにしてもよいし、複数が実行さえるようにしてもよい。
(ジョブスタートセットアップ処理1)
ジョブスタートセットアップ1は、画像形成が開始される際に実行される。この処理では、前回のセットアップ実施からの経過時間、前回のセットアップ時からの温度や湿度の変化に基づいて、セットアップを実行するか否かの判定が行われる。
図7は、ジョブスタートセットアップの処理手順を示すフローチャートである。処理が開始されると(ステップS701)、図6のセットアップ実施判定部607において、ジョブスタートセットアップ処理の実施タイミングであるか否か、の判定が行われる(ステップS702)。この例では、(1)前回のセットアップを実施してから4時間が経過したか否か、(2)前回のセットアップ時に比較して温度が4°以上または湿度が10%以上変化したか否か、の2条件が判定の規準とされる。そして少なくとも一方の条件が満足された場合、ステップS702の判定がYESとなり、そうでない場合NOとなる。
上記条件の少なくとも一方が満たされた場合、画像の形成がFAXの受信画像でるか否か、が判定され(ステップS703)、FAXの受信画像であれば、セットアップは実施せずに(ステップS704)、処理を終了する(ステップS707)。また、形成する画像がFAXの受信画像でなければ、形成する画像が複写画像か、が判定される(ステップS705)。形成する画像が複写画像であれば、セットアップは実施せずに(ステップS704)、処理を終了する(ステップS707)。形成する画像が複写画像であれば、セットアップを実施し(ステップS706)、処理を終了する(ステップS707)。
ステップS706におけるセットアップでは、図6のパターン作成部605の働きによって、図8に示すように、転写ベルト510上にYMCK各色の3階調の試験トナー画像を形成する。すなわち、3階調それぞれのパッチ(矩形の単位試験トナー画像)からなるY色の試験トナー画像群801、3階調それぞれのパッチからなるM色の試験トナー画像群802、3階調それぞれのパッチからなるC色の試験トナー画像群803、および3階調それぞれのパッチからなるK色の試験トナー画像群804が形成される。なお階調は、画素密度を100%、60%、20%に設定されたものが採用される。
試験トナー画像群801〜804は、トナー濃度センサ520によって光学的に読み取られ、その出力は、コントローラ610を介してセットアップ処理判定部608に送られる。セットアップ処理判定部608は、試験トナー画像群801〜804の画質(濃度や階調の程度)を判定し、その判定結果に基づいて画像形成条件制御部609は、以後に行われる画像形成の諸条件の調整を行う。トナー濃度センサ520によって光学的に読み取られた後、試験トナー画像群801〜804は、用紙には転写されずに適当なクリーニング手段によって転写ベルト510上から除去される。画像形成条件制御部609による調整が行われた後、用紙上に転写するトナー画像805の形成(この場合は、印刷ジョブの画像形成)が行われる。
FAX画像の場合、ハイライト部(明の部分)や中間調の濃度の安定度に対する要求が通常の印刷の場合に比べて低い。そこで、図7に示すジョブスタートセットアップ処理1においては、FAX画像の形成の際にセットアップを省略し、部材の消耗やトナー消費を抑えることを優先する。また、複写(コピー)の場合も一定の画質が保たれていれば、さらなる高画質よりも印刷時間ができるだけ短いことの方が優先される傾向にあるので、ステップS702の判定がYESであってもセットアップを省略する処理とし、部材の消耗やトナー消費を抑える設定としている。
なお、図7に処理手順において、複写時にセットアップを行わなかった場合、つまりステップS705からステップS704に進んだ場合に、複写処理の終了後にセットアップを実施するように手順を設定してもよい。
(ジョブ中セットアップ処理1)
図9は、ジョブ中セットアップ処理1の手順を示すフローチャートである。ジョブ中セットアップ処理1は、画像形成処理の途中のタイミングで実行される。処理が開始されると(ステップS721)、FAX、複写、通常の印刷のいずれかのジョブの画像データに基づく画像形成が行われる(ステップS722)。この画像形成は、試験的なものではなく、最終的に用紙に印刷するための画像形成という意味で図9において通常画像形成と標記する。次いで形成した画像がFAX画像でるか否か、が判定され(ステップS723)、FAX画像であればステップS724に進み、そうでなければステップS725に進む。
ステップS724では、FAX画像の形成処理中におけるセットアップを行うタイミングか否か、判定され、そのタイミングであればセットアップを行い(ステップS728)、そうでなければセットアップは行わず(ステップS729)、ステップS730に進む。ステップS724では、前回のセットアップを行ってからの画像形成枚数(出力枚数)の累計(総計)が所定の枚数(この例では、60枚)以上になったか否か、が判定される。
ステップS728のセットアップにおける試験トナー画像の形成は、図10に示すように図8に示す場合と同じ条件で行う。すなわち、転写ベルト510上に3階調それぞれのパッチ(矩形の単位試験トナー画像)からなるY色の試験トナー画像群801、3階調それぞれのパッチからなるM色の試験トナー画像群802、3階調それぞれのパッチからなるC色の試験トナー画像群803、および3階調それぞれのパッチからなるK色の試験トナー画像群804が形成される。階調は、画素密度を100%、60%、20%として設定される。なお、図10において、符号805aと805bは、最終的に用紙に転写する形成画像である。また、試験トナー画像を利用したセットアップ処理の内容は、ジョブスタートセットアップ処理1と同じである。
ステップS723からステップS725に進んだ場合、ステップS722において形成しているのが複写画像であるか否か、が判定され、複写画像であれば、ステップS726に進み、そうでなければステップS727に進む。ステップS726では、複写画像の形成処理中におけるセットアップの実施タイミングか否か、の判定が行われ、実施タイミングであれば、セットアップを実施し(ステップS728)、そうでなければセットアップを実施せず(ステップS729)、ステップS730に進む。
ステップS726では、前回のセットアップを行ってからの画像形成枚数(出力枚数)の累計(総計)が所定の枚数(この例では、60枚)以上になったか否か、が判定される。
ステップS727では、印刷処理(Print用job)中におけるセットアップの実施タイミングであるか否か、が判定される。この例では、ステップS727において、前回のセットアップを行ってからの画像形成枚数(出力枚数)の累計(総計)が所定の枚数(この例では、20枚)以上になったか否か、が判定される。
ステップS730では、ステップ722における画像形成の処理が終了であるか否か、が判定され、画像形成の処理が終了であれば、ジョブ中セットアップ処理を終了し(ステップS731)、そうでなければステップS722以下を再度実行する。
図9に示す例においては、セットアップの実施を決めるための判定条件がFAX画像形成処理および複写画像形成処理において相対的に緩く(60枚形成時)、印刷処理(Print用job)中において相対的に厳しく(20枚形成時)している。FAX画像の場合、ハイライト部(明の部分)や中間調の濃度に対する安定度の要求が通常の印刷の場合に比べて低い。そこで、FAX画像の形成の際にセットアップの頻度を少なくし、部材の消耗やトナー消費を抑えることを優先する。また、複写(コピー)の場合も一定の画質が保たれていれば、さらなる高画質よりも印刷時間ができるだけ短いことの方が優先される傾向にあるので、セットアップの頻度を少なくし、複写時の待ち時間が極力短くなるようにしている。また、同時に部材の消耗やトナー消費が抑えられるようにしている。一方において、印刷処理(Print用job)では、セットアップを行う頻度を他のモードに比較して多くし、高画質を追究した設定としている。
(ジョブスタートセットアップ処理2)
以下、ジョブスタートセットアップ処理2の一例を説明する。ジョブスタートセットアップ処理2は、画像形成の開始時に実行される。図11は、ジョブスタートセットアップ処理2の処理手順を示すフローチャートである。処理が開始されると(ステップS741)、ジョブスタートセットアップ2の実施タイミングか否か、が判定される(ステップS742)。ステップS742では、前回のセットアップから4時間を経過したか否か、または温度が4℃変化したか否か、または湿度が10%変化してか否か、が判定される。なお、判定条件の経過時間は、装置の主電源がONにされている状態(低消費電力モードでもよい)においてカウントされる。
ステップS742における上記の判定がYESである場合、ステップS743に進み、そうでなければ処理を終了する(ステップS748)。ステップS743では、形成する画像がFAX画像か否か、を判定し、FAX画像であればステップS744に進み、そうでなければステップS745に進む。ステップS744では、第1セットアップを実施する。第1セットアップでは、試験トナー画像を用いた画質の判定が、第1〜第3セットアップの中で最も簡易な判定条件で行われる。図12(A)に第1セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第1セットアップでは、YMCKの各色において、1階調(画素密度100%)の試験トナー画像901〜904を形成する。なお、図中の符号905は、セットアップ後に通常画像形成処理によって形成された画像である。また、試験トナー画像を利用したセットアップ処理の内容は、第1〜第3のセットアップにおいて、ジョブスタートセットアップ処理1と同じである。
ステップS745では、複写画像の処理か否か、を判定する。形成する画像が複写画像であれば、第2セットアップを実施し(ステップS746)、そうでなければ第3セットアップを実施する(ステップS747)。なお、第1〜第3セットアップの実施が終了したら、ジョブスタートセットアップ処理1を終了する(ステップS748)。
ステップS746で実施される第2セットアップの試験トナー画像を用いた画質の判定は、第1セットアップよりは厳しいが、第3セットアップよりは簡易な判定条件で行われる。図12(B)に第2セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第2セットアップでは、YMCKの各色において、2階調(画素密度100%および50%)の試験トナー画像群921〜924を形成する。
ステップS747で実施される第3セットアップの試験トナー画像を用いた画質の判定は、第1〜第3のセットアップにおいて最も厳しい判定条件で行われる。図12(C)に第3セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第3セットアップでは、YMCKの各色において、6階調(画素密度100%、80%、60%、40%、20%および10%)の試験トナー画像群931〜934を形成する。
この例では、画質に対する要求度がそれ程高くないFAX画像の形成において、最も簡易な条件での第1セットアップを実施し、セットアップに伴う装置各部の負担軽減を最優先している。また、複写画像の形成においては、中位な条件での第2セットアップを実施し、装置各部の負担を軽減させ、さらにセットアップに要する時間を短縮させている。そして、通常の印刷においては、最も厳しい条件で画質の調整を行い形成される画像の画質を最優先にしている。
複写画像の形成においては、薄い模様のような汚れを目立たなくするために、ノイズ画像を拡散させてぼかす誤差拡散スクリーン処理を画像データに対して施している。一方、通常の印刷(プリントジョブ)においては、ラインスクリーン処理を行っている。このため、多数枚を続けて印刷していった場合の階調表示の安定性は、FAX画像を形成する場合の方が高い。この例では、この現象を利用し、FAX画像の形成時には、通常の印刷の場合に比較してより少ない階調数の試験トナー画像によるセットアップを実行している。以上の構成によれば、セットアップによる装置各部への負担の軽減およびトナー消費量の低減と、各モードで得られる画質の維持とを両立することができる。
(ジョブ中セットアップ処理2)
図13は、ジョブ中セットアップ処理2の処理手順の概要を示すフローチャートである。ジョブ中セットアップ処理2は、画像形成処理の途中のタイミングで実行される。処理が開始されると(ステップS751)、FAX、複写、通常の印刷のいずれかのジョブの画像データに基づく画像形成が行われる(ステップS752)。次いでセットアップの実施タイミングが否か、を判定し(ステップS753)、セットアップの実施タイミングであればステップS754に進み、そうでなければステップS760に進む。ステップS753では、前回のセットアップを行ってからの画像形成枚数(出力枚数)の累計(総計)が所定の枚数(この例では、30枚)以上になったか否か、が判定される。
ステップS754では、ステップS752で形成された画像がFAX画像であるか否か、が判定され、FAX画像であれば第1セットアップを実施し(ステップS756)、FAX画像でなければ、ステップS752で形成された画像が複写画像であるか否か、が判定される(ステップS757)。
ステップ756における第1セットアップでは、図11のステップS744において実施した内容と同じ試験トナー画像を用いた画質判定が行われる。図14(A)に第1セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第1セットアップでは、YMCKの各色において、1階調(画素密度100%)の試験トナー画像群901〜904を形成する。なお、図中の符号905aおよび905bは、セットアップの前後のタイミングにおいて形成される通常画像である。
ステップS754における判定がNOである場合、ステップ757に進み、複写画像の処理か否か、を判定する。形成する画像が複写画像であれば、第2セットアップを実施し(ステップS758)、そうでなければ第3セットアップを実施する(ステップS759)。なお、第1〜第3セットアップの実施が終了したら、通常画像形成処理の残りがあるか(画像形成処理のジョブが終わりか)否か、を判定し(ステップS760)、形成する通常画像がなければ処理を終了し(ステップS761)、形成する通常画像があればステップS752以下の処理を繰り返す。
図14(B)に第2セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第2セットアップでは、YMCKの各色において、2階調(画素密度100%および50%)の試験トナー画像群921〜924を形成する。図14(C)に第3セットアップにおけるトナー画像の形成状態を示す。第3セットアップでは、YMCKの各色において、6階調(画素密度100%、80%、60%、40%、20%および10%)の試験トナー画像群931〜934を形成する。
図13の処理手順によれば、図11に示す処理手順の場合と同様の優位性を得ることができる。すなわち、画質に対する要求度がそれ程高くないFAX画像の形成において、最も簡易な条件での第1セットアップを実施し、セットアップに伴う装置各部の負担軽減を最優先する。また、複写画像の形成においては、中位な条件での第2セットアップを実施し、装置各部の負担軽減と、形成される画像の画質とをバランスさせ、さらにセットアップに要する時間を短縮させている。そして、通常の印刷においては、最も厳しい条件で画質の調整を行い形成される画像の画質を最優先している。
10.第10の実施形態
例えば、図13のステップS753の判定において、画像形成処理が終了したか否か(ジョブが終了したかい否か)を判定し、画像形成のジョブが終了した時点でステップS754以下を実行し、セットアップを行うようにしてもよい。この場合は、ステップS760の判定は行われない。
11.第11の実施形態
(ユーザによるセットアップ実施条件の設定)
セットアップを行うか否か、あるいはどの程度の頻度で行うかをユーザが設定することもできる。例えば、図5および図6に示す複合機において、ユーザに各種情報を提示する液晶ディスプレイ等のユーザインターフェース画面を配置する。このユーザインターフェース画面は、タッチパネル式であり、ユーザが直接触れることで各種の操作を行うことができる。
図15(A)は、上記のユーザインターフェース画面に表示例である。図15(A)には、各タイミングにおけるセットアップ実施の頻度をマニュアルで設定する場合の表示例が示されている。図15(A)において、ジョブスタートというのは、画像形成のジョブが生じた時点でセットアップを実施するか否かを決める項目である。ジョブ中というのは、複数枚の画像形成が行われている間の所定のタイミングでセットアップを行うか否かを決める項目である。ジョブエンドというのは、画像形成のジョブが終了した時点でセットアップを実施するか否かを決める項目である。なお、図15(A)に示す設定画面上で設定するセットアップの内容は、別途設定するか、予め決められているものを用いる。
図15(A)の設定画面において、OFFは、セットアップを実施しない設定を示す。また、「実施頻度高」は最も高い頻度でセットアップを行う条件設定し示し、「実施頻度中」は中程度の頻度でセットアップを行う条件設定し示し、「実施頻度低」は最も低い頻度でセットアップを行う条件設定を示す。ユーザは、上述したタッチパネル機能を利用して、これら各設定条件を任意に設定することができる。
ここで、ジョブスタートの項目における「実施頻度高」、「実施頻度中」および「実施頻度低」の使い分けは、以下のようになる。例えば、ジョブスタートの項目における「実施頻度高」の設定では、前回のセットアップ時からの画像形成枚数の積算枚数が10枚以上である場合にセットアップが実行されるように設定され、「実施頻度中」の設定では、前回のセットアップ時からの画像形成枚数の積算枚数が20枚以上である場合にセットアップが実行されるように設定され、「実施頻度低」の設定では、前回のセットアップ時からの画像形成枚数の積算枚数が30枚以上である場合にセットアップが実行されるように設定される。
また、ジョブ中の項目における設定項目の使い分けは、以下のようになる。例えば、ジョブ中の項目における「実施頻度高」の設定では、連続した画像形成枚数が5枚になった段階でセットアップが実行されるように設定され、「実施頻度中」の設定では、連続した画像形成枚数が10枚になった段階でセットアップが実行されるように設定され、「実施頻度低」の設定では、連続した画像形成枚数が20枚になった段階でセットアップが実行されるように設定される。
また、ジョブエンドの項目における設定項目の使い分けは、以下のようになる。例えば、ジョブエンドの項目における「実施頻度高」の設定では、当該ジョブで形成した画像の枚数が10以上である場合に、画像形成処理の終了後にセットアップが実行されるように設定される。また「実施頻度中」の設定では、当該ジョブで形成した画像の枚数が20以上である場合に、画像形成処理の終了後にセットアップが実行されるように設定される。また、「実施頻度低」の設定では、当該ジョブで形成した画像の枚数が30以上である場合に、画像形成処理の終了後にセットアップが実行されるように設定される。
次にセットアップの内容を設定可能な設定画面の例を説明する。図15(B)は、セットアップの内容を決める設定を行うことができる設定画面である。図15(B)に示すOFFは、セットアップを行わない設定である。「セットアップ時間長」は、セットアップ時間が最も長い場合の設定である。「セットアップ時間長」が選択された場合、セットアップのための試験トナー画像が、例えば図12(C)に示されるように細かい階調設定で設けられる。ただし、多くの試験トナー画像を形成するので、セットアップに要する時間は長くなる。
図15(B)に示す設定画面において、「セットアップ時間中」を選択すると、セットアップ時間が中程度に設定される。「中」が選択された場合、セットアップのための試験トナー画像が、例えば図12(B)に示されるように中程度に細かい階調設定で設けられる。ただし、最も少ない階調設定が選択された場合(この場合は、図12(A)の場合)に比較すると、セットアップに要する時間は長くなる。
図15(B)に示す設定画面において、「セットアップ時間短」を選択すると、セットアップに要する時間が最も短い時間に設定される。「セットアップ時間短」が選択された場合、セットアップのための試験トナー画像が、図12(A)に示されるように図12(B)や(C)の場合に比較して、最も簡単な階調設定で設けられる。この場合、セットアップに要する時間を最も短くすることができる。
12.他の実施形態
以上の例示では、セットアップを通常画像を形成するタイミングを利用して行う例を示したが、形成する画像と画像の間のインターイメージに試験トナー画像を形成し、セットアップを行うこともできる。
以上の例示では、FAX、複写、印刷の各機能に基づいてセットアップの実施タイミングや実施内容を変更する例を説明したが、機能ごとのモノクロモードかカラーモードか応じてさらにセットアップの実施タイミングや実施内容を決める構成とすることもできる。この場合、モノクロモードの方がカラーモードよりもセットアップの実施頻度および/または実施時間が長くなるように設定する。
また、セットアップの実施頻度および/または実施内容を装置の稼働傾向に基づいて決めることもできる。例えば、単位時間(例えば1日)や1ジョブにおける平均出力枚数、形成画像のボリュームやトナーの使用量、モノクロ画像の形成とカラー画像の形成の比率、プロセス速度毎の使用比率、FAX・複写・印刷の各モードの利用比率、電源ONから画像形成開始までの平均時間等に基づいて、セットアップの実施頻度および/または実施内容を適宜変更する構成としてもよい。
100…カラープリンタ、101…ロータリー現像装置、103…感光体ドラム、111…除電器、112…帯電器、114…中間転写体、115…1次転写ローラ、118…クリーニングブレード。