JP4838236B2 - 前立腺癌細胞のアポトーシス誘発剤 - Google Patents
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Description
ある種の遺伝子は過剰に発現された際に癌細胞に対して選択的に殺傷効果を発揮するが、p53(Chen,P.L.et al.,Science 250,1576−80(1990);Fujiwara,T.et al.,J Natl Cancer Inst 86,1458−62(1994);Nielsen,L.L.et al.,Cancer Gene Ther 4,129−38(1997))およびmda−7(Fisher,P.B.et al.,Cancer Biol Ther 2,S23−37(2003))などはその代表的な遺伝子であり、癌抑制遺伝子として知られている。
一方、細胞の不死化に関連した遺伝子として、REIC/Dkk−3遺伝子が知られており、癌細胞ではこの遺伝子の発現が抑制されていることが報告されている(特許文献1および非特許文献1から4を参照)。
REIC/Dkk−3遺伝子はDkkファミリーのメンバーであり、Wnt受容体を介してWntシグナル伝達を阻害することが知られている(非特許文献5および6を参照)。Wnt遺伝子は、細胞の成長、分化、癌化などの重要な生物学的状況に多面的な役割を果たす(非特許文献7参照)。従って、Dkkファミリー(ヒトでは現在4つの遺伝子が知られている)は恐らく同様に細胞の成長、分化、癌化において重要な機能を担うと考えられるが、大部分は未解明のままである。
本発明者は、先に報告したREIC/Dkk−3遺伝子と癌細胞の関係について鋭意検討を行った。REIC/Dkk−3遺伝子は、ヒトの癌細胞株、および癌組織で発現が低下していることが発見された。REIC/Dkk−3遺伝子の発現低下はプロモーターの過メチル化に一部起因する。ベクターを用いてREIC/Dkk−3遺伝子を過剰に発現させると、ヒト骨肉腫細胞の成長は抑制された。これらの発見は、REIC/Dkk−3遺伝子が癌抑制遺伝子として機能するかもしれないこと、ヒトの癌を治療する新しい標的であり得ることを示す。
さらに、本発明者は、REIC/Dkk−3遺伝子の発現が悪性度の高い前立腺癌細胞で低下することを見出し、REIC/Dkk−3遺伝子の前立腺癌治療薬としての利用についてさらに鋭意検討を行った。本発明者は、REIC/Dkk−3遺伝子を前立腺癌細胞で発現させることにより、前立腺癌細胞にアポトーシスを誘発し、前立腺癌を抑制できることを見出し本発明を完成させるに至った。
さらに、本発明者は、REIC/Dkk−3遺伝子の前立腺癌転移抑制効果について検討を行った。その結果、マウス前立腺癌同所移植モデルにおいて、REIC遺伝子の局所腫瘍抑制作用に加えて転移抑制作用を見出した。
さらにまた、本発明者は、REIC/Dkk−3遺伝子と温熱療法を併用することにより前立腺癌の治療効果および転移抑制効果が向上することを見出した。
この結果、本発明者は本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下のREIC/Dkk−3タンパク質を有効成分として含む前立腺癌のアポトーシス誘発剤。
(a) 配列番号2に表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するタンパク質
[2] [1]のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌治療薬。
[3] 以下のREIC/Dkk−3のDNAを有効成分として含む前立腺癌のアポトーシス誘発剤。
(c) 配列番号1に表される塩基配列からなるDNA
(d) 配列番号1に表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、アポトーシス活性を有するタンパク質をコードするDNA
[4] [3]のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌治療薬。
[5] [1]のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌転移抑制剤。
[6] [3]のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌転移抑制剤。
[7] 温熱療法と併用するための[2]または[4]の前立腺癌治療薬。
[8] 温熱療法と併用するための[5]または[6]の前立腺癌転移抑制剤。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−73807号および2005−084495号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1Bは、正常細胞、癌細胞中のREIC/Dkk−3の発現を示す写真であり、OUMS−24、前立腺癌細胞(PC3、DU145、LNCaP)におけるREIC/Dkk−3蛋白質の免疫染色(緑色)の結果を示す写真である。核はpropiodium iodideで染色した(赤色)。
図1Cは、正常細胞、癌細胞中のREIC/Dkk−3の発現を示す図であり、リアルタイム定量的RT−PCRで解析した正常ヒト繊維芽細胞、前立腺癌細胞のREIC/Dkk−3mRNAレベルをGAPDHとのモル比で示す図である。p<0.05である。
図1Dは、正常細胞、癌細胞中のREIC/Dkk−3の発現を示す写真であり、正常前立腺、前立腺肥大症、グリソン4および9の前立腺癌組織中のREIG/Dkk−3に対する免疫染色の結果を示す写真である。
図1Eは、正常細胞、癌細胞中のREIC/Dkk−3の発現を示す図であり、LandMark tissue MicroarrayにおけるREIC/Dkk−3蛋白質の定量的分析の結果を示す図である。BPHは、benign hypertrophic prostate tissueを示し、GはGleason scoreを示す。*p<0.05;**p<0.01である。
図1Fは、正常細胞、癌細胞中のREIC/Dkk−3の発現を示す図であり、グリソンスコア7以上と7以下の新鮮ヒト前立腺癌組織におけるREIC蛋白質の定量的分析の結果を示す図である。BPHは、benign hypertrophic prostate tissueを示し、GはGleason scoreを示す。*p<0.05;**p<0.01である。
図2Aは、REIC/Dkk−3の過剰発現によるヒト前立腺癌細胞のアポトーシス誘導を示す写真であり、アデノウイルスベクターを用いてREIC/Dkk−3 cDNAを導入してから36時間後の前立腺癌細胞PC3におけるREIC/Dkk−3蛋白質の発現を示す写真である。OUMS−24は陽性コントロールとして使用した。Ad−lacZは、lacZを運ぶアデノウイルスベクターを示す。
図2Bは、REIC/Dkk−3の過剰発現によるヒト前立腺癌細胞のアポトーシス誘導を示す写真であり、10MOI導入36時間後における正常ヒト前立腺細胞(OUMS−24、PrEC、PrSC)および前立腺癌細胞(PC3、DU145、LNCaP)のTUNEL染色(緑)を示す写真である。右上はHoechst 33258染色(青)の結果を示す。
図2Cは、REIC/Dkk−3の過剰発現によるヒト前立腺癌細胞のアポトーシス誘導を示す図であり、10MOI導入36時間後における正常ヒト前立腺細胞(OUMS−24、PrEC、PrSC)および前立腺癌細胞(PC3、DU145、LNCaP)のTUNEL染色陽性細胞のパーセンテージを示す図である。
図2Dは、REIC/Dkk−3の過剰発現によるヒト前立腺癌細胞のアポトーシス誘導を示す写真であり、1MOI以上のAd−REICを導入したPC3細胞で観察されたDNA断片を示す写真である。
図3Aは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す写真であり、10MOIのREIC、lacZ導入36時間後、PC3細胞のTUNEL染色の結果を示す写真である。Baxに対するペプチド抑制剤(V5)は、導入1時間前より培地中に200μM加えた。スケールバーは200μmである。
図3Bは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す図であり、Bax抑制剤V5によるPC3細胞のアポトーシス抑制効果を示す図である。TUNEL陽性細胞数は(A)と同じ条件下で計測した。
図3Cは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す写真であり、Bax蛋白質の免疫染色を示す写真である。10MOIのベクター投与36時間後のPC3細胞の結果であり、ミトコンドリアの細胞内局在はMitotracker(Mt)にて染色した。
図3Dは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す写真であり、図3Aに示す検討と同様に処理したPC3細胞のTUNEL染色の結果を示す写真である。JNK阻害剤であるSP600125を10nM用いた。
図3Eは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す図であり、JNK阻害剤SP600125によるREIC/Dkk−3誘導アポトーシスの抑制効果を示す図である。TUNEL陽性細胞数はCと同じ条件下にて計測した。
図3Fは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す写真であり、図3Dと同様のPC3細胞中の蛋白質をウエスタン法にて解析した結果を示す写真である。Pはphosphorylatedを、cyto Cはcytochrome cを、β−catはβ−cateninを示す。
図3Gは、Ad−REICによりアポトーシス誘導されたPC3細胞におけるBaxとJNKの関与を示す写真であり、図3Dと同様のPC3細胞から抽出した細胞質とミトコンドリアにおいて、蛋白質をウエスタン法にて解析した結果を示す写真である。
図4Aは、ヌードマウス中のPC3細胞増殖に対するAd−REICの影響を示す写真であり、観察期間終了時の腫瘍外観を示す写真である。
図4Bは、ヌードマウス中のPC3細胞増殖に対するAd−REICの影響を示す図であり、5匹のヌードマウスの平均腫瘍容積を示す図である。図4Bの挿入図はREIC注入したマウスの腫瘍容積を示す。ウイルス注入30日後、5匹中4匹のマウスで腫瘍が消失していた。
図4Cは、ヌードマウス中のPC3細胞増殖に対するAd−REICの影響を示す写真であり、ウイルス注入30日後の腫瘍組織のTUNEL染色の結果を示す写真である。P1は、核を視覚化するためにpropiodiumヨードで染色した。
図5は、前立腺癌同所移植モデルにおけるREIC遺伝子の局所腫瘍抑制作用を示す写真である。
図6は、前立腺癌同所移植モデルにおけるREIC遺伝子の局所腫瘍抑制作用を示す図である。
図7Aは、REIC/Dkk−3遺伝子のアポトーシス誘導効果を示す写真である。
図7Bは、REIC/Dkk−3遺伝子のアポトーシス誘導効果を示す図である。
図8は、REIC/Dkk−3遺伝子による前立腺癌の転移抑制効果を転移率で示す図である。
図9は、REIC/Dkk−3遺伝子による前立腺癌の転移抑制効果を転移総数で示す図である。
図10は、REIC/Dkk−3遺伝子によるマトリックスメタロプロテアーゼ活性抑制効果を示すザイモグラフィー写真である。
図11は、REIC/Dkk−3遺伝子による前立腺癌細胞接種マウスの生存率に対する影響を示す図である。
図12は、正常細胞において、REIC/Dkk−3遺伝子とHSPインヒビターまたはHSPインデューサーを併用した場合のアポトーシス誘発を示す写真である。
図13は、前立腺癌細胞において、REIC/Dkk−3遺伝子とHSPインヒビターまたはHSPインデューサーを併用した場合のアポトーシス誘発を示す写真である。
図14は、前立腺癌細胞における、REIC/Dkk−3遺伝子と温熱処理の併用効果を示す写真である。
REIC/Dkk−3遺伝子の塩基配列および該遺伝子のコードするタンパク質のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および配列番号2に表される。
本発明のアポトーシス誘発剤に含まれるREIC/Dkk−3遺伝子のコードするタンパク質は、配列番号2に表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、癌細胞にアポトーシス誘発活性を有するタンパク質を用いることができる。ここで、実質的に同一のアミノ酸配列としては、当該アミノ酸配列に対して1または複数もしくは数個(1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個若しくは2個)のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されたアミノ酸配列または当該アミノ酸配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有しているものが挙げられる。
また、本発明のアポトーシス誘発剤に含まれるREIC/Dkk−3のDNAは、配列番号2に表される塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、配列番号2に表される塩基配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有しているDNA、または前記DNAによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1または複数もしくは数個(1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個若しくは2個)のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAなどのうち、癌細胞のアポトーシス誘発の活性を有するタンパクをコードするものであれば、本発明のアポトーシス誘発剤に含まれる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、「1XSSC、0.1% SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5XSSC、0.1% SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2XSSC、0.1% SDS、65℃」程度の条件である。このようにハイブリダイゼーションの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待しうる。ただし、上記のSSC、SDSおよびに温度の条件の組み合わせは例示であり、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーションの反応時間などを適宜組み合わせることにより、必要なストリンジェンシーを実現することが可能である。
さらに、本発明のアポトーシス誘発剤ならびに前立腺癌治療剤および前立腺癌転移抑制剤が含有するREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAは、該タンパク質のアミノ酸配列の一部アミノ酸配列からなる断片ペプチドであってアポトーシス誘発活性を有するペプチド、および該DNAの塩基配列の一部塩基配列からなる断片ヌクレオチドであって、アポトーシス誘発活性を有するペプチドをコードするヌクレオチドも含まれる。このような、断片ペプチドまたは断片ヌクレオチドは、全長タンパク質または全長DNAを適当な部位で切断し、アポトーシス誘発活性を有するかどうか測定することにより容易に得ることができる。
本発明のREIC/Dkk−3タンパク質を被験体に投与し、前立腺癌細胞に取り込ませることにより、癌細胞中で作用し、アポトーシスを誘発する。REIC/Dkk−3タンパク質の前立腺癌細胞への取込みは、例えばREIC/Dkk−3タンパク質を細胞膜を通過し得るペプチドと結合させて前立腺癌組織部位に投与すればよい。細胞膜を通過し得るペプチドとして、種々のペプチドが公知であり、これらの公知のものを用いることができるが、例えば、HIV−1・TATの細胞膜通過ドメイン(protein transduction domain)、ショウジョウバエのホメオボックスタンパク質アンテナペディアの細胞膜通過ドメイン、VP22のC末端(267−300)ペプチド、HIV−1/Rev(34−50)ペプチド、FHV/coat(35−49)ペプチド、K−FGFのN末端(7−22)の疎水性領域が挙げられる。また、癌細胞に特異的に結合し得る化合物と結合させて投与してもよい。この場合は、前立腺癌組織部位に局所的に投与してもよいし、経口投与等により投与し、前立腺癌細胞にREIC/Dkk−3タンパク質を送達させてもよい。このような、癌細胞に特異的に結合し得る化合物として、癌細胞の表面に発現している受容体と結合するペプチドであるホーミングシグナルペプチドが挙げられる。ホーミングシグナルペプチドとして、例えば、血管新生している内皮細胞のホーミングシグナルペプチド受容体に特異的結合するNGRおよびRGD(Nat Med.1999 Sep;5(9):1032−1038)が挙げられる。上記の細胞膜通過ペプチドまたはホーミングシグナルペプチドをREIC/Dkk−3タンパク質と結合させるには、例えば、REIC/Dkk−3タンパク質をコードするDNAと上記の細胞膜通過ペプチドまたはホーミングシグナルペプチドをコードするDNAをインフレームで連結し、公知の遺伝子工学技術により融合タンパク質として産生させればよい。
REIC/Dkk−3遺伝子は、配列番号1の配列情報に基づいて、ヒト細胞、ヒト組織等から得ることができる。また、WO01/038523号公報の記載に従って得ることも可能である。
さらに、本発明はREIC/Dkk−3 DNAを含むベクターをも含む。該ベクターを被験体に導入することにより、被験体体内でREIC/Dkk−3タンパク質が発現しアポトーシス誘発効果を発揮し得る。このような、遺伝子治療における目的の遺伝子の被験体への導入は公知の方法により行うことができる。遺伝子を被験体へ導入する方法として、ウイルスベクターを用いる方法および非ウイルスベクターを用いる方法があり、種々の方法が公知である(別冊実験医学、遺伝子治療の基礎技術、羊土社、1996;別冊実験医学、遺伝子導入&発現解析実験法、羊土社、1997;日本遺伝子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス、1999)。
遺伝子導入のためのウイルスベクターとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス等のウイルスベクターを用いた方法が代表的なものである。無毒化したレトロウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全症ウイルス(HIV)等のDNAウイルスまたはRNAウイルスに目的とする遺伝子を導入し、細胞に組換えウイルスを感染させることによって、細胞内に遺伝子を導入することが可能である。
本発明に係る遺伝子をウイルスを用いた遺伝子治療に使用するとき、アデノウイルスベクターが好ましく用いられる。アデノウイルスベクターの特徴として、(1)多くの種類の細胞に遺伝子導入ができる、(2)増殖停止期の細胞に対しても効率よく遺伝子導入ができる、(3)遠心により濃縮が可能であり、高タイター(10〜11PFU/ml以上)のウイルスが得られる、(4)in vivoの組織細胞への直接の遺伝子導入に適している、といった点が挙げられる。遺伝子治療用のアデノウイルスとしては、E1/E3領域を欠失させた第1世代のアデノウイルスベクター(Miyake,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,93,1320,1996)から、E1/E3領域に加え、E2もしくはE4領域を欠失させた第2世代のアデノウイルスベクター(Lieber,A.,et al.,J.Virol.,70,8944,1996;Mizuguchi,H.&Kay,M.A.,Hum.Gene Ther.,10,2013,1999)、アデノウイルスゲノムをほぼ完全に欠失させた(GUTLESS)第3世代のアデノウイルスベクター(Steinwaerder,D.S.,et al.,J.Virol.,73,9303,1999)が開発されているが、本発明に係る遺伝子を導入するには、特に限定されずいずれのアデノウイルスベクターでも使用可能である。さらに、AAVの染色体に組み込み能を付与したアデノ−AAVハイブリッドベクター(Recchia,A.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,96,2615,1999)や、トランスポゾンの遺伝子を用いることにより染色体に組み込む能力を有したアデノウイルスベクターなどを利用すれば、長期的な遺伝子発現にも応用が可能である。また、アデノウイルスファイバーのH1ループに組織特異的な移行性を示すペプチド配列を挿入することにより、アデノウイルスベクターに組織特異性を付与することも可能である(Mizuguchi,H.&Hayakawa,T.,Nippon Rinsho,7,1544,2000)。
また、上記ウイルスを用いることなく、プラスミドベクター等の遺伝子発現ベクターが組み込まれた組換え発現ベクターを用いて、目的遺伝子を細胞や組織に導入することができる。例えば、リポフェクション法、リン酸−カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管を用いたDNAの直接注入法などにより細胞内へ遺伝子を導入することができる。また、内包型リポソーム(internal liposome)による遺伝子導入法、静電気型リポソーム(electorostatic type liposome)による遺伝子導入法、HVJ−リポソーム法、改良型HVJ−リポソーム法(HVJ−AVEリポソーム法)、HVJ−E(エンベロープ)ベクターを用いた方法、レセプター介在性遺伝子導入法、パーティクル銃で担体(金属粒子)とともにDNA分子を細胞に移入する方法、naked−DNAの直接導入法、種々のポリマーによる導入法等によっても、組換え発現ベクターを細胞内に取り込ませることが可能である。この場合に用いる発現ベクターとしては、生体内で目的遺伝子を発現させることのできるベクターであれば如何なる発現ベクターも用いることができるが、例えばpCAGGS(Gene 108,193−200(1991))や、pBK−CMV、pcDNA3、1、pZeoSV(インビトロゲン社、ストラタジーン社)、pVAX1などの発現ベクターが挙げられる。
REIC/Dkk−3 DNAを含むベクターは、適宜遺伝子を転写するためのプロモーターやエンハンサー、ポリAシグナル、遺伝子が導入された細胞の標識および/または選別のためのマーカー遺伝子等を含んでいてもよい。この際のプロモーターとしては、公知のプロモーターを用いることができる。
本発明のREIC/Dkk−3 DNAを含む医薬組成物を被験体へ導入するには、遺伝子治療剤を直接体内に導入するin vivo法、及び、ヒトからある種の細胞を取り出して体外で遺伝子治療剤を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法等を用いればよい(日経サイエンス、1994年4月号、20−45頁;月刊薬事、36(1),23−48(1994);実験医学増刊、12(15)、(1994);日本遺伝子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス、1999)。
本発明の治療対象となる癌は前立腺癌であり、その中でも悪性度の高い前立腺癌に対して特に有効である。ここで、悪性度の高い前立腺癌とは、例えばグリソンスコア8以上の前立腺癌をいう。
本発明のREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAは、さらに前立腺癌の転移抑制に用いることができる。すなわち、本発明は、REIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む前立腺癌転移抑制剤を包含する。該前立腺癌転移抑制剤は前立腺癌のアポトーシス誘発剤および前立腺癌治療薬と同様に用いることができ、前立腺癌細胞に投与することにより前立腺癌の転移を抑制することができる。
さらに、REIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAは、前立腺癌の温熱療法の効果を高め得る。温熱療法とは、癌細胞が正常細胞と比較して熱に弱いという性質を利用したがんの治療法である。REIC/Dkk−3タンパク質によるアポトーシスの誘導は、細胞のヒートショックプロテイン(HSP)の発現と関連しており、細胞のストレス応答性に影響を受ける。すなわち、温熱療法とREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤を併用することにより、よりアポトーシスを誘発し、癌をより有効に治療することができ、さらに癌の転移をより有効に抑制することができる。具体的には、癌部を温熱処理するとともに、本発明のREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤を投与すればよい。温熱療法に用いる温熱処理としては、被験体の前立腺癌部位を温熱処理できるものであれば、いかなる加温法を用いることもでき、局所加温法および全身加温法のいずれも採用することができる。加温装置としては、外部加温法、腔内加温法、組織内加温法等のいかなる加温法に基づくものであってもよい。具体的には、恒温槽、マイクロ波、超音波、電磁波、RF波(radio−frequency波)等を用いた加温装置が挙げられる。温熱処理の温度は、41〜45℃、好ましくは43〜44℃である。
本発明のREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤は温熱療法を行う前、温熱療法実施時、後いずれの時期に投与してもよい。
すなわち、本発明は、被験体の前立腺癌部位を温熱処理するとともに、該被験体にREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤を投与することを含む、前立腺癌を治療し、または前立腺癌の転移を抑制する方法を包含する。さらに、本発明は、温熱療法と併用するためのREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤、温熱療法のを適用する前、適用している間または適用した後に投与するためのREIC/Dkk−3タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAを有効成分として含む、アポトーシス誘発剤、癌治療剤または癌転移抑制剤を包含する。
本発明の医薬組成物は、REIC/Dkk−3タンパク質もしくはREIC/Dkk−3タンパク質と細胞膜通過ペプチドまたはホーミングシグナルペプチドとの融合タンパク質またはREIC/Dkk−3 DNAもしくは該DNAを含むベクターならびに薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む。
本発明の医薬組成物は、種々の形態で投与することができ、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、あるいは注射剤、点滴剤、座薬、スプレー剤、点眼剤、経鼻投与剤、貼付剤などによる非経口投与を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、局所投与することも可能であり、例えば癌部位に注射により投与することによりその効果を発揮し得る。
本発明の医薬組成物は、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤、賦形剤を含む。たとえば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、ステアリン酸マグネシウムなどが使用される。注射用の水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが使用され、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール、プロピレングリコールなどのポリアルコール、非イオン界面活性剤などと併用しても良い。油性液としては、ゴマ油、大豆油などが使用され、溶解補助剤としては安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用しても良い。
その投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、REIC/Dkk−3タンパク質の場合、経口投与では、1日約0.001mg〜100mgであり、1回または数回に分けて投与すればよい。また、非経口投与では、1回あたり、0.001mg〜100mgを皮下注射、筋肉注射、または静脈注射によって投与すればよい。また、被験体内で翻訳させる発現ベクター等に挿入されたREIC/Dkk−3 DNAは、数日または数週間または数ヶ月おきに1回あたり、0.001mg〜100mgを皮下注射、筋肉注射、または静脈注射によって投与すればよい。
[実施例1] REIC/Dkk−3による前立腺癌細胞のアポトーシスの誘導
本実施例における材料は以下の記載のように入手し、実施例は以下の方法で行った。
細胞と培養法
正常前立腺上皮細胞(PrEG)と前立腺間質細胞(PrSC)はCambrex(Baltimore、MD)から購入した。前立腺癌細胞、PC3、DU145およびLNCaPはATCC(Rockville、MD)より譲り受けた。OUMS−24は難波正義博士の提供による。HAM’S F−12 K培地、RPMI 1640培地および改良MEM培地(Nissui社)は、10%の子ウシ血清を加えてPC3、DU145およびLNCaP、ならびにOUMS−24にそれぞれ使用した。
ヒト前立腺組織
LandMarkTM低密度前立腺組織マイクロアレイ(Ambion、Austin)をREIC/Dkk−3遺伝子の免疫染色に使用した。新鮮前立腺癌組織サンプルは40人の患者から得られた。グリソンスコア8以上のものと7以下のものがそれぞれ20個ずつ含まれた。
免疫学的解析
4%のパラホルムアルデヒドで固定した後、細胞および組織を1次抗体(抗ヒトREIC/Dkk−3抗体、当研究室で精製)、2次抗体(FITC結合抗ウサギ免疫グロブリンG抗体、Sigma,St.Louis)で免疫染色した。Baxには抗ヒトBax抗体(Upstate Cell signaling solutions,Lake Placid,NY)、Bcl−2には抗ヒトBcl−2抗体(BD Biosciences,San Diego)をそれぞれ使用した。Vectashield mounting medium with DAPI or with propiodium iodide(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を細胞核の染色に使用した。染色サンプルのシグナル強度はコンピューターソフトで定量した。ウエスタン分析法は以前の論文と同様に行った。使用した抗体は以下のとおりであった。精製ウサギ抗ヒトREIC/Dkk−3抗体、Apf−1、Bad、Bcl−2、Bcl−xLおよびp53にApoptosis sampler I kit(BD Biosciences)、ウサギの抗ヒトBax抗体(Upstate Cell signaling Solutions,Lake Placid,NY)、ウサギ抗ヒトBax抗体(BD Biosciences)、マウス抗ヒトApaf−1抗体(BD Biosciences)、マウス抗ヒトチューブリン抗体(シグマ)。
リアルタイム定量的RT−PCR
リアルタイムPCRはLightCyclerTM(Roche Diagnostic,Lewes,UK)を用いてメーカーに推奨された条件下で行なった。リアルタイムPCRに使用したプライマーは以下のとおりであった。
REIC/Dkk−3−F’5’−GTAAGTTCCCCTCTGGCTTG−3’(配列番号3)、
REIC/Dkk−3−R’5’−AAGCACCAGACTGTGAAGCCT−3’(配列番号4)、
GAPDH−F’5’−GGGTGTGAACCATGAGAAGTATGA−3’(配列番号5)、および
GAPDH−R’5’−TGCTAAGCAGTTGGTGGTGC−3’(配列番号6)。
生成物は、融点分析、電気泳動および直接解析によってチェックした。標準曲線は挿入したプラスミドを使用して作製した。結果は、REIC/Dkk−3:GAPDHモル比で示す。
アポトーシス解析
DNAラダー法は従来の条件の下で実行した。DNAはTriton X−100で細胞を溶解した後に抽出し、RNaseおよびプロテイナーゼKで処理した後に2%アガロース・ゲルで電気泳動した。In Situ Cell Death Detection Kit,Fluorescein(Roche)でTUNEL染色をした。Baxに特異的なペプチド抑制剤であるV5はSigma Genosis(Woodlands,TX)から購入した。
動物実験
PC3細胞(2.5×106/PBS 50μl)を生後8週BALB/Cヌードマウスの右側腹部皮下に注入し、1週間後腫瘍径が5mmに達した時点で、REIC遺伝子(もしくはLacZ遺伝子)を組み込んだアデノウイルスベクター(2.5×108pfu)を腫瘍に注入した。同量のPBSをコントロールとして注入した。アデノウイルスベクター注入から30日後まで、3日おきに腫瘍の大きさを計測した。腫瘍容積(V)は1/2×(短径)2×(長径)で求めた。
本実施例により以下の結果が得られた。
REIC/Dkk−3遺伝子の治療標的としての潜在的な有用性を探るため、まず様々な細胞でREIC/Dkk−3遺伝子の発現を検討した。ヒト繊維芽細胞(OUMS−24)、前立腺上皮細胞(PrEC)、前立腺間質細胞(PrSC)で、REIC/Dkk−3蛋白質は62から83kDaの間で2本のバンドとして検出された(図1A)。アミノ酸配列から推定されたサイズ(38.3kDa)よりも大きいことは、糖鎖付加が原因である。REIC/Dkk−3蛋白質は3種の代表的な前立腺癌細胞株(PC3,LNCaP,DU145)、4種の前立腺以外の癌細胞株でほとんど検出されなかった。3種の前立腺癌細胞株のREIC/Dkk−3蛋白質欠損は、免疫染色(図1B)により確認された。REIC/Dkk−3 mRNAの発現低下も、定量的RT−PCRによっても確認された(図1C)。
ヒト前立腺組織でのREIC/Dkk−3遺伝子の発現を免疫染色により検討した(図1D)。REIC/Dkk−3蛋白質は正常前立腺と前立腺肥大症の上皮細胞、間質細胞で検出された。グリソンスコア7以下の前立腺癌では、REIC/Dkk−3蛋白質は減少していたが、そのレベルはさまざまであった。グリソンスコアが8から10の前立腺癌では、REIC/Dkk−3蛋白の発現は認められなかった。シグナルの強度をコンピューターソフトを使用して定量的に測定した(図1E)。市販の前立腺組織マイクロアレイ(図1E左)、および新鮮前立腺癌組織(図1E右)共に、REIC/Dkk−3蛋白の発現は、癌の異型度に比例して減少していた。他の正常ヒト組織(脳、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、乳腺およびリンパ節)の免疫染色ではさまざまな強度でREIC/Dkk−3蛋白が発現していた。
遺伝子治療のツールとしての可能性を検討するために、REIC/Dkk−3遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを用いてREIC/Dkk−3遺伝子を過剰発現させた。1MOIのベクターを使ってREIC/Dkk−3を導入したPC3細胞のREIC/Dkk−3蛋白質レベルは、OUMS−24に匹敵した(図2A)。導入数日後、ほとんどの前立腺癌細胞が培養容器の底から離れていた。この原因を調べるため、REIC/Dkk−3遺伝子導入の36時間後にTUNEL法で細胞を染色した。図2Bに示すとおり、前立腺癌細胞(PC3,DU145,LNCaP)では多くの細胞がTUNEL反応陽性であったが、正常細胞(OUMS−24、前立腺間質細胞、前立腺上皮細胞)では少なかった。PC3では49%、DU145では24%、LNCaPでは41%がTUNEL反応陽性であったが、正常細胞では1%未満だった(図2C)。アポトーシスの性質を確認するため、ベクター導入から36時間後のPC3細胞のDNAを分析した。
1MOI以上のREIC遺伝子を導入したPC3細胞では、明らかなDNAバンドの段差が観察された(図2D)。図2Dに示すように、1MOI以上のAd−REICを導入したPC3細胞で特定のDNA断片が観察された。5×105のPC3細胞を撒いて1日後にウイルスベクターを作用させ36時間後に収穫した。Ad−REICの導入効率とREIC/Dkk−3遺伝子の発現レベルは類似していた(データは示していない)。これらの結果は、もともとREIC/Dkk−3発現がほとんど認められない前立腺癌細胞にREIC/Dkk−3を過剰発現させると選択的にアポトーシスを引き起こすことを示している。
REIC/Dkk−3遺伝子による腫瘍特異的なアポトーシスの機序を知るために、様々なアポトーシス/細胞周期調整蛋白質の発現をPC3細胞とOUMS−24細胞で比較した。RE1C/Dkk−3遺伝子を導入したPC3細胞で、アポトーシス抑制作用を有するBcl−2、Bcl−XL蛋白質の減少が観察された(図3F)。Bax、Bad、ApaF−1、p53、p21(CIP1/WAF1)およびp16(INK4a)では細胞間で変化はなかった(データは示していない)。
PC3細胞において、Caspase8阻害剤はAd−REICによるアポトーシスを抑えることは無かったが、Bax阻害剤であるV5(Sawada,M.et al.,Nat Cell Biol 5,352−7(2003))はアポトーシスを完全に抑制した(図3A)。細胞質からミトコンドリアへのBax蛋白質の移動はBax関連アポトーシス経路(Gross,A.et al.,Embo J 17,3878−85(1998))が働くきっかけとなるが、図3CはBax蛋白質がAd−REICによってミトコンドリアに移動し、V5によってその移動が抑制されることを示している。V5は、Bcl−2およびBaxの蛋白質レベルには影響しなかった。
c−jun N−terminal kinase(JNK)はWntシグナルのnon−caronical経路を介することが知られている(Lei,K.et al.,Mol Cell Biol 22,4929−42(2002);Tsuruta,F.et al.,Embo J 23,1889−99(2004))。さらに、BaxはJNKによって誘導されるアポトーシスにおける要であり、JNKはBaxのミトコンドリアへの移動を促すことが報告されている。JNK特異的阻害剤であるSP600125をPC3細胞に加えると、Ad−REICによるアポトーシスは濃度依存的に抑制される(図3D、3E)。Ad−REICに感染したPC3細胞において、JNKの活性化をリン酸化JNK抗体を用いて確認した(図3F)。SP600125はJNKのkinase活性を阻害するが、JNK自身のリン酸化は阻害しない。BaxはPC3細胞の細胞質で検出されるが、Ad−REIC感染細胞ではミトコンドリアへの移動が著しく認められる(図3G)。Baxのミトコンドリアへの移動はチトクロムCの細胞質への放出に関与し、この移動はJNK阻害剤SP600125によって抑制される。リン酸化されたJNKもまたAd−REICによってミトコンドリアへ移動する。これらの結果より、REICの過剰発現はJNKを活性化し、Bcl−2蛋白質レベルを減少させ、Bax蛋白質のミトコンドリアへの移動を促してチトクロムCを細胞質に放出させて最終的にアポトーシスを起こすことが示唆される。最近Hsiehらは、REIC/Dkk−3遺伝子の過剰発現はcaspase3の活性化を通じて様々なヒト癌細胞でアポトーシスを起こすと報告しており(Hsieh,S.Y.et al.,Oncogene 23,9183−9(2004))、caspase3はシトクロムCの下流でアポトーシスを担う主要因子として知られている。
現在のところ、Ad−REICによるJNKの活性化がBcl−2とBaxに対して直接作用するのか間接的に作用するのか明らかではないが、Bcl−2(Yamamoto,K.et al.,Mol Cell Biol 19,8469−78(1999);Deng,X.et al.,J Biol Chem 276,23681−8(2001))、Bcl−XL(Basu,A.et al.,FEBS Lett 538,41−7(2003))、Bim(Lei,K.et al.,Mol Cell Biol 22,4929−42(2002))はJNKの標的として確立されている。Ad−REICによってREIC/Dkk−3蛋白質をPC3細胞に過剰発現させると、培養液中に糖鎖付加されて分泌されることを確認した。β−カテニンの量と細胞内局在はAd−REICによって影響を受けなかったので、分泌されたREIC/Dkk−3がWntのcanonical経路を介して作用しているとは考えにくい(データは示していない)。JNKはWntシグナルのnon−canonical経路か、蛋白質の過剰発現による細胞内ストレス伝達システム、もしくは細胞内の未知の因子によって活性化されると考えられる。実際、IL−10ファミリーのサイトカイン(細胞間情報伝達蛋白)の一種であるMDA−7/IL−24(MDA7/IL−24は同一別称)はその分泌がブロックされた時でさえ、多くのヒト癌細胞、特にヒト前立腺癌細胞のアポトーシスを効率的に起こす(Sauane,M.et al.,Cancer Res 64,2988−93(2004))。Baxはp53によって活性化されるが(Han,J.et al.,Genes Dev 10,461−77(1996))、PC3細胞はp53をもたないため、REIC遺伝子によるアポトーシスの誘導はp53機能に依存しない(Arah,I.N.et al.,Anticancer Res 18,1845−9(1998))。MDA−7もまたp53から独立したBaxの活性化によってアポトーシスを選択的に引き起こす(Su,z.z.et al.,Proc Natl Acd Sci USA 95,14400−5(1998))。最近、Hoangらは、REIC/Dkk−3遺伝子の過剰発現によってヒト骨肉腫細胞Saos−2のアポトーシスは誘導されないものの、生体外の実験で細胞の浸潤能や移動能の抑制を確認したと報告している(Hoang,B.H.et al.,Cancer Res 64,2734−9(2004))。REIC/Dkk−3は異なるポイントで、抗癌作用を働かせるのかもしれない。
REIC/Dkk−3遺伝子導入によるアポトーシス誘導が試験管内の研究で証明されたため、PC3細胞に対する影響を生体内(動物実験)で調べた。2.5×106個のPC3細胞を、ヌードマウスの皮下に注入した。1週間後、腫瘍容積が30〜100cm3に達した時点で、アデノベクターを用いてREICあるいはlacZを2.5×108pfu腫瘍中に注入した。コントロール群には同量のバッファー(PBS)を注入した。腫瘍サイズは3日ごとに注入後27日間測定した。コントロール群およびlacZ群では注入後1か月の観察期間中に徐々に増大した(図4A、4B)。これに反して、REIC群(治療群)では5匹中4匹のマウスにおいて腫瘍が完全に消失した。さらに1匹のマウスにおいては腫瘍は完全に消失はしなかったものの縮小を示し、観察期間を通じて縮小したままの状態を持続した。これらの腫瘍を観察期間終了後に切除し、TUNEL法で染色した(図4C)。バッファー群とlacZ群ではアポトーシスは見られなかったのに対し、REIC群では注入後1か月の時点で多くの細胞がTUNEL反応陽性であった。REIC/Dkk−3遺伝子による培養細胞に対する選択的なアポトーシス誘導作用および生体内での腫瘍抑制作用は、REIC/Dkk−3遺伝子がp53やmda−7と同様に(Sauane,M.et al.,Cancer Res 64,2988−93(2004))癌治療のターゲットになり得ることを強く示唆している。前立腺癌は欧米では最も一般的な悪性疾患である。ホルモン療法などの様々な治療法が前立腺癌に対して行われてきた。しかし前立腺癌が終末期にホルモン抵抗性を獲得すると、既存の治療法ではコントロール困難となる。
本実施例は、REIC/Dkk−3が、悪性度の高い前立腺癌に対抗しうる新しい分子的な標的になることを示している。
[実施例2] アデノウイルスベクターを用いたREIC/Dkk−3遺伝子導入による前立腺癌の転移抑制効果
5.0×103個のマウス前立腺癌細胞RM−9をC57BL/6マウスの前立腺に注入し、1週間後(腫瘍径平均:60mm3)にアデノベクターを用いてREICまたはlacZ(またはPBS)を1.2×108pfu腫瘍中に直接注入したところ、コントロール群およびlacZ群に比べてREIC/Dkk−3群(治療群)では腫瘍の増殖は優位に抑制された(図5および図6)。腫瘍径は以前本発明者が開発した経直腸エコーシステムにて3日毎に測定した。腫瘍容積(V)は1/2×(短径)2×(長径)で求めた。図5は、経直腸エコーシステムを用いて撮影した超音波写真およびマウスの腹腔内の写真を示し、図6は経時的な腫瘍容積の変化を示す。図5および図6に示すように、REIC/Dkk−3群ではLacZ群に比べて腫瘍の抑制効果が見られた。
これらの腫瘍を10日後、16日後(アデノベクター注入3日後、9日後)に前立腺癌を摘出切除し、TUNEL法にて染色しアポトーシス細胞を検出したところ、REIC/Dkk−3群ではバッファー群とLacZ群に比べ、多くの細胞がTUNEL反応陽性であった(図7Aおよび図7B)。
続いてREIC遺伝子の転移抑制作用を解析するため、各群の前立腺癌容積が750mm3に達した時点で開腹し骨盤内リンパ節を確認した。腫瘍原発巣が同じ容積の時点での転移率を確認するため、経直腸エコーを用いて前立腺癌容積を確認し、それぞれの群で腫瘍径が750mm3に達した時点で開腹して骨盤内リンパ節を回収した。コントロール群およびlacZ群では80〜85%のマウスでリンパ節転移が認められたのに対し、REIC/Dkk−3群で転移が認められたマウスは約40%であった(PBS:n=10、Lacz:n=12、REIC/Dkk−3:n=12)(図8)。さらに、リンパ節転移の個数を測定した。リンパ節転移の個数はコントロール群およびlacZ群では0〜5個(中央値4個)であったが、REIC/Dkk−3群では0〜2個(中央値1個)であった(PBS:n=10、Lacz:n=12、REIC/Dkk−3:n=12)(図9)。
続いてREIC/Dkk−3遺伝子による転移抑制作用のメカニズムを探るため、in vitroにてRM−9にアデノベクターを用いてREIC/Dkk−3またはlacZを導入し、培養液中のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性をザイモグラフィーにて測定した。ここで、ザイモグラフィーとは、癌細胞の浸潤・転移能の指標として、基底膜に存在するコラーゲンを融解する酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の活性を検出する代表的な手法をいう。MMPの基質となる変性コラーゲン(ゼラチン)を含んだゲルに培養上清等を添加し泳動させた後、MMPを活性化する反応液を添加しゲルの染色を行う。酵素活性のある部分にバンドが現れる。基底膜浸潤と密接な関連を持つのがMMP2(72kDa)MMP9(92kDa)である。RM−9にアデノベクターを用いてLacZもしくはヒトREICもしくはマウスREIC遺伝子を10MOI導入した。6時間作用させた後に培養液を換えて42時間後に培養液を回収し、ザイモグラフィーを行った。図10に示すように、lacZ群に比べてREIC/Dkk−3群ではシグナルの著明な低下を認めた。このことは、マトリックスプロテアーゼの活性が低下していることを示し、REIC/Dkk−3遺伝子の転移抑制効果はMMP活性の低下が関与していることが示唆された)。
前立腺癌同所移植モデルの生存曲線では、コントロール群、LacZ群と比べてREIC/Dkk−3群では優位に生存が延長しており、REIC/Dkk−3遺伝子の単回投与により局所の腫瘍抑制効果、転移抑制効果に加えて、生存率の向上が認められた(図11)。
この生存期間延長効果は同じシステムを用いた他の遺伝子を用いた遺伝子治療実験(HSV−tk,IL−12)と比較しても最も長い延長効果が得られている(Median survivalコントロール群:22〜25日、REIC/Dkk−3治療群:42〜50日、HSV−tk治療群:26日(Prostate Cancer and Prostatic Diseases,4:44−55,2001)、IL−12治療群:28日(Gene Therapy 6:338−349,1999))。
[実施例3] REIC/Dkk−3の強制発現によるアポトーシスの誘導とHSP70との関係
Ad−REICによるアポトーシス発現の主要選択性が、正常細胞と癌細胞でのHSP70の発現状況と関連するかを検討した。
正常細胞OUMS 24(human immortalized fibroblast)、前立腺癌細胞PC3を使用して比較した。Ad−REICは20 MOIで感染させ、24時間後にHSP70のインヒビター(heat shock protein inhibitor I,CALBIOCHEM,BIOCHEMICALS)とインデューサー(Geranyl−Geranyl Acetone)それぞれ250mMを培養液に添加して、48時間後のTUNEL染色によるアポトーシスへの影響を判定した。図12にOUMS24の染色像、図13にPC3の染色像を示す。図12および13中、左がTUNEL染色の結果を示し、右がDAPI染色の結果を示す。図12に示すように、正常細胞OUMS24ではAd−REICとHSP70インヒビターを併用した場合のTUNEL反応陽性細胞が多く、Ad−REICとHSPインデューサーを併用した場合のTUNEL反応陽性細胞が少なかった。また、図13に示すように、前立腺癌細胞PC3では、Ad−REIC単独の場合に比べ、Ad−REICとHSP70インヒビターを併用した場合のTUNEL反応陽性細胞が多く、Ad−REICとHSPインデューサーを併用した場合のTUNEL反応陽性細胞が少なかった。すなわち、正常細胞では、HSP70インヒビターを併用することで、アポトーシスが誘導された。逆に、癌細胞では、HSP70インデューサーを併用することで、アポトーシスの発現が抑制された。また、HSP70インヒビターの併用でアポトーシスの誘導が増強された。
この結果より、Ad−REICによるアポトーシスの発現は、細胞のストレス応答性に大きく左右されることが明らかである。
[実施例4]
PC3細胞およびOUMS−24細胞にウイルス(Ad−LacZ/Ad−REIC)をそれぞれ20MOIで36時間感染させ、その後45℃のメディウムに置き換え、45℃のインキュベータに6時間置き、CBB染色を施行した。この45℃熱処理したものをHeat(+)グループ(温熱併用群)とした。また、熱処理を行わないHeat(−)のグループではウイルスを42時間感染して染色した。
PC3細胞は、温熱併用群ではほぼ完全に死滅した(図14)。一般的に癌細胞は温熱療法に感受性を示すことから、広く臨床的にも検討されている癌の温熱療法と当該アポトーシス誘発剤の併用療法による相乗効果が認められる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
[配列表]
Claims (8)
- 以下のREIC/Dkk−3タンパク質を有効成分として含む前立腺癌のアポトーシス誘発剤。
(a) 配列番号2に表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸を置換、欠失、または付加してなるアミノ酸配列からなり、かつアポトーシス活性を有するタンパク質 - 請求項1に記載のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌治療薬。
- 以下のREIC/Dkk−3のDNAを有効成分として含む前立腺癌のアポトーシス誘発剤。
(c) 配列番号1に表される塩基配列からなるDNA
(d) 配列番号1に表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、アポトーシス活性を有するタンパク質をコードするDNA - 請求項3に記載のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌治療薬。
- 請求項1に記載のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌転移抑制剤。
- 請求項3に記載のアポトーシス誘発剤を含む前立腺癌転移抑制剤。
- 温熱療法と併用するための請求項2または4に記載の前立腺癌治療薬。
- 温熱療法と併用するための請求項5または6に記載の前立腺癌転移抑制剤。
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