JP4837508B2 - 建設機械の動力伝達装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、下部側の距離L2を短くするためには、下側の軸受53としてその軸方向の寸法が短いものを使用する必要があるが、このようにすれば、コロ53cの長さも短くなり、軸受53の容量が小さくなって荷重の担持が困難になる。従って、距離L2の短縮化は実現困難である。
F+R1=R2・・・・・(1)
F×L2=R1×L1・・(2)
前記の(1)式と(2)から、中心点P3における1次荷重R2を求めると、次式のようになる。
R2=F+(F×L2/L1)・・・(3)
R2=F×(1+L2/L1)・・・(4)
この(4)式によれば、中心点P1における負荷荷重Fを一定とした場合、中心点P1,P3間の距離L2が短いほど、中心点P3の1次荷重R2を小さくすることができて、下側軸受53の軸受容量の低減または中心点P2,P3間の距離L1の短縮が可能になることが示されている。
R1=F×(L2/L1)・・・(5)
前記の(4)式及び(5)式によれば、中心点P2,P3間の距離L1が短縮すると、上部側の中心点P2の2次荷重R1及び下部側の中心点P3の1次荷重R2が増加することになる。2次荷重R1及び1次荷重R2の増加は、軸受52,53の容量増大に直結する。言い換えれば、軸受52,53の容量を大きく設定すれば、中心点P2,P3間の距離L1の短縮が可能となる。
この構成によれば、駆動ギヤ側の円錐コロ軸受のインナレースを駆動軸と一体に形成したことで、別体の厚いインナレースが不要になり、軸受の内外径を変更することなく、コロの外径寸法を大きく設定することができて、軸受容量を増大させることができる。また、駆動ギヤ側の軸受を円錐コロ軸受で構成したことにより、その軸受と対応する駆動軸の中心点を駆動ギヤと対応する駆動ギヤ側に移動させることができ、結果として駆動軸の長さを短縮できる。しかも、この駆動ギヤ側の軸受における軸受容量の増大により、前記両中心点間の距離も短縮でき、その結果、装置全体の高さを低くしてコンパクト化することができる。
以下、この発明を建設機械としての油圧ショベルの旋回装置における動力伝達装置に具体化した第1実施形態を、図1〜図3に基づいて説明する。
(1) 下側軸受24が円錐コロ軸受で構成されるとともに、そのインナレース24aが駆動軸22の外周に一体に形成されているため、円錐状のコロ24cの外径寸法を大きく設定することができて、中心点P2,P3間の距離L2の短かくできて、駆動軸22を短縮でき、動力伝達装置18の高さHを低くすることができて、装置全体をコンパクトに構成することができる。
(5) 動力伝達装置全体をコンパクトにできるため、油圧ショベル等の建設機械において動力伝達装置のレイアウト上の制約を低減でき、新規な機構やデザインの具体化が可能になる。
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態においては、図4に示すように、下側軸受24に加えて上側軸受23も円錐コロ軸受で構成されている。そして、この上側軸受23は、外周面を上端側ほど大径となるテーパ状に形成したインナレース23dと、内周面を下端側ほど小径となるテーパ状に形成したアウタレース23eと、両レース23d,23e間に介在されるとともに、リテーナ23gによって保持された複数の円錐状のコロ23fとを備えている。
(6) この第2実施形態では、下側軸受24と同様に上側軸受23においても、その内外径を変更することなく、コロ23fの外径寸法を大きく設定することができて、軸受容量を増加させることができる。よって、上側軸受23において、すなわち中心点P2の位置において2次荷重R1に対して高い抗堪性を付与することができ、このため駆動軸22をさらに短くできて、動力伝達装置18をさらにコンパクト化できる。
(8) 駆動軸22とキャリア33との間にインナレース23dの軸線方向における位置を調整して同インナレース23dとコロ23fとの接触圧を調整するようし構成されているため、インナレース23dとコロ23fとの接触圧だけではなく、同時にアウタレース23eとコロ23fとの接触圧も調整されるため、駆動軸22を軸受23によってガタなく円滑に支持することができる。
次に、この発明の第3実施形態を、前記第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第3実施形態においては、図5に示すように、駆動軸22を支持する上側軸受23及び下側軸受24が前記第2実施形態の場合と同様にそれぞれ円錐コロ軸受で構成され、それらの軸受23,24のインナレース23d,24aが第2キャリア33の連結筒34または駆動軸22に一体に形成されている。この場合、第2キャリア33が第2実施形態の平板状構造に代えて、第1実施形態の場合と同様に上下一対の支持板部33a,33bと、両支持板部33a,33b間に形成された支柱部33cとから構成され、両支持板部33a,33b間において第2遊星ギヤ32を両持ち式で回転可能に支持するようになっている。そして、この第2キャリア33の製造に際しても、全体を鋼材により一体に成形した後に焼き入れ等の熱処理を施すことにより、連結筒34上のインナレース23dの部分の硬度が高められている。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態において、駆動源として、油圧モータ20に代えて電気モータを用いること。
Claims (4)
- ケースと、
そのケース内に軸受を介して回転可能に支持され、端部に駆動ギヤを有する駆動軸とを備え、
前記駆動軸がモータにて回転されることにより、前記駆動ギヤと噛合する被動ギヤが回転されて、建設機械の構造体が旋回されるようにした建設機械の動力伝達装置において、
前記軸受を円錐コロ軸受で構成し、その円錐コロ軸受におけるテーパ状のインナレースを前記モータの回転中心線上に位置する前記駆動軸に一体に形成したことを特徴とする建設機械の動力伝達装置。 - 前記軸受を駆動軸の軸線方向に離隔した2箇所に設け、前記駆動ギヤ側に位置する一方の軸受を前記円錐コロ軸受で構成したことを特徴とする請求項1に記載の建設機械の動力伝達装置。
- 前記駆動ギヤと反対側に位置する他方の軸受を円錐コロ軸受で構成し、その円錐コロ軸受におけるテーパ状のインナレースを前記駆動軸とモータとの間に介在された遊星ギヤ減速機構のキャリアに一体に形成したことを特徴とする請求項2に記載の建設機械の動力伝達装置。
- 前記駆動軸とキャリアとの間にインナレースの軸線方向における位置を調整して同インナレースとコロとの接触圧を調整するための調整手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の建設機械の動力伝達装置。
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