JP4831894B2 - タウリンを含有する納豆及びその製造方法 - Google Patents

タウリンを含有する納豆及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は納豆に関する。より詳細には、本発明は保存による食感の低下が抑制されてなる保存性に優れた納豆、ならびに納豆特有の風味が向上してなる納豆に関する。また本発明は、かかる納豆の製造方法、並びに発酵が促進された納豆の製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、納豆の風味を向上する方法、納豆の製造において発酵を促進する方法、および保存による納豆の食感低下を抑制する方法など、納豆の商品価値を向上させる各種の方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
納豆は、蒸煮した大豆を納豆菌で発酵させた発酵食品で、納豆菌により分泌される各種のプロテアーゼや生成された各種ビタミン類が消化管内で有効に作用することによって高い栄養価を有する食品である。近年、消費者の健康に対する関心の高まりから、かかる納豆の栄養価の高さが見直されてきており、さらに納豆の商品価値を高めるために、風味、保存性または製造効率などの各面のおいてさらなる改善が求められている。
【0004】
一方、タウリンは、牛の胆汁、動物の臓器、あるいは牡蠣やイカ等の水産物から抽出されたり、有機合成により製造される化合物であり、細胞の活性化作用や各種臓器、例えば肝臓、胆嚢または心筋などに対して強壮作用を有し、疲労回復や二日酔い防止等の効用を有することが知られている。
【0005】
これまでに、タウリンと納豆とを関連性づけた発明として、牡蠣の乾燥粉末と大豆の混合物に納豆菌を植菌してこれを培養した混合物を乾燥粉末化して栄養食品を製造する方法が知られている(特開昭56−11769号公報)。当該公報には、かかる方法で得られた栄養食品は、肝臓に効くと思われる牡蠣と納豆との相乗効果(栄養価、医療的効能)を備えること、納豆菌が他の雑菌の繁殖を防ぐことによって保存性が向上することが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記発明はタウリンそのものが大豆の発酵と直接的に結びついて、納豆の風味や保存安定性等を改善するという技術ではなく、これまでに、タウリンと大豆の発酵を直接的に関連づける発明については報告されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
納豆は、保存している間に納豆菌のプロテアーゼによって大豆蛋白質の過分解が進行してチロシンが生成されるため、保存が長期になると納豆表面に析出したチロシンによってシャリシャリした口残り感(シャリ感)が生じて食感が著しく損なわれるという問題がある。また、納豆の製造では発酵工程が律速となっていることから、発酵時間の短縮化ができれば、製造コストの低減を図ることが可能になると期待される。さらに、納豆は特有の匂いや風味を有しており、それを敬遠する人がいる一方で、その納豆特有の匂いや風味を好む人がいるのも事実である。
【0008】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、また消費者並びに生産者のニーズに則して、より商品価値の高い納豆を提供することである。
【0009】
具体的には、本発明は第一に、短時間で発酵させることのできる納豆、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
第二に本発明は、食感を損なわないで保存することのできる、保存安定性に優れた納豆、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
第三に本発明は、納豆特有の風味をより引きたって有する納豆、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、納豆の製造において大豆に納豆菌を植えて培養する発酵工程をタウリン共存下で行うことにより、得られた納豆が、保存によってもチロシンの析出が少なく保存安定性に優れていることを見出した。また、本発明者らは納豆の製造に際して上記発酵工程をタウリンの存在下で行うことによって、大豆の発酵が促進されて発酵時間、ひいては納豆の製造時間を大幅に短縮することができることを見出した。さらに、本発明者らは納豆の発酵工程をタウリンの存在下で行うことによって、納豆特有の匂いや風味をより引き立たせることができることを見出した。本発明は、かかる種々の知見に基づいて完成したものである。
【0013】
すなわち、本発明は下記に掲げる納豆である:
項1.タウリンを含有することを特徴とする納豆。
項2.タウリン存在下で発酵させることによって調製される項1記載の納豆。
【0014】
また本発明は、下記に掲げる納豆の製造方法である:
項3.タウリン存在下で発酵を行うことを特徴とする納豆の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳述する。
【0016】
本発明が対象とする納豆は、大豆に納豆菌(Bacillus natto)を作用させて調製される糸引納豆である。なお、糸引納豆には粒納豆、挽き割り納豆およびその二次加工品(五斗納豆、雪割納豆等)が含まれる。また保存安定性(チロシンの析出抑制)、納豆風味向上性、または発酵促進といった本発明の効果のいずれかを有する限り、納豆の更なる加工品も本発明の範囲に含まれる。
【0017】
本発明に用いられるタウリン(2−アミノエチルスルホン酸)としては、天然由来のものを単離もしくはさらに精製したもの、あるいは合成したものが挙げられる。
【0018】
天然由来のタウリンは、種々の動物あるいは植物組織中に見出され、牡蠣、イカ、タコ、ウナギ、鰹、アサリ、等の海産物に主として存在していることが知られている。本発明においては、天然由来のタウリンとして、これらのタウリン含有天然物から単離もしくはさらに精製したものを使用することができる。単離もしくは精製の程度は特に制限されるものではないが、天然物に起因する臭いや味が、最終的に調製される納豆の風味や味に影響しない程度に消失若しくは低減されているものが好ましい。
【0019】
また、タウリンを合成により製造する方法としては、例えば2−クロルエチルアミン塩酸塩と亜硫酸ナトリウムを反応させる方法(特開昭63−48259号公報など)、2−アミノエチル酸性硫酸エステルと亜硫酸ナトリウムを反応させる方法等が知られている。本発明には、任意の方法で製造されたタウリンを用いることができる。なお、合成されたタウリンは、食品として認容できる程度に精製されていることが好ましく、さらには原料や合成に使用する溶媒などに由来する臭いや味が、最終的に調製される納豆の風味や味に影響しない程度に精製されることにより、消失もしくは低減されたものが好ましい。
【0020】
納豆は、通常、原料として用いる大豆を水に浸漬して膨潤させる工程(浸漬工程)、次いでこれを水切りした後、蒸煮(蒸熟)する工程(蒸煮工程)、得られた蒸煮大豆に対して納豆菌を接種する工程(菌接種工程)、大豆と納豆菌を混合して培養し、発酵させる工程(発酵工程)を経て調製される。
【0021】
本発明の納豆は、上記納豆の慣用の製造方法において、発酵工程をタウリンの存在下で行うことによって得ることができる。
【0022】
この場合、大豆と納豆菌との培養系(発酵系)にタウリンが共存していればよく、その限りにおいてタウリンの添加時期あるいは添加方法について特に制限されるものではない。例えば、上記「浸漬工程」において原料大豆の浸漬用水にタウリンを添加溶解することによって、発酵に先立って予め大豆にタウリンを吸い込ませ含有させておく方法、上記「蒸煮工程」に使用する蒸煮用水にタウリンを添加溶解することによって、発酵に先立って予め大豆にタウリンを蒸煮しながら含ませておく方法、上記「菌接種工程」で種菌(納豆菌の胞子懸濁液またはその乾燥粉末)の希釈液にタウリンを添加溶解することによって、菌の接種と同時にタウリンを培養系に配合する方法、または「菌接種工程」において納豆菌の植菌と並行して別途タウリンを培養系に添加溶解する方法、などを挙げることができる。好ましくは、大豆内部への浸透性及び作業性の面から、上記「浸漬工程」において原料大豆の浸漬用水にタウリンを添加配合することによって、発酵に先立って予め大豆にタウリンを吸い込ませ含有させておく方法である。
【0023】
ここでタウリンの添加量は、特に制限されず、また添加対象物によって異なり一概に規定できるものではないが、培養系(発酵系)において、タウリンが大豆(乾燥重量)100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.4〜5重量部の割合で存在するように、適宜調整することができる。
【0024】
発酵工程は、タウリンの存在下で、好ましくは上記量のタウリン存在下で行うこと以外は、納豆製造における通常の発酵方法及び条件を利用して行うことができる。制限はされないが、一例としては、蒸煮した大豆に、好ましくは60℃以上、より好ましくは80〜90℃の温度の状態で、納豆菌を大豆1粒あたり1万個の胞子が付くような目安で植菌して、混合した後、40〜50℃のもと、好気条件下で静置培養する方法を挙げることができる。
【0025】
かかるタウリン存在下での発酵方法によれば、タウリンを共存させない従来の発酵方法に比べて、発酵が促進される結果、短時間に納豆を発酵・熟成させることができる。前述するように、納豆の製造において律速となる工程は発酵工程である。よって、当該発酵工程の短時間化は、直ちに納豆の製造の効率化及び短時間化に結びつき、製造コストの低減化に寄与することができる。
【0026】
また、斯くして得られる納豆は、タウリンを共存させない従来の発酵方法で調製された納豆と比べて、保存によってもチロシンの析出による食感の低下が少なく保存安定性に優れている。
【0027】
さらに、上記方法で得られる納豆は、タウリンを共存させない従来の発酵方法で調製された納豆と比べて、納豆特有の匂いや風味をより引き立って有している。なお、かかる納豆特有の風味が向上した納豆を製造する場合には、タウリンの製造に用いた原料(合成、天然物)に由来する匂いや味が、納豆の風味に影響しないように、該匂いや味を有する夾雑物をできるだけ含まないタウリンを使用することが好ましい。具体的には、合成タウリン、または牡蠣、イカ、タコ等の天然物から単離または必要に応じてさらに精製されてなるタウリンを用いることができる。
【0028】
このように本発明によれば、納豆の製造工程において発酵をタウリン存在下で行うことによって、より商品価値の高い納豆を製造し、提供することができる。すなわち本発明によれば、納豆の製造工程において発酵をタウリン存在下で行うことによって、納豆に商品価値として有用な性質を与えることができる。
【0029】
かかる有用な性質としては、まず、納豆の発酵促進という性質を挙げることができる。よって、本発明は、納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことによる、納豆の発酵促進方法として規定することができる。
【0030】
また、有用な性質として、第二に、保存におけるチロシンの析出を抑制し、シャリ感の発生による納豆の食感低下を抑制するという性質を挙げることができる。よって、本発明は、納豆の製造において発酵工程をタウリン存在下で行うことによる、保存における納豆の食感低下を抑制する方法として規定することができる。
【0031】
さらに、有用な性質として、第三に、納豆特有の風味が向上するという性質を挙げることができる。よって、本発明は、納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことを特徴とする、納豆の風味向上方法として規定することができる。
【0032】
なお、本発明には下記の態様が含まれる:
(1)タウリンを含有することを特徴とする納豆。
(2)タウリン存在下で発酵させることによって調製される請求項1記載の納豆。
(3)タウリンが、合成に由来するか、または天然物から単離されたものである請求項1または2に記載の納豆。
(4)タウリン存在下で発酵を行うことを特徴とする納豆の製造方法。
(5)タウリンが、合成に由来するか、または天然物から単離されたものである請求項3に記載の納豆の製造方法。
(6)納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことを特徴とする、大豆の発酵促進方法。
(7)納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことを特徴とする、納豆の風味向上方法。
(8)納豆の製造において発酵工程をタウリン存在下で行うことを特徴とする、納豆の保存安定化方法
さらに本発明は、下記に掲げるように、納豆の商品価値を高める種々の方法である:
納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことによる、大豆の発酵促進方法。なお、当該方法は、納豆の発酵時間短縮化方法、大豆の発酵を促進する納豆の製造方法、または大豆の発酵時間が短縮化されてなる納豆の製造方法、と言い換えることもできる。
【0033】
納豆の製造において発酵をタウリン存在下で行うことを特徴とする、納豆の風味向上方法。なお、当該方法は、風味が向上された納豆の製造方法、または納豆風味を引き立たせる納豆の製造方法、と言い換えることもできる。
【0034】
納豆の製造において発酵工程をタウリン存在下で行うことによる、納豆の保存安定化方法。なお、当該方法は、保存における納豆の食感低下を抑制する方法、保存におけるチロシンの析出を抑制する方法、または保存における食感低下が抑制された納豆の製造方法、と言い換えることもできる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例等により何ら限定されるものではない。
実施例1、比較例1
大豆60Kgを水に浸漬して十分吸水させ、次いで水を切って110℃で90分間蒸煮した。蒸煮終了後、得られた膨潤大豆のうち40gをトレイに盛り、これにタウリン(笠野興産社製)1重量%を含む納豆菌希釈液(4×107個/L)1gを散布し、混合した後40℃で培養・発酵させて納豆を製造した(実施例1)。培養の間、大豆の発酵状態を経時的に観察し、官能試験(臭い、被り、糸引き、食感、味)により標準品と同等になった時点を発酵の終点とした。
【0036】
また、比較のため、納豆菌希釈液としてタウリンを含有しない納豆菌希釈液を用いる以外は上記の実施例1と全く同様にして、納豆を製造した(比較例1)。
【0037】
(1)発酵(培養)時間
タウリンの存在下で発酵させて調製した実施例1の納豆は、発酵8時間後で既に比較例1の納豆に比べて納豆表面が白っぽく、納豆間の糸引きも強かった。また、比較例1の従来の方法では発酵終了までに16時間要したが、タウリン存在下で発酵させた実施例1の方法では12時間で発酵が終了した。
【0038】
この結果から、発酵工程をタウリン存在下で行うことにより、納豆の発酵が促進され、短時間で培養が終了することが確認できた。
【0039】
(2)タウリン含有量
実施例1および比較例1で得られた発酵終了直後の納豆40gの表面を、それぞれ蒸留水(20℃)200mLで十分洗浄し、その洗浄溶液中に含まれるタウリン量(納豆表面のタウリン量)を液体クロマトグラフィ分析装置(島津製作所社製)により測定し、納豆表面から回収されたタウリン量を算出した。
【0040】
また、前記の表面を蒸留水で洗浄した後、納豆をすりつぶし、再度同様に蒸留水で抽出して得られた水溶液中のタウリン量を上記と同様にして測定し、納豆内部から回収されたタウリン量を算出した。
【0041】
得られた結果を表1に示す。なお、結果は、納豆の表面から回収されたタウリン量(納豆表面)及び納豆の内部から回収されたタウリン量(納豆内部)を、納豆に対する割合(重量%)として、それぞれ示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004831894
【0043】
この結果からわかるように、タウリン存在下で発酵させた納豆(実施例1)には、表面及び内部のいずれにもタウリンが存在していることが確認されたが、タウリン非存在下で発酵させた納豆(比較例1)には、タウリンは全く検出されず、大豆や納豆そのものにはタウリンが含まれていないことが確認された。
【0044】
(3)納豆の風味
実施例1及び比較例1の方法で調製した発酵終了直後の納豆についての呈味を検討するため、5人(A,B,C,D,及びE)のパネリストによる官能試験を行った。具体的には、各パネリストに比較例1の納豆と実施例1の納豆とを食べ比べてもらい、比較例1の納豆と比べた場合の実施例1の納豆の風味について回答してもらった。回答結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0004831894
【0046】
その結果、実施例1のタウリンを含有する納豆のほうが、タウリンを含有しない比較例1の納豆と比べて、納豆特有の風味が引き出されており、良好な納豆風味を呈していることが確認された。
【0047】
(4)保存安定性(チロシン析出抑制)
実施例1及び比較例1でそれぞれ調製した納豆の保存安定性を検討するため、上記(3)と同じ5人(A,B,C,D,及びE)のパネリストにより、25℃の条件下で保存した際に、チロシンの析出によるシャリ感が感じられるまでの期間を調べた。試験結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
(チロシンによるシャリ感が感じられるまでの日数)
Figure 0004831894
【0049】
この結果からわかるように、タウリン存在下で発酵調製した実施例1の納豆はタウリン非存在下で発酵調製した比較例1の納豆に比べて、シャリ感による食感の低下が感じられるまでの期間が長く、長期間チロシンの析出を生じることなく安定に保たれていることが確認できた。
【0050】
実施例2、比較例2
大豆1俵(60kg)を、タウリン(笠野興産社製)1重量%を含む水道水100L中に16時間浸漬して膨潤させ、水切り後、110℃で90分間蒸煮して膨潤大豆132kgを得た。これをトレイに盛り込んだ後、納豆菌希釈液(4×107個/L)1gを散布し、混合した後40℃で発酵させて納豆を製造した(実施例2)。なお、この間、発酵の状態を経時的に観察し、官能試験(臭い、被り、糸引き、食感、味)により標準品と同等になった時点を発酵の終点とした。
【0051】
また、比較のため、浸漬用水としてタウリンを含まない水道水を用いる以外は実施例2と全く同様にして、処理発酵させて納豆を製造した(比較例2)。
【0052】
(1)培養(発酵)時間
タウリンの存在下で発酵させて調製した実施例2の納豆は、発酵8時間後で既に比較例2の納豆に比べて納豆表面が白っぽく、納豆間の糸引きも強く滑らかであった。また、比較例2の方法では発酵終了までに18時間要したが、タウリン存在下で発酵させた実施例2の方法では12時間で発酵が終了した。この結果、発酵工程をタウリン存在下で行うことにより、納豆の発酵が促進され、短時間で培養が終了することが確認できた。
【0053】
(2)タウリン含有量
実施例1の(2)と同様の方法により、発酵終了直後の実施例2及び比較例2の納豆(表面、内部)に含まれるタウリンの量を測定した。結果を表4に示す。なお、結果は、納豆の表面から回収されたタウリン量(納豆表面)及び納豆の内部から回収されたタウリン量(納豆内部)を、納豆に対する割合(重量%)として、それぞれ示す。
【0054】
【表4】
Figure 0004831894
【0055】
この結果からわかるように、タウリン存在下で発酵させた納豆(実施例2)には、表面及び内部のいずれにもタウリンが存在していることが確認されたが、タウリン非存在下で発酵させた納豆(比較例2)には、タウリンは全く検出されず、大豆や納豆そのものにはタウリンが含まれていないことが確認された。
【0056】
(3)納豆の風味
実施例1の(3)と同様の方法により、発酵終了直後の実施例2及び比較例2の納豆の呈味について、5人のパネリストによって官能試験を行った。具体的には、各パネリストに比較例2の納豆と実施例2の納豆とを食べ比べてもらい、比較例2の納豆と比べた場合の実施例2の納豆の風味について回答してもらった。回答結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
Figure 0004831894
【0058】
この結果からわかるように、本発明の実施例2の納豆は比較例2の納豆に比べて、納豆特有の風味が引き出されており、良好な風味を呈していることが確認された。
【0059】
(4)保存安定性(チロシン析出抑制)
実施例1(4)と同様の方法により、25℃の条件下で実施例2及び比較例2の納豆を保存して、シャリ感がでるまでの日数を5名のパネリスト(A,B,C,D,E)に評価して貰い、その日数から納豆の保存安定性を評価した。試験結果を表6に示す。
【0060】
【表6】
(チロシンによるシャリ感が感じられるまでの日数)
Figure 0004831894
【0061】
この結果からわかるように、タウリン存在下で発酵調製した実施例2の納豆はタウリン非存在下で発酵調製した比較例2の納豆に比べて、シャリ感による食感の低下が感じられるまでの期間が長く、長期間チロシンの析出を生じることなく安定に保たれていることが確認できた。

Claims (3)

  1. 合成に由来するか、または天然物から単離されたタウリンを含有することを特徴とする納豆。
  2. 合成に由来するか、または天然物から単離されたタウリン存在下で発酵を行うことを特徴とする納豆の製造方法。
  3. タウリンを大豆(乾燥重量)100重量部に対して、0.01〜50重量部の割合で存在させることを特徴とする、請求項2に記載の納豆の製造方法。
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