JP4830921B2 - 熱延鋼板の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板を製造するための圧延機を具備する熱延鋼板の製造装置、及び熱延鋼板の製造方法に関する。
熱延鋼板は、鋳造により製造されたスラブを鋳造直後、又は加熱炉で再加熱した後、粗圧延機による粗圧延、及び仕上げ圧延機による仕上げ圧延を経て得られる。そして得られた熱延鋼板は巻き取られてコイル状とされる。
熱延鋼板は要求される特性を得るために、各工程において様々な条件のもとで製造される。当該条件の重要なものの1つに仕上げ圧延機の出口における鋼板温度を目標値に制御することを挙げることができる。これにより熱延鋼板を所定の寸法や機械的特性を有するものとすることが可能となる。そのため複数のスタンドを有する仕上げ圧延機のいずれかのスタンド間で水により鋼板を冷却することが有効であり、特許文献1にもその旨記載されている。当該水による冷却における冷却水の条件は、圧延中に行われる鋼板の温度測定結果に基づいて冷却条件が算出され、必要なときに必要な条件の冷却水を供給し、不要なときには冷却水を停止するという方法により行われる。
また、冷却水は吐出ポンプ等で加圧され、水源から配管により所定の場所に導かれ、さらにここから分岐される。そして一方をパスラインの上方へ、他方をパスラインの下方まで延在させてここを通される鋼板の表裏を同時に冷却するのが通常である。これにより鋼板の冷却が均一に行われるので品質も均一とすることが可能となる。
特開2002‐11502号公報
近年、鋼板に関してもさらなる高性能、高機能化が求められ、鋼板の製造条件をこれまで以上に厳しく管理する必要が高まってきた。このため冷却に関してもその管理を厳しくし、鋼板の温度制御をさらに高精度にすることが求められている。
しかし、従来の冷却設備では冷却水の供給を停止してもその直後から一定の時間、射出口から冷却水が射出する場合があった。さらにはその後に冷却水の供給を再開してもすぐには冷却水が出射せず一定の時間を経た後でないと冷却水が出射しないことがあった。
このような現象が生じると冷却水供給の開始、停止のタイミングが必ずしも意図したものとならず、冷却精度が低下する虞があった。また、従来は当該現象が特に問題とならなかった場合であっても、近年において鋼板に求められる高性能化の観点から冷却精度の改善が必要となる場合もあった。
そこで本発明は、熱延鋼板の製造における鋼板の冷却に関し、冷却水の供給開始、及び停止の応答性に優れる熱延鋼板の製造装置、及び製造方法を提供することを課題とする。加えて、設備保護の観点からウォーターハンマ現象を抑制することのできる熱延鋼板の製造装置、及び製造方法を提供する。
以下、本発明の熱延鋼板の製造装置、及び製造方法について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
発明者らは鋭意検討の結果、冷却水を停止したときにおける分岐配管内の冷却水の移動が関係していることを明らかにした。すなわち冷却水の射出口は鋼板の表裏面を均一に冷却するためパスラインの上下に設けられており、これらの上下の射出口に導通する配管の間には高低差が生じている。そして一旦冷却水の供給が停止されると、この高低差のためにパスライン下方の射出口には冷却水の正圧が、パスライン上方の射出口には冷却水の負圧が発生する。この結果、パスライン下方の射出口からは冷却水の供給を停止したにも関わらず、さらに少量の冷却水が出射する。一方、パスライン上方の射出口には負圧により外気から配管内に空気が吸い込まれる。これにより再び冷却水を供給し始めたときに実際に冷却水が出射されるまでの時間が遅れたり、ウォーターハンマ現象が生じたりする。これらの知見を得て発明者らは以下の発明を完成させた。
請求項1に記載の発明は、複数のスタンド(12a、12b、…、12n)を具備する仕上げ圧延機(12)とスタンド間で鋼板(1)を冷却する手段とを備える熱延鋼板の製造装置(10)であって、冷却する手段が、仕上げ圧延機の入側及び/又は出側の鋼板の温度を測定する測温手段(17)と、分岐部から一方がパスラインの上方へ、他方がパスラインの下方へ冷却水を導く配管(13)と、パスラインに面するように配管に設けられた冷却水を出射する射出口(16)と、配管の分岐部より下流側のいずれかに配置される冷却水の逆流を防ぐ逆流防止手段(15)と、測温手段で得られた温度から出射する冷却水の条件を決定する制御手段(18)と、配管の分岐部より水源側に配置され、制御手段からの指令に基づいて冷却水の出射、停止をする冷却水制御手段(14)とを備える熱延鋼板の製造装置を提供することにより前記課題を解決する。
ここで、「冷却水の条件」とは、鋼板を冷却するための条件であり、例えば冷却水量、冷却水供給時間、冷却水温度、冷却時期等を挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱延鋼板の製造装置(10)における逆流防止手段が、一方向にのみ冷却水を流すことを許容する逆止弁(15)により構成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の熱延鋼板の製造装置(10)における逆流防止手段が少なくともパスラインの上方の射出口(16)に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置(10)における冷却水制御手段が制御手段からの指令により開閉する電磁弁(14)により構成させていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造装置(10)により熱延鋼板を製造する方法(S1)であって、鋼板(1)を圧延して成形する工程(S10)と、スタンド(12a、12b、…)間で鋼板を冷却する工程(S20)とを備え、鋼板を冷却する工程が、測温手段(17)により仕上げ圧延機(12)に入る前及び/又は出た後の鋼板の温度を測定する工程(S21)と、温度を測定する工程で得られた温度情報を取得し、冷却水の条件を決定する工程(S22)と、決定する工程からの指令に基づき冷却水制御手段(14)及び逆流防止手段(15)により冷却水の供給、停止をする工程(S23、S24)とを含む熱延鋼板の製造方法を提供することにより前記課題を解決する。
本発明の熱延鋼板の製造装置によれば、冷却水の停止後において分岐した配管内の冷却水の移動を抑制することができるので、冷却水の供給停止とほぼ同時に射出口からの冷却水の出射を停止することができる。また、その後冷却水の供給を再開したときには応答よく冷却水が射出口から出射する。これにより時間差のない意図した冷却をすることができ、精度良い鋼板の冷却が可能なので、熱延鋼板の特性制御を精度良く行うことができる。また、冷却水の供給停止後に配管内の冷却水の移動がないことは、配管内への空気(外気)の侵入を防止することにもなり、配管内に空気がある場合に弁の開閉をすると生じるウォーターハンマ現象を解消することができる。これにより設備のダメージを減じることも可能となる。
また、逆流防止手段を逆止弁により構成したときには、通常の逆止弁を用いることもでき、経済的、設備維持の観点からも優れたものとすることができる。
さらに逆流防止手段を射出口に設けたときには、より確実に配管内の冷却水の移動を抑制することができる。
加えて冷却水制御手段として電磁弁を用いたときには、制御手段からの指令を電気信号で受けることが可能となり、応答性、確実性、設備構成の容易の観点からさらに優れた装置とすることができる。
また、本発明の熱延鋼板の製造方法によれば、本発明の製造装置を用いて意図した特性を有する熱延鋼板を精度良く製造することが可能となる。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
図1は本発明の1つの実施形態にかかる熱延鋼板の製造装置10(以下「製造装置10」と記載することがある。)が備える構成及びその配置を説明するための図である。図1にも表れているように、製造装置10は、粗圧延機11、仕上げ圧延機12、配管13、冷却水制御手段としての電磁弁14、逆流防止手段としての逆止弁15、15、射出口であるノズル16、16、測温手段である温度センサ17、及び制御手段18を備えている。かかる製造装置10に鋼板1が通板されることにより高精度な冷却がされて機能が高められた熱延鋼板を得ることが可能となる。以下に詳しく説明する。
粗圧延機11は、鋳造により製造されたスラブを仕上げ圧延機12に提供することができる寸法、及び金属組織となるように圧延を行う設備である。粗圧延機11には、鋳造直後の高温のままのスラブ、又は一度冷えて加熱炉等で再加熱されたスラブが供される。粗圧延機11は、通常の熱延鋼板の圧延に用いられる粗圧延機11を用いることができ、複数のスタンドからなる圧延機群から構成されていてもよい。
仕上げ圧延機12は、粗圧延機11の後工程側に配置されて熱延鋼板が要求される機能、寸法等を備えるように圧延する設備である。従って仕上げ圧延機12には、上記粗圧延機11により形成された鋼板1が供される。仕上げ圧延機12は、通常の熱延鋼板の圧延に用いられる仕上げ圧延機12を用いることができ、複数のスタンドからなる圧延機群から構成されていてもよい。本実施形態で仕上げ圧延機12は、複数のスタンド12a、12b、…12nより構成されおり、第1スタンド12aと第2スタンド12bとの間に後述する逆止弁15及びノズル16が備えられている。
これら粗圧延機11、及び仕上げ圧延機12では要求された性能を有する熱延鋼板を得るために冷却の他にも圧下率や圧延速度、潤滑等の様々な条件が設定されている。これら条件は熱延鋼板に求められる性能、及び生産性等に基づき適宜変更することができる。
配管13は、冷却水が通される配管であり、吐出ポンプ等により所定の水圧とされた冷却水を所定の位置(本実施形態では第1スタンド12aと第2スタンド12bとの間)に導いている。配管13の途中には、必要に応じて冷却水を制御するための各種弁や計器が取り付けられている。さらに詳しくは、配管13は後述する電磁弁14の下流側で2つに分岐し(13a、13b)、一方の配管13aがパスラインの上方に、他方の配管13bがパスラインの下方に配置される。また、図1に表れている配管13においては冷却水が出射する先端部は上下配管13a、13bで1つずつであるが、配管13a、13bの当該先端部は鋼板1の幅方向(紙面奥/手前方向)にさらに分岐して射出口を形成している。これにより板幅方向にムラの少ない冷却をすることができる。なお、後述するように当該分岐した配管先端の各々に逆止弁15及びノズル16が設けられている。
電磁弁14は、冷却水制御手段の1つで配管13のうち配管13aと配管13bとに分岐する位置より水源側に設けられる。電磁弁14は電気信号により開閉が制御される弁で、その開閉によって冷却水の供給、停止を制御する。すなわち、電磁弁14が「開」の信号を受けたときに電磁弁14は開き、電磁弁14より上流側の冷却水は電磁弁14より下流側に流れる。一方、電磁弁14が「閉」の信号を受けたときには電磁弁14より上流側の冷却水は電磁弁14を通過してその下流側へ移動することができなくなる。
電磁弁14が配設される位置は配管13aと配管13bとの分岐点より水源側であれば特に限定されるものではないが、仕上げ圧延機12からの熱の影響が少ない部位であることが好ましい。これは、電磁弁14は電気信号を受けるため構造が他の弁に比べて複雑であり、設置環境が動作性に影響を与える場合があるからである。また、電磁弁14は他の弁に比べて高価であり、分岐した各々の配管部分に電磁弁を備えることは経済的、及び動作の確実の観点から好ましくない。
逆止弁15、15は、配管13a、及び配管13bの冷却水射出口に設けられている弁で、機械的に動作するとともに一方向への流体の移動を許容し、反対方向への流体の移動を禁止する。ここで「機械的に動作する」とは電気的、化学的作用によらずに動作することを意味するものである。そして、逆止弁15、15は、冷却水が所定の圧力以上である場合には「開」状態となり、逆止弁15、15を介して冷却水は上流側から下流側へ流れる。すなわち冷却水は鋼板1に向けて出射される。一方、配管13内の冷却水の圧力が所定の大きさより小さくなったときには逆止弁15、15は「閉」となり、逆止弁15、15を通っての流体の移動が禁止される。ここで「流体」としたのは、逆止弁が「閉」であるときには冷却水だけでなく、下流側に存する空気(すなわちノズル16、16を介して外気から配管13a、13b内へ進入しようとする空気)も上流側へ移動することが禁止されるからである。逆止弁15、15による冷却水の動作への影響及びその効果ついては後で詳しく説明する。
本発明において逆止弁15、15が「閉」となるのは、配管13a、13b内の水圧が吐出ポンプ等により加圧される冷却水の水圧より小さくなった場合であることが好ましい。これにより電磁弁14が閉鎖されるのとほぼ同時に逆止弁15も閉鎖させることが可能となる。従って逆止弁15、15の動作圧力は上記吐出ポンプ等の送水圧力によって適宜調整される。一例としては、0.2MPa程度を挙げることができる。通常の逆止弁は15MPa程度で動作するものが多い。従って、本発明では、従来に比べて低圧であっても動作する逆止弁であることが好ましい。
逆止弁15、15の構造は特に限定されるものではなく、上記目的を達することができれば市販の弁を用いることができる。これには動作圧力、必要水量、耐熱性等の観点から適宜選択することができる。また逆止弁15、15は、機械的に動作する弁なので耐久性に優れ、仕上げ圧延機12からの熱の影響があっても確実に動作できる。また上記電磁弁14に比べて安価でもある。従って、経済性、及び動作の確実性、保守性等の観点から分岐した配管13a、13b先端の各々に用いることができ、その効果を奏する。これには例えばデスケ−リングに用いられる噴射ノズルを挙げることができる。
本実施形態では、逆止弁15、15は冷却水の射出口の各々に設けられているが、逆止弁が配置される位置はこれに限定されるものではない。配管13a、配管13bのうちのいずれかの位置に設けられれば本発明の効果を奏するものとなる。
ノズル16、16は、冷却水の射出口として配管13a、13bの冷却水が出射する部分にパスラインに面するように取り付けられ、出射される冷却水が鋼板1を効率的に冷却できるように出射形態を制御可能とする部材である。どのようなノズルを適用するかについては、噴射可能な水量、冷却される鋼板の種類、形状、必要な鋼板の特性等により適宜選択される。より均一な冷却で効率のよいという観点からスプレーノズルが用いられることが好ましい。
ここで、逆止弁15、15とノズル16、16とは別個に設けられていてもよいし、逆止弁15、15を内蔵するノズル16、16という態様で設けられていてもよい。一度に両方を取り付けられるという観点から逆止弁を内蔵するノズルである態様が好ましい。
温度センサ17は、測温手段として粗圧延機11と仕上げ圧延機12との間に配置される温度測定用のセンサである。ここで温度センサ17は仕上げ圧延機12に入る前の鋼板1の温度を測定する。温度センサ17により得られた温度情報は信号として制御手段18に伝送される。従って、温度センサ17の種類は接触、非接触を問わず利用することができるが、その測定結果を電気信号として伝送することができるように構成されている必要がある。これには例えば放射温度計を挙げることができる。
本実施形態では温度センサ17は上記のように仕上げ圧延機12に入る前の鋼板1の温度を測定するように設置されている。しかし、これが仕上げ圧延機から出た鋼板の温度を測定するように配置されていてもよい。かかる温度測定によっても当該温度測定結果を上流工程側にフィードバックさせることにより冷却条件を決定することが可能である。さらにはより高精度な冷却をするために、仕上げ圧延機の入り側、及び出側のいずれにも温度センサを設けて鋼板の温度測定を行っても良い。
制御手段18は、温度センサ17から温度情報を得て当該温度情報に基づいて予め決めておいた計算式から冷却水の条件を算出するとともに、電磁弁14には開放時間を伝送するものである。これには例えば、情報を入力する入力端子、該情報、及び演算結果を一時的に格納するRAM、所定の演算式が記憶されたROM、取得された情報及び所定の演算式に基づいて演算を行うCPU、及び演算結果を出力する出力端子を備える情報処理ユニットを挙げることができる。
以上により熱延鋼板の製造における冷却水の供給開始、及び停止の応答性に優れる製造装置10を提供することができ、これにより精密な温度制御がされるので高い性能を備えた熱延鋼板を製造することが可能となる。詳しくは次の通りである。
図1及び上記説明からわかるように、冷却水の鋼板1への供給、停止は電磁弁14によって行われている。そして電磁弁14はその性質上、配管13a、13bの分岐部より水源側に配置され、冷却水射出口16、16からは離隔した位置に設けられている。一方で、配管13a、13bの射出口16、16は大気中へ開放されているので、電磁弁14が「閉」とされてもその下流側から配管先端までに存する冷却水は電磁弁14による制御が及ばない。
従って、従来の製造装置では、電磁弁が「閉」とされてもパスラインの上方に配置された配管とパスラインの下方に配置された配管との高低差により上側配管では負圧が生じて射出口から外気が侵入するとともに下側配管では正圧が生じていた。これにより電磁弁は「閉」とされているにもかかわらず特に下方に配置された射出口からは冷却水が出射し、意図しない冷却が行われていた。さらには、このように冷却水が出射した後には上側の射出口から侵入した空気が配管内に満たされるので、次に電磁弁が「開」とされても配管内が冷却水で満たされるまで鋼板への冷却水の出射がなく、意図したタイミングで冷却を開始することができなかった。
一方、本発明の製造装置10では、逆止弁15、15が配管13a、13bの先端に配置されており、常に電磁弁14と逆止弁15との間には水が満たされている。これにより電磁弁14が「開」になるのと概ね同時に冷却水が鋼板1に出射され、意図した冷却が開始される。また、逆止弁15、15は上記したように電磁弁14の閉鎖に追随して閉鎖されるので冷却水の出射がすぐに停止され、意図した鋼板の冷却をすることが可能となる。
このように冷却水の供給、停止に関して良好な応答性を得ることは鋼板の特性を制御する観点から重要であり、これにより意図した熱延鋼板の寸法制御、及び機械的特性の制御を精度よく行うことができるようになる。
また、本発明では、このように配管13a、13b内に空気が侵入しないので、空気がある場合に弁の開閉をすると生じるウォーターハンマ現象を解消することができる。これにより設備のダメージを減じることが可能となる。
次に製造装置10による熱延鋼板の成形について順を追って説明する。これにより本発明の製造装置10及び熱延鋼板の製造方法S1についてさらに詳しく説明することができる。
図2に1つの実施形態にかかる本発明の熱延鋼板の製造方法S1(以下「製造方法S1」と記載することがある。)のフロー図を示した。このように製造方法S1は、鋼板1が製造ラインを移動することによって行われる鋼板成形工程S10と、鋼板成形工程S10とは独立して制御されて鋼板1への冷却水の供給及び停止を行う冷却工程S20とを備えている。当該2つの工程S10、S20は互いに独立して制御可能であるが、互いに作用して関係を有して1つの製造方法S1を構成している。以下各工程について説明する。
鋼板成形工程S10は、粗圧延工程S11、搬送工程S12、及び仕上げ圧延工程S13を備えている。
<粗圧延工程S11>
粗圧延工程S11は、鋳造されたスラブを粗圧延機11により所定の大きさ(厚さ、幅)及び金属組織となるように圧延する工程である。ここでは、最終的に要求される熱延鋼板の寸法や特性を考慮した上で、仕上げ圧延機12に供給すべき鋼板1の特徴を決定しておき、粗圧延工程S11によりこれが得られるような条件で圧延される。
<搬送工程S12>
搬送工程S12は、粗圧延工程S11により得られた鋼板1を仕上げ圧延工程S13に搬送する工程である。ここでは搬送の他にも鋼板の各種検査が行われ少なくとも温度測定が行われる。この温度測定は後述する測温工程S21によるものであり後で詳しく説明する。
<仕上げ圧延工程S13>
仕上げ圧延工程S13は、粗圧延後の鋼板1を仕上げ圧延機12により所定の大きさ(厚さ、幅)及び金属組織となるように圧延する工程である。ここでは、最終的に要求される熱延鋼板の寸法や特性を概ね得ることができるように圧延する。仕上げ圧延工程S13では、要求される熱延鋼板の寸法、特性を得るために様々な条件が設定される。そのうちの1つが冷却水の供給である。本発明の製造装置10、及び製造方法S1では、冷却水の供給、停止の誤差が少なく、予定した冷却量で鋼板の冷却することが可能であり、これにより高い性能の熱延鋼板を得ることができるようになった。冷却水は冷却工程S20に基づいて供給される。冷却工程S20については後で詳しく説明する。
次に冷却工程S20について説明する。冷却工程S20は、測温工程S21、制御決定工程S22、電磁弁開放工程S23、及び電磁弁閉鎖工程S24を備えている。
<測温工程S21>
測温工程S21は、搬送工程S12に具備される工程で温度センサ17により鋼板1の温度を測定するものである。これにより図1に破線で示したように温度情報を得ることができる。さらに測温工程S21では得られた温度情報を電気的な信号に変換する。
<制御決定工程S22>
制御決定工程S22は、製造装置10の制御手段18で行われ、測温工程S21で得られた温度情報の電気信号を取得し、仕上げ圧延工程S13で冷却すべき鋼板1の冷却量を判断する。そして当該得られた冷却量から供給すべき冷却水の水量、及びそのための電磁弁の開放時間を算出する。さらに制御決定工程S22は得られた電磁弁開放時間、時期を電磁弁14に指令として伝送する。
<電磁弁開放工程S23>
電磁弁開放工程S23は、制御決定工程S22で制御手段18から伝送された指令に基づいて電磁弁14が開放される工程である。電磁弁14が開放されることにより、冷却水が鋼板1に出射される。ここで本発明では上記したように配管13の冷却水射出口16、16近傍に逆止弁15、15が設けられているので電磁弁14の開放によりすぐ冷却を開始することができる。これにより制御決定工程S22で得られた冷却量を精度よく実行することができ、要求された性能の鋼板を製造することが可能となる。
<電磁弁閉鎖工程S24>
電磁弁閉鎖工程S24は、制御決定工程S22で制御手段18から伝送された指令に基づいて電磁弁14が閉鎖される工程である。電磁弁14が閉鎖されることにより、冷却水の鋼板1への出射が停止される。ここで本発明では上記したように配管13の冷却水射出口16、16近傍に逆止弁15、15が設けられているので電磁弁14の閉鎖によりすぐ冷却水の出射を停止することができる。これによっても制御決定工程S22で得られた冷却量を精度よく実行することができ、要求された性能の鋼板を製造することが可能となる。
以上説明した製造装置10を用いた製造方法S1により、冷却水の供給、停止に関して良好な応答性を得ることができ、意図した寸法制御、組織制御を精度よく行うことが可能となる。
本発明の製造装置10、及び製造方法S1に供される鋼板の種類は特に限定されるものではなくあらゆる種類のものを提供することが可能である。これには例えば低張力鋼、高張力鋼、特殊鋼等を挙げることができる。
次に実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。実施例では上記本発明の熱延鋼板の製造装置、及び製造方法で鋼板を製造した場合における冷却水の出射、停止の応答性、及び鋼板の温度を測定した。比較のため、従来の製造装置、及び製造方法による実験も行った。
以下に実験条件を示す。
供試材:熱延鋼板(SPHC)
製品寸法:幅1000mm、厚さ3.0mm
仕上げ圧延機出口の目標温度:870℃
以上の条件に基づいて得た結果を図3、及び図4に示した。図3は本発明の実施例の結果、図4は比較例の結果で、各図において横軸は鋼板の位置を示す。すなわち図3、図4において一番左側が鋼板の先端、一番右が鋼板の尾端である。(a)の縦軸は電磁弁への開閉指令でONとOFFとがパルス状に与えられる。(b)の縦軸はその時におけるノズルから出射された冷却水の流量で、設定は1000m/hである。(c)の縦軸は粗圧延機の出口における鋼板の温度、(d)の縦軸は仕上げ圧延機出口における鋼板の温度である。
図3(a)、(b)、及び図4(a)、(b)からわかるように、実施例と比較例とでは電磁弁への開閉指令は同じであるにもかかわらず、実際に出射される冷却水の水量については、実施例の方が冷却水の出射、停止が電磁弁の開閉指令に対してよく応答している。そしてこれにより、図3(d)、及び図4(d)からわかるように、仕上げ圧延機出口における鋼板の温度も比較例に比べて実施例の方が理想的なものとなり、高い冷却精度を得ることができる。具体的には、本発明の実施例では図3(d)に表れているように目標温度である870℃に対しいずれの部分でも±20℃以内(850℃〜890℃)に入っている。一方、比較例では図4(d)に表れているように、一部においてこの範囲に入らない部分が生じてしまう。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、熱延鋼板の製造装置、及び製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1つの実施形態に係る本発明の製造装置の概要図である。 1つの実施形態に係る本発明の製造方法のフロー図である。 実施例の結果を示すグラフである。 比較例の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 鋼板
10 製造装置
11 粗圧延機
12 仕上げ圧延機
13 配管
14 電磁弁(冷却水制御手段)
15 逆止弁(逆流防止手段)
16 ノズル(射出口)
17 温度センサ(測温手段)
18 制御手段
S1 製造方法
S10 鋼板成形工程
S11 粗圧延工程
S12 搬送工程
S13 仕上げ圧延工程
S20 冷却工程
S21 測温工程
S22 制御決定工程
S23 電磁弁開放工程
S24 電磁弁閉鎖工程

Claims (5)

  1. 複数のスタンドを具備する仕上げ圧延機と、前記スタンド間で鋼板を冷却する手段とを備える熱延鋼板の製造装置であって、
    前記冷却する手段が、
    前記仕上げ圧延機の入側及び/又は出側の前記鋼板の温度を測定する測温手段と、
    分岐部から一方がパスラインの上方へ、他方が前記パスラインの下方へ冷却水を導く配管と、
    前記パスラインに面するように前記配管に設けられた前記冷却水を出射する射出口と、
    前記配管の分岐部より下流側のいずれかに配置される前記冷却水の逆流を防ぐ逆流防止手段と、
    前記測温手段で得られた温度から出射する前記冷却水の条件を決定する制御手段と、
    前記配管の分岐部より水源側に配置され、前記制御手段からの指令に基づいて前記冷却水の出射、停止をする冷却水制御手段と、を備える熱延鋼板の製造装置。
  2. 前記逆流防止手段が、一方向にのみ前記冷却水を流すことを許容する逆止弁により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造装置。
  3. 前記逆流防止手段が少なくとも前記パスラインの上方の前記射出口に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板の製造装置。
  4. 前記冷却水制御手段が前記制御手段からの指令により開閉する電磁弁により構成させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造装置により熱延鋼板を製造する方法であって、
    鋼板を圧延して成形する工程と、前記スタンド間で前記鋼板を冷却する工程とを備え、
    前記鋼板を冷却する工程が、
    前記測温手段により前記仕上げ圧延機に入る前及び/又は出た後の前記鋼板の温度を測定する工程と、
    前記温度を測定する工程で得られた温度情報を取得し、前記冷却水の条件を決定する工程と、
    前記決定する工程からの指令に基づき前記冷却水制御手段及び前記逆流防止手段により冷却水の供給、停止をする工程とを含む熱延鋼板の製造方法。
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