JP4830093B2 - 非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤として有用な薬剤に関する。
炎症性腸疾患は、年々頻度が増加している難病であり、新たな治療法の開発が望まれている。特に、炎症性腸疾患の1つに挙げられる炎症性大腸炎は大腸の粘膜及び粘膜下層中心に潰瘍、びらん等の病変を呈する原因不明の疾患であり、若年者に多く、増加傾向にある難病である。現在行われている炎症性大腸炎の治療法としては5−アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤を用いた薬物療法や白血球除去療法が挙げられる。しかし、難治例やステロイド依存例も多く、新たな治療法の開発が望まれている。
一方、アドレノメデュリン(adrenomedullin;本明細書において「AM」と略記する場合がある)はヒト褐色細胞腫より単離同定された強力な血管拡張性の降圧ペプチドであるが、その後、全身の様々な組織、細胞に分布し、多様な生理活性を有することが報告されている(非特許文献1及び2)。消化管においては、その発現は消化管粘膜で広範に確認されているものの、詳細な生理作用に関しての報告は少ない。近年、アドレノメデュリンが胃酸分泌抑制作用、血流改善作用を有し、胃粘膜障害モデル動物に対して治癒的に作用するという報告が散見されるようになった。他方、アドレノメデュリンのNO遊離作用、アポトーシス抑制作用、関節リウマチ患者の滑膜細胞を用いたIL−6産生抑制作用が報告されている。またアドレノメデュリンが抗菌作用を有することに着目して、特定の腸内細菌が関与する炎症性腸疾患の予防治療剤の有用成分としてアドレノメデュリンが使用できる可能性が特許文献1に記載されているが、細菌感染によらない(すなわち非細菌性の)炎症性腸疾患の治療にアドレノメデュリンが有効であるか否かが検討された例はない。
特開2004−244378号公報 Salomone S., Caruso A., Cutuli VM., Mangano NG., Prato A., Amico-Roxas M., Bianchi A., Clementi G., Effects of adrenomedullin on the contraction of gastric arteries during reserpine-induced gastric ulcer., Peptides. 2003 Jan; 24(1): 117-22. Clementi G., Caruso A., Cutuli VM., Mangano NG., Salomone S., Lempereur L., Prato A., Matera M., Amico-Roxas M., Gasctroprotective effect of adrenomedullin administered substaneously in the rat., Peptides. 2002 Jun; 23(6): 1149-53.
本発明は非細菌性の炎症性疾患、特に非細菌性の炎症性腸疾患の予防又は治療剤を提供することを目的とする。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)アドレノメデュリン、その修飾体であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するもの、又はそれらの塩であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものを有効成分として含有する非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤。
(2)前記疾患が非細菌性の炎症性腸疾患である(1)に記載の非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤。
(3)アドレノメデュリン又はその修飾体が以下の(a)〜(j)のいずれかに記載のペプチドである(1)又は(2)に記載の非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤。
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号1のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号3のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(c)配列番号5のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号5のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(d)配列番号7のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号7のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(e)配列番号9のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号9のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(f)配列番号11のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号11のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
(g)前記ジスルフィド結合が−CH−CH−結合に置換されている(a)〜(f)のいずれかに記載のペプチド
(h)(a)〜(g)のいずれかに記載のペプチドにおいて1〜15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するペプチド
(i)C末端がアミド化されている(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチド
(j)C末端にGlyが付加している(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチド
本発明により、非細菌性の炎症性疾患、特に非細菌性の炎症性腸疾患の予防又は治療剤として有用な薬剤が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る薬剤は、臓器、特に大腸などの消化管における非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤として有用である。かかる疾患としては、例えば非細菌性の炎症性腸疾患、特に非細菌性の潰瘍性大腸炎が挙げられる。本発明に係る薬剤は、具体的には潰瘍面積の縮小、浮腫や炎症細胞浸潤の改善に有効である。
本発明で用いられるアドレノメデュリンは、ヒトや他の温血動物(例えばブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウスなど)に由来するものであってよい。アドレノメデュリンの修飾体であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものもまた本発明に使用することができる。
本発明で用いられるアドレノメデュリン又はその修飾体は典型的には(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号1のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号3のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(c)配列番号5のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号5のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(d)配列番号7のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号7のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(e)配列番号9のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号9のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(f)配列番号11のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号11のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド、(g)前記ジスルフィド結合が−CH−CH−結合に置換されている(a)〜(f)のいずれかに記載のペプチド、(h)(a)〜(g)のいずれかに記載のペプチドにおいて1若しくは複数個、例えば1若しくは数個、具体的には1〜15個、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜5個、最も好ましくは1〜3個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するペプチド、(i)C末端がアミド化されている(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチド、或いは(j)C末端にGlyが付加している(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチドである。「C末端のアミド化」とは、ペプチドの修飾反応の1つをいい、ペプチドのC末端アミノ酸のCOOH基が、CONHの形態になることをいう。生体内で作動する多くの生理活性ペプチドは、はじめ分子量のより大きな前駆体タンパク質として生合成され、これが細胞内移行の過程で、C末端アミド化のような修飾反応を受けて成熟する。アミド化は、C末端アミド化酵素が、前駆体タンパク質に作用することによって、行われる。前駆体タンパク質においては、アミド化される残基のC末端側には常にGly残基が存在し、さらにC末端側に、例えばLys−ArgあるいはArg−Argなどの塩基性アミノ酸配列対が続いていることが多い(水野、生化学第61巻、第12号、1435〜1461頁(1989))。
上記(h)に属するペプチドとしては、例えば配列番号1、3、5、7、9又は11のアミノ酸配列を有するペプチド(上記(a)〜(g)に示す分子内結合を有するものであってもよい)から1位〜15位、1位〜12位、1位〜10位、1位〜8位、1位〜5位、又は1位〜3位のアミノ酸が欠失したペプチドが挙げられる。なかでも、配列番号1、3、5及び7のアミノ酸配列を有するペプチド(上記分子内結合を有するものであってもよい)から1位〜12位のアミノ酸が欠失したペプチド、並びに、配列番号9及び11のアミノ酸配列を有するペプチド(上記分子内結合を有するものであってもよい)から1位〜10位のアミノ酸が欠失したペプチドが好ましい。これらのペプチドにおいて更に1又は数個(例えば1〜5個、1〜3個、1又は2個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するペプチドもまた本発明に使用し得る。更にまた、本発明の段落に記載のペプチドのC末端がアミド化されたペプチド又はC末端にGlyが付加されたペプチドもまた本発明に使用し得る。
上記(a)〜(j)に記載のペプチドのうち、(i)に含まれる「C末端がアミド化されている(a)〜(f)に記載のペプチドであって分子内にジスルフィド結合を有するもの」は生体内に主として存在するアドレノメデュリンであり、他のペプチドはアドレノメデュリンの修飾体と称すべきものである。
本発明に使用できる上記以外のアドレノメデュリン修飾体としては、例えば上記(a)〜(j)のペプチドを構成するアミノ酸残基の一部がアミド化又はエステル化されているものであって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものが挙げられる。エステルとしては、例えば(a)〜(h)又は(j)のペプチドにおいてC末端のカルボキシル基がエステル化されたものなどが挙げられる。
アドレノメデュリン又はその修飾体は、生体内での代謝によりアドレノメデュリン又はその修飾体に変換される前駆体やプロドラッグ化合物として提供されてもよい。このような形態もまた本発明の範囲に包含される。前駆体の一例としては、配列番号2の核酸配列にコードされる第1番〜第185番のアミノ配列又はその部分配列であって第95番〜第146番のアミノ酸を含むものからなるペプチドが挙げられる。上記(j)に記載のペプチドは投与後に生体内でそのC末端がアミド化されて成熟ペプチドに変換されると考えられることから、当該ペプチドもまたアドレノメデュリン又はその修飾の前駆体に含まれ得る。
アドレノメデュリン又はその修飾体の塩であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものもまた本発明に使用することができる。上記塩としては例えば塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との薬学的に許容される塩であれば如何なるものであってもよいが、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、メチルマレイン酸塩、フマル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
アドレノメデュリン又はその修飾体は、ヒトや温血動物の組織又は細胞からペプチドを精製する方法によって製造することもできるし、通常のペプチド合成法に準じて製造することもできる。また、アドレノメデュリンをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することもできる。
本発明においては、アドレノメデュリンはアドレノメデュリンをコードする遺伝子配列を含む核酸分子(例えば、DNA又はRNA)として提供されてもよい。すなわち本発明に係る薬剤にはいわゆる遺伝子治療のための形態も包含される。アドレノメデュリンをコードするDNAとしては例えば、(1)配列番号2,4,6,8,10又は12の塩基配列を含有するDNA、或いは配列番号2,4,6,8,10又は12の塩基配列のうちアドレノメデュリンをコードする領域を一部に含む部分配列を含有するDNA、(2)配列番号2,4,6,8,10又は12の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA、或いは配列番号2,4,6,8,10又は12の塩基配列のうちアドレノメデュリンをコードする領域を一部に含む部分配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする哺乳動物由来のDNAであって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するペプチド又はその前駆体をコードするDNA、(3)遺伝コードの縮重のため(1)および(2)に定められている配列とハイブリッド形成しないが、同一アミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは公知の方法或いはそれに準じた方法に従って行うことができる。上記ストリンジェントな条件としては、例えば42℃、50%ホルムアミド、4×SSPE(1×SSPE=150mM NaCl, 10mM NaHPO・HO, 1mM EDTA pH7.4)、5×デンハート溶液、0.1%SDSである。
上記の「配列番号2,4,6,8,10又は12の塩基配列のうちアドレノメデュリンをコードする領域を一部に含む部分配列」について一例を挙げて説明する。配列番号2では第439番のTから第594番のCまでの領域がアドレノメデュリンをコードすることから、この領域を含む配列番号2の部分配列、例えば第157番のAから第711番のTまでの塩基配列を本発明に使用することができる。
上記の(1)〜(3)に示すDNAからなる遺伝子が生体内で転写・翻訳されると、通常はアドレノメデュリンよりも大きな分子量を有する前駆体タンパク質が生じ、これが細胞内移行の過程でC末端アミド化のような修飾反応を受けて活性を有するアドレノメデュリンへと成熟する。
アドレノメデュリン、その修飾体又はそれらの塩、或いはアドレノメデュリンをコードする遺伝子の、非細菌性の炎症性疾患の予防又は治療剤としての使用は常套手段に従って行うことができる。例えば、必要に応じて糖衣や溶解性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、或いは水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。また局所への直接投与などあらゆる投与法が使用できる。例えば、アドレノメデュリン、その修飾体、それらの塩等を薬学的に許容し得る担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤等とともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。また医薬として有用な他の成分と共に併用することも可能である。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中に活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解又は懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げられる。溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
アドレノメデュリンをコードする遺伝子(通常はDNA)はいわゆる遺伝子治療の手法により投与することが可能である。例えばアドレノメデュリンをコードするDNAは、(イ)アドレノメデュリンをコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、或いは(ロ)細胞などにアドレノメデュリンをコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、該患者の細胞におけるアドレノメデュリンの量を増加させ、アドレノメデュリンの作用を充分に発揮させることができる。アドレノメデュリンをコードするDNAの投与は、該DNAを単独又はプラスミドベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。
アドレノメデュリンの投与量は、症状などにより差異はあるが、典型的には、ヒトに対する経静脈投与又は経注腸投与の場合0.01〜10mg/60Kg/日である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが本発明は下記実施例のみには限定されない。
酢酸誘発大腸潰瘍モデルラットを用いて、アドレノメデュリンの大腸における非細菌性炎症性疾患の治療効果を検討した。
[方法]
Wistar系雄性ラット(6−7週齢)を用いた。小島らの報告(Kojima R, Hamamoto S, Moriwaki M, Iwadate K, Ohwaki T. The new experimental ulcerative colitis model in rats induced by subserosal injection of acetic acid. Folia Pharmacol J 2001;118:123-30.)に従い、漿膜下酢酸注入法を用いて肛門から5cmの大腸に潰瘍を作成した。潰瘍作成直後よりヒトアドレノメデュリン(配列番号1のアミノ酸配列を有する)の溶液0.5ml(0.25〜1.0μg/0.5ml生理食塩水)をプラスチックチューブを用いて、経肛門的に1日1回投与した。対照群は生理食塩水0.5mlを同様に投与した。潰瘍作成後3日、5日及び10日後に屠殺し、組織病理学的所見、潰瘍面積、組織重量について検討した。また潰瘍を中心とした大腸を長径3cm切除し、ホモジナイズした上清を用いて組織中のサイトカイン(IL−6、IFN−γ)をELISA法にて測定した。
[組織病理学的所見]
図1(a)には対照群、図1(b)にはAM1.0μg/日投与群の5日後の潰瘍の肉眼像をそれぞれ示す。図1(c)には対照群、図1(d)にはAM1.0μg/日投与群の5日後の潰瘍のルーペ像をそれぞれ示す。大腸漿膜下への酢酸注入により再現性の高い潰瘍形成が認められた(図1(a)及び(c))。またAM1.0μg/日投与群においては対照群と比較して潰瘍面積の縮小、浮腫や炎症細胞浸潤の改善が認められた(図1(b)及び(d))。
[潰瘍面積]
図2に各試験区の5日後の潰瘍面積を示す。0.25〜1.0μg/日にかけて容量依存的に潰瘍面積の縮小傾向が認められた(n=5,P<0.05)。
図3に対照群及びAM1.0μg/日投与群における潰瘍面積の時間経過を示す。対照群では5日目をピークに自然改善傾向が見られたのに対して、AM1.0μg/日投与群においては3日後から改善傾向が認められ、10日目には潰瘍がほぼ消失した(n=3,P<0.05)。
[組織重量]
図4に対照群及びAM1.0μg/日投与群の5日後における組織の湿重量(mg)を示す。対照群と比較してAM1.0μg/日投与群において組織は有意に軽量であった(n=5,P<0.05)。
[サイトカイン評価]
図5に対照群及びAM1.0μg/日投与群の5日後における組織中のIL−6量(図5(a))及びIFN−γ量(図5(b))を示す(重量単位はpg)。IL−6量はAM1.0μg/日投与群において有意に低値であった(n=5、P<0.05)。IFN−γ量に関しては両群間に有意差が認められなかった。この傾向から、AMによる抗潰瘍作用がTh2型免疫応答を介したものである可能性が示唆された。
図1(a)は対照群、図1(b)はAM1.0μg/日投与群の5日後の潰瘍の肉眼像をそれぞれ示す。図1(c)は対照群、図1(d)はAM1.0μg/日投与群の5日後の潰瘍のルーペ像をそれぞれ示す。 図2は各試験群の5日後の潰瘍面積を示す。 図3は対照群及びAM1.0μg/日投与群における潰瘍面積の時間経過を示す。 図4は対照群及びAM1.0μg/日投与群の5日後における組織の湿重量(mg)を示す。 図5は対照群及びAM1.0μg/日投与群の5日後における組織中のIL−6量(a)及びIFN−γ量(b)を示す。

Claims (2)

  1. (1)アドレノメデュリン、
    (2)アドレノメデュリンのアミノ酸配列中の2個のCysがジスルフィド結合している修飾体、
    (3)前記ジスルフィド結合が−CH−CH−結合に置換されている修飾体、
    (4)(1)〜(3)のアドレノメデュリン若しくはその修飾体のアミノ酸配列において、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されている修飾体、
    (5)(1)〜(4)のアドレノメデュリン若しくはその修飾体のアミノ酸配列において、C末端がアミド化されている修飾体、若しくは
    (6)(1)〜(4)のアドレノメデュリン又はその修飾体のアミノ酸配列において、C末端にGlyが付加している修飾体から選択されるアドレノメデュリンの修飾体であって、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するもの、又は
    それらの塩であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものを有効成分として含有する非細菌性の炎症性腸疾患の予防又は治療剤。
  2. アドレノメデュリン又はその修飾体が以下の(a)〜(j)のいずれかに記載のペプチドである請求項に記載の非細菌性の炎症性腸疾患の予防又は治療剤。
    (a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号1のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (b)配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号3のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (c)配列番号5のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号5のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (d)配列番号7のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号7のアミノ酸配列からなり16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (e)配列番号9のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号9のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (f)配列番号11のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号11のアミノ酸配列からなり14位のCysと19位のCysとがジスルフィド結合したペプチド
    (g)前記ジスルフィド結合が−CH−CH−結合に置換されている(a)〜(f)のいずれかに記載のペプチド
    (h)(a)〜(g)のいずれかに記載のペプチドにおいて1〜15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するペプチド
    (i)C末端がアミド化されている(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチド
    (j)C末端にGlyが付加している(a)〜(h)のいずれかに記載のペプチド

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