JP4828366B2 - 鋳型の熱流束に基づく縦割検知方法及び連続鋳造方法 - Google Patents

鋳型の熱流束に基づく縦割検知方法及び連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型の状態を監視して所謂縦割の発生を検知する縦割検知方法と、この縦割を防止する技術に関する。
この種の技術として、特許文献1は、連続鋳造における表面疵検知方法を開示する。これは、鋳型壁に「複数の温度検出端3を埋設し」(段落番号0024)、各温度検出端において「温度測定を行」(段落番号0024)い、その「標準偏差σが、鋳片表面疵が発生していない時の標準偏差σ0の1.2倍以上となった場合に表面疵が発生すると判定するものである」(段落番号0027)。
特開2003−10950号公報
しかし、上記特許文献1によると、鋳型の正確な熱特性は得ることは容易ではないだろう。
即ち、鋳型の材質・鋳型の銅板厚み・鋳型冷却水スリットの形状・該鋳型冷却水スリットを流れる冷却水の流速・該冷却水の温度などの如何によって、各温度検出端における温度は変わってしまう。しかも、鋳型の修理や交換などにより鋳型の銅板厚みやスリットの形状が変わったりもする。このような操業の条件の変更を考慮できない以上、上記特許文献1に記載の方法では、鋳型の熱特性を正確に得ることは非常に困難なものであろう。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鋳型の正確な熱特性を把握し、この熱特性に基づいて鋳片の縦割を鋭敏に検知できる縦割検知方法と、該縦割検知方法と技術的に関連し、鋳片の縦割を防止できる連続鋳造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第一の観点によれば、縦割検知は、以下のような方法で行われる。即ち、溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求める。並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]、所定の値σo[W/m2] を上回ったら、鋳片の広面における、鋳造方向長さが100mm以上の縦割が発生したと検知する。ただし、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
これによれば、鋳片の縦割を鋭敏に検知できる。
また、本発明の第二の観点によれば、連続鋳造は、以下のような方法で行われる。即ち、溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求める。並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較し、該最大の標準偏差σmax[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を超えないように鋳造速度Vc[m/min]を減じる。ただし、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
これによれば、鋳片の縦割を抑制できる。
<用語の定義>
「メニスカス距離M」:鋳型内のメニスカス(溶鋼湯面)を起点とし、鋳造経路に沿って観念する距離を意味する。
「縦割」:鋳片の広面における、鋳造方向長さが100mm以上の、割れを意味する。その縦割の鋳造方向長さの測定は、例えばノギスや目視などによる。
「鋳片部」:連続的に生産された鋳片をその鋳造方向において所定の長さ(例えば3mなど)で切断して得られる細切れの鋳片を意味し、通常1枚2枚・・・と数える。
本発明に係る縦割検知方法及び連続鋳造方法は、例えば下記のような操業条件を対象とする。
・鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.08〜0.18
・鋳造速度Vc[m/min]:0.7〜2.5
・鋳型幅(鋳片の広面の幅に略一致する:鋳型上端における鋳型幅)[mm]:1000〜2110
・鋳型厚(鋳片の狭面の幅に略一致する:鋳型上端における鋳型厚)[mm]:230〜280
・鋳型高さ[mm]:900
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。
先ず、鋳片(所謂スラブなど)を連続鋳造するための連続鋳造設備について図1を参照しつつ概説する。即ち、この連続鋳造設備は、溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための鋳型1と、該鋳型1に所定の流量で溶鋼を注湯するために溶鋼を一時的に収容する図略のタンディッシュと、該鋳型1の下端を基点とし、所定の鋳造経路に沿うように列設される複数のロール対4・4・・・(本図において二点鎖線で示す。)と、から構成されている。
この構成で、図略のタンディッシュから鋳型1へ注湯された溶鋼は、該鋳型1によって冷却されて所定形状の凝固シェルを形成し、この凝固シェルは、適宜の手段により前記の鋳造経路に沿ってロール対4・4・・・により挟持されながら搬送され、やがて内部に至るまで完全に凝固した鋳片となる。そして、連続的に生産された鋳片は、その鋳造方向において所定の長さに切断されて、各鋳片部ごとに管理等される。
<1、鋳型の詳細な説明>
次に、上記の鋳型1の構造を本図に従って詳細に説明する。即ち、本実施形態において鋳型1は、該鋳型1に注湯された溶鋼に対して直接的に接触する銅板2と、該銅板2を囲繞するように形成されるジャケット3と、から構成されている。
前記の銅板2は、断面矩形の筒状に形成されており、所定の肉厚(図7符号RR参照)を有し、鋳造方向に沿って所定の長さ(=鋳型高さ)だけ延在する。この銅板2の外周面には、鋳造方向に沿う溝状の凹部2d・2d・・・が複数、凹設されている。
前記のジャケット3は、例えばSUS製であって、上記の銅板2を支持/固定する。このジャケット3は、前述の如く上記の銅板2を囲繞するように形成されており、このため該銅板2の外周面に刻設された前記複数の凹部2d・2d・・・は、鋳型1を冷却するための冷却水を流すための冷却水流路2d・2d・・・を形成する。これらの冷却水流路2d・2d・・・の夫々は、本実施形態において断面矩形である。なお、本実施形態において前記の冷却水流路2d・2d・・・は、前記の鋳型1の広面2a・2a側にのみ形成されているが、これに加えて、該鋳型1の狭面側にも形成される構成も考えられる。
<2、平均熱流束qの詳細な説明>
次に、連続鋳造中の上記鋳型1の広面2a・2aにおける熱流束について図2及び図3を参照しつつ説明する。即ち、鋳造する鋳片の広面(前記広面2a・2aに面する。)に縦割が発生したか否かを検知することを目的として本実施形態では、上記鋳型1の広面2a・2aにおける熱流束に着目することとしている。具体的には以下の通りである。
即ち、本実施形態に係る縦割検知方法は鋳片の広面に縦割が発生したか否かを検知しようとするものであるから、先ず、図2に示す如く鋳型1の広面側内壁面AA(2a)に着目する。
しかし、該鋳型1内で形成される凝固シェルは鋳造方向にその厚みを漸増させるものである故、本実施形態において着目しようとする熱流束は上記の広面側内壁面AAにおいて一様ではない。
そこで、本実施形態では、前記の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aに着目し、更に、図3に示す如く該鋳型1の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・に着目する。そして、これらの面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求めることとする。
本実施形態において、これらの面領域a1・a2・・・の形状は、本図に示す如く鋳型1の幅方向にw[mm]であり同じく鋳造方向にdz[mm]の略矩形状としている。また、これらの面領域a1・a2・・・の鋳造方向における位置は、前記高熱流束面領域Aの鋳造方向略中央としている。
上記の各平均熱流束q[W/m2]の求め方には、種々の計算的・解析的手法が適用できる。例えば、第一に、各面領域a1・a2・・・に対応するように前記の鋳型1に埋設した一の熱電対によって測定した該鋳型1の温度と、前述した冷却水流路2d・2d・・・を流れる前記冷却水の水温と、に基づいて実行される例えば差分法(詳しくは後述する。)や有限要素法、境界要素法などの数値的手法が挙げられる。また、第二に、各面領域a1・a2・・・に対応するように前記の鋳型1に埋設した一対の熱電対によって測定した該鋳型1の温度対に基づく数値的手法も適用できるだろう。勿論、その他の公知の計算的・解析的手法も適用可能であって、その選択は操業条件や設備環境などに応じて適宜に選択されよう。
<3、平均熱流束q[W/m2]の鋳型幅方向におけるバラツキ>
ところで、鋳片の広面に発生する縦割の原因(例えば凝固シェルと鋳型銅板との間への鋳型パウダーの不均一な流入など)は、凝固シェルと鋳型1の広面側内壁面AAとの境界における熱流束の、該鋳型1の幅方向における局所的な、変化として発現するものと考えれる。従って、本実施形態に係る縦割検知方法では、上述の如く求めた各面領域a1・a2・・・の平均熱流束q[W/m2]の鋳型幅方向における局所的なバラツキに着目する。具体的には以下の如くである。
即ち、並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]のバラツキとしての標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。これを、図3に基づいてより詳細に説明する。本図は、前記n(以下、説明の便宜上、このnを「領域数n」とも称する。)を3とする場合を例示するものであり、この場合、上記添え字kのとり得る範囲は1〜i-2となる。
〔領域数n=3の場合〕
(第一の組)
即ち、第一の組は、隣り合う前記の面領域a1及びa2、a3を組み合わせてなるものとする。換言すれば、面領域a1及びa2、a3を第一の組とする。そして、この第一の組に属する3領域(即ち、面領域a1及びa2、a3)における前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σ[W/m2]としての標準偏差σ1〜3[W/m2]を求める。
(第二の組)
同様に、第二の組は、隣り合う前記の面領域a2及びa3、a4を組み合わせてなるものとする。そして、この第二の組に属する3領域(即ち、面領域a2及びa3、a4)における前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σ[W/m2]としての標準偏差σ2〜4[W/m2]を求める。
(第三〜第i-2の組)
上記と同様に、第三の組から、第i-2の組に至るまで、夫々の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。
〔領域数n=4の場合〕
前記の領域数nを4とする場合も、領域数nを3とした上記の場合と同様に考えることができ、以下、簡単に例示する。
(第一の組)
即ち、第一の組は、隣り合う前記の面領域a1及びa2、a3、a4を組み合わせてなるものとする。換言すれば、面領域a1及びa2、a3、a4を第一の組とする。そして、この第一の組に属する4領域(即ち、面領域a1及びa2、a3、a4)における前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σ[W/m2]としての標準偏差σ1〜4[W/m2]を求める。
(第二〜第i-3の組)
上記と同様に、第二の組から、第i-3の組に至るまで、夫々の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。
〔前記n=5又は6、7の場合〕
前記の領域数nを5又は6、7とする場合も、領域数nを上記の如く3や4とした上述の場合と同様に考えることができる。
なお、本実施形態において前記領域数nは下記の如くとする。即ち、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
<4、標準偏差σk〜k+n-1に基づく縦割検知>
本実施形態において縦割の検知は、上記で複数求めた標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較することによって行う。具体的には図4の如くである。本図には、各標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]の時間変化(1秒ごとの時間推移、140[sec]分(即ち、長手方向長さを3.0[m]とした鋳片部1枚分))が示されている。
(図4の鋳造条件)
鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.13
鋳造速度Vc[m/min]:1.3
鋳型幅[mm]:2110
鋳型厚[mm]:280
鋳型高さ[mm]:900
(図4のその他の条件)
間隔p[mm]:20
領域数n:3
各面領域の幅w[mm]:1(図3参照)
即ち、本図において太線で示す如く(まるで山脈と空との境界線をなぞるように)各時刻Tごとに前記の各標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]に着目し、この時刻Tの関数としても表現できる標準偏差σmax(T)[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較する。
上記の比較において、前記の標準偏差σmax(T)[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を少しでも上回ったら、この上回った時刻Tpで縦割が発生したと見做す/推定する。なお、実操業では、前述の如く連続的に生産された鋳片を鋳造方向に所定の長さで切断して鋳片部とし、夫々の鋳片部に応じてその後の処理を個別的に独立して管理することとしている。従って、上記時刻Tpの時点で鋳型1を通過した鋳片を含む鋳片部を、「縦割が発生している鋳片部」として管理することが合理的である。なお、この場合において「管理」とは、例えばホットスカーフに代表される表面処理を含む意味である。
<5、上記所定の値σo[W/m2]の決定方法の一例>
次に、上記の「所定の値σo[W/m2]」の決定の方法について、その一例を紹介する。図5に、後述の鋳片部−最大標準偏差MAX(σmax(ΔT))[W/m2]と縦割発生頻度[%]との関係を示す。
(図5の鋳造条件)
鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.13
鋳造速度Vc[m/min]:1.3
鋳型幅[mm]:2110
鋳型厚[mm]:280
鋳型高さ[mm]:900
(図5のその他の条件)
間隔p[mm]:20
領域数n:3
各面領域の幅w[mm]:1
(図5の説明)
本図は、連続的に生産される鋳片を鋳造方向において略3.0[m]ごとに切断して鋳片部とし、夫々の鋳片部を、その広面に縦割が発生していたか否かの点について行った調査試験に基づくものである。本図の横軸は、一枚の鋳片部が鋳型1の前記高熱流束面領域A近傍(図2参照)を通過した時間帯ΔTにおける、上記の標準偏差σmax(T)[W/m2]の更なる最大値としての、鋳片部−最大標準偏差MAX(σmax(ΔT))[W/m2]を、0.05[MW/m2]毎に区切ったものである。一方、縦軸は、調査対象としての鋳片部の枚数に占める、広面に縦割が発生していた鋳片部の枚数の割合を示す。なお、本調査試験では、200枚の鋳片部を調査の対象とした。
そして、上記の「所定の値σo[W/m2]」は、本図を考慮しつつ、(1)後工程の能力、(2)生産性と品質のどちらを優先すべきか、などを総合的に判断して決定すればよい。即ち、上記「所定の値σo[W/m2]」を低めに設定すれば、縦割が発生していた鋳片部を見逃し難くなる(即ち、縦割見逃率が下がる。)が、縦割が発生しなかったにも関わらず発生していたものとしてしまう鋳片部が多くなる(即ち、縦割過検知率が上がる。)だろう。一方、上記「所定の値σo[W/m2]」を高めに設定すれば、縦割見逃率は上がり、縦割過検知率は下がるだろう。要するに、実操業の条件と照らし合わせて、上記の「所定の値σo[W/m2]」を適宜に決定するとよい。例えば本図によれば、鋳片部−最大標準偏差MAX(σmax(ΔT))[W/m2]が0.40以下だと縦割発生頻度が10%前後と極めて良好となっているが、同じく0.40以上だと縦割発生頻度が50%を大きく超えてしまっているので、「所定の値σo[W/m2]」を0.40とするのが上述した種々の観点から好ましいと言える。
<6、高熱流束面領域Aに着目する根拠>
次に、本実施形態において前記の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aに着目する根拠を、図2及び図6に基づいて説明する。図6に示すグラフにおいて、横軸はメニスカス距離M[mm]を示し、縦軸は広面側内壁面AAの各メニスカス距離M[mm]近傍における熱流束[MW/m2]を示す。
(図6の鋳造条件)
鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.13
鋳造速度Vc[m/min]:1.1
鋳型幅[mm]:2110
鋳型厚[mm]:280
鋳型高さ[mm]:900
図6によれば、広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域で、鋳型の広面における熱流束が最大となっていることが判る。このように熱流束のピーク値が大きい程、熱流束の差が顕著に現れると考えられ、また、熱流束の差が顕著に現れ易い程、縦割を検知し易いと考えられる。従って、本実施形態においては、前記の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aに着目することとしている。
<7、平均熱流束q[W/m2]の求め方の一例>
次に、平均熱流束q[W/m2]の求め方の一例を図7及び図8に基づいて例示する。図7は図1の部分拡大図であり、図8は伝熱計算の説明に供する説明図である。ここでは、該平均熱流束q[W/m2]を、『各面領域a1・a2・・・に対応するように前記の鋳型1に埋設した一の熱電対5によって測定した該鋳型1の温度と、前述した冷却水流路2d・2d・・・を流れる前記冷却水の水温と、に基づいて』伝熱計算(二次元の差分法)により求める方法を例示する。
(伝熱計算を実行するための構成)
本例では、図7に示すように、鋳型1の広面側の銅板2内に、その幅方向に所定の間隔p[mm](図3も併せて参照)で熱電対5・5・・・(例えばK熱電対(+→クロメル、−→アルメル))を複数埋設し、これらの熱電対5・5・・・を用いて鋳型1の広面側の銅板2内の温度t5・t5・・・を計測する。計測された温度データは所定の時間間隔(例えば1秒)で、CPUや記憶装置(ROM、RAMなど)を適宜に備える電子計算機に送信されるように構成する。また、図示しないが、前記の冷却水流路2d・2d・・・を流れる冷却水の温度t2dも適宜に設けた別の熱電対などにより計測し、計測された温度データも所定の時間間隔で前記の電子計算機に送信されるように構成する。なお、該冷却水の温度t2dは、鋳型1内部に形成された前記の冷却水流路2d・2d・・・から出てきた冷却水の温度を測定して得られる温度測定値を用いることとする。
なお、本実施形態において上記の熱電対5・5・・・は、鋳型1の銅板2の広面2a・2aを起点として、前記のジャケット3側へ約8mm程度の位置(熱電対埋込み深さdπ[mm]=8)に埋設した。
(伝熱計算の概要)
上記の電子計算機は、(1)鋳型1の広面側の銅板2の温度t5・t5・・・及び(2)冷却水の温度t2dと、鋳造開始前に予め電子計算機の前記記憶装置に記憶させておいた(3)〜(6)、即ち、(3)鋳型の横断面形状(鋳型1の銅板2の厚み(ここで、銅板2の厚みとは、図7中で符号RRで示す距離を意味する。)や冷却水流路2d・2d・・・の断面形状など)、(4)銅熱伝導度λ、(5)銅板2と冷却水との間の界面熱伝達係数h(例えば冷却水流路2d・2d・・・を流れる冷却水の流速に基づいて算出する。)、(6)銅板2とジャケット3との間の界面熱伝達係数h(計算の便宜上、(5)のものと同一とする。)と、(7)上記の熱電対埋込深さdπと、の(1)〜(7)などに基づいて図7に示す如く銅板2における二次元の伝熱に係る微分方程式を差分法により解く。
(伝熱計算の計算対象領域)
本例において前記の熱電対5は鋳型1の幅方向でみて、隣り合う二つの冷却水流路2d・2dの略中央に埋設している。従って、一つの面領域axに対応する銅板2は略線対称であり、それ故、伝熱計算の計算対象領域における伝熱の解析は、該計算対象領域のうち太線で示す領域(以下、太線領域と称する。)における伝熱の解析に代えることができる。従って、上記の電子計算機を用いて、この太線領域における伝熱のみを解析することとする。
(太線領域に対する熱の出入りについて)
〔q1:入熱〕
符号q1[W/m2]は、凝固シェル側から上記の太線領域へ入る単位面積あたりの熱量(即ち、平均熱流束)[W/m2]を示す。
〔q2、q3:抜熱〕
また、本図において符号q2[W/m2]及びq3[W/m2]は、太線領域から前記の冷却水流路2d・2d・・・を流れる冷却水へ出る単位面積あたりの熱量(即ち、平均熱流束)[W/m2]を示す。
〔q4:抜熱〕
また、本図において符号q4[W/m2]は、太線領域から前記のジャケット3へ出る単位面積あたりの熱量(即ち、平均熱流束)[W/m2]を示す。
〔その他の熱の出入りについて〕
本実施形態においては、計算の便宜上、本図において太線で示す領域と、銅板2内で隣り合う領域と、の間には熱の移動はないものとする。同様に、銅板2内において鋳造方向の熱の移動もないものとする。
(伝熱計算に係る差分法の具体的内容)
差分法を実行するに際し、上記の太線領域に対してΔx(例えば1mmなど)間隔のメッシュを適用した(即ち、Δx(例えば1mmなど)間隔でメッシュ分割した)。そして、各メッシュ要素の中心を通過する熱量の収支を計算する。この計算は、下記初期条件及び境界条件、計算条件に基づいて開始し実行する(ただし、下記の境界条件及び計算条件として記載した数式は、計算の大まかな概念を紹介するものである。)。そして、上記の各熱電対5による温度t5と、計算上、該熱電対5の位置に配置されるメッシュ要素の中心の温度と、を比較し、その差が1%以内となったときの平均熱流束q1(=qax)[W/m2]を計算結果として採用することとする。
(初期条件)
上記の平均熱流束q1[W/m2]及びq2、q3、q4は、任意の値に設定する。
(境界条件)
《銅板2と冷却水(又はジャケット3)との界面の境界条件》
前述した界面熱伝達係数hを用いる(図8も併せて参照)。
λ/dz{t(I+1,1)-t(I,1)}+λ/dz{t(I-1,1)-t(I,1)}+λ/dz{t(I,2)-t(I,1)}=h{t(I,1)-tw}
なお、変数dzは図3において符号dzで示す(図7においては奥行き)ものである。
《銅板2と凝固シェルとの界面の境界条件》
前述した平均熱流束q1[W/m2]を用いる。
λ/dz{t(I+1,M)-t(I,M)}+λ/dz{t(I-1,M)-t(I,M)}+λ/dz{t(I,M-1)-t(I,M)}+q1=0
(計算条件)
《銅板2の内部》
λ/dz{t(I+1,J)-t(I,J)+t(I-1,J)-t(I,J)+t(I,J+1)-t(I,J)+t(I,J-1)-t(I,J)}=0
(伝熱計算において採用した各定数の具体的な値)
・銅熱伝導度λ:355[W/m/deg]
・銅板2と冷却水との間の界面熱伝達係数h:15000[W/m2/deg]
・銅板2とジャケット3との間の界面熱伝達係数h:同上
なお、上述した伝熱計算では、冷却水の温度t2dとして前記の冷却水流路2d・2d・・・から出てきた冷却水の温度を用いているので、絶対的な平均熱流束qax[W/m2]は求めることができない。しかし、本実施形態に係る縦割検知方法では、同時刻における鋳型1幅方向の平均熱流束qax[W/m2]のバラツキ(標準偏差σk〜k+n-1[W/m2])に着目することとしているので、少なくとも相対的な平均熱流束qax[W/m2]のバラツキが求められる以上、特に問題とはならない。
また、上記の伝熱計算では、3次元の熱の流れを前述した如く2次元の熱の流れとしているので、無限小増分を意味する変数dzは計算上、実質的には無視されることとなる。
<8、領域数nの設定の根拠>
次に、領域数nの設定の根拠について、図9〜14を参照しつつ詳細に説明する。
前述したように、鋳片の広面における縦割は、上記の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]の大きさに基づいて検知できると考えられる。図9〜図13に、任意時刻での各面領域axにおける平均熱流束qax[MW/m2]と、標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]と、を例示する。なお、図9〜図13は、何れも同一のデータを別の形式で表示したものである。即ち、例えば図10について言えば、図9に示す各面領域axにおける平均熱流束qax[W/m2]を間引いたものに相当する。各図右上に、前記の間隔p[mm]を付記した。
(図9〜13の鋳造条件)
鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.13
鋳造速度Vc[m/min]:1.2
鋳型幅[mm]:2110
鋳型厚[mm]:280
鋳型高さ[mm]:900
(図9〜13のその他の条件)
間隔p[mm]:(図中に記載)
領域数n:(図中に記載)
各面領域の幅w[mm]:1
これら図9〜図13によれば、前記領域数nを3とすると、平均熱流束qax[W/m2]の局所的なバラツキが敏感に反映され得るという点で、最も好ましいと言える。一方で、前記領域数nを多くする程、平均熱流束q[W/m2]の局所的なバラツキが敏感には反映されなくなる(鈍感となる)ことが判る。これら図9〜図13によれば、前記の間隔p[mm]についても同様と言えよう。即ち、間隔p[mm]が小さいほど敏感であり、大きいほど鈍感と言える。
上記の図9〜図13において、別の観点によれば、前記の標準偏差σ[W/m2]の最大値と最小値との差の度合いが、縦割検知の感度と密接に関連するとも言える。なぜなら、該差が大きいということは、鋳片の広面のうち縦割が発生した部位としての縦割発生部位と、同じく縦割が発生していない部位としての安定鋳造部位と、の違いが明瞭に現れていると言えるからである。
そこで、本実施形態においては、前述した如く、前記の領域数nを下記(a)〜(d)の如く設定する。即ち、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
上記の領域数nの設定の技術的効果を、図14に基づいて確認する。図14は、縦割検知の感度に関する図であり、より具体的には上記の図9〜図13の夫々における、前記の間隔p[mm]及び領域数nと、前記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]の最大値と最小値との差と、の関係を同時に示すものである。
図14によれば、上記の領域数nの設定方法としての(a)〜(d)によると、標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]の最大値と最小値との差を少なくとも0.1以上は確保できることが判る。換言すれば、上記の領域数nの設定方法によれば、鋳型の広面のうち縦割が発生した部位としての縦割発生部位と、同じく縦割が発生していない部位としての安定鋳造部位と、の違いが上記差として明瞭に現れるので、極めて良好な感度の縦割検知が可能となる。
なお、前記の間隔p[mm]は、埋設する熱電対5の大きさ・形状などを考慮すると、少なくとも10以上であることが好ましい。
以上説明したように、上記の第一実施形態において、縦割検知は、以下のような方法で行われている。即ち、溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求める。並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較することによって縦割を検知する。ただし、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
これによれば、鋳片の縦割を鋭敏に検知できる。
また、別の観点から見れば、上記の第一実施形態に係る縦割検知方法(以下、単に本方法とも称する。)は、上述した特許文献1に記載の表面疵検知方法(以下、単に先行方法とも称する。)と比較して、以下の有利な特徴を有している。端的に言えば、先行方法は熱電対によって計測される鋳型の温度に着目しているのに対し、本方法は鋳型の広面における熱流束に着目しているので、本方法によれば、比して正確な熱特性が得られると考えられる。
即ち、例えば、鋳型の材質や鋳型の銅板厚み、冷却水の冷却水流路の断面形状、該冷却水流路を流れる冷却水の流速、冷却水の温度などの如何によって、熱電対による鋳型温度の測定結果は大きく変動してしまう。しかも、装置の修理や交換などで鋳型の銅板厚みや冷却流路の断面形状は頻繁に変更されるものである。そのような状況下で、熱電対によって計測される鋳型の温度にのみ着目しては、決して、正確な熱特性が得られるとは考え難い。
一方で、上記実施形態では、種々の計算的・解析的手法により、鋳型の内壁面における熱流束を算出し、該熱流束の如何に応じて縦割を検知しようとするものである。従って、本方法は、設備ごとに異なる上記複数の要因や設備の維持・管理・交換に伴う上記複数の要因を問題なく吸収して総合的に判断できるものとなっている。以上を踏まえれば、やはり、本方法が、先行方法に比べて、正確な熱特性が得られるという点で、極めて有利な特徴を有していると言うことができる。
以上に本発明の好適な実施形態である第一実施形態を説明したが、上記第一実施形態は以下の如く変更してもよい。
即ち、上記第一実施形態において前記の面領域a1・a2・・・の形状は図3に示す如く略矩形状としたが、これに限らず、例えば略正方形や円形、楕円形でもよく、その形状は任意である。
また、上記第一実施形態において前記の面領域a1・a2・・・は、前記高熱流束面領域A内において、鋳造方向略中央に位置することとしたが、これに限らず、例えば高熱流束面領域Aの上端又は下端に接するように位置することとしてもよい。
次に、本発明の第二実施形態について、図15〜図18を参照しつつ説明する。
上記の第一実施形態においては、最大の標準偏差σmax(T)[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を少しでも上回ったら、この上回った時刻Tpで縦割が発生したと見做す/推定することとした(図4参照)。
一方で、本実施形態に係る連続鋳造では、最大の標準偏差σmax(T)[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を超えないように鋳造速度Vc[m/min]を減じることとする。例えば上記「所定の値σo[W/m2]」を0.40とした場合は、上記標準偏差σmax(T)[W/m2]が0.35に至ったときから所定の時間だけ継続して鋳造速度Vc[m/min]を少なくとも1割減じることとする。
本実施形態に係る連続鋳造方法の技術的効果を確認する試験を以下に説明する。図15〜図18は夫々、鋳造速度の操作による標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]の変化を表すグラフ図である。本試験の試験条件は下記の如くである。
(図15〜図18の鋳造条件)
鋳片の炭素含有量C[wt%]:0.13
鋳造速度Vc[m/min]:図中に記載
鋳型幅[mm]:1230
鋳型厚[mm]:230
鋳型高さ[mm]:900
(図15〜図18のその他の条件)
間隔p[mm]:20
領域数n:3
各面領域の幅w[mm]:1
また、面領域a15・a16・a17・a18・a19についての平均熱流束qa15〜qa19[W/m2]を求め(図3も併せて参照)、これにより、時間推移する3の標準偏差σ15〜17・σ16〜18・σ17〜19[MW/m2]を得た。
図15は、標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]の如何に関わらず、鋳造速度Vc[m/min]を一定とした試験の結果である。
また、図16に示す如く、3の標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]のうち何れか一が0.35に至ったときに、鋳造速度Vc[m/min]を0.5割程度、継続して減じてみた場合も同様、完全には、前記の標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]を0.40以下に抑えることはできなかった。
一方、図17や図18に示す如く3の標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]のうち何れか一が0.35に至ったときに鋳造速度Vc[m/min]を少なくとも1割以上継続して減じてみると、前記の標準偏差σk〜k+n-1[MW/m2]を常に0.40以下に抑えることができた。
なお、鋳造速度Vc[m/min]を減じるということは、生産性を低下させたり、溶鋼湯面温度を低下させたり(所謂皮張りの原因)、凝固シェルと鋳型内壁面との間へのモールドパウダの不均一流入を招いたり、と種々の好ましくない問題を生じ得る。このような観点から、鋳造速度Vc[m/min]の減少幅は、最大でも2割程度とすることがよいだろう。
以上説明したように、上記の第二実施形態において、連続鋳造は、以下のような方法で行われている。
即ち、溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求める。並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求める。複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較し、該最大の標準偏差σmax[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を超えないように鋳造速度Vc[m/min]を減じる。ただし、(a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、(b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、(c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、(d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
これによれば、鋳片の縦割を抑制できる。
鋳型の断面図 鋳型の縦断面図 図2の部分拡大図 各標準偏差σk〜k+n-1の時間変化を示すグラフ図 鋳片部−最大標準偏差MAX(σmax(ΔT))と縦割発生頻度との関係を示す度数分布図 鋳型広面における熱流束とメニスカス距離との関係を示すグラフ図 図1の部分拡大図 伝熱計算の説明図 各面領域ax(p[mm]=10)における平均熱流束qaxと標準偏差σk〜k+n-1の関係を示すグラフ図 図9に類似する図(p[mm]=20) 図9に類似する図(p[mm]=30) 図9に類似する図(p[mm]=50) 図9に類似する図(p[mm]=70) 縦割検知の感度に関する図 鋳造速度の操作による標準偏差の変化を表すグラフ図 図15に類似する図 図15に類似する図 図15に類似する図
符号の説明
1 鋳型
2 銅板
3 ジャケット
5 熱電対
AA(2a) 広面側内壁面
A 高熱流束面領域
a 面領域

Claims (2)

  1. 溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求め、
    並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求め、
    複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]、所定の値σo[W/m2]を上回ったら、鋳片の広面における、鋳造方向長さが100mm以上の縦割が発生したと検知する、ことを特徴とする縦割検知方法。
    ただし、
    (a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、
    (b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、
    (c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、
    (d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
  2. 溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための連続鋳造用の鋳型の広面側内壁面AAのうちメニスカス距離M[mm]が20〜40である面領域としての高熱流束面領域Aにおいて該鋳型の幅方向に10又は20・30・40・50のうち何れか一の間隔p[mm]でとる所定の面領域a1・a2・・・で平均熱流束q[W/m2]を夫々求め、
    並設する前記複数の面領域a1・a2・・・のうち隣り合うn領域の面領域ak〜ak+n-1を一組とし、各組ごとに、該組に属する前記複数の面領域ak〜ak+n-1の前記平均熱流束q[W/m2]の標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]を求め、
    複数求めた上記標準偏差σk〜k+n-1[W/m2]のうち最大の標準偏差σmax[W/m2]と、所定の値σo[W/m2]と、を比較し、
    該最大の標準偏差σmax[W/m2]が所定の値σo[W/m2]を超えないように鋳造速度Vc[m/min]を減じる、ことを特徴とする連続鋳造方法。
    ただし、
    (a)前記間隔p[mm]を10又は20とするときは、前記nを3〜7の何れか一とし、
    (b)前記間隔p[mm]を30とするときは、前記nを3〜5の何れか一とし、
    (c)前記間隔p[mm]を40とするときは、前記nを3又は4とし、
    (d)前記間隔p[mm]を50とするときは、前記nを3とする。
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