JP4825182B2 - 汚染土無害化システム - Google Patents
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Description
また、請求項5に記載の汚染土無害化システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の汚染土無害化システムにおいて、前記排ガス酸化装置を通過した乾留ガスと、前記脱臭触媒装置を通過する前の蒸気ガスとの間で、熱交換を行わせる熱交換器を備える。
また、PCBを含有する汚染土の乾燥時の温度を220℃以下とすることにより、PCBの汚染土からの揮発量を大幅に低減することができる。
まず、実施の形態に共通の基本的概念について説明する。実施の形態に係る汚染土無害化システムは、汚染物質を含有する汚染土の無害化を目的とするものである。
次に、本発明に係る実施の形態の具体的内容について説明する。まず、汚染土無害化システムの全体構成、及び、当該汚染土無害化システムによる汚染土無害化処理の概略を説明する。次に、本実施の形態に係る汚染土無害化システムの特徴である乾燥装置の構成、及び、当該乾燥装置に投入された汚染土の温度制御処理についての詳細を説明する。
図1は汚染土無害化システムの概略図である。図1に示すように、汚染土無害化システム1は、主に白抜きのブロックで示された装置を含む汚染土処理系統、主に斜線のブロックで示された装置を含む蒸気ガス処理系統、及び、主に格子のブロックで示された装置を含む乾留ガス処理系統の3系統に大別され、これらの系統の内の複数系統、あるいは全ての系統において共通して用いられる装置として、熱交換器50、活性炭吸着槽60、燃料供給装置70、排熱利用配管80、及び、制御盤90を備えている。
汚染土処理系統は、汚染土無害化システム1に投入された汚染土の処理を行うための処理系統であり、土壌ホッパー20、乾燥機21、吹込装置22、搬送装置23、減圧還元加熱装置24、及び、冷却装置25を備えている。
土壌ホッパー20は、汚染土を乾燥機21に供給するためのものである。土壌ホッパー20の具体的な構成は公知であるので説明は省略するが、例えば、作業者によって当該土壌ホッパー20に投入された汚染土を所定の送出量で送出し、図示しない移送装置を介して乾燥機21に供給するように構成されている。
乾燥機21は、土壌ホッパー20から供給された汚染土を乾燥させるためのものであり、特許請求の範囲における乾燥装置に対応している。乾燥機21の具体的な構成は任意であるが、例えば、ロータリーキルン式や、ベルトコンベヤ式、あるいはバッチ式等の乾燥機を用いることができる。乾燥機21の構成の細部については後述する。
吹込装置22は、乾燥機21における後述する回転炉21cの内部に冷却用気体を吹き込むためのものであり、特許請求の範囲における冷却手段に対応している。吹込装置22は、図示しない送風ファン及び図示しない吹込管を備えている。送風ファンは、冷却用気体を送風する。吹込管は、一端が送風ファンに接続され、他端は乾燥機21の回転炉21cに接続されている。これにより、送風ファンから送風された冷却用気体は、吹込管を通過して回転炉21cの内部に向かって吹き込まれ、汚染土を直接冷却する。なお、冷却用気体として用いられる気体は任意であるが、例えば、外気を冷却用気体として送風ファンから送風させることができる。
搬送装置23は、乾燥機21から排出された汚染土を減圧還元加熱装置24に搬送するためのものである。搬送装置23の具体的な構成は任意であるが、例えば、密閉型のベルトコンベヤ等を用いることで、汚染土を外部に飛散させることなく搬送を行うことが出来る。
減圧還元加熱装置24は、乾燥機21で乾燥された汚染土を無害化するためのものである。減圧還元加熱装置24としては、ロータリーキルン方式の加熱炉を用いることができる。図2は減圧還元加熱装置24の構成の概略を示した図であり、図2(a)は減圧還元装置の全体の側面図(一部を破断して示す)、図2(b)は図2(a)における領域Aの拡大図、図2(c)は図2(a)における領域Bの拡大図である。また、図3は、回転炉24cの内部構造を示した側面図である。図2に示すように、減圧還元加熱装置24は、燃焼室24a、加熱部24b、回転炉24c、及び、駆動部24dを備えている。
図1において、冷却装置25は、減圧還元加熱装置24で無害化された汚染土を冷却するものである。汚染土にダイオキシン類が含まれている場合、減圧還元加熱装置24において所定温度まで加熱後保持されることで一旦無害化された場合でも、その後の温度低下時に一定の温度範囲で長時間放置されることによって、汚染土中の金属が触媒となってダイオキシン類が再合成されることがある。そこで、無害化された汚染土を冷却装置25によって急速に冷却することによりダイオキシン類の再合成を防止することができる。図4は冷却装置25の側面図である(一部を破断して示す)。図4に示すように、冷却装置25は、回転体25a、駆動部25b、給水管25c、及び、水噴霧装置25dを備えている。
図1において、蒸気ガス処理系統は、乾燥機21において乾燥された汚染土から蒸発した水分等を含む蒸気ガスの処理を行うための処理系統であり、蒸気ガス配管30、緊急用配管31、集塵機32、活性炭供給装置33、保温ガス配管34、集塵ダスト配管35、集塵ダスト回収機36、蒸気ガス洗浄槽37、及び、脱臭触媒装置38を備えている。図5は、蒸気ガス処理系統の装置構成を模式的に表した概略図である。ここで、本実施の形態の説明における「蒸気ガス」とは、乾燥機21において乾燥された汚染土から蒸発した蒸気、当該汚染土から揮発したPCBや臭気分等のガス、当該汚染土から飛散した粉塵や、当該粉塵に付着しているダイオキシン等を含み、あるいは、これらの物質のうちの一部が除去・分解等された、ガス状物質をいう。
蒸気ガス配管30は、蒸気ガスを上述の蒸気ガス処理系統に属する装置に所定の順序で導入させるためのものであり、前後に連続した処理を行う装置を相互に接続する。
緊急用配管31は、乾燥機21において加熱された土壌の温度が所定温度範囲を上回った場合や、乾燥機21から蒸気ガス配管30に排出された蒸気ガスが所定温度を下回った場合等の緊急時において、蒸気ガスを集塵機32へと導入させずに、乾留ガス処理系統における後述する高温集塵機41へと導入させるためのものである。具体的には、乾燥機21と集塵機32との間において、切替ダンパー39を介して緊急用配管31の一端が蒸気ガス配管30に接続されている。また、緊急用配管31の他端は、乾留ガス処理系統における後述する乾留ガス配管40に接続されている。なお、切替ダンパー39は、乾燥機21における後述する蒸気ガス温度計測器から出力される温度信号に基づいて、制御盤90によって制御される。
集塵機32は、蒸気ガスに含まれる粉塵を捕集するためのものである。集塵機32は、蒸気ガス配管30を介して乾燥機21と接続されており、乾燥機21の内部で発生した蒸気ガスが当該集塵機32へと導入される。また、集塵機32は集塵ダスト配管35を介して集塵ダスト回収機36と接続されており、集塵機32において捕集された粉塵は、集塵ダスト配管35を経由して集塵ダスト回収機36へと搬送される。集塵機32の具体的構成は任意であるが、例えば、サイクロン式集塵機32aやバグフィルタ式集塵機32bを用いることができ、あるいは、これらの集塵機を組み合わせて用いることもできる。本実施の形態においては、図5に示したように、1台のサイクロン式集塵機32a及び2台のバグフィルタ式集塵機32bを用いた例を示している。また、これらの集塵機32の周囲を覆うように保温ジャケット32cが設けられており、当該保温ジャケット32cの内部に保温ガスを送風することで集塵機32の温度を所定温度範囲内に保持することができる。
活性炭供給装置33は、所定量の活性炭を集塵機32に吹き込むためのものであり、集塵機32の入り口側において蒸気ガス配管30に接続されている。蒸気ガスに含まれる粉塵を活性炭に吸着させ、粉塵が吸着した活性炭を集塵機32によって捕集させることにより、粉塵の捕集率を高めることができる。捕集された活性炭は、集塵機32に捕集された粉塵と共に集塵ダスト配管35によって搬送される。
保温ガス配管34は、集塵機32を所定温度以上に保持するために、集塵機32の周囲を覆っている保温ジャケット32cの内部に保温ガスを供給し、集塵機32の周囲に対流させるためのものである。
集塵ダスト配管35は、集塵機32によって捕集された粉塵を、集塵ダスト回収機36へと搬送させるためのものである。集塵ダスト配管35の具体的な構成は任意であるが、例えば、当該集塵ダスト配管35の一方の端部には粉塵搬送用のエアーを供給する搬送エアー供給機35aを接続し、他方の端部を集塵ダスト回収機36に接続しても良い。この場合、エアーの温度低下によって集塵ダスト配管35が閉塞することを防止するため、乾燥機21の加熱に用いられた後に乾燥機21から排出された熱風を搬送用エアーとして利用しても良い。あるいは、捕集された粉塵をベルトコンベヤによって集塵ダスト回収機36へと移送させることもできる。
集塵ダスト回収機36は、集塵ダスト配管35によって搬送された粉塵を回収するためのものであり、例えば、バグフィルタ式集塵機が用いられる。集塵ダスト回収機36によって回収された粉塵は、乾燥機21にて乾燥された汚染土と共に減圧還元加熱装置24に投入される。
蒸気ガス洗浄槽37は、集塵機32を通過した蒸気ガスに微量に含まれている粉塵やダイオキシン等を除去するためのものである。ダイオキシンは粉塵に吸着しているため、この粉塵を蒸気ガス洗浄槽37によって除去することにより、蒸気ガスからダイオキシンを除去することができる。蒸気ガス洗浄槽37の具体的な構成は任意であるが、例えば、蒸気ガスと洗浄液とを気液混合して、微粒化された洗浄液によって粉塵を捕集させるウェットスクラバーを用いることができる。
脱臭触媒装置38は、蒸気ガス洗浄槽37を通過した蒸気ガスに含まれている微量の臭気分やPCB等を除去するためのものである。脱臭触媒装置38は、所定温度以上に昇温された蒸気ガスと触媒とを接触させることにより、蒸気ガスに含まれている臭気分やPCB等を酸化させる。なお、脱臭触媒装置38において酸化反応を生じさせるために、乾留ガス処理系統における後述する排ガス酸化装置45を通過した高温の乾留ガスから熱交換器50を介して加熱され、所定温度以上となった蒸気ガスが、当該脱臭触媒装置38に導入される。脱臭触媒装置38の具体的な構成については公知であるため説明を省略する。
図1において、乾留ガス処理系統は、減圧還元加熱処理の過程で汚染土から分離したダイオキシン類等を含む乾留ガスの処理を行うための処理系統であり、乾留ガス配管40、高温集塵機41、消石灰供給装置42、造粒機43、バイパス配管44、排ガス酸化装置45、排ガス冷却装置46、集塵機47、及び、脱硫装置48を備えている。図6は、乾留ガス処理系統の装置構成を模式的に表した概略図である。
乾留ガス配管40は、乾留ガスを上述の乾留ガス処理系統に属する装置に所定の順序で導入させるためのものであり、前後に連続した処理を行う装置を相互に接続する。また、図1の減圧還元加熱装置24と高温集塵機41との間において、蒸気ガス処理系統における緊急用配管31の一端が乾留ガス配管40に接続されており、緊急時には蒸気ガスが乾留ガス処理系統に導入されるようになっている。
高温集塵機41は、高温の乾留ガスに含まれる粉塵を捕集するためのものであり、乾留ガス配管40を介して減圧還元加熱装置24の回転炉24cと接続されているとともに、乾留ガス配管40を介して排ガス酸化装置45と接続されている。回転炉24cの内部において汚染土から分離された乾留ガスは、乾留ガス配管40を経由して高温集塵機41へと導入され、当該乾留ガスに含まれる粉塵が除去された後、排ガス酸化装置45へと排出される。高温集塵機41によって捕集された粉塵は、造粒機43へと移送される。高温集塵機41によって粉塵が捕集され、排ガス酸化装置45への粉塵の流入が防止されることにより、排ガス酸化装置45の内部における煤の発生を防止でき、排ガス酸化装置45を停止してメンテナンスを行う必要性を低減することができる。なお、高温集塵機41の具体的な構成は任意であるが、例えば、セラミックフィルターを使用して耐熱性能を高めた高温集塵機41を用いることができる。
図6において、消石灰供給装置42は、乾留ガスに含まれている酸性ガスを中和するために、当該乾留ガスに消石灰を投入するためのものである。本実施の形態においては、乾留ガス系統に属する装置を酸性ガスによる腐食から保護するため、高温集塵機41に導入される前に消石灰を投入している。すなわち、高温集塵機41よりも減圧還元加熱装置24側において消石灰供給装置42を乾留ガス配管40に接続している。但し、消石灰供給装置42の接続位置は任意であり、高温集塵機41よりも後段において、例えば排ガス冷却装置46と集塵機47との間における乾留ガス配管40に接続し、当該乾留ガス配管40を流れている乾留ガスに消石灰を投入させることもできる。
造粒機43は、高温集塵機41によって捕集された粉塵を、所定の大きさを有する粒体として形成するためのものである。高温集塵機41によって捕集された粉塵は、図示しない粉塵計量機によって計量された後、図示しない混練機に導入される。ここで、先に計量された粉塵の量に応じて、図示しないサイロから混練機にバインダーが投入されると共に、図示しない給水機からは水が供給される。混練機によってバインダー及び水と混練された粉塵は、造粒機43によって粒体に形成される。このように、造粒機43によって粉塵を粒体とし、当該粒体を減圧還元加熱装置24に投入することで、粉塵が再度乾留ガス処理装置に流入することを防ぐことができる。なお、造粒機43の具体的な構成は公知であるので説明を省略する。
バイパス配管44は、高温集塵機41への導入前における乾留ガスの温度が所定温度以下となった場合において、当該乾留ガスを高温集塵機41に導入させず、当該高温集塵機41の後段にある排ガス酸化装置45に導入させるものである。具体的には、消石灰供給装置42と乾留ガス配管40との接続部よりも減圧還元加熱装置24側において、切替ダンパー49を介してバイパス配管44の一方の端部と乾留ガス配管40とが接続されている。また、バイパス配管44の他方の端部は、乾留ガス配管40を介して排ガス酸化装置45と接続されている。また、切替ダンパー49の近傍に、乾留ガスの温度を計測するための図示しない温度計測器が設けられている。温度計測器から出力される温度信号に基づいて、制御盤90によって切替ダンパー49の切替え動作が制御される。
排ガス酸化装置45は、高温集塵機41を通過した乾留ガスに含まれるダイオキシン類等を高温焼却処理するためのものである。排ガス酸化装置45は、図示しない流入部、焼却部、及び、流出部を備えている。流入部は、乾留ガスが流入する部分であり、乾留ガス配管40を介して高温集塵機41及びバイパス配管44と接続されている。焼却部は、流入部から流入した乾留ガスを焼却する部分である。焼却部には、LPG等の燃料及び助燃空気が供給され、乾留ガスを焼却させる。流出部は、焼却部において焼却された乾留ガスが流出する部分であり、乾留ガス配管40を介して熱交換器50に接続されている。
排ガス冷却装置46は、熱交換器50を通過した乾留ガスを冷却するためのものである。排ガス冷却装置46における乾留ガスの流入側は、乾留ガス配管40を介して熱交換器50に接続されており、流出側は、乾留ガス配管40を介して集塵機47に接続されている。なお、排ガス冷却装置46の具体的な構成は任意であり、水冷式ガス冷却装置や、空冷式ガス冷却装置を用いることができる。
集塵機47は、排ガス冷却装置46を通過した乾留ガスに微量に残留している粉塵を捕集するためのものである。集塵機47における乾留ガスの流入側は、乾留ガス配管40を介して排ガス冷却装置46と接続されており、流出側は、乾留ガス配管40を介して脱硫装置48と接続されている。なお、集塵機47の具体的な構成は任意であるが、サイクロン式集塵機47aや、バグフィルタ式集塵機47bを用いることができる。
脱硫装置48は、集塵機47を通過した乾留ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物を除去するためのものである。脱硫装置48における乾留ガスの流入側は、乾留ガス配管40を介して集塵機47と接続されており、流出側は、乾留ガス配管40を介して活性炭吸着槽60に接続されている。脱硫装置48の具体的な構成は任意であるが、例えば、アルカリスラリー及びアルカリ溶液を吸収剤とする湿式脱硫装置を用いることができる。
熱交換器50は、乾留ガス処理系統において排ガス酸化装置45を通過した乾留ガスと、蒸気ガス処理系統において蒸気ガス洗浄槽37を通過した蒸気ガスとの間で、熱交換を行わせるためのものである。熱交換器50の具体的な構成は任意であるが、例えば、内筒と外筒との二重の筒を備えた輻射式熱交換器を用いることができる。乾留ガスは、熱交換器50において蒸気ガスによって熱を奪われるので、後段の排ガス冷却装置46の効率が向上される。また、蒸気ガスは、熱交換器50において乾留ガスから熱を受け取ることで、後段の脱臭触媒装置38における触媒反応に必要な温度まで加温される。
図1において、活性炭吸着槽60は、蒸気ガス処理系統における脱臭触媒装置38を通過した蒸気ガス及び乾留ガス処理系統における脱硫装置48を通過した乾留ガスに、微量に粉塵や臭気分等が残留していた場合に、これを吸着するためのものである。活性炭吸着槽60の内部を排ガスが通過する際、排ガスに含まれている粉塵や臭気分等が活性炭に吸着・除去される。活性炭吸着槽60の流入側は、図示しない配管を介して脱臭触媒装置38及び脱硫装置48と接続されており、流出側は、排ガスを大気中に排気するための煙突100に接続されている。なお、活性炭吸着槽60の具体的な構成は公知であるため、説明を省略する。
燃料供給装置70は、乾燥機21、減圧還元加熱装置24、及び、排ガス酸化装置45に、燃料及び助燃空気を供給するためのものである。
排熱利用配管80は、減圧還元加熱装置24の排熱を乾燥機21において利用させるためのものである。具体的には、排熱利用配管80の一方の端部は減圧還元加熱装置24の燃焼室24aに設けられた排気ファンに接続され、他方の端部は乾燥機21の後述する燃焼室21aに接続されている。減圧還元加熱装置24の燃焼室24aの内部において、加熱部24bが燃料を燃焼させることで発生した燃焼ガスは、回転炉24cを加熱した後に、排熱利用配管80を経由して乾燥機21の燃焼室21aに導入される。
制御盤90は、汚染土無害化システム1の動作の制御を行うためのものである。図7は、制御盤90の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。図7に示すように、制御盤90は、乾燥機制御部91、減圧還元加熱装置制御部92、冷却装置制御部93、蒸気ガス処理制御部94、乾留ガス処理制御部95、入力部96、及び、記憶部97を備えている。乾燥機制御部91は、乾燥機21及び吹込装置22の制御を行うものであり、特許請求の範囲における温度制御手段に対応している。減圧還元加熱装置制御部92は、減圧還元加熱装置24の制御を行う。冷却装置制御部93は、冷却装置25の制御を行う。蒸気ガス処理制御部94は、蒸気ガス処理系統の緊急用配管31に対する切替ダンパー39の切替制御を行う。乾留ガス処理制御部95は、乾留ガス処理系統のバイパス配管44に対する切替ダンパー49の切替制御を行う。入力部96は、汚染土の含水率等の性状や投入量等、制御盤90による制御に用いられる運転情報を当該制御盤90に入力させるためのものである。記憶部97は、入力部96を介して制御盤90に入力された運転情報を格納する。
次に、汚染土無害化システム1によって行われる汚染土無害化処理の概略を説明する。図8は、汚染土無害化処理の流れを示したフローチャートである。
まず、汚染土の処理の流れについて説明する。処理の開始時には、分級や汚染土測定等の所定の前段階処理を経た汚染土が、土壌ホッパー20に投入されている。土壌ホッパー20に投入された汚染土は、まず、所定の送出量にて当該土壌ホッパー20から送出され、移送装置によって乾燥機21に移送される(ステップSA−1)。乾燥機21は乾燥機制御部91によって制御されており、乾燥機21に投入された汚染土の温度が所定温度範囲内に保持され、当該汚染土が乾燥される(ステップSA−2)。この乾燥機制御部91による汚染土の温度制御処理の詳細は後述する。乾燥機21によって乾燥された汚染土は、当該乾燥機21から排出される(ステップSA−3)。
次に、乾燥機21における汚染土の乾燥時に当該汚染土から蒸発した蒸気ガスの処理の流れについて説明する。図10は蒸気ガスの処理の流れを示したフローチャートである。上述のステップSA−2において汚染土から蒸発した蒸気ガスには、汚染土に含まれていた水分、汚染土から飛散した粉塵、汚染土から揮発した臭気分等が含まれている。この蒸気ガスは、乾燥機21から蒸気ガス配管30へと排出される(ステップSC−1)。ここで、蒸気ガス温度計測器によって計測された蒸気ガス温度が所定温度(例えば約70℃)未満であった場合(ステップSC−2、Yes)、蒸気ガス処理制御部94は切替ダンパー39を動作させ、当該蒸気ガスを緊急用配管31を介して乾留ガス処理系統へと導入させる(ステップSC−3)。蒸気ガス温度が70℃以上である場合には(ステップSC−2、No)、蒸気ガス配管30に導入された蒸気ガスは、集塵機32へと導入される(ステップSC−4)。ここで、活性炭供給装置33によって活性炭が集塵機32に吹き込まれ、当該活性炭に、蒸気ガスに含まれている粉塵が吸着する。集塵機32に導入された蒸気ガスがサイクロンやバグフィルタ等を通過すると、当該蒸気ガスに含まれている粉塵や当該粉塵が吸着した活性炭が除去される(ステップSC−5)。なお、ここで除去された粉塵等は、集塵ダスト配管35を経由して集塵ダスト回収機36へと搬送され、集塵ダスト回収機36から減圧還元加熱装置24に投入される。
次に、減圧還元加熱装置24における汚染土の減圧還元加熱処理時に当該汚染土から分離された乾留ガスの処理の流れについて説明する。図11は乾留ガスの処理の流れを示したフローチャートである。上述の減圧還元加熱処理において汚染土から分離された乾留ガスは、回転炉24cの供給口24f側のフード24hから、乾留ガス配管40へと排出される(ステップSD−1)。ここで、乾留ガス配管40の切替ダンパー49の近傍に配置されている温度計測器によって計測された乾留ガスの温度が所定温度未満であった場合(ステップSD−2、Yes)、乾留ガス処理制御部95は切替ダンパー49を動作させ、当該乾留ガスをバイパス配管44を介して排ガス酸化装置45に導入させる(ステップSD−3)。乾留ガスの温度が所定温度以上である場合には(ステップSD−2、No)、乾留ガス配管40に導入された乾留ガスは、高温集塵機41へと導入される(ステップSD−4)。乾留ガスが高温集塵機41を通過する際、当該高温集塵機41のフィルターによって、乾留ガスに含まれている粉塵が捕集される(ステップSD−5)。なお、高温集塵機41によって捕集された粉塵は、造粒機43へと移送され、当該造粒機43によって粒体化された後、減圧還元加熱装置24に投入される。
次に、本実施の形態に係る乾燥機21の構成について詳細に説明する。乾燥機21としては、上述のように本実施の形態では、ロータリーキルン式や、ベルトコンベヤ式、あるいはバッチ式等の乾燥機を用いることができるが、本実施の形態ではロータリーキルン式の乾燥機21を例に挙げて説明する。図12は乾燥機21の構成の概略を示した図であり、図12(a)は乾燥機21の全体の側面図、図12(b)は図12(a)における領域Cの拡大図、図12(c)は図12(a)における領域Dの拡大図である。図12に示すように、乾燥機21は、燃焼室21a、加熱部21b、回転炉21c、及び、駆動部21dを備えている。
燃焼室21aは、加熱部21bの燃焼スペースを確保するためのものであり、回転炉21cを覆うように設けられている。また、燃焼室21aには排熱利用配管80が接続されており、減圧還元加熱装置24からの排熱が当該燃焼室21aに導入される。また、燃焼室21aは、燃焼室21aの内部の気体を排出するための排気出口21eを備えている。燃焼室21aの内部では、加熱部21bが燃料を燃焼させることで発生した燃焼ガスと、排熱利用配管80を経由して流入した減圧還元加熱装置24の排熱とによって、回転炉21cが加熱される。その後に、これらの高温ガスは排気出口21eを通過して当該燃焼室21aから排気される。
加熱部21bは、乾燥機21における汚染土を加熱するものであり、バーナー、比率調整弁、ガス電磁弁、加熱帯測温部、圧力計測部、炎検出部、警報部、及び、表示部を備えている(全て図示せず)。バーナーは、燃焼室21aの内部で燃料と助燃空気とを混合して燃焼させるものであり、燃焼室21aの壁部に設けられている。バーナーによって燃料が燃焼されることで発生した熱は、回転炉21cに伝達され、回転炉21cの炉壁を介して当該回転炉21cの内部の汚染土を間接加熱する。比率調整弁は、バーナーによって混合される燃料と助燃空気との混合比率を調整するものである。ガス電磁弁は、バーナーに供給される燃料を遮断するためのものである。加熱帯測温部は、燃焼室21aから燃焼ガスが排出される際の当該燃焼ガスの温度を計測する。加熱帯測温部としては、白金測温体や、熱電対を用いることができる。圧力計測部は、回転炉21cの内部圧力を計測するものである。炎検出部は、バーナーが発生させている炎の検出を行うためのものである。炎検出部としては、紫外線感知器を用いることができる。警報部は、炎検出部によってバーナーの炎の立ち消えが検出された場合など、何らかの異常が発生した場合において、その異常に応じて警報を出力するためのものである。表示部は、加熱部21bの動作状態(例えば、正常状態、異常状態等)を表示するためのものである。表示部の具体的な構成は任意であり、各状態に対応した色(例えば、正常状態:青、異常状態:赤)で発光する発光体を用いてもよく、あるいは、液晶表示装置を用いて表示をさせてもよい。
回転炉21cは、内部に投入された汚染土を移動させながら乾燥させる略円筒形の炉であり、燃焼室21aの内部を貫通するように回転自在に設置されている。回転炉21cの一方の端部には汚染土の供給口21fが設けられており、他方の端部には汚染土の排出口21gが設けられている。供給口21f及び排出口21gの周囲には、汚染土の粉塵や汚染土から蒸発・揮発した蒸気ガスが乾燥機21の外部に漏出することの無いよう、二重化フード21hが設けられている。図12(b)及び図12(c)に示すように、二重化フード21hは、一次フード21i及び二次フード21jを備えている。一次フード21iは、供給口21fと排出口21gとをそれぞれ覆うように、回転炉21cに対して摺動自在に設けられている。供給口21f側の一次フード21iは、蒸気ガス配管30が接続されている。また、蒸気ガス配管30との接続部近傍には図示しない蒸気ガス温度計測器が設けられており、当該蒸気ガス温度計測器によって回転炉21cの内部から蒸気ガス配管30に排出される蒸気ガスの温度が計測される。排出口21g側の一次フード21iは、搬送装置23と接続されている。二次フード21jは、一次フード21iと回転炉21cとの間隙を覆うように、回転炉21cに対して摺動自在に設けられており、配管21kを介して、図示しない局所集塵機と接続されている。局所集塵機が動作している場合には、二次フード21jと回転炉21cの外周との間に存在する気体が局所集塵機まで吸引され、当該局所集塵機にて粉塵が除去された後に大気に排出される。
駆動部21dは、回転炉21cを所定の回転速度で回転させるものであり、チェーンやギア等を介して回転炉21cと連結されている。
次に、乾燥機制御部91による汚染土の温度制御処理について説明する。図13は、乾燥機制御部91による汚染土の温度制御処理の流れを示したフローチャートである。
このように本実施の形態によれば、乾燥機制御部91によって乾燥機21の加熱部21bの制御を行い、乾燥機21の内部の汚染土の温度を所定温度範囲内に保持しているので、乾燥時における汚染土からの汚染物質の揮発を抑制することができる。従って、蒸気ガスについては集塵機32や蒸気ガス洗浄槽37、脱臭触媒装置38によって処理を行うことができるので、燃焼処理を行う必要がなく、処理に要するコストを著しく低減することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
上述の実施の形態では、乾燥機21の内部の汚染土を冷却する冷却手段として吹込装置22を使用し、乾燥機21の内部に冷却用空気を吹き込むと説明したが、所定の給水手段を用いて乾燥機21の内部に冷却水を注水するように構成してもよい。この場合、冷却装置25の給水管25cを分岐して乾燥機21にも冷却水を給水できるようにし、乾燥機21と冷却装置25とで冷却水を共用させることもできる。これにより、汚染土が高温となった場合の当該汚染土の冷却速度を向上させることができ、汚染土から揮発するPCBの量を低減することができる。
20 土壌ホッパー
21 乾燥機
21a、24a 燃焼室
21b、24b 加熱部
21c、24c 回転炉
21d、24d、25b 駆動部
21e、24e 排気出口
21f、24f、25e 供給口
21g、24g、25f 排出口
21h 二重化フード
21i 一次フード
21j 二次フード
21k 配管
22 吹込装置
23 搬送装置
24 減圧還元加熱装置
24h フード
24i、25g 送り羽根
24j 温度計測器
25 冷却装置
25a 回転体
25c 給水管
25d 水噴霧装置
25h 放水ヘッド
25i 噴霧口
30 蒸気ガス配管
31 緊急用配管
32、47 集塵機
32a、47a サイクロン式集塵機
32b、47b バグフィルタ式集塵機
32c 保温ジャケット
33 活性炭供給装置
34 保温ガス配管
35 集塵ダスト配管
35a 搬送エアー供給機
36 集塵ダスト回収機
37 蒸気ガス洗浄槽
38 脱臭触媒装置
39 切替ダンパー
40 乾留ガス配管
41 高温集塵機
42 消石灰供給装置
43 造粒機
44 バイパス配管
45 排ガス酸化装置
46 排ガス冷却装置
48 脱硫装置
49 切替ダンパー
50 熱交換器
60 活性炭吸着槽
70 燃料供給装置
80 排熱利用配管
90 制御盤
91 乾燥機制御部
92 減圧還元加熱装置制御部
93 冷却装置制御部
94 蒸気ガス処理制御部
95 乾留ガス処理制御部
96 入力部
97 記憶部
100 煙突
Claims (6)
- 汚染土に含有されているPCBを分解することにより、当該汚染土を無害化する汚染土無害化システムであって、
前記汚染土を乾燥させる乾燥装置と、
前記乾燥装置から排出された蒸気ガスと触媒とを接触させることにより、当該蒸気ガスに含まれている前記PCBを酸化させる脱臭触媒装置と、
前記乾燥装置にて乾燥された前記汚染土に含まれるPCBを、減圧還元加熱にて分解する減圧還元加熱装置と、
前記減圧還元加熱装置から排出された乾留ガスに含まれる前記PCBを、高温焼却処理するための排ガス酸化装置と、
前記乾燥装置の内部の前記汚染土の温度を、前記PCBの揮発を抑制する220℃以下に維持するように、前記乾燥装置を制御する温度制御手段と、
前記汚染土の含水量と、前記汚染土の投入量と、前記乾燥装置における前記汚染土の乾燥に適した加熱量とを相互に関連づけて格納する記憶部と、を備え、
前記温度制御手段は、
前記乾燥装置に前記汚染土が投入された場合に、所定方法で前記乾燥装置に投入された前記汚染土の含水量及び前記汚染土の投入量を取得し、当該取得した前記汚染土の含水量及び前記汚染土の投入量と関連付けて格納されている前記汚染土の乾燥に適した加熱量を前記記憶部から取得し、当該取得した前記汚染土の乾燥に適した加熱量に基づいて前記乾燥装置を制御する、
汚染土無害化システム。 - 前記乾燥装置に投入された前記汚染土の温度を計測する温度計測器を備え、
前記温度制御手段は、
前記汚染土の乾燥に適した加熱量に基づいて前記乾燥装置を制御している際に、当該加熱量、及び前記温度計測器にて計測された前記汚染土の温度を所定間隔毎に前記記憶部に格納し、前記記憶部に格納された加熱量及び前記汚染土の温度に基づいて、前記加熱量の変化分に対する前記汚染土の温度の変化分の傾きを算定すると共に、前記加熱量の変化から対応する前記汚染土の変化までの遅れ時間を特定し、前記汚染土の温度の変化分の傾き及び前記遅れ時間を基準として前記汚染土の温度に対する適切な加熱量を算定し、当該算定した加熱量に基づいて前記乾燥装置を制御する、
請求項1に記載の汚染土無害化システム。 - 前記乾燥装置の内部の前記汚染土を冷却する冷却手段を備え、
前記温度制御手段は、前記汚染土の温度が220℃を超過すると判断した場合において、前記冷却手段によって当該汚染土を冷却させる、
請求項1又は2に記載の汚染土無害化システム。 - 一台の前記減圧還元加熱装置に対して、複数台の前記乾燥装置を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の汚染土無害化システム。 - 前記排ガス酸化装置を通過した乾留ガスと、前記脱臭触媒装置を通過する前の蒸気ガスとの間で、熱交換を行わせる熱交換器を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の汚染土無害化システム。 - 汚染土に含有されているPCBを分解することにより、当該汚染土を無害化する汚染土無害化方法であって、
前記汚染土の含水量と、前記汚染土の投入量と、乾燥装置における前記汚染土の乾燥に適した加熱量とを相互に関連づけて記憶部に格納する格納工程と、
前記汚染土の温度を、前記PCBの揮発を抑制する220℃以下に維持させつつ、前記汚染土を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程において排出された蒸気ガスと触媒とを接触させることにより、当該蒸気ガスに含まれている前記PCBを酸化させる蒸気ガス処理工程と、
前記乾燥工程において乾燥された前記汚染土の前記PCBを、減圧還元加熱にて分解する減圧還元加熱工程と、
前記減圧還元加熱工程において排出された乾留ガスに含まれる前記PCBを、高温焼却処理する乾留ガス処理工程と、を含み、
前記乾燥工程においては、
所定方法で前記汚染土の含水量及び前記汚染土の投入量を取得し、当該取得した前記汚染土の含水量及び前記汚染土の投入量と関連付けて格納されている前記汚染土の乾燥に適した加熱量を前記記憶部から取得し、当該取得した前記汚染土の乾燥に適した加熱量に基づいて前記汚染土を乾燥させる、
汚染土無害化方法。
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